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試飲会

2018年6月20日 (水)

栃木県の有名どころのお酒の動向を調べてみました

栃木県酒造組合が主催する次世代栃木の酒の会は今年は大崎駅の近くにある大崎ブライトコアで行われました。酒販店・飲食店向けの第一部と一般のお客様向けの第2部とに分かれていましたが、日本酒ブロガーとして取材するには2部は人が多すぎて難しいと思い、栃木県の酒造組合に1部に参加してよいかを問いあわせたところ、参加しても良いとの許可を受けましたので、参加してきました。 

この会の第1回目は2003年のようですので、今回は16回目となります。僕が初めて参加したのは王子駅の北とぴで行われた2009年の時で、図々しく一部に参加してブログに書いた記憶があります。その後開催場所が北千住に移ってからは一般の部で参加しましたが、混雑していたため、とても取材にはなりませんでした。その後、北千住では1部の後半にネット関係発信者の時間を1時間も受けていただいたことを知り、2014年と2015年と連続してこの時間帯に参加し、ブログに書きました。その時のブログのURLを下記に書いておきます。 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-71c9.html 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-7a5f.html 

2009年の時から取材した蔵は22蔵(十一正宗、惣誉、朝日栄、澤姫、姿、開華、松の寿、旭興、雄東正宗、池錦、若駒、北冠、とちあかね、門外不出、望、柏盛、大那、忠愛、日光誉、菊、鳳凰美田、四季桜)にもなりましたし、東力士と天鷹は蔵を訪問したことがあり、別途ブログに取り上げていますので、すでに栃木県の蔵は殆どの蔵を取り上げてきたことになります。 

今年は3年ぶりの参加で、何を取り上げようか迷いましたが、栃木の酒と言えば「下野杜氏」を外して語ることはできません。下野杜氏の制度が発足したのは2006年で、すでに12年がたって、今では下野杜氏は当たりまえの世界となり、すでに27人ほどの資格者がおられるようです。初めてこの会に参加した時は栃木の酒は華やかで何か垢抜けしたお酒を目指しているなという雰囲気を強く感じたことが思い出されます。今あらためて下野杜氏が醸し出す酒は今どこを目指しているのかを勉強してみようと思い、有名どころのお酒を飲んで、蔵元のご意見を聞くことができましたので、それをご紹介したいと思います。どの蔵を取り上げるかは、たまたま蔵元さんとお話ができた所の中から取り上げたものですので、偏ってしまったかもしれませんが、お許しください。 

1.澤姫 井上清吉商店 

この蔵は宇都宮の少し北にある白沢町にある蔵で、この町は水の町と言われたほど水路が町中にあるところで、ここに明治元年に創業したそうです。白沢の澤の字と地域に愛されたいという気持ちから姫という名を取って澤姫という銘柄にしたそうです。 

この蔵の生産量は約400石強とまだまだ小さな蔵ですが。この蔵を今の形にしたのは現社長の井上裕史さんです。裕史さんはこの蔵に生まれ、東京農大の醸造学部を卒業後蔵に戻って、蔵におられた杜氏の下で、酒造りを勉強しましたが、その方が急病のため引退したために25才で杜氏の代理を務めることになります。その後岩手県外出身者としては当時最年少の29歳の若さで南部杜氏資格試験に合格して、正式に澤姫の杜氏に就任しました。 

僕がお気に入りの大吟醸澤姫を持ってもらいましたが、僕が1升瓶を持つと4合瓶に見えますよと笑っていました。佐志賀にそんなことはないですね。 

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栃木県は従来から南部杜氏と越後杜氏の2つの流派の杜氏が酒造りをしていて、杜氏の後継者不足の問題が起こりはじめていたので、若手を中心に蔵の垣根を越えて技術交流ができる環境を造ろうという動きが立ち上がりましたが、その中心になった一人が裕史さんだったのです。この若手のグループを中心とした栃木県酒造組合が栃木県産業技術センターの協力もと栃木県独自の杜氏組合ができることになります。 

下野杜氏組合がすぐできたかどうかは不明ですが、2001年には下野杜氏の育成のために酒造技術者養成講座がスタートし、最初の下野杜氏が生まれたのが2006年のことです。その1期生には「澤姫」井上裕史さん、「松の寿」の松井宣貴さん、「とちあかね」の伊藤和義さんがおられます。現在では27人ほど資格を持った人がおられるようで、全国の杜氏組合として認知されているようです。 

下野杜氏はハイブリッドな杜氏なので、色々なタイプの酒造りをしているようです。その中で裕史さんは「真・地酒宣言」をして栃木県産のお米しか使わないことを進め、独自の道を切り開いておられます。特に生酛・山廃など昔からの伝統ある造りにはこだわりを持ち、伝統ある味の特性を生かしたお酒のみならず。新しいタイプのお酒にもチャレンジしています。現在は44才の蔵元社長ですが、平成25年に社長となった時に、蔵で育った南部杜氏兼下野杜氏の佐藤全さんに杜氏を譲っておられます。現在どのようなお酒を造っているか楽しみですね。 

ここで試飲したお酒の写真を見ていただきます。 

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僕が気に入ったのは澤姫の大吟醸と純米大吟醸でした。大吟醸はひとごこち40%精米で、純米大吟醸は五百万石40%精米で、酵母はどちらの栃木酵母TF(カプ系)と他のとちぎ系のブレンドだそうです。でもこの2本は造りがだいぶ違っていて、大吟醸は酸を抑え気味で日本酒度を+5ぐらいで、米の旨みを出しながら切れを求めたと酒に対して、純米大吟醸は日本酒度を±0と甘めにして酸をちょっと高めで切れを出していながらアルコール度を少し下げてさわやかさを出したお酒でした。きっとこちらの方が女性向なのではと思いました。僕は大吟醸の柔らかいふくらみが気に入りました。 

生酛は意外にやさしい味わいで、山廃は酸が少し強く出ていて香りもちょっと特徴があったので、僕は生酛の方が好みでした。井上さん自身がどんなお酒を目指しているのかをお聞きしたら、どのお酒も後味の切れを出すようにしていますが、特にプレミアムの純米吟醸を1年寝かしたお酒がお気にいりだそうです。今回は新酒しか持ってきていてなかったので飲めませんでしたが、日本酒度が+5くらいあって、ちょっと酸を出しているので、熟成に向いていると思われます。1年熟成させると驚くほど変わるそうで、これは是非飲んでみたいお酒だと思いました。 

僕の印象では下野杜氏らしい旨みと切れのバランスの良さと伝統あるお酒造りの良さを組み合わせを追及しているように思えました。

2.杉並木 飯沼銘醸 

この蔵は栃木市に1811年から創業した歴史ある蔵です。創業者は新潟県長岡市から出稼ぎにきた飯沼岩次郎さんが見込まれて当主となったようで、現在は飯沼徹典さんが8代目の当主をされています。 

当初の銘柄は「秋錦」だったようですが、良く売れたのでかなりの量をを造っていたようでしたが、6代目の時に新しく「富貴」というお酒をだし、7代目の時に「杉並木」という酒を造り始めました。杉並木は端麗辛口の酒で、地元には人気の酒として定着したようです。その後現在の8代目の徹典さんが2002年に首都圏向けの限定流通ブランドとして「姿」をだしました。このお酒は味わいのある濃醇なタープのお酒で、ほとんどが生酒として販売されているようです。現在の生産量は約500石で、杉並木が6割。姿が4割ぐらいだそうです。 

僕が姿を知ったのは約10年くらい前で、たつなみ酒店(現在のうえも酒店の前身)で知るようになり、味わいのしっかりした酒だった印象です。その後、2010年に池袋の酒菜屋で姿を囲む会があり、そこで初めて徹典さんにお会いしています。その時のことは下記のブログに書いていますので、興味があったらご覧ください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-21fc.html 

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この方が飯沼徹典さんです。たぶん徹典さんがこの蔵の製造責任者兼社長だと思いますが、どこで修行されて今に至っているかどうかはわかりませんが、長年越後杜氏を招いて酒造りをしてきたので、ここで勉強し、技術を伝承してきたものと思われます。ですからいわゆる下野杜氏とは一線を画すのかもしれません 

この会ではすべて「姿」を出品していました。姿が使用している原料米は山田錦、雄町、北しずく、ひとごこち、吟風ですが、全て600kg仕込みの少量生産の造りで、基本は無濾過生原酒です。吟風だけが火入れのお酒でした。 

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全種類飲んでみましたが、全て共通の味わいのバランスを感じました。日本酒度が±0前後、酸度が1.6~1.8ぐらいで、生原酒の旨みを出しながら酸で後味を切っていく造りでしたが、お米によって旨みの出方がちがっているようです 

北海道のお米である北しずくと吟風を使っているお酒は2種類出ていましたが、それは飯沼社長が北海道の大学出身で、仲良くしている居酒屋のおやじさんから北海道のお米を使ってくれないかということで、北しずくを使うことにしたそうです。初めて使ったのが約6年前で、本州では一番早く使った蔵の一つですが、今では結や福祝でも使うようになっています。奇麗な味わいが出るお米ですが、姿に使うと結構味が出るので、とても相性が良いのかもしれません。 

酵母はほとんど協会酵母1801を使っているようですが、それほど香りは強く出していません。栃木酵母のT-ND(ニューデルタ)はイソアミル系の香の酵母ですが、今年からT-ND3となって酸の生産を少なくなったので、雄町と吟風に使ったようです。18系の雄町はドンと味が出るお酒だったのに対して、T-ND3を使った雄町はさわやかな香りと味わいにとなり雄町らしい余韻を感じるお酒になっていました。雄町はイソアミル系が似合っているかもしれませんね。 

吟風は姿では珍しい火入れのお酒でしたが、それは呑みやすい夏酒を目指したからのようです。酵母も1801とT-ND3のブレンドだそうで、結構いいバランスのお酒だと思いました。 

3.桜川 辻善兵衛商店 

この蔵は栃木県の南東部の真岡市にあり、近江商人である辻善兵衛さんがこの地に創業して、すでに260年の歴史があるそうです。その後の蔵の歩みのことはよくわかりませんが、大きく変わったのは現在の蔵元杜氏(16代目)である辻寛之さんが蔵に戻ってからのようです。下の写真が辻寛之さんです。 

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この蔵は元々南部杜氏がおられたようで、寛之さんは高校を卒業後、茨城県の「武勇」で2年間修業されて20年前の21歳の時に蔵に戻っています。その後、蔵の南部杜氏が体調を崩して、22才の時には製造責任者となっていますが、翌年の関東甲信越国税局酒類鑑評会で大吟醸桜川が金賞を受賞するほど、才能のある方なのでしょう。下野杜氏についても取得の努力をされて、2007年に第2期生として下野杜氏になられ、蔵を引っ張ってこられましたが、2年前に社長に就任しています。生産高は400石位だそうです。 

僕が初めて寛之さんとお会いしたのは、前述した姿を囲む会が開かれた時に、寛之さんが突然現れて(勿論計算済みの演出)お会いした2010年のことです。それから辻善兵衛をウオッチしてきましたが、2012年に開かれた第4回雄町サミットで優秀賞に選ばれて以来、ずっと連続して優秀賞を取ってきたのに、ここ2年は入賞できなくなってちょっと寂しい思いでした。ですからこの日が楽しみだったのです。 

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あれ、雄町がない!どうしたのかな。うっかりその理由を聞くのを忘れてしまいました。ちょっと順番に整理してみますと、下記のようになります。 

1.櫻川 大吟醸斗瓶囲い 山田錦40%精米 酵母M310

2.辻善兵衛 純米大吟醸 山田錦50%精米 酵母熊本9号+1801 

3.辻善兵衛 純米大吟醸 愛山50%精米 酵母熊本9号+1801 

4.辻善兵衛 純米吟醸 五百万石53%精米 酵母協会1401+栃木T-1 

5.辻善兵衛 純米吟醸辻風 夢錦50%精米 協会酵母1401+栃木T-1 

6.辻善善兵衛 生酛純米 夢錦58%精米 酵母熊本9号酵母 

写真にはないけどこのほかにプレミアム普通酒 PREMIUM S がありました。プレミアム普通酒は普通酒の概念を変える吟醸造りのような丁寧な造りをした普通酒のようで、日本酒の本当の良さを気楽に楽しんでもらうためのお酒だそうです。2015年の夏に初めて出したそうですが、これはおいしいと評判なったそうです。その後も少しずつ改良を重ねているそうですので、飲んだことのない人は是非呑んでみてください。酵母は7号酵母、原料米は朝日の夢でした。 

今年の大吟醸はM310らしい香りのある奇麗なお酒でしたが、日本酒度を+5と辛めに仕上げていて、酸も抑え気味で気味でしたのでまだ若い感じがしました。ちょっと寝かせて熟成させてから飲みたかったです。純米大吟醸は愛山も山田錦も1801酵母に熊本酵母をブレンドして香りと甘さを抑え気味にして、生酒でちょうど良いバランスにさせたようです。 

純米吟醸は五百万石も夢錦も14号酵母と栃木酵母T-1で、五百万石は大人の落ち着きがあり、夢錦の辻風は香りもさわやかで、すっきり仕上がっていたので夏酒として良いように思えました。夢錦は兵庫県が開発した酒造好適米で、母方に山田錦の流れをくんだお米、父方に兵系23号を使って交配して造ったぽ米で、兵庫の酒米3錦の一つに上げられているお米で、溶けやすく使いやすいお米だそうです。

全体的には昔のパワフルさを抑えた少し大人のお酒に変化しつつある感じがしましたが、雄町はどうなっているのでしょうか?。どうして持ってこなかったのかな。また姿らしい雄町の酒を造っていただきたいな。 

4.惣誉 惣誉酒造 

この蔵は栃木県の市貝町にありますが、創業は明治5年ですからそれほど古い蔵ではありませんが、もともと滋賀県で酒造りをしていた蔵が栃木県に出てきたのが始まりのようです。現在は5代目の河野遵さんが社長をされています。 

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河野遵さんは1961年生まれで、東京大学経済学部を卒業された後、松下政経塾の第6期生など色々を経験を積んだ後、1989年に28才で蔵に戻ります。酒造りの経験はなかったはずですから、岩手県から来ていた南部杜氏に指導を受けて、経験を積んでこられ、1995年に44才で代表取締役社長になられました。 

社長になってすぐやられたのは生酛造りの復活でした。生酛造りは江戸時代に酒母を造る方法として確立された技法ですが、明治時代に開発された速醸法に比較して手間と時間がかかるので、次第にすたれてきていましたが、うまく作ると速醸法よりコクがあって、きりりとした酸が上手くバランスしてくれる味わいのあるお酒になるということで、最近かなり見直されてきている技法です。この技法をいち早く取り入れたのは目の付け所が良い方だと思います。 

東大蔵元会がどのようにして生まれたかはよくわかりませんが、東大卒業生の酒造経営者が中心に集まる会で、2013年に発足したようで、河野さんはその一人です。そして秋のホームカミングデイで東大正門前の銀杏並木にテントを出して、東大蔵元会の醸する日本酒を試飲する会が2016年から開催されるようになりました。その時の様子は僕がブログに書きましたのでご覧ください。 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-e423.html 

更にそれを切っ掛けに東大ボート部のOBが東大応援旗の淡青をイメージしたお酒を造ろうと惣誉酒造に製造の依頼があり、去年それが完成しホームカミングデイで公開されました。それについても僕が書いたブログがありますので、見てください。 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/post-6890.html 

このように最近になっていろいろなことを発信されていますが、2011年の東日本大震災で蔵の建物が被害を受けたのをきっかけに、事務所とゲストハウスの改築を奥様の出身である東大建築学科の大野名誉教授にお願いして造ったそうで、写真を見るととても素敵な建物のようなので覗いてみたくなりました。その写真をホームページからお借りしました。随分幻想的なお部屋ですね。 

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次に今回飲んだお酒をご紹介しましょう。東大の淡青は生酛仕込みの特別純米と純米大吟醸でしたが、どちらも3種類の酵母の醪から搾ったお酒の粘度の違うものをブレンドして造ったお酒ですが、このお酒と同じコンセプトでですが、生酛仕込みではなく速醸仕込みのお酒を今回飲むことができました。 

Dsc00522この写真のお酒は辛口特別純米です。兵庫県の特A地区の山田錦60%精米の速醸法で作った特別純米で、ラベルにはアルコール度数15%としか書いてありませんが、実はこのお酒は協会7号酵母、協会9号酵母、協会14号酵母のお酒をブレンドした火入れのお酒だそうです。 

ブレンドは杜氏がやるのですかとお聞きしたら、ブレンドは結局は好みのの問題となるので、経営者自らの責任でやるのが良いので、自分でやりましたとのお答えでした。 

飲んでみると当たりが柔らかくとげがなくすうと飲める、しみじみおいしいお酒に仕上がっていました。今流行りのお酒とはちょっと違うタイプのお酒でした。 

他にも試飲させていただきましたが、その詳細は省略させていただきますが、この蔵は今まで紹介したお蔵とは方向性の番う少し大人のお酒を目指しているように思えて、そのためには手のかかることでもやってしまうという執念を感じました。 

結局生酛仕込みでも、速醸仕込みでも3種類ブレンドのお酒を出しているようですが、ラベルには表示されていませんので、そのことはわかりませんんね。でも生酛仕込みかどうかは惣誉の文字でわかりますので、参考にしてください。また、熟成したお酒をブレンドするということは、熟成の期間ががいること、ブレンドすると必ず余るお酒がでるはずですから、蔵に余裕がなければできない技だと思います。 

生酛仕込み           速醸仕込み 

Psouhomarekimototokujyun1_8Psouhomaretokujyun1_85.松の寿 松井酒造店 

この蔵は塩谷町にあちますが、この地は日光北街道に面しているところで良質な湧水が出るので、創始者の松井九郎治さんが新潟県から移り住んで1865年に酒造りを始めたそうです。蔵の裏手には松林があったことから縁起の良い寿という字を添えて松の寿という酒名を付けたそうです。でもこの地は人口が少なく酒の売り先には恵まれないことから大手の桶売りもしていたことがあったようです。創業時は松井九郎治商店と呼んでいましたが、昭和28年に現在の松井酒造店と変更しています。 

この蔵を変えたのが5代目の当主の松井宣貴さんです。宣貴さんは長男として生まれ、後を継ぐために東京農大の醸造学部に進学後、卒業後は群馬県の酒造会社で4年半修行をしてから1994年、26才で蔵に戻ってきます。蔵に戻った時は越後杜氏がおられましたが、1997年に急遽やめてしまったので、宣貴さんが1998年から実質杜氏の仕事をすることになります。 

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その後残っていた職人と一緒に試行錯誤をしながら酒を造り始めましたが、2001年には全国新酒鑑評会で初めて金賞を取ることができ、その後も定期的に金賞を取るまでに至っています。そして下野杜氏の発足にはいろいろと貢献し、見事2006年に下野杜氏1期生として認定されています。その後は全国新酒鑑評会では金賞にはあまり恵まれなかったけれども、IWCでゴールドメダルを取るなどの実績を残しています。 

次に飲んだお酒の紹介をいたしますが、どういうわけか写真を撮るのを忘れていますので、文字だけの紹介となります。今回展示されたお酒は純米吟醸(山田錦、雄町、ひとごこち)と純米酒(美山錦、ひとごこち、とちぎ酒14)と山廃純米(五百万石)でした。 

一通り飲んで感じたことは初めて松の寿のお酒を飲んだ時は香りが立って、ちょっと甘いけど奇麗な酸で切ってくれるようなお酒だと思っていましたが、今回は基本は同じなんですが香りは抑え気味にしてきている分だけ、ちょっと特徴が薄くなっている気がしました。 

そこで松井さんにこれからどんなお酒を造ろうとしているのかをお聞きしたら、今までは18系や9号系のブレンドが中心にしてきたけど、この蔵の仕込み水の良さを出したお酒にするために香りをカプ系からイソ系に変える努力をして、6号系も14号系も使ってきましたが、まだ自分が狙っている酒にはなっていないそうです。例えば特別純米美山錦生酒は28BYは自社の9号酵母をつかっていましたが、29BYが6号酵母と9号酵母のブレンドで造ったそうです。来年以降は14号系は酸が出やすいので金沢酵母を使ってみたいとおっしゃっていました。 

