Googleカスタム検索

私の好きな日本酒ブログ

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

Qchanpapa

  • 日本酒
無料ブログはココログ

講演会

2016年10月11日 (火)

松崎晴雄が語る9号酵母の誕生の歴史と功績

9月10日に日本酒ヒストリア 近現代史を探る①「吟醸酒質の確立-9号酵母と熊本の酒」というセミナー・ワークショップが西五反田の不動前にある料亭「水仙」で行われましたので、参加してきました。

Dsc_0462_2

水仙は不動前駅から坂を右に上がったところにあり、写真のような店構えですが、中は立派な料亭の雰囲気のお店でした。この場所は熊本の瑞鷹さんの紹介のようです。

今回の企画はSAKE2020プロジェクトが行ったものですか、このプロジェクトはどんな活動体なのでしょうか。それは日本酒界の有志が集まり、地域や職域を超えて日本酒の振興に取り組むNPOに近い活動体で、2020年のオリンピックに海外からくるお客様をおもてなしできる日本酒環境を整えることを目標としているそうです。具体的には日本酒ビジネス関係者向けのセミナー活動、一般消費者向けのイベント、海外の人が日本酒を楽しむための活動(飲食店のメニューの翻訳など)を行うようです。 

この活動体のメンバーをご紹介しましょう 

代 表 者 : 日本酒輸出会会長  松崎 晴雄
           日本酒ジャーナリスト John Gauntner
 

実行委員 : 酒食ジャーナリスト   山本 洋
         岡永代表取締役    飯田 永介
         トモグラフ代表取締役 川越 智勇
         東京酒店代表取締役 柴田 亜希
 

この団体が発足したのは今年の3月のようです。4月にはサクラサケ、7月にはジョンゴントナーさんの英語の酒セミナーと一般向けの酒蔵ツーリズムとすでに3回のイベントがありましたが、今回は熊本で起きた地震の被災地を応援を含めて、熊本酵母のセミナーと熊本のお酒を飲むイベントとして緊急に開催されたようです。日本酒には長い歴史がありますが、今日の洗練された酒質の基礎を作ったのは近代以降ですので、それを歴史的な視点から紐解くセミナー・ワークショップをシリーズで展開していくセミナーの第1回目として9号酵母に着目して開かれたものです。 

日本酒ヒストリア 近現代史を探る①「吟醸酒質の確立-9号酵母と熊本の酒」は酒類ジャーナリスト・コンサルタントとしても著名な松崎晴雄さんがお話していただきました。会場はこんな雰囲気のこじんまりしているけど、和風テーブル席の格式のある部屋で行われました。

Dsc_0431

奥で説明されている方が松崎さんです。もうちょっとアップしましょうね

Dsc_0435
こんな感じで約1時間講演をいただきました。その内容について僕なりの整理してまとめてみましたので、紹介いたします。 

1.熊本の酒づくりの原点 

熊本は温暖な気候のところなので、清酒造りが難しいということで江戸時代の細川藩の時には清酒造りは禁止されており、赤酒しか認められていなかったのです。赤酒の製造工程は清酒とほとんど変わらないのですが、保存性を高めるために醪に木灰を入れて、酸性からアルカリ性に変えるために、糖やアミノ酸が反応し赤褐色になるので赤酒と呼ばれました。赤酒は甘めで独特の麹臭がするので今では日本酒としてよりみりんの代わりの高級な料理酒として使われています。料理に用いた場合、肉類・魚類などのたんぱく質を固めず、(身をしめず)ふっくらとした仕上がりにすることができるそうです。 

明治になって清酒の製造が許されましたが、永年清酒の製造をしてこなかったので、なかなかおいしい清酒を作ることができなかったそうです。この環境を変えたのが明治39年に熊本税務監督局の鑑定部長に就任された野白金一さんです。ここで野白さんは熊本県の蔵の酒造りの技術指導をいたしました。明治42年に熊本県酒造組合は県の酒造業者の出資で、酒造技術向上のために熊本県酒造研究所を設立し、初代所長として野白さんを迎え入れることにしたのですが、これが熊本県の清酒の発展の始まりとなったといわれています。この研究所は最初は瑞鷹の工場の一部にあったようですが大正7年に株式会社として現在の地(熊本駅の近くに移転しています。野白さんはのちにこの会社の社長になっています。 

