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試飲会

2017年11月29日 (水)

埼玉県には新しさを感じる若手の蔵があります

毎年10月の上旬に埼玉県酒造組合の主催による大試飲会が大宮のソニックシティでひらかれますが、今年は10月10日の火曜日に埼玉35蔵(登録されている全蔵数)が一同に会しての大試飲会が開かれましたので参加しました。 

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この会は1部と2部に分かれていて、前半は酒造関係者のための時間で、14時30分から1時間半、2部一般消費者向けでその会場で引き続いて16時から19時半まで行われます。今回は取材を目的として1部から参加し、試飲した酒はすべて吐きする形で頑張りました。でも、1時間半で35蔵全部の試飲はとても不可能だし、16時からは人が多くなりすぎて取材どころではなくなりました。 

今回参加して受けた印象は、埼玉の蔵の質が確実に上がっていると思ったことです。例えば川越のある鏡山ですが、昔はうまいけどパンチが強すぎて沢山は呑めない酒だなと思っていましたが、今回飲んでみると味はきちっと残しながら奇麗さが出たお酒に変身していました。柿沼杜氏にその理由をお聞きしたら、自分でもわからないけどお客様の要望を聞いているうちに変わってきたのですと言われたのが印象的でした。これはとても良いことだと思いますが、下手をするとみんな同じような酒になる恐れがあるので、気をつけてもらいたいですね。 

埼玉県の蔵のお酒は昔は印象が薄かったので、2008年と2014年にこの会に参加して自分なりに気に入った蔵ののお酒をブログにまとめたことがありましたので、それを下に載せておきます。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-f6ed.html 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-a1ea.html 

ここで紹介した蔵は合計で11蔵しかなく全体の約30%にしかなりませんので、今回はもっと紹介したかったのですが、今回は僕が飲んで面白いなと思った蔵の中で比較的若い人が酒を造っている蔵に良いものがあったので、その蔵の現状を含めて紹介することにしました。 

1.佐藤酒造店 越生梅林 

この蔵は越生梅林のある場所の近くにある蔵で、東武八高線の越生駅から北東に約1.5㎞程行ったところにあり、関東地方全体から見ると平野から秩父の山々の方にちょっと入ったところにあります。近くに越辺川が流れ、日本関東百選に選ばれている「黒山三滝」を源とする奇麗な水がでるところのようです。創業は1844年ですから江戸末期ですが、きっと梅の産地として有名な街のお酒として地元中心に酒造りを続けてきたのでしょう。 

ですから冬の時期に日本酒を造り、6月以降より梅酒を造ってきた蔵ですが、日本酒造りにはきちっとしたこだわりがありました。それは、麹歩合を23%として米本来の味を出すこと、低温長期醸造で喉越しの良い酒を造ること、人の目が届く少量生産をすることをモットーとしてきたようです。現在の社長は佐藤忠男さんで、「越生梅林「」という銘柄を立ち上げた人で、千葉県から来た杜氏と共に酒造りをしてきたそうです。 

でも、現在は20代を中心とした若手4名で生産量500石の酒造りをしているそうで、いつからそんな蔵になったのでしょうか。実はそれは2011年に「起きた東日本大震災と関係があるそうです。 

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この方が杜氏の佐藤麻里子さんです。女性のお年を聞いてはいけないけれども、まだ26歳の超若手杜氏です。麻里子さんはこの蔵の長女で昔から酒造りのお手伝いをしていたそうですが、蔵を継ぐつもりななく東京の大妻女子大に行ったそうです。そんな時に東北大震災が起こったのです。蔵の造りは古いので瓦や壁が落ち、まともな酒造りができないと判断し、社長は蔵をやめようと決意したそうですが、家族会議をした結果、子供たち(麻里子さんと弟)が廃業するのを反対し、2人が後を継ぐということで廃業をやめたそうです。 

麻里子さんは大学を卒業した後、蔵の杜氏に酒造りを教わり酒造りを始めたのですが、高校時代から酒造りが好きだったせいか、すぐの腕を上げてきたので、杜氏にすることを決めたそうです。ですから酒造りをして4年年目、杜氏になって3年目だと思います。杜氏としての経験はまだ浅いので、どんなお酒を造るのか興味がありました。 

杜氏になって最初に作ったのが純米吟醸「まりこのさけ」です。 

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この酒は女性にも気楽に飲んでもらえるように瓶の容量も500mlと小さくして、デザインの梅のもようを前面に出した女性らしいお酒でしたが、大変評判が良かったけど、今年からは女性らしさを前面には出さない新しいブランドの「中田屋」を立ち上げています。これはどんなお酒なのでしょうか。下に写真をお見せします。
 

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中田屋は特約の酒屋だけに卸すブランドなので、この会にはそのお酒はありませんでしたが、それと同質なお酒が用意されていました。このお酒は「中田屋」と同様に、ラベルの色で原料米がわかるようにされていて、赤は美山錦、青が五百万石、桃色が五百万石と美山錦のブレンド、銀色(?)が山田錦です。僕は飲んだ中で赤の五百万石が気に入りましたので、それを持ってもらいました。 

飲んでみますと香りはあまりたたずに、口に含むと優しい甘みが静かに広がり、後味がぱっと切れるのではなく、静かに辛みを伴わないでフェードアウトするお酒でした。一言でいえば女性ら良いお酒と言えます。他のお酒はまだちょっと完成度が低い気がしましたが、酒造りへの彼女のセンスが感じられるお酒と言えます。 

子供たちが蔵の後を継ぐことが決まってから、社長は蔵の全面改築をはじめ2年前に最新鋭の蔵が完成し、娘が杜氏としてスタートするという華々しい立ち上がりをしましたが、なんといってもまだまだ立ち上がったばかりの蔵なのですから、暖かく見守っていきたいと思っております。これからどんな変化をしていくのか楽しみです。 

気づいた方のおられると思いますが、佐藤麻里子さんの名前は幻舞の杜氏の千野麻里子さんと同じ漢字ですから、良い杜氏になると思いますよ。 

2.石井酒造 初緑、豊明

石井酒造は久喜市の近くにある東武日光線の幸手市にあります。ここは日光街道と御成街道の分岐手にあたる、宿場町として栄えたところです。この日光街道沿いの大地主であった石井家が造り酒屋を開業したのが始まりで、創業は1840年ですから、180年近い歴史を持つ老舗の蔵です。昔はお酒を飲む風習が定着していたので、全盛期には5000石という大規模な生産量があったそうですが、昭和の終わりになって次第に生産量がへり、平成のはじめには3000石とになっていたようです。 

石井家の当主は歴代才覚があった人が多いようで、5代目は酒類卸業を、6代目が幸手ガス事業を起こし、7代目の前社長の石井明さんは所有する土地を利用してゴルフ練習場G-FIVEを立ち上げるだけでなく、酒事業も生産縮小を見込んで2000年には蔵の改築をしたようです。面白い写真を見つけました。下のURLをクリックしてください。 

https://www.google.co.jp/maps/place/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E9%85%92%E9%80%A0%EF%BC%88%E6%A0%AA%EF%BC%89/@36.0689756,139.7100067,3a,75y,90t/data=!3m8!1e2!3m6!1sAF1QipOhH9jjq1q6EPDhT-Md917xZwGFWlSq1oZ_ZGj3!2e10!3e12!6shttps:%2F%2Flh5.googleusercontent.com%2Fp%2FAF1QipOhH9jjq1q6EPDhT-Md917xZwGFWlSq1oZ_ZGj3%3Dw128-h86-k-no!7i1616!8i1080!4m5!3m4!1s0x0:0xc9832d448850a095!8m2!3d36.0689756!4d139.7100067 

この石井酒造の写真を見ると、ゴルフ場の写真とスーパーマーケトBELCの写真と石井酒造の写真が一緒に載っています。これから想像すると、蔵の敷地の大部分をBELCに売ったか貸した後に残った蔵を改築して新しい蔵にしたのではないかと想像できます。いやーお金持の蔵のようですね。 

でもこの蔵が大きく変わったのは息子さんの石井誠さんが蔵に戻ってからです。誠さんは1987年生まれで、蔵を継ぐことは大学に行く時から決めていたので、経営を学ぶために早稲田大学の商学部に入学されて、卒業後は東京の醸造研究所で3か月研修を受けた後、東京の小山酒造で酒造りを学び、父の助言でガス会社で2年勉強した後、2013年に蔵に戻ってきます。そしてその年11月には8代目の社長に就任することになります。下の写真が石井誠さんで現在30歳です。 

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これは前社長が蔵を改築した時から思い描いていたことだと思います。その証拠に誠さんが蔵に戻る3年前に若き優秀な蔵人を採用しています。彼は和久田健吾さんといい、2010年に東京農大醸造学部の修士課程を修了した優秀な方ですが、研究より実践をしたいと思い、大学時代に石井酒造を紹介され、社長の明さんと面接をしています。その時、入社したらすぐに酒造りを任せるということを仰ったので、入社を決めたそうです。それは息子が蔵に戻る時までに杜氏として酒造りを習得してもらう狙いがあったからだと思います。そして、息子が戻ったら、酒造りはすべて息子に任せ、自分は社長を退くというシナリオがあったに違いありません。 

ですから、2013年の造りから、26才の石井誠社長、27才の和久田杜氏というコンビがスタートしたことになり、若い人たちによる新しい酒造りが始まりました。誠さんは良いお酒を造るだけではなく、埼玉県の酒をもっと世に知らしめることをやりたいと思っていましたので、すぐに2つの新しい企画を立ち上げました。 

第一の企画はクラウドファンディングのプロジェクトです。簡単に言うとお客様に資金を出してもらって、その資金で大吟醸「2歳の醸」を造って配布するというプロジェクトだそうです。これは見事に成功し約200万円を集めたそうです。下の写真がその時の「二歳の醸」と思われます。 

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今でもこのシステムはオーナー制度として残っています。、現在は一人1万2千円で、定員100名でオーナーを募集して、色々な種類の720ml6本と酒粕を配布しています。また2歳の醸はこの名前の権利を宝酒造に渡して2016年には宝酒造から新しい「2歳の醸」のお酒が出たようです。色々なことをする蔵ですね。 

次に打ち出した企画は「埼玉SAKUダービー」です。これは埼玉県にある二つの蔵が、水、米、精米歩合、種麹、酵母を同じの酒を造って、どちらのお酒が旨いかをお客様に決めてもらうものです。自分お蔵のほかには和久田さんの先輩の鈴木隆広さんが杜氏をしている久喜市の寒梅酒造が選ばれました。これはどちらが人気があったかが大切ではなく、これにより、2つの蔵の酒の知名度を上げるの目的のようです。でも酒の銘柄を石井酒造の酒を「彩の原石 幸」とよび、寒梅酒造の酒を「彩の原石 喜」としたのは、埼玉県には良い酒があるよと叫んでいる感じがします。 

この蔵は新しい体制ができてからまだ3造りしかしていませんので、お酒の酒質を問うのは少し厳しいかもしれませんが、今年の全国新酒鑑評会で初めて金賞を取っていますのでとても楽しみです。どんなお酒を造っているのでしょうか。 

この会場では豊明と初緑のお酒を飲みました。初緑はアルコール添加した吟醸酒で、山田錦や美山錦を使った原則9号酵母のお酒ですが、豊明は純米酒で埼玉県産のさけ武蔵を使い埼玉酵母を使っています。埼玉酵母はAからHまで色々あるそうで、目的に合わせて、使い分けているそうです。ここでは豊明の純米吟醸の花火を飲みましたが、甘みがあって香りはイソアミル系のさわやかな香りのあるお酒でした。 

ここのお酒のイメージはまだはっきりしないところがあるので、どんなお酒を狙っていますかとお聞きしたら、色々なタイプのお酒を造りながら色々と試している時期ですと言われたように、酒としてはこれから変化しながら定着していくものと思われます。蔵の生産量はまだ200石だそうですから、これからじっくりと立ち上げていくのでしょうね。 

3.滝澤酒造 菊泉

この蔵は深谷市の旧中山道沿いの、JR深谷駅から数百mのところにあります。ここは古くから宿場町として栄えたところですので、多くの酒蔵があったものと思われます。この蔵の創業は1863年に小川町で行い、明治33年にここに移転してきたそうですから、ここで他の蔵と競い合って生き残った蔵だと思います。 

ですから今でも昔の風情を残した蔵で、インターネットで見ると蔵の母屋の写真のような、昔の趣のある姿をしていますが、蔵そのものは赤レンガ造りだそうです。その後どのように成長したかはわかりませんが、現社長の滝澤常昭さんは、地域のロータリークラブや深谷商工会議所の役員をされている方のようです。
 

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現在は息子さんの滝澤英之さんが専務取締役・杜氏として酒造りを一手に引き受けてやられているようです。 英之さんは蔵元の長男として生まれましたが、若い頃は酒造りをするつもりはなかったそうです。でも親からはお前は後を継ぐもんだと言われていたので、最後はそうなるのかなとは思ったそうですが、大学に行くときはそのつもりは全くなく、早稲田大学の教育学部に入ったそうです。大学3年生の時に漫画の「夏子の酒」を読んだ時に、昔の蔵の光景が思い出され、酒造りは面白そうだと思ったのが酒造りをする切っ掛けになったようです。 

大学卒業後は福生市にある石川酒造に3年間お世話になり酒造りを勉強し、その後広島の醸造研究所で1年間研修を積んで、1994年に蔵に戻ってきました。蔵には南部杜氏がおられて、その方にみっちり酒造りの指導を受けたそうですが、石川酒造の杜氏は越後杜氏で、南部杜氏とは細かいところでだいぶ違ったので、最初は大変戸惑ったそうです。それでも南部流の酒造りを勉強していくうちに、その違いの良いところが判ってきましたが、基礎となっているのは南部流の方法だそうです 

結局9年間南部杜氏の下で勉強した、1996年から杜氏になって、全ての酒造りを任せられたそうです。でも最初の1-2年は思った酒だできず、それまで4年間全国新酒鑑評会で金賞を取ってきたのに、自分が杜氏になってからは3年間金賞は取れなかったそうです。でも4年目になってやっと安定した酒が造れるようになって、その後は連続して全国新酒鑑評会で金賞が取れただけでなく、、IWCの鑑評会でも金メダルを取れるようになって、現在に至っています。 

前述した2つの蔵では若い人が簡単に杜氏になったかと思うと、英之さんのように12年の下済みを経てやっと杜氏になった人がいますので、単に杜氏と言ってもその実力を測ることは難しいように思えます。でも長年の経験によって身につくことはいっぱいあると思うので、英之さんがどんな酒を造っているのかは大変楽しみでした。 

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この方が滝澤英之さんで、現在46才ですから決して若手ではありませんが、敢えて選ばせていただきました。この蔵はどんなお酒を造っているのでしょうか。 

この蔵の酒たるブランドは菊泉で、菊のように香り高く、泉のように清らかな酒という意味だそうです。その主力製品は「菊泉 さけ武蔵吟醸生原酒」でした。この酒はさけ武蔵60%精米で、アルコール度18%、日本酒度1.5、酸度1.2のアルコール添加の吟醸酒です。飲んでみると口当たりがとても良くてさわやかな香りがあるけど、アルコールの強さを感じない驚きのお酒でした。これは技術のなせる業だと思いました。英之さんはさすが、腕のいい杜氏になっておられましたね。 

もう一つ見つけたお酒が「菊泉 ひとすじ」です。このお酒は今年発足したAWA協会が認定するスパークリング酒で、2016年に発売を開始したお酒です。このAWA協会の認定基準は大変難しく、この協会に参加しているのは生産高が2000石を超える蔵ばかりで、生産高500石の滝澤酒造が参加することは凄いことです。でもこれができたのは偶然ではありません。2010年にはこれの基になる瓶内二次発酵の発泡酒「彩の淡雪」を発売していたので、これを改良して完成させたそうです。 

原料米はさけ武蔵60%精米、アルコール度12%、日本酒度ー26、酸度4.3というお酒ですが、僕が飲んだことのある水芭蕉や七賢に決して劣らない素晴らしいお酒だと思いました。この技術も簡単にできるものではないのにちゃんと完成させているのはただものではないですね。これからどんな酒が飛び出してくるのか楽しみです。 

4.権田酒造 直実

Dsc07633この蔵は熊谷市にある老舗の蔵で創業は1850年です。この地は平安時代に武将・僧侶として活躍した熊谷次郎直実が有名ですが、その名前を取ったお酒「直実」を主要銘柄としています。 

いつもは社長の権田清志さんがおられるのですが、今年は息子さんの権田直仁さんがおられました。直仁さんは東京農大の醸造学部を卒業後スーパーで働いていたのですが、4年ほど働いたのち、親が帰って来いというものですから、今年から蔵に戻ったばかりで、まだ造りはやっていないそうです。 

持っていただいたのは特別純米さけ武蔵です。地元のさけ武蔵60%精米、9号酵母を使った純米酒で、アルコール度数15%、日本酒度+5、アミノ酸1.5、と言っていましたが、飲んでみると全く辛みを感じない、どっしり味のあるけど飲みやすい不思議なお酒でした。これをお燗をするとさらに旨みが出て楽しいお酒に変身しました。これは今どきのお酒ではない良いお酒です。 

お父さんの権田清志さんは熱血漢で酒造りの熱い思いを持った人なので、その血を引き継いだ直仁さんにはこれから大いに活躍してもらいたいと思います。 

以上で僕が推薦する4つの蔵の紹介を終えます。佐藤酒造店以外はすでに1回紹介した蔵ばかりですが、新しい情報がいっぱいあったので、少し詳しく紹介さていただきました。また、権田酒造の直仁さんはこれからの人なので、簡単な紹介に終わらせていただきました。

このほかにも注目すべき蔵として、寒梅の寒梅酒造、帝松の松岡醸造、天覧山の五十嵐酒造、力士の釜屋酒造などが良かったとおもいますが、こまた次の機会に紹介させていただきます。

最後にこの会に注文を付けるとしたら、1部の開始時間をもう少し早めて、2時間以上取っていただきたかったです。よろしくご検討をお願いいたします

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埼玉県には新しさを感じる若手の蔵があります

毎年10月の上旬に埼玉県酒造組合の主催による大試飲会が大宮のソニックシティでひらかれますが、今年は10月10日の火曜日に埼玉35蔵(登録されている全蔵数)が一同に会しての大試飲会が開かれましたので参加しました。 

Dsc07648

この会は1部と2部に分かれていて、前半は酒造関係者のための時間で、14時30分から1時間半、2部一般消費者向けでその会場で引き続いて16時から19時半まで行われます。今回は取材を目的として1部から参加し、試飲した酒はすべて吐きする形で頑張りました。でも、1時間半で35蔵全部の試飲はとても不可能だし、16時からは人が多くなりすぎて取材どころではなくなりました。 

今回参加して受けた印象は、埼玉の蔵の質が確実に上がっていると思ったことです。例えば川越のある鏡山ですが、昔はうまいけどパンチが強すぎて沢山は呑めない酒だなと思っていましたが、今回飲んでみると味はきちっと残しながら奇麗さが出たお酒に変身していました。柿沼杜氏にその理由をお聞きしたら、自分でもわからないけどお客様の要望を聞いているうちに変わってきたのですと言われたのが印象的でした。これはとても良いことだと思いますが、下手をするとみんな同じような酒になる恐れがあるので、気をつけてもらいたいですね。 