松井さんは18号系である完成度の高いお酒を造ることには成功したのでしょうが、現在は酵母を変えながら蔵の仕込み水に適した酒を模索していることがよくわかりいました。来年以降の新しい試みに大いに期待したいと思っています。松井さんの凄いのは毎年使用している酵母はラベルには書いてありませんが、販売店には明示していることですね。これはぜひ続けてもらいたいですね。 

6.仙禽 せんきん 

せんきん㈱は東北本線の氏家駅の近くのさくら市にありますが、創業は1806年だそうですから212年もたっている老舗の蔵です。創業時の蔵の名前は仙禽酒造で、仙禽とは仙人に使える鶴のイメージを表すそうです。素敵な名前ですね。先代の社長の薄井篤さんはアイデアマンで、大谷石の地下貯蔵を仕込み蔵や貯蔵蔵にしたり、いち早く杜氏制度をやめるなど画期的なことを行い、普通酒の仙禽を中心に販売を広げ、一時は3000石位になったそうですが、バブルがはじけて急激に経営が苦しくなったそうです。 

息子の薄井一樹さんは11代目に当たりますが、蔵の経営にはあまり関心がなく、大学の経済学部に進むものの本気になれず大学を中退し、当時注目を浴びていたワインソムリエの田崎信也が主宰する日本ソムリエスクールに入学して、ソムリエの資格を取ります。その後同校の講師として勤めることになるのですが、22才の時に実家のお酒の仙禽を先輩と飲んだ時にその酒の評判が悪く、福島の「飛露喜」を飲まされてそのお酒との違いを痛感することになります。このことをきっかけに実家に戻って後を継ぐことを決意するのです。 

一樹さんとはこの会でお会いできなかったので、6年前に神田の醇でお会いした時の写真を使いました。 

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2004年経営再建のために24歳で実家に戻って帳簿を調べてみると、素人の自分が見ても危ないのがわかる状態だったようです。とにかく今までの仙禽の悪いイメージを払拭する必要があり、そのためには、ただ美味しくするだけではなく、飲み手をあっと驚かせるようなインパクトのある味にしようと思ったようです。彼の結論は甘酸っぱいお酒を目指します。その頃は端麗辛口の時代でしたので、甘いお酒は売れないと言われていましたが、ソムリエの彼はワインの経験から色々なお料理に合わせるには甘酸っぱいお酒がベストだと確信していたようです 

一樹さんがこんな酒にしたいという設計図を書いて、昔から蔵人として頑張っていた小林さんや2006年に蔵に戻ってきた弟の真人さんと協力して新しお酒を完成させたのが2007年のことです。凄いのは再建の方法でした。2008年にこのお酒を売る新会社の「せんきん」を立ち上げて、営業権と醸造設備を新会社に売却して古い会社を畳んでしまいます。ですから10代目の父は経営からはずれ、新しい人が社長となり、一樹さんは専務取締役となり、正人さんは常務取締役になります。 

生産量は最盛期の10分の1(300石)からスタートすることになりますが、こんなお酒は売れるはずはないとと思っている人も多かったと思いますが、いざ市場に出してみたところ若い女性に大ヒットし一気に人気ブランドに駆け上がることになります。 

僕が初めて一樹さんにお会いしたのは2012年ですが、すでに生産高は500石となっていました。その頃は現在せんきんが主張しているドヌーブという概念がまだ公にはなっていませんでしたが、その形が見え始めていた気がします。ドヌーブとはワイン業界でブドウ栽培から醸造までを通して行う生産者のことを言うそうですが、せんきんは蔵で扱う原料米を全て仕込み水の地下水と同じ水脈の田圃で栽培することを2014年に宣言しています。扱っているお米は山田錦、雄町、ひとごこち、亀の尾の4種類ですが、それにより愛山や特Aの山田錦はは使わないことになるので、お酒造りにどのような強みになっているのか僕にはわかりませんが、蔵のイメージアップには役立っているのは確かです。 

一樹さんは他にも次々と新しい企画を打ち出しています。せんきんのお酒のシリーズを、モダン、クラシック、ナチュール、ドルチェ、季節限定の5種類としてわかり易くしています。 

下の写真はせんきんの常務取締役で製造責任者の薄井正人さんです。甘酸っぱいお酒のキーは何といっても酸だと思います。この奇麗な酸を出すにはいろいろ大変で苦労して出したそうです。 

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更に昨年からせんきんとは違うシリーズのお酒「羽水(うすい)」を出しています。最近のせんきんは一部の流通でしか買えないお酒となっており、従来の仙禽を扱っていた日本名門酒会の加盟店ではせんきんではなく霧降という銘柄を扱っていました。これをやめて、またせんきんの制約となっている米の調達も一切こだわらないお酒を出すことになり、このお酒のコンセプトは製造責任者の正人さんにすべて任されたようです。羽水がこれからどのように変化していくかは楽しみです。特に今年の夏に出す羽水はお幅に造りを変えたとのことでしたので、期待して飲んでみてください。 

正人さんのお話では今年の生産高は2000石くらい行くかもしれないというほど、生産量が拡大していますが、味がどうなのかこの会で試飲してみました。 

出品されていたお酒は仙禽一聲、モダン無垢、クラシック雄町、仙禽ナチュールの4種類でした。 

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僕が気にったのは仙禽一聲と雄町でした。一聲は山田錦35%精米のプレミアムモデルで鶴の一声という意味だそうです。うまみと酸とのバランスが良くきれいでいてしっかり味が楽しめるお酒に仕上がっていました。酵母はカプ系ではない栃木酵母だそうです。 

雄町はさわやかなイソアミル系の香で雄町らしい余韻が楽しめるお酒でした。正人さんの話では雄町は溶けやすいお米なので、うまく作ると奇麗なな余韻を楽しめるお酒になるそうです。 

モダン無垢は仙禽らしい甘酸っぱいお酒で、ナチュールは亀の尾90%精米の生酛ですが、とても90%とは思えない奇麗さと味が出ていましたので、お聞きしたら1年j熟成させているそうです。 

今回飲んで感じたことは全体に奇麗さが出ており、生産高の増量にもかかわらず味の低下は見られませんでした。そのことをお聞きしたら、蔵の清潔さには十分心がけているのと1タンクの造りを600kg~1500kgに抑えているからではないかとおっしゃっていました。ますます、これからが楽しみですね。誰もが90点が取れるようなレシピで酒を造っているといずれお客に飽きられてしまうので、一味違うお酒造りをしようという姿を強く感じました。 

7.東力士 島崎酒造 

この蔵は現在は那須烏山にありますが、創業は1849年で今の地より少し南の茂木町で島崎彦兵衛さんが酒造業を始めます。その後2代目の熊吉が烏山にある老舗の蔵を譲り受けでここに居を構えます。この熊吉さんが無類の相撲好きだったことから酒名を「東力士」と名づけたようです。 

そして4代目の1971年(昭和46年)の時に社名を株式会社島崎酒造に改名し、現在に至っています。島崎酒造は熟成酒、特に大吟醸のビンテージの蔵として有名ですが、この長期熟成酒製造を始めたのは1970年ですから今から48年も前のことだったのです。まさに時代に先駆けてのチャレンジだと思いますが、これを引っ張たのは5代目の当主の島崎利雄さんだったようです。当初は地下貯蔵庫で5℃の低温で熟成をすることをしていたのですが、国が戦車を造る工場として昭和20年に造ったものの利用されずに終わった洞窟を1999年に買い取って、低温長期熟成の道を本格的に走ることになります。 

この洞窟貯蔵庫は年間平均温度が10℃ですが、夏場冬場で±5℃くらい変化するので、熟成には向いた貯蔵庫のようです。広さも総延長600mもあるので最大で1升瓶を20万本も貯蔵できる能力を持っているそうです。この熟成酒のお酒のスペックについては昔から疑問を持っていたことがありましたので、現社長の島崎建一さんに聞いてみました。また、最近造られているのお酒についてもコメントしたいと思います。 

下の写真お方が島崎健一さんです。建一さんは1969年生まれで、東京農大醸造学部を卒業された後、新潟の蔵で修業された後現在に至っていますが、一番力を入れたのが杜氏の育成です。この蔵は長きにわたり新潟県の越後杜氏に造りをお願いしてきましたが、30年以上前から地元の人材育成に努め、10年ほど前から完全に地元社員だけで作ろができるようになっているそうです。建一さんは2012年に代表取締役となり、蔵の生産高は現在約1500石だそうです。 

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成酒について酒質と熟成度についてお聞きしましたら、お酒の中の糖度とアミノ酸が多いと熟成スピードが上がると教えていただきました。酸度についてはどうですかとお聞きしたら明確な関係はわからないそうです。確かにそれは間違いないことだと思います。理論的にはアルコール自身は変化をしにくい成分なので、そこに入っている成分の多いものと言えば糖とアミノ酸ですから理屈に合います。それをどのように変化させるかは、まさに管理方法にかかわるわけですが、この世界は日本では歴史の浅いので、ワイン用には実績がないので、まだまだ分からないことが多い世界と言いったほうが良いと思います。

東力士の酒と言えば、昔は甘口の酒だと思っていましたが、10年ほど前から違ったお酒も出すようなったようです。それを今年から社長のアイデアでで新しいお酒へとリニューアルしたそうです。見てみましょう 

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その代表的なお酒がこの3本です。左から紹介しましょう。 

1.東力士 純吟 直汲み 無濾過生原酒 愛山55%  

2.東力士 純吟生原酒 極雫 うららか 五百万石、とちぎ酒14号60% 

3.東力士 純吟生原酒 極雫 澄艶 山田錦55% 

この3種類のお酒は極雫シリーズで、10年ほど前から販売を開始し、少しずつ種類を増やしてきているそうですが、昨年までは「杜氏入魂袋吊り、極一滴雫酒」でしたが、名前が長すぎるという理由で「極雫」となり、デザインもこの写真のように一新したそうです。 

愛山ととちぎ14号は酵母がM310と小川酵母のブレンドで、山田錦は小川酵母でした。ですから山田錦の方はイソアミル系の爽やかな香りに対して、他はカプロン酸の香りを強く感じました。でもどのお酒もフレッシュ感があり、優しいうまみを感じるお酒で、今までの東力士とは世界が違うお酒でした。社長にはお聞きしませんでしたら、これからどのお酒をメメインとしていくのでしょうか、見守っていきたいと思いました。 

以上で栃木県のお酒を一通りチェックしてみましたが、一時の下野杜氏のブームは落ち着いてきており、各蔵とも独自のお酒造りを追及しようとしていることが判りました。今や全国の若手の蔵元がいろいろ立ち上がってきている時代になっている中、その中で早くから変革をしてきた栃木の酒がこれからも引っ張て行くようになってもらいたいと思っております。そのためには、また新しい企画が必要なのかもしれません江。

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2018年5月 6日 (日)

今年の福井県の新酒まつりは大変でした

今年も福井県の酒造組合が主催する春の新酒まつりに参加してきました。場所は去年と同じ福井市内のフェニックス・プラザのフェニックス・プラザ大ホールで開催され、今年も去年と同じ24蔵の参加で、開催時間も13時30分から17時まででした。
 
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今年は開宴時間より少し前から入場させたので、あまり待ち時間がなく入場できたのですが、入場すると同時に黒龍酒造と加藤吉平商店の前には試飲するための行列がずらっと並んでしまい、ほとんどの人が開催の挨拶を聞いていない状態から始まりました。 

去年は初めての参加でしたので仕組みが良くわからないまま、開会の挨拶を聴いてから、列ができていない蔵を中心にいろいろな蔵のブースを回り、何とか7蔵を取り上げてブログに書きました。自分でも良くやったと思うほどで、それなりに充実した試飲を楽しみブログを書き上げることができました。その記録は下記のブログを見てください。 
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今年は去年とはだいぶ事情が違いました。きっと入場人数が去年よりかなり多かったのだと思います。今年は友人を連れての参加でしたので、僕も入場と同時に黒龍の前に並んで、黒龍の「しずく」を飲んでから、他の蔵を回り始めたのですが、今年はどの蔵にも人が並んでいるので、仕方なくそこに並んでブースの前できたらお酒を飲めるのですが、後ろに待っている人が大勢いるので、何か1杯飲んだらそこを離れざるを得ない状況でした。これではとても蔵元とお話したり、色々な種類のお酒を飲むことなどできる状況ではなかったので、とても取材にはなりませんでした。この状態が延々2時間くらい続くことになるので、疲れ果てて途中で休憩を取る始末でした。 

3時半を過ぎると少し人が減ってきましたので、ブースの蔵元とお話ししながらお酒を飲めるようになったので、少し気合を入直してブース巡りを開催しましたが、今度は思いがけないことが起こりました。それは蔵で用意したお酒が足りなくなり、人気のお酒が飲めなくなったのです。これではその蔵のお酒を紹介することはとても難しいことになります。その中でなんとか僕が気になった蔵だけをご紹介しますが、去年のような紹介記事にはならないことをはじめにお断りしておきます。
 
蔵の紹介をする前に来年以降の開催内容について開催者に注文を付けておきます。
 
1.ホールの大きさにあった人数に制限してください。
2.出品するお酒の紹介のパンフレットを造ってください。   
3.蔵ブースのレイアウトを地区別にするなどわかり易くしてくださ
     い  
4.会の終わりになるまで酒が無くならないように十分な量を確保
     してくだ さい。  
5.予算的にこれができないのであれば、入場料金のアップを検
     討してください。
 
僕の勝手な意見ですが、これができないようあれば来年からはこの会への参加をあきらめるつもりです。
 
それでは以下に4つの蔵を紹介します。
 
1.常山酒造
 
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写真お方は専務取締役で杜氏の常山晋平(とこやましんぺい)さんです。晋平さんは9代目の蔵元で、元の杜氏の栗山さんが退職したのを切っ掛けに、2015年から杜氏として酒造りを続けていますが、晋平さんになってどんな味になったのでしょうか。
 
実はこの会の前日に、40分程度の短い時間でしたが、特別に時間を割いてもらって蔵見学をさせていただきましたので、少し蔵の紹介をいたします。晋平さんから蔵の中身はSNSにはアップしないように言われていましたので、大丈夫だと思うところだけを少しだけ紹介させていただきます。 

蔵はJR福井駅から歩いて10分くらいのところの町中にあります。下の写真がお店の入り口です。この奥に蔵があります。この蔵は江戸時代の1804年にこの場所に創業したそうで、当初は「常祝」とか「羽二重正宗」の銘柄のお酒を造っていたそうです。現在の銘柄の「常山(じょうざん)」が誕生したのは1996年だそうです。

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この蔵は戦争中の福井空襲や昭和23年の福井地震で2度も蔵が無くなるトラブルを乗り越えてきた蔵で、写真の建屋1999年年に作り替えたものだそうです。この蔵の銘柄の「常山」が認めらてきたのは2002年から栗山雅明さんが杜氏になってからです。栗山さんは静岡県の浜松出身で「青島酒造」8年間酒造りを学んでからこの蔵に来て、辛口でどっしりしたお酒を中心にした酒造りをしてきました。そして2014年(25BY)で、定年で蔵を退職されますが、22BYと23BYでは連続して全国新酒鑑評会で金賞を取るまでになっています。 

晋平さんは現在33才ですが、2010年に蔵に戻って栗山さんのもとで酒造りを勉強し、2012年には国税局の造像試験所でみっちり研修を受けた後は本格的に酒造りを始めました。そして、栗山さんが定年になった25BYから満を持して杜氏として酒造りを始まます。栗山さんの造りを踏襲しつつ、米の旨みと奇麗さを兼ね備えたようなお酒へと変身したようです。
 
蔵の中はあまりお見せできませんが、2年前に蔵の中の土間や壁を全て塗りなおしたそうで、蔵に入った時に奇麗な蔵だなと思ったほどです。その代表的な場所は薮田の搾り機の部屋ですが、床は特殊な塗料で塗りなおしたほかプラズマクラスターを入れてカビの繁殖を抑える工夫をしていました。
 
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仕込み部屋のタンクはすべて真っ白な解放型タンクで、とても清潔感があふれていました。さらに搾りの部屋は5℃の空調が出きるようになっており、搾ったお酒はサーマルタンクで冷却をしながら澱引きして、その後瓶詰めして生酒はー5℃、火入れは+5℃の貯蔵をするなど徹底したコールドチェーンにこだわっているようでした。
 
この蔵の中を見るだけで、酒の品質がわかるような気がしていて、その証拠には去年の28BYで晋平さんとしては初めて金賞を取るまでになっています。
 
以上で蔵見学の紹介は終わりますが、春の新酒祭りでは飲んだお酒は写真んもないし、銘柄もよくわからず飲んだので、確かな紹介は出来ませんので、、蔵で試飲したお酒で紹介したいと思います。
 
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から純米大吟醸、超辛純米生60、霞純米吟醸です。 

1.常山 純米大吟醸  美山錦50%精米、福井酵母はFK-5です。マスカット系の香がするイソアミル系の爽やかなお酒でした。酸度は1.3~1.4でした。福井県産の美山錦をPRするために造ったそうです。
 
2.常山 純米生 山田錦60%精米 酵母は協会酵母1401で日本酒度は+8、酸度1.7のお酒です。飲んでみると確かに後味に辛さを感じますが、米の旨みがしっかりかんじて、後味の酸が奇麗に切ってくれるので、白身肴に合う感じがしました。このお酒がこの蔵のベースのお酒だと思います。
 
3.霞 純米吟醸 1回火入れ 麹米が山田錦50%精米、掛米が山田錦60%精米の純米吟醸で酵母は協会1801と自社酵母のブレンドです。飲んでみると旨みを感じるけど、カプ系の香りのする華やかなお酒でした。少し流行り系のお酒を造ったようです。
 
この蔵のお酒で共通に感じるのはテクスチャのやさしさで、仕込み水の軟水の良さを馬無引き出して、その上にお米の旨みを載せていながら切れを出しているお酒のように感じます。どのおお酒を飲んでも良さが感じられる造りで、今後どのように変化していくのかが楽しむ蔵でした。
 
.株式会社 越の磯
 
今まで福井の会に参加していて、この蔵の存在を今回初めて知りました。この蔵はえちぜん鉄道三国芦原線の日華化学駅前にある蔵で、創業は1909年ですからそれほど古い蔵ではありません。昔は福井県越前岬の突端に位置していた越廼村というところで蔵造りをしていたので、越の磯という名前を付けたようです。
 
インターネットで調べてみてもあまり古いことには触れておらず、地ビール製造で有名な蔵のようです。写真お方は専務取締役で杜氏の磯見邦博さんです。邦博さんは東京農大を卒業されて、最初は日本酒をメインに造りをしていたそうですが、1994年の細川内閣の時の酒造法の改正で、ビールの醸造免許を2千KLから60KLに引き下げられて、地ビールが各地で作られるようになったので、ビール造りを思いついたそうです。いろいろ検討した結果、福井県産の六条大麦に目を付けて、1998年から地ビール「越前福井浪漫麦酒」の醸造を始めました。
 
生産高は日本酒が400石で、ビールはそれより少ないけれども、2010年に香港の情報誌のビール特集で、大手メーカーのビールを抑えて人気第1位になってから、海外でも注目されるようになったようです。
 
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61rmxg9twql__sl1000_日本酒はあまり多くの酒類は造っていないようですが、この日は一期一会という純米大吟醸山田錦33%精米と大吟醸山田錦40%精米の2種類をいただきました。両方とも少し熟成させているようで、テクスチャーが良くて、とろりと口の中になじむいいお酒でした。この会ではあっという間になくなったようで、後半に行ったらもうありませんでしたので、他のお酒を持ってもらいました。 

持っていただいたお酒は五百万石60%精米の寒仕込の純米酒の越廼磯です。今年から名前を変えて新しく出したお酒のようで、本醸造もあるようです。
 
インターネットで見る限り、この蔵のお酒は自社のオンラインショップや流通経路での販売が多く、特定の小売店ではどこで売っているのかよくわからなかったです。でも、お酒の味はそこそこ良いと思いました。
 
3.吉田酒造
 
この蔵については去年のブログに書きましたので、、下のURLをクリックして見てください。http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-2f64.html
 
この時は社長の由香里さんと亡くなった智彦さんを取り上げましたので、今回は今期から新しく杜氏となって頑張っている娘さんの吉田真子さんのことを少しご紹介しましょう。真子さんは関西大学に行っていたそうですが、父が体調を崩したことから卒業後蔵に戻って酒造りの道に入ったそうです。まるまる2期の造りをした後、知人の伝手で去年5月に立ち上がったばかりの北海道の新しい酒造会社の「上川大雪酒造」の川端杜氏の下で、Makuakeクラウドファンディングの試験醸造を一緒に経験することにより酒造りの勉強をした後、蔵に戻って29BYから杜氏として酒造りをしています。 
 
