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飲み比べ

2017年6月 7日 (水)

天狗舞の極上酒はすごい酒でした。

五月の連休が明けた火曜日に天狗舞の極上酒を大いに楽しむ会を開催するという案内が4月の終わりごろに突然来ました。これを企画したのは、自称酔いどれフォトグラフィッカーの平塚義久さんです。この企画がどのようにして生まれたのかはわかりませんが、神戸の夙川にお店を出している吟座糀屋にお酒を提供している糀屋酒店の玉谷さんと平塚さんが仲が良くて色々お付き合いしているうちに、お店にある貴重な天狗舞の極上酒を東京の皆様に糀屋のお料理と合わせて飲んでもらおうということになったようです。 

応募人数は13名と、ごく少数の平塚さんの知り合いに声をかけられたようで、参加費が1万3千円と高かったけれども、天狗舞の中三郎の純米大吟醸や大吟醸と天狗舞山廃の純米大吟が飲めるということなので、迷わず申し込みました。天狗舞の純米酒や五凛のお酒は飲んだことはありますが、最近は中三郎は飲んだことがなかったので、じっくり楽しんでみようと思った次第です。 

天狗舞のお酒をじっくり味わうのは、2009年に新橋の野崎酒店で開かれた「天狗舞と五凛を楽しむ会」以来のことです。この時の感想は下記のブログに書きましたので、良かったら見てください。随分前のことで、僕もお酒の初心者でしたので、あまりたいしたことは書いていませんね。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/2-673d.html 

この会は両国駅近くのレンタルスペースのスキーマ両国店で開かれました。ここはキッチン付きのレンタルスペースで、最大20名の立食パーティールームで平日の夜で、6時間15000円、土曜日の夜で28000円で借りれるようです。今回は神戸から糀屋の料理人の玉谷昴さんがこられて、ここのキッチンで料理を作って出していただきました。 

下の写真の左の方が主催者の平塚さんで、中央の方が麹屋の玉谷さんです。 

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この下の写真がレンタルルームの入り口ですが、よく見ないとどんなお店なのかがわかりにくいですが、外から何をやってるかは丸見えです。僕は中に知っている人がいたのでここだとわかりましたが、看板だけだとわかりにくかったですね。 

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中の様子を見てみましょう。奥にキッチンルームが見えます。随分シンプルなレンタルルームでした。もうちょっと高級感を求めればもっと高いのでしょうね。我が家のダイニングルームを貸し出せば、20人くらいの立食パーティならできそうですね。やってみようかな?

中央にフルネットの中野社長、その左にノムリエ会会長の高瀬さんがおられました。 

Dsc_0748_2  

では早速どんなお酒を飲んだかをご紹介しましょう。この写真は平塚さんがFACEBOOKに出したものを拝借いたしました。このように飲んだお酒を並べたのは僕が帰った後のようですから仕方がないです。 

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右から 

・ 中三郎 純米大吟醸 27BY
・ 中三郎 大吟醸 27BY
・ 天狗舞 山廃純米大吟醸 28BY
・ 五凛  純米大吟醸 28BY
・ 天狗舞 純米大吟醸 28BY
・ 五凛  純米山田錦 28BY
・ 天狗舞 山廃純米 26BY
・ 天狗舞 山廃純米 25BY
 

全て生酒ですから、すごいラインアップですよね。 

それでは飲んだお酒の印象を纏めてかいてみますが、その前に天狗舞の車多酒造と中三郎さんのことにちょっと触れておきます。 

<車多酒造と中三郎>

車多酒造は石川県の白山町にあります。北陸本線の松任駅から南へ3㎞程下った田んぼの中にあるようです。創業は江戸末期の1823年だそうですから、このあたりの酒蔵としては古いほうではありません。初代の蔵元の車多太右衛門さんは油屋を営んでいたのですが、酒がお好きだったので自分でも作ってみたいと酒屋を始められたようです。天狗舞とはすごい名前を付けたものですね。平塚さんのお話によりますと、蔵の近くの森の木の葉の擦れ合う音が天狗の舞う音に聞こえたということから銘々したそうです。 

それから地元に飲まれるお酒を造り続けてきたのですが、車多酒造を大きく変えたのが昭和30年代後半に蔵に戻ってきた7代目の蔵元の車多壽郎さんです(現在は息子さんお一成さんが社長をしています)。壽郎さんは新しい味わいの酒、自分が好む酒を造りたいと山廃仕込みに着目されたそうです。そこで、静岡県のある酒屋で杜氏をしていた中三郎さんを呼び寄せ、その時から中三郎杜氏と二人三脚で山廃仕込みのお酒を作り上げていったのです。 

ご存知の通り中三郎杜氏は能登杜氏の四天王の一人ですが、その頂点に立つのが農口尚彦さんで、農口さんの弁によると開運の波瀬さんも満寿泉の三盃さんも天狗舞の中さんもみんな僕の教え子だと言っていますが、農口さんの山廃つくりを越えたのは中さんだけだったようです。それだけ山廃つくりは奥が深い造りなのでしょうね 

中三郎さんは現在は杜氏は後輩の岡田さんにゆずり、現在は杜氏顧問として支援側にまわっているそうですが、まだ現役で活躍されています。そのお酒が飲めるのはとてもうれしいことです。僕と中三郎さんと車多社長との写真がありますので、ちょっとお見せします。この場所は石川県の迎賓館広場で行われたサケマルシェです。中央の小柄な方が中さんで、右側の方が車多社長です。中さんはまだお元気そうですね。 

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蔵や中さんのお話はそれくらいにして早速飲んだ酒をご紹介しましょう。でもその前に櫂のはじめに行われた高瀬先生のご講演についてちょっとまとめてみました。

<高瀬先生のご講演要旨>

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ご講演は15分くらいの短いものでしたが、主にアルコール添加と山廃つくりのお話をいただきました。

アルコール添加を多くするとアルコールの刺激が気になるけれども、適量のアルコール添加は香りを引き立てるとともに清涼感が出て飲みつかれしなくなるので、出品酒はほとんどアルコール添加のようです。その添加用のアルコールは粗粒アルコールを外国から輸入して醸造用アルコールとして使用していますが、一部のメーカーでは米で作った焼酎を添加用のアルコールとして使っている蔵もありますが、国税局はこれを醸造用アルコールとして認めていないので、特定名称酒ととして名乗れないそうです。どうしてそんな規則があるのかわかりませんが、より品質の高い醸造アルコールを使うことは良いことなので、ぜひ見直してもらいたいものです。

山廃つくりは明治42年に開発された方法ですが、それまで使われていた生酛造りの工程の中の櫂で潰す作業を廃止して麹の酵素で溶かす方法に変えて酛造りの作業環境を大幅に改善したものです。この開発には福島県の末広酒造で色々実験を行ったそうです。山廃つくりの前の生酛造りは伊谷で生まれた寒造りを改良して完成したもので、その後の酒母造りのベースとなったので、当時は普通酛と言われていたそうです。

昔の生酛系(山廃つくりを含む)は木桶を使ったり酒造りの環境の悪いところで作られることが多かったので、どうしても酸味の強い独特の風味を出すことが多かったのですが、最近の生酛系の造りの酒は大幅に改善され、奇麗になっていますので、現代生酛系と呼んだほうがいいそうです。天狗舞の山廃は酸はあるものの、昔にあったような強い酸ではなく奇麗な酸味だそうです。それをよく味わってもらいたいとのことでした。

以上で講演の要旨を終わります。

<試飲したお酒の紹介>

.中三郎 純米大吟醸 27BY 

Dsc_0774_2この写真をよく見てください。純米大吟醸の上に真精と書いてあります。この意味は精米度が正しいという意味だそうですが、もう無くなった傳魚坊のお店にはこの文字が付いた中三郎が入ったそうです。ラベルの右上には筋水岩高と書いてありますが、この意味は醪の泡の状態を表すそうで、筋泡、水泡、岩泡、高泡という意味がそうです。この文字が入っているのは中三郎さんがこれだと気に入ったものだけに書いたそうです。ですから今回のお酒は中三郎の純米大吟醸の中でも最高峰のものと言えます。 

中三郎の純米大吟醸の生酒はインターネットでもほとんどその姿を見ることができないもので、普通の人は手に入らない特殊なお酒ですが、その中でもこのお酒はさらに特別なものといえます。こんなお酒が飲めるのは幸せそのものです。 

飲んでみましたが、さすがにうまい酒でした。しっかりした味わいがあって、最後まで奇麗な余韻を残しながらきれいに消えていくお酒でした。飲んでいるとホワット楽しくさせるお酒で、この酒に文句を言う人はいないのではないでしょうか。 

香に少しカプロン酸エチルの香りがしたので、皆さんが18号酵母を少し使ったのではないかという話になっていました。最近はほとんどの蔵で酵母を明確にしないようですが、飲む側としては公開してもらったほうが良いという意見が多かったです。 

最近は先入観を持たないで飲むべきとの意見を持つ蔵も多いようですが、最初にイメージを持つほうがお酒がよくわかるのも確かです、皆さんはどう思いますか。 

2.中三郎 大吟醸 27BY 

Dsc_0764_2このお酒は今回唯一のアルコール添加のお酒です。アルコール添加すると香りが引き立ち、さわやかさがでて飲みやすくなると言われますが、このお酒もまさしくそうで、純米大吟醸のようなうまみは少なくなっていますが、バランスが良く、奇麗な余韻が漂う、いくらでも飲めてしまうようなお酒でした。 

確かに奇麗で飲みやすいけど、純米大吟醸に比べるとちょっと物足りない気がしてしまうのは、飲み比べたからだと思います。僕が胸がないなと言ったら、高瀬先生が八千草薫のようなお酒かなと言われたのが印象的でした。 

お酒のスペックは兵庫県特A地区の山田錦35%精米、日本酒ぞ+5、酸度1.2とまさしく金賞酒狙いのお酒ともいえます。 

次いでながら、高瀬先生も中野社長も純米酒党として有名な方ですが、決してアルコール添加のお酒が嫌いではなく、よく飲まれるそうです。昔はアルコール添加でお酒の増量を図るようなお酒が出回っていたので、それを抑えるために純米酒を推進してきただけで、中三郎のように味を調えるためのアルコール添加のお酒は大好きだそうですから、皆さん知っておいてくださいね。 

3.天狗舞 山廃純米大吟醸 28BY

6884be07f65782d9e1a62ed8163a7c4f1天狗舞と言えば山廃仕込みが有名ですが、それこそ中三郎さんが磨き上げてきた造りのお酒で、その中でも最高峰のお酒がこの山廃純米大吟醸です。 

天狗舞の山廃純米大吟醸には2種類あって一つは山田錦45%の緑の瓶と山田錦35%精米の茶色い瓶がありますが、今回のお酒は後者の生酒です。スペックは日本酒度+3、酸度1.4と中三郎より少し酸が高いようです。 

飲んでみますと、口に含むとしっかりした旨み甘みが広がってきて、口の中までしっかりと伸びてきて、その後甘みを感じながら程よく消えていくお酒で、飲んでいる人を楽しくさせるお酒でした。カプロン酸エチルの香りはしませんでした。 

中三郎の純米大吟醸はまず手に入りませんが、このお酒なら頑張れば購入できる可能性がありますので、ぜひ購入しておきたいお酒ですね。 

4.五凛  純米大吟醸 28BY 

Dsc_0768_2五凛は8代目の蔵元社長をしている車多一成さんが「旨い」、「滑らかなのど越し」「飲み飽きしない」の3要素を味のコンセプトとして世に出したお酒で、お客様、飲食店、酒販店、蔵元、杜氏の5者が常に凛とした関係でお酒を楽しんでもらうという意味で「五凛」となずけられたそうです。 

お酒のスペックは山田錦45%精米、日本酒度+4、酸度1.5ですが飲んでみると、香りは少なめで天狗舞より酸味を感じて中ごろから膨らんできて、最後に軽い苦みを感じながら消えていく余韻の長いお酒でした。全体的には酸味がすっきりした輪郭を与えてくれる格調の高い印象を与えるようです。 

燗助さん(佐藤晃一さん)の意見をはこれが一番燗に合うお酒のように思えるとのお話でした。 

5.天狗舞 純米大吟醸 28BY 

Dsc_0772_3天狗舞の純米大吟醸は生酒と火入れのお酒はラベルが違っていて、生酒は青いラベルですが、火入れは白いラベルのようです。 

お酒のスペックは山田錦50%精米、日本酒度+3、酸度1.4ですが、飲んでみると酢酸イソアミル系の洋ナシのような香りがあって、口当たりははっきりとした甘みを感じるけど、中盤からちょっと膨らんできめやかな酸味を感じながら消えていくお酒でした。 