埼玉県の蔵のお酒は昔は印象が薄かったので、2008年と2014年にこの会に参加して自分なりに気に入った蔵ののお酒をブログにまとめたことがありましたので、それを下に載せておきます。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-f6ed.html 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-a1ea.html 

ここで紹介した蔵は合計で11蔵しかなく全体の約30%にしかなりませんので、今回はもっと紹介したかったのですが、今回は僕が飲んで面白いなと思った蔵の中で比較的若い人が酒を造っている蔵に良いものがあったので、その蔵の現状を含めて紹介することにしました。 

1.佐藤酒造店 越生梅林 

この蔵は越生梅林のある場所の近くにある蔵で、東武八高線の越生駅から北東に約1.5㎞程行ったところにあり、関東地方全体から見ると平野から秩父の山々の方にちょっと入ったところにあります。近くに越辺川が流れ、日本関東百選に選ばれている「黒山三滝」を源とする奇麗な水がでるところのようです。創業は1844年ですから江戸末期ですが、きっと梅の産地として有名な街のお酒として地元中心に酒造りを続けてきたのでしょう。 

ですから冬の時期に日本酒を造り、6月以降より梅酒を造ってきた蔵ですが、日本酒造りにはきちっとしたこだわりがありました。それは、麹歩合を23%として米本来の味を出すこと、低温長期醸造で喉越しの良い酒を造ること、人の目が届く少量生産をすることをモットーとしてきたようです。現在の社長は佐藤忠男さんで、「越生梅林「」という銘柄を立ち上げた人で、千葉県から来た杜氏と共に酒造りをしてきたそうです。 

でも、現在は20代を中心とした若手4名で生産量500石の酒造りをしているそうで、いつからそんな蔵になったのでしょうか。実はそれは2011年に「起きた東日本大震災と関係があるそうです。 

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この方が杜氏の佐藤麻里子さんです。女性のお年を聞いてはいけないけれども、まだ26歳の超若手杜氏です。麻里子さんはこの蔵の長女で昔から酒造りのお手伝いをしていたそうですが、蔵を継ぐつもりななく東京の大妻女子大に行ったそうです。そんな時に東北大震災が起こったのです。蔵の造りは古いので瓦や壁が落ち、まともな酒造りができないと判断し、社長は蔵をやめようと決意したそうですが、家族会議をした結果、子供たち(麻里子さんと弟)が廃業するのを反対し、2人が後を継ぐということで廃業をやめたそうです。 

麻里子さんは大学を卒業した後、蔵の杜氏に酒造りを教わり酒造りを始めたのですが、高校時代から酒造りが好きだったせいか、すぐの腕を上げてきたので、杜氏にすることを決めたそうです。ですから酒造りをして4年年目、杜氏になって3年目だと思います。杜氏としての経験はまだ浅いので、どんなお酒を造るのか興味がありました。 

杜氏になって最初に作ったのが純米吟醸「まりこのさけ」です。 

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この酒は女性にも気楽に飲んでもらえるように瓶の容量も500mlと小さくして、デザインの梅のもようを前面に出した女性らしいお酒でしたが、大変評判が良かったけど、今年からは女性らしさを前面には出さない新しいブランドの「中田屋」を立ち上げています。これはどんなお酒なのでしょうか。下に写真をお見せします。
 

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中田屋は特約の酒屋だけに卸すブランドなので、この会にはそのお酒はありませんでしたが、それと同質なお酒が用意されていました。このお酒は「中田屋」と同様に、ラベルの色で原料米がわかるようにされていて、赤は美山錦、青が五百万石、桃色が五百万石と美山錦のブレンド、銀色(?)が山田錦です。僕は飲んだ中で赤の五百万石が気に入りましたので、それを持ってもらいました。 

飲んでみますと香りはあまりたたずに、口に含むと優しい甘みが静かに広がり、後味がぱっと切れるのではなく、静かに辛みを伴わないでフェードアウトするお酒でした。一言でいえば女性ら良いお酒と言えます。他のお酒はまだちょっと完成度が低い気がしましたが、酒造りへの彼女のセンスが感じられるお酒と言えます。 

子供たちが蔵の後を継ぐことが決まってから、社長は蔵の全面改築をはじめ2年前に最新鋭の蔵が完成し、娘が杜氏としてスタートするという華々しい立ち上がりをしましたが、なんといってもまだまだ立ち上がったばかりの蔵なのですから、暖かく見守っていきたいと思っております。これからどんな変化をしていくのか楽しみです。 

気づいた方のおられると思いますが、佐藤麻里子さんの名前は幻舞の杜氏の千野麻里子さんと同じ漢字ですから、良い杜氏になると思いますよ。 

2.石井酒造 初緑、豊明

石井酒造は久喜市の近くにある東武日光線の幸手市にあります。ここは日光街道と御成街道の分岐手にあたる、宿場町として栄えたところです。この日光街道沿いの大地主であった石井家が造り酒屋を開業したのが始まりで、創業は1840年ですから、180年近い歴史を持つ老舗の蔵です。昔はお酒を飲む風習が定着していたので、全盛期には5000石という大規模な生産量があったそうですが、昭和の終わりになって次第に生産量がへり、平成のはじめには3000石とになっていたようです。 

石井家の当主は歴代才覚があった人が多いようで、5代目は酒類卸業を、6代目が幸手ガス事業を起こし、7代目の前社長の石井明さんは所有する土地を利用してゴルフ練習場G-FIVEを立ち上げるだけでなく、酒事業も生産縮小を見込んで2000年には蔵の改築をしたようです。面白い写真を見つけました。下のURLをクリックしてください。 

https://www.google.co.jp/maps/place/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E9%85%92%E9%80%A0%EF%BC%88%E6%A0%AA%EF%BC%89/@36.0689756,139.7100067,3a,75y,90t/data=!3m8!1e2!3m6!1sAF1QipOhH9jjq1q6EPDhT-Md917xZwGFWlSq1oZ_ZGj3!2e10!3e12!6shttps:%2F%2Flh5.googleusercontent.com%2Fp%2FAF1QipOhH9jjq1q6EPDhT-Md917xZwGFWlSq1oZ_ZGj3%3Dw128-h86-k-no!7i1616!8i1080!4m5!3m4!1s0x0:0xc9832d448850a095!8m2!3d36.0689756!4d139.7100067 

この石井酒造の写真を見ると、ゴルフ場の写真とスーパーマーケトBELCの写真と石井酒造の写真が一緒に載っています。これから想像すると、蔵の敷地の大部分をBELCに売ったか貸した後に残った蔵を改築して新しい蔵にしたのではないかと想像できます。いやーお金持の蔵のようですね。 

でもこの蔵が大きく変わったのは息子さんの石井誠さんが蔵に戻ってからです。誠さんは1987年生まれで、蔵を継ぐことは大学に行く時から決めていたので、経営を学ぶために早稲田大学の商学部に入学されて、卒業後は東京の醸造研究所で3か月研修を受けた後、東京の小山酒造で酒造りを学び、父の助言でガス会社で2年勉強した後、2013年に蔵に戻ってきます。そしてその年11月には8代目の社長に就任することになります。下の写真が石井誠さんで現在30歳です。 

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これは前社長が蔵を改築した時から思い描いていたことだと思います。その証拠に誠さんが蔵に戻る3年前に若き優秀な蔵人を採用しています。彼は和久田健吾さんといい、2010年に東京農大醸造学部の修士課程を修了した優秀な方ですが、研究より実践をしたいと思い、大学時代に石井酒造を紹介され、社長の明さんと面接をしています。その時、入社したらすぐに酒造りを任せるということを仰ったので、入社を決めたそうです。それは息子が蔵に戻る時までに杜氏として酒造りを習得してもらう狙いがあったからだと思います。そして、息子が戻ったら、酒造りはすべて息子に任せ、自分は社長を退くというシナリオがあったに違いありません。 

ですから、2013年の造りから、26才の石井誠社長、27才の和久田杜氏というコンビがスタートしたことになり、若い人たちによる新しい酒造りが始まりました。誠さんは良いお酒を造るだけではなく、埼玉県の酒をもっと世に知らしめることをやりたいと思っていましたので、すぐに2つの新しい企画を立ち上げました。 

第一の企画はクラウドファンディングのプロジェクトです。簡単に言うとお客様に資金を出してもらって、その資金で大吟醸「2歳の醸」を造って配布するというプロジェクトだそうです。これは見事に成功し約200万円を集めたそうです。下の写真がその時の「二歳の醸」と思われます。 

548901a702404d38910a271e0aa983e6
今でもこのシステムはオーナー制度として残っています。、現在は一人1万2千円で、定員100名でオーナーを募集して、色々な種類の720ml6本と酒粕を配布しています。また2歳の醸はこの名前の権利を宝酒造に渡して2016年には宝酒造から新しい「2歳の醸」のお酒が出たようです。色々なことをする蔵ですね。 

次に打ち出した企画は「埼玉SAKUダービー」です。これは埼玉県にある二つの蔵が、水、米、精米歩合、種麹、酵母を同じの酒を造って、どちらのお酒が旨いかをお客様に決めてもらうものです。自分お蔵のほかには和久田さんの先輩の鈴木隆広さんが杜氏をしている久喜市の寒梅酒造が選ばれました。これはどちらが人気があったかが大切ではなく、これにより、2つの蔵の酒の知名度を上げるの目的のようです。でも酒の銘柄を石井酒造の酒を「彩の原石 幸」とよび、寒梅酒造の酒を「彩の原石 喜」としたのは、埼玉県には良い酒があるよと叫んでいる感じがします。 

この蔵は新しい体制ができてからまだ3造りしかしていませんので、お酒の酒質を問うのは少し厳しいかもしれませんが、今年の全国新酒鑑評会で初めて金賞を取っていますのでとても楽しみです。どんなお酒を造っているのでしょうか。 

この会場では豊明と初緑のお酒を飲みました。初緑はアルコール添加した吟醸酒で、山田錦や美山錦を使った原則9号酵母のお酒ですが、豊明は純米酒で埼玉県産のさけ武蔵を使い埼玉酵母を使っています。埼玉酵母はAからHまで色々あるそうで、目的に合わせて、使い分けているそうです。ここでは豊明の純米吟醸の花火を飲みましたが、甘みがあって香りはイソアミル系のさわやかな香りのあるお酒でした。 

ここのお酒のイメージはまだはっきりしないところがあるので、どんなお酒を狙っていますかとお聞きしたら、色々なタイプのお酒を造りながら色々と試している時期ですと言われたように、酒としてはこれから変化しながら定着していくものと思われます。蔵の生産量はまだ200石だそうですから、これからじっくりと立ち上げていくのでしょうね。 

3.滝澤酒造 菊泉

この蔵は深谷市の旧中山道沿いの、JR深谷駅から数百mのところにあります。ここは古くから宿場町として栄えたところですので、多くの酒蔵があったものと思われます。この蔵の創業は1863年に小川町で行い、明治33年にここに移転してきたそうですから、ここで他の蔵と競い合って生き残った蔵だと思います。 

ですから今でも昔の風情を残した蔵で、インターネットで見ると蔵の母屋の写真のような、昔の趣のある姿をしていますが、蔵そのものは赤レンガ造りだそうです。その後どのように成長したかはわかりませんが、現社長の滝澤常昭さんは、地域のロータリークラブや深谷商工会議所の役員をされている方のようです。
 

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現在は息子さんの滝澤英之さんが専務取締役・杜氏として酒造りを一手に引き受けてやられているようです。 英之さんは蔵元の長男として生まれましたが、若い頃は酒造りをするつもりはなかったそうです。でも親からはお前は後を継ぐもんだと言われていたので、最後はそうなるのかなとは思ったそうですが、大学に行くときはそのつもりは全くなく、早稲田大学の教育学部に入ったそうです。大学3年生の時に漫画の「夏子の酒」を読んだ時に、昔の蔵の光景が思い出され、酒造りは面白そうだと思ったのが酒造りをする切っ掛けになったようです。 

大学卒業後は福生市にある石川酒造に3年間お世話になり酒造りを勉強し、その後広島の醸造研究所で1年間研修を積んで、1994年に蔵に戻ってきました。蔵には南部杜氏がおられて、その方にみっちり酒造りの指導を受けたそうですが、石川酒造の杜氏は越後杜氏で、南部杜氏とは細かいところでだいぶ違ったので、最初は大変戸惑ったそうです。それでも南部流の酒造りを勉強していくうちに、その違いの良いところが判ってきましたが、基礎となっているのは南部流の方法だそうです 

結局9年間南部杜氏の下で勉強した、1996年から杜氏になって、全ての酒造りを任せられたそうです。でも最初の1-2年は思った酒だできず、それまで4年間全国新酒鑑評会で金賞を取ってきたのに、自分が杜氏になってからは3年間金賞は取れなかったそうです。でも4年目になってやっと安定した酒が造れるようになって、その後は連続して全国新酒鑑評会で金賞が取れただけでなく、、IWCの鑑評会でも金メダルを取れるようになって、現在に至っています。 

前述した2つの蔵では若い人が簡単に杜氏になったかと思うと、英之さんのように12年の下済みを経てやっと杜氏になった人がいますので、単に杜氏と言ってもその実力を測ることは難しいように思えます。でも長年の経験によって身につくことはいっぱいあると思うので、英之さんがどんな酒を造っているのかは大変楽しみでした。 

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この方が滝澤英之さんで、現在46才ですから決して若手ではありませんが、敢えて選ばせていただきました。この蔵はどんなお酒を造っているのでしょうか。 

この蔵の酒たるブランドは菊泉で、菊のように香り高く、泉のように清らかな酒という意味だそうです。その主力製品は「菊泉 さけ武蔵吟醸生原酒」でした。この酒はさけ武蔵60%精米で、アルコール度18%、日本酒度1.5、酸度1.2のアルコール添加の吟醸酒です。飲んでみると口当たりがとても良くてさわやかな香りがあるけど、アルコールの強さを感じない驚きのお酒でした。これは技術のなせる業だと思いました。英之さんはさすが、腕のいい杜氏になっておられましたね。 

もう一つ見つけたお酒が「菊泉 ひとすじ」です。このお酒は今年発足したAWA協会が認定するスパークリング酒で、2016年に発売を開始したお酒です。このAWA協会の認定基準は大変難しく、この協会に参加しているのは生産高が2000石を超える蔵ばかりで、生産高500石の滝澤酒造が参加することは凄いことです。でもこれができたのは偶然ではありません。2010年にはこれの基になる瓶内二次発酵の発泡酒「彩の淡雪」を発売していたので、これを改良して完成させたそうです。 

原料米はさけ武蔵60%精米、アルコール度12%、日本酒度ー26、酸度4.3というお酒ですが、僕が飲んだことのある水芭蕉や七賢に決して劣らない素晴らしいお酒だと思いました。この技術も簡単にできるものではないのにちゃんと完成させているのはただものではないですね。これからどんな酒が飛び出してくるのか楽しみです。 

4.権田酒造 直実

Dsc07633この蔵は熊谷市にある老舗の蔵で創業は1850年です。この地は平安時代に武将・僧侶として活躍した熊谷次郎直実が有名ですが、その名前を取ったお酒「直実」を主要銘柄としています。 

いつもは社長の権田清志さんがおられるのですが、今年は息子さんの権田直仁さんがおられました。直仁さんは東京農大の醸造学部を卒業後スーパーで働いていたのですが、4年ほど働いたのち、親が帰って来いというものですから、今年から蔵に戻ったばかりで、まだ造りはやっていないそうです。 

持っていただいたのは特別純米さけ武蔵です。地元のさけ武蔵60%精米、9号酵母を使った純米酒で、アルコール度数15%、日本酒度+5、アミノ酸1.5、と言っていましたが、飲んでみると全く辛みを感じない、どっしり味のあるけど飲みやすい不思議なお酒でした。これをお燗をするとさらに旨みが出て楽しいお酒に変身しました。これは今どきのお酒ではない良いお酒です。 

お父さんの権田清志さんは熱血漢で酒造りの熱い思いを持った人なので、その血を引き継いだ直仁さんにはこれから大いに活躍してもらいたいと思います。 

以上で僕が推薦する4つの蔵の紹介を終えます。佐藤酒造店以外はすでに1回紹介した蔵ばかりですが、新しい情報がいっぱいあったので、少し詳しく紹介さていただきました。また、権田酒造の直仁さんはこれからの人なので、簡単な紹介に終わらせていただきました。

このほかにも注目すべき蔵として、寒梅の寒梅酒造、帝松の松岡醸造、天覧山の五十嵐酒造、力士の釜屋酒造などが良かったとおもいますが、こまた次の機会に紹介させていただきます。

最後にこの会に注文を付けるとしたら、1部の開始時間をもう少し早めて、2時間以上取っていただきたかったです。よろしくご検討をお願いいたします

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埼玉県には新しさを感じる若手の蔵があります

毎年10月の上旬に埼玉県酒造組合の主催による大試飲会が大宮のソニックシティでひらかれますが、今年は10月10日の火曜日に埼玉35蔵(登録されている全蔵数)が一同に会しての大試飲会が開かれましたので参加しました。 

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この会は1部と2部に分かれていて、前半は酒造関係者のための時間で、14時30分から1時間半、2部一般消費者向けでその会場で引き続いて16時から19時半まで行われます。今回は取材を目的として1部から参加し、試飲した酒はすべて吐きする形で頑張りました。でも、1時間半で35蔵全部の試飲はとても不可能だし、16時からは人が多くなりすぎて取材どころではなくなりました。 

今回参加して受けた印象は、埼玉の蔵の質が確実に上がっていると思ったことです。例えば川越のある鏡山ですが、昔はうまいけどパンチが強すぎて沢山は呑めない酒だなと思っていましたが、今回飲んでみると味はきちっと残しながら奇麗さが出たお酒に変身していました。柿沼杜氏にその理由をお聞きしたら、自分でもわからないけどお客様の要望を聞いているうちに変わってきたのですと言われたのが印象的でした。これはとても良いことだと思いますが、下手をするとみんな同じような酒になる恐れがあるので、気をつけてもらいたいですね。 

埼玉県の蔵のお酒は昔は印象が薄かったので、2008年と2014年にこの会に参加して自分なりに気に入った蔵ののお酒をブログにまとめたことがありましたので、それを下に載せておきます。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-f6ed.html 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-a1ea.html 

ここで紹介した蔵は合計で11蔵しかなく全体の約30%にしかなりませんので、今回はもっと紹介したかったのですが、今回は僕が飲んで面白いなと思った蔵の中で比較的若い人が酒を造っている蔵に良いものがあったので、その蔵の現状を含めて紹介することにしました。 