2.野白さんの功績 

野白さんは当時は市販されていない高級酒の吟醸造りの発展に貢献しました。具体的には空調設備の整っていないころ麹室の温度湿度を調節するために野白式天窓を考案したり、温暖な熊本でも吟醸造りが可能となる様々な技法を開発しています。その結果昭和5年には瑞鷹の酒が全国酒類品評会で全国1位を獲得し、全国から注目されるようになり、野白さんは「吟醸酒の神様」といわれるようになります。 

そして昭和28年に、のちに協会9号として領布されることになる吟醸用「熊本酵母」の開発に成功します。この熊本酵母は熊本県酒造研究所の蔵から抽出培養されたもので、蔵で使うほか、交流のある蔵に提供して使われていたのですが、評判が広がり全国から協会として広く領布してほしいとの要請が来たことから、昭和43年に日本醸造協会から9号酵母として領布が始まり、吟醸酵母として広く使われるようになりました。 

そうはいっても吟醸酒は広く市販されているお酒ではなく。品評会用の高級な酒のイメージが強いのですが、この吟醸酒造りの技術がもとになり、清酒全体の酒造技術向上に貢献した功績が大きかったと思われます。 

3.吟醸ブームにおける9号酵母の役割 

吟醸酒が広まってきたのはそんなに古いことではなく、昭和の終わりごろといわれています。その前は大手蔵から大量に安価なお酒が出回った時代であり、吟醸酒があまり注目されなかったのですが、オイルショックで景気が下向きになったころから地方のおいしいお酒を飲みたいという動きが出てきた頃(昭和60年すぎ)から吟醸酒が注目されるようになったようです。 

YK35という言葉を知っていますか。原料の酒米には山田錦(Y)を、酵母には協会9号(K)を、精米歩合を35%まで高めれば(35)、良い酒ができて鑑評会でも金賞が取れる、という公式めいた言葉を意味します。この言葉は昭和60年ころに広島で生まれたといわれていますが、協会9号酵母が吟醸酒に適した酵母ということをはっきりと言っているところが凄いですね。 

当時全国の吟醸酒が協会9号を使っていたかというとそうではありません。東日本では茨城県で生まれた協会10号が広く使われて、西日本では協会9号が使われていて全国を2分していたようです。それが平成になって山形県の蔵が協会9号を使って、協会10号より香りがあって味わいの濃いお酒が金賞をとっことをきっかけに、協会9号が全国で広く使われるようになったようです。 

今では9号より香りの高い18号酵母が現れたり、各県が独自に開発している新しい酵母が現れるなど多様化していますが、9号酵母が吟醸酒酵母として魚介を引っ張て来ていたことは間違いないことだそうです。 

4.熊本酵母と9号酵母と9号系酵母の違い 

熊本酵母は熊本県酒造研究所の蔵から抽出した酵母であり、それを協会で培養したものが9号酵母なので、同じものですが全く同じものとは言えません。それは培養を重ねているうちに少しづつ変異するからです。協会9号が出た後も熊本県酒造研究所は独自に培養を続けており、その中から、熊本1号(KA-1)や熊本4号(KA-4)などを領布しています 

9号系酵母というのがありますが、これは熊本県酒造研究所からもらい受けた熊本酵母を各県で独自に培養をした酵母とか、購入した9号酵母を蔵で培養して保存してあるような酵母を総称して9号系酵母と呼んでいます。 