下の写真が真子さんで24歳だそうですから、日本最年少女性だそうです。クラウドファンディングで有名なMakuakeが、今年の1月から4月まで真子さんのお酒を取り上げて、ファンディングの募集をしていた時の写真を拝借しました。  
 
最近ではテレビにも取り上げられて一躍注目を浴びていますので、急に有名な人になりましたね
 
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この蔵は父親の智彦さんが一昨年に急死されて大変だったのですが、奥様の由香里さんが社長になるとともに、長女の吉田祥子さんが営業を担当し、祥子さんの旦那様の吉田大貴(養子)が真子さんを支援する製造を担当し、家族で力を合わせて頑張っているのです。こんな蔵はみんなで応援したいですね
 
下の写真は新酒まつりの会場におられた由香里さんと大貴さんです。大貴さんは鹿児島出身で東京のある会社に勤めていた時に祥子さんと出会って結婚したそうです。子供の時は雪など見たこともない生活だったそうですが、今では寒い冬の中で酒造りをしているそうですが、楽しいそうです。頑張ってください。
 
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祥子さんは当日は会場におられませんでした。それは翌日から東京池袋の東武デパートでの試飲販売会に出席するためだそうです。僕は翌日東武デパートに駆けつけて、祥子さんにご挨拶した後、真子さんが造ったお酒を試飲し、下記の純米大吟醸を購入しました。
 
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このお酒は純米大吟醸吉峯です。智彦さんが苦労して造った地元の山田錦45%精米のお酒ですが、香りはカプロン酸エチルの香ですが穏やかです。口に含むと奇麗な甘みが広がり奇麗に消えていくのですが、穏やかな辛みを感じながら少し余韻を残しながら消えていくお酒でした。いかにも女性らしいさわやか系の大吟醸に思えました。僕の感覚では日本酒度は1.5、酸度1.3という感じでしょうか。
 
このお酒は会場にはありませんでしたし、会場ではどんなお酒を飲んだかよく覚えていません。
 
4.田邊酒造
 
この蔵はこの会の最後の最後に訪れましたが、会場には専務取締役の田邊啓朗(たばべひろあき)さんがおられました。この蔵は去年蔵訪問をしていますので、蔵の詳細はそちらをご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-ea66.html

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蔵見学した時は弟の田邊丈路さんが対応していただいたたので、僕が蔵見学したことは知らなかったようです。啓朗さんは東京の明治学院大学を卒業後蔵に戻ったのですが、弟の丈路さんの方が早く蔵に戻っていたので、造りは弟に任せて自分は営業をしているそうです。この兄弟のコンビはなかなかのものだと思います。 

Dsc00439持っていただいたのは少し面白いお酒です。福井県立大学との共同研究で生まれた酒で、梅肉や紅梅液を販売する高野吉平商店の梅壺から採取した天然梅酵母を使った酒だそうです
 
原料米五百万石70%精米、アルコール度数12度、日本酒度-35、酸度3.5のお酒「プリュネ」です。飲んでみると、甘酸っぱい中に米の旨みを感じるお酒でした。
 
日本酒の可能性を探る試みの一環として行ったそうです。
 
以上で福井春の新酒まつりの報告を終わりますが、あまり蔵の紹介ができなくてすみませんでした。でも少しは面白いネタを紹介したつもりです。 

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2018年4月15日 (日)

置賜地区の地酒サミットで見つけた蔵の紹介

米鶴酒造の梅津社長さんからFACEBOOKで置賜地区の地酒サミットが米沢市で行われ、おいしい米沢牛が食べれる良い会ですよというお誘いがありました。置賜地区がどんなところかはよく知らなかったけど、山形県中央の南部だということくらいは薄々わかっていて、東光の小嶋総本店や米鶴酒造や雅山流の新藤酒造があることは知っていましたが、他の蔵ははっきり言ってほとんど知らないなのに17蔵が集まそうなので、何か新しい発見ができるかもしれないと思ったのと、米沢牛が食べれる魅力に誘われて、新幹線日帰りで参加することにしました。 

調べてみると置賜地区は確かに山形県の中央南部にあり、南は福島県、東は宮城県、西は新潟県に接していますが、その間には高い山が連なっており、その山々に囲まれた盆地のことを言うようです。主な街は米沢市、南陽市、長井市などがありますが、この地区がまとまってこのような企画をしているとは知りませんでした。 

この会の主催おきたま食のモデル地域実行協議会で、この協議会は山形おきたま農業協同組合の中にあるようなので、農協が主体でこの地区の酒造組合と力を合わせて行われているようで、今回が4回目だそうです。でも前回の第3回は平成28年の秋に行われたようで、きちっと定期的に行われているようではありませんが、この協議会の会長の発言によれば、第5回目は東京でやりたいとの発言がありました。東京ではあまり知られていない蔵が多いので、成功するかちょっと心配です。 

今回は米沢市の結婚式場のグランドホクヨウで3月11日に行われましたが、参加者は200名ですが、会場が広いのでゆったりとした試飲会でした。写真を付けておきますが、東京ならこの倍の人を詰め込むのではと思います。 

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<おきたま地酒サミットのやり方について>

17蔵が中央にブースを構えていて、それを取り囲むようにテーブル席が用意されていて、とてもゆったりとして、蔵元さんとゆっくり話ができたのは良かったのですが、蔵元が来ていない蔵が半分くらいあったのはちょっと残念でした。また蔵の人が来ていてもお酒のことをあまり詳しくない方もおられたこともちょっと残念でした。僕は蔵元の方が出ている蔵と主に取材いたしましたので、僕が取り上げた蔵以外にも面白い蔵があったかもしれないと思っています。特にこの地区の若手の蔵元杜氏で造った「おきたま5蔵会」のメンバーには大変興味がありましたが、その大部分の蔵元がこられていなかったのはとても残念でした。きっと造りの真っ最中なので参加できなかったのではと思われますので、開催時期に関してはもっと検討してほしいと思います。 

もう一つ残念なことがありました。それは参加者に配られた出展地酒一覧表は、わかり易くてとても良かったのですが、お酒の酒質の表示で、原料米は書いてあったのですが、精米度が書かれていないのは驚きました。精米度はお酒の質を考えるとき非常に重要なことの一つなので、絶対に書いてほしい情報です。もう一つ、当日のブースに来られている蔵の人の名前も書いて欲しかったです。これについては間際にならないと決まらないので書きにくいい情報とは思いますが、知りたい情報の一つですので、やってもらいたかったな。 

<GI表示について> 

会場でのご挨拶で山形県が日本酒のGI表示で県単位のGI表示山形を2016年12月に日本で初めて取ったことを知りましたが、これは山形県の日本酒に関する様々な関係者の努力によって達成した素晴らしいことですし、素直にお祝い申し上げます。GI表示はお酒の品質を保証するものであることはわかりますが、GI表示をするには蔵がどのようなことをしなけれないけないのかの説明がありませんでしたし、消費者にとって具体的にどのようなメリットがあるのかが良くわかりませんでした。例えばこの表示には厳しい審査があって表示できるのであれば、GI表示された酒はいい酒に違いないと思いますので、消費者にとってはわかり易いけど、GI表示するのにお金や時間や手間がかかり過ぎれば、蔵元にとってはめんどくさいことになるわけですから、生産者は誰も取らなくなる恐れがあると考えます。ですから、生産者も消費者もメリットのある仕組み造りであることを説明してほしかったです 

<僕が見つけた蔵の紹介> 

冒頭に述べましたように、東光と雅山流と米鶴については知っている方も多いと思いましたので、紹介するのはやめて、僕が初めての蔵ばかりを紹介します、でも東光も雅山流も蔵人は来ていましたが、蔵元が来ていなかったのは残念でした。事前に雅山流の新藤さんと連絡を取った時に、この時期は造りに忙しい時で参加できないとおっしゃっていました。仕方がないのかな。

1.東の麓酒造 

この蔵は南陽市の宮内にあり、創業は明治29年で、酒田屋利右衛門の酒造部門を地元の在郷商人の遠藤家の栄次が引き継いだのが始まりで、当時は山栄遠藤酒造店という名前だったようです。(色々調べたけれども僕のような表現をした記事は一つもありませんが、色々読み解くと僕の表現が正しいのではと思っています) 

従って遠藤家が代々当主として引き継いで酒造りを続けてきました。お酒の特徴は丁寧な酒造りを する蔵で、 厳選した材料と高い醸造技術により、うまい酒造りをして いるにもかかわらず、ほんの数年前までは、地元だけで飲まれてい たようです。製造部長の新藤さんのお話では平成22年に東の麓酒造と名を変えたようです。 

去年までの社長は遠藤孝蔵さんでしたが、、去年の夏に88才で亡くなられて、現在は出羽桜酒造の仲野さんが社長を兼務されているそうです。詳しいことはわかりませんが、出羽桜酒造とは縁戚関係があったようです。現在の蔵の生産量は600石強のようです。 

Dsc00338_2この方が製造部長の新藤栄一さんです。その下に杜氏がおられますが、なんとその杜氏さんは元東北泉の杜氏をされていた神理(じんさとし)さんでした。神さんは3年前からこの蔵に来られて酒造りをしています。 

持っていただいたのは純米大吟醸の天弓 藍天です。このお酒は新藤部長と故遠藤社長が何か新しいコンセプトの酒を造ろうということで、東北芸術大学と共同開発したお酒です。丁度神さんが蔵に来た時から造り始めたようです。 

天弓とは雨が降った後の晴れの日に現れる虹のことで、この酒のシリーズには晴れ(天)」「雨」シリーズがあり、藍天は「晴れ」でやや甘口、桜雨、白雨、喜雨が「雨」で辛口だそうです。 

今回は藍天しか飲んでいませんが、藍天は雪女神40%精米、アルコール度16.5、日本酒度-2、酸度1.3の酒質で、18号酵母を使っているのでカプロン酸系の香ですが、あまり強く香りを出さないやや甘めの飲みやすいお酒でした。 

この蔵のスタンダードであるお酒の「東の麓」のお酒が9号酵母を使っているけど、カプの香りをださずに酢酸イソアミル系の爽やかな香りのするように作られていて、やや辛口のお酒でした。ですから、藍天はやや今風のお酒を狙ったものと思います。これからも新藤さんが中心になって蔵を引っ張っていくのでしょうが、仲野さんの味がどれだけ出てくるのか楽しみです。 

2.後藤酒造 

この蔵は江戸時代中期の1788年に初代後藤卯左衛門が高畠町に創立したのが始まりのようです。高畠町には後藤酒造のほか米鶴酒造、後藤康太郎酒造の3蔵がありますが、その中で高畠駅に一番近い最上川ほとりにあります。 

この蔵の近くには「辯財天」が祭ってある奥津島神社があり、その神社から「辯天」を名乗ることが許されたので、酒名を「辯天」としたそうです。「辯天」とは七福神の中で、音楽や芸能をつかさどる女神のことを言うそうです。 

下の写真方は専務取締役の後藤大輔さんです。大輔さんは蔵元の息子さんで東京農大を出られて、20年前から杜氏と一緒に酒造りをしているそうです。現在47才だそうですから、酒造りはほとんど彼に任されているようで、現在の生産高は600石のようです。 

Dsc00341_2大輔さんには2本の辯天を持っていただきました。右手に持っているラベルの青い辯天は純米大吟醸原酒で、お米は出羽燦燦48%精米で、アルコール度数17.5、日本酒度+3、酸度1.5です。協会18号酵母を使っていますが、それほどカプの香りはせず、口に含むとふあっと旨みと甘みが広がり後味がすっと消えていく良いバランスのお酒でした。

左手で持っていただいた辯天は特別純米原酒で、お米は出羽の里60%精米のお酒です。アルコール度数は17度、日本酒度+3、酸度1.5です。飲んでみると2回火入れの香りがするために吟醸香がマスキングされてしまい、ちょっと残念でしたが、うま味と酸味のバランスが純米大吟醸と同じように良いなと思いました。 

大輔さんに現在どんなお酒造りをしているのかお聞きしたら、先代が香り高い酒を求めていたので、自分としては香りを抑えた旨みを活かした食中酒を求めているそうです。 

この蔵は全国新酒鑑評会でここ20年間で11回も金賞を取っている蔵で、小さい蔵の中では実力もあり、頑張っている蔵だと思います。 

3.後藤康太郎酒造 

この蔵は後藤酒造と同じ高畠町にありますが、後藤酒造とは縁戚関係はないそうです。蔵は高畠駅から南東に5kmほど山の麓の方に行ったところにあり、近くに学業の神様として有名な日本三文殊の一つの亀岡文殊があります。その文殊がある文殊山からの伏流水を仕込み水にしています。創業は江戸時代中期だそうで、とても古い蔵ですが、地元のための酒造りを続けている地道な蔵で農村型蔵と言えるのかもしれません。 

小さいながら自社精米機を導入するなど、酒造りにはきちっとした取り組みをしていて、特に純米酒は40年前から取り組んでおり、地元では純米酒の錦爛(きんらん)と言われるほどだそうです。 

生産高は昔は1000石くらいあったようですが、現在は500石強の生産量のようです。写真の方は蔵元の息子さんの後藤隆暢(たかのぶ)さんで、現在41歳で蔵元杜氏として酒造りをしておられます。隆暢さんは東京農大を卒業され、他の酒屋に勤めた後、15年前の26歳の時に蔵に戻ったそうです。 

Dsc00342隆暢さんには2本のお酒を持ってもらいました。右手に持っているお酒は羽陽錦爛の純米大吟醸で、原料米は雪女神40%精米、アルコール度数16度、日本酒度-7、酸度1.3です。このお酒には山形県のGIマークがついていました。飲んでみると日本酒度-7の割には甘く感じないけど、口の中ほどまで旨みを感じるので、アミノ酸が多いのではと思いました。お聞きするとアミノ酸度は1.1とのことでした。 

左手に持っていただいたお酒は、純米吟醸高畠の四季で、原料米は出羽燦燦精米度不明、アルコール度15度、日本酒度+3、酸度1.3です。飲んでみるととてもすっきりした飲みやすいお酒でした。このタイプのお酒がこの蔵のベースの味のようです。 

隆暢さんの造りたいお酒はどんなお酒ですかとお聞きしたら、この蔵は伝統のある蔵なのでその技術は伝承しつつ、世の中の流行りを追うことなく、派手ではないけど時代にあった酒を気づかれないように造っていきたいそうです。これからどんなお酒に落ち着いていくのかは大変興味があります。

4.中沖酒造店 

この蔵はJR奥羽本線の赤湯沢駅から西に8㎞程行ったところ、フラワー長井線の西大塚駅の南にあります。ここは置賜地区の中央のやや北側にあり、まさに米どころにあると思いますが、国内最大級のダリアの生産地で有な場所のようです。 

創業は大正12年ですからそれほど古い蔵ではないですが、創業当時から家訓の「酔心は浄心に宿る」をモットーに地元向けのお酒を造っており、生産量が現在300石位の小さな蔵です。 

写真の方は3代目蔵元の高橋義孝(よしゆき)さんです。現在42歳の蔵元杜氏で、専門の大学を出ているわけでなく、福井県の早瀬浦で1年修業をした後、蔵に戻って酒造りを続けておられます。置賜地区の蔵元杜氏が5蔵集まって五蔵会を造っていますがそのメンバーの一人です。この会で唯一お逢いした五蔵会の杜氏さんでした。 

Dsc00344持っていただいたのは代表銘柄の羽陽一献の純米大吟醸 醸心(じょうしん)です。原料米は雪女神40%精米、酵母は山形酵母KAのブレンド、アルコール度16度、日本酒度-4、酸度1.4のお酒です。

飲んでみるとそれほど強くはないが、さわやかな香りの中に甘みと旨みが奇麗に広がってぱっと消えていくお酒で、雪女神らしい特徴をうまく引き出しているように思えました。

純米吟醸の夜游(やゆう)も飲みましたが、すっきりした辛口で、普段飲みできるおさけでした。噂によるとこの蔵には大吟醸10年氷温貯蔵熟成酒1升2万円もするお酒があるようで、飲んでみたかったです。この蔵は小さいけど色々とチャレンジしているようなので、大いに頑張ってもらいたいです。 

5.香坂酒造 

この蔵は米沢市中央にあり、創業は大正12年ですから比較的若い蔵です。ホームページの会社紹介によると、全国でも珍しいもち米とワイン酵母を使ったお酒とか山形県で一番日本酒度の高い辛口(+19)のお酒とか、しぼりたての純米酒を-30℃で凍結させたお酒とか珍しいタイプのお酒を造っているようですが、この会には持ってきていませんでした。 

Dsc00339写真お方は従業員の黒岩さんで、2本のお酒を持っていただきました。左手で持っているのが純米大吟醸紅梅、搾りたて生原酒です。お米は出羽燦燦ですが、どぶろくのような澱がいっぱいのお酒ですが、日本酒度が+4ですがそれほど辛くなく適度な甘みですっと飲めました。 

右手のお酒は純米吟醸紅梅で、お米は出羽燦燦でアルコール度数15.5、日本酒度+3.5、酸度1.3でした。飲んでみると非常に軽い感じで飲めてしまうお酒でした。 

この蔵の社長は東京農大を出られ、現在66歳の香坂洋一さんですが、息子さんの香坂洋平さんも東京農大を出られて、現在蔵で活躍中とのことでした。お二人ともこのブースには来られていなかったのはとても残念でした。お二人に酒造りの考え方など色々なことをお聞きしたかったです。 

以上で蔵の紹介は終わりますが、最後にこの会を紹介していただいた米鶴酒造の梅津さんの写真を載せておきます。梅津さんは会の最初に山形GIについてご紹介していただきました。蔵の人とのツーショットです。

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2018年4月 4日 (水)

秋田酒の会で見つけた注目藏と面白いお酒

今年の秋田の酒を楽しむ会は3月7日にTKPガーデンシティ品川で行われました。この会は大変人気なイベントのようで発売と同時にあっという間に売り切れるみたいで、去年はのんびりしていて購入できなかったのですが、今年は友人が購入した切符を僕に譲っていただけることになり、参加してきました。チケットは郵送してもらったのですが、よく見るとチケットの発行番号が何と1番だったのです。どうやって手に入れたのかな。下の写真をクリックすると確認できます。この番号が後で幸運を呼ぶことになります。 

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この会に参加した27蔵の内半分以上の蔵は良く知っている蔵でしたが、知らない蔵の中で注目したい蔵を見つけことと僕が面白いなと思ったお酒を見つけることを目的とて参加しました。でも夜の部の秋田の酒を楽しむ会は参加者が540人と非常の多いのでゆっくり調べることはできないと判断し、第1部の秋田の酒利き酒会にも参加しました。一部は業界関係者を対象としていますが、飲食店や酒屋さんだけでなく、マスコミ関係の方もOKのようでしたので、この形で参加しました。お前はマスコミではないぞと怒らないでくださいね。一応日本酒コンサルタントという肩書がありますので。・・・お前が勝手に名乗っているだけじゃないか・・・そんな声が聞こえてきそうですが、秋田の酒のブログを書くことで勘弁してください。 

一部の会場ですが、夜部のためのテーブルが置いてあって、壁際に蔵のブースがあるという感じでした。

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<僕が見つけた注目したい蔵> 

1.秋田晴 秋田酒造 

この蔵は秋田市を流れる雄物川の河口近くにあるJR羽越本線の新屋駅から徒歩10分くらいにある蔵です。この地は古くから湧き水の町と言われるほど良い水に恵まれていましたので、川口新助が明治41年にこの地で酒造りを開始しました。当初は萬歳酒造としてスタートしましたが、日露戦争に勝利したことから國萬歳酒造となったようです。その後、昭和44年に高九酒造店と國萬歳酒造の合同の瓶詰工場の秋田酒造が生まれますが、平成24年に國萬歳酒造と秋田酒造が合併し現在の秋田酒造となります。國萬歳酒造の時は川口和夫さんが社長としていたようですが、平成17年から娘の野本眞子さんが社長となって蔵を引き継いでいました。しかし、平成26年には不幸にして眞子が52歳の若さで急死されましたので、眞子さんの長男の野本翔さんが社長となったそうです。現在の蔵の生産量は500石ぐらいと思われます。 