1.佐藤酒造店 越生梅林 

この蔵は越生梅林のある場所の近くにある蔵で、東武八高線の越生駅から北東に約1.5㎞程行ったところにあり、関東地方全体から見ると平野から秩父の山々の方にちょっと入ったところにあります。近くに越辺川が流れ、日本関東百選に選ばれている「黒山三滝」を源とする奇麗な水がでるところのようです。創業は1844年ですから江戸末期ですが、きっと梅の産地として有名な街のお酒として地元中心に酒造りを続けてきたのでしょう。 

ですから冬の時期に日本酒を造り、6月以降より梅酒を造ってきた蔵ですが、日本酒造りにはきちっとしたこだわりがありました。それは、麹歩合を23%として米本来の味を出すこと、低温長期醸造で喉越しの良い酒を造ること、人の目が届く少量生産をすることをモットーとしてきたようです。現在の社長は佐藤忠男さんで、「越生梅林「」という銘柄を立ち上げた人で、千葉県から来た杜氏と共に酒造りをしてきたそうです。 

でも、現在は20代を中心とした若手4名で生産量500石の酒造りをしているそうで、いつからそんな蔵になったのでしょうか。実はそれは2011年に「起きた東日本大震災と関係があるそうです。 

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この方が杜氏の佐藤麻里子さんです。女性のお年を聞いてはいけないけれども、まだ26歳の超若手杜氏です。麻里子さんはこの蔵の長女で昔から酒造りのお手伝いをしていたそうですが、蔵を継ぐつもりななく東京の大妻女子大に行ったそうです。そんな時に東北大震災が起こったのです。蔵の造りは古いので瓦や壁が落ち、まともな酒造りができないと判断し、社長は蔵をやめようと決意したそうですが、家族会議をした結果、子供たち(麻里子さんと弟)が廃業するのを反対し、2人が後を継ぐということで廃業をやめたそうです。 

麻里子さんは大学を卒業した後、蔵の杜氏に酒造りを教わり酒造りを始めたのですが、高校時代から酒造りが好きだったせいか、すぐの腕を上げてきたので、杜氏にすることを決めたそうです。ですから酒造りをして4年年目、杜氏になって3年目だと思います。杜氏としての経験はまだ浅いので、どんなお酒を造るのか興味がありました。 

杜氏になって最初に作ったのが純米吟醸「まりこのさけ」です。 

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この酒は女性にも気楽に飲んでもらえるように瓶の容量も500mlと小さくして、デザインの梅のもようを前面に出した女性らしいお酒でしたが、大変評判が良かったけど、今年からは女性らしさを前面には出さない新しいブランドの「中田屋」を立ち上げています。これはどんなお酒なのでしょうか。下に写真をお見せします。
 

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中田屋は特約の酒屋だけに卸すブランドなので、この会にはそのお酒はありませんでしたが、それと同質なお酒が用意されていました。このお酒は「中田屋」と同様に、ラベルの色で原料米がわかるようにされていて、赤は美山錦、青が五百万石、桃色が五百万石と美山錦のブレンド、銀色(?)が山田錦です。僕は飲んだ中で赤の五百万石が気に入りましたので、それを持ってもらいました。 

飲んでみますと香りはあまりたたずに、口に含むと優しい甘みが静かに広がり、後味がぱっと切れるのではなく、静かに辛みを伴わないでフェードアウトするお酒でした。一言でいえば女性ら良いお酒と言えます。他のお酒はまだちょっと完成度が低い気がしましたが、酒造りへの彼女のセンスが感じられるお酒と言えます。 

子供たちが蔵の後を継ぐことが決まってから、社長は蔵の全面改築をはじめ2年前に最新鋭の蔵が完成し、娘が杜氏としてスタートするという華々しい立ち上がりをしましたが、なんといってもまだまだ立ち上がったばかりの蔵なのですから、暖かく見守っていきたいと思っております。これからどんな変化をしていくのか楽しみです。 

気づいた方のおられると思いますが、佐藤麻里子さんの名前は幻舞の杜氏の千野麻里子さんと同じ漢字ですから、良い杜氏になると思いますよ。 

2.石井酒造 初緑、豊明

石井酒造は久喜市の近くにある東武日光線の幸手市にあります。ここは日光街道と御成街道の分岐手にあたる、宿場町として栄えたところです。この日光街道沿いの大地主であった石井家が造り酒屋を開業したのが始まりで、創業は1840年ですから、180年近い歴史を持つ老舗の蔵です。昔はお酒を飲む風習が定着していたので、全盛期には5000石という大規模な生産量があったそうですが、昭和の終わりになって次第に生産量がへり、平成のはじめには3000石とになっていたようです。 

石井家の当主は歴代才覚があった人が多いようで、5代目は酒類卸業を、6代目が幸手ガス事業を起こし、7代目の前社長の石井明さんは所有する土地を利用してゴルフ練習場G-FIVEを立ち上げるだけでなく、酒事業も生産縮小を見込んで2000年には蔵の改築をしたようです。面白い写真を見つけました。下のURLをクリックしてください。 

https://www.google.co.jp/maps/place/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E9%85%92%E9%80%A0%EF%BC%88%E6%A0%AA%EF%BC%89/@36.0689756,139.7100067,3a,75y,90t/data=!3m8!1e2!3m6!1sAF1QipOhH9jjq1q6EPDhT-Md917xZwGFWlSq1oZ_ZGj3!2e10!3e12!6shttps:%2F%2Flh5.googleusercontent.com%2Fp%2FAF1QipOhH9jjq1q6EPDhT-Md917xZwGFWlSq1oZ_ZGj3%3Dw128-h86-k-no!7i1616!8i1080!4m5!3m4!1s0x0:0xc9832d448850a095!8m2!3d36.0689756!4d139.7100067 

この石井酒造の写真を見ると、ゴルフ場の写真とスーパーマーケトBELCの写真と石井酒造の写真が一緒に載っています。これから想像すると、蔵の敷地の大部分をBELCに売ったか貸した後に残った蔵を改築して新しい蔵にしたのではないかと想像できます。いやーお金持の蔵のようですね。 

でもこの蔵が大きく変わったのは息子さんの石井誠さんが蔵に戻ってからです。誠さんは1987年生まれで、蔵を継ぐことは大学に行く時から決めていたので、経営を学ぶために早稲田大学の商学部に入学されて、卒業後は東京の醸造研究所で3か月研修を受けた後、東京の小山酒造で酒造りを学び、父の助言でガス会社で2年勉強した後、2013年に蔵に戻ってきます。そしてその年11月には8代目の社長に就任することになります。下の写真が石井誠さんで現在30歳です。 

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これは前社長が蔵を改築した時から思い描いていたことだと思います。その証拠に誠さんが蔵に戻る3年前に若き優秀な蔵人を採用しています。彼は和久田健吾さんといい、2010年に東京農大醸造学部の修士課程を修了した優秀な方ですが、研究より実践をしたいと思い、大学時代に石井酒造を紹介され、社長の明さんと面接をしています。その時、入社したらすぐに酒造りを任せるということを仰ったので、入社を決めたそうです。それは息子が蔵に戻る時までに杜氏として酒造りを習得してもらう狙いがあったからだと思います。そして、息子が戻ったら、酒造りはすべて息子に任せ、自分は社長を退くというシナリオがあったに違いありません。 

ですから、2013年の造りから、26才の石井誠社長、27才の和久田杜氏というコンビがスタートしたことになり、若い人たちによる新しい酒造りが始まりました。誠さんは良いお酒を造るだけではなく、埼玉県の酒をもっと世に知らしめることをやりたいと思っていましたので、すぐに2つの新しい企画を立ち上げました。 

第一の企画はクラウドファンディングのプロジェクトです。簡単に言うとお客様に資金を出してもらって、その資金で大吟醸「2歳の醸」を造って配布するというプロジェクトだそうです。これは見事に成功し約200万円を集めたそうです。下の写真がその時の「二歳の醸」と思われます。 

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今でもこのシステムはオーナー制度として残っています。、現在は一人1万2千円で、定員100名でオーナーを募集して、色々な種類の720ml6本と酒粕を配布しています。また2歳の醸はこの名前の権利を宝酒造に渡して2016年には宝酒造から新しい「2歳の醸」のお酒が出たようです。色々なことをする蔵ですね。 

次に打ち出した企画は「埼玉SAKUダービー」です。これは埼玉県にある二つの蔵が、水、米、精米歩合、種麹、酵母を同じの酒を造って、どちらのお酒が旨いかをお客様に決めてもらうものです。自分お蔵のほかには和久田さんの先輩の鈴木隆広さんが杜氏をしている久喜市の寒梅酒造が選ばれました。これはどちらが人気があったかが大切ではなく、これにより、2つの蔵の酒の知名度を上げるの目的のようです。でも酒の銘柄を石井酒造の酒を「彩の原石 幸」とよび、寒梅酒造の酒を「彩の原石 喜」としたのは、埼玉県には良い酒があるよと叫んでいる感じがします。 

この蔵は新しい体制ができてからまだ3造りしかしていませんので、お酒の酒質を問うのは少し厳しいかもしれませんが、今年の全国新酒鑑評会で初めて金賞を取っていますのでとても楽しみです。どんなお酒を造っているのでしょうか。 

この会場では豊明と初緑のお酒を飲みました。初緑はアルコール添加した吟醸酒で、山田錦や美山錦を使った原則9号酵母のお酒ですが、豊明は純米酒で埼玉県産のさけ武蔵を使い埼玉酵母を使っています。埼玉酵母はAからHまで色々あるそうで、目的に合わせて、使い分けているそうです。ここでは豊明の純米吟醸の花火を飲みましたが、甘みがあって香りはイソアミル系のさわやかな香りのあるお酒でした。 

ここのお酒のイメージはまだはっきりしないところがあるので、どんなお酒を狙っていますかとお聞きしたら、色々なタイプのお酒を造りながら色々と試している時期ですと言われたように、酒としてはこれから変化しながら定着していくものと思われます。蔵の生産量はまだ200石だそうですから、これからじっくりと立ち上げていくのでしょうね。 

3.滝澤酒造 菊泉

この蔵は深谷市の旧中山道沿いの、JR深谷駅から数百mのところにあります。ここは古くから宿場町として栄えたところですので、多くの酒蔵があったものと思われます。この蔵の創業は1863年に小川町で行い、明治33年にここに移転してきたそうですから、ここで他の蔵と競い合って生き残った蔵だと思います。 

ですから今でも昔の風情を残した蔵で、インターネットで見ると蔵の母屋の写真のような、昔の趣のある姿をしていますが、蔵そのものは赤レンガ造りだそうです。その後どのように成長したかはわかりませんが、現社長の滝澤常昭さんは、地域のロータリークラブや深谷商工会議所の役員をされている方のようです。
 

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現在は息子さんの滝澤英之さんが専務取締役・杜氏として酒造りを一手に引き受けてやられているようです。 英之さんは蔵元の長男として生まれましたが、若い頃は酒造りをするつもりはなかったそうです。でも親からはお前は後を継ぐもんだと言われていたので、最後はそうなるのかなとは思ったそうですが、大学に行くときはそのつもりは全くなく、早稲田大学の教育学部に入ったそうです。大学3年生の時に漫画の「夏子の酒」を読んだ時に、昔の蔵の光景が思い出され、酒造りは面白そうだと思ったのが酒造りをする切っ掛けになったようです。 

大学卒業後は福生市にある石川酒造に3年間お世話になり酒造りを勉強し、その後広島の醸造研究所で1年間研修を積んで、1994年に蔵に戻ってきました。蔵には南部杜氏がおられて、その方にみっちり酒造りの指導を受けたそうですが、石川酒造の杜氏は越後杜氏で、南部杜氏とは細かいところでだいぶ違ったので、最初は大変戸惑ったそうです。それでも南部流の酒造りを勉強していくうちに、その違いの良いところが判ってきましたが、基礎となっているのは南部流の方法だそうです 

結局9年間南部杜氏の下で勉強した、1996年から杜氏になって、全ての酒造りを任せられたそうです。でも最初の1-2年は思った酒だできず、それまで4年間全国新酒鑑評会で金賞を取ってきたのに、自分が杜氏になってからは3年間金賞は取れなかったそうです。でも4年目になってやっと安定した酒が造れるようになって、その後は連続して全国新酒鑑評会で金賞が取れただけでなく、、IWCの鑑評会でも金メダルを取れるようになって、現在に至っています。 

前述した2つの蔵では若い人が簡単に杜氏になったかと思うと、英之さんのように12年の下済みを経てやっと杜氏になった人がいますので、単に杜氏と言ってもその実力を測ることは難しいように思えます。でも長年の経験によって身につくことはいっぱいあると思うので、英之さんがどんな酒を造っているのかは大変楽しみでした。 

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この方が滝澤英之さんで、現在46才ですから決して若手ではありませんが、敢えて選ばせていただきました。この蔵はどんなお酒を造っているのでしょうか。 

この蔵の酒たるブランドは菊泉で、菊のように香り高く、泉のように清らかな酒という意味だそうです。その主力製品は「菊泉 さけ武蔵吟醸生原酒」でした。この酒はさけ武蔵60%精米で、アルコール度18%、日本酒度1.5、酸度1.2のアルコール添加の吟醸酒です。飲んでみると口当たりがとても良くてさわやかな香りがあるけど、アルコールの強さを感じない驚きのお酒でした。これは技術のなせる業だと思いました。英之さんはさすが、腕のいい杜氏になっておられましたね。 

もう一つ見つけたお酒が「菊泉 ひとすじ」です。このお酒は今年発足したAWA協会が認定するスパークリング酒で、2016年に発売を開始したお酒です。このAWA協会の認定基準は大変難しく、この協会に参加しているのは生産高が2000石を超える蔵ばかりで、生産高500石の滝澤酒造が参加することは凄いことです。でもこれができたのは偶然ではありません。2010年にはこれの基になる瓶内二次発酵の発泡酒「彩の淡雪」を発売していたので、これを改良して完成させたそうです。 

原料米はさけ武蔵60%精米、アルコール度12%、日本酒度ー26、酸度4.3というお酒ですが、僕が飲んだことのある水芭蕉や七賢に決して劣らない素晴らしいお酒だと思いました。この技術も簡単にできるものではないのにちゃんと完成させているのはただものではないですね。これからどんな酒が飛び出してくるのか楽しみです。 

4.権田酒造 直実

Dsc07633この蔵は熊谷市にある老舗の蔵で創業は1850年です。この地は平安時代に武将・僧侶として活躍した熊谷次郎直実が有名ですが、その名前を取ったお酒「直実」を主要銘柄としています。 

いつもは社長の権田清志さんがおられるのですが、今年は息子さんの権田直仁さんがおられました。直仁さんは東京農大の醸造学部を卒業後スーパーで働いていたのですが、4年ほど働いたのち、親が帰って来いというものですから、今年から蔵に戻ったばかりで、まだ造りはやっていないそうです。 

持っていただいたのは特別純米さけ武蔵です。地元のさけ武蔵60%精米、9号酵母を使った純米酒で、アルコール度数15%、日本酒度+5、アミノ酸1.5、と言っていましたが、飲んでみると全く辛みを感じない、どっしり味のあるけど飲みやすい不思議なお酒でした。これをお燗をするとさらに旨みが出て楽しいお酒に変身しました。これは今どきのお酒ではない良いお酒です。 

お父さんの権田清志さんは熱血漢で酒造りの熱い思いを持った人なので、その血を引き継いだ直仁さんにはこれから大いに活躍してもらいたいと思います。 

以上で僕が推薦する4つの蔵の紹介を終えます。佐藤酒造店以外はすでに1回紹介した蔵ばかりですが、新しい情報がいっぱいあったので、少し詳しく紹介さていただきました。また、権田酒造の直仁さんはこれからの人なので、簡単な紹介に終わらせていただきました。

このほかにも注目すべき蔵として、寒梅の寒梅酒造、帝松の松岡醸造、天覧山の五十嵐酒造、力士の釜屋酒造などが良かったとおもいますが、こまた次の機会に紹介させていただきます。

最後にこの会に注文を付けるとしたら、1部の開始時間をもう少し早めて、2時間以上取っていただきたかったです。よろしくご検討をお願いいたします

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2017年10月 2日 (月)

フルネットの出汁割り酒の秘密

9月30日にフルネットの社長の中野さんがおすすめする[出汁割り酒の飲む会」が荻窪のいちべえで開かれましたので、参加しました。もともと中野さんは広島の呉市にある二反田醤油店で生産されている「だし道楽」で割った日本酒はお燗に向いていて、素晴らしいとFACEBOOKで書いているのを目にしていたので、どんな造りをしてどんな味のお酒なのかを知りたくて参加しました。 

中野さんはし道楽濃度とお酒の混合比率をいろいろ検討した結果見、つけ出した黄金比率で作ったお酒を見せていただきました。そのお酒を紹介します。 

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このお酒は南部美人と共同で開発したもので、南部美人の特別純米酒と中野さんが提案する出し割りの黄金比率で混合したアルコールの濃度8%のお燗専用のリキュールですが、まだ販売はしていません。これから皆さん意見を聞きながら、販売をしていくそうです。 

このお酒をひやで飲んでみましたら、アルコール入りの出汁といった感じでしたが、輪郭がはっきりしないお酒で、まずくはないけどうまくない酒でした。でも飲んだイメージはだしの味があまり強くなかったように思いました。 

中野さんの指導の下、65度から70度の熱燗で飲んでみましたら、ガラッと変化しました。軽やかな「出汁の香」を感じながら、日本酒の旨みが加わって、バランスが良くなってなかなかのお酒に変化しました。温度としては70度くらいが良いように思えました。これに七味を入れるとピリピリ感が入り、輪郭がはっきりしてよくなるけれども、僕は七味より一味の方が良いような気がしました。 

この発想の基は赤羽で飲んだ「だし酒」で、1カップのお酒を飲んで1/3に減った時におでんのだしを入れるそうです。このお酒がすごくおいしかったので、これをベースにそれ以上のお酒を目指して開発したそうです。 

ではこのお酒度どのように作ったのでしょうか。まず、出汁について考えます。二反田醤油のあごだしは下記の写真のように2種類あって、左が宗田カツオが入っていないもの、右が宗田カツオが入っているのです。中野さんのお話ではカツオが入ると生臭くなるので、入らないほうが適しているそうです。このだしは自動販売機で700円で購入できできます。この店のインターネット販売でも購入できますが、送料が500円ほどかかりますので、自動販売機の方が良いでしょう。 

43796501110449896出汁割り酒の作り方は企業秘密で詳細は明かすことはできませんが、15%アルコール濃度のお酒と出汁を混ぜて8%のお酒を360ml造る場合の計算をしてみると、お酒192mlに、出汁168mlとなりますので、お酒と出汁の比率はこの数値に近いと思われます。 

問題は出汁の濃度ですが、正確にはお伝え出来ませんが、出汁のメーカーは通常は7-8倍薄めて使うことを推奨しています。上記の出汁割り酒の冷を飲んだ時に出汁の味があまり強くなかったので10倍以上薄めていると思われますが、詳しくはわかりません。 