また、9号酵母から派生した酵母は色々あるようで、例えば金沢酵母の協会14号は9酵母から生まれていて、今人気の酵母である協会18号酵母も9号酵母から生まれれていると言われています。その面でも9号酵母は酵母を代表する優良酵母といえます。協会14号酵母は 酢酸イソアミル系の香りのする酵母で、協会18号はカプロン酸エチルの香りが高い酵母ですが、それが同じ9号酵母からできているのは不思議な気がします。培養選別をしていくと違ったものになるのでしょうね。

九州のお酒は全部が9号酵母ではありませんが、酸があって厚みがあり、苦みがあって奥行きのある味わいは熊本酵母や9号酵母の影響が多いのは間違いないそうです。 

5.最後に 

近代の酒造史に果たした熊本県酒造研究所と熊本酵母は日本酒遺産にしたいと思っていて、今後そうなるように働きかけるそうです。また、日本酒ヒストリアの第2弾は広島を取り上げるそうですので、楽しみですね。個人的に松崎さんにお聞きしたら、6号酵母や7号酵母についても取り上げてみたいと言われていました。

以上で松崎さんの講演内容の紹介は終わりますが

今年の4月に起きた熊本大地震で熊本県の多くの蔵が大きな被害を受けたことは知っているでしょうが、熊本県酒造研究所が持っている熊本酵母はどうなったのでしょうか。そのことについて地震の後に蔵を訪れたダンチュウの方からの説明がありました。

Dsc_0461_2

<熊本大地震で熊本酵母はどうなったのか>

蔵は煙突が新幹線側に倒れるな大きな被害がありましたが、熊本酵母は無事だったそうです。それは野白先生の時代からどんなことがあっても酵母は守るということが伝えられていて、2重3重の保護がされていたからだそうです。具体的には酵母を冷凍保存している冷蔵庫には停電時の自家発電装置がついていること、それがだめになった時のために乾燥保存をしていたそうです 

それだけでなく、酵母の保存してある場所は煙突が倒れ来ても影響のない場所にレイアウトしなおしたり、酵母の培養室の冷蔵庫は頻繁に開け閉めするものなので作業上大変不便になるのにもかかわらず、地震時に冷蔵庫の扉が勝手にあかないようなフックを付けるなど酵母を守ろうという心配りが社員全員に行き届いていたそうです。だからこそ酵母が守られていたのですね・・・・ ありがとうございます。

<熊本のお酒の試飲>

このあと別部屋で熊本県の9号酵母のお酒をいろいろいただきましたが、、お酒の個別の説明はありませんでしたので、写真だけの紹介をさせていただきます。

Dsc_0445

左から 千代の園酒造 大吟醸 山田錦、純米吟醸 神力55
            瑞鷹 東肥の赤酒、 龍力大吟醸 米のささやき

Dsc_0446

左から
香露 特別純米 神力60、 瑞鷹 純米大吟醸 銀 山田錦48
瑞鷹 純米吟醸 YK-55、 純米酒 菜々 、特別純米 レイホウ

Dsc_0450

左から 亀萬酒造 野白金一式純米酒、 純米吟醸 萬坊

Dsc_0447

左から 香露 大吟醸 山田錦35 、吟醸酒

Dsc_0449

お酒の批評はしませんが、最後写真の香露の大吟醸の角瓶は僕が昔、大吟醸とはこういうお酒を言うのだと教えられたお酒でした。その時の印象はとても薫り高いいかにも大吟醸というお酒でしたが、今回久しぶりに飲んだら、香りはずっと抑え気味ですが、酸味も感じられるが、バランスの良いお酒になっていたので驚きました。香露の酵母も時代によって変わて来たのか、造りが違うのかわかりませんが変化していることは確かだと思います。

今回飲んだお酒を統一して説明するのは難しいけど、ざっくり言えば、ある程度の幅があって、スッと広がるちょっと野太い感じがするお酒ではないかなと思いました。

この後このお店の懐石料理を食べながらの懇親会に入りましたが、これについては省略させていただきます

Dsc_0457

にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ご覧になったら、この日本酒マークをクリックしていただくとブログ村のページに戻ります。これでポイントが増えます。携帯やスマートフォーンでご覧の方はMobileModeではクリックしてもポイントは増えませんので、PC-Modeにしてからクリックしてください。よろしくお願いします。