野本翔さんは2014年に急遽蔵に戻るわけですが、それまで全く別の仕事をしていたそうで、蔵の経営をされるのは大変だったとは思います。この蔵には加藤貢さんという杜氏がおられますが、全国新酒鑑評会ではここ20年間で6回も金賞を取っている実力者です。加藤さんの流儀は時代に流されない昔ながらの技法を大切にしながら、酒質の向上に努めている方でその代表的なお酒が酔天楽」大吟醸です。僕も今回飲んでみましたが、アルコール添加のお酒ですが、しっかり旨みを感じる大吟醸でした。こういう人がいると安心ですね。 下の写真お方が野本翔さんです。

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翔さんにお聞きしたのですが、自分としてはアルコール添加の大吟醸の技術を大切にしながら新しいお酒造りのチャレンジしているそうで、それがA(エース)シリーズのお酒でした。Aシリーズには2種類あって、純米吟醸Aと純米吟醸Aスカイブルーので、その酒質は以下の通りです。 

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① 純米吟醸A(赤いラベル):原料米あきたこまち55%精米、酵母協会1801、アルコール度数:16度、日本酒度-12、酸度1.8、アミノ酸1.4、 

② 純米吟醸Aブルースカイ:原料米三郷錦55%精米、酵母あきた雪国酵母、アルコール度数16度、日本酒度+4、酸度1.6、アミノ酸1.3 

この酒質を見れは呑む前からどんなお酒かはわかる感じしますが、飲んでみるとその通りのお酒でした。①のお酒はカプロン酸の華やかな香りと共にまず甘みを感じた後にしっかり旨みを感じるけど酸ですっきり切ってくれるお酒でした。一方②のお酒は最初にそんなに強い甘みを感じないけど後に奇麗な旨みを感じて消えるお酒なので、一言で言えば透明感があってちょっとドライだけど端麗辛口ではない旨みを感じるお酒でした。 

このお酒は呑んだお客の反応を見るために造ったチャレンジ的なお酒なのだと思いますが、これをベースにこれからどんなお酒造りを目指してくるのかは今後が楽しみです 

2.奥清水 高橋酒造店 

この蔵は秋田県の大曲市と横手市の中間にある美里町6郷にありますが、この地はたくさんの湧き水がでるところで、その湧き水は名水100選に選ばれるもので、「笑願清水」と言われているそうです。この水を使って明治18年に高橋さんが酒造りを始めたと言われています。奥羽山脈の浸透水が湧水となっていることと、この地の名前の宝門清水から名を取って奥清水という銘柄にしたそうです。 

ですから高橋家がこの蔵を引き継いできたのですが、平成4年に3代目の高橋当主が病死され、後継者がなかった結果、現在の小山潤一郎さんが後を継いで現在にいたっているそうです。現在は吟醸酒・純米酒・本醸造を中心に県外の出荷をメインにしている生産高600石位中堅の蔵です。 

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この方が社長の小山さんです。とても面白い人で、僕は酒造りのことは全くわからないのです。杜氏が勝手に造りをしていて詳しいことは何も教えてくれないのですと、笑っておっしゃっていました。ある意味では杜氏を信頼して任せている大物社長と言えるのかもしれません。 

この蔵の杜氏は古内茂美さんで山内杜氏の中では最も若い人のようですが、それでも今年60歳のベテラン杜氏ですが、大納川、月桂冠、朝の舞、秀よし、白瀑などを色々な蔵で修業をされ、10年くらい前に白瀑の山本さんが自ら杜氏をすることになり、山本をやめて高橋酒造に来たとのことです。古内さんは横手育ちの方ですが、長崎大学で化学分析を専門にやってた方のようで、とても勉強家で研究熱心な方のようです。最近、古内さんが白ラベンダー酵母の培養に成功したのです。 

この地は米処で、美山錦や三郷錦や酒こまちが栽培されていますが、三郷錦の名前が付いた由来の町ではありません。この地で有名なのは湧水とラベンダーだそうです。この地の町長さんが町起こしのために、このラベンダーから採取した花酵母を使ったお酒を造るように強く頼まれたそうです。 

町長に強く頼まれたので、社長は培養室を1000万円もかけて造って、杜氏にその開発を任せたそうですが、彼は夏場はその培養室に入り浸って3年間研究した結果、ついにラベンダー酵母の培養に成功したそうですが、その方法は社長にも一切教えてくれないばかりか、培養室にも入れてくれないそうです。 

そうやって生まれたお酒が下記のお酒です。このお酒は大吟醸と純米吟醸の2種類があります。 

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① 純米大吟醸「三郷雪華」:原料米は三郷錦38%精米、酵母は三郷雪華酵母(ラベンダー酵母)、アルコール度数は16.8、日本酒度±0、酸度1.6、アミノ酸度0.8 

② 純米吟醸「三郷雪華」:原料米は三郷錦55%精米、酵母は三郷雪華酵母(ラベンダー酵母)、アルコール度数は16.4、日本酒度+1、酸度1.8、アミノ酸度0.6 

飲んでみるとどちらの同じような香りで、酢エチとも酢イソとも違うマスカットのような香りがして、程よい甘みと旨みを感じながらきれいに消えていくお酒でしたが、大吟醸の方が旨みの広がりが大きい気がしました。①のお酒は平成29年度の秋田県清酒品評会の純米の部で主席を取ったお酒だそうです。 

古内さんは現在も新しい酵母の培養を行っているようですので、今後どのような酵母のお酒ができてくるか楽しみですね。 

3.出羽の冨士 佐藤酒造店 

この蔵は鳥海山の麓の由利本荘にある蔵ですが、同じ由利本荘市にある雪の茅舎とはは全く違うところにあります。雪の茅舎はJRの羽後本庄の町の中にありますが、出羽の冨士は羽後本庄から出ている由利高原鳥海山ろく線の終点にある矢島駅の七日町にあります。羽後本庄からは約20㎞ほど南に下がったところで、まさに鳥海山の麓の登山口にあたります。 

この地は秋田県の湯沢、六郷、新屋と共に銘醸地の一つとして言われ、昭和の初めには10蔵もの酒蔵があったそうですが、今では天寿と出羽の冨士の2蔵のみとなっています。佐藤酒造店のお酒の生産量は正確にはわからないけど、500石位だと思います。 

創業は明治40年で初代は佐藤久吉さんが当主です。鳥海山を地元ではその奇麗さから出羽の冨士と呼んでいたので、その名前を取って銘柄にしたそうです。この地は鳥海山の伏流水が豊富に出るところで、その清らかな水がもたらす良好な口当たりが特徴のようです。 

この蔵には酒造歴40年の小番(こつがい)力杜氏がおられます。小番さんは昭和51年に佐藤酒造に入り、平成6年から杜氏として活躍されています。社長は4代目当主の佐藤誠さんですが、現在76才歳で高齢なので、後継者として息子さんの佐藤博之さんが2年前から蔵に戻って修業をしています。博行さんはある大学の経済学を卒業後法律関係の仕事をしてきましたが、酒造るのことは全く知らなまま蔵に戻ったそうです。下の写真が博行さんです。 

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今回はおひとりでブースに立っておられましたので、おひとりでは大変でしょうと言いますと、昔阪急デパートの試飲会のバイトをした経験があるので、大丈夫ですと言われました。お酒のことはまだあまり詳しくないようですが、人の好い若者という感じですが、見た感じと違ってもう40才だそうです。とても人がよさそうな方でした。どんなお酒を造りたいですかとお聞きしたら、この蔵のお酒の特徴は甘口、旨口なので、その味を守っていきたいとのことでした。 

この蔵でちょっと面白いお酒を見つけましたので、紹介します。 

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このお酒は銘柄が3番と書いてありますが、3番の蔵付き分離酵母を使った純米吟醸酒です。もともとはこの酵母は蔵の神棚から分離したもので、2代目の当主が見つけたものだそうですが、秋田県では総合食品研究センターが各蔵と共同して蔵付き酵母を分離培養して、1番から25番までの名前を付けて蔵付き酵母として販売していますが、その3番の酵母だそうです。秋田県雄蔵付き酵母を知りたい人は下記のURlをクリックしてください。 

http://www.akitanosake.net/kuratsuki-koubo-25.php

原料米は美山錦60%精米で、アルコール度数16度、日本酒度+2、酸度1.7、アミノ酸0.8です。飲んでみると香りはそれほど強くはないけど、栗のような甘みを感じて適度な酸味を感じながら比較的フラットにひろがり、何か昔を思い出すようなほのぼのとした味わいのお酒でした。最近こんなバランスのお酒は飲んだことがありません。 

これは面白いなと思い、そばにおられた酒食ジャーナリストの山本洋子さんに紹介したら、確かに面白いお酒ねと言われて、写真を撮られてしまいました、その写真をお見せします。 

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4.銀鱗 那波商店 

この蔵は秋田駅の北にある土崎にありますが、土崎は旧雄物川の河口にあり漁業で栄えたところです。秋田藩の御用達商人であった那波三郎右衛門裕生が藩の命で醸造試験所のようなものを造ったのが始まりのようで、それは1807年のことです。本格的に酒造業を始めたのが明治4年ですから、とても歴史ある蔵です。 

大正5年に酒造業を続けるかたわら、呉服業も始めたことから那波商店という名前になったそうです。銀鱗の言う銘柄がいつ生まれたかはわかりませんが、この地は漁業が盛んな街なので、ソーラン節の一節の踊るかもめの港」から引用して、多くの漁師に愛飲されるように命名されたようです。 

この蔵は昭和の初めにコンクリーつ造りの近代的な蔵を造ったほど酒造りには古くから力を入れていたようですが、今でも酒造りのほか呉服、味噌醤油を扱っている会社です。お酒の生産高は750石位のようです。 

下の写真の方は社長の那波尚志(なばひさし)さんです。 

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ここで見つけたお酒は蔵付き酵母こまち美人です。原料米は秋田酒こまち60%精米、酵母は白銀K-87蔵付き酵母、アルコール度数16、日本酒度-4、酸度1.8、です。飲んでみるとそんなにも香は高くないけど、ワインのような酸味と甘みのバランスがよく、とろっとした旨みを感じました。これが4合瓶971円とはコストパフォーマンスがとてもいいです。 

このお酒は去年までは醪の温度を18度で留めて加水して絞って火入れしていたのを16度で行ったので変わってきているのかもしれないとのことでた。秋田蔵付き酵母に21号がこの蔵の酵母ですが、白銀K-87との違いはよくわかりません。 

5.千代緑 奥田酒造店 

この蔵は秋田県秋田と大曲の中間にある大仙市協和境にある蔵で、四方を山々で囲われた場所にありますが、創業300以上も経つ老舗の蔵です。こんな辺鄙なところでも秋田へ抜ける要所だと酒造りができるのですね。 

初代の当主がこの町から眺める山々見て詠った「若葉映えある四方の山々千代緑」という俳句から千代緑という名がついたそうです。この蔵は山内杜氏が来て酒造りをして伝統を守ってきていて、先代の奥田重裕さんの時は1400石もの生産をしていたようです。 

現在は下の写真社の奥田重徳さんが社長兼杜氏で頑張っておられます。この蔵は酒造りだけでなくお酒の小売りもしているので、重徳さんは東京の成蹊大学の経済学部を卒業後、このの営業をしていましたが、5年ほど前から酒造りをはじめ、秋田醸造試験所で酒造りを学び、社長兼杜氏として蔵人4人と酒造りをしているので、生産量は300石位だそうです。 

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この蔵のお酒は商品名が番号で書かれているので、イメージがつかみにくいのですが、どのお酒を飲んでも全部それなりの美味しいお酒で、穏やかで優しい食中酒という感じでした。その中でもお勧めのお酒は社長に持っていただいたNO12の純米大吟醸です。麹米が山田錦50%精米、掛米が美山錦50%精米で、使用酵母がNO12でそのほかの酒質は秘密のお酒でした。この酵母は造り立てはバナナの香りがするのですが、瓶に入れるころはその香りが出なくなるのでそれをいかに残すかの努力をしたそうです。 

ここの蔵は今年はほとんど生のお酒を出品したそうですが、本来は半年以上寝かせると味が乗ってくるので、来年はそういうお酒を持ってきますと言われていました。ぜひお願いいたします。 

以上で僕が見つけた気になる蔵の紹介を終わります.。

この秋田の酒を楽しむ会は年々人気が高まり、2部では新政が超人気で、最後までこの蔵に並ぶ列が亡無くなることはなかったけど、他にもいいお酒がいっぱいあるのにどうしてこうなるのかな。じっくり色々な蔵のお酒を自分の舌で確認すれば好みの酒が見つかると思います。この会のとても良かったことは出品酒の酒質をほとんど全部(100%ではない)書いてあったことです。 

最近酒質を書かない蔵が増えてきていますが、その理由の一つは数字よりは感覚で飲んで楽しんでもらいたいという理屈のようですが、世界の色々なアルコールがある中で酒質を書いてあるのは日本酒だけで、世界をリードする表現方法だと思います。また酒質の数字を見るとある程度のお酒の味を想像できるのは事実で、飲み手にとっては自分の好みの酒に早く出会う確率を高めてくれるものです。ぜひ日本酒に酒質を書く文化は是非残してもらいたいと思っています。この数字が正しいかどうかはあまり正確に議論しなくてもいいと思います。数字はいつ測定するかで変わるのは当然です。僕は酒質の表示を強く望んでいます。 

今回見つけた面白い酒>

1.ロイヤルストレートフラッシュ

Dsc00171_2このお酒は白瀑の山本合名会社の山本友文さんが新しく造った酒でこの時点ではまだ販売されていないお酒です(3月14日には発売されたみたい)。銘柄はロイヤルストレートフラッシュです。ロイヤルストレートフラッシュはトランプの10~Aまでの絵札の同じスートの連続をいい、その中で最も強いのがスペートです。これは何を意味するのでしょうか。 

山本さんはある時、5種類のお米と5種類の酵母を使ったらどんなお酒になるのだろうと思い、やってみようと思ったそうです。原料米は秋田の5種類の米、秋田酒こまち、吟の精、三郷錦、改良信交、美山錦で、酵母はAK-1、こまちR-5、協会6号、秋田酵母NO12、秋田純米酵母です。 

酵母は一緒に投入するしかないけど、原料米は酒母、麹米、掛米添え、掛米仲、掛米留で使い分けたそうです。精米度はすべて50%精米です。出来上がったお酒の酒質はアルコール度15%、日本酒度+1、酸度1.6、アミノ酸度0.8です。 

飲んでみるといろいろな味わいがする複雑味のあるお酒でした。いいかどうかは各自で判断してください。 山本ならではの発想のお酒だと思います。

2.天巧 純米大吟醸 無濾過生 

Dsc00176天功は小玉醸造のブランドであることは酒通の人なら知っていると思いますが、太平山 純米大吟醸 の無濾過生はインターナショナルワインチャレンジで、第1位を取ったお酒の原酒を無濾過生で出した限定品です。 

原料米は山田錦40%精米、酵母は自社酵母、アルコール度数は17度、日本酒度+1.3、酸度1.3、アミノ酸1.1です。 

飲んでみると原酒だけあって、パワフルな味ですがそれを感じさせない素直さを感じるいわゆるうまい酒そのものでした。これが3300円で買えれば、すごく価値のあるお酒だと思います。 

僕はインターネットの直接販売で2本購入しました。 

3.影鳥海山 生酛 

Dsc00164鳥海山は天寿酒造のメイン銘柄の一つであり、なでしこ酵母で造った自信作ですが、6年前から影鳥海山として生酛純米酒の試験醸造を始めまして、去年から販売しているものの2年熟成たものだそうです。このお酒は2回火入れしたお酒をタンク貯蔵して1年後に瓶詰めしたら、生酛らしさが出ていなかったので、瓶貯蔵のまま7度の冷蔵庫でさらに1年寝かしたものだそうです。 

原料米は美山錦65%精米、酵母は901号でアルコール度数15度、日本酒度+1.0、酸度1.8、アミノ酸1.0です。 

飲んでみると熟成香が感じられるけど、生酛らしい酸味を感じるのでお燗すると引き立つように思えました。 

生酛の鳥海山は大吟醸がありますが、このお酒は酵母はなでしこ酵母で、生で1年ー5℃で貯蔵したものです。この二つを比較してみると面白いですね。 

4.Moving Suturday 

Dsc00149このお酒は福禄寿酒造の渡辺さんが造ったお酒で日本酒で作った貴醸酒だそうでが、その銘柄がMoving Satuerday というのが面白い。 

どうしてそんな名前にしたかは聞かなかったけど、MOVING SATURDAYとは、2008年4月5日から2009年9月26日まで、TOKYO FMで放送されていた土曜早朝の番組で、放送時間は毎週土曜日5:00 - 6:55と早起きしないと聞けない番組らしい。渡辺さんがこの意味で使ったかどうかわかりません。 

原料米は色々なお米を使うらしいが、精米度は50%、アルコール度数は14度とのことで、他の数値は非公開です。

飲んでみると普通の貴醸酒よりは甘さが少なく飲みやすいお酒でしたが、5月か6月ごろ発売になるようです。

5.純米大吟醸 IYAPU-3

Dsc00214_2この蔵を訪れたのが最後の最後だったので、十分味逢うことができなかったけど、この蔵の専務取締役の斎藤雅昭さんに持っていただきました。雅昭さんは東京の青山学院大学を出られて最近蔵に戻ったばかりで、背が高くとてもイケメンです。

そのお酒はIYAPU-3酵母を使ったお酒で原料米が秋田酒こまち50%精米、アルコール度数16度、日本酒度-1.0、酸度1.3、アミノ酸0.9でした。

「IYAPU-3」酵母は秋田県立大学(APU=Akita        Prefectual University)の岩野教授(I)と横山教授(Y)が開発した新酵母です。

飲んでみると香りは穏やかで落ち着いた香りで、味わいはまろやかでちょっまったりした面白いお酒でした。この蔵は酵母違いのお酒を楽しむ企画をしているので味わてみたらどうでしょうか。 

<僕が仕留めたお酒>

この会の最後にくじ引きでお酒が当たる余興がありました。山本さんの司会で佐藤祐輔がくじを引く形で行われ、約30人くらいしか当たらないのに、なんと僕が持っているNO1が当たってしまいました。確率5%です。しかもあったのは新政でした。

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お酒は新政のカラーズシリーズのラピスでした。祐輔さんがくじを引いて僕が当たるなんで夢のようでした。このお酒はチケットを買てくれた人にプレゼントしました。

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この会の最後に新政のブースに行っての記念写真です。この3人は東大出身の先輩後輩です。左から たくちゃん、祐輔さん、多摩のこうちゃんでした。

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以上で終わります

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2018年1月28日 (日)

宮城県の小さな蔵には魅力を感じます

毎年11月のはじめに仙台市内の勝山館で、宮城県酒造組合が主催するみやぎ純米酒倶楽部「穣の宴」が開催されますが、今回は今年で第20回を迎える伝統ある会です。この会には今まで1回も参加していませんでしたが、お料理が素晴らしく、良いお酒がいっぱいあるので、絶対行くべきと、僕の日本酒友達の入江さんに勧められて初めて参加しました。 

勝山館はあの勝山企業が運営する仙台の迎賓館で、結婚式場、宴会場、レストランなどで使われる所で、地下鉄北4番丁駅から歩いて5-6分の所にあります。開宴は夜7時ですから、真っ暗の中、探しながらたどり着きました。暗いので館の全体は全くわかりませんが、高い塀に囲まれた立派な入口でした。 

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中に入ると「穣の宴」に案内があり、ほっとしたのを覚えています。 

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勝山館の案内を見ますとこんな外観だったのですね。Shozankanimg

会場に入ってみますと中央に各蔵のブースがあり、壁際にお料理のコーナーがあって、その間に立食用のテーブルが置かれていました。去年までは今回の参加者は400名程度だったと聞きましたが、今年は550名のようですので、ちょっと混みあっていましたね。 

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「穣の宴」はもともと、みやぎ純米酒倶楽部が支援してできた会のようですが、現在はみやぎ純米酒倶楽部が発展的に解消して10年前に出来た宮城サポート倶楽部が支援しているようです。宮城サポート倶楽部に参加している蔵と宮城県酒造組合に参加している蔵は全く同じ25蔵のようです。今回は森民酒造店と橋平酒造店が不参加だけで、23蔵が参加していたようです。 