以上で中野流だし割り酒の紹介は終わりますが、自分でやりたい方はだしを10倍以上に薄めて8%濃度のお酒を造れば似たようなものはできると思いますが、年内にフルネットから販売されるようですので、販売されたらぜひ購入して確かめてください。試しに自分でやってみたら出汁が濃いと冷なら良いのですが、お燗をすると香りが立ちすぎてしまいました 自分でやるときはだしの濃さを色々変える必要がありそうです。

僕としては常温かぬる燗でもおいしい出汁酒にチャレンジしてみるつもりですが、お酒の酒類、だしの濃度が問題です。アルコール濃度は少し高いほうで試してみます。常温の場合はだしの濃度を少し濃いめにした方がいいかなと考えています。

出汁割り酒は実はすでに販売されていて、香川県の川鶴酒造が炙りいりこ酒というのを出しています。片口イワシを炙ったものを普通酒に漬け込んだものらしく、アルコール度数は13度でした。出し割り酒ではなくひれ酒に近いものと思われますが、このお酒も65度から70度の熱燗で飲むように書いてありました。中野さんが持ってこられた物を写真に載せておきます。

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最後に中野さんの勧める日本酒を紹介します。 

Dsc_0114_4このお酒は兵庫県の田中酒造場が造ったお酒で、郷錦37%精米の純米大吟醸ですが、中野さんが新九郎とネーミングしてフルネットで販売しているお酒です。新九郎とというのは凛々しい男のイメージだそうです。中野さんが命名したお酒は11あるそうですで、 その代表的なものに飛露喜や一白水成があることは有名な話です。

この原料米は秋田県の大潟村で栽培した美郷錦で、今年は2年目だそうですが、今年から美郷錦に合わせた造りをして非常に良くなったそうです。 

飲んでみましたら、香りはほとんどカプロン酸エチルの香りはしませんがさわやかな香りの中で、しっかりした味わいのあるおいしいお酒でした。この会で大吟醸の而今と飛露喜の吟醸と飲み比べましたが、新九郎の方が人気があったようです。 

このお酒が1升5000円で買えるのなら、お買い得と言えそうです

この会では新九郎と而今と飛露喜を飲んで全てお燗してみましたが、どれも冷の方が旨いと思いました。お燗酒は向き不向きがあるのですね。

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2017年8月30日 (水)

雄町サミットに参加して感じた審査について

今年の雄町サミットは第9回目ですが、開催場所を例年行われてきた椿山荘から九段下のホテルグランドパレスに変更しただけでなく、第1部では酒類業界関係者限定の唎き酒会と日本酒の専門家による審査講評と受賞酒の発表第2部では受賞蔵の表彰と食事付の懇親会の2部制にして行われました。去年までは懇親会の会場でしか唎き酒ができなかったので、主に唎き酒をしに来た人はほとんど食事ができなかったけれども、今回はすでに唎き酒を終えている人が多かったので、ゆったりと楽しむことができて、大変良かったと思います。 

この会は岡山県酒造組合と岡山県酒造好適米酒造組合とJA全農おかやまが主催する会で岡山県で栽培した雄町の良さを全国に広めるために開始したもので、確かに出品する蔵の数も、お酒の出品数も年々増加の一途で、今年は126蔵、出品点数が194点にもなりました。この会が開催された最初の年は雄町の栽培面積も少なかったけれども、今ではぐんと増えたようで、このあたりの経緯については下記のブログを見てください。一時雄町がなくなってしまう恐れがあった時期もあったなんて知りませんでした。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-eb0a.html 

僕が雄町サミットに初めて参加したのは2009年で、その後毎年のごとく参加してきていますが、昔毎年受賞してきた蔵が最近受賞できなくなっているのを良く見かけるようになりました。そのお酒を飲んでみると、確かに受賞酒に比べると特徴が薄い気がしましたが、どんな基準で選出しているかはとても気になります。落選した蔵元さんに聞いても審査の基準がよくわからないと言われる方が多かったように思えます。今年は審査員の方の報告をよく聞いて、僕なりにどんな基準で審査されているかを考えてみました 

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<審査員の講評の紹介> 

審査員は毎年少し変わるようですが、今年は下記の7人の方で行われました。 

1.日本酒造組合中央会理事 濱田由紀雄
2.日本醸造協会会長  岡崎直人
3.山形県産酒スーパーアドバイザー 小関敏彦
4.日本酒輸出協会会長  松崎晴雄
5.上田酒類総合研究所所長  上田護國
6.酒類総合研究所主任研究員 大江吉彦
7.岡山県工業技術センター所長 産本弘之
 

僕は専門家でないので、この方はどのような人であるかは良くわかりませんが、経歴から見ると松崎さん以外は国税局の鑑定官や、酒類総合研究所や工業技術センターの経験がある方ばかりのようで、お酒の審査の専門家であることは間違いないようです。この7人の方が審査の講評をしていただいたので、まずそれを紹介します。 

.日本酒造組合中央会理事 濱田由紀雄 

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 ・ 審査の基準は雄町らしさがあるかどうかで決めた。
 ・ 具体的には柔らかなふくらみ、繊細な味、切れの良さであ
   る

 ・ 米の品質特性をお酒に引き出すための技術力が年々高まっ
      ているように思える。
 ・ 吟醸の部:香りは派手ではないが雄町らしい繊細な味が出て
      いた。
 ・ 純米の部:味わいが少ないものが多かったが、熟成すれば
   良くなると感じた。

2.日本醸造協会会長  岡崎直人
 

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 ・ 吟醸の部:以前より落ち着いた香りのものが多くなった。
 ・ 具体的にはカプロン酸エチルの香りの出し方が上手くなって

   いるのと、イソアミル系の香りのお酒もあり、雄町に合った
   香
りの研究が進んでいると感じた。
 ・ 純米の部:この分野には80%精米のお酒も含まれて、この
   お酒の味はかなり違っているので、今後は別の審査を考え
   る必要があると思う。
 ・ 出品酒の中に4VGの香りのお酒もあったが、原因はわかっ
   ているので、今後は対応してもらいたい。

3.山形県産酒スーパーアドバイザー 小関敏彦

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 ・ 吟醸酒は123点の出品のうち45点が結審に残ったが、その
   う ち20点は製造過程より貯蔵課程に問題があるように思え
   たので、今後は注意してもらいたい。
 ・ 特に生酒は生熟のものが多く、出品する前に確認してもらい
   たい。
 ・ 火入れの場合でも8月の審査では火入れの遅れが味の変化
   となって出るので注意が必要。
 ・ 純米酒は生酛、山廃、原酒、生酒と色々あったが、そのお酒
   の飲み頃を考えて出品してもらいたい。
 

4.日本酒輸出協会会長  松崎晴雄 

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 ・ 一つの米だけの市販酒の品評会はここだけであり貴重な場
   である
 ・ 多様性のある幅の広いお酒が集まったので、どうやって雄町
   らしさを評価するかは結構難しかった。
 ・ 雄町の特徴は酸味と甘みにあると思うが、今回は米が溶け
   なかったのか全般的に軽めの酒が多かった。
 ・ 雄町の特性を生かすためには香りの高い酵母ではなく、香り
   の少ない酵母でオーソドックスな作りをして、酸と甘みのバラ
   ンスを取った方が良いように感じた。
 ・ 雄町の味には色々なタイプががあるので、雄町の特徴を生
   かした酒器を選ぶなどの工夫をした方が楽しめると思う。

5.上田酒類研究所所長  上田護國
 

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 ・ 雄町のお酒の特徴は独特の旨みがあって後味が軽いことだ
   と思う。
 ・ 吟醸酒は醸造技術が上がって酒質は確かに良くなっている
   が、逆に雄町らしさがなくなってきていると感じた。
 ・ 純米酒には雄町らしさのあるお酒が多かったとおもう。
 ・ 生酛系のお酒を一緒に審査したので審査はなかなか難しか
   った。

6.酒類総合研究所主任研究員 大江吉彦
 

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 ・ 多様性の富んだお酒が多く出品されたと感じた
 ・ 海外でのお酒の飲み方にはいろいろな飲み方があると思う
   が、町のお酒の幅は広いので、それに対応できるお酒だと
   思う

7.岡山県工業技術センター所長 産本弘之
 

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 ・ 岡山県のお酒が多く選出されたことにほっとしている
 ・ 雄町のお酒の特徴は酸が効いていてボディ感のあってふくら
   みのあることだと
教わってきた。
 ・ 吟醸酒はスレンダーの幹事の味でボディ感が少ないお酒が
   多かった。
 ・ 純米酒は色々なタイプのお酒がたくさん出ていたが、飲みご
   たえでさみしいお酒が見られた
 ・ 醸造技術よりは出荷管理の悪いのもが見られたので、改善
   してもらいたい。
 

以上で7人の先生方の講評の紹介を終わりますが、僕が感じたことは以下の点です。 

 ・ 雄町らしさの基準が人によって微妙に違うのが気になりまし
   た
。雄町らしさは膨らみと後味の奇麗さという方もいれば、酸
   味と甘みが特徴でそのバランスに特徴があると言われる方
      もおられ、何を基準するかをもっと明確にして共有した方が
      良いと思いました。
 

 ・ 純米酒には生酛系や古酒なども含まれており、評価するの
   が大変だったということはわかりますが、この場合、それ以
   外のお酒と基準を合わせるのは難しいのではと思いました
 

 ・ 吟醸酒の精米度は35%から60%で、純米酒の精米度が
   50%~80%というのは分け方としてはとても不自然な気が
   するので
、どうしてそうしたのかの説明がほしかったです。 

<僕が考える雄町らしさ> 

僕は雄町のお酒は大好きですが、色々なタイプのお酒があり、今まで飲んだ経験ではなかなか「これだ」と言いにくいです。確かに口に含んだ時のふくらみがしっかりしているものは後味に軽快さがないとバランスが悪くなるし、最初のふくらみをが少なくても、奇麗な余韻が漂えばこれも素敵だと思います。 

懇親会の会場で雄町らしさについて小関先生にお聞きしてみました。先生のお話では、雄町は味が出やすいお米で、味に幅があるので、その幅をうまく出せていて後味の切れとか伸びとか余韻があるのが理想的だが、切れと余韻は相反するもので、両方を出しているお酒は少ないし、この時期の審査ででそれを求めるのは難しいそうです 

結局、雄町が出せる味の幅の広さと後味の奇麗さや余韻があるものが雄町らしさなのかもしれませんが、僕個人は後味の余韻の奇麗さや複雑さが好きなので、大吟醸よりは精米度が50%~60%の純米酒が好みです。 

<優等賞受賞酒の酒質の傾向について> 

この会では出品されたすべてのお酒について酒質についての一覧をいただきましたので自分で優等賞だけのお酒の酒質を調べてみました。 

吟醸酒 

Photo

純米酒 

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上記の表はエクエルで作って写真の形で載せましたので、小さくて読みにくい方はクリックすれば拡大できますので、それで見てください。 

この表から判ったことは日本酒度は+1~2で予想通りなのですが、酸度は1.4~1.5があって出品酒にしては酸があること、アミノ酸は蔵によって公開していませんが、アミノ酸値が1.0~1.3というのは結構アミノ酸を出していることが判りました。これが味にどう影響するかは僕は専門家でないので、皆さんで考えてください。 

<僕が気に入ったお酒の紹介> 

懇親会の会場での試飲は優秀賞含めて全種類飲むことができました。試飲場は大きな会場の隅にありましたが、会場に余裕があったのでゆっくり楽しむことができました。 

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会場では関係者の表彰や優秀賞の蔵へのインタビューなどが行われましたが、それについては省略しますので、市田さんのサイトを見てください。
https://writerichida.wordpress.com/2017/08/14/%e7%ac%ac9%e5%9b%9e%e3%80%8c%e9%9b%84%e7%94%ba%e3%82%b5%e3%83%9f%e3%83%83%e3%83%88%e3%80%8d%e3%81%ab%e4%bb%8a%e5%b9%b4%e3%82%82%e5%8f%82%e5%8a%a0%e3%80%82%e3%80%8c%e5%94%8e%e3%81%8d%e9%85%92%e4%bc%9a/ 

最後に僕が気に入ったお酒を紹介をします。僕が勝手に感じたことで聞き流してください。今もう1回やってみれば違うことになるかもしれません。 

<吟醸酒> 

利守酒造 赤磐雄町生     宮下酒造 極聖 純米大吟醸        

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結城酒造 結 純米大吟醸 

Dsc07528_2吟醸酒は雄町らしさというよりはバランスの良さが目立ちましたね。 

赤磐雄町生はさすがに味のふくらみも余韻の良さもあり、さすがに本家本元の強さを感じました。 

吟醸酒では岡山県、と山形県が5蔵受賞しましたが、僕にとっては岡山県の方が少し雄町らしさがあったような気がしました。 

吟醸酒と純米酒の両方を受賞した蔵は、利守酒造、宮下酒造、秀鳳酒造、結城酒造の4蔵でしたが、どの蔵も雄町については自信を持っている蔵と言えます。 

その中で最近安定した力をつけているのは結城酒造ですね。雄町らしさというよりはバランスの良さは秀でていました。杜氏の浦里美智子さんは造りを初めてまだ経験が少ないのに、すごいですね。 

美智子さんおめでとうございます。あれ持っていただいたのは特別純米酒ですね。
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<純米酒> 

純米酒の方が味に幅があって雄町らしく感じる一方、あまりにもタイプの違うお酒があってあまり雄町とはおもえないようなものがあるのを感じました 

結城酒造 結 特別純米酒   宮下酒造 極聖特別純米酒 

Dsc07539Dsc07523_4たまたま吟醸酒と同じ蔵のお酒が選ばれてしまいましたが、どちらも吟醸酒よりは酸度も高く、アミノ酸の量が増えているだけあって、雄町らしくなっていると思いました。どちらも余韻の程度が良かったです。 

その中でもちょっと変わった生酛造りの雄町に面白いお酒を見つけました。 

杉勇蕨岡酒造場 生酛純米原酒 

Dsc07526酸度が1.8もありアミノ酸も1.3もありますが、うま味は少なめで、温度が低いとちょっと辛みを感じますが、温度が上がってくると甘みが増えてきて、バランスが良くなりました 

そしてゆっくりと余韻が伸びていきます。膨らみという意味では雄町らしさはないけど、酸味を感じながらの余韻の良さはもう一つの雄町かもしれません。 

お燗にしたらすごくよくなると感じました。 

以上で雄町サミットで感じた僕の印象を述べさせてただきました。来年も今年と同じように行われるのなら、ぜひ参加したいです。

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2017年5月 3日 (水)

福井県の小さな蔵は個性豊かでした。

各県の酒造組合が主催する日本酒のイベントは沢山ありますが、その中で最も大きいのが新潟県酒造組合が開催する「酒の陣」です。このイベントは毎年3月に行われ、試飲して気に入ったものがあれば、その会場で購入できるのが気に入って、毎年参加してきましたが、年々参加者が増えて入場するだけでも1時間以上並ばなければいけない状態になってきました。また場内も満員電車の中の混み具合となって、ゆっくりお酒を嗜む状態でなくなってきていました。 

そこで今年は酒の陣の参加をやめて、その後に行われる福井県酒造組合が開催する「春の新酒祭り」に参加することにしました。福井県のお酒を飲むのは2013年に東京の椿山荘でおこなわれた「蛍と夕べの会」以来のことですが、その時の様子は下記のURLをご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-c1dc.html
 
春の新酒祭りは福井駅から少し離れた田原町にあるフェニックス・プラザでおこなわれました。この会はたぶん今年で9回目になるほど地元に定着したイベントとですが、毎年フェニックスホールの1階にある大ホール(最大2000名入場可能)でおこなわれています。僕は初めての参加でしたが、入場前に30分以上待つほどの人気があり、予想以上の混雑ぶりでした。
 
ここがフェニックスプラザの入り口です。
 
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下の写真がホールに入る前の通路で、出品したお酒の一部が買えるのですが、ブースの所で買うのとは違って、会場を出ると気に入った酒がどれだったかわからなくなるので、買いずらいと思いました。僕は結局買わずじまいで終わりました。
 
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会場はさすがに広かったですが、会場のレイアウトが判らないし、出品されたリストもないので、どうやって飲もうかさすがに困ってしまいました。蔵のブースが会場のどこかにあるかは書いてあったのかもしれませんが、新潟酒の陣のように、入場する時にレイアウト図を手渡してもらいたいものです。来年以降ぜひとも改善してもらいたいと思いました。参加した蔵は椿山荘の17蔵より多い24蔵でした。
 
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会場に入ってみますと人気のある黒龍や梵の蔵には試飲したい人がすらりと並び、それをかき分けて他の蔵を探すという状態でした。結果的には人が並んでいない蔵のお酒だけを飲む形となりました。帰りの電車の都合で2時間半の短い時間でしたが、小さいけど面白い蔵を見つめましたので、それを中心にご紹介することにします。
前の日に訪問した田邉酒造や美川酒造場ももちろん出店していましたし、どちらも小さな蔵ですが、この二つはブログに書きましたので、興味のある方はそちらを見てください。
田邉酒造
美川酒造場
 
1.原平酒造
 
源平酒造は九頭竜川の上流の大野市にあり、ここは北陸の小京都とよばれる歴史と文化を今に継ぐ城下町で、四方を山々に囲まれた緑と水の豊かな場所です。名水百選に選ばれた「御清水」があるので、酒造りに適したところで、いまでの4つの蔵が存在しています。その中にあって、300年以上の歴史がある由緒ある蔵が源平酒造です。
 
昭和の時代は日本酒ブームで、この蔵の売り上げも1億5千万以上もあったようですが、平成に入って日本酒離れが始まり、年々売り上げが下がり経営の苦しい状況が続き、その中でも2008年には全国新酒鑑評会で、2009年には金沢国税局酒類鑑評会で金賞を取るなど努力をしてきましたが、20010年についに売り上げが5000万円を切ることにjなり、事業継続は難しいと民事再生手続きを取ることになったようです。
 
その後株式会社アーキクリエイション(東京の南大塚に本社を持つ会社)がスポンサーとなり、再生活動が始まり社長の荻原さんが代表となり、蔵人も外から集めて新しい体制がスタートしたのが2012年です。その後2013年にはワイングラスでおいしい日本酒アワードで金賞を受賞するなど、着実に動いているようですが、現在の生産高はまだ100石前後のようです。
 
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写真の方は新しく三重県から来られて杜氏になられた眞野さんです。持っていただいたのは6段仕込みの純米大吟醸蝶ラベルです。醪の仕込みは通常初添え、仲添え、留添えの3段仕込みで行いますが、さらに3段追加する方法を6段仕込みと言います。真野さんのお話ではこれは偶然生まれた方法だそうで、社長からもう1本仕込んでくれと言われたけど、時間がないので、さらに3段追加したら面白い味になったので、この方法が定着したようです。でもその仕込み方は秘密のようです。

飲んでみると最初に甘い香りがするけどしっかりした味わいの中に辛みも感じながら消えていく独特のバランスのお酒でした。最初のうまみと後味の引き締まりのあるお酒なので、しっかりしたお料理にもある食中酒として面白いように思えました。まだまだ生産量は小さいけどこれからどんな変化を示すか楽しみな感じです。 