2016年9月23日 (金)

黒龍酒造の杜氏の畑山さんはすごい人でした

黒龍酒造の杜氏の畑山浩さんが講演する会を僕の日本酒の先生の菅田さんが企画されましたので参加してきました。畑山さんが一般の皆様に講演することは今までありませんでしたが、菅田さんが水野社長に頼み込んで実現したものです。僕は先生から畑山さんはお酒の造りを化学的見地からきちっと把握して酒造りをしている杜氏で、この世界では抜きんでた人だと常々言われていたものですから、どんな方だろうと思い参加したものです。

場所は福井県のアンテナショップのある「ふくい南青山291」で、司会はフリーアナウンサーで菅田先生のスクールの生徒である阿部ちあさんが行いました。講演内容は「黒龍酒造が考える良い酒質とは」という題目で、阿部さんが質問して畑山さんが答えるトークショウの形で進められましたが、彼のの生い立ちから始まって、酒造りの細部のところまでわたっていましたので、お話の全体を通して、彼がどんな姿勢で、どんな酒造りを目指しているかを知ってもらえるように、僕なりにまとめてみることにしました。

Dsc_0055

その前に黒龍酒造について触れておきます。 

黒龍酒造は曹洞宗の大本山の永平寺から南に10km下った永平寺町の中の松岡の地にあります。松岡は現在人口1万人ほどの小さなまちですが、かっては16の蔵元が軒を連ねた銘醸地だったそうです。 

創業は江戸時代の文化元年の1804年ですから、すでに200年以上の歴史を持つ老舗の蔵です。蔵の近くを流れる九頭竜川は福井県最大の河川であり、その伏流水が蔵の仕込み水として使われています。黒龍という名前は九頭竜川の古い名前の暴れ川の「黒龍川」からきているそうです。荒々しい名前だったのですね。 

黒龍は一貫して手作りの酒造りを追及して昭和50年に業界に先駆けて大吟醸の市販化に取り組み、永年吟醸酒の普及に努めてきた蔵です。ですから、35%精米の大吟醸レベルの石田屋、仁左衛門、しずく、火いら寿など次々と高級なお酒を世に出して有名になりましたが、普通酒の逸品(1升1900円弱)など安価で品質の高いお酒を出していることは意外に知られていません。 

僕も菅田先生から黒龍の品質の素晴らしさを教えてもらうまでは、黒龍は貴婦人のような薫り高い綺麗な高級酒ばかりを作っている蔵だとばかり思っていまして、逸品を飲んでこの蔵の奥の深さを知った思いでした。 

黒龍は蔵の一般見学はお断りしているので、蔵の内部を知るチャンスはほとんどないのですが、珍しく蔵の内部の様子をブログに書いた記事をみつけましたのでご紹介します。 

http://ameblo.jp/esaka-sakatomo/entry-11787378321.html 

この記事を見る限り、手造りではあるけど、設備投資はしっかりしており手抜きのない環境が出来上がっているように見えますね。ここでどんな酒造りがされているのでしょうか。早速講演会の紹介に入ります

Dsc_0057

<畑村さんの生い立ち> 

畑山さんは北海道の最南端にある松前町でそだち、北海道松前高校を卒業後富山大学の文化人類学で日本の伝統産業に興味を持ち、日本各地の酒蔵を訪問しインタビュー取材をしていたそうです。 

日本酒の酒造りは歴史は長いけど、社会の発展がこれほど進んでいる割には遅れていてこのままでは取り残される恐れがある業界と感じていたそうで、これからどうしていくべきかを研究するために蔵を訪問したそうです。 

<入社のきっかけ> 

黒龍を取材に行ったとき今の社長と亡くなられた会長に奥の座敷に通されて、色々質問されたので緊張したそうですが、社長が今までの杜氏制度ではなく、会社が雇った社員が酒造りをするようにならないとだめだと熱く語られたことに自分の思いと同じだと感動したそうです。 