宮城県蔵は一ノ蔵と浦霞が有名ですが、僕はその中でも小さな蔵で良いお酒を醸している蔵を取り上げてブログに載せてきました。 具体尾的には墨廼江、日高見、勝山、伯楽星蒼天伝を取り上げてきましたが、ごく最近浪の音も取り上げました。以前に書いた記事を下記に載せておきますので、興味のある方はクリックしてご覧ください。  

墨廼江http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-8dc1.html  

日高見http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-83e1.html  

勝山http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-993c.html  

伯楽星http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-401f.html  

蒼天伝http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-98f1.html 

浪の音http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-8dc1.html 

今回はそれ以外の蔵で僕が気に入ったお酒を醸して売る蔵を見つけるのが目的で参加しましたので、それを紹介しますが、その前に紹介するものがあります。 

<お料理編> 

この会のお料理は仕組みもすくめて大変良かったと思います。お料理はチケット制で入場と同時にこんなチケットを配られます。 

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 これは僕がもらったチケットで、料理をいただくと判子が押されます。これなら料理は入場者の人数分用意されているはずなので、ゆっくり楽しむことができます。しかも会が進んで残り20分になるとチケットに関係なく余っている料理がフリーに食べられるのです。これは凄いですね。それでもこの会の会費は5400円ですから安いです。 

しかもどの料理もとてもおいしかった。ちょっと食べたお料理の写真を載せておきます。 

1.4元豚のロースト 

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2.自家製おから炒め 

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3.女梶木の味みそやき 

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4.勝山館季節鍋 

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5.きのこあんかけ焼きそば 

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いくつか写真ととるのを忘れましたことはお許しください。 

<宮城県の米> 

蔵の華:耐冷性が弱点の美山錦に変わるお米として、山田錦と寒さに強い東北140号を交配して1997年に宮城県で開発された酒造好適米で、山田錦や雄町より淡麗で美山錦よりふくよかで、味わいはやららかで清楚な傾向だそうです。純米吟醸用に使われることが多く、宮城県の酵母との相性がいいそうです。 

ササニシキ:1963年に宮城県で開発された食料米で、あっさりした触感で、こしひかりに並ぶ東北地方の優れた品種として栽培されてきましたが、耐病性や耐冷性が弱く次第にひとめぼれなどの他の品種に置き換えられてきています。酒米としてはどっしりとした酒質の酒ができるが、やや雑味が多くなるようです。 

ひとめぼれ:ササニシキの後継品種として1991年に開発された食料米で、コシヒカリに次ぐ第2位の銘柄に成長しています。耐冷性は抜群で、東北から沖縄まで広く栽培されています。 

とよしにき:1969年に秋田県で開発された食料米で、耐冷性は強くないが、耐病性や耐倒伏性が強いので、主に岩手県と宮城県で栽培されています。酒米としては南部杜氏が好むお米と言われています。 

<宮城県の酵母> 

初代の宮城酵母は1965年に宮城県の醸造試験所により「浦霞」の吟醸醪から分離した酵母で、1985年から協会12号酵母として領布されていましたが、最近は新しく華やかな吟醸香の酵母は開発され次第に使われなくなっています。この酵母は吟醸酒に向いた酵母でしたが、純米酒に向いた発酵力もあり、うま味と酸味のバランスの取れた酵母が期待されていました。 

宮城県産業技術総合センターでは1997年より新しい酵母開発を進め、2000年に宮城マイ酵母の開発の成功しました。この酵母は初代宮城酵母を親としていますが、初代の酵母に比べてアルコール濃度が上がっても発酵力が落ちないので安定した醪ができるうえに、味わいも酸がとげとげしくなく、丸みを感じるので、全体的なバランスが良く、すっきりとした柔らかい酒質になったそうです。 

蔵に行くと宮城マイ酵母とは言われないで、宮城A酵母とか宮城B酵母というのを聞きますので、もっと調べてみますと、同センターは2010年に3種類の酵母を発表しています。その名前は宮城酵母MY-4008、MY-4017、My-4021の3種類です。これを通称呼び名として、A、B、Cと呼んでいるのかもしれません。その時の説明では4021が一番香りが高く、4008が穏やかな香りだそうです。正しいことを知っている人がいたら教えてください。 

では早速蔵の紹介に入ります。すでに紹介済みの浪の音ですが、ブログの中ではお酒の味については触れていませんでしたので、浪の音を含めて5蔵を紹介することにしました。 

1.浪の音 佐々木酒造 

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佐々木酒造は名取市にあるとても小さな蔵で、東日本大震災で蔵が壊滅したので、仮設の蔵でお酒を造っています。お写真のご兄弟で酒造りをしていますが、右側の方がお兄さんの佐々木洋さんで左の方が弟の佐々木淳平さんです。洋さんは経営全般と麹室担当で、淳平さんが杜氏をしています。それではどんなお酒を造っているのでしょうか。 

今回は純米大吟醸の浪庵、純米吟醸の玲瓏、特別純米の閖の3本を飲みましたが、僕が気に入ったのは特別純米酒と純米吟醸でした。閖はひとめぼれ60%精米で9号酵母を使ったお酒で、玲瓏はとよにしき55%精米で秋田B酵母を使ったお酒です。どちらもテクスチャーが良く滑らかさを感じるお酒ですが、香りは閖の方が穏やかな香りで、玲瓏の方が少し華やかな感じでした。、閖は飛び出るところはあまりないけど、どんな食事にも合わせられるバンスの良い仕上がりでした。玲瓏は閖よりはうまみを感じるので、少しバランスが違いますが、これもなかなか良い仕上がるいでした。このお酒の良さを感じるためにはあまり冷やさないほうがいいように思えました。 

2.栗駒山 千田酒造 

千田酒造は宮城県と山形県と岩手県の境界にある栗駒山の麓の栗駒中野町にある蔵で、大正9年に千田養治郎さんが最初鶯沢で操業を開始しましたが、その後栗駒中野町に良い水があるの知り、昭和12年に現在地に来たそうです。栗駒山の麓と言っても蔵駒山の頂上からは20kmも離れた小さな町の中にあります。 

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この方が5代目社長の千田善彦さんです。この蔵の特徴は何といっても栗駒山の雪どけ水の良さがそうでです。生産量は300石ぐらいで少ないのですが、蔵の設備には資金を使っているようで、精密醪温度センサー、自動製麹機、全量瓶貯蔵可能な大型冷蔵庫など最新設備を持っているそうです。 

僕が飲んで気に入ったお酒は特別純米でした。お米はササニシキ55%精米で、口に含むと酢酸イソアミル系の爽やかな香りとともに、ドンと来るのではない奇麗な甘みと共に酸味を感じながら後味の方まで旨みが奇麗に広がるお酒でした。日本酒度は+2、酸度が1.8、アミノ酸が1.2でしたので、なるほどねいう感じでした。このお酒もあまり冷やさないお方が良いと思いました。この蔵も水の良さをうまく引き出していると思います。 

3.荻の鶴、日和田 荻野酒造 

荻野酒造は千田酒造と同じ栗駒市にあると言っても離れていて、ほとんど岩手県との県境にあるJR東北本線の有壁駅のすぐそばにある蔵です。この地は奥州街道の宿場町として栄えたところで、平安時代に金が発見されたことから金成町と言われたそうです。創業は江戸時代末期ですから約180年の伝統ある蔵です。この蔵の水も栗駒山からの伏流水で奇麗な軟水だそうです。 

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写真の方は8代目蔵元となる専務取締役の佐藤曜平さんです。この蔵は荻の鶴という銘柄を造ってきましたが、曜平さんが東京農大を卒業酒蔵に戻ったのが平成14年で、すぐ作った銘柄が日輪田(ひわた)だそうです。日輪田はお日様と田んぼが輪になるというイメージで、すこし田舎っぽいお酒をイメージして作っているそうです。生産高は500石位だと思います。 

僕が気に入ったお酒は日輪田の山廃純米大吟醸でした。このお酒は雄町45%精米のお酒で、飲んでみるとしっかりとした酸味と旨みが口に中に広がるけど、スウット奇麗に消えていく中に後味に余韻を感じるお酒で、雄町らしさが出ていました。曜平さんは造りの責任者で、このお酒は自信作だとおっしゃていました。 

4.宮寒梅 寒梅酒造 

この蔵は東北本線の小牛田から出ている陸羽東線の西古田駅から西に1㎞弱行った多田川のたもとにある蔵で、まさに田園地帯の中にある蔵です。創業は大正5年ですから比較的新しい蔵で、蔵の名前も岩崎酒造だったようです。寒梅酒造と名を変えたのは戦後の復旧の昭和32年で寒さに耐えて咲く寒梅からとったようです。今では新潟県の越乃寒梅、埼玉県の寒梅と並んだ寒梅酒造となっています。 

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 この蔵の特徴は自ら作る米の種類の多さではないでしょうか。美山錦、ササニシキ、ひとめぼれ、まな娘、愛国などを栽培しています。そのほか秋田の亀の尾や熊本の神力も使っているそうです。この蔵の生産量は300石強の量ですが、家族ぐるみで酒造りをしています。父の岩崎隆聡さんが社長兼杜氏で、常務の健弥さんが麹造り、娘さんが酒母造りをしているようです。お写真お方が岩崎健弥さんで、娘さんの真奈さんのお婿さんだそうです。この蔵は最近設備投資をして四季醸造をしているそうで、これからが楽しみな蔵です。 

色々の酒を飲んでみましたが、カプロン酸系の香りの高いお酒が主体で、最初の1杯でうまいと言わせることを狙っていいるようです。僕が気に入ったお酒はあまり香が高くない特別純米の鶯咲(おうさき)でした。お米は愛国55%精米の純米酒で、繊細でキメ細かい味わいで程よい余韻があるお酒でした。愛国というお米は元々静岡で開発された食料米で、宮城県で栽培されるようになって、愛国と名付けられたと言われています。明治から大正にかけて、東北の亀の尾、西日本の神力と並んで関東の愛国とよばれた時期もあったのですが、食料米としてはすたれて今では酒米として少量造られているようです。こんなお米を使うのは何かこだわりがあるのでしょうか。 

最後に奥様とのツーショットを載せておきます。 

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以上で「穣の宴」で見つけた蔵の紹介を終わりますが、他にも魅力的な蔵もありましたが、時間がなくてご紹介できない状態でした。たった2時間でおいしいお料理も食べながらの会の中で見つけるのは大変なことだとわかりました。これからはお料理はなくてもゆっくり試飲できるような会に絞って参加するようにしたいと思った次第です。でもこの会が悪いわけではなく、このような会では思い切って楽しむようにした方がいいのかなと思いました。

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2017年11月29日 (水)

埼玉県には新しさを感じる若手の蔵があります

毎年10月の上旬に埼玉県酒造組合の主催による大試飲会が大宮のソニックシティでひらかれますが、今年は10月10日の火曜日に埼玉35蔵(登録されている全蔵数)が一同に会しての大試飲会が開かれましたので参加しました。 

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この会は1部と2部に分かれていて、前半は酒造関係者のための時間で、14時30分から1時間半、2部一般消費者向けでその会場で引き続いて16時から19時半まで行われます。今回は取材を目的として1部から参加し、試飲した酒はすべて吐きする形で頑張りました。でも、1時間半で35蔵全部の試飲はとても不可能だし、16時からは人が多くなりすぎて取材どころではなくなりました。 

今回参加して受けた印象は、埼玉の蔵の質が確実に上がっていると思ったことです。例えば川越のある鏡山ですが、昔はうまいけどパンチが強すぎて沢山は呑めない酒だなと思っていましたが、今回飲んでみると味はきちっと残しながら奇麗さが出たお酒に変身していました。柿沼杜氏にその理由をお聞きしたら、自分でもわからないけどお客様の要望を聞いているうちに変わってきたのですと言われたのが印象的でした。これはとても良いことだと思いますが、下手をするとみんな同じような酒になる恐れがあるので、気をつけてもらいたいですね。 

埼玉県の蔵のお酒は昔は印象が薄かったので、2008年と2014年にこの会に参加して自分なりに気に入った蔵ののお酒をブログにまとめたことがありましたので、それを下に載せておきます。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-f6ed.html 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-a1ea.html 

ここで紹介した蔵は合計で11蔵しかなく全体の約30%にしかなりませんので、今回はもっと紹介したかったのですが、今回は僕が飲んで面白いなと思った蔵の中で比較的若い人が酒を造っている蔵に良いものがあったので、その蔵の現状を含めて紹介することにしました。 

1.佐藤酒造店 越生梅林 

この蔵は越生梅林のある場所の近くにある蔵で、東武八高線の越生駅から北東に約1.5㎞程行ったところにあり、関東地方全体から見ると平野から秩父の山々の方にちょっと入ったところにあります。近くに越辺川が流れ、日本関東百選に選ばれている「黒山三滝」を源とする奇麗な水がでるところのようです。創業は1844年ですから江戸末期ですが、きっと梅の産地として有名な街のお酒として地元中心に酒造りを続けてきたのでしょう。 

ですから冬の時期に日本酒を造り、6月以降より梅酒を造ってきた蔵ですが、日本酒造りにはきちっとしたこだわりがありました。それは、麹歩合を23%として米本来の味を出すこと、低温長期醸造で喉越しの良い酒を造ること、人の目が届く少量生産をすることをモットーとしてきたようです。現在の社長は佐藤忠男さんで、「越生梅林「」という銘柄を立ち上げた人で、千葉県から来た杜氏と共に酒造りをしてきたそうです。 

でも、現在は20代を中心とした若手4名で生産量500石の酒造りをしているそうで、いつからそんな蔵になったのでしょうか。実はそれは2011年に「起きた東日本大震災と関係があるそうです。 

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この方が杜氏の佐藤麻里子さんです。女性のお年を聞いてはいけないけれども、まだ26歳の超若手杜氏です。麻里子さんはこの蔵の長女で昔から酒造りのお手伝いをしていたそうですが、蔵を継ぐつもりななく東京の大妻女子大に行ったそうです。そんな時に東北大震災が起こったのです。蔵の造りは古いので瓦や壁が落ち、まともな酒造りができないと判断し、社長は蔵をやめようと決意したそうですが、家族会議をした結果、子供たち(麻里子さんと弟)が廃業するのを反対し、2人が後を継ぐということで廃業をやめたそうです。 

麻里子さんは大学を卒業した後、蔵の杜氏に酒造りを教わり酒造りを始めたのですが、高校時代から酒造りが好きだったせいか、すぐの腕を上げてきたので、杜氏にすることを決めたそうです。ですから酒造りをして4年年目、杜氏になって3年目だと思います。杜氏としての経験はまだ浅いので、どんなお酒を造るのか興味がありました。 

杜氏になって最初に作ったのが純米吟醸「まりこのさけ」です。 

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この酒は女性にも気楽に飲んでもらえるように瓶の容量も500mlと小さくして、デザインの梅のもようを前面に出した女性らしいお酒でしたが、大変評判が良かったけど、今年からは女性らしさを前面には出さない新しいブランドの「中田屋」を立ち上げています。これはどんなお酒なのでしょうか。下に写真をお見せします。
 

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中田屋は特約の酒屋だけに卸すブランドなので、この会にはそのお酒はありませんでしたが、それと同質なお酒が用意されていました。このお酒は「中田屋」と同様に、ラベルの色で原料米がわかるようにされていて、赤は美山錦、青が五百万石、桃色が五百万石と美山錦のブレンド、銀色(?)が山田錦です。僕は飲んだ中で赤の五百万石が気に入りましたので、それを持ってもらいました。 

飲んでみますと香りはあまりたたずに、口に含むと優しい甘みが静かに広がり、後味がぱっと切れるのではなく、静かに辛みを伴わないでフェードアウトするお酒でした。一言でいえば女性ら良いお酒と言えます。他のお酒はまだちょっと完成度が低い気がしましたが、酒造りへの彼女のセンスが感じられるお酒と言えます。 

子供たちが蔵の後を継ぐことが決まってから、社長は蔵の全面改築をはじめ2年前に最新鋭の蔵が完成し、娘が杜氏としてスタートするという華々しい立ち上がりをしましたが、なんといってもまだまだ立ち上がったばかりの蔵なのですから、暖かく見守っていきたいと思っております。これからどんな変化をしていくのか楽しみです。 

気づいた方のおられると思いますが、佐藤麻里子さんの名前は幻舞の杜氏の千野麻里子さんと同じ漢字ですから、良い杜氏になると思いますよ。 

2.石井酒造 初緑、豊明

石井酒造は久喜市の近くにある東武日光線の幸手市にあります。ここは日光街道と御成街道の分岐手にあたる、宿場町として栄えたところです。この日光街道沿いの大地主であった石井家が造り酒屋を開業したのが始まりで、創業は1840年ですから、180年近い歴史を持つ老舗の蔵です。昔はお酒を飲む風習が定着していたので、全盛期には5000石という大規模な生産量があったそうですが、昭和の終わりになって次第に生産量がへり、平成のはじめには3000石とになっていたようです。 

石井家の当主は歴代才覚があった人が多いようで、5代目は酒類卸業を、6代目が幸手ガス事業を起こし、7代目の前社長の石井明さんは所有する土地を利用してゴルフ練習場G-FIVEを立ち上げるだけでなく、酒事業も生産縮小を見込んで2000年には蔵の改築をしたようです。面白い写真を見つけました。下のURLをクリックしてください。 

https://www.google.co.jp/maps/place/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E9%85%92%E9%80%A0%EF%BC%88%E6%A0%AA%EF%BC%89/@36.0689756,139.7100067,3a,75y,90t/data=!3m8!1e2!3m6!1sAF1QipOhH9jjq1q6EPDhT-Md917xZwGFWlSq1oZ_ZGj3!2e10!3e12!6shttps:%2F%2Flh5.googleusercontent.com%2Fp%2FAF1QipOhH9jjq1q6EPDhT-Md917xZwGFWlSq1oZ_ZGj3%3Dw128-h86-k-no!7i1616!8i1080!4m5!3m4!1s0x0:0xc9832d448850a095!8m2!3d36.0689756!4d139.7100067 

この石井酒造の写真を見ると、ゴルフ場の写真とスーパーマーケトBELCの写真と石井酒造の写真が一緒に載っています。これから想像すると、蔵の敷地の大部分をBELCに売ったか貸した後に残った蔵を改築して新しい蔵にしたのではないかと想像できます。いやーお金持の蔵のようですね。 

でもこの蔵が大きく変わったのは息子さんの石井誠さんが蔵に戻ってからです。誠さんは1987年生まれで、蔵を継ぐことは大学に行く時から決めていたので、経営を学ぶために早稲田大学の商学部に入学されて、卒業後は東京の醸造研究所で3か月研修を受けた後、東京の小山酒造で酒造りを学び、父の助言でガス会社で2年勉強した後、2013年に蔵に戻ってきます。そしてその年11月には8代目の社長に就任することになります。下の写真が石井誠さんで現在30歳です。 

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これは前社長が蔵を改築した時から思い描いていたことだと思います。その証拠に誠さんが蔵に戻る3年前に若き優秀な蔵人を採用しています。彼は和久田健吾さんといい、2010年に東京農大醸造学部の修士課程を修了した優秀な方ですが、研究より実践をしたいと思い、大学時代に石井酒造を紹介され、社長の明さんと面接をしています。その時、入社したらすぐに酒造りを任せるということを仰ったので、入社を決めたそうです。それは息子が蔵に戻る時までに杜氏として酒造りを習得してもらう狙いがあったからだと思います。そして、息子が戻ったら、酒造りはすべて息子に任せ、自分は社長を退くというシナリオがあったに違いありません。 

ですから、2013年の造りから、26才の石井誠社長、27才の和久田杜氏というコンビがスタートしたことになり、若い人たちによる新しい酒造りが始まりました。誠さんは良いお酒を造るだけではなく、埼玉県の酒をもっと世に知らしめることをやりたいと思っていましたので、すぐに2つの新しい企画を立ち上げました。 

第一の企画はクラウドファンディングのプロジェクトです。簡単に言うとお客様に資金を出してもらって、その資金で大吟醸「2歳の醸」を造って配布するというプロジェクトだそうです。これは見事に成功し約200万円を集めたそうです。下の写真がその時の「二歳の醸」と思われます。 

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今でもこのシステムはオーナー制度として残っています。、現在は一人1万2千円で、定員100名でオーナーを募集して、色々な種類の720ml6本と酒粕を配布しています。また2歳の醸はこの名前の権利を宝酒造に渡して2016年には宝酒造から新しい「2歳の醸」のお酒が出たようです。色々なことをする蔵ですね。 