最初にはっきりした旨みを感じた後のバランスが良いので、お料理に合わせやすく、今どきの若者にとって受けるお酒ではないかなと思いました。

6.五凛  純米山田錦 28BY 

20150728blog1600x408このお酒は最初の乾杯酒として出てきました。お酒のスペックは山田錦60%精米、日本酒度+3、酸度1.8ですが、飲んでみると吟醸香は全くしないので、高温短期醸造ではないと思われます。口に含むと甘みはあまり感じないけど旨みがあり、口の中ほどまで味がのびて来るので、酸味はあるけど意外と強く感じないバランスのお酒で、飲みつかれしないお酒のように感じました。 

実はこのお酒の写真を現場で撮りそこなったので、インターネットからお借りしたのですが、どうもこの写真はちょっと違ったお酒のようで、瓶の肩にラベルがついている五凛純米生酒 ドンブレンドのお酒の写真でした。 

ドンブレンドとは35%精米の純米大吟醸を7%、45%精米の純米大吟醸を28%、65%精米の純米を65%でブレンドしたお酒のようです。それでいて1升瓶で税抜きで3000円で出したようでこれは呑んでみたかったですね

7.天狗舞 山廃純米 25BY
8.天狗舞 山廃純米 26BY
 

天狗Dsc_0759_2舞山廃純米原酒は車多酒造の定番のお酒なので、比較的手に入りやすいお酒ですが、生酒の25BYや26BYを飲むチャンスはあまりないと思います。表のラベルでは25BYか26BYかはわかりません。 

お酒のスペックは五百万石60%精米、日本酒度+4、酸度2.2、アルコール度数18度ですが、飲んでみると熟成の香りはするけど、そんなに強くはないけど、角が取れたとろみのある旨みが口の中で厚みはあるけど意外にフラットに広がってきて、その後消えていくお酒でした。純米大吟醸の山廃とは酸度がだいぶ違うの、同じ山廃でも造りはだいぶ違うのではないかな。 

香は熟成よりは穀物的な香りのような気がしましたが、これが山廃生酒の熟成の香りの特徴のようです。 

僕にとっては25BYも26BYも大きな差は感じなかったけれど、28BYとの差はみてみたかったです。 

<終わりに>

この日はこの会に参加されていたフルネットの中野社長の誕生日の前の日なので、誕生日祝いのケーキが出されました。中野社長がそのケーキを家に持ち帰って夫婦で食べたいということで、この後すぐにお帰りになりました。

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最後に平塚さんが撮った写真を載せておきます。真ん中の女性は中野さんの72歳を逆にした27歳のお嬢様で、この偶然を中野さんは喜んでおられました。僕の笑顔が良いですね。かなり酔っていますね・・・・

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2015年8月19日 (水)

新政の2015領布会のお酒の飲み比べ

佐藤祐輔さんが蔵に戻ってから、新政のお酒の領布会はリニューアルして、毎年色々なテーマを決めて造ったお酒を配布して来ました。今年は素晴らしき酒米の世界Ⅱと称して秋田県産の酒米の違いをに飲み比べるためのお酒が領布されました。具体的には以下の通りです。いずれも精米歩合は60%、アルコール度数15%、6号酵母使用、1回火入れの条件のお酒です。 

4月:第一回 ①改良信交 ②美山錦
5月:第二回 ③亀の尾   ④美郷錦
6月:第三回 ⑤吟の精   ⑥酒こまち
 

今回どうして素晴らしき酒米の世界Ⅱと称しているのでしょうか。実は、2010年に素晴らしき酒米の世界と称して秋田県の酒米のお酒を領布しているからです。これについては祐輔さんはなんのコメントも出していないようですが、僕は2番煎じだとは思っていません。ここ数年酒造りの色々な技術アップのための試験を重ねて、2010年の時より安定した造りができるようになったので、本当の米の味の差がどのくらいあるのかを調べるために企画したものと想像しています。 

さて、領布会のお酒もすべて手に入り、いよいよ試飲しようと思ったのですが、一人では客観的評価ができないので、8月のお盆の時に日本酒の仲間5人を呼んで試飲をすることにしました。とは言っても、お酒の利き酒については全員素人なので、どうしようと思っていた時に、良いセミナーを見つけました。 

それは新政の米違いのお酒を比較テイスティングするセミナーです。それはインフィニット酒スクールの代表で講師の菅田ゆうさんが企画するセミナーでした。この酒スクールは酒類専門知識を提供するお酒の学校です。特にワイン、日本酒、焼酎、チーズを専門分野としており、小規模人数のマンツーマンの教育をするのが特徴のようで、それでも今回のような企画は珍しいそうです。 

僕は菅田ゆうさんが開催したセミナーに1回参加して、菅田さん実力は知っていましたので、すぐ参加を申し込みました。菅田さんのことを知りたい人はその時のことをブログに書きましたので見てください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/cat22308740/index.html

セミナーが行われたのは7月29日の水曜日の14時にインフィニット酒スクールの事務所で行われました。場所は日本橋横山町3-4-303にあります。ここは衣料問屋街で有名な馬喰横山駅から歩いて1分のところにありました。普通のビルの中にある事務所でしたので、最初は見つけるのにちょっと戸惑いました。 

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このコンクリート造りのビルの3階でした。事務所は冷蔵庫を気にしなければ普通の小さな事務所で、最大詰めても10人が限度の部屋ですが、この日は平日の昼間なので、2人だけの参加でした。 

初めにセミナーの時の菅田ゆうさんの写真をお見せします。カメラはニコンの1眼レフのD5200ですが、カメラのの設定がおかしく、カラースケッチモードの写真となってしまいました。でもなんとなくわかるかな。かわいく映っていますね。 

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では早速セミナーの内容を紹介しますが、まずは日本酒の香りや味の基となっている基礎知識を教わりました。それを示した図を下記に示します 

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<酵母が造る成分について> 

お米はの成分は主にデンプンであり、そのほか たんぱく質脂質があり、これが酵母の力でアルコールや香り成分や旨味成分や雑味成分になるので、お酒にする前のお米の状態や特徴を知っておくことが重要だそうです。 

まず、デンプンは麹の酵素の力で糖分となりこれが酵母によりエチルアルコールとなると同時にアセトアルデヒドや各種の酸(乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸など)を造るようであるが酵母によってできるものが違うようである。特にカプロン酸生産性酵母を使うと熟したリンゴやメロンの香りのあるカプロン酸エチルが多くできるようです。 

たんぱく質はアミノ酸の集合体なので、酵母によってアミノ酸から高級アルコールをつくり、特にイソアミルアルコールからバナナ香のある酢酸イソアミルセメダイン臭のある酢酸エチルができるようです。タンパク質は精米すると少しずつなくなるようであるが、零にはならないそうです。だからイソアミル系の香りを造る成分は精米すればするほど減って来るはずです。 

脂質は脂肪酸となって油臭のある各種脂肪酸エステルを造るので雑味の成分となるが、精米するとどんどん減少し、50%精米でほとんどゼロになるようです。だから吟醸酒では雑味がなくなり、綺麗になるのですね。 

<主な酵母と香りの関係> 

現在の全国新酒管評会で評価されているカプロン酸エチルを多く出す酵母は9号酵母、18号酵母、CEL酵母などであるが、18号酵母は特にその性質が強い。逆に出しにくい酵母は14号酵母や6号酵や静岡酵母があるようです。どの酵母も酢酸イソアミルとカプロン酸エチルは造るようなので、酢酸イソアミルの香りを生かすお酒を造りたいときはカプロン酸エチルを抑える酵母を使わないといけないようです。 

最近は香りの高い10号酵母も人気があるようですが、この酵母はカプロン酸エチルを多く出す酵母のようですが、酢酸イソアミルのバランスが良いのかも知れません。 

<今回のお米の特徴> 

・ 改良信交

  改良信交と美山錦はどちらもたかね錦(信交190号)を親とするもので、改良信交は2次選抜によって秋田県で品質改良されて昭和34年に生まれたお米です。その後秋田県の高級酒用としてもてはやされたけど、後年栽培特性の良い美山錦が登場したため、一時消滅したようです。幸い茎が太いことからわらじ原料として山形県で栽培されていたのです。お酒の味わいとしてはまろやかで味わいがあることから、酒米として見直され、秋田県では新政だけが使用しているそうです。心白が小さく硬めのお米です。 

・ 美山錦

 美山錦は改良信交と同じく たかね錦を親としているが、長野県の農業試験所で放射線照射を行い突然異変を誘発して得られた品種です。寒さに強く栽培特性が良かったので、関東、北陸、東北に瞬く間に広がったようです。なめらかでシャープな切れ味のある味わいがあり、渋みを感じさせる成分が多いのでフレッシュ感も出るようです 

・ 亀の尾

 亀の尾は昔、日本の優良三大品種と言われた米で、食べてもお酒を造っても美味しいお米で、当時は飯米、酒米の区別なく扱われたいました。でも背が高く倒伏しやすく収量も少ないので、使われなくなってきましたが、酒米としての魅力のあるお米のようです。米は硬く溶けにくいけど、うまく作るとボディがあってふくらみの出る米と言われています。 

・ 美郷錦

 美郷錦は山田錦と美山錦を親にした酒米で、秋田県で開発したものです。美山錦よりは倒伏性が悪く、収量も少ないが、心白発現率は高くたんぱく質が少ないので、吟醸向きといわれています。造り手により大きく変わるコメのようですが、味わいは上品でバランスの良いお酒ができるようです 

・ 吟の精

 吟の精は美山錦に代わる酒造好適米として秋田県が開発したお米で、美山錦より大粒で心白発現率が低く、硬いので高精米が可能な米です。秋田酒こまちの出現で栽培が減少したが、近年、麹米に向いていることで再評価されつつあります。米が溶けにくいので酵素力を強くして溶かさなくてはいけないので、どうしても雑味の多い酒になるようです。 

・ 秋田酒こまち

 秋田酒こまちは吟の精に代わるお米として平成14にデビューした米ですが、タンパク含有量が少ないのでアミノ酸が少なく、雑味となる成分も少ないので、綺麗なお酒ができるようです。やや味が単調になるきらいがあるので、麹米を吟の精や山田錦を使う蔵も多くなっていますが、将来性のある米です 

<初心者向けの試飲の仕方> 

・ 香りを比較するためには12℃以上でやること。それ以下では差がわかりにくい  

・ 20℃以上になると乳酸香とアルコール臭が強くなるので、試飲は12℃~20℃が最適 

・ 口に含んだ2-3秒で感じるアタックとのど越しや飲み終わって感じるアフターに気を配ってやると特徴がつかみやすい 

以上を勉強してから試飲をしましたが、なかなか難しかったです。その時のお酒の写真ですが、同じくカラースケッチモードになってしまいました。 

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これではわかりにくいので、我が家で行った時の写真を載せておきます 

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色を見ていただければ、同じ順番に並んでいるのがわかるでしょう。僕の酒の印象を述べておきます 

1.改良信交 それほど旨味は出ていないけど、アフターに余韻がある 

2.美山錦  シャープでドライな気がするけどバランスはいい 

3.亀の尾  改良信交と同じようなバランスだけどちょっと力があるかな 

  全体に上品な味わいで、バランスが良い

5.吟の精  旨味はあるけど後味の雑味がきになる 

6.秋田酒こまち 綺麗だけど、少し物足りない

なにかわりとまともなコメントをしているようですが、事前にお米の特徴を聞いていたのでそれに引っ張られたコメントになったようです。でもお米の差による味の差はとても微妙で、ブラインドで飲んでお米を当てることはほとんどできませんでした。

でも全体として僕が個人的に好きだったのは美郷錦、嫌いだったのが吟の精でしたので、これだけなら当たるかもしれません。

最後にお盆ときに我が家で集まったメンバーです。皆僕より30歳以上若いメンバーです。

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でもだれも6種類のお米違いを言葉で表現できる人はいませんでした。確かに飲んでみると差は感覚ではわかるのですが、違いを的確に表現するのは難しいです。それくらいお米の差は微妙な差だということがわかりました。

菅田先生のコメントを纏めたのをご披露しますので参考にしてください。

1.改良信交 アタックはふくらみがあって酸味も感じるけど、亀の尾より軽い味わいである。そしてアフターに残り感がある

2.美山錦  すっきりとしていて、シャープさがあり、アフターに渋みを感じる

3.亀の  アタックが膨らみ、全体にもふくらみはあるが飛び出すところがない

4.美郷錦 すごく優しく、ふわっと膨らんで上品な柔らかいうまみがある 

5.吟の精  アタックは強め、アフターに残り感が強く、特徴のあるお酒である

6.秋田酒こまち フィニッシュが軽く透明感がある

以上で新政今年の領布会のお酒の飲み比べの感想は終わりますが、米の差だけでどのように変わるかを舌で確認することは大変難しいことがわかりました。酵母を変えた場合は香りに差が出るので、酵母の差を確認するのはわかりやすいけど、その中でお米の差をみるのはもっと難しいのではと思いました。