2.鳥浜酒造
 
鳥浜酒造は若狭湾の中の三方五湖の三方湖の近くにある蔵で、大正9年に若狭の町民50人が出資してできた会社で、初代は小堀彦五郎さんが社長でスタートして、その後小堀家が歴代社長を継いできていますが、株式会社なので誰が社長でも良かったようです。
 
現在の社長は5代目の小堀康彦さんですが、康彦さんの父の茂彦さんの代に最盛期を迎えたようで、蔵人が7-8人くらい働いていたそうですから、1000石近い生産高があったかもしれません。しかし平成の時代になると生産量が少なくなり、安彦さんが蔵に戻った平成7年には経営が厳しくなってきたそうです。そして平成11年に父が亡くなり、安彦さんが社長になったのですが、経営はさらに悪化していたので、平成14年に廃業を提案したそうです。
 
ところが株主から増資をするので酒造りを続けるように懇願されて、平成15年に造りを再開したそうです。蔵の建物は土蔵・木造2階建ての近代の清酒醸造工場としては貴重な建築物で登録有形文化財なので、観光地として蔵の見学ができるようにか改造したり、従来のお酒とは違った新しいブランドの「鳥濱」を出すなどして今日に至っています。経営は少し安定してきていますが、現在の生産高は120石程度だそうです。
 
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写真の方が社長兼杜氏の小堀安彦さんで、持っていただいたのは「鳥濱五百万石50%精米の純米吟醸です。飲んでみるとしっかりとした旨みで、酸味はすくなく最後に軽い渋みでバランスしています。味付けの濃い料理に合いそうです。この地方は川魚が主流でその濃厚な味付けに合うお酒として、甘口の「加茂栄」が主流だったのを少し飲みやすくしたもののようですが、それでもしっかりした味わいでした。その秘訣はと聞いてみたら、秘密だけど、酒母造りに工夫をしているとのことでした。 
 
3.雲の井 吉田金右衛門商店
 
この蔵は福井市の中心から西北西に12㎞程東尋坊の方に行った九頭竜川の西域の小高い丘陵地帯にある佐野市にあります。越前海岸に近く海の幸に恵まれている地区で、酒造りは盛んでかっては杜氏を出した地区でもあるそうです。
 
蔵元は代々地主の家柄で、江戸時代からあったそうですが、酒を造り始めたのは明治4年だそうです。福井県は精米は共同精米と聞いていましたが、この蔵は地元の五百万石と山田錦を中心に、全量自家精米でやっているそうですから、酒質の管理には非常に気を使っているように思えました。すべて小仕込みで、蔵内平均精米歩合が55%の純米の特定名称酒のみを造っているそうです。生産高は200石たらずで少ないですが、日本名門酒会の会員だそうですから、知る人は知る蔵なのでしょう。
 
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写真お方は社長兼杜氏の吉田和正さんで、、杜氏歴の15年近くになるベテラン杜氏です。かなりこだわりの酒造りをしていて、麹造りは突き破精で丹念に小箱でやるとか、速醸でもしっかち打瀬を取るなど、徹底した吟醸造りにこだわっているようです。持っているのは雲の井の山田錦の純米大吟醸の袋撮り熟成生原酒で、一般には出回っていないようで、自慢の秘蔵酒かもしれません。香りはそれほど高くはないけど、テクスチャーも柔らかく、バランスの良いうまい酒でしたので、もし見つけたら絶対買いですね。 

4.華燭 豊酒造
 
豊酒造は鯖江市下野田町にある蔵で、ここはJR鯖江駅から西に2-3km行ったところになります。創業は1753年だそうですからとても歴史のある蔵です。華燭とは珍しい銘柄ですが、華燭とは会津の絵蝋燭のことをいうそうですが、おめでたい時のお祝いに使うもののようで、8代目の当主の時に大正天皇のご成婚を祝ってつけたらしいです。現在の生産高は300石レベルのようです。
 
下の写真の左の方が11代目の蔵元の佐々木宗利さんです。丹波、新潟、能登の杜氏のもとで、15年間修業をした後、2002年から杜氏として、蔵を引っ張ってきていました。右の若い方は息子さんの克宗さんで、茨城大学の農学部を出た後、蔵に戻って父から酒造りを学び、今年から杜氏として酒造りを始めたそうです。 
 
僕はたまたま2000年に蔵を訪れたことがあるのですが、その時宗利さんが蔵に眠っていた珍しいお酒を飲ませていただいたことが強く印象に残っています。ですから熟成酒に経験が豊富な方だなとは思っていました。
 
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持っていただいたのは平成8年のお酒で20年古酒ですか、見ての通り色がほとんどついていないのです。本当に古酒ですかとお聞きし飲んでみました。熟成の香りは少ししますが、飲んでみるとめちゃめちゃ柔らかくて、バランスのいいお酒に仕上がっていました。いくらなら買ってくれますかと聞かれたので、1万円でも買いますよとつい言ってしまうほどでした。
 
実はまだ市販していないお酒で、今年に販売する予定だそうで、出たらすぐ買いたいですね。あまり熟成が進んでいないので何℃で熟成しているのですかと、聞いたらなんと20℃以下の室温だそうです。さらにどうしてこんなお酒ができるのですかときいたら、一つは密閉型の琺瑯タンクの熟成させていることと、作り立てのお酒には味を乗せないで淡麗に作ることだけですよというお話でした。このお酒は五百万石60%精米で酵母がM31だそうなので、とても価格を1万円にはできないから、いくらにするかな?おっしゃっていました。
 
この蔵の熟成の技術はすごいと思いましたが、世間ではまだあまり知られていないような気がします。世の中には熟成古酒ランキングというのがありますが、調べてみたらまだ載っていません。でもとてもいいお酒ですので、ぜひ飲んでみてください。
 
5.白龍 吉田酒造
 
吉田酒造は黒龍のある永平寺町にありますが、同じ町ですが黒龍よりは九頭竜川のずっと上流にあります。創業は1806年といわれていますので、約200年以上の歴史のある蔵で、白龍という名をずっと引き継いできています。白龍とは九頭竜川の白く泡立つ激流を白い龍となぞらえたものだそうです。
 
歴史は長いのですが、6代目の蔵元となった吉田智彦さんが蔵を引き継いだ時は福井県の中では最も小さな蔵と言われたほどだったそうです。智彦さんは東京農大を卒業後国税局農業試験所で酒造りを勉強し蔵に入ったのですが、まずやったのが自社田で山田錦を栽培することだったようです。最初は生産量が少なかったのですが、完全熟成堆肥を使って、生産量が安定したそうで、その後順調に生産が伸び、現在ではお酒の生産量も430石になっているそうです。
 
ところが昨年突然智彦さんがなくなり、現在は奥様の由香里さんが社長となり、娘さんが酒造りをしていますが、まだ杜氏見習い中だそうです。
 
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中央の方が由香里さんです。持っていただいているのは自家田の山田錦60%精米の山廃仕込みの特別純米原酒です。山廃仕込みは得意な蔵ではないそうですが、このお酒は評判が高く、このイベントで人気になったお酒のひとつのようです。うまみと酸のバランスが良く、後味の奇麗なお酒でした。ご主人をなくして、大変な状態なのでしょうから、ぜひみんなで応援しましょう。
 
6、福千歳 田嶋酒造 
 
この蔵は福井市の中ですが、福井駅から西に1㎞弱行った足羽川のほとりにあります。創業は1849年ですから江戸時代末期だそうですが、その場所は今の地ではなく今よりずっと西のはずれの清水町にあったそうです。そして今の地に来たのが昭和28年で、その時から町に名前(今はその名前はありません)の千歳を取って福千歳という銘柄が誕生したようです。
 
酒造りは昔から能登杜氏が来て行ったそうで、昭和51年までは全量山廃つくりだったそうです。昭和51年以降に初めて速醸のお酒を仕込むようになっていますが、やはり一押しは山廃でしょう。そのお酒も今変わろうとしています。それは蔵の跡取りの田嶋雄二郎さんが蔵に戻ってきたからです。
 
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この方が雄二郎さんで、東京農大を卒業後、蔵に戻ってきたのが6年前で、杜氏となったのが2年前だそうです。雄二郎さんがやりたい酒造りは以下の3つです。
 
  • 1.楽しみながら常にチャレンジして、笑顔になる蔵造り 
  • 2.福を呼べる酒造り(実際に喜んでいただける商品作りなど) 
  • 3.オンリーワンな酒蔵(ライスワイン、サクラロックなど) 
  • 持っていただいたのが左手に山廃純米大吟醸で、右手に持ってもらったのがサクラヌーボ生原酒です。山廃純米大吟醸はという名が、山廃純米吟醸はという名がつけられていて、ラベルもとわかり易くなっています。いずれも福井県産の越の雫というお米を使っていて、自家製酵母田嶋2号(9号系)を使った山廃つくりで精米だけが違います。この山廃の酸度は1.7もありますが、穏やかで、テクスチャにとろみがあってなかなかのお酒でした。 

    サクラヌーボはさくら酵母を使ったお酒で、生原酒はアルコール度数が19もあるので、ロックがいいように思えました。サクラヌーボにもいろいろな種類を造っているので、飲むときは要注意です。この酵母は農大時代に自ら開発した酵母なので、思い入れが強いようです。いずれにしてもこの蔵は雄二郎さんがこれから舵を取っていくのでどのように変わるのか楽しみです。蔵の生産高は聞きませんでしたが、雰囲気では500石ぐらいでしょうか? 

    7.越の鷹 伊藤酒造
     
    この蔵は福井駅から西北に九頭竜川を10㎞程下って行った江上町にあります。創業は明治27年ですから、すごく古い蔵ではないようです。歴史についてはホームページにあまり記載されてはいませんが、写真を見る限り昔からの酒屋で趣を感じる雰囲気を感じました。でも、設備は昔からのものをつかっているようですが、お酒の質は新しさを感じるように思えました。実際はどうなんでしょうか。
     
    現在の杜氏は下の写真の伊藤抵治さんです。伊藤さんは東京農大を卒業され他の仕事についたのですが、蔵の杜氏が他界したので、急遽蔵に戻ってもう約20年になるそうです。蔵に戻った時は借金まみれで、経営も苦しく、特定名称酒は一切なく普通酒しか作っていなかったので、営業にまわっても相手にさせす途方に暮れたそうです。
     
    そんな時に常山の元社長に励まされて一念発起し、新しい酒造りの勉強を色々方に教わり、特に食品加工研究所の久保先生のお力を借りて科学的に醸造する方法を取り入れたそうです。そうして生まれたのが純米吟醸酒越の鷹だそうです。
     
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    目指す酒造りは福井県の米と福井県の酵母を使ったお酒でちょっと濃厚さもあるがフルーティでシャープなお酒を目指しているそうです。持っていただいたお酒は最近福井県が開発した酵母のFK-80を使った純米大吟醸です。お米は越の雫100%使用で、精米歩合は50%だと思います。この酵母は昨年開発されたばかりでこの蔵以外では使用されていないとのことでした。 

    飲んでみるとカプロン酸の香りと酢酸イソアミルの香りのするフルーティなであるけど切れの良さもあるお酒でした。FK-80酵母をインターネットで調べてもまだ出ていません。こんな酵母をいち早く導入できるのは、伊藤さんならではのことではないでしょうか。きっと経営の方も順調なのでしょうね。生産量は聞き損ないましたけど、200~300石ぐらいではないでしょうか。
     
    「春の新酒祭り」に出展した蔵の中で、生産高500石以下と小さいけど頑張っておいしいお酒を造っている蔵を見つけて紹介いたしました。他にも同様な蔵もあったと思いますが、たまたま出会って気に入った蔵を紹介したので、見逃している蔵もあるとおもぃますがご容赦願います。
    僕は日本酒を愛するものとして、日本の日本酒業界全体のレベルを上げるためには、大きな蔵のレベルアップはもちろん必要ですが、小さな蔵が良いお酒を造ることが全体を引き上げるベースになると信じていますので、小さな蔵で、いいお酒を造る努力をしている蔵を見つけたら紹介していきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
     

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    2016年9月 5日 (月)

    青森県の小さな蔵はレベルが高い

    久しぶりに青森県の酒造組合が主催する「青森の地酒の会」に参加しました。僕が参加した青森の地酒の会は2009年の11月に代々木の新日鉄の研修センターの食堂で開かれたときですから7年前になります。その時のことは下記のブログに書いてありますが、まだ駆け出しのころに記事なので、内容の浅いものですが、懐かしい人もおられると思いますので、良かったら見てください。 

    http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/part-3d82.html 

    http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/part2-8ab6.html 

    その後、現在の池袋のメトロポリタンホテルでやるようになったのは、いつ頃からかはわかりませんが、ほかの行事と重なって行きそびれていましたので、今年は何としても参加したいということで、昼間行われる1部のきき酒商談会と夕方から行われる2部のサマーナイトイン東京の両方に参加しました。 

    今回の目的は今まで僕のブログで取り上げていなかった蔵、特に生産高1000石以下の小さな蔵で僕が気に入ったところを取り上げてみたいと思って参加しました。ですから、いつもお世話になっている田酒の西田酒造店、陸奥八仙の八戸酒造、桃川㈱、じょぱりの六花酒造は取り上げませんでしたので、ご容赦ください。 

    また蔵の生産高は小さいけど以前詳しく紹介しました華一風のカネタ玉田酒造店と岩城正宗の竹浪酒造は下記のブログを見てください。かなり詳しく紹介しています。 

    http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-8973.html 

    今回の記事はほとんど第1部での取材でお聞きしたことやインターネットで調べたことですので間違いがあるかもしれませんが、ご容赦願います。また、僕のような日本酒ブロガーが1部に参加することは許されることかどうかはわかりませんが、このような取材は2部では殆ど不可能なので記事を書いたことでお許しください。 

    結局これから7蔵を紹介することになりますが、これで僕としては青森県のほとんどの蔵を紹介したことになりました。驚いたのは青森の小さな蔵はレベルが高いことでした.。その一端でも紹介できればと思っております。ブログを書くにあたって調べているうちに、青森県の酒造組合にお願いをしたいことがあります。それは青森県の蔵MAP一覧を造ってほしいことです。 

    蔵の紹介の前に、青森の酒米を紹介します 

    1.華吹雪 

    青森県の酒造好適米は昭和43年の「古城錦」に始まり、「豊盃」へと受け継がれてきましたが、酒造適性はあったものの耐冷性や耐病性が低いという欠点があったので、昭和61年に新しく生まれたのが「華吹雪」です。母方おくほまれ、父方に系103号をもつお米ですが、耐冷性があので、青森県で広く栽培されて最近では県外でも栽培されているようです。 

    2.華想 

    「花吹雪」は純米酒用の酒米としては評価されましたが、高精白には向かず吟醸酒や大吟醸酒には山田錦を使用されることが多かったので、新しく開発された酒米が「華想い」です。母方が山田錦、父方が花吹雪で、平成14年に開発され、山田錦に匹敵する酒造適性があるものの、耐病性に弱いため、その作付は弘前地区に限定し県内酒造メーカーに限定して原料供給を行っているそうです。しかし、その酒造適性は高く評価されています。 

    3.華さやか 

    耐病性が強く、玄米品質が高い酒造好適米を目指して平成9年に「黒1900」を母に「岩南酒13号」を交配して開発が始まり、平成26年に登録されたのが「華さやか」です。この米の蛋白質量はそんなには少なくないですが、お酒にするとアミノ酸が通常の半分くらいに減少するために軽やかなワイン風のお酒となるのが特徴です。平成26年に「華さやか」ブランド推進協議会が設立され知名度を高める取り組みが始まったばかりのお米です。 

    4.まっしぐら 

    まっしぐらは青森県の飯米として平成18年に生まれたお米で、県産米の食味、品質にまっしぐらに農家が取り組んでいく気持ちを付けて命名されたそうです。現在は青森県の看板商品として県下全域で作付されており、手に入りやすいので酒米としても使われております。 

    それでは蔵の紹介に進みましょう

    1.白神酒造 白神(しらかみ)

    この蔵は弘前市にあるといっても弘前駅からは離れていて、駅から西に10kmほど入った白神山地の麓の岩木川のほとりにあります。なんでこんな奥に造り酒屋があるのかと思うほどのところらしいですが、岩木川の鮎を捕る人たちのために酒造りを始めたらしいです。創業は良くわかりませんが、昭和63年に西澤酒造店から白神酒造に社名を変更したようですがその辺の経緯はわかりません。 

    白神山地から湧き出た水を使った酒造りはこの地の自然をコンセプトに自然と食文化をテーマに酒造りをしているそうです。 

    Dsc_0339_2写真方が社長兼杜氏の西澤誠さんです。西澤さんの酒造りの経験は若いころ弘前の六花酒造で修行をしただけで、ほとんど蔵の前杜氏のもとで酒造りを手伝って身につけたそうです。 

    酒造りは弟と仲間数人で取り組んでいるそうですが、去年の冬に火事を出して蔵を全焼し、まだ再建ができていないので大変苦労しているそうです。現在、現会社設立の時にもお世話になった六花酒造の場所を借りて造っているそうですが、今年になってやっと全銘柄の出荷ができるようになったとのことです。生産高は300石とのことでした。 

    持っていただいたのは山廃純米酒ですが、山廃つくりは自然酒の基本として勉強のために作り続けているそうです。ここの山廃は山廃らしい香りや酸味をあまり感じさせないお酒でした。本当は白神山地で採取して培養した酵母を使いたいのですが、まだ野生酵母のままで強くなっていないので、使えないそうです。現在は14号酵母を使っていますが、火事の前は7号酵母と山形酵母と14号酵母のブレンドをしていたそうです。 

    Dsc_0338

    僕はこの蔵のお酒を知ったのは7年前のこの会で、その時の華想いの大吟醸のバランスが素晴らしくてその印象が強かったので今回も飲んでみましたが、トロッとした旨みは相変わらすあって気に入り、社長に確認しましたが、確かにあの時の出来は素晴らしく、それに比べればまだまだとのことでした。社長としてはもっとキレを出したかったようです。早く自分の蔵で酒造りができるようになれば、いいですね。頑張ってください。 

    2.鳴海醸造店 稲村屋、菊の井 

    この蔵は弘前駅から東に行く弘南鉄道の終点の黒石市にあります。創立は古く江戸時代の後期の1806年で、黒石市で最も古い歴史を持つ蔵だそうです。代表銘柄は菊の井ですが、これは2代目当主の稲村屋文四郎さんが菊の花をこよなく愛していたからつけた名前だそうです。 

    蔵はとても歴史があり、立派な母屋や庭園はは黒石市の文化財の指定を受けるほどですが、生産量は350石と小さな蔵です。現社長は7代目の鳴海信宏さんで、杜氏も兼務されています。 

    Dsc_0351_2写真の方が鳴海信宏さんです。信宏さんは東京農大の醸造学科を平成2年に卒業され、酒類問屋で3年務めた後、平成5年に蔵に戻られ、蔵で修行された後平成19年から杜氏をされています。学校の同期には松の寿の松井さんや川中島の千野麻里子がおられるそうです。 