次に打ち出した企画は「埼玉SAKUダービー」です。これは埼玉県にある二つの蔵が、水、米、精米歩合、種麹、酵母を同じの酒を造って、どちらのお酒が旨いかをお客様に決めてもらうものです。自分お蔵のほかには和久田さんの先輩の鈴木隆広さんが杜氏をしている久喜市の寒梅酒造が選ばれました。これはどちらが人気があったかが大切ではなく、これにより、2つの蔵の酒の知名度を上げるの目的のようです。でも酒の銘柄を石井酒造の酒を「彩の原石 幸」とよび、寒梅酒造の酒を「彩の原石 喜」としたのは、埼玉県には良い酒があるよと叫んでいる感じがします。 

この蔵は新しい体制ができてからまだ3造りしかしていませんので、お酒の酒質を問うのは少し厳しいかもしれませんが、今年の全国新酒鑑評会で初めて金賞を取っていますのでとても楽しみです。どんなお酒を造っているのでしょうか。 

この会場では豊明と初緑のお酒を飲みました。初緑はアルコール添加した吟醸酒で、山田錦や美山錦を使った原則9号酵母のお酒ですが、豊明は純米酒で埼玉県産のさけ武蔵を使い埼玉酵母を使っています。埼玉酵母はAからHまで色々あるそうで、目的に合わせて、使い分けているそうです。ここでは豊明の純米吟醸の花火を飲みましたが、甘みがあって香りはイソアミル系のさわやかな香りのあるお酒でした。 

ここのお酒のイメージはまだはっきりしないところがあるので、どんなお酒を狙っていますかとお聞きしたら、色々なタイプのお酒を造りながら色々と試している時期ですと言われたように、酒としてはこれから変化しながら定着していくものと思われます。蔵の生産量はまだ200石だそうですから、これからじっくりと立ち上げていくのでしょうね。 

3.滝澤酒造 菊泉

この蔵は深谷市の旧中山道沿いの、JR深谷駅から数百mのところにあります。ここは古くから宿場町として栄えたところですので、多くの酒蔵があったものと思われます。この蔵の創業は1863年に小川町で行い、明治33年にここに移転してきたそうですから、ここで他の蔵と競い合って生き残った蔵だと思います。 

ですから今でも昔の風情を残した蔵で、インターネットで見ると蔵の母屋の写真のような、昔の趣のある姿をしていますが、蔵そのものは赤レンガ造りだそうです。その後どのように成長したかはわかりませんが、現社長の滝澤常昭さんは、地域のロータリークラブや深谷商工会議所の役員をされている方のようです。
 

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現在は息子さんの滝澤英之さんが専務取締役・杜氏として酒造りを一手に引き受けてやられているようです。 英之さんは蔵元の長男として生まれましたが、若い頃は酒造りをするつもりはなかったそうです。でも親からはお前は後を継ぐもんだと言われていたので、最後はそうなるのかなとは思ったそうですが、大学に行くときはそのつもりは全くなく、早稲田大学の教育学部に入ったそうです。大学3年生の時に漫画の「夏子の酒」を読んだ時に、昔の蔵の光景が思い出され、酒造りは面白そうだと思ったのが酒造りをする切っ掛けになったようです。 

大学卒業後は福生市にある石川酒造に3年間お世話になり酒造りを勉強し、その後広島の醸造研究所で1年間研修を積んで、1994年に蔵に戻ってきました。蔵には南部杜氏がおられて、その方にみっちり酒造りの指導を受けたそうですが、石川酒造の杜氏は越後杜氏で、南部杜氏とは細かいところでだいぶ違ったので、最初は大変戸惑ったそうです。それでも南部流の酒造りを勉強していくうちに、その違いの良いところが判ってきましたが、基礎となっているのは南部流の方法だそうです 

結局9年間南部杜氏の下で勉強した、1996年から杜氏になって、全ての酒造りを任せられたそうです。でも最初の1-2年は思った酒だできず、それまで4年間全国新酒鑑評会で金賞を取ってきたのに、自分が杜氏になってからは3年間金賞は取れなかったそうです。でも4年目になってやっと安定した酒が造れるようになって、その後は連続して全国新酒鑑評会で金賞が取れただけでなく、、IWCの鑑評会でも金メダルを取れるようになって、現在に至っています。 

前述した2つの蔵では若い人が簡単に杜氏になったかと思うと、英之さんのように12年の下済みを経てやっと杜氏になった人がいますので、単に杜氏と言ってもその実力を測ることは難しいように思えます。でも長年の経験によって身につくことはいっぱいあると思うので、英之さんがどんな酒を造っているのかは大変楽しみでした。 

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この方が滝澤英之さんで、現在46才ですから決して若手ではありませんが、敢えて選ばせていただきました。この蔵はどんなお酒を造っているのでしょうか。 

この蔵の酒たるブランドは菊泉で、菊のように香り高く、泉のように清らかな酒という意味だそうです。その主力製品は「菊泉 さけ武蔵吟醸生原酒」でした。この酒はさけ武蔵60%精米で、アルコール度18%、日本酒度1.5、酸度1.2のアルコール添加の吟醸酒です。飲んでみると口当たりがとても良くてさわやかな香りがあるけど、アルコールの強さを感じない驚きのお酒でした。これは技術のなせる業だと思いました。英之さんはさすが、腕のいい杜氏になっておられましたね。 

もう一つ見つけたお酒が「菊泉 ひとすじ」です。このお酒は今年発足したAWA協会が認定するスパークリング酒で、2016年に発売を開始したお酒です。このAWA協会の認定基準は大変難しく、この協会に参加しているのは生産高が2000石を超える蔵ばかりで、生産高500石の滝澤酒造が参加することは凄いことです。でもこれができたのは偶然ではありません。2010年にはこれの基になる瓶内二次発酵の発泡酒「彩の淡雪」を発売していたので、これを改良して完成させたそうです。 

原料米はさけ武蔵60%精米、アルコール度12%、日本酒度ー26、酸度4.3というお酒ですが、僕が飲んだことのある水芭蕉や七賢に決して劣らない素晴らしいお酒だと思いました。この技術も簡単にできるものではないのにちゃんと完成させているのはただものではないですね。これからどんな酒が飛び出してくるのか楽しみです。 

4.権田酒造 直実

Dsc07633この蔵は熊谷市にある老舗の蔵で創業は1850年です。この地は平安時代に武将・僧侶として活躍した熊谷次郎直実が有名ですが、その名前を取ったお酒「直実」を主要銘柄としています。 

いつもは社長の権田清志さんがおられるのですが、今年は息子さんの権田直仁さんがおられました。直仁さんは東京農大の醸造学部を卒業後スーパーで働いていたのですが、4年ほど働いたのち、親が帰って来いというものですから、今年から蔵に戻ったばかりで、まだ造りはやっていないそうです。 

持っていただいたのは特別純米さけ武蔵です。地元のさけ武蔵60%精米、9号酵母を使った純米酒で、アルコール度数15%、日本酒度+5、アミノ酸1.5、と言っていましたが、飲んでみると全く辛みを感じない、どっしり味のあるけど飲みやすい不思議なお酒でした。これをお燗をするとさらに旨みが出て楽しいお酒に変身しました。これは今どきのお酒ではない良いお酒です。 

お父さんの権田清志さんは熱血漢で酒造りの熱い思いを持った人なので、その血を引き継いだ直仁さんにはこれから大いに活躍してもらいたいと思います。 

以上で僕が推薦する4つの蔵の紹介を終えます。佐藤酒造店以外はすでに1回紹介した蔵ばかりですが、新しい情報がいっぱいあったので、少し詳しく紹介さていただきました。また、権田酒造の直仁さんはこれからの人なので、簡単な紹介に終わらせていただきました。

このほかにも注目すべき蔵として、寒梅の寒梅酒造、帝松の松岡醸造、天覧山の五十嵐酒造、力士の釜屋酒造などが良かったとおもいますが、こまた次の機会に紹介させていただきます。

最後にこの会に注文を付けるとしたら、1部の開始時間をもう少し早めて、2時間以上取っていただきたかったです。よろしくご検討をお願いいたします

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2017年10月 2日 (月)

フルネットの出汁割り酒の秘密

9月30日にフルネットの社長の中野さんがおすすめする[出汁割り酒の飲む会」が荻窪のいちべえで開かれましたので、参加しました。もともと中野さんは広島の呉市にある二反田醤油店で生産されている「だし道楽」で割った日本酒はお燗に向いていて、素晴らしいとFACEBOOKで書いているのを目にしていたので、どんな造りをしてどんな味のお酒なのかを知りたくて参加しました。 

中野さんはし道楽濃度とお酒の混合比率をいろいろ検討した結果見、つけ出した黄金比率で作ったお酒を見せていただきました。そのお酒を紹介します。 

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このお酒は南部美人と共同で開発したもので、南部美人の特別純米酒と中野さんが提案する出し割りの黄金比率で混合したアルコールの濃度8%のお燗専用のリキュールですが、まだ販売はしていません。これから皆さん意見を聞きながら、販売をしていくそうです。 

このお酒をひやで飲んでみましたら、アルコール入りの出汁といった感じでしたが、輪郭がはっきりしないお酒で、まずくはないけどうまくない酒でした。でも飲んだイメージはだしの味があまり強くなかったように思いました。 

中野さんの指導の下、65度から70度の熱燗で飲んでみましたら、ガラッと変化しました。軽やかな「出汁の香」を感じながら、日本酒の旨みが加わって、バランスが良くなってなかなかのお酒に変化しました。温度としては70度くらいが良いように思えました。これに七味を入れるとピリピリ感が入り、輪郭がはっきりしてよくなるけれども、僕は七味より一味の方が良いような気がしました。 

この発想の基は赤羽で飲んだ「だし酒」で、1カップのお酒を飲んで1/3に減った時におでんのだしを入れるそうです。このお酒がすごくおいしかったので、これをベースにそれ以上のお酒を目指して開発したそうです。 

ではこのお酒度どのように作ったのでしょうか。まず、出汁について考えます。二反田醤油のあごだしは下記の写真のように2種類あって、左が宗田カツオが入っていないもの、右が宗田カツオが入っているのです。中野さんのお話ではカツオが入ると生臭くなるので、入らないほうが適しているそうです。このだしは自動販売機で700円で購入できできます。この店のインターネット販売でも購入できますが、送料が500円ほどかかりますので、自動販売機の方が良いでしょう。 

43796501110449896出汁割り酒の作り方は企業秘密で詳細は明かすことはできませんが、15%アルコール濃度のお酒と出汁を混ぜて8%のお酒を360ml造る場合の計算をしてみると、お酒192mlに、出汁168mlとなりますので、お酒と出汁の比率はこの数値に近いと思われます。 

問題は出汁の濃度ですが、正確にはお伝え出来ませんが、出汁のメーカーは通常は7-8倍薄めて使うことを推奨しています。上記の出汁割り酒の冷を飲んだ時に出汁の味があまり強くなかったので10倍以上薄めていると思われますが、詳しくはわかりません。 

以上で中野流だし割り酒の紹介は終わりますが、自分でやりたい方はだしを10倍以上に薄めて8%濃度のお酒を造れば似たようなものはできると思いますが、年内にフルネットから販売されるようですので、販売されたらぜひ購入して確かめてください。試しに自分でやってみたら出汁が濃いと冷なら良いのですが、お燗をすると香りが立ちすぎてしまいました 自分でやるときはだしの濃さを色々変える必要がありそうです。

僕としては常温かぬる燗でもおいしい出汁酒にチャレンジしてみるつもりですが、お酒の酒類、だしの濃度が問題です。アルコール濃度は少し高いほうで試してみます。常温の場合はだしの濃度を少し濃いめにした方がいいかなと考えています。

出汁割り酒は実はすでに販売されていて、香川県の川鶴酒造が炙りいりこ酒というのを出しています。片口イワシを炙ったものを普通酒に漬け込んだものらしく、アルコール度数は13度でした。出し割り酒ではなくひれ酒に近いものと思われますが、このお酒も65度から70度の熱燗で飲むように書いてありました。中野さんが持ってこられた物を写真に載せておきます。

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最後に中野さんの勧める日本酒を紹介します。 

Dsc_0114_4このお酒は兵庫県の田中酒造場が造ったお酒で、郷錦37%精米の純米大吟醸ですが、中野さんが新九郎とネーミングしてフルネットで販売しているお酒です。新九郎とというのは凛々しい男のイメージだそうです。中野さんが命名したお酒は11あるそうですで、 その代表的なものに飛露喜や一白水成があることは有名な話です。

この原料米は秋田県の大潟村で栽培した美郷錦で、今年は2年目だそうですが、今年から美郷錦に合わせた造りをして非常に良くなったそうです。 

飲んでみましたら、香りはほとんどカプロン酸エチルの香りはしませんがさわやかな香りの中で、しっかりした味わいのあるおいしいお酒でした。この会で大吟醸の而今と飛露喜の吟醸と飲み比べましたが、新九郎の方が人気があったようです。 

このお酒が1升5000円で買えるのなら、お買い得と言えそうです

この会では新九郎と而今と飛露喜を飲んで全てお燗してみましたが、どれも冷の方が旨いと思いました。お燗酒は向き不向きがあるのですね。

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2017年8月30日 (水)

雄町サミットに参加して感じた審査について

今年の雄町サミットは第9回目ですが、開催場所を例年行われてきた椿山荘から九段下のホテルグランドパレスに変更しただけでなく、第1部では酒類業界関係者限定の唎き酒会と日本酒の専門家による審査講評と受賞酒の発表第2部では受賞蔵の表彰と食事付の懇親会の2部制にして行われました。去年までは懇親会の会場でしか唎き酒ができなかったので、主に唎き酒をしに来た人はほとんど食事ができなかったけれども、今回はすでに唎き酒を終えている人が多かったので、ゆったりと楽しむことができて、大変良かったと思います。 

この会は岡山県酒造組合と岡山県酒造好適米酒造組合とJA全農おかやまが主催する会で岡山県で栽培した雄町の良さを全国に広めるために開始したもので、確かに出品する蔵の数も、お酒の出品数も年々増加の一途で、今年は126蔵、出品点数が194点にもなりました。この会が開催された最初の年は雄町の栽培面積も少なかったけれども、今ではぐんと増えたようで、このあたりの経緯については下記のブログを見てください。一時雄町がなくなってしまう恐れがあった時期もあったなんて知りませんでした。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-eb0a.html 

僕が雄町サミットに初めて参加したのは2009年で、その後毎年のごとく参加してきていますが、昔毎年受賞してきた蔵が最近受賞できなくなっているのを良く見かけるようになりました。そのお酒を飲んでみると、確かに受賞酒に比べると特徴が薄い気がしましたが、どんな基準で選出しているかはとても気になります。落選した蔵元さんに聞いても審査の基準がよくわからないと言われる方が多かったように思えます。今年は審査員の方の報告をよく聞いて、僕なりにどんな基準で審査されているかを考えてみました 

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<審査員の講評の紹介> 

審査員は毎年少し変わるようですが、今年は下記の7人の方で行われました。 

1.日本酒造組合中央会理事 濱田由紀雄
2.日本醸造協会会長  岡崎直人
3.山形県産酒スーパーアドバイザー 小関敏彦
4.日本酒輸出協会会長  松崎晴雄
5.上田酒類総合研究所所長  上田護國
6.酒類総合研究所主任研究員 大江吉彦
7.岡山県工業技術センター所長 産本弘之
 

僕は専門家でないので、この方はどのような人であるかは良くわかりませんが、経歴から見ると松崎さん以外は国税局の鑑定官や、酒類総合研究所や工業技術センターの経験がある方ばかりのようで、お酒の審査の専門家であることは間違いないようです。この7人の方が審査の講評をしていただいたので、まずそれを紹介します。 

.日本酒造組合中央会理事 濱田由紀雄 

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 ・ 審査の基準は雄町らしさがあるかどうかで決めた。
 ・ 具体的には柔らかなふくらみ、繊細な味、切れの良さであ
   る

 ・ 米の品質特性をお酒に引き出すための技術力が年々高まっ
      ているように思える。
 ・ 吟醸の部:香りは派手ではないが雄町らしい繊細な味が出て
      いた。
 ・ 純米の部:味わいが少ないものが多かったが、熟成すれば
   良くなると感じた。

2.日本醸造協会会長  岡崎直人
 

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 ・ 吟醸の部:以前より落ち着いた香りのものが多くなった。
 ・ 具体的にはカプロン酸エチルの香りの出し方が上手くなって

   いるのと、イソアミル系の香りのお酒もあり、雄町に合った
   香
りの研究が進んでいると感じた。
 ・ 純米の部:この分野には80%精米のお酒も含まれて、この
   お酒の味はかなり違っているので、今後は別の審査を考え
   る必要があると思う。
 ・ 出品酒の中に4VGの香りのお酒もあったが、原因はわかっ
   ているので、今後は対応してもらいたい。

3.山形県産酒スーパーアドバイザー 小関敏彦

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 ・ 吟醸酒は123点の出品のうち45点が結審に残ったが、その
   う ち20点は製造過程より貯蔵課程に問題があるように思え
   たので、今後は注意してもらいたい。
 ・ 特に生酒は生熟のものが多く、出品する前に確認してもらい
   たい。
 ・ 火入れの場合でも8月の審査では火入れの遅れが味の変化
   となって出るので注意が必要。
 ・ 純米酒は生酛、山廃、原酒、生酒と色々あったが、そのお酒
   の飲み頃を考えて出品してもらいたい。
 

4.日本酒輸出協会会長  松崎晴雄 

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 ・ 一つの米だけの市販酒の品評会はここだけであり貴重な場
   である
 ・ 多様性のある幅の広いお酒が集まったので、どうやって雄町
   らしさを評価するかは結構難しかった。
 ・ 雄町の特徴は酸味と甘みにあると思うが、今回は米が溶け
   なかったのか全般的に軽めの酒が多かった。
 ・ 雄町の特性を生かすためには香りの高い酵母ではなく、香り
   の少ない酵母でオーソドックスな作りをして、酸と甘みのバラ
   ンスを取った方が良いように感じた。
 ・ 雄町の味には色々なタイプががあるので、雄町の特徴を生
   かした酒器を選ぶなどの工夫をした方が楽しめると思う。

5.上田酒類研究所所長  上田護國
 

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 ・ 雄町のお酒の特徴は独特の旨みがあって後味が軽いことだ
   と思う。
 ・ 吟醸酒は醸造技術が上がって酒質は確かに良くなっている
   が、逆に雄町らしさがなくなってきていると感じた。
 ・ 純米酒には雄町らしさのあるお酒が多かったとおもう。
 ・ 生酛系のお酒を一緒に審査したので審査はなかなか難しか
   った。

6.酒類総合研究所主任研究員 大江吉彦
 

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 ・ 多様性の富んだお酒が多く出品されたと感じた
 ・ 海外でのお酒の飲み方にはいろいろな飲み方があると思う
   が、町のお酒の幅は広いので、それに対応できるお酒だと
   思う

7.岡山県工業技術センター所長 産本弘之
 

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 ・ 岡山県のお酒が多く選出されたことにほっとしている
 ・ 雄町のお酒の特徴は酸が効いていてボディ感のあってふくら
   みのあることだと
教わってきた。
 ・ 吟醸酒はスレンダーの幹事の味でボディ感が少ないお酒が
   多かった。
 ・ 純米酒は色々なタイプのお酒がたくさん出ていたが、飲みご
   たえでさみしいお酒が見られた
 ・ 醸造技術よりは出荷管理の悪いのもが見られたので、改善
   してもらいたい。
 

以上で7人の先生方の講評の紹介を終わりますが、僕が感じたことは以下の点です。 

 ・ 雄町らしさの基準が人によって微妙に違うのが気になりまし
   た
。雄町らしさは膨らみと後味の奇麗さという方もいれば、酸
   味と甘みが特徴でそのバランスに特徴があると言われる方
      もおられ、何を基準するかをもっと明確にして共有した方が
      良いと思いました。
 

 ・ 純米酒には生酛系や古酒なども含まれており、評価するの
   が大変だったということはわかりますが、この場合、それ以
   外のお酒と基準を合わせるのは難しいのではと思いました
 