卒業後、黒龍に入った理由は酒を造りたいという思いよりは黒龍の考え方を実現して日本酒業界の将来に役立てたいと思ったからだそうです。 

<入社して学んだこと> 

入社すると最初から造り担当になって、現在萬歳楽の杜氏をしている能登杜氏の家さんが杜氏としてきたばかりで、その下について約7年間教わったそうです。そこで学んだことは自分の力を100%出し切って仕事をすることだったそうです。今までは疲れたら休まないと良い仕事はできないと思っていたのだですが、家さんの仕事についていくためには、100%の力を発揮しないと出来なかったのが本音ですが、1か月も続けるとそれが気持ちよく感じたそうです。家に帰ってゆっくりする時間は取れなかったのは、気持ちが緩まなかったので、自分としては良かったと思ったそうです。 

反省点としては自分の家族には大変負担をかけたのは事実で、このことがこれからの酒造りの業界をどうしていくかとか、これからの造り手の環境をどうしていくかを考える原点になったそうです。 

杜氏から最初に言われたことは酒造りを始めて5年で杜氏になれなかったら、向いていないと思ってやめなさいいわれたそうですが、実際に杜氏になったのは7年後だったそうです。 

<杜氏になってから気を付けていたこと> 

2002年で杜氏になってまず考えたことは水野社長の大方針であった社員だけで酒造りができる黒龍独自の仕組みを作り上げことでした。、杜氏になったからといってすべてが自分一人で出来るわけでないので、一緒に働く若い人とどうやってチームワークを作っていくかとか,年配の蔵人にはどんな役割をしてもらい今まで以上に貢献してもらうかをはじめの5年くらいは一所懸命やったそうです。 

<黒龍のお酒造りのコンセプト> 

お酒単体でうまいだけではだめだで、お酒を絞って瓶に詰めた段階の酒質ではなく、客さんがお酒を口に瞬間にどんな酒質になっているかを考えて造っていることそうです。

<それをどのように設計しているのか> 

まず何を作るかをわかっていなければならないので、社長や営業や杜氏などで黒龍の各銘柄のお酒ごとに毎年その酒質を見直してどんなお酒にするかを決めていきます。新しいお酒を造るときも同じです。 

これが決まったら、最初にお酒のイメージを絵に書いて(お酒の雰囲気を色とか形のイメージで表すようです)感覚を決めたら、次に成分、香り、酸などを具体的にPPM単位に数値化して目標を決めるそうです。 

<お米について> 

扱っているお米は兵庫の山田錦と地元の五百万石がほとんどで、7割が五百万石で、3割が山田錦だそうです。今年から北海道産の吟風を使い始めたそうです。二つのお米だけで約30種類の銘柄のお酒を造っているのですが、お米の特性を考え、目的の味わいに合わせて使っているようです。 

<麹造りについて> 

基本的はいかに中心まで破精こませるかが大切で、山田錦のあう麹造り、五百万石に合う麹造り、純米酒に合う麹造りを考えて造っているそうです。 

麹室は入社時は3部屋でしたが、徐々に増えて今では9部屋あるそうで、麹造りの合わせて使っているそうです 

<酵母について> 

酵母はストックしておる酵母は30~50種類ありますが、そのうちの5-6種類の酵母を使っているそうですが、良い醪ができた時はその酵母を採取培養して保存することもしてるそうです。 

酵母を培養していくと変異して使えなくなることもあるので、結果的に使っている酵母は協会酵母のDNAに近いものになっているそうです。 

使用している酵母の大部分はイソアミル系の香りを出す酵母で元の酵母は7号、9号、14号がベースになっていて、必要に応じてカプロン酸系の香りだす酵母も使っているそうです。お酒の銘柄によってそれに合わせた酵母を使用していていますが、同じ系統の酵母でもちょっと違う酵母もあるのでお客様の要望を聞きながら少し変えることもあるようです。また、2種類の酵母のお酒を別々に作ってブレンドすることもあるそうです。 