    持っていただいたのは菊の井の純米吟醸「華さやか」です。華さやかは青森県でもまだ使用している蔵は少ないそうですが、蛋白質からアミノ酸に代わる量が普通の米より半分くらいと少ないので、後味が綺麗で軽やかなお酒になるそうです。飲んでみると口に含むとぱっと横に膨らむ感じで、余韻が綺麗なお酒でした。 

    信宏さんが杜氏になってから数々の賞をとっていますが、特に圧巻だったのは去年の青森県清酒鑑評会の吟醸酒部門と純米酒部門で青森県の知事賞を取った上に、青森県産米部門でも産業技術センター理事賞を取り、見事青森県の3冠を達成しました。全国新酒鑑評会でも2年連続金賞をとっています。 

    ですから、彼はすごい腕の杜氏ですが、お会いしてお聞きすると、口下手なのか、なかなか自分の言葉でお話していただけませんでした。無理やりこれからどんなお酒を造りたいかをお聞きしますと、酒造りの中で一番大切なのは麹造りですが、それだけでなくすべてに気配りをした品質の良いお酒を造りたいそうです。そして余韻が素敵で飲んで楽しいお酒を造りたいとのことでした。その彼が今回持ってきたお酒の中では華さやかが好お気に入りだったそうです。 

    その彼が去年から販売したのが屋号からつけた稲村屋です。飲んでみましたがお米のうまみを感じるお酒でしたが、僕は華さやかのほうが好きでした。最後に信宏さんにお願いがあります。鑑評会用のお酒の酒米を今までの山田錦をやめて、青森県の酒造好適米でチャレンジしていただけませんか。青森のお米と青森の酵母で金賞を取れれば、県の誇りになるのではないでしょうか

    3.鳩正宗㈱ 鳩正宗  

    この蔵は十和田町から3kmほど東に行ったところにあります。僕は十和田湖に近いのかと勝手に思っていたのですが、むしろ六戸町の西6kmぐらいのところにあり、奥入瀬川の下流の相坂川の近くにあります。 

    創業は明治32年に稲本商店の醸造部として発足し、創業当時は「稲生正宗」の銘柄で親しまれていましたが、昭和初期に蔵の神棚に住み着いた一羽の鳩を守り神として大切に飼ったことから「鳩正宗」となったようです。 

    Dsc_0353_2ブースには杜氏の佐藤企(たくみ)さんがおられました。佐藤さんは昭和63年に東京農大農学部農学科(醸造学部ではなく米つくりの方が専門)を卒業されました。当時、鳩正宗の蔵人であった父の仕事に興味を持ち、すぐ鳩正宗に入社されたそうです。その後酒造りの修業をして平成16年に十和田市初の南部杜氏になりました。 

    その後平成23年には青森県卓越技能者に、平成26年には青森マイスターになっています。また平成24年から始まっている青森県の代表する4蔵の杜氏の技術交流会であるFuture4の杜氏としても活躍されています。この蔵は青森県では過去20年間で2番目に金賞受賞回数の多い蔵ですが、これは佐藤さんの努力の結果だと思います。 

    佐藤さんにこれからどんな酒造りを目指しますかとお聞きしたら、

    ・ お米の味が出ていて、口に含むと米の旨みが広がり後味がスッと消えていくおだそうで、

    その時使う酵母はどうしているのですかとお聞きしたら 

    ・ 青森県産のお米には青森酵母のまほろば
    ・ 純米酒には香りが抑えぎみで旨みと酸のバランスの良い金沢酵母
    ・ 大吟醸には香りを出す18号酵母と金沢酵母のブレンド
     

    をしているそうです。佐藤さんにお米の違いを教えてもらうために純米大吟醸華想い45と純米大吟醸山田錦48を飲ませてもらいましたが、機想いは味はしっかり出ていて旨いお酒でしたが、山田錦は旨さはしっかりあるのですが、品があってちょっと格が違う感じがしました。このようにお米の違いをきちっと出せるのは佐藤さんの腕なのでしょう。気に入りましたので両方のお酒を持ったお姿を写真に撮りました。 

    これからどんなお酒を造られるのか楽しみですね。 

    4.盛田庄兵衛 駒泉 真心 

    この蔵は古くから馬の産地として有名な七戸町にあり、東北新幹線の七戸十和田駅から南へ3kmほど下がったところにあります。 

    この地は平安時代から馬の産地として栄え、昔からにぎわった土地でしたので、江戸時代には近江商人がこの地に入っていたそうで、この蔵を創業した盛田庄兵衛も近江商人がルーツだそうで、創業は1777年という老舗の蔵です。生産高は800石です。 

    銘柄の駒泉は馬の里に清らかな水がわいているということから命名されたそうで、昔から心を込めた酒造りがモットーのようです。 

    Dsc_0347写真の方は営業部長の町屋大輔さんで、冬は蔵人としても頑張っているそうです。この蔵の杜氏は社長の盛田卓次さんで、東京農業大学醸造学科発酵化学研究室 卒業で国税局の研究者として全国新酒鑑評会の審査員でおられた方だそうで、青森県の青森マイスター第1号だそうです。 

    そんなすごい人が造った酒はどんな酒なのでしょうか。純米大吟醸の真心はちょっと変わった複雑な味のするお酒でした。お米は華想いですが、酵母は協会9号と10号のブレンドだそうです。 

    特別純米酒の作田は作田地区で栽培したレイメイという飯米で作ったお酒でアルコール度数が14度でしたが、飲みやすいけどしっかりした味を出していて、のど越しが素直な酒でした。こんなお酒を造れるのは杜氏の腕でしょうね。町屋さんに持っていただきました。 

    山廃純米酒吟醸はこれまた山廃らしくない飲みやすく酸度は1.7もあるのに酸をあまり感じさせない山廃なので、山廃を期待すると裏切られるかもしれません。 

    全体的に素直で飲みやすいお酒が多かったけど、一つ一つは工夫をされていて、これらのお酒をどういう狙いで作られたのか社長にお聞きしたかったです。 

    5.菊駒酒造 菊駒 

    この蔵は六戸町から南へ10kmほど下がった五戸にあります。この地も馬の産地として有名な場所のようです。 

    創業は明治43年で4代目三浦久次郎によって三泉酒造合名会社を設立しましたが、昭和に入って菊造りの名人であった久次郎は馬を意味する駒と組み合わせた「菊駒酒造」に名前を改めたようです。 

    5代目三浦久次郎は広島高等工業醸造学科を卒業後、東京国税局で酒類鑑定官をしていたほどの人で、蔵に戻ってからは酒造りに邁進し通算26回も全国新酒鑑評会の金賞をとっています。孫には酒造りの心を伝えていたようです。 

    現社長は7代目三浦弘文さんですが、この方は東京農大の醸造学科(青森には東京農大卒が多いですね)を卒業された後、東京の地酒専門店で修行をされ、平成20年に蔵に戻っています。そして詳しい事情は分かりませんが、平成22年に29歳の若さで社長となっています。杜氏は別におられますが、ここ20年間は全国新酒鑑評会で賞をとっていないということは出品していないようです。どうしてなのか、興味深いですね。 

    Dsc_0346写真お方はお名前はわかりませんが、営業の方のようです。杜氏も社長もブースにはおられなかったので、あまり造りのことはお聞き出来ませんでした。 

    この蔵のお酒は味噌仕立てのさくら鍋に合うお酒だそうですが。、最近は若い人がグラス一杯で満足するような華やかでさわやかなお酒も目指しているとのことでした。 

    持っていただいたのは菊駒の純米吟醸搾りだて生原酒です。華想い50%精米M310酵母のお酒で、香りも適度にあり余韻がうまく残り爽やかできれいなお酒でした。このお酒が若者向きなのかな。 

    酵母については吟醸はM310で、純米酒は10号酵母を使っているそうで、通常のお酒は2回火入れが多いそうです。 

    この蔵の現在の生産量は5~600石すが、昔は設備も近代化して生産量も大きかったようで、弘文さんが戻って手造り主体の作りに変えたようです。 

    この酒造りのお酒には社長の思いを感じられるので、社長とお話ししたかったけど、お会いできませんでした。 

    6.尾崎酒造 安藤水軍 神の座 

    この蔵は青森県の津軽半島の西海岸側の付け根にある鯵ケ沢駅から西に2kmほどいった日本海に面したところにあります。 

    創業は江戸時代の末期の1860年だそうで、津軽藩発祥の地として歴史的にも古いところなので、それ以降長年続く技術を守って酒造りを続けてきたようです。安藤水軍という銘柄が生まれたのは昭和63年で比較的新しく、それまでは白菊という銘柄だったそうです。 

    安藤水軍とは12世紀後半から15世紀にわたって、唐との貿易で栄えた貿易港(現在の十三湖付近に津軽十三湊があったらしい)を築いた水軍です。平泉の金色堂は安藤水軍の支援があってできたともいわれるほどの勢力を持っていたようです。 

    青森県西海岸にはこの蔵1件しかないので、西海岸を代表する安藤水軍をお酒の銘柄にしたのは理解できますね。 

    Dsc_0332

    写真の左の方は社長兼杜氏の尾崎行一さん66歳で右の方は息子さんです。以前は南部杜氏が来ていたそうですが、今では自分たちで酒造りをしているそうです、。生産高は300石だそうですから、家族で頑張るしかないですよね。 

    尾崎さんは若いころ岩手県の大手の蔵の岩手川(今はもうないそうです)で1年修行をし、函館のお酒問屋で2年修業をして蔵に戻っただけで、ほとんど蔵で酒造りを覚えたそうです。息子さんは山形の出羽桜酒造で研修したそうです。 

    持っていただいたのは山廃純米と純米吟醸です。この蔵はほとんどが速醸ですが、酛つくりの勉強のために山廃を作っているそうです。 

    山廃はお米は麹米が華想いと掛米がまっしぐら、精米が60%、日本酒度+3.3、酸度1.6で、軽やかな酸味の中に米の旨みが感じられるお酒でした。純米吟醸はお米が華想い精米50%、日本酒度+4、酸度1.4ので、まろやかな味わいが良かったです。お話に夢中になって、神の座を飲みそこないましたのが残念でした。 

    7.関乃井酒造 寒立馬 北勇 純 

    この蔵は下北半島の南にあるむつの市内にありますが、下北半島では唯一の蔵です。 

    創業は明治24年で創業以来地元に人に愛される地酒造りを目指してきました。生産高は400石のようですが、下北半島以外にはほとんど流通していないようです。 

    この地は3方海にかもまれた場所なので、地元の豊富な食材を生かした、食事が美味しくなるようなお酒、つまりあじの濃いお酒造りをしているとのことでした 

    Dsc_0354写真お方は工場長の金澤武人さんです。持っていただいたのか純米吟醸の寒立馬です。寒立馬はむつ市の隣の東通村で生育している軍用馬で、一時絶滅の時期があり、その復活を願ってつけられた名前だそうです。 

    酒質はお米はまっしぐら60%精米、日本酒度+5、酸度1.7で飲んでみると口に含んだ時のふくらみが少なく、フラットに味わいが広がりスッと消えるお酒でした。 

    大吟醸 北勇至は華想い40%精米、日本酒度4.5、酸度1.2はなかなかいいバランスで、どんとは膨らまないけど綺麗に消えていくお酒でした。 

    この蔵はほとんどは地元用の普通酒が多い蔵のようで、お酒の酒質は上記の酒とはだいぶ違うようです。 

    以上で1部の会で発見した青森のお酒の紹介を終わりますが、青森の小さな蔵は造りがしかっりしていて、レベルが高いので、これから注目していきたい県ですね

    2部はいろいろな蔵のお酒を飲んで楽しみましたので、お酒の紹介はやめで写真だけお見せします。 

    会場はレイアウトが変わっていて、中央に蔵のブースがまとまって陣どっていて、周りはお客様の着席テーブルと余興の舞台が設置されていました。 

    Dsc_0358

     1部ではお会いできなかった西田社長とお写真を撮ることができました。

    Dsc_0362

    以上で終わります。

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    2016年6月15日 (水)

    長野酒メッセ2016in東京 松本地方の蔵の紹介

    長野酒メッセは昔はグランドプリンスホテル赤坂で行われていましたが、2013年に解体され、去年はグランドプリンスホテル高輪で、今年は品川プリンスホテルで開催されました。去年は佐久地方の蔵を中心に試飲をしてブログに書きましたが、今年は松本地方の蔵のお酒を飲みブログに纏めることとしました。

    去年の佐久地方の内容は下記のURLをご覧ください。
    http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/2015-7cf9.html 

    松本地方の蔵は会場案内の蔵番号の最後の方にありましたので、一番最後の蔵61番から54番まで蔵のお酒を飲むことにしました。結果的には松本地方だけでなくお隣の安曇野や塩尻の蔵も紹介することになりましたので、ご了解ください。 

    では早速ご紹介に入りますが、東京の長野メッセは何しろ人が多いので、中々簡単には取材出来ませんので、最初から言い訳ばかりで申し訳ありませんが、お許しください 

    1.EH酒造 

    EH酒造は安曇野市にある蔵ですが、EH酒造となったのは平成15年(2003年)ですからとても新しい蔵です。それはEH(エクセルヒューマン)株式会社が昔からあった蔵を買収して出来た蔵ですが、従業員も杜氏も変わらない、酒質も昔のままの蔵だそうです。 

    昔の蔵の名前は亀屋酒造店といい、江戸時代の後期に生まれたそうですが、昭和36年に3つの蔵が合併して「酔園酒造」となったそうです。どうしてEH酒造に買収されたかはよくわかりませんが、経営が苦しかったのではないでしょうか。EH株式会社はどんな会社なのでしょうか。 

    EH株式会社は大阪の本社を持つ「より良い商品のみを製造し、消費者の皆さまに直接販売する製造小売業」をする会社です。創業は昭和39年で、取り扱っている商品は3000種以上あるそうで、その一例に医療機器マットレス、カステラ、お菓子、サプリメント等色々ありすぎて、中心の商品が何なのかわかりません。でも、今まで良いものを造っている会社をM&Aで買収し、それを育てることで、希少価値のある多品種の物を製造販売をしている会社のようです。社長は「世界で通用するような豊かな人間性を持つ人材、エクセルヒューマンを育てる」といっているそうですから、日本の中にある良い製品を選びだして、育てて世に出していくという中々面白い会社のようです。 

    EH酒造は買収後、蔵の建て直したり設備の増強をしたりしましたが、その従業員の心を大切にして、完全に手造りで良いお酒を造ることだけをやってきたそうです。現在の生産高は1000石強のようですが、どんなお酒を造っているのでしょうか。 

    Dsc_0156_2写真の方は常務取締役の飯田純一さんです。もともと酔園の蔵元の息子さんだそうで、蔵のお酒について教えていただきました。杜氏は75歳を超えるベテラン北條勝一さんがやっておられ、EH酒造になって造る量は増えたけれども、昔からの味を大切にし、味があるけど後口に残らないようなお酒を目指しているそうです。そして、昔からの技術を若い人に伝える努力をしているそうです。いいですね。 

    4合瓶12000円の山田錦30%精米純米大吟醸 どん蔵を飲みましたが、これは単に綺麗だけでなく味わいもあり、さすがという感じです。大吟醸鬼かん持ってもらいましたが、これは山田錦39%精米のアル添酒ですが綺麗さがあって飲みやすい酒でした。 

    この蔵は18号系の酵母を多く使っていますが、それほど香りを出さないで、旨味と綺麗さを出すのが上手いようで、なかなかの蔵だと思いました。コスパーを狙うのなら、信濃の国酔園 特別純米1升3000円かな。 

    2.美寿々(みすず)酒造 

    この蔵は塩尻にあるくらですが、JRの塩尻駅と洗馬駅の両方から2kmくらい山の方に行った標高750mのところにある蔵です。創業は明治26年ですが、この蔵のお酒を語るにはこの人を紹介しないといけません。 

    Dsc_0158この蔵の4代目の社長兼杜氏の熊谷直二さんです。直二さんは東京農大を卒業され、現在60歳ですから、出羽桜の仲野さんより6つ上のベテラン杜氏です。 

    僕が初めてお会いしたのは、第1回の長野メッセだと思いますが、それ以来毎年のようにお会いしています。この蔵は大吟醸以外は美山錦を使っていますが、その美山錦の旨さを引き出す腕は天下一品だと思います。 

    でも遊び心も一杯で何か面白そうな造りを毎年楽しんでいます。今年は本醸造生原酒かな。シャープな感じの中にとろっとした味わいもある良いお酒でした。でも何年たっても生産量は300石と一定です。どうしてと聞いたら、一人で造っているのでこれ以上は無理ですと言われました。 

    Dsc_0159_2彼の酒はどのお酒を飲んでもおいしいけど、どれか1本を選ぶとしたら純米吟醸無ろ過生かな。美山錦とは思えない旨味甘みが最初に来て、綺麗な酸とともに消えていくバランスです。今年から池袋の升新で扱うようになったそうです。一度飲んでみる価値はあるよ。 

    山田錦39%の大吟醸は1升5000円しないけど、凄いうまい酒でした。これ東京で売れるよと言ったら、たった600本しか造っていないので出せないそうです。絶対に売れるのに、欲がない人だな・・・・  

    3.笑亀酒造 

    この蔵も塩尻市にありますが、塩尻駅から東に2kmほど行った町の中にあります。創業は明治16年ですからそれほど古い蔵ではありません。笑亀と嘉根満というブランドを造っていますが、嘉根満(かねまん)というのは創業の時につけた酒屋の名前のようです。社員4人で生産高300石位の小さな蔵ですが、一昨年秋より中乗さんの杜氏をしていた森川貴之さんが来られてから酒の質が上がったと言われています。 

    Dsc_0162この方が森川杜氏です。僕は森川さんとお会いしたのは去年地酒屋「こだま」さんが企画した「長野県9蔵の蔵元の会」に参加した時が初めてですが、今回お会いした時、最初全く森川さんとは気がつかなかったのです。  

    その証拠をお見せします。去年の写真はこんな感じでした。メガネをかけているし、髭を伸ばしているので、これ、完全に叔父さんの雰囲気ですよね。今回はずっと若者になっていました。どうしたんでしょうか。 

    Dsc_0068どうしてこの蔵に来たのですかときたら、ここが地元だからと応えてくれましたが、こちらに彼女がいるからではないかと聞いたら、笑っていました。でも結婚して高校生の子供がいるなんて見えませんね。 

    Dsc_0163今回は貴魂という新しいブランドのお酒を試飲しました。このお酒シリーズは味わいの違う4種類の酸味を持つお酒を造ったそうです。お客様にこの酸を違いを楽しんでもらうつもりで、自分の趣味の感覚で造ったそうです。ですから、酒の銘柄に自分の名前の貴と自分の心の魂をつけているとことに気合いを感じますね。 

    皆さんの評判を聞いて発売していくそうです。4種類の貴魂は色によって分けてありました。 

    ・ 貴魂 赤 純米吟醸 18号酵母
    ・ 貴魂 白 純米生酛 生酛の酸  
    ・ 貴魂 黒 純米 コハク酸 長野C酵母
    ・ 貴魂 青 純米 クエン酸
     