 ・ 吟醸酒の精米度は35%から60%で、純米酒の精米度が
   50%~80%というのは分け方としてはとても不自然な気が
   するので
、どうしてそうしたのかの説明がほしかったです。 

<僕が考える雄町らしさ> 

僕は雄町のお酒は大好きですが、色々なタイプのお酒があり、今まで飲んだ経験ではなかなか「これだ」と言いにくいです。確かに口に含んだ時のふくらみがしっかりしているものは後味に軽快さがないとバランスが悪くなるし、最初のふくらみをが少なくても、奇麗な余韻が漂えばこれも素敵だと思います。 

懇親会の会場で雄町らしさについて小関先生にお聞きしてみました。先生のお話では、雄町は味が出やすいお米で、味に幅があるので、その幅をうまく出せていて後味の切れとか伸びとか余韻があるのが理想的だが、切れと余韻は相反するもので、両方を出しているお酒は少ないし、この時期の審査ででそれを求めるのは難しいそうです 

結局、雄町が出せる味の幅の広さと後味の奇麗さや余韻があるものが雄町らしさなのかもしれませんが、僕個人は後味の余韻の奇麗さや複雑さが好きなので、大吟醸よりは精米度が50%~60%の純米酒が好みです。 

<優等賞受賞酒の酒質の傾向について> 

この会では出品されたすべてのお酒について酒質についての一覧をいただきましたので自分で優等賞だけのお酒の酒質を調べてみました。 

吟醸酒 

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純米酒 

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上記の表はエクエルで作って写真の形で載せましたので、小さくて読みにくい方はクリックすれば拡大できますので、それで見てください。 

この表から判ったことは日本酒度は+1~2で予想通りなのですが、酸度は1.4~1.5があって出品酒にしては酸があること、アミノ酸は蔵によって公開していませんが、アミノ酸値が1.0~1.3というのは結構アミノ酸を出していることが判りました。これが味にどう影響するかは僕は専門家でないので、皆さんで考えてください。 

<僕が気に入ったお酒の紹介> 

懇親会の会場での試飲は優秀賞含めて全種類飲むことができました。試飲場は大きな会場の隅にありましたが、会場に余裕があったのでゆっくり楽しむことができました。 

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会場では関係者の表彰や優秀賞の蔵へのインタビューなどが行われましたが、それについては省略しますので、市田さんのサイトを見てください。
https://writerichida.wordpress.com/2017/08/14/%e7%ac%ac9%e5%9b%9e%e3%80%8c%e9%9b%84%e7%94%ba%e3%82%b5%e3%83%9f%e3%83%83%e3%83%88%e3%80%8d%e3%81%ab%e4%bb%8a%e5%b9%b4%e3%82%82%e5%8f%82%e5%8a%a0%e3%80%82%e3%80%8c%e5%94%8e%e3%81%8d%e9%85%92%e4%bc%9a/ 

最後に僕が気に入ったお酒を紹介をします。僕が勝手に感じたことで聞き流してください。今もう1回やってみれば違うことになるかもしれません。 

<吟醸酒> 

利守酒造 赤磐雄町生     宮下酒造 極聖 純米大吟醸        

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結城酒造 結 純米大吟醸 

Dsc07528_2吟醸酒は雄町らしさというよりはバランスの良さが目立ちましたね。 

赤磐雄町生はさすがに味のふくらみも余韻の良さもあり、さすがに本家本元の強さを感じました。 

吟醸酒では岡山県、と山形県が5蔵受賞しましたが、僕にとっては岡山県の方が少し雄町らしさがあったような気がしました。 

吟醸酒と純米酒の両方を受賞した蔵は、利守酒造、宮下酒造、秀鳳酒造、結城酒造の4蔵でしたが、どの蔵も雄町については自信を持っている蔵と言えます。 

その中で最近安定した力をつけているのは結城酒造ですね。雄町らしさというよりはバランスの良さは秀でていました。杜氏の浦里美智子さんは造りを初めてまだ経験が少ないのに、すごいですね。 

美智子さんおめでとうございます。あれ持っていただいたのは特別純米酒ですね。
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<純米酒> 

純米酒の方が味に幅があって雄町らしく感じる一方、あまりにもタイプの違うお酒があってあまり雄町とはおもえないようなものがあるのを感じました 

結城酒造 結 特別純米酒   宮下酒造 極聖特別純米酒 

Dsc07539Dsc07523_4たまたま吟醸酒と同じ蔵のお酒が選ばれてしまいましたが、どちらも吟醸酒よりは酸度も高く、アミノ酸の量が増えているだけあって、雄町らしくなっていると思いました。どちらも余韻の程度が良かったです。 

その中でもちょっと変わった生酛造りの雄町に面白いお酒を見つけました。 

杉勇蕨岡酒造場 生酛純米原酒 

Dsc07526酸度が1.8もありアミノ酸も1.3もありますが、うま味は少なめで、温度が低いとちょっと辛みを感じますが、温度が上がってくると甘みが増えてきて、バランスが良くなりました 

そしてゆっくりと余韻が伸びていきます。膨らみという意味では雄町らしさはないけど、酸味を感じながらの余韻の良さはもう一つの雄町かもしれません。 

お燗にしたらすごくよくなると感じました。 

以上で雄町サミットで感じた僕の印象を述べさせてただきました。来年も今年と同じように行われるのなら、ぜひ参加したいです。

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2017年5月 3日 (水)

福井県の小さな蔵は個性豊かでした。

各県の酒造組合が主催する日本酒のイベントは沢山ありますが、その中で最も大きいのが新潟県酒造組合が開催する「酒の陣」です。このイベントは毎年3月に行われ、試飲して気に入ったものがあれば、その会場で購入できるのが気に入って、毎年参加してきましたが、年々参加者が増えて入場するだけでも1時間以上並ばなければいけない状態になってきました。また場内も満員電車の中の混み具合となって、ゆっくりお酒を嗜む状態でなくなってきていました。 

そこで今年は酒の陣の参加をやめて、その後に行われる福井県酒造組合が開催する「春の新酒祭り」に参加することにしました。福井県のお酒を飲むのは2013年に東京の椿山荘でおこなわれた「蛍と夕べの会」以来のことですが、その時の様子は下記のURLをご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-c1dc.html
 
春の新酒祭りは福井駅から少し離れた田原町にあるフェニックス・プラザでおこなわれました。この会はたぶん今年で9回目になるほど地元に定着したイベントとですが、毎年フェニックスホールの1階にある大ホール(最大2000名入場可能)でおこなわれています。僕は初めての参加でしたが、入場前に30分以上待つほどの人気があり、予想以上の混雑ぶりでした。
 
ここがフェニックスプラザの入り口です。
 
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下の写真がホールに入る前の通路で、出品したお酒の一部が買えるのですが、ブースの所で買うのとは違って、会場を出ると気に入った酒がどれだったかわからなくなるので、買いずらいと思いました。僕は結局買わずじまいで終わりました。
 
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会場はさすがに広かったですが、会場のレイアウトが判らないし、出品されたリストもないので、どうやって飲もうかさすがに困ってしまいました。蔵のブースが会場のどこかにあるかは書いてあったのかもしれませんが、新潟酒の陣のように、入場する時にレイアウト図を手渡してもらいたいものです。来年以降ぜひとも改善してもらいたいと思いました。参加した蔵は椿山荘の17蔵より多い24蔵でした。
 
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会場に入ってみますと人気のある黒龍や梵の蔵には試飲したい人がすらりと並び、それをかき分けて他の蔵を探すという状態でした。結果的には人が並んでいない蔵のお酒だけを飲む形となりました。帰りの電車の都合で2時間半の短い時間でしたが、小さいけど面白い蔵を見つめましたので、それを中心にご紹介することにします。
前の日に訪問した田邉酒造や美川酒造場ももちろん出店していましたし、どちらも小さな蔵ですが、この二つはブログに書きましたので、興味のある方はそちらを見てください。
田邉酒造
美川酒造場
 
1.原平酒造
 
源平酒造は九頭竜川の上流の大野市にあり、ここは北陸の小京都とよばれる歴史と文化を今に継ぐ城下町で、四方を山々に囲まれた緑と水の豊かな場所です。名水百選に選ばれた「御清水」があるので、酒造りに適したところで、いまでの4つの蔵が存在しています。その中にあって、300年以上の歴史がある由緒ある蔵が源平酒造です。
 
昭和の時代は日本酒ブームで、この蔵の売り上げも1億5千万以上もあったようですが、平成に入って日本酒離れが始まり、年々売り上げが下がり経営の苦しい状況が続き、その中でも2008年には全国新酒鑑評会で、2009年には金沢国税局酒類鑑評会で金賞を取るなど努力をしてきましたが、20010年についに売り上げが5000万円を切ることにjなり、事業継続は難しいと民事再生手続きを取ることになったようです。
 
その後株式会社アーキクリエイション(東京の南大塚に本社を持つ会社)がスポンサーとなり、再生活動が始まり社長の荻原さんが代表となり、蔵人も外から集めて新しい体制がスタートしたのが2012年です。その後2013年にはワイングラスでおいしい日本酒アワードで金賞を受賞するなど、着実に動いているようですが、現在の生産高はまだ100石前後のようです。
 
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写真の方は新しく三重県から来られて杜氏になられた眞野さんです。持っていただいたのは6段仕込みの純米大吟醸蝶ラベルです。醪の仕込みは通常初添え、仲添え、留添えの3段仕込みで行いますが、さらに3段追加する方法を6段仕込みと言います。真野さんのお話ではこれは偶然生まれた方法だそうで、社長からもう1本仕込んでくれと言われたけど、時間がないので、さらに3段追加したら面白い味になったので、この方法が定着したようです。でもその仕込み方は秘密のようです。

飲んでみると最初に甘い香りがするけどしっかりした味わいの中に辛みも感じながら消えていく独特のバランスのお酒でした。最初のうまみと後味の引き締まりのあるお酒なので、しっかりしたお料理にもある食中酒として面白いように思えました。まだまだ生産量は小さいけどこれからどんな変化を示すか楽しみな感じです。 

2.鳥浜酒造
 
鳥浜酒造は若狭湾の中の三方五湖の三方湖の近くにある蔵で、大正9年に若狭の町民50人が出資してできた会社で、初代は小堀彦五郎さんが社長でスタートして、その後小堀家が歴代社長を継いできていますが、株式会社なので誰が社長でも良かったようです。
 
現在の社長は5代目の小堀康彦さんですが、康彦さんの父の茂彦さんの代に最盛期を迎えたようで、蔵人が7-8人くらい働いていたそうですから、1000石近い生産高があったかもしれません。しかし平成の時代になると生産量が少なくなり、安彦さんが蔵に戻った平成7年には経営が厳しくなってきたそうです。そして平成11年に父が亡くなり、安彦さんが社長になったのですが、経営はさらに悪化していたので、平成14年に廃業を提案したそうです。
 
ところが株主から増資をするので酒造りを続けるように懇願されて、平成15年に造りを再開したそうです。蔵の建物は土蔵・木造2階建ての近代の清酒醸造工場としては貴重な建築物で登録有形文化財なので、観光地として蔵の見学ができるようにか改造したり、従来のお酒とは違った新しいブランドの「鳥濱」を出すなどして今日に至っています。経営は少し安定してきていますが、現在の生産高は120石程度だそうです。
 
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写真の方が社長兼杜氏の小堀安彦さんで、持っていただいたのは「鳥濱五百万石50%精米の純米吟醸です。飲んでみるとしっかりとした旨みで、酸味はすくなく最後に軽い渋みでバランスしています。味付けの濃い料理に合いそうです。この地方は川魚が主流でその濃厚な味付けに合うお酒として、甘口の「加茂栄」が主流だったのを少し飲みやすくしたもののようですが、それでもしっかりした味わいでした。その秘訣はと聞いてみたら、秘密だけど、酒母造りに工夫をしているとのことでした。 
 
3.雲の井 吉田金右衛門商店
 
この蔵は福井市の中心から西北西に12㎞程東尋坊の方に行った九頭竜川の西域の小高い丘陵地帯にある佐野市にあります。越前海岸に近く海の幸に恵まれている地区で、酒造りは盛んでかっては杜氏を出した地区でもあるそうです。
 
蔵元は代々地主の家柄で、江戸時代からあったそうですが、酒を造り始めたのは明治4年だそうです。福井県は精米は共同精米と聞いていましたが、この蔵は地元の五百万石と山田錦を中心に、全量自家精米でやっているそうですから、酒質の管理には非常に気を使っているように思えました。すべて小仕込みで、蔵内平均精米歩合が55%の純米の特定名称酒のみを造っているそうです。生産高は200石たらずで少ないですが、日本名門酒会の会員だそうですから、知る人は知る蔵なのでしょう。
 
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写真お方は社長兼杜氏の吉田和正さんで、、杜氏歴の15年近くになるベテラン杜氏です。かなりこだわりの酒造りをしていて、麹造りは突き破精で丹念に小箱でやるとか、速醸でもしっかち打瀬を取るなど、徹底した吟醸造りにこだわっているようです。持っているのは雲の井の山田錦の純米大吟醸の袋撮り熟成生原酒で、一般には出回っていないようで、自慢の秘蔵酒かもしれません。香りはそれほど高くはないけど、テクスチャーも柔らかく、バランスの良いうまい酒でしたので、もし見つけたら絶対買いですね。 

4.華燭 豊酒造
 
豊酒造は鯖江市下野田町にある蔵で、ここはJR鯖江駅から西に2-3km行ったところになります。創業は1753年だそうですからとても歴史のある蔵です。華燭とは珍しい銘柄ですが、華燭とは会津の絵蝋燭のことをいうそうですが、おめでたい時のお祝いに使うもののようで、8代目の当主の時に大正天皇のご成婚を祝ってつけたらしいです。現在の生産高は300石レベルのようです。
 
下の写真の左の方が11代目の蔵元の佐々木宗利さんです。丹波、新潟、能登の杜氏のもとで、15年間修業をした後、2002年から杜氏として、蔵を引っ張ってきていました。右の若い方は息子さんの克宗さんで、茨城大学の農学部を出た後、蔵に戻って父から酒造りを学び、今年から杜氏として酒造りを始めたそうです。 
 
僕はたまたま2000年に蔵を訪れたことがあるのですが、その時宗利さんが蔵に眠っていた珍しいお酒を飲ませていただいたことが強く印象に残っています。ですから熟成酒に経験が豊富な方だなとは思っていました。
 
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持っていただいたのは平成8年のお酒で20年古酒ですか、見ての通り色がほとんどついていないのです。本当に古酒ですかとお聞きし飲んでみました。熟成の香りは少ししますが、飲んでみるとめちゃめちゃ柔らかくて、バランスのいいお酒に仕上がっていました。いくらなら買ってくれますかと聞かれたので、1万円でも買いますよとつい言ってしまうほどでした。
 
実はまだ市販していないお酒で、今年に販売する予定だそうで、出たらすぐ買いたいですね。あまり熟成が進んでいないので何℃で熟成しているのですかと、聞いたらなんと20℃以下の室温だそうです。さらにどうしてこんなお酒ができるのですかときいたら、一つは密閉型の琺瑯タンクの熟成させていることと、作り立てのお酒には味を乗せないで淡麗に作ることだけですよというお話でした。このお酒は五百万石60%精米で酵母がM31だそうなので、とても価格を1万円にはできないから、いくらにするかな?おっしゃっていました。
 
この蔵の熟成の技術はすごいと思いましたが、世間ではまだあまり知られていないような気がします。世の中には熟成古酒ランキングというのがありますが、調べてみたらまだ載っていません。でもとてもいいお酒ですので、ぜひ飲んでみてください。
 
5.白龍 吉田酒造
 
吉田酒造は黒龍のある永平寺町にありますが、同じ町ですが黒龍よりは九頭竜川のずっと上流にあります。創業は1806年といわれていますので、約200年以上の歴史のある蔵で、白龍という名をずっと引き継いできています。白龍とは九頭竜川の白く泡立つ激流を白い龍となぞらえたものだそうです。
 
歴史は長いのですが、6代目の蔵元となった吉田智彦さんが蔵を引き継いだ時は福井県の中では最も小さな蔵と言われたほどだったそうです。智彦さんは東京農大を卒業後国税局農業試験所で酒造りを勉強し蔵に入ったのですが、まずやったのが自社田で山田錦を栽培することだったようです。最初は生産量が少なかったのですが、完全熟成堆肥を使って、生産量が安定したそうで、その後順調に生産が伸び、現在ではお酒の生産量も430石になっているそうです。
 
ところが昨年突然智彦さんがなくなり、現在は奥様の由香里さんが社長となり、娘さんが酒造りをしていますが、まだ杜氏見習い中だそうです。
 
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中央の方が由香里さんです。持っていただいているのは自家田の山田錦60%精米の山廃仕込みの特別純米原酒です。山廃仕込みは得意な蔵ではないそうですが、このお酒は評判が高く、このイベントで人気になったお酒のひとつのようです。うまみと酸のバランスが良く、後味の奇麗なお酒でした。ご主人をなくして、大変な状態なのでしょうから、ぜひみんなで応援しましょう。
 
6、福千歳 田嶋酒造 
 
この蔵は福井市の中ですが、福井駅から西に1㎞弱行った足羽川のほとりにあります。創業は1849年ですから江戸時代末期だそうですが、その場所は今の地ではなく今よりずっと西のはずれの清水町にあったそうです。そして今の地に来たのが昭和28年で、その時から町に名前(今はその名前はありません)の千歳を取って福千歳という銘柄が誕生したようです。
 
酒造りは昔から能登杜氏が来て行ったそうで、昭和51年までは全量山廃つくりだったそうです。昭和51年以降に初めて速醸のお酒を仕込むようになっていますが、やはり一押しは山廃でしょう。そのお酒も今変わろうとしています。それは蔵の跡取りの田嶋雄二郎さんが蔵に戻ってきたからです。
 
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この方が雄二郎さんで、東京農大を卒業後、蔵に戻ってきたのが6年前で、杜氏となったのが2年前だそうです。雄二郎さんがやりたい酒造りは以下の3つです。
 
  • 1.楽しみながら常にチャレンジして、笑顔になる蔵造り 
  • 2.福を呼べる酒造り(実際に喜んでいただける商品作りなど) 
  • 3.オンリーワンな酒蔵(ライスワイン、サクラロックなど) 
  • 持っていただいたのが左手に山廃純米大吟醸で、右手に持ってもらったのがサクラヌーボ生原酒です。山廃純米大吟醸はという名が、山廃純米吟醸はという名がつけられていて、ラベルもとわかり易くなっています。いずれも福井県産の越の雫というお米を使っていて、自家製酵母田嶋2号(9号系)を使った山廃つくりで精米だけが違います。この山廃の酸度は1.7もありますが、穏やかで、テクスチャにとろみがあってなかなかのお酒でした。 

    サクラヌーボはさくら酵母を使ったお酒で、生原酒はアルコール度数が19もあるので、ロックがいいように思えました。サクラヌーボにもいろいろな種類を造っているので、飲むときは要注意です。この酵母は農大時代に自ら開発した酵母なので、思い入れが強いようです。いずれにしてもこの蔵は雄二郎さんがこれから舵を取っていくのでどのように変わるのか楽しみです。蔵の生産高は聞きませんでしたが、雰囲気では500石ぐらいでしょうか? 