僕は雄町が好きなので良く飲みますが、造り手によって大幅に味が変わることはしばしば経験しました。お米の特徴を生かした造りをしてその味を楽しむのもいいと思いました。

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2014年9月25日 (木)

第2回亀の尾のお酒を楽しむ会

8月29日に大塚のきの字で第2回亀の尾のお酒を楽しむ会が開かれました。この会は大潟村の亀の尾の栽培農家として有名な鈴木秀則さんと利き酒師の兵道俊美さんがコラボレーションして開催された2回目の会です。前回は2年前に同じきの字で開催されましたが、その時のことは下記のブログに書いてありますので良かったらご覧ください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/in-1112.html

亀の尾と鈴木秀則さんの関係はこのブログに詳しく書いてありますので、今回は簡単に触れておきます。亀の尾は明治時代に山形県庄内地方の阿部亀治さんが発見・開発した品種で、寒さに強いお米として大正時代には東日本に広く栽培されていましたが、病気に弱いとか倒れやすいとか収穫量が少ないなどの理由で昭和40年代にはほとんど栽培されなくなりました。 

その後新潟の久須美酒造や山形県の鯉川酒造が亀の尾を酒米として復活させて有名になりましたが、不思議なことに醸造用玄米としては認定されていません。亀の尾はもともと食料用のお米なので、水稲うるち玄米として平成21年に亀の尾4号が認定されたのが初めてのようです。この認定を取ったのが鈴木秀則さんです。これには大変苦労があったようですが、専門的になりますので、省略します。下に鈴木さんのお写真を載せておきます。

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ですから、日本の醸造用の亀の尾には正式認定を受けた大潟村の亀の尾と、この亀の尾の種をもらって育った亀の尾と、昔からある亀の尾の3種類があることになります。鈴木さんのお話によると、大潟村の亀の尾は他の亀の尾より溶けやすく旨みが出やすいそうです。また亀の尾は寒さに強いお米として評価されていますが、実際は九州でも栽培されていますので、暑い地方でも栽培可能とのことでした。 

前回は大潟村の亀の尾だけでなく、この亀の尾の種からもらって育てた亀の尾と、昔からある亀の尾から作ったお酒も選定していただき飲みましたが、今回はほとんど大潟村の亀の尾で作ったお酒を選定したそうです。飲んだお酒をその順番で紹介します。今回は番外として美郷錦のお酒も入っています。

<亀の尾編>

1.阿櫻 無ろ過生原酒 にごり 等外普通酒 

2.仙禽 鑑評会出品酒 斗瓶囲い 19%精米 

3.仙禽 鑑評会出品酒 あらばしり 19%精米 

4.仙禽 鑑評会出品酒 19%精米 

5.くどき上手 純米大吟醸 生 精米度33% 

6.くどき上手 純米大吟醸 亀仙人 生 精米度45% 

7.ばくれん 吟醸 生 精米度55% 

8.まんさくの花 亀寿 純米大吟醸 無ろ過生 精米度48% 

9.蓬莱 純米吟醸 生 精米度55% 

10.豊盃 純米吟醸 生 精米度55% 

11.流輝 精米度60% 

<番外編

12.天明 中取り5号 美郷錦 精米度47% 

13.福禄寿 大潟村50周年記念 美郷錦 

14.竜の涙 純米 美郷錦 精米度60%

それでは飲んだ印象を簡単にご紹介します。

1.阿櫻 無ろ過生原酒 にごり 等外普通酒

Dsc_0553特定名称酒は三等以上の米を使用する事と麹使用割合が15%以上である事が条件付けされていますが、このお酒は亀の尾60%精米のお米を使っていますが、3等米の他に、3等米以下のお米を振いにかけて、そのうち大きいものを使用したので、純米酒とは言えずに普通酒となってしまったのです。きっとお米が足りなかったせいではないかと思われます。 

それでも亀の尾らしさがあるかと期待して呑みましたが、澱がかなり入っていましたので、オリの味が強くて亀の尾のお酒かどうかは良くわかりませんでした。 

亀の尾の本来の味を楽しむのなら、火入れの方が良いと僕は思いました。

2.仙禽 鑑評会出品酒 斗瓶囲い 19%精米

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仙禽の鑑評会出品酒は表のラベルは金と銀の鶴がペアになった非常に豪華なもので、裏に酒質が書かれていますが、全国鑑評会出品酒で亀の尾19%精米、斗瓶囲い、木桶仕込みと書いてあるだけでした。

仙禽は従来から栃木県産の亀の尾19%精米、木桶仕込みで全国新酒鑑評会に出品するんだという強い気持ちでチャレンジしていましたが、2011年に22BYで見事金賞を受賞しました。その仙禽が25BYは栃木の亀の尾が足りなくて、1年限りということで鈴木さんのお米で造ったようです。

鈴木さんの亀の尾はやはり他の亀の尾より溶けが良く、味が乗り易かったとの評価のようでしたが、味わいはどうだったのでしょうか。流石19%精米だけに、味のきれいさは感じましたが、綺麗さの中にしかっり旨みを感じるバランスの良いお酒でした。鈴木さんのお話では旨みが出すぎて金賞が取れなかったのかもと言われていました。

3.仙禽 鑑評会出品酒 あらばしり 4.鑑評会出品酒

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左のお酒があらばしりで右のお酒は説明はないので、あらばしり以外で且つ斗瓶取りを除いたほかの部分の酒だと思います。きっとロットは同じものではないかな。あらばしりは澱が入っていて白く濁っているだけでなく、炭酸ガスが残っていて、かなりシワシワ感があって、斗瓶取りとは別物でした。3番目の大吟醸は斗瓶囲いで感じた最初の旨みが減っているので、相対的に酸味が強く感じられました。

飲むのだったら斗瓶囲いがお勧めです。価格は箱なしが8680円(消費税込み)です。一度は飲んでみる価値はあると思います。

5.くどき上手 純米大吟醸 生 精米度33%

Dsc_0565_2くどき上手の春の限定版でM310・小川酵母を使った亀の尾33%精米の純米大吟醸です。変則2段仕込みの亀仙人比べて通常の造りのお酒です。 

口に含んだ時の旨みは、仙禽より軽めで、すがすがしい旨みですが、香りは抑え気味で全体のバランスが良く後味の切れもよく、適度な余韻もあります。全体的にはスリムだけど、ボディがあるというイメージでした。 

驚きなのはこの価格で1升瓶で4320円ですからお買い得と言えます。

6.くどき上手 純米大吟醸 亀仙人 生 精米度45%

Dsc_0567亀の尾の旨みを引き出すために、変則2段仕込みという失敗するととんでもないお酒になる可能性のある少しリスクの高い造りをしているお酒で、くどき上手の定番のお酒です。 

香りはカプロン酸系の軽い香りがしますが、そんなに強くありません。口に含んだとたんに旨みがパッと膨らむけど、さっと消えていくバランスのお酒でした。すっきりした後味が特徴です。33%の亀の尾とは全く違います。 

どちらが好きかは好みの問題で、価格は33%の亀の尾の同じ1升4320円ですから呑み比べると良いと思います。

  

7.ばくれん 吟醸 生 精米度55%

Dsc_0569ばくれんは亀の井酒造が作った超辛口のお酒です。ラベルは女性がお酒を飲んでいる姿が特徴です。ばくれんとはすれっからしの女とか親の言うことを聞かない女いう意味がりますが、どうしてそんな名前をつけたのでしょうか。

一度だけ今井社長に聞いた覚えがあるのですが、超辛口のお酒を作った時に最初はとても飲めないお酒だったので、1年ぐらいほかっておいたら、凄く良いお酒になったとのこと。だから自分の思うようにならなかったお酒との思いがあったのではないでしょうか

ばくれんには赤ラベルと黒ラベルがあります。両方とも日本酒度は+20の超辛口ですが、赤は美山錦55%、黒が亀の尾55%なのです。

飲んでみると最初にさわやかな甘みが来て、後から少しずつ辛みを感じながら消えていくお酒で、なかなかのお酒でした。+20の辛さを感じさせないのが良いですね。

8.まんさくの花 亀寿 生     9.蓬莱 純米吟醸 生  

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まんさくの花の純米大吟醸は鈴木さんの種から作った亀の尾48%精米の無ろ過生酒です。飲んでみると、生の味は弱くて、角が取れて優しいヌルっとした旨みが広がって消えていくお酒で、ちょっとメリハリが少ないけどバランスの良いお酒でした。これが1升4190円ならいお買い得かも。 

蓬莱は岐阜県の渡邉酒造店のお酒ですが、2年前から鈴木さんの亀の尾を使用し始めて51%精米の純米吟醸を出しました。初年度は緑の瓶でしたが、今年は茶色いラベルになっています(初年度は精米度が49%だったかもしれません)。飲んでみると随分優しい味で飲みやすいのですが、僕には亀の尾らしさを感じませんでしたが、とてもやる気のある蔵のようなので、今後を期待したいです。 

10.豊盃 純米吟醸 生   11.流輝 特別純米 60% 

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豊盃は青森県の三浦酒造の亀の尾55%精米の純米吟醸生酒です。亀の尾は昔からと取り組んでいるようで、僕には亀の尾らしいお酒のように思えました。口に含むと程よい旨みの後に後味はすっきりしているなかにしっかりとした酸味を感じるお酒でした。全体的には筋の通った味わい深い酒のように思えました。

流輝(るか)は群馬県の松屋酒造のお酒です。このお酒はこの蔵の専務取締役兼杜氏の松原広幸さんが直接この会に持ってきてもらったお酒です。ですから鈴木さんの亀の尾ではなく、地元の福田農園の亀の尾60%精米の特別純米酒です。飲んでみると酸味もあっておいしいけど、鈴木さんの亀の尾の酒のバランスとはちょっと違うような気がしました。潜在能力は感じるもで今後を期待したいですね

飲んだ亀の尾のお酒はこれで終わります。番外編はすべて美郷錦のお酒です。鈴木さんは美郷錦も生産をしていて、随分力を入れているようです。鈴木さんは美郷錦の味の深さに魅了されているようです。

<番外編>

・ 福禄寿(大潟村50周年記念)   ・ 竜の涙 純米 美郷錦  

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福禄寿の美郷錦は大潟村の50周年記念として、福禄寿にお願いして造ったもののようで、一白水成のピンクラベルの美郷錦と同じ作りのお酒のようです。口に含むと流れるように旨みが広がり、明らかに亀の尾とはバランスの違うお酒でした。

竜の涙はお店のあるお客の要望で入れたお酒のようで、秋田県の那波商店のお酒です。僕は飲んだことのないお酒で近年酒が良くなったと聞いている蔵なので、期待して飲んだのですが、さらっとしてまだ味乗りがしていないような気がしました。

天明の中取り5号もありましたが、写真を取り忘れてしまいました。本来鈴木さんが天明の呑むりえの亀の尾を持ってくる予定だったのが、誤って届いたもののようでした。

最後に亀の尾と美郷錦の違いを鈴木さんに聞いてみました。非常の面白い意見でしたのでご紹介します。

の尾も美郷錦もどんな料理に対してもお酒であることをやめない唯一のお米であるのに対して、山田錦や美山錦や五百万石は甘いスイーツに出会うと水のようになってしまうそうです。亀の尾はスイーツの甘さを抑える強さがあるそうで、美郷錦はスイーツの甘さを引き立てる綺麗さを持お酒になるとのことでした。亀の尾は男酒になれるけれども、美郷錦は男酒にはなれない女酒のお酒だそうです

このご意見が正しいかどうかは僕にはわからないけど、そんな風な見方ができるのは大変面白いと思いました。

最後にこの企画をしていただいた兵頭さんのお写真をパチリ。

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左の方は流輝の松原さんだと思います。兵頭さん楽しい企画をありがとうございました。今度は美郷錦でやるのも面白いかもしれませんね。

これからもよろしくお願いいたします。

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2013年10月18日 (金)

新政の特別領布会のお酒から何が見えるか

新政では社会見学的な位置づけで毎年特別なお酒を作って飲んでいただく特別領布会を行っています。この企画は昔から行われてきたそうですが、現社長の佐藤祐輔さんが蔵に戻ってきてから、テーマを決めてやるようになったのが2008年からであり、今年はそれから6年目にあたります。その中身を下に示します。