    この写真のようにラベルには詳しく酒質が書かれていますが、他のお酒の写真を取るのを忘れてしまいましたので、酒質が良く判らなかったのが残念です。 

     赤は酸味が後ろ隠れているけど、しっかり感じながら、飲みやすいお酒

    ・ は生酛のしっかりした酸があるけど、味が複雑で食べ物がほしくなるような酸

    ・ はコハク酸があるので後味に貝の出汁のような苦味があるので、人によっては嫌かな。長野酵母Cは昔のアルプス酵母でイソアミル系なのかもしれません

    ・ はクエン酸が強いので酸っぱいお酒。白麹を使ったのではないかな。
     

    僕は森川さんはチャレンジブルで、腕のあるしっかりした杜氏だと思いました。これからどんな酒を出していくのか楽しみですね。大いに期待しています。 

    4.亀田屋酒造 

    この蔵は松本駅から上高地線に沿って3kmほど西に行ったところにあります。創業は明治2年で、初代は亀井半十郎さんでしたが、現在は6代目の竹本祐子さんが当主となっています。 

    竹本さんは先代の社長の次女で、上智大学を卒業後米国で仕事をするエリート女性でしたが、結婚されたのち28歳の時に蔵の後を継ぐために松本に戻ってきたそうで、38歳の時に社長になられました。その頃は日本酒の消費量が落ちてきて、経営が苦しくなっていたので思い切って蔵の方針を変えたそうです。 

    この蔵は長野高速道路の松本インターを降りて上高地に向かう道路の近くにあることから、酒瓶を貯蔵していたプレハブ倉庫を壊して観光バス用の駐車場にし、母屋の見学、酒蔵見学、お酒の試飲販売だけでなく、最近は酒造りの体験講座も始め、いわゆる観光酒蔵として消費者に直接お酒を販売する方向にかじを取ったようです。 

    観光酒蔵をすることにより、消費者と直接対話して色々な要望を知り、リキュールや濁り酒、酒粕を使った石鹸、純米酒を使った美容水など新しい商品の製造販売までするようになったそうです。日本酒の生産量は300石くらいだそうですが、日本酒味はどうなのでしょうか 

    Dsc_0164この方が杜氏をしている清都幸広さんです。東京の蔵で修業をされて方この蔵に入られたと聞いております。 

    持っていただいたのは秀峰アルプス正宗の大吟醸と純米大吟醸です。大吟醸は山田錦39%精米の18号酵母を使ったお酒で、純米大吟醸は美山錦40%精米の9号系酵母のお酒です。 

    この二つは味わいがだいぶ違うようで、大吟醸はカプロン酸の綺麗な香りが出ているものの、少しシャープな切れの良いお酒で、純米大吟醸はなめらかですっきりとした味わいでした。 

    この蔵のお酒は切れ味を大切にした造りをしているようで、大吟醸レベルの酒の味はよく、観光蔵とは思えない洗練された味わいで、関東信越国税局や全国新酒鑑評会で数々の賞を取っているようです。 

    5.大信州酒造 

    この蔵の本社は松本市島立にあり、亀田屋酒造店とはとても近いですが、製造蔵は長野市豊野町にあります。ここは長野駅から北しなの線の信濃浅野駅の近くです。随分離れたところにあるのですね。創業は明治21年ですが、今では毎年数々の賞を取っている長野県では有名な蔵の一つとなっています。生産高は1300石位だそうです。 

    下の写真は右の方が社長の田中隆一さんで左の方が常務取締役製造部長の田中勝巳さんです。兄弟二人で力を合わせてやっていますが、勝巳さんは豊野蔵で杜氏のお仕事をされています。 

    Dsc_0165

    この蔵には酒造りのこだわりがありますのでちょっと説明します。それは一言で言うと、自然と対話し、酒と対話し、そして人と対話し、決して逆らわず、静かに調和をとることだそうですが、ちょっと抽象的すぎるので、もうちょっと説明すると以下のようになります。 

    ・ 長野のお米と水と使ってすべての工程を手造りでやること(山田錦は別)

    ・ 造りの基本は一に蒸し、二に蒸し、三に蒸しで、良い蒸し米から始まる

    ・ 殆どの酒は無ろ過で低温瓶貯蔵をする

    ・ 仕込みタンク一本一本の違いを大切に瓶詰するシングルカスクである
     

    こうやって生まれてくる酒に悪いものはないはずですが、飲んでみました。どのお酒もいいバランスで仕上がっていますが、気にいったお酒は2つ。一つは純米大吟醸「手いっぱい」。このお酒は原料米の選抜から精米、麹、醸造、貯蔵に至るまで出来る限り力を尽くして仕上げたの言う意味だそうです。この会場で飲んだ時はちょっと膨らみは足りないしちょっと引っかかる感じでしたので、二カ月後に升新商店で買って飲んでみましたら、全く違った印象でした。軽やかな香りと丸みを持った旨味がゆっくり口の中を広がっていき、綺麗に消えていくお酒でした。勝巳さんが造ったばかりですからまだ膨らんでこないのでしょうと言われたことが良くわかりました。 

    山田錦35%精米の2年熟成の大吟醸「香月」はとても柔らかく優しい中に綺麗な旨味がゆっくり広がるとてもおいしいお酒でした。4合瓶で5400円しますが、飲んでみたいお酒です。香月にはいろいろな種類があって、価格が大幅に違いますのでご注意を! 

    この蔵のお酒は基本的には綺麗なお酒が多いですが、口に含んだ時にぱっと広がるのではなく、ゆっくり広がり、お酒のよってその余韻の感じが違うお酒を造る蔵だと思います。 最近こういうお酒が少なくなってきていますね。

    6.笹井酒造 

    この蔵は松本市内の島内地区にある蔵で,、松本駅から北に3kmほど行った奈良井川のそばにあります。創業は大正12年ですから比較的若い蔵です。北アルプスの伏流水を使って、地元の契約栽培のお米を使って、すべて400kg以下の小仕込みを行い丁寧はお酒つくりをしている小さな蔵(生産高300石)です。 お酒の銘柄は笹の誉です。 

    Dsc_0166写真の方は蔵元で杜氏の笹井康夫さんです。笹井さんは蔵元の人ですが、次男だったので蔵を継ぐつもりがなかったので、東京農大を出て、事情があって30歳の時蔵に戻ったそうです。蔵に戻ってから愛知の蓬莱泉や岐阜の女城主で修業をしたそうです。彼が杜氏になってからやや甘めのお酒を仕込むようにしているそうです。 

    でも何か新しいことにチャレンジしています。今年から 純米大吟醸も純米吟醸も特別純米もお米はひとごこちで、精米度を50%にしています。価格は大吟醸が4合瓶で1800円、純米吟醸が1600円、特別純米が1500円です。同じお米でも値段の差をつけらる腕があるのだということなのでしょうか。 

    もうひとつ面白いお酒を見せてもらいました。同じひとごこちでも農園によって味の違うお酒ができると言うのです。浜農園の純米吟醸と赤羽農園の特別純米では味が違うというのです。この2つのお酒は純米吟醸と特別純米という区別になっていますが、酵母も精米度もおなじなので、同じ味になるはずですが、飲んでみると浜農園の方が旨味を感じ、赤羽農園の方が綺麗でさっぱりした感じでした。 

    この差がどうして出るかというと、浜農園田圃は砂利質で養分が砂利にしみこみやすいので、米が一所懸命根を張って養分を取ろうとするのに対して、赤羽農園の田圃は粘土質で下に染み込まないので、米が根をあまり張らないで育っているので、味が薄いと説明でしたが、僕にはちょっと信じられません。でも米の差が判るほど、米の味を引き出せる技術があるということは確かではないでしょうか。今後の新しいチャレンジをまた期待しています・・・ 

    7.善哉(よいかな)酒造 

    この蔵は松本市内の松本城近くにある蔵です。創業は江戸末期らしいですが、昔はこのあたりに多くの造り酒屋があったそうです。でも今では市街地に残る唯一の蔵になったしまったそうです。敷地内に地下30mから噴き出している湧水を「女鳥羽の泉」と名付けて仕込み水として使っているそうですが、この湧水は誰でも汲んでよいので、地元の人が行列をつくって汲みに来ているそうです。 

    Dsc_0167この方が杜氏の根岸則夫さんです。蔵の生産量は200石と非常に小さな蔵ですが、伝統の技をまもって地道に精魂こめて酒造りをしています。昔は社長の穂高さんが杜氏をしていたそうですが、5年ほど前から蔵人であった根岸さんが杜氏をしているそうです。 

    ここの酒はどのお酒も優しさを感じます。持っていただいたのは善哉上撰(本醸造)ですが、1升1900円の割にはいいお酒です。もう少し後味の綺麗さがあるともっといいのですが。

    以上で松本地区の蔵の紹介を終わりますが、実はもう一つ蔵があったのです。それは岩波酒造です。僕も終盤になって酔っぱらったために、通り過ぎてしまったようです。ごめんなさい。いずれ紹介する機会があればと思っています。

    今年グランドプリンスホテル赤坂は今は東京ガーデンテラス紀尾井町として今年竣工しましたので、来年はここに戻ってくれると嬉しいな。無理ですか? 

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    2015年12月 9日 (水)

    サケマルシェで見つけた小さな蔵の酒を紹介します

    石川県は能登杜氏の発祥の地で昔から、良いお酒をつくっている蔵が沢山ありますが、なぜだか東京で石川県の蔵の試飲会はほとんど行われていません。石川県の蔵のお酒が飲めるなら、何としてでも飲んでみたいと常々思っていたのですが、今年の10月24日土曜日と25日の日曜日に金沢の迎賓館で石川県の地酒と美食の祭典サケマルシェが開かれることを知り、参加することにしました。 

    このサケマルシェの祭典は3年前から始まったようで、当初は10月の末の土曜日1日で行われていたそうです。今年は日本酒で乾杯推進協議会の全国大会が石川県でやることになったので、同時開催で2日間のイベントになったそうです。どんなイベントか全くわからないまま参加することにしました。サケマルシェは石川県酒造組合連合会の中にあるサケマルシェ実行委員会が主催しているようで、前売り参加費が2800円ですが、日本酒で乾杯推進会議の地酒パーティも参加すれば、両方で5000円となるので、日本酒で乾杯推進会議で申し込みましたが、参加してみると、乾杯推進会議の参加はあまり意味がなかったようです。 

    当日は金沢に12時ごろに着くように大宮からかがやき507号に乗りましたが、2時間10分で金沢駅についてしまいました。金沢には簡単に行けるようになったのですね。新しい車両は揺れも少なく、各席にコンセントが付いているのは大変便利です。普通車で全部着いたのは初めてではないでしょうか 

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    すごくかっこい車両でしょう。この車両のデザインをしたのは日本人で初めてフェラーリーをデザインした奥山清行さんです。さすが奥山さんですね。東海道も早くこの車両を使ってもらいたいけど、JR東海は別会社ですから難しいかもね。 

    金沢駅からしいのき迎賓館までは約3kmほどなので歩いていくことにしました。その間に近江町市場があるので、寄ってみましたが、市場がビルの中にあるのですね。隣に本物の市場があるので、築地の場外市場のようなところのようです。 

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    東京では見られないのどくろが色々なところで売っていましたが、お店によって価格はだいぶ違うようなので、良く見て選ぶ必要があるようです。 

    そこから歩いて30分くらいで目的地に着きます。しいの木迎賓館は金沢城址公園の南、兼六園の西にありますが、サケマルシェは迎賓館の中ではなく、迎賓館の前の広場で行われました。 

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     下の写真の茶色い建物が迎賓館です。ここからではイベント会場は見えませんね。 

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     ここが迎賓館の前から見たイベント会場です。まだどんな風になってるのかわかりません。

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    この入り口に受付があり会場の様子が少しわかってきました。下の写真を見てください。青色のブースが地酒ブースで28蔵が出展していました。赤い色のブースが飲食ブースで23店が出店していました。

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    受付では当日販売もありますが、前売り券を持っていると20枚綴りの飲食用のチケットと1合が入るグラスが配られます。去年まではワイングラスが配られましたが、倒れてお酒をこぼしたり、わったりする人が多いので、下の写真のような壊れにくいグラスにしたようです。 

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    の情景を見て、初めてわかったことがあります。サケマルシェは試飲会を目的をしたものではなく、好きなお酒とお料理を楽しむのが目的のようです。僕のようにいろいろなお酒を飲みたい人だと、この方式はむちゃくちゃ高くなるし酔っぱらってしまい取材どことではありません。たとえば大吟醸だと4~5枚のチケットが必要なので、4~5種類しか飲めないことになります。どうも違反行為のようですが、1チケットで飲める少量をついでもらい呑むことにしました。会の運営の皆さま、来年からはこういう飲み方も許可するルールが必要だと思います。 

    サケマルシェの祭典は土日の2日間11時から夕方まで開かれている祭典ですが、初日は現場に2時半ごろ着いたので、とりあえず知っている人にあいさつしながら、持ているチケットの範囲で何も食べずにどんなお酒があるのかを飲んで調べることにしました。 

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    天狗舞のテントの前では車多酒造の専務の車多一成さんと名杜氏で、今顧問杜氏をされている中三郎さんにお会いできました。良かった良かった・・・・ 

    翌日も天気が良かったので、兼六園を見学した後、11時の開園に間に合うように会場に行きました。最初に開演の乾杯セレモニーが行われました。蔵元の関係者が大勢おられました。 

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    乾杯セレモニーは福光屋の専務取締役で、サケマルシェ実行委員専務の福光太一郎さんの音頭でスタートしました。 

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    後ろには手取川の次期社長の吉田泰之さんや、長生舞の専務取締役の久世嘉宏さんや竹葉の社長の数馬孝さんがおられます。この会は若手の蔵元が中心になって開催されているのですね。大変良いことだ思います。 

    会場は屋外のテントなので、雨が降ったら大変でしょうが、雨天中止はないようです。家族づれや友人と来ている人が多くて、隣の芝生で寝転んでいる人が多かったです 

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    ボランティアの楽団らしき人達が演奏をしていました。のんびりした雰囲気で良いですね。 

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    次にサケマルシェで見つけた小さい蔵だけど良い酒をつくっている蔵を紹介します。どの蔵も500石以下です。 

    1.夢醸 宮本酒造店 

    この蔵は石川県の能美市にある蔵で、手取川の南に位置していて、北には車多酒造や吉田酒造店があり、東の山側には菊姫がある造り酒蔵の多い地区にあります。創業は明治9年ですからそんなに古い蔵ではなく、平成10年から夢醸を造り始めています。サンマルシェには蔵元は来ておらず、営業責任者の後藤仁さん夫婦が来られていました。 

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    奥様の後藤由梨さんのお兄さんが社長をされているそうで、生産高は100石と非常に小さな蔵です。僕が気に入ったのは夢醸の大吟醸と純米大吟醸です。 

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    純米大吟醸は五百万石50%精米で、大吟醸は山田錦40%精米です。どちらも石川県では珍しい18号酵母だそうです。どちらも香りのきれいなさわやかなお酒ですが、大吟醸の方が一層呑みやすいお酒に仕上がっていました。 

    10年前に能美市に名前が変更した時に、能美市の特産である丸芋を使った焼をつくる動きがあり、2007年に丸いもの焼酎の免許を取っり、その年にプレミア焼酎「のみよし」を生産したところ、大人気で6日で完売したそうです。

    僕がこの蔵を初めて知ったのは新宿花園神社にあった「アー一心」で、そこの店長さんの下山さんが勧めてくれたお酒でした。もうそのお店もなくなり、サンマルシェで久しぶりに飲むことになりましたが、お酒の中身は随分進化していました。でも久しぶりに夢醸を飲めて感激しました。 

    2.白菊 白藤酒造 

    白藤酒造は奥能登の輪島市にある歴史のある蔵です。創業は1722年廻船問屋として創業し、江戸末期に酒造りを始めたそうです。2007年の能登半島地震で、蔵のほとんどを造り直すほどの災害を受けています。僕が蔵を訪問した時は2008年の3月でしたから、蔵をつくりなおしたばかりで、生産高は100石ぐらいと言われました。その時、白藤喜一さんと奥様とお会いしましたが、今回もお二人にお会いすることができました。 

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    お二人は東京農大の同級生で大学で知り合って結婚され、2006年から蔵で一緒に酒つくりをしていますが、奥様は宮城県の浦霞の蔵人でしたので、地震の経験があり蔵の再建にご尽力されたと聞いております。笑顔が素敵なお方ですね。卒業が平成8年のようですから、久慈浩介さんや新藤雅信さんの1年後輩に当たるのですね。 

    白菊は僕の行きつけの酒屋さんで扱っているものですから、時々飲むことがありますが、いつものお酒を飲んでみました。 

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    白いラベルの白菊は精米度55%の山田錦36%(酒母と初添え)掛米として55%精米の五百万石64%使用した純米吟醸ですが、酵母は協会10号を使用しています。白菊の看板商品で、しっかりとした旨味の中に、滑らかさや優しい上品な甘さも感じるお酒でした。 

    黒いラベルの白菊は50%精米の山田錦を使った純米大吟醸で、酵母は金沢酵母です。透明感のある酒質で、純米吟醸より綺麗さがあり、旨味の出方と消え方がゆっくりしていて味わい深いお酒でした。

    両方ともとても素晴らしいお酒で生産高をお聞きしたら250石とのことで、きっと丁寧な造りをしているので石数をあまり伸ばさないようにしているかもしれません。 

    白菊は問屋を通さないで酒販店に直接販売していますので、ホームページの情報によれば東京でも10店舗以上扱っており、飲んだことのない人は是非飲んでください。 

    3.神泉 東酒造 

    この蔵は小松市にある蔵で、江戸末期に造られたそうで、酒蔵は昭和24年に改めて立て替えられました。地元の観音下(かながそ)の山から切り出した石で作られた三つの石蔵を中心に構成された貴重な酒蔵だそうです。蔵のホームページからお借りしました写真をお見せします。趣のある造りですね 

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    蔵のお隣にはお茶室の「桂松庵」があり、その隣には待合室の緑寿庵があり、その二つとも国登録有形文化財になっているそうです。蔵の生産高は300石と小さいですが、金沢酵母にこだわった特定名称酒だけを造っている蔵だそうです。 

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    写真方は社長の東祐輔さん夫妻です。祐輔さんは東京農大の醸造学部を卒業されていますが、何年卒だか覚えていないそうです。現在44歳ですからたぶん平成5年卒ではないかと思います。 

    Dsc_0231何気なく置いていた大吟醸の太初(たいしょ)をいただきましたが、一口飲んで驚きました。凄くきれいだけど味わい深い今まで飲んだことがないほどのお酒でした。 

    山田錦35%精米の金沢j酵母の大吟醸を蔵の冷蔵庫で熟成したお酒で23BYだそうです。口に含むとゆっくり全体に味わいが広がっていくお酒でした。熟成の良さがうまく引き出されています。 

    このお酒はどこで買えるのと聞いたら、地元以外には出しておらず、銀座のアンテナショップにあるかもねといわれました。これだけの味が造れる腕があるのならさぞかし全国新酒鑑評会で金賞を取っているのかと思ったら、取得実績はありませんでした。 