    7.越の鷹 伊藤酒造
     
    この蔵は福井駅から西北に九頭竜川を10㎞程下って行った江上町にあります。創業は明治27年ですから、すごく古い蔵ではないようです。歴史についてはホームページにあまり記載されてはいませんが、写真を見る限り昔からの酒屋で趣を感じる雰囲気を感じました。でも、設備は昔からのものをつかっているようですが、お酒の質は新しさを感じるように思えました。実際はどうなんでしょうか。
     
    現在の杜氏は下の写真の伊藤抵治さんです。伊藤さんは東京農大を卒業され他の仕事についたのですが、蔵の杜氏が他界したので、急遽蔵に戻ってもう約20年になるそうです。蔵に戻った時は借金まみれで、経営も苦しく、特定名称酒は一切なく普通酒しか作っていなかったので、営業にまわっても相手にさせす途方に暮れたそうです。
     
    そんな時に常山の元社長に励まされて一念発起し、新しい酒造りの勉強を色々方に教わり、特に食品加工研究所の久保先生のお力を借りて科学的に醸造する方法を取り入れたそうです。そうして生まれたのが純米吟醸酒越の鷹だそうです。
     
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    目指す酒造りは福井県の米と福井県の酵母を使ったお酒でちょっと濃厚さもあるがフルーティでシャープなお酒を目指しているそうです。持っていただいたお酒は最近福井県が開発した酵母のFK-80を使った純米大吟醸です。お米は越の雫100%使用で、精米歩合は50%だと思います。この酵母は昨年開発されたばかりでこの蔵以外では使用されていないとのことでした。 

    飲んでみるとカプロン酸の香りと酢酸イソアミルの香りのするフルーティなであるけど切れの良さもあるお酒でした。FK-80酵母をインターネットで調べてもまだ出ていません。こんな酵母をいち早く導入できるのは、伊藤さんならではのことではないでしょうか。きっと経営の方も順調なのでしょうね。生産量は聞き損ないましたけど、200~300石ぐらいではないでしょうか。
     
    「春の新酒祭り」に出展した蔵の中で、生産高500石以下と小さいけど頑張っておいしいお酒を造っている蔵を見つけて紹介いたしました。他にも同様な蔵もあったと思いますが、たまたま出会って気に入った蔵を紹介したので、見逃している蔵もあるとおもぃますがご容赦願います。
    僕は日本酒を愛するものとして、日本の日本酒業界全体のレベルを上げるためには、大きな蔵のレベルアップはもちろん必要ですが、小さな蔵が良いお酒を造ることが全体を引き上げるベースになると信じていますので、小さな蔵で、いいお酒を造る努力をしている蔵を見つけたら紹介していきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
     

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    2016年9月 5日 (月)

    青森県の小さな蔵はレベルが高い

    久しぶりに青森県の酒造組合が主催する「青森の地酒の会」に参加しました。僕が参加した青森の地酒の会は2009年の11月に代々木の新日鉄の研修センターの食堂で開かれたときですから7年前になります。その時のことは下記のブログに書いてありますが、まだ駆け出しのころに記事なので、内容の浅いものですが、懐かしい人もおられると思いますので、良かったら見てください。 

    http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/part-3d82.html 

    http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/part2-8ab6.html 

    その後、現在の池袋のメトロポリタンホテルでやるようになったのは、いつ頃からかはわかりませんが、ほかの行事と重なって行きそびれていましたので、今年は何としても参加したいということで、昼間行われる1部のきき酒商談会と夕方から行われる2部のサマーナイトイン東京の両方に参加しました。 

    今回の目的は今まで僕のブログで取り上げていなかった蔵、特に生産高1000石以下の小さな蔵で僕が気に入ったところを取り上げてみたいと思って参加しました。ですから、いつもお世話になっている田酒の西田酒造店、陸奥八仙の八戸酒造、桃川㈱、じょぱりの六花酒造は取り上げませんでしたので、ご容赦ください。 

    また蔵の生産高は小さいけど以前詳しく紹介しました華一風のカネタ玉田酒造店と岩城正宗の竹浪酒造は下記のブログを見てください。かなり詳しく紹介しています。 

    http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-8973.html 

    今回の記事はほとんど第1部での取材でお聞きしたことやインターネットで調べたことですので間違いがあるかもしれませんが、ご容赦願います。また、僕のような日本酒ブロガーが1部に参加することは許されることかどうかはわかりませんが、このような取材は2部では殆ど不可能なので記事を書いたことでお許しください。 

    結局これから7蔵を紹介することになりますが、これで僕としては青森県のほとんどの蔵を紹介したことになりました。驚いたのは青森の小さな蔵はレベルが高いことでした.。その一端でも紹介できればと思っております。ブログを書くにあたって調べているうちに、青森県の酒造組合にお願いをしたいことがあります。それは青森県の蔵MAP一覧を造ってほしいことです。 

    蔵の紹介の前に、青森の酒米を紹介します 

    1.華吹雪 

    青森県の酒造好適米は昭和43年の「古城錦」に始まり、「豊盃」へと受け継がれてきましたが、酒造適性はあったものの耐冷性や耐病性が低いという欠点があったので、昭和61年に新しく生まれたのが「華吹雪」です。母方おくほまれ、父方に系103号をもつお米ですが、耐冷性があので、青森県で広く栽培されて最近では県外でも栽培されているようです。 

    2.華想 

    「花吹雪」は純米酒用の酒米としては評価されましたが、高精白には向かず吟醸酒や大吟醸酒には山田錦を使用されることが多かったので、新しく開発された酒米が「華想い」です。母方が山田錦、父方が花吹雪で、平成14年に開発され、山田錦に匹敵する酒造適性があるものの、耐病性に弱いため、その作付は弘前地区に限定し県内酒造メーカーに限定して原料供給を行っているそうです。しかし、その酒造適性は高く評価されています。 

    3.華さやか 

    耐病性が強く、玄米品質が高い酒造好適米を目指して平成9年に「黒1900」を母に「岩南酒13号」を交配して開発が始まり、平成26年に登録されたのが「華さやか」です。この米の蛋白質量はそんなには少なくないですが、お酒にするとアミノ酸が通常の半分くらいに減少するために軽やかなワイン風のお酒となるのが特徴です。平成26年に「華さやか」ブランド推進協議会が設立され知名度を高める取り組みが始まったばかりのお米です。 

    4.まっしぐら 

    まっしぐらは青森県の飯米として平成18年に生まれたお米で、県産米の食味、品質にまっしぐらに農家が取り組んでいく気持ちを付けて命名されたそうです。現在は青森県の看板商品として県下全域で作付されており、手に入りやすいので酒米としても使われております。 

    それでは蔵の紹介に進みましょう

    1.白神酒造 白神(しらかみ)

    この蔵は弘前市にあるといっても弘前駅からは離れていて、駅から西に10kmほど入った白神山地の麓の岩木川のほとりにあります。なんでこんな奥に造り酒屋があるのかと思うほどのところらしいですが、岩木川の鮎を捕る人たちのために酒造りを始めたらしいです。創業は良くわかりませんが、昭和63年に西澤酒造店から白神酒造に社名を変更したようですがその辺の経緯はわかりません。 

    白神山地から湧き出た水を使った酒造りはこの地の自然をコンセプトに自然と食文化をテーマに酒造りをしているそうです。 

    Dsc_0339_2写真方が社長兼杜氏の西澤誠さんです。西澤さんの酒造りの経験は若いころ弘前の六花酒造で修行をしただけで、ほとんど蔵の前杜氏のもとで酒造りを手伝って身につけたそうです。 

    酒造りは弟と仲間数人で取り組んでいるそうですが、去年の冬に火事を出して蔵を全焼し、まだ再建ができていないので大変苦労しているそうです。現在、現会社設立の時にもお世話になった六花酒造の場所を借りて造っているそうですが、今年になってやっと全銘柄の出荷ができるようになったとのことです。生産高は300石とのことでした。 

    持っていただいたのは山廃純米酒ですが、山廃つくりは自然酒の基本として勉強のために作り続けているそうです。ここの山廃は山廃らしい香りや酸味をあまり感じさせないお酒でした。本当は白神山地で採取して培養した酵母を使いたいのですが、まだ野生酵母のままで強くなっていないので、使えないそうです。現在は14号酵母を使っていますが、火事の前は7号酵母と山形酵母と14号酵母のブレンドをしていたそうです。 

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    僕はこの蔵のお酒を知ったのは7年前のこの会で、その時の華想いの大吟醸のバランスが素晴らしくてその印象が強かったので今回も飲んでみましたが、トロッとした旨みは相変わらすあって気に入り、社長に確認しましたが、確かにあの時の出来は素晴らしく、それに比べればまだまだとのことでした。社長としてはもっとキレを出したかったようです。早く自分の蔵で酒造りができるようになれば、いいですね。頑張ってください。 

    2.鳴海醸造店 稲村屋、菊の井 

    この蔵は弘前駅から東に行く弘南鉄道の終点の黒石市にあります。創立は古く江戸時代の後期の1806年で、黒石市で最も古い歴史を持つ蔵だそうです。代表銘柄は菊の井ですが、これは2代目当主の稲村屋文四郎さんが菊の花をこよなく愛していたからつけた名前だそうです。 

    蔵はとても歴史があり、立派な母屋や庭園はは黒石市の文化財の指定を受けるほどですが、生産量は350石と小さな蔵です。現社長は7代目の鳴海信宏さんで、杜氏も兼務されています。 

    Dsc_0351_2写真の方が鳴海信宏さんです。信宏さんは東京農大の醸造学科を平成2年に卒業され、酒類問屋で3年務めた後、平成5年に蔵に戻られ、蔵で修行された後平成19年から杜氏をされています。学校の同期には松の寿の松井さんや川中島の千野麻里子がおられるそうです。 

    持っていただいたのは菊の井の純米吟醸「華さやか」です。華さやかは青森県でもまだ使用している蔵は少ないそうですが、蛋白質からアミノ酸に代わる量が普通の米より半分くらいと少ないので、後味が綺麗で軽やかなお酒になるそうです。飲んでみると口に含むとぱっと横に膨らむ感じで、余韻が綺麗なお酒でした。 

    信宏さんが杜氏になってから数々の賞をとっていますが、特に圧巻だったのは去年の青森県清酒鑑評会の吟醸酒部門と純米酒部門で青森県の知事賞を取った上に、青森県産米部門でも産業技術センター理事賞を取り、見事青森県の3冠を達成しました。全国新酒鑑評会でも2年連続金賞をとっています。 

    ですから、彼はすごい腕の杜氏ですが、お会いしてお聞きすると、口下手なのか、なかなか自分の言葉でお話していただけませんでした。無理やりこれからどんなお酒を造りたいかをお聞きしますと、酒造りの中で一番大切なのは麹造りですが、それだけでなくすべてに気配りをした品質の良いお酒を造りたいそうです。そして余韻が素敵で飲んで楽しいお酒を造りたいとのことでした。その彼が今回持ってきたお酒の中では華さやかが好お気に入りだったそうです。 

    その彼が去年から販売したのが屋号からつけた稲村屋です。飲んでみましたがお米のうまみを感じるお酒でしたが、僕は華さやかのほうが好きでした。最後に信宏さんにお願いがあります。鑑評会用のお酒の酒米を今までの山田錦をやめて、青森県の酒造好適米でチャレンジしていただけませんか。青森のお米と青森の酵母で金賞を取れれば、県の誇りになるのではないでしょうか

    3.鳩正宗㈱ 鳩正宗  

    この蔵は十和田町から3kmほど東に行ったところにあります。僕は十和田湖に近いのかと勝手に思っていたのですが、むしろ六戸町の西6kmぐらいのところにあり、奥入瀬川の下流の相坂川の近くにあります。 

    創業は明治32年に稲本商店の醸造部として発足し、創業当時は「稲生正宗」の銘柄で親しまれていましたが、昭和初期に蔵の神棚に住み着いた一羽の鳩を守り神として大切に飼ったことから「鳩正宗」となったようです。 

    Dsc_0353_2ブースには杜氏の佐藤企(たくみ)さんがおられました。佐藤さんは昭和63年に東京農大農学部農学科(醸造学部ではなく米つくりの方が専門)を卒業されました。当時、鳩正宗の蔵人であった父の仕事に興味を持ち、すぐ鳩正宗に入社されたそうです。その後酒造りの修業をして平成16年に十和田市初の南部杜氏になりました。 

    その後平成23年には青森県卓越技能者に、平成26年には青森マイスターになっています。また平成24年から始まっている青森県の代表する4蔵の杜氏の技術交流会であるFuture4の杜氏としても活躍されています。この蔵は青森県では過去20年間で2番目に金賞受賞回数の多い蔵ですが、これは佐藤さんの努力の結果だと思います。 

    佐藤さんにこれからどんな酒造りを目指しますかとお聞きしたら、

    ・ お米の味が出ていて、口に含むと米の旨みが広がり後味がスッと消えていくおだそうで、

    その時使う酵母はどうしているのですかとお聞きしたら 

    ・ 青森県産のお米には青森酵母のまほろば
    ・ 純米酒には香りが抑えぎみで旨みと酸のバランスの良い金沢酵母
    ・ 大吟醸には香りを出す18号酵母と金沢酵母のブレンド
     

    をしているそうです。佐藤さんにお米の違いを教えてもらうために純米大吟醸華想い45と純米大吟醸山田錦48を飲ませてもらいましたが、機想いは味はしっかり出ていて旨いお酒でしたが、山田錦は旨さはしっかりあるのですが、品があってちょっと格が違う感じがしました。このようにお米の違いをきちっと出せるのは佐藤さんの腕なのでしょう。気に入りましたので両方のお酒を持ったお姿を写真に撮りました。 

    これからどんなお酒を造られるのか楽しみですね。 

    4.盛田庄兵衛 駒泉 真心 

    この蔵は古くから馬の産地として有名な七戸町にあり、東北新幹線の七戸十和田駅から南へ3kmほど下がったところにあります。 

    この地は平安時代から馬の産地として栄え、昔からにぎわった土地でしたので、江戸時代には近江商人がこの地に入っていたそうで、この蔵を創業した盛田庄兵衛も近江商人がルーツだそうで、創業は1777年という老舗の蔵です。生産高は800石です。 

    銘柄の駒泉は馬の里に清らかな水がわいているということから命名されたそうで、昔から心を込めた酒造りがモットーのようです。 

    Dsc_0347写真の方は営業部長の町屋大輔さんで、冬は蔵人としても頑張っているそうです。この蔵の杜氏は社長の盛田卓次さんで、東京農業大学醸造学科発酵化学研究室 卒業で国税局の研究者として全国新酒鑑評会の審査員でおられた方だそうで、青森県の青森マイスター第1号だそうです。 

    そんなすごい人が造った酒はどんな酒なのでしょうか。純米大吟醸の真心はちょっと変わった複雑な味のするお酒でした。お米は華想いですが、酵母は協会9号と10号のブレンドだそうです。 

    特別純米酒の作田は作田地区で栽培したレイメイという飯米で作ったお酒でアルコール度数が14度でしたが、飲みやすいけどしっかりした味を出していて、のど越しが素直な酒でした。こんなお酒を造れるのは杜氏の腕でしょうね。町屋さんに持っていただきました。 

    山廃純米酒吟醸はこれまた山廃らしくない飲みやすく酸度は1.7もあるのに酸をあまり感じさせない山廃なので、山廃を期待すると裏切られるかもしれません。 

    全体的に素直で飲みやすいお酒が多かったけど、一つ一つは工夫をされていて、これらのお酒をどういう狙いで作られたのか社長にお聞きしたかったです。 

    5.菊駒酒造 菊駒 

    この蔵は六戸町から南へ10kmほど下がった五戸にあります。この地も馬の産地として有名な場所のようです。 

    創業は明治43年で4代目三浦久次郎によって三泉酒造合名会社を設立しましたが、昭和に入って菊造りの名人であった久次郎は馬を意味する駒と組み合わせた「菊駒酒造」に名前を改めたようです。 

    5代目三浦久次郎は広島高等工業醸造学科を卒業後、東京国税局で酒類鑑定官をしていたほどの人で、蔵に戻ってからは酒造りに邁進し通算26回も全国新酒鑑評会の金賞をとっています。孫には酒造りの心を伝えていたようです。 

    現社長は7代目三浦弘文さんですが、この方は東京農大の醸造学科(青森には東京農大卒が多いですね)を卒業された後、東京の地酒専門店で修行をされ、平成20年に蔵に戻っています。そして詳しい事情は分かりませんが、平成22年に29歳の若さで社長となっています。杜氏は別におられますが、ここ20年間は全国新酒鑑評会で賞をとっていないということは出品していないようです。どうしてなのか、興味深いですね。 

    Dsc_0346写真お方はお名前はわかりませんが、営業の方のようです。杜氏も社長もブースにはおられなかったので、あまり造りのことはお聞き出来ませんでした。 

    この蔵のお酒は味噌仕立てのさくら鍋に合うお酒だそうですが。、最近は若い人がグラス一杯で満足するような華やかでさわやかなお酒も目指しているとのことでした。 

    持っていただいたのは菊駒の純米吟醸搾りだて生原酒です。華想い50%精米M310酵母のお酒で、香りも適度にあり余韻がうまく残り爽やかできれいなお酒でした。このお酒が若者向きなのかな。 

    酵母については吟醸はM310で、純米酒は10号酵母を使っているそうで、通常のお酒は2回火入れが多いそうです。 

    この蔵の現在の生産量は5~600石すが、昔は設備も近代化して生産量も大きかったようで、弘文さんが戻って手造り主体の作りに変えたようです。 

    この酒造りのお酒には社長の思いを感じられるので、社長とお話ししたかったけど、お会いできませんでした。 

    6.尾崎酒造 安藤水軍 神の座 

    この蔵は青森県の津軽半島の西海岸側の付け根にある鯵ケ沢駅から西に2kmほどいった日本海に面したところにあります。 

    創業は江戸時代の末期の1860年だそうで、津軽藩発祥の地として歴史的にも古いところなので、それ以降長年続く技術を守って酒造りを続けてきたようです。安藤水軍という銘柄が生まれたのは昭和63年で比較的新しく、それまでは白菊という銘柄だったそうです。 

    安藤水軍とは12世紀後半から15世紀にわたって、唐との貿易で栄えた貿易港(現在の十三湖付近に津軽十三湊があったらしい)を築いた水軍です。平泉の金色堂は安藤水軍の支援があってできたともいわれるほどの勢力を持っていたようです。 

    青森県西海岸にはこの蔵1件しかないので、西海岸を代表する安藤水軍をお酒の銘柄にしたのは理解できますね。 

    Dsc_0332

    写真の左の方は社長兼杜氏の尾崎行一さん66歳で右の方は息子さんです。以前は南部杜氏が来ていたそうですが、今では自分たちで酒造りをしているそうです、。生産高は300石だそうですから、家族で頑張るしかないですよね。 

    尾崎さんは若いころ岩手県の大手の蔵の岩手川(今はもうないそうです)で1年修行をし、函館のお酒問屋で2年修業をして蔵に戻っただけで、ほとんど蔵で酒造りを覚えたそうです。息子さんは山形の出羽桜酒造で研修したそうです。 

    持っていただいたのは山廃純米と純米吟醸です。この蔵はほとんどが速醸ですが、酛つくりの勉強のために山廃を作っているそうです。 

    山廃はお米は麹米が華想いと掛米がまっしぐら、精米が60%、日本酒度+3.3、酸度1.6で、軽やかな酸味の中に米の旨みが感じられるお酒でした。純米吟醸はお米が華想い精米50%、日本酒度+4、酸度1.4ので、まろやかな味わいが良かったです。お話に夢中になって、神の座を飲みそこないましたのが残念でした。 

    7.関乃井酒造 寒立馬 北勇 純 

    この蔵は下北半島の南にあるむつの市内にありますが、下北半島では唯一の蔵です。 

    創業は明治24年で創業以来地元に人に愛される地酒造りを目指してきました。生産高は400石のようですが、下北半島以外にはほとんど流通していないようです。 

    この地は3方海にかもまれた場所なので、地元の豊富な食材を生かした、食事が美味しくなるようなお酒、つまりあじの濃いお酒造りをしているとのことでした 

    Dsc_0354写真お方は工場長の金澤武人さんです。持っていただいたのか純米吟醸の寒立馬です。寒立馬はむつ市の隣の東通村で生育している軍用馬で、一時絶滅の時期があり、その復活を願ってつけられた名前だそうです。 

    酒質はお米はまっしぐら60%精米、日本酒度+5、酸度1.7で飲んでみると口に含んだ時のふくらみが少なく、フラットに味わいが広がりスッと消えるお酒でした。 

    大吟醸 北勇至は華想い40%精米、日本酒度4.5、酸度1.2はなかなかいいバランスで、どんとは膨らまないけど綺麗に消えていくお酒でした。 

    この蔵はほとんどは地元用の普通酒が多い蔵のようで、お酒の酒質は上記の酒とはだいぶ違うようです。 

    以上で1部の会で発見した青森のお酒の紹介を終わりますが、青森の小さな蔵は造りがしかっりしていて、レベルが高いので、これから注目していきたい県ですね

    2部はいろいろな蔵のお酒を飲んで楽しみましたので、お酒の紹介はやめで写真だけお見せします。 

    会場はレイアウトが変わっていて、中央に蔵のブースがまとまって陣どっていて、周りはお客様の着席テーブルと余興の舞台が設置されていました。 

    Dsc_0358

     1部ではお会いできなかった西田社長とお写真を撮ることができました。

    Dsc_0362

    以上で終わります。

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