・ 2008年は「新政物語」と称して新政酒造の歴史の解説をした
   新政の歴史がわかるラベルを付けたお酒の紹介

・ 2009年は「蔵人からの便り」と称して酒造りの各工程を理解してもらう
   各担当者に説明してもらうラベルと付けたお酒の紹

日本酒の奥の深さや多様さを理解していただくために、2010年からは少し趣向を変えています。

・ 2010年は「素晴らしき酒米の世界」と称して秋田産の酒米の飲み比べ
   酒こまち、美郷錦、深山錦、秋の精などの酒米使用のお酒の紹介

・ 2011年は「流派対決in新政」と称して製造者の流儀の違いの飲み比べ
   杜氏・鈴木隆(山内流)、副杜氏・古関弘(能登流)、佐藤祐輔(独学蔵元流)がそれぞれ淡麗/濃厚/芳醇の3タイプを作り、しかも生と火入れの差を知ってもらう

・ 2012年は「素晴らしき純米酒の世界」と称して製法の違う純米酒の飲み比べ
   珍しい作りの純米酒(微発泡純米酒、貴譲酒)、自然な作りの純米酒(白麹純米酒、山廃純米酒)、精米違いの純米酒(低精米90%の純米酒、高精米35%の純米酒)の差の紹介

こんなに色々と面白い企画が良く出来るなと思いますが、これは祐輔さんの単なる思いつきではないと思います。僕の勝手な推測ですが、その年に祐輔さんが一番関心を持っていることから出ていると思います。その状況を考えてみました。

・ 2008年 ここはまだ蔵に戻ったばかりで蔵をよく知ろう
・ 2009年 蔵の組織改革として蔵人の若手化を計る
・ 2010年 秋田産のお米に切り替えた年
・ 2011年 祐輔さんが造りに自信ができた時のチャレンジ
・ 2012年 全部純米酒に切り替える寸前だった

こういった背景があったものと思われます。では今年はどんな企画だったでしょうか。今年は「微生物の世界」と称して、お酒の工程で使われる色々な微生物(菌)の違いによるお酒の違いを飲み比べようという企画でした。日本酒の製造工程の中には微生物が使われている工程が色々あります。最初にお米を糖化するためにに使われる麹菌、雑菌を防いで安全に酒作りをするための乳酸を出す乳酸菌、最後に米の糖分からアルコールを生み出す酵母の3つがあります。これらの微生物の違いによりお酒がどのように変わるかを知ってもらうものです。

こんなユニークな企画はとても面白いと思ったので、今年の2月に池袋の升新商店に申し込み、予定通り5月には6本のお酒が手に入りました。でも、まとめて全部飲まないと感想も書けないなと思い、延び延びになっていたのですが、10月になってやっと試飲しましたので、まとめてみることにしました。お酒の味の違いをきちっと表現する自信はないけど、この企画も過去に祐輔さんが取り組んできたことから生み出されたものなので、その辺をご紹介しならが、お酒の印象を述べてみたいと思います

1.麹の世界

麹菌はお米の中の澱粉を糖化してお酒の元を作る役割を持っています。麹菌には色々ありますが、日本で使われているものとしては黒麹菌、白麹菌、黄麹菌があります。黒麹菌は沖縄の泡盛の醸造に使われていた麹菌で、クエン酸発酵が強く、もろみを比較的強い酸性に保つことができるので、雑菌の繁殖を防ぐ効果があり、気温の高い地方でのアルコール発酵に適していると言われています。白麹菌は黒麹菌から比較的クエン酸の少ない突然異変株を培養して出来た菌で、今では広く焼酎の醸造に使われています

黄麹菌は味噌、醤油、日本酒、味醂などに使われている日本に昔からある菌です。日本酒の醸造には殆どこの黄麹菌が使用されており、白麹菌は使われていませんが、新政では数年前から白麹の使用を研究してきて、最近になってやっと商品化できるようになって来たそうです。その代表的なものが「亜麻猫」で、黄麹と白麹を半々で使ったもので、酸度は2.2から2.5くらいあるそうです

今回の領布会では、

・ 白麹100%の純米酒
・ 黄麹の量を多めにした純米酒

の2種類のお酒を作ったそうです。

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左の黒っぽいラベルが白麹、右の薄黄色ラベルが黄麹です。お米は酒こまちで、酵母は当然6号酵母です。酒質を下記に示しておきます。

・ 白麹のお酒はものすごく酸っぱいお酒で、きれいなクエン酸を飲んでいる感じです。お酒を飲んでいるにもかかわらず、唾液が出るような気がしますが、後味はすっきりしています。もっと甘みがあったら面白いかも。

・ 黄麹のお酒は小さな甘みが塊のまま口の上あごの方に広がったと思ったとたんに消えてしまう感じでした。最初の旨みの中にも酸味を感じ、後味にも軽い酸味が残るけど、意外に良いバランスの味でした。

    精米度 日本酒度 酸度  アミノ酸 アルコール度
白麹  60   -15   4.7   1.1     12
黄麹  60     +1    1.7   1.3     15

2.乳酸菌の世界

酒母を作る工程において、乳酸は他の雑菌を抑えることにより酵母を安定して増殖させることができる重要な役割があることはよく知られています。その乳酸は昔は乳酸菌を使って生成していました。乳酸菌には色々なタイプがあり、どんな乳酸菌でも使えるわけではありません。お酒を腐敗させてしまうものもあるようです。酒母を作るために最適な乳酸菌を発生させる方法として「菩提酛」「生酛」「山廃酛」が昔ながらの製法として確立されています

菩提酛は室町時代に奈良県の正暦寺で生まれた日本酒の原点といわれる酒母製造法です。その特徴は生米を使うことにあります。生米には微量ながら糖化酵素を含んでいますので、生米と蒸米と水を30℃くらい温度で数日保存しておくと、微量の糖分ができます。それを餌として乳酸菌が増殖してきます。その乳酸菌を含んだ水に、麹と蒸米を加えて発酵させ、それと同時に酵母を投入し酒母を作っていく方法です

生酛は江戸時代にできた酒母の製造法です。蒸米と麹を水に入れ粥状になるまですりつぶし(山卸という)、酒母作りを始めます。最初にに硝酸還元菌が繁殖し、細菌や野生酵母を淘汰し、次に乳酸菌が繁殖するので、その時に酵母を入れるとその乳酸菌に守られて酵母が増殖するが、それによって造られたアルコールで乳酸菌が淘汰されて目的の酒母ができるというわけです

最初に行う山降ろし作業が重労働なので、その作業をやめる方法が明治時代に開発されたのが山廃酛です。生酛も山廃酛も乳酸ができた後の工程で蔵に住み着いている酵母の中でも一番生命力が強い酵母を育てて生き残すのが特徴です。そうすることにより重厚な旨みと程よい酸味があるお酒ができるのですが、酒母を作るのに1カ月くらいかかるのが欠点とされています。

それに対して現在作らてているお酒のほとんどは、乳酸菌から乳酸を作る方法ではなく、酒母を作る最初の段階で乳酸を投入して、雑菌が育成しにくい乳酸性にして酵母だけを増殖させる速醸法が使われています。これですと酒母を作る時間を半分以下にすることができます。

生酛や山廃酛では程よい乳酸を造る過程が重要ですが、この工程はかなり難しく、その上、蔵付き酵母をうまく育てるのはもっと難しいと言われています。ですから、現在使われている生酛や山廃酛では最後に酵母を添加している方法を採用している蔵が多いと思われます(このことをはっきり表明してい蔵は少ないです)。

速醸法は人工的に造った乳酸を添加するのであるから、アルコール添加をしない純米酒を志向する祐輔さんにとって、乳酸を投入する方法をやめたい気持ちが強かったのです。それで、酒母を作る最初の段階で、乳酸菌を投入する方法を研究してきました。NEXT5でパッションを造るころだと思います。でも乳酸菌を投入すれば簡単に適切な乳酸ができるわけではないことがわかったそうです。乳酸には多種多様な乳酸菌がいますので、種類によってはアルコール発酵に適さない乳酸菌がいるらしいのです

そうやって完成したのが新政流山廃酛です。具体的には適切な乳酸菌だけを培養して、それを最初に投入して、乳酸ができたころに酵母を投入してアルコール発酵させる方法です。こうしてできた山廃はすっきり系のお酒になるそうです

味わってみたいでしょう・・・・・

今回の特別領布会では菩提酛のお酒造りに初めてチャレンジして作った

・ 菩提酛の純米酒
・ 新政流を山廃酛の純米酒

を選んだそうです。どんな味かな・・・・・・・

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青いラベルのお酒が菩提酛の純米酒で、黄色いラベルのお酒が山廃酛の純米酒です

・ 菩提元の方が少し香りがたちます。香りはややセメダインぽいすうっとした香りです。口に含むと渋みと酸味を含んだ甘みを感じてから溶けるように味が広がります。後味に軽い苦みを感じますが、そんなには気になりませんね。

・ 山廃酛は香りは少なめで、口に含むと酸味を含む甘みを感じます。苦みや辛みは感じないで、きれいに消えていきます。後味に酸味を感じながら消えていきます。なかなか飲みやすいです。

      精米度 日本酒度 酸度  アミノ酸 アルコール度
菩提酛  50~90   +0   2.0   1.3     15
山廃酛  60        +1    2.3   1.3     15

3.酵母の世界

こ新政はすべてのお酒を6号酵母で行うことを宣言しました。それは祐輔さんの先代への感謝の気持ちがあるからだと思います。6号酵母は昭和5年に国税局技師により新政酒造から採取し、昭和10年に全国に協会6号酵母として販売されたのです。それまであった協会1号から5号とは遺伝子的にも全く違ったもので、吟醸酵母として初めて世に出た酵母のようです。

その後の研究で、それから出てきた協会7号、9号、10号は多くの性質が同じで区別しにくいとか、6号酵母が親株となって変異してきたものだとの説があるようです。秋田の片田舎にそのような酵母が存在したというのはすごいことです。これは5代目の佐藤卯兵衛の功績といえます。それだけに祐輔さんはこれを大切にしたい気持ちが強いのだと思います。

今夏うの特別領布会への酒はこの6号酵母にこだわったお酒になっています。

・ 協会6号の純米酒
   醸造協会から領布していただいた最新の「きょうかい6号」を用いて醸したお酒です

・ 原株6号の純米酒
   80年前の発見当時に近い保存株を東京農大より分けていただいたのが10年前で、その後一部使用していたが今回の領布のために再びこの酵母を用いて醸したお酒
です。

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橙色のラベルが「きょうかい6号」の純米酒で、水色のラベルが「原株6号」の純米酒です。

・ きょうかい6号は酸味は感じるきれいな旨みの塊が上あごへと上って行き、余韻を残して消えていきます。後味にすこし甘みを感じるところが良いです

・ 原株6号は旨みの中に酸味を感じるし、旨みの塊は感じないで、口の中で酸味を感じながら、横に広がっていく。後味にも酸味を感じながら消えていくお酒でした

       精米度 日本酒度 酸度  アミノ酸 アルコール度
協会6号  60     +1   1.6   0.9     15
原株6号  60     +3   2.1   1.0     15

上で新政の特別領布会の紹介は終わりますが、彼がこの企画を毎年行っているのは、自分が酒造りを深めていくための自分への挑戦の表れだと感じました。

これからも毎年新しい企画を立て続けてください。チャレンジです・・・・・・

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2013年1月26日 (土)

今年も恒例の極みの会が開かれた。

今年もてしごとやで極みの会が1月20日に開かれました。この会は日本酒仲間のUさんが1年かけて集めた貴重なお酒を飲む会ですが、今年で5回目になります。過去に3回ブログに書きましたので、もし関心のある方は下記に示しておきますのでクリックしてみてください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-4cb2.html(2009年)

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/2011-ea6b.html(2011年)

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/in-053b.html(2012年)

去年から池袋のてしごとやの2階の広間を貸し切っての会となっています。その広間の前のカウンター席も貸し切って、そこにお酒を並べました。

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この状態は会がオープンした時状態で、その後持ち込み分のお酒が入って、全部で23本だった気がします。これでは何か良くわからないですよね。去年は飲んだお酒を1本一本説明したが、今年はやめます。でも一応全部簡単に僕が感じた印象だけ述べることにしましたが、・・・・・・・・・・とんでもないことがわかりました。