    でも最近は金沢造幣局の最高賞の優秀賞を取るなどかなり認められてきているようです。 

    最後にこれからどんなお酒造りを目指しますかとお聞きしたら、どっしりした味ですっきりした味わいのお酒だそうです。これからが楽しみな蔵だと思います。 

    4.獅子の里 松浦酒造 

    この蔵は山中温泉の中心街にある蔵で、創業は古く、1772年だそうです。この蔵の杜氏は代表取締役で杜氏を兼務している松浦文昭さんですが、平成15年より杜氏を務めているそうです。文昭さんには土曜日に会場でお会いしたのですが、翌日には会場におられなかったので、ゆっくりお話しできませんでした。 

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    日曜日は営業マンの我戸さんと本田さんが対応してくれましたが、あまり蔵のことやお酒のことに詳しくなかったし、会場のルールがあるということで、ちょっとだけという軽い試飲をさせてもらえず、仕方がなく純米吟醸の旬だけを飲みました。 

    Dsc_0238_2この蔵のお酒は色々な種類を飲むことができませんでしたが、純米吟醸の旬を飲むだけでお酒のレベルの高さがわかりました。ラベルには何も書いてありませんが、55%山田錦で金沢酵母を使ったお酒のようです。ある酒屋さんでは雄町も使っていると書いてありましたが、正しいことはわかりません。 

    飲んでみるとさわやかな香りでそれほど強くない綺麗な旨味が立ちあがったと思うと、いつの間にか消えていくようなお酒でした。とても温泉の町中で造っているとは思えない上品さがあります。 

    残念ながら他のお酒はわかりませんが、造りの良い蔵だと思いました。最近は全国新酒鑑評会で受賞はしていませんが金沢国税局の優秀賞はかなり数取っているようです。純米大吟醸を飲んでみたかったです。 

    蔵の生産高はよくわかりませんが、従業員の数から判断すると500石ぐらいではと思います。 

    以上で僕が見つけた蔵の紹介は終わりますが、会場で飲んだお酒の一般的な印象は能登流の味わいをベースとしている蔵が多く、僕にはちょっと癖が強いように思えました。僕が選んだ蔵はそれとはかなり味わいの違うお酒のような気がします。

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    2015年11月20日 (金)

    茨城県の今年の金賞受賞蔵を知っていますか

    今年の10月9日に茨城県酒造組合主催で、茨城地酒祭りが浅草の花やしき行われました。この日は同じ日に山口県、千葉県、群馬県、茨城県の酒造組合主催の試飲会が行われましたので、一遍に2か所行ってみようと、昼間の群馬県の試飲会に参加した後、茨城県の試飲会に参加することにしました。 

    茨城の地酒祭りは今年で5年目ですが、初回に行った時は花やしきの半分の場所を使ってのイベントでしたので、狭くてあまりじっくり飲めなかった思いがあります。現在は花やしき全体を使ってのイベントになったこと、去年から茨城県の全国新酒鑑評会で金賞を取る蔵が急増したので、その原因を勉強するために参加することにしました。 

    花やしきは浅草に古くからある遊園地ですから、そこでどうやってお酒祭りをやるのかイメージできますか。花やしきの紹介に使われているイメージ図をお見せします。 

    Map_hanayashiki_r1

     

    クリックして大きくしてみてください。中央に池や公園があり、それを取り囲むように通路があり、その通路の脇にブースをつくって、食事や試飲ができるようにレイアウトされていました。 

    下の写真は入口に近いところの様子です。まさに遊園地の中という感じですね。 

    Imgp0369_3

    下の写真は池の脇のところの様子です。結構趣のある場所となっていました。 

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    基本的に会場には屋根はありません。雨が降ったらどうするのでしょうね。今まで雨が降ったことがあったかどうかを聞くのを忘れました。 

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    会場の入り口の脇には今年の全国新酒鑑評会の出品酒が並んでいましたが、これに気がついたのは会が終わるころでしたので、ほとんどの瓶が空になっており、試飲はできませんでした。こんな企画があるとは知りませんでした。来年からは入り口で会場のレイアウト図をつくって配ってもらいたい気がします。どこにどんな蔵、どんな企画展があるかわからず、飲むしかないことになるものですから・・・・・・・ 

    これで会場の雰囲気をわかってくれたと思いますが、この中で今年の全国新酒鑑評会で受賞した蔵を探すのは大変なことでしたが、何とか時間内で10蔵を試飲することができました。とりあえず、試飲した順番に紹介してみたいと思います。 

    1.青木酒造 御慶事 

    この蔵は東北本線の古川駅のそばにある蔵で、創業は江戸末期の1831年の歴史があるそうで、銘柄の「御慶事(ごけいじ)」は三代目当主が大正天皇御成婚の折、皇室の繁栄と日本の国のますますの隆盛への願いを込めて「最高のよろこびごと」という意味で「御慶事」と命名したそうです。生産高は300から400石ぐらいと小さな蔵で、主に地元で飲まれているようです。 

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    写真お二人は蔵元の奥様の青木弥生さんとその娘さんです。娘さんは看護師をしていたのですが、一昨年より蔵を手伝っているそうで、お酒のことが良くわかっていました。高校生の弟が蔵の仕事ができるようになるまで、頑張るそうです。お二人には今年と去年の金賞受賞酒を持ってもらいました。 

    金賞酒はしっかりした味わいで、なかなかいい出来でした。お米は山田錦で、酵母は10号系M310酵母だそうです。杜氏は福島県出身の南部杜氏で、最近代わったばかりの48歳ですが、冬場だけ出かけてきている杜氏だそうです。過去の受賞歴を見ますと過去20年間で8回の金賞受賞は杜氏の腕が昔から凄い人だったのでしょうね。だからこの味が出せるのでしょう。 

    2.廣瀬商店 白菊 

    この蔵は茨城県の石岡市にある蔵で、創業は1805年ですからすでに210年も歴史のある蔵です。この蔵の特徴は万人受けをするずっと飲み続けられるような酒つくりだそうで、決して刺激的な美味しさがなくても体が無意識にほしがるようなお酒だそうです。 

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    写真の方はブースの女性の方で、たまたま蔵元さんがおられず、蔵人の男の人がおられただけでしたので、女性にお願いしただけです。 

    手に持っているのは今年の金賞受賞酒です。この蔵も酵母はM310で、青木酒造さんの金賞受賞酒とおなじ味のバランスを感じました。常温で飲みましたので、甘みを結構かんじるうまい酒でしたが、もう少し後味のきれがほしい気がしました。でも、これをベースにして造った市販の大吟醸はすっと飲めるお酒に仕上がっていました。 

    Imgp0366会の終わりにもう一度ブースの寄りましたら、8代目の蔵元の専務取締役の廣瀬慶之助さんにお会いできました。後ろの明るいネオンのせいで変な写真になってすみません。 

    手に持ってもらったお酒は金賞受賞酒でしたが、飲んだお酒はオヤジナカセというお酒でした。山田錦の大吟醸レベルのお酒だそうですが、この酒米をつくっている兵庫県の農家のせがれが初めて造ったお米で、このお酒を、親父に飲ませたらこれは旨いと泣いたエピソードからつけたお酒だそうです。飲んでみましたら中々いいバランスのお酒で、この蔵の造りがわかる気がしました。 

    蔵の生産高は500石位と小さいです。この蔵も昔からの杜氏制を維持していて、専務は造りには余り介入しないようにしているそうですが、酒質にはこだわりがあるように思えました。金賞受賞回数は過去20年間で5回でした。 

    3.岡部合名会社 松盛 

    この蔵は常陸太田市にある蔵で、久慈川の上流の里川流域の水田地帯にある水とお米に恵まれたところにあります。創業は明治8年で、代表銘柄の「松盛」は屋敷内の松と酒の神様の松尾大社が栄えるようにと命名したそうです。 

    生産高は600石位ですが、日本酒だjけでなく焼酎やリキュールにも力を入れている蔵です 

    Imgp0358写真の方は社長の岡部守博さんです。持っていただいたお酒は大吟醸の松盛と純米吟醸の岡部です。 

    金賞受賞酒は持ってこられなかったので、代わりの大吟醸を飲みましたが、この酒もお米は山田錦45%精米で、酵母はM310だそうで、他の蔵の金賞受賞酒のバランスによく似ていました。飲み口同じでも蔵によって後味に差が出るようです。 

    純米吟醸岡部は静岡酵母で香りがイソアミル系のさわやかな香りで、飲みあきしないお酒に仕上がっていました。これはなかなかいいですよ。このお酒の中身を詳しく聞くのを忘れてしまいました。この蔵も全国新酒鑑評会で金賞を過去20年間で10回も取っている蔵なのですね。知りませんでした・・・・・ 

    4.吉久保酒造 一品 

    この蔵は水戸の偕楽園のある水戸市の本町にある蔵で、創業は寛政2年(1780年)ですから200年以上の歴史がある蔵です。もともと米を商う商人だったのですが、急遽酒造りに変身して成功したそうです。今の一品のブランド名をつくったのが明治の初めと聞いています。蔵の生産高は聞き忘れましたが、従業員が23人いるようですので、2000石位はあるのではと思われます。 

    Imgp0359写真の方は蔵人の方ですが、お名前はお聞きしませんでした。山形県の東北泉の名杜氏であった佐々木勝雄さんを杜氏として招き入れたのが平成15年ですが、今も御活躍ですかとお聞きしたら、去年お辞めになたそうです。 

    金賞受賞酒はなかったので、他のお酒を飲ませていただきました。純米吟醸の雄町は佐々木杜氏の造りとおなじと聞き、飲みましたが東北泉の酒とはちょっと違うなと感じました。 

    このお蔵はM310と9号酵母を使い分けているようですが、短稈渡の純米吟醸は香り高く綺麗なバランスでしたので、このお酒を持ってもらいました。 

    この蔵も過去20年間で金賞を9回も取っていたのですね。 

    5.野村醸造 柚美人 

    関東鉄道常総線の石下駅の北にある蔵で、創業は明治30年で、土着系の酒蔵として百十余年になります。酒銘の由来は当地が千年の歴史ある結城つむぎの産地であり、紬美人といたそうです。 酒質は柔らかく、すっきりと切れが良いのが特徴だそうです。蔵の生産高は1000石弱と思われます。今年の豪雨で鬼怒川が氾濫し、蔵が冠水して大変だったそうですが、仲間の支援を受けて、11月中の復旧の目途が立ったそうです。 

    Imgp0360写真の方は代表取締役の野村一夫さんで、持ってもらったお酒は出品酒とおなじ造りの大吟醸です。酵母はM310だそうで、飲んでみると優しさがあって、この蔵の特徴が出てるようでした。なかなかいいですよ。 

    この蔵の杜氏は55歳の南部杜氏ですが、他の従業員は皆社員だそうです。平成11年に入ってきた新人が杜氏の指示通りに素直に造ったら、初めて金賞が取れたそうです。なまじっか他の蔵の経験があると、無意識に我流が出てしまって失敗するとおっしゃったのが印象的でした。 

    過去20年間で6回金賞を取っているそうですが、31歳の息子が早く一人前になるのを望んでいるそうです。 

    6.磯蔵酒造 稲里 

    磯蔵酒造は茨城県笠間市稲田地区にある蔵で,、創業は江戸時代末期だそうです。この地区は古くから稲の郷と呼ばれ、御影石の台地から湧き出る良質の水(石透水・軟水)があることから酒造りの絶好な地域だったそうです。 

    この蔵は明治元年に稲里を酒名とした磯酒造店を開業させたそうです。この蔵は生産高が1500石もある立派な蔵ですが、酒造りは今の時代に流されないぶれない酒造りをしているようです。ですから過去に全国新酒鑑評会で金賞を取ったのはたった3回だそうです。

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    左の人は営業の方で、右の人が社長の磯貴太さんです。初めに訪れた時は社長がおられませんでしたので、女性に大吟醸をもってもらいました。大吟醸は山田錦38%精米ですが、柔らかい落ち着いた味わいで、同じ山田錦50%精米の純米を飲みましたが、切れがあるけど旨味の表現に遊びがある味わいでした。随分個性のある酒造りをする蔵だと感じました。 

    2度目の訪れた時に社長のお会いして、造りのことをお聞きしました。お酒をつくる時には、最初にどんなお酒をつくろうかを考えるそうで、三日月のようなシャープお酒をイメージしたら、ラベルも三日月にして、深海の鯛に合わせるお酒をイメージした場合は、味がふんわりと、風のような余韻を持たせたくなり、お米は500万石、ラベルは風となるそうです。これが社長の流儀だそうです。 

    ですから、金賞を取るための酒つくりはしていないそうで、ここ2年連続で金賞を取れたのは、たまたまで、嬉しいけど狙っているわけではないそうです。社長はお姿だけでなく考え方もユニークで、面白い方ですね・・・・・ 

    7.月の井酒造  

    この蔵は大洗町にある蔵で、創業が慶応元年だそうですから、ちょうど150年になる蔵です。大洗町には酒蔵は1件だけだそうですから、大洗の食材に合わせた酒造りをしているのが特徴のようです。蔵の生産高は500石位だそうです。 

    Imgp0362写真の方は製造部長の山田博さんです。持っていただいたのは大吟醸の月の井ですが、酵母はM310だそうで、味が軽めのお酒でした。その味では金賞は無理だなと思ってお聞きしたら、金賞酒は1801系酵母を使ったそうですが、今回は飲めませんでした。 過去20年間で6回の金賞受賞です。

    この蔵の代表は坂本啓子さんで、御主人ががんでお亡くなりになり後を継いだそうです。その闘病記は「さいごの約束」として出版され、テレビドラマ化もされたそうです。その約束で出来たのが「オーガニックの日本酒」の「和の月」で、有機認定の美山錦80%精米のお酒ですが、この時飲み忘れてしまいました。次回は是非飲んでみたいと思っています。 

    8.武勇(株) 

    この蔵は紬の里の結城市にある蔵で、創業は江戸末期だそうで、初代の保坂勇吉が「荒武者のような力強い酒を」と造った蔵だそうです。社長は5代目の当主で長男の保坂嘉男さんで、次男の保坂大二郎さんと協力してやっているそうです。 

    杜氏は代々越後杜氏でしたが、現在は地元の結城杜氏が酒造りをしているそうです。山田錦は兵庫県産、五百万石は富山県産、雄町は岡山県産とこだわった造りをしていますので、しっかりした蔵だと思いましたが、生産高は1000石だそうです。 

    Imgp0363写真の方は蔵人の深谷篤志さんで、純米吟醸の和(和やか)と辛口純米酒を持ってもらいました。今年の金賞は久しぶりの受賞(過去20年間で2回目の受賞)だそうですが、茨城県工業技術センターの先生の指導を受けて、先生の言う通りに造ったら金賞を取れたそうです。取れたのは嬉しいけど、ちょっと悔しい感じもするそうです。 

    金賞受賞酒の酵母は1801系を使ったそうです。和はお米は雄町58%精米で、酵母は1801系と9号系のブレンドだそうです。飲んでみましたら、綺麗な香りとベ全体にうまくまとまったお酒でした。この蔵のお酒はあまりインパクトを出さない造りのようで、ちょっと特徴がないような気がしましたが、久振りに金賞を取ったのですから、来年以降が楽しみな蔵です。 

    9.宏和商工 日立酒造工場 二人舞台 

    この蔵は豊島区の東池袋にあるブライダル関連の商売をしている㈱宏和商工のお酒の製造部門を言います。工場は日立市にありますが、写真を見る限り昔からの造りの蔵のようです。酒造免許を取ったのが2006年10月で、工場開設が2006年11月ですから、どのかの蔵を買収したのではないでしょうか。詳しいことはわかりません。蔵の生産量は2000石位のようです。 

    Imgp0364写真の方は酒造り担当の営業マンで、持っていただいたのは今年の金賞受賞酒です。飲んでみましたら、中々品の良いお酒で、味が綺麗でバランスの良いお酒でした。酵母は9号酵母だそうです。金賞を取ったのは去年が初めてで、今年が2回目だそうです。その秘密を聞くのを忘れてしまいました。 

    生酛つくりの純米吟醸も飲みましたが、生酛らしい酸味で、味のバランスをうまく造っていますが、僕には何かが足りなく、心に突き刺さらない優等生のお酒のような気がしました。 

    杜氏は社内杜氏で、長岡さんと言うようですが、この工場の代表者も長岡さんでしたのでどうなっているのかわかりません。 

    10.根本酒造 久慈の山

    この蔵は水戸と郡山を結ぶ水郡線で北に1時間ほど行った山方宿の近くの久慈川沿いにある蔵です。創業は慶長8年(1603年)ですから約400年前であり、茨城県では須藤本家、藤田酒造店に次ぐ歴史を持つ蔵だそうです。生産高は800石位だそうです。 

    酒造りも昔から技術力があり、35年前に大吟醸の久慈の山を出すなど、吟醸酒を得意としている蔵のようです。全国新酒鑑評会でも過去20年間で11回の金賞を取っている実績があり、茨城県では最も多くの回数受賞している蔵です。 

    Imgp0365写真の方は20代目の当主である根本朗裕さんです。凄くお元気な方で、社長ですが午前中は蔵人として造りを手伝っているそうです。 

    金賞受賞酒はありませんでしたが、最近出した新しいブランドの上丸(かみまる)の純米大吟醸と純米吟醸を飲みました。純米大吟醸は美山錦40%精米で酵母はM310です。旨味が綺麗でバランスの良い美味しいお酒でした。 

    純米吟醸はひたち錦55%精米で、しっかりした旨味があるけど、後味はすっきりしたお酒でした。今までいた南部杜氏に代わって社員杜氏になったばかりですが、金賞を取れたのでほっとしているそうです。 

    以上で今年金賞を取った10蔵の紹介を終わります。 

    <全体の印象>

    全国新酒鑑評会の金賞を去年が11蔵、今年が10蔵とるようになったわけを、調べるためにこの試飲会に来たのですが、その理由を来福の藤村社長に教えていただきました。3年前から、茨城県酒造組合の技術部会が中心になって、蔵元よりも社員の人を対象に、外部から先生をお呼びしたり、他の県の蔵を見学したりする勉強会をしているそうです。武勇の蔵人の深谷さんが言われたように、茨城県の工業技術センターの先生の指導も良かったのだと思います。確か福島県が金賞受賞蔵が多いのも工業技術センターの先生の指導が良いからという話を聞きましたので、そういうことなのでしょう。

    それから茨城県は創業の古い蔵が多く、その古さでは日本のトップクラスだということ、過去の金賞を受賞している蔵が多いこと、金賞受賞蔵の大部分が1000石以下の小さな蔵であることを初めて知りました。その割には茨城県の蔵の知名度はあまりないですね。僕が知っていた蔵は、来福、郷の誉、大観ぐらいでしょうか。実力のある蔵が多いので、もっとPRをすべきだと思いました。僕は東京在住なので、関東地方の蔵の味をもっと勉強しようと勉強しなければと心を強くしました・・・・・・・

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