最近は紙にメモを書かなくてICレコーダーに記録するのですが、どういうわけか、記録が撮れていませんでした。これでは感想を書けないですね。

ごめんなさい・・・・・今年はお酒のリストだけにします

今年の特徴は金賞受賞酒の多いことかな。金賞受賞酒をこれだけ集めるのは至難の業です。Uさんご苦労様でした

それではさっそく飲んだ酒をざっと紹介しましょう。

No11

左から

・ 美の川 越の雄町 雄町40% 金賞受賞酒

・ 澤乃井 梵 山田錦35% 金賞受賞酒

・ 広戸川 大吟醸 夢の香40% 金賞受賞酒

・ 開当男山 大吟醸雫酒 山田錦40% 金賞受賞酒

・ 名倉山 鑑評会出品酒 山田錦40% 金賞受賞酒 

No2

・ 燦然 大吟醸 山田錦35% 金賞受賞酒

・ 新政 160周年記念酒 純米大吟醸 改良信交40% 東北鑑評会優秀賞

・ 新政 160周年記念酒 純米大吟醸 亀の尾40% 山廃仕込み

・ 正雪 大吟醸斗瓶取り 山田錦35% 県出品酒

・ 磯自慢 大吟醸 愛山40% グラッパボトル

No3

・ 満寿泉 純米大吟醸 寿 山田錦35%

・ 酔鯨 純米大吟醸 山田錦30%

・ 大洋盛 大吟醸 越淡麗40% 平成22BY 金賞受賞酒

・ 瀬川 純米大吟醸 山田錦35% 天法酒造No4

・ 十四代 七垂二十貫 愛山40%

・ 田酒 純米大吟醸 山田錦40%

・ 万齡 純米大吟醸 山田錦38%(たった100本造ったお酒の社長の秘蔵酒で、市販されていません)

・ スーパーくどき上手 純米大吟醸 改良信交30%

・ くどき上手 純米大吟醸 凍結濃縮酒 短稈渡舟44%

No5

・ 金滴 大吟醸 吟風35% 金賞受賞酒

・ 英勲 大吟醸 PB品 祝40% 出品酒レベルの生酒

・ 喜楽長 大吟醸 山田錦40% 金賞受賞酒

以上ですが、このレベルになると美味しくないお酒はありません。でもどのお酒も甲乙つけがたい味ですが、僕の好みは美の川と燦然と満寿泉の壽でしたね。万禮はチョコレートの味のする熟成酒で印象が強かったです。

でもすべてのお酒の印象ぐらい覚えていないのでは飲んだ意味がないですね。

大反省です・・・・・・・ごめん

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2013年1月12日 (土)

Future4 のお酒の飲み比べ

Future4って知っていますか。秋田県発のNEXT5はもうすでに有名になっていますが、これとはちょっと違っていて、青森県発の新しい集団です。まだまだ知られていないような気が済ますので、僕なりにご紹介しようと思います。

Future4は青森県の4人の若手杜氏のグループを言うそうで、日本酒の魅力を青森から発信したい思いからできたグループで、以下の活動理念を持つそうです

・ 技術交流、情報交換を行いながら酒質を高める

・ 魅力のある日本酒を発信していrく

・ 新しい日本酒フアンを開拓する活動をする

つまり簡単にいえば、未来の酒造りを目指す4人衆という意味なのでFuture4なのでしょうね。その四人とは以下の人たちです。

歳の順に紹介しますが、お写真は色々なホームページから拾ったもので、個人の了解を得たものではありませんので、ここだけの閲覧としてください。

紹介内容はFuture4のパンフレットに書いてあるのもをそのまま紹介します

Photo_6 1.鳩正宗 佐藤 企(さとう たくみ) 47歳

・ 卓越した技術と経験を兼ね備えた青森県の技術指導者

・ 銘柄 「八甲田おろし」「鳩正宗」を醸する

穏やかなお顔をしていますので、お酒に味にも通じるかもしれませんね。

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Photo_32.じょっぱり 河合 貴弘(かわい たかひろ)42歳

・ 日本酒、焼酎、リキュールとバラエティあふれたアイテムを開発。酒造業界を刺激する

・ 銘柄 「じょっぱり」「龍飛」を醸する

しっかりした雰囲気をお持ちの方ですね

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Photo_4 3.田酒 細川 良浩(ほそかわ よしひろ)41歳

・ 全国的な人気銘柄を醸する「米味」表現のスペシャリストでFuture4のリーダー

・ 銘柄 「喜久泉」「田酒」を醸する

若いのに親分肌を感じますね

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Photo_54.松緑 安達 香(あだち かおる)34歳

・ 青森県最年少杜氏。新世代の日本酒を作る今注目されている技術者

・ 銘柄 「六根」「松緑」を醸する

若いのに筋を通す気持ちが見えるような気がします

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この4人が昨年4蔵が同じ酒を作って販売しました。それは下記の8つの条件を統一して造ったお酒で、違うのは仕込み水と造りのプロセスだけです。

・ 使用米 華想い(青森県産) 「山田錦」と「華吹雪」を交配して作った青森県の最新の酒造好適米

・ 精米歩合 55%

・ 酵母 青森県が開発した2つの酵母のひとつの「まほろば吟」

・ 麹菌 H-1 青森県が4年ほど前に開発した麹菌

・ アルコール度数 16度

・ 仕込み総米 750KG

・ 仕込み日  留日を11月5日で統一(販売計画上の縛り)

・ 製品の仕上げ  無濾過

このお酒は500mlで各2000本の限定販売で、2012年12月14日に一斉販売されました。僕は予約していたわけではないけど、たまたま池袋の升新商店に行ったら置いてあったので買ったというわけです。幸運でした。でも500ml4本で6300円はチョット高いな。720mlなら問題ないけどね。

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水色の紙パックに4本がおさまっていて、取り出してみるとラベルのデザインは同じで、右肩に銘柄が書いてあるだけが違いになっています。王冠は皆違っていました。こうやって造られたお酒を飲み比べたくなるのは普通の気持ちですよね。

結局僕の誕生日の1月6日の日に全部少しずつ飲んでみました。冷蔵庫に大切にしまったあったお酒ですので、冷たいままの状態で飲んだのですが、少し室温近くまで上がった状態では、味がかなり異ってきたので、両方の状態を比較してみました

でも酒の味を比較して書くのは、いささか問題かなと思いましたが、ひとりの飲み手の意見と聞いていただいて、今後の造りに生かしていただけれはうれしいと思い、敢えて書くことにしました。

味を比較する場合に飲んで特徴のあった順番に書いた方がわかりやすいので。上述の順番とは変えてご紹介します。

<松緑・斎藤酒造店>

Photo_8この蔵は桜と弘前城で有名な弘前市にある蔵で、蔵の敷地内に老松がたくさんあることから松緑(まつみどり)の名がついたそうです。

冷温では香りに酸味を感じて、口に含むと米の旨みがパット広がり消えていくけど、甘い余韻が残るのが特徴でした。余韻の甘さが奇麗に伸びていったのはこの酒だけでしたね

温度を上げると、余韻は少なくなりフラットぎみになるけど、冷温のときの特徴は残っていて、旨みの膨らみの部分は小ぶりに感じるけど、メリハリのあるお酒として楽しめました。でも僕は冷温の方が好きでした。

<田酒・西田酒造店>

Photo_9この蔵は青森市にある唯一の蔵で、昔からアルコール添加した喜久泉の酒を出しており、この名前で出品酒を出して数々の賞を取っています。昭和49年から純米酒にこだわったお酒として田酒が作られるようになり、今では全国的に著名な蔵となっています

冷温では松緑に通じた香りと膨らみを感じたけど、余韻はそれほど長くなく、甘みより少し辛さを感じるものでした。飲み終わった時鼻に抜ける香りに変な香りを感じるのは僕だけかな。

温度が上がると、膨らみが立って余韻も適度にあり、良くなるけど最後に冷温のときと同じ変な香りが残っているのは気になります。たぶんこれは今年だけの香りではないかな?

<鳩正宗>

Photo_10この蔵は十和田市にあり、4つの蔵の中では一番東にあります。近くを流れる稲生川にちなんで稲生正宗の銘柄で酒を作っていましたが、昭和の初めころ白い鳩が蔵に住みついたことから、鳩正宗に名前を変えたそうです

冷温で飲むと香りに酸味を感じないし、米の旨みもあまり出ていないし、後味に渋みを感じるちょっと物足りない酒でした。総じてフラットなバランスで、その中に辛みを感じるお酒でした。

温度が上がると柔らかさが出てきて、辛みも消えてくるので、一層フラットなバランスの良さが出てきます。膨らみも強いわけでないけど、つい飲みたくなるような大人のお酒に変身しました。この酒は常温が良いな。

<じょっぱり・六花酒造>

Photo_11この蔵も弘前にある蔵ですが、焼酎やリキュールも造っている東北では珍しい蔵です。じょっぱりは津軽弁で意地っ張りという意味で、青森お酒は濃淳で甘いお酒が多い中で淡麗辛口の味にこだわった造りをしている蔵のようです。

冷温で飲むと香りはあまりないが独特の旨みがあるけど、甘みがチョット堅い感じで、余韻は味よりも透明度を感じるもので、短めでした。

温度をあげても大きな変化はなく、膨らみは小ぶりで、若干の辛みを感じるので、全体的にシャープさを感じるお酒で、他の3つとはバランスが異なるような気がしました

以上僕の感想を述べましたが、僕は利き酒師ではないし、味のプロでもないので絶対的な評価には使わないでもらいたいです。素直に僕が感じたままを書いたつもりですが、同じように造ってもこれだけお酒の味が違うのですから、酒造りは面白いですよね

どのお酒が好きかは好みの問題ですから、気にしないでもらいたいけど、僕の好みを言えば全体的には1番好きなのが松緑、2番が常温の鳩正宗、田酒は酒質は良いと思うけど最後の香りが気になるところ、じょっぱりは僕のタイプではなかったjけど、いかにも淡麗辛口なので好きな人は多いかもれませんね。

来年度はどんな形になるのか、NEXT5と比較して見守りたいですね……

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2012年9月 2日 (日)

亀の尾のお酒だけを飲める会 in きの字

8月25日の土曜日に大塚のきの字で亀の尾のお酒だけが楽しめる「亀の尾の会」が開かれました。この企画は酒匠で彩醸の会の事務局長をしている兵道俊美さんが、大潟村で亀の尾を栽培している鈴木秀則さんとのコラボレーションしてできた企画です鈴木さんのお話ではこの企画が持ち上がってから実施できるようになるのに1年かかったそうです。それだけ亀の尾のお酒を集めるのが大変だったのでしょうね。

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この方が兵道さんです。酒匠、日本酒学講師として日本酒を皆様にわかりやすくお伝えるるメッセンジャー役を目指しているそうで、最近は埼玉県のお地酒のPRに力を入れているようです。この様な企画はとても良いと思います。僕は行ったことがないけど、以前亀の尾サミットがあったようですが。

きの字の入口には亀の尾の会の看板があり、店内には亀の尾の会、亀の尾を仕込んだ酒を呑み、亀の尾を食べる会と書いてあります。これは楽しみですよね。最近では珍しい会だと思います。

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お酒を紹介する前にやはり亀の尾というお米を紹介しなくてはいけませんよね。調べてみると深い歴史があることがわかりました。

亀の尾は山形県庄内地方の阿部亀治さんが明治の半ばごろ、冷害に強いお米として開発した品種で、冷害や病気に強く収量も上がるということから噂を聞いて訪ねてくる百姓にこの種もみを無償で分け与えたそうです。そのおかげで大正14年には東北地方や北陸地方を中心に19万ヘクタールに作付され、当時の代表的な品種となったお米です

その後公立研究機関で純系分離法で「亀の尾1号」や「亀の尾4号」などが育成され、これから生まれた陸羽132号を通じてササニシキやコシシヒカリなど多くの品種に受け継がれたようです。

育成当時としては冷害に強い品種としてもてはやされたが、害虫に弱いとか化学肥料を使うと割れやすくなるなどの欠点があり、次第に栽培されなくなり、昭和40年代にはほとんどなくなったようです

その後新潟の久須美酒造の久須美さんが昔亀の尾で造ったお酒が素晴らしかったという話を聞いて、新潟の農業試験所から種子を譲り受け栽培を続けた結果、昭和58年に醸造に足りる収穫ができたので、亀の尾を原料としたお酒「亀の翁」が生まれたようです。

ちょうど同じころ山形県の余目町の鯉川酒造でも亀の尾の復活を目指していました。阿部亀治のひこ孫であった阿部喜一が保有していたわずかな種もみを譲り受け、試験栽培から始めて4年かかって、久須美酒造の亀の翁ができた翌年に亀の尾の酒ができたようです

亀の尾のお米は粒がが大きめなので、吟醸酒や大吟醸酒を作るのに向いていることも幸いして各地で造られるようになってきていますが、不思議なことがあります

お米の品種銘柄は農産物検査法に基づいて農林水産省が指定しています。醸造用のお米については醸造用玄米として毎年見直されています。最近出た新潟の越淡麗は平成17年には設定されていますが、亀の尾は今まで一度も認定されていません。

亀の尾はもともと食料用のお米なので、水稲うるち玄米として表記されているかを調べてみますと平成21年に秋田県の亀の尾4号が表記されたのが初めてのようです。この亀の尾こそが鈴木秀則さんが造ったお米なのです。鈴木さんのお話では17年もの長い間、申請続けた結果やっと認定されたのが「亀の尾4号」だそうです。

実際には新潟でも山形でも亀の尾のお米が栽培されていることは事実のようですが、法律上正式に亀の尾を表示できるのは大潟村の亀の尾だけといえます。今回亀の尾の会で呑めるお酒は必ずしも大潟村の亀の尾ではなく、大潟村の種から栽培しているものもあるようですが、これも厳密には生産した県の認定がいるので、亀の尾とは言えないわけです。しかし、亀の尾の認定を受けるためには大変な壁があるようで、鈴木さん以外は未だ認定を受けていないようです。これからは僕の推測ですが、食料用とする場合は表示が厳しいけど、醸造用はあまり厳密にしていないような気がします。調べてみると原料米品種名の記載は任意記載事項なので罰則はないのかもしれません。

硬い話はこれくらいにしましょう。

まず鈴木さんを紹介します。

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鈴木さんは大潟村で専業農家をやっており、米造りのほかには大豆、鶏、イチゴジャムなど幅広く取り組んでいますが、お金になるのは米造りだけだそうです。今回試飲するお酒はほとんど鈴木さんが集めたものと思われます。

試飲した写真をざっとお見せします。

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これではわからないですね。わかる範囲で1本1本紹介します

Dscn2177このお酒は兵庫県姫路の田中酒造の亀の甲 寿亀神韻で、 8%精米の純米大吟醸です。田中酒造で栽培した亀の尾では10%以下に精米できなかったので、鈴木さんのお米を使ったようです。ここまで来ると田中酒造の趣味の世界かもしれません。

8%も磨けるのは山田錦以外では亀の尾だけでのようですね。

とても奇麗な甘みがあり、まろやかでつるりとした味わいのあるお酒で、8%も磨いてもちゃんと味わいのあるお酒でしたが、4合瓶で10500円だそうですが、とても採算が取れる値段ではないそうです。手に入れた人はお買い得かもしれません。

Dscn21881 このお酒は青森県弘前市にある三浦酒造の純米吟醸の豊盃です。これは鈴木さんの亀の尾をつかっています。

なめらかな口当たりに深みのある味わい、ほどよい甘みの裏にしっかりした酸味があり、バランスの良いお酒に仕上がっていました

いかにも亀の尾という感じといえるかもしれません。

このお酒は温度が上がってもあまりバランスは変わらず、よりソフトになりさんが消えてきました。温度が上がった豊盃もいいですね

Dscn21871このお酒は秋田県五城目にある福禄寿酒造の一白水成の純米酒22BYです

このお米も大潟村の亀の尾を使っていますが、鈴木さんのお話だと大潟村の亀の尾としてはこれが最後のお酒とのことです。どういう意味かはわかりませんが、もう鈴木さんのお米は使わないという意味ですかね。

このお酒は通常冷やおろしで販売されていますが、今回のお酒は22BYの熟成酒です。とても22BYとは思えないほどのフレッシュさがあったけど、口に含んでもすぐには旨みが広がらず、弱い酸味だけを感じましたので、温度を上げてから飲んでみたらずっと味が膨らんできました。でもちょっとパワー不足かな。

Dscn21861このお酒は秋田県横手市増田町にあるまんさくの花で有名な日の丸酒造の純米大吟醸 亀寿生ですこれは鈴木さんの亀の尾ではないそうです。

日の丸酒造は地元米を使うとことを大切にしているので、地元の契約米の亀の尾を使っていることは確かでしょうすが、昔は鈴木さんの種もみからのお米を使っていても、今では特定しにくいようですね

少し生塾ぽい味はするけど、バランスの良いお酒ですが、美味しいけど、特徴が少ない感じでした。後味のきれがほしいところです。亀の尾にしてはチョット酸が少ないように思えました

Dscn21851このお酒は秋田県横手市平賀町にある浅舞酒造の天の戸の純米吟醸 天亀生。地元の契約米の亀の尾を使っていますが、鈴木さんの話では出所を教えて蔵なかったので、亀の尾かどうかもわからないそうです。鈴木さんは非常に厳密な人ですね。

味は結構柔らかく酸味がほどほどあるけど、旨みも抑え気味でまろやかで軽やかなお酒でした。温度を上げてもそんなにバランスは変わりませんでした。僕は好きなタイプです

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Dscn21821このお酒は山形県余目にある鯉川酒造の純米大吟醸生原酒 亀治好日です鯉川酒造は亀の尾発祥の地で、今でも地元で亀の尾を作っていますが、山形県が亀の尾と認定していないので、厳密には亀の尾と言えないようです。でも庄内町産米「亀の尾」100%使用と書いてあります。きっと罰則はないものと思われます。

このお酒もパット旨みが広がると同時に後味として酸味と渋みがあり全体的には締った感じがするけど、生塾のヒネ香が感じるのはいただけません。これも温度管理の問題でしょうか。香り以外は酒質の良さは感じるので勿体ない気がします。

Dscn21831 このお酒は山形県酒田市の酒田酒造の上喜元 純米吟醸です種は大潟村の亀の尾ですが、山形県で栽培されているので、鈴木さんの話では正式には亀の尾とは言えないようです。

このお酒は甘みがきれいだしお気に広がった時の後味がいいです。旨みの後ろに酸味はあり、それが全体的なシャープさとなっていて、切れも良くなっています。今日飲んだ中では一押しかもしれません。

でも温度が上がってから呑んでみると、シャープさがなくなり酸もたってきて、同じお酒とは言えないようなボケを感じました。このお酒は冷やして飲むのが最高です。だからお酒は難しい

Dscn21841 このお酒は秋田県湯沢にある木村酒造の純米酒 角右衛門の生です木村酒造はナショナル物産の関連会社として酒造りをしていますが、福小町の銘柄が有名ですね。ここの亀の尾は種は大潟村の亀の尾ですが、地場で栽培したものです

非常にソフトな味のお酒ですが、そつなく造ったお酒という感じで特徴が少ない感じがしました。優しいお酒なので、万人受けするお酒かもしれません。

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Dscn21811このお酒は山形県鶴岡市羽黒町にある亀の井酒造の純米大吟醸の亀の尾です大潟村の亀の尾を33%まで精米したものですから、鈴木さんのところのお米です。

しっかりとした甘みを感じるいかにもくどき上手のお酒ですが、あまり酸味を感じないので、亀の尾のお酒かなと思ってしまいます。今井さんの手にかかるとどんなお米も今井流に手なずけて、あるパターンの美味しいお酒に変えてしまう技を感じます。

でもこのお酒もしばらく飲んでいると弱い酸味と渋みを感じるようになるので、この辺が面白いかな。どうせなら大潟村の亀の尾を使った亀仙人を飲みたかったな。

Dscn21801このお酒は福島県の会津板下にある曙酒造の純米吟醸生のお酒ですここの米は会津産の亀の尾と表示していますが、大潟村の亀の尾に間違いないそうです。どういうことなのでしょうか・・・深くは追求しません。

このお酒は高瀬斉さんがやっている「呑むりえ会」用のお酒でしたが、東日本大震災でどこに行ったか一時的にわからなくなったお酒が見つかって出てきたもののようです

純米吟醸生で1年半寝かせてしまったお酒ですが、お酒も少しにごっているし、僕には熟成香が強くて 合わなかったですね。でもお燗すると熟成香があまり強く出てこなくて、呑みやすいお酒になっていました。きっと酒質の高いお酒だったと思います。

僕は天明の純米酒の亀の尾を呑みたかったな。

Dscn21791 この酒は島根県温泉津村の若林酒造の純米無ろ過生原酒 亀五郎ですこの蔵には昔から大潟村の種が行っていて、ほとんど鈴木さんの亀の尾と言っていいお米だそうです。でも正確には産地が違うので亀の尾とは言えないのでしょうね

結構酸味は感じるし、旨みとのバランスはいいけど、ちょっとチクチクとした感じがするのはどうしてでしょうか。弱い熟成香を感じて飲んだ後に口の中に広がってくるけど、この熟成香は生塾の香りだと思います。氷温で管理していないのではと思います。新鮮なお酒を飲みたかった。残念です・・・・・

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Dscn21781このお酒は熊本県内14店舗の酒販店が『地元・熊本でも他県に負けない旨い日本酒が製造され、その地元の旨い酒を売りたい』との想いで発足「くまもと酒文化の会」が出しているお酒です。その願いを千代の園酒造が受け、14販売店と協力して生産、販売しているのがPB商品「泰斗」(たいと)です

緩やかなうまみと酸を感じるけど、酸味の後味がいいね。微発泡ではないけどピリピリ感があって、今回飲んだお酒の中では面白いお酒です。若い人向きかな・・・

これで写真を撮ったお酒の紹介は終わりますが、このほかにもにごり酒として二つのお酒が出されました。

・ 能代の菊水酒造 亀の舞 純米吟醸笹にごり

 

・ 横手の阿櫻酒造 水と米こうじだけの普通酒生濁り

にごりのお酒はオリの味が強くて、お酒としての評価が難しいので、この2本の説明は省略します。

最後に鈴木さんから今年の亀の尾の出来は一昨年に近い高温が続いたので、刈り取ってみないとわからないとの説明がありました。チョット心配な年になりそうな感じもします。

今回の亀の尾の会で色々な亀の尾のお酒を飲めたのは、とてもよかったと思うけど、僕ら酒飲みにとっては、鈴木さんの亀の尾かどうかが大切なのではなくて、原料米品種名を記載してあるお酒はその蔵を信用して亀の尾の酒と考えて色々集めてもらいたかったと思います。

とはいっても鈴木さんが努力して食料米として亀の尾を認定したのは凄いと思いますが、これだけ各地で亀の尾が栽培されているにもかかわらず、醸造用玄米の産地品種銘柄一覧に亀の尾がないのは、農水省側に問題があるように思われます。亀の尾と認定するための敷居をもっと下げるべきだと思います。そんな印象を持ちました・・・・・・

兵道さんご苦労様でした。また頑張って企画してください。

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2012年1月19日 (木)

極みの会 in てしごとや

毎年1月にやっている極みの会が今年も1月15日の日曜日に池袋のてしごとやで開かれました。この会は友人のUさんがじっくり買いこんでいた特別のお酒を仲間と一緒に飲む会です。とても手に入らないような高いお酒ばかりなので、、会費は12000円とちょっと高いですが、これだけ飲めれば文句ないです。

いつもは毎年酒菜家でやるのですが、今年はてしごとやの2階で行われました。下の写真のようなカウンターの手前が座敷になっていてそこに16人ほど集まりました

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会の前にこれから飲むお酒がずらりと並んでしますね。もうちょっとアップします

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これならなんとなくわかるでしょう。右からお酒の名前を紹介します。この写真を拡大しないで全部銘柄を当てたらかなりの酒通ですね。わかりますか。

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・ 国権 特撰大吟醸 金賞受賞酒の熟成酒 

・ 満寿泉 寿 大吟醸6BY

・ 田酒 純米大吟醸 山廃

・ 田酒 純米大吟醸 斗瓶囲

・ 白露垂珠 大吟醸 金賞受賞酒

・ くどき上手 大吟醸 金賞受賞酒

・ ゆり 大吟醸 金賞受賞酒

・ 名倉山 大吟醸 金賞受賞酒

・ 醸心 純米大吟醸 金賞受賞酒

・ 英勲 大吟醸 金賞受賞酒

・ 磯自慢 愛山純米大吟醸

・ 十四代 純米吟醸 槽垂れ

・ くどき上手 純米大吟醸

・ 鍋島 純米吟醸 荒ばしり生

・ 十四代 純米大吟醸 七垂二十貫  

・ NEXT5 EMOTION (乾杯酒)

そのほかにも 鍋島 大吟醸 金賞受賞酒 もありましたが、 このお酒は遅れてきた入江さんが持ってきてくれた酒なので、集合写真には間に合いませんでした。後で紹介します。

長い時間かけて飲んでいるので、最後の方は良く覚えていませので、初めの方に飲んだ全国新酒鑑評会金賞受賞酒を中心にお酒の紹介をしたいと思います。印象の強かったお酒の順番で紹介したいと思います。

1.名倉山 大吟醸 金賞受賞酒

Img_3708名倉山酒造は福島県会津若松にある蔵で、17年連続東北金賞受賞を取ったほか、今年は全国新酒鑑評会でも金賞をとり、南部杜氏自醸清酒鑑評会で主席を取ったお酒です

山田錦35%精米の大吟醸で、味はきれいな甘味に品格があって口の中で何の引っかかりもなくすうと入っていくお酒です。それでいて淡麗ではありません。冷やして飲んでもおいしいけど、温度が上がってきてもほとんど味のバランスは変わらず、えぐみも出ずにすっと飲めるのはすごいと思います。長年の経験が生み出す極みの酒といっていいと思います。

価格は4合瓶で、5250円ですが飲んでいない方は是非飲んでみてください。

2.英勲 大吟醸 金賞受賞酒

Img_3710_2英勲・齊藤酒造は京都の伏見のある蔵で、14年連続全国新酒鑑評会で金賞を取っているお酒です。14年連続というのは大変なことでなかなかできるものではありません。

このお酒は京都産の「祝い」35%精米を使った大吟醸です。「祝」になってからも4年連続の受賞です。このお酒の特徴はフラットな旨みが口の中で横にそして奥へといき、大変のど越しの良いことです。

このお酒のすごいのは温度が上がって来ると、さらにフラット感が出て透明なお酒のようになり、何の引っかかりもなく飲めるお酒へと変身します。

価格は4合瓶で5250円と名倉山と同じです。東京では買えないお酒で、京都でも手に入れるのは大変です。

3.白露垂珠 大吟醸 金賞受賞酒

Img_3702白露垂珠・竹の露酒造場は鶴岡市にある蔵で良く飲んでいるお酒の一つですが、今回のは3年前の20BYの大吟醸出品酒です。酒米は出羽燦燦の大吟醸の生詰めで、Uさんの家で3年寝かしたものだそうです。

生詰めの3年貯蔵でしたので心配との話がありましたが、熟成香もなくなめらかで、とろけるような優しさを持ったお酒になっていました。皆で最高にうまいねと驚いてしまったのです。

でも温度が上がってくると少し雑味が出てきてとろけるような優しさが少し消えていきました。冷やして飲むには最高のお酒ですので、温度が上がっても変化が少なくなれば、すごい酒といえますが、飲んでみる価値はあります

4.醸心 純米大吟醸 金賞受賞酒

Img_3709_2醸心・中沖酒造は山形県の米沢の近くの川西町にある蔵で、まだ実績の浅い蔵ですが、山形県の小関先生に指導を受けて、現在どんどん腕をあげている蔵だそうです

このお酒は地元の酒米の出羽燦燦40%精米の純米大吟醸で全国新酒鑑評会で金賞を受賞したのです。純米大吟醸で金賞を取るのは珍しいことです。

飲んでみましたが、冷えた状態では酸味と旨みがばらばらで本当に金賞受賞酒なのかと思いましたが、温度が上がっていくと酸が旨みの中に次第に隠れるようになり、遂にはほとんど酸味を感じなくなり柔らかい旨みのあるお酒へと変身してしまいました。こんなお酒があるのですね。

価格は4合瓶で3150円と割安なので、是非飲んでみてください。

5.ゆり 大吟醸 金賞受賞酒

Img_3706 ゆり・鶴の江酒造は会津若松の蔵ですが、ゆりブランドは娘さんで向井さんの奥さんであるゆりさんと製造技能士のお母さんと杜氏が力を合わせて造っているブランドです

山田錦40%精米の大吟醸で2010年6月に出荷したもので我が家で約1年寝かせていたのもです。だから平成21年度の金賞受賞酒だと思います。

口に含むときれいな旨みがパット広がるのではなく、奥の方にゆっくりと広がっていくバランスのお酒で、なかなかの味わいでした。女性らしい味わいといえるかもしれません

価格は4合瓶で5250円でした。

6.くどき上手 大吟醸 金賞受賞酒

Img_3703くどき上手・亀の井酒造は鶴岡市にある蔵で、毎年のように全国新酒鑑評会で金賞をとる実績のある蔵です

くどき上手には命という1升2万円する最高級ブランドがありますが、そのお酒とほとんど同じ仕込みで造った酒で山田錦35%精米の大吟醸です。

口に含むとどっとした旨みと独特の甘みを感じ、それが口の中を広がって行き、それがきれいに消えていくバランスで、これがくどき上手なのだという主張があります。

価格は4合瓶で5250円ですが、飲んだことのない人は一度は味わっていいお酒だと思います。

7.鍋島 大吟醸 金賞受賞酒

Img_3724鍋島・富久千代酒造は今人気の佐賀県の蔵で、社長兼杜氏の飯島直喜さんが醸している蔵です。

写真のお酒は出品酒と山田錦35%精米の500mlの大吟醸です。Uさんが今回出す予定していた鍋島の金賞受賞酒を割ってしまったので、急遽入江さんが自宅に貯蔵していたお酒を持ってきていただいたものです

飲んでみると確かに鍋島らしい旨みがパット広がって、確かにとてもうまいと感じるのですが、旨みの裏になにか舌を刺すような軽いえぐみを感じます。全体的には確かにおいしいのですが、名倉山に比べると何かが違う気がします。

価格は500mlで3500円で1升1万円のお酒です。

8.国権 特撰大吟醸 金賞受賞酒の熟成酒

Img_3696国権酒造は福島県の南会津町にある老舗の蔵です。写真のお酒は山田錦35%精米の特撰大吟醸で、出品酒とは違って同等の造りの袋吊い無ろ過のお酒を1年間以上熟成した熟成酒です。

口に含むと旨みの塊が口の入口に広がって、その後ゆっくりと奥に広がっていくというバランスでした。低温で飲むかぎりとてもおいしく味わうことができましたが、温度が上がってくると、ちょっと雑味が出てきて粗さを感じるようになったのは仕方がないのかな。

価格は1升10500円です。特撰ではない大吟醸は1升5250円ですから倍もするのですね。

9.満寿泉 寿 大吟醸6BY

Img_3698満寿泉・桝田酒造は富山県岩瀬町にある老舗の蔵です。この蔵は全国新酒鑑評会には出展していませんので、金賞受賞酒はありません。

この蔵の最高峯のお酒に大吟醸寿があり、純米大吟醸は寿プラチナと呼ばれています。どちらもそれを蔵で熟成したお酒は蔵にはあるようですが市販はされていません。純米大吟醸の壽を10年熟成したお酒は紫寿という名で一部のお店で市販されているようです。1升5万円以上します。

今回お酒は満寿泉の大吟醸寿の6BYの古酒です。去年の満寿泉の会で飲んで気に入ったUさんが蔵から直接買ったお酒です。いくらで買ったのかは聞き忘れました。その後の話では1升28000円だったとか。寿の大吟醸は1升10500円です。

この寿の酒を飲んだ満寿泉の会のブログを見たい人は下記のURLを見てください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-4211-1.html

Img_3727このお酒は香りが高いのでこのグラスで飲んでみました。

このコップで飲むと熟成の香りが心地よく広がります。ヒネ香とは違う味わい深いきれいな香です。

その香りとともに優しい旨みが出てきて、そのうちにすっと消えていきますが、その時の余韻がきれいでやさしくスーと伸びていきます。

僕は熟成香があまり好きでないので、好みのお酒ではありませんけど。

後は写真だけお見せします。

田酒 純米大吟醸 山廃  田酒 純米大吟醸 斗瓶取

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十四代 七垂二十貫     十四代 純米吟醸 槽垂れ

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磯自慢 愛山純米大吟醸  くどきシ上手 短稈渡船44

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去年はどんなお酒を飲んだかは下記のブログをご覧ください。同じものもありますが、こんなに金賞酒をそろえたのは初めてです。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/2011-ea6b.html

夕方5時に集まり最終的に解散したのは11時ごろだったような気がします。僕の家は池袋から有楽町線で2駅しかないのにフラフラしていて、家に帰ったのは12時近くになってしまいました。でもちゃんと片手に飲み残しの田酒の純米大吟醸の山廃を持って帰りました。酔ってもお酒を離さないのは大したものです・・・・へへへ

Uさんまた来年もお願いいたします。去年の記憶では6年寝かせた命が出るのではなかったのでは? そのかわりが寿6BYだったのでしょうね

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2011年12月13日 (火)

田酒を楽しむ会

僕たちの酒飲み友達の中には日本酒用冷蔵庫をしっかり持っていて、自分の好きなお酒を買ってためている人がいます。その一人のタカタカさんが、今までためていた貴重な西田酒造のお酒を皆で飲む会を企画していただきました。大部分が田酒ですので、田酒を楽しむ会ということになっています。

行われた場所は池袋の居酒屋の「てしごとや」の2階です。てしごとやは僕らが行きつけだった酒菜家の目の前に合って、酒菜家より古い歴史のある居酒屋です。門構えが変わっていまして、真黒な小さな引き戸をくぐりぬけると、下駄箱のあるフロアがあるので、やっとここが居酒屋であることがわかるのです。

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この写真がてしごとやの入口です。ちょっとわかりにくいし、初めてだとどんなお店かちょっと心配になるイメージがありますよね。でも中は落ち着いた大人の居酒屋です。二人でデートには最高ですよ。

ちょっとお店のブログから写真を拝借します。1階のお店の風景です。

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お店の紹介はそのぐらいにしてさっそく飲んだお酒を紹介することにします。

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全部で10本ですが、これらのお酒の中には買おうと思っても手に入らないお酒がたくさんあります。色々飲み比べをしながら飲んだので、実際に飲んだ順ではなく比較しやすいように紹介していきたいと思います。

田酒は青森県の西田酒造のお酒ですが、西田酒造のお酒には3つのブランドがあります。田酒はアルコール添加をしていない純米酒であり、喜久泉はアルコール添加をしているお酒で、外ヶ濱は社長の西田さんが遊び心で造ったお酒を呼ぶそうです。

1.外ヶ濱 フラワースノー

Img_3645このお酒は青森県の酒造好適米の華吹雪55%精米の特別純米発泡にごり酒です。ラベルがワインのようなしゃれたものですが、赤いラベルに吹き出しご免と書いてあるのが特徴です。

ふたを不用意に開栓すると、ワーッと吹き出してしまうほど、炭酸ガスが充満していますので、注意しながらゆっくり開けました。

口に含むとピチピチ舌の上で飛び跳ねるような感触の中に香りと味わいが広がり、それを楽しんでいるうちにしばらくするとすっと消えていく飲みやすいお酒でした

しばらく置いておいてガスが抜けてしまうと、元のお酒の味が前面にでて最初の新鮮さが失われてしまいます。このお酒は開けたら、冷えているうちに飲みきってしまうのがいいと思いました。参考にしてください。

2.喜久泉 大吟醸 斗瓶囲い

Img_3639 西田酒造の出品酒に相当するお酒で、山田錦40%精米袋取り大吟醸1回火入れです。乾杯酒として飲みました。

柔らかくて旨みがきれいで、後味、余韻がきれいな、いかにも出品酒の味わいがあるお酒です。純米大吟醸と比較すると旨みとか厚みは少ないけど、その分品が出ている気がします

このお酒は温度が上がってきても、味のバランスはほとんど変わらす、楽しく飲むことができました。質の高さがわかります。価格は1升10500円だと思います。

3.喜久泉 大吟醸 善知鳥(うとう)

Img_3654このお酒は2番と同じ山田錦40%精米の斗瓶採りの大吟醸ですが、 搾りの中の荒ばしりと責めだけをブレンドしたお酒です。ですから1升8600円とちょっと安くなって買いやすくなっています

出品酒と似たお酒ですが、飲んでみるとこちらの方が飲みやすくてすっと入ってきます。冷えたままですいすいと飲みたいお酒です。

ちょっと時間をおいて温まってくると、ちょっとだれてくる感じがしました。これは責めの部分の影響なのかもしれません。でも十分おいしいですよ。

4.田酒 百四拾 純米大吟醸 22BY

5.田酒 百四拾 純米大吟醸 23BY

Img_3648_2 このお酒はお米が華想い40%精米の純米大吟醸です。華想いは青森県の酒造好適米で山田錦と華吹雪を掛け合わせて造られたものです。

今回は22BYと23BYを比較して飲んでみました。写真の左側が22BYで右側が23BYですが、見た目では分からないですね。

23BYの方が香りは華やかで味わいがあるのですが、飲んでいるとちょっと引っかかるのと、飲み飽きしてしまうのに対して、22BYの方が香りは抑えぎみですが味わいがフラット気味で、口の奥の方に味わいが広がり、バランスが良いような気がしました。熟成した分柔らかくて引っかかりがないので、飲み易くなっています。参加者の皆さんが22BYに軍配をあげていました。

価格は1升5300円ですからちょっと頑張れば家飲みに堪えらえるところかな。1年寝かせられる人にはお勧めかも。

6.田酒 純米大吟醸 斗瓶囲い

Img_3659この酒は山田錦40%精米の純米大吟醸の斗瓶囲い中取りです。2番の出品酒の元のお酒といえるののです。

アル添した出品酒はきれいなお酒だけど、これは、コクがあって旨みがしっかりあるとても旨い酒でした。僕はアル添のお酒よりこちらの方が好みです。

このお酒も1升10500円しますが、なかなか店頭で買えるお酒ではありません。手に入ったら儲けものですね。

7.田酒 山廃 純米大吟醸

Img_3663このお酒は山田錦40精米の山廃の純米大吟醸です。6番のお酒とは後味に軽い酸味を感じるやわらかきけど、味がドカンと膨らむのではなくしっかりとそしてゆっくりと膨らんでくるバランスは大人の味といえるかもしれません

舌の裏側に酸味を感じますが、このバランスが何ともいえず旨い酒になっています。お燗しても大変良かったです。これが1升8600円らしいので、コストパフォーマンスはいいけど、これも手に入らないお酒です。

個人的には田酒の中では一番のお気に入りです。

8.喜久泉 金冠

Img_3652このお酒は華吹雪50%の吟醸酒で、アルコール添加をして味を調えています。

善知鳥(うとう)より軽い感じで、フラット感もありサラと入ってくるけど、味の広がりがあるので、なかなか良いバランスのお酒です。

1升3058円ですから、軽く飲むにはいいお酒だと思います

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9.田酒 山廃 特別純米

Img_3665 このお酒は華吹雪55%の山廃の特別純米酒です。

軽い香りでフラットぎみのバランスで、旨みが飛び出てるわけではないけど、口の中にゆったりと旨みがじわっと広がるのがいいですね。

すごいうまさを感じるわけではないけど、酸味を感じる旨さがあり、なんとなくまた飲んでしまうような魅力がありました。食中酒としてはとても良いと思います

1升2980円ですから、ちょうどいいところかもしれませんね。

10.田酒 百四拾 純米吟醸

このお酒は写真もないけど、飲んだ味も覚えていないので、紹介はしません。

以上で今回のお酒の紹介は終わります。

このお店はお料理もおいしかったのでちょっと紹介しますね。

メニューはないので、特別料理だと思います。料理名は適当に付けました。

鮮魚の刺身           手まり寿司

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                   肉じゃが

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田楽?              マグロのかま焼き

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鶏のから揚げ            天麩羅

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トロロ飯

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2011年2月16日 (水)

20BYを楽しむ会 in地酒屋こだま

先日大塚の地酒屋こだまで20BYを楽しむ会が開かれましたので、参加してきました。20BYというのは平成20年度に醸じたお酒ということですから、通常は平成20年の秋から平成21年の春に醸造したお酒という意味です。ですからほぼ2年間熟成させたお酒ということになります。

造りたての新酒は香りの豊かさやフレッシュな味わいを楽しむには良い酒ですが、お酒は熟成させると、硬さが取れてマイルドになるばかりでなく、あじわいが乗ってくるので、寝かせて熟成を楽しむことは良く行われています。半年寝かせて秋に出すお酒としてはひやおろしとか秋あがりと呼ばれていますし、大吟醸クラスは1年熟成させてから出荷する蔵も多いと聞きます。

しかし、わざわざ2年以上熟成させて出す蔵はそれほど多くはありません。それは寝かせればその分だけ出荷が遅れるわけですから、資金の回収が遅れますし、生酒を熟成させるには零度以下の貯蔵庫がないと酒が傷んで、ヒネ香がでてしまうといわれていますので、管理も大変だからです。今回飲むお酒は蔵で熟成したお酒が多いようですので、楽しみにしてきました。

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この写真のようにお店の奥に10人ほどすわれる場所がありますので、そこでひざを突き合わせる状態で、飲んでいますが、こじんまりしているだけまとまりがあって、なかなか楽しいものです。それでは飲んだ順番にご紹介します。

1.嘉根満 純米無ろ過生原酒 笑亀酒造

Img_2622 笑亀酒造は長野県の塩尻市にある蔵で、社長で杜氏の丸山大輔さんを中心に若手数人でやっている生産量300石弱の小さな蔵ですが、色々な酒造りにチャレンジしている楽しみな蔵です。

嘉根満(かねまん)は地元の減農薬栽培の美山錦65%で造った純米無ろ過生原酒です。製造年月日は2010年10月と書いてありますので、蔵で2年間熟成した酒ですが、熟成の表示はありませんので、普通の人はわかりませんね。

口に含むと熟成香とは違う独特の香りがして、口の中にのっそりとした旨みが広がり後味に少し酸味と辛みを感じながら消えていくけど、切れの良いお酒ではなく、余韻が残るお酒なので、食中酒に良いと思いました。表示はされていませんが、酸度は1.7あるそうです。

2.分福 純米吟醸原酒 氷温2年貯蔵 火入れ 分福酒造

Img_2624 分福酒造は群馬県館林市にある蔵で、館林にまつわる伝説の分福茶釜にちなんで命名されたそうです。蔵元の当主は毛塚征幸さんで、蔵の本社店舗は国の文化財として毛塚記念館になっているそうです。この蔵も生産石高は400石と小さな蔵です。

この酒は玉栄30%、日本晴れ70%の精米度50%の純米吟醸原酒で、製造年月日は平成22年11月と書いてありますが、写真のように氷温2年貯蔵の熟成酒です。

氷温貯蔵だけど鼻に抜ける含み香はありますが、熟成香は全くありません。ちょっと雑味を感じるボアっとした旨みが膨らみますが、余韻の中に少し辛みを感じてますが、のど越しと切れはいいお酒でした。

3.分福 純米吟醸生原酒 氷温2年貯蔵 分福酒造

Img_2626 このお酒は2番のお酒の生原酒です。生酒と火入れの違いだけの差ですが、飲んでみるとかなり違いのあるお酒でした。

口に含むとドンと来るのではなく、ふわっと旨みが広がり、後味の余韻がいっぱいあるけど、きれいな余韻です。熟成酒とは思えないバランスで、火入れで感じた辛みもなく、良いバランスになっています。

個人的には生原酒の方が好きでした。このお酒の新酒と5年熟成酒があれば、垂直方向で比較して飲んでみたい気がしました。たけちゃんよろしくお願いいたします。

4.旭の出乃勢正宗 純米原酒 丸世酒造店

Img_2628 丸世酒造店は長野県の信州中野にある小さな蔵です。4代目の関康久さんが杜氏となって家族ぐるみで150石ほど造っている蔵ですが、色々とこだわりがあります

その一つがもち米4段仕込みです。普通のお酒は3段仕込みで造りますが、この蔵ではもう1段増やして4段目に、もち米で造った甘酒を使う方法と、甘酒ではなく熱々のもち米を投入する熱掛け4段仕込みの2つの方法をとっているそうです。

写真のお酒は熱掛け四段仕込みの純米酒ですお米は美山錦70%精米の純米酒で高精白のもち米を10%使っているそうです。

口に含んだときに甘みと軽い酸味を感じますが、その後にじわっともち米からくると思われる特得の旨みが膨らんできます。これがこの酒の特徴でしょうね。福島県のロマンと共通の味わいです。製造年月日は平成22年7月と書いてありますが、やはり蔵で2年寝かせたのでしょうか。表示がないたけちゃんを信じるしかありません。

5.たれくち 純米吟醸無ろ過生原酒 太陽酒造

Img_2630 太陽酒造は兵庫県明石の江井ヶ島(えいがしま)にある生産高100石の小さな蔵です。この蔵の特徴は全量兵庫県産の山田錦、全量木製の槽しぼり、全量無ろ過、無加水の純米原酒にこだわっています

たれくちとは絞ったお酒をタンクにためた時の上澄みの部分を瓶に詰めたものをいうそうです。もちろん平成22年のものもありますが、このお酒は表示の通り平成20年の熟成酒です。

口に含んでも旨みが広がるわけではないけど、旨みを感じながらさっと抜けていく感じで、シャープなようでシャープではないきれいさを感じるお酒でした。熟成感はあまり感じなかったので、このお酒も新酒と比べてみたいな。

6.和田美酒 純米吟醸原酒 太陽酒造

Img_2631 和田岬の元祖大師の前にある水鉢の水は地元で元祖さんの水として親しまれているそうです。和田美酒(わだみさけ)は和田岬出身の蔵人がこの水を使ってお酒を造ろうと仕込んだお酒です。たれくちと同様山田錦60%精米の純米吟醸原酒です。

瓶には淡麗辛口に反旗を翻す酒と書いてありますが甘みのかなに後味がすっきりしているので、僕には淡麗辛口に近い酒のような気がしました旨みはあるけど、ドンと膨らむ造りでないし、後味に辛みも感じる酒でしたアルコール度数が高い(19度から20度)のがこの酒の特徴で、たけちゃんが言うにはチーズケーキが合うそうです。

製造年月日は平成22年10月と書いてありますので、蔵で2年寝かした熟成酒です。

7.こんな夜に 鹿バージョン 純米酒禮葉 仙醸

Img_2635 この蔵は長野県の伊那市にある比較的大手の(2000石)蔵です。小さな蔵の好きなたけちゃんがこの蔵を気に入ったのは杜氏の丸山慎一さんのせいではないかな

丸山さんは造り酒屋さんにはない雰囲気を持っておられる人で、確かに経歴も変わっていて、もともと東京の会社に勤めていて、体を壊して地元の仙醸に勤めたそうです。酒造りの勉強をされたのち、平成18年の造りから杜氏になられたのですが、その時に新しい酒として「こんな夜に」を出したそうです。

こんな夜ににはいろいろなバージョンがあり、精米度50%の山椒魚、55%の山女、60%の鹿、最近70%の雷鳥です。今回は鹿のひとごこち60%精米の純米酒の2年熟成酒です。製造年月日は平成22年6月と書いてありますので、これも蔵で寝かせたものですね。

このお酒は今までの酒とは違った質の高さを感じる旨みのきれいさを感じました。口の中で柔らかく広がり、雑味をあまり感じないで消えていくので、飲み飽きしません。ひとごこち60%精米でこの味を出せるのは大したものです。たまたま誕生日の人がいてそのお祝いのチーズケーキとピッタリでした

8.東鶴 特別純米 20BY火入れ熟成 東鶴酒造

Img_2637 東鶴酒造は佐賀県の多久市にあるごく小さな蔵です。蔵は江戸末期創業で歴史は古いのですが、需要低迷で15年間造りをやめていたのですが、息子さんの野中保斉(やすなり)さんが復活させ、20年BYからたった一人で造りを始めたばかりなので、生産高も25石しかなかったそうです。

福岡県産山田錦60%精米の特別純米酒です。これは保斉さんの初めてのお酒ですよね。ちょっと雑味はあるけど角のないフラット感があって、口の中で横に広がっていき、後味に甘みを感じるおさけでした。決して悪くありませんよ。

たけちゃんの推薦でお燗を飲みましたが、お燗の温度で味がどんどん変わるので、ちょっと熱燗にしてもらったら、透明感が出てきて、雑味がなくなりすごくいいお酒になりました。これは発見ですね・・・・

9.永寶屋 八反錦辛口純米 20年度仕込み 鶴乃江酒造

Img_2638 鶴の江酒造は会津若松市にある老舗の蔵ですが、生産量は400石ぐらいと比較的小さいけど、最近は全国新酒鑑評会で金賞を取ったり、福島県の鑑評会でも金賞を取るなど、着実に腕を上げている蔵といえます

その中で永寶屋は比較的最近立ち上げた鶴乃江酒造の屋号を冠したブランドです。

その中でもこのお酒は八反錦60%精米の純米酒で、平成20年度仕込みで今年の1月に出た2年熟成の生詰めのお酒です。

酸味もあり、旨みもあってバランスが良く、すっきり飲めるけど甘みも辛みも感じるお酒でした。お燗をするとフラット感が出てきて優しくソフトな味に変身しました。これもお燗がいいな。

以上で20BYを楽しむ会で飲んだお酒の紹介を終わりますが、たけやさんの気持ちの入った酒選びがよくわかった感じがしました。

たけやさんありがとうございました。今度は垂直を楽しむ会をしませんか

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