<醪造りについて> 

当社は吟醸仕込みが多いのですが、その中でも仕込みの小さい大吟醸と比較的大きい吟醸造りで別々に半仕舞いにして、毎日1本止めていくようにしているそうです。現在の生産量は6000石ですが、入社した時は2000石弱だったそうです。生産量は3倍になったけれども、その時大切なことは品質を落とさないことです。規模が大きくなった時に規模の小さいときと同じ造りをしていたのでは品質は落ちてくるので、その規模に合せた造りをして品質を上げる努力をしているそうです。 

具体的には、出来上がったお酒のきめ細かさとか滑らかさを出すためにはいかに醪の細やかな管理が必要となります。そのためには醪の温度を0.1℃の単位で制御しているそうです。そんなに細かく管理しても具体的な醪の数値が変わるわけではないと思うけど、これを手を抜くと結果的に大きな誤差となって表れるそうです。 

・・・・僕の私見ですが、温度計がみているのはタンク内の一部でしかないので、他の場所の温度はもっと違っているかもしれないと思われます。ですから、監視している温度が仮に0.2℃変わったとしたら、他の温度が0.2℃以上に振れて、結果的に狙った品質になるかもしれないということではないでしょうか。どうして0.1℃なのかというと温度計の精度の限界なのかもしれませんね。・・・・ 

家杜氏がよく言われたのは、お酒造りは人間が100%コントロールすることは出きないのだから、人間ができることは100%実行しようということで、醪の温度管理だけでなく、蔵内の清掃などすべてのことをできる限りやるように心がけているそうです。 

<火入れについて> 

最近生酒が人気ですが、生酒でも品質が変わらなければいいのですが、お客様の口に入る時の品質を考えると、火入れに比べると生酒は生ひねしやすいのは確かなので、黒龍では原則火入れをしているそうです。

火入れをしても火入れ臭がするとか、アルコールくさいというのでは意味がないので、どういう火入れをするかを研究しているそうで、特に火入れ前の生酒の期間とか仕入れした後の冷却方法などには研究を重ねて、どんどん変えてきているそうです。 

<アルコール添加について> 

アルコール添加については昔はいろいろな試験をしていましたが、最近はほぼ安定して気にかけないで同じやり方にしているそうですが、大切なことはアルコールを増量するつもりでやってはいけないことです。アルコール度数の計算は簡単ですが、醪の中のアミノ酸や酸や香りを踏まえて、アルコールを入れると各成分がどう変化するかを考えてアルコール添加をする必要があるそうです。 

純米酒であるべきかどうかは別にして、日本酒の作りの問題点の一つにアルコール添加と乳酸添加があると思うので、今後の課題として考えていくそうです。 

<熟成について> 

生酒の熟成はダイナミックに起こる変化で、温度に敏感で、低い温度でも品質変化が起きてしまいます。グルコースが増えてうまみが出る良い点もあるけど、イソバレルアルデヒドが増えて生ひねする欠点があります。それに対して火入れの熟成はお酒の成分がアルコールと反応したり、酸素と結合したり離れたりする熟成で、比較的穏やかな変化です。生酒の熟成はコントロールが難しいと考えているので、現在は生酒は熟成期間を短くするようにしています。ですから、火入れしてからの熟成を基本にしているそうです。 

熟成の本当のことはまだわかっていないことが多く、常温ではアミノカルボニル反応が起きやすく熟成香が出やすいことは知られていますし、低温では熟成のスピードが遅くなることはわかっているがどんな成分が変化して何になるかという細かいことはわかっていないのが現状です。 

今まではこのお酒よって温度と熟成期間を決めて熟成させてきましたが、今後はどうやって熟成させればどんな成分が何にどのくらい変化するかを制御できるような熟成ができるように取り組んでいきたいそうです。 

Dsc_0059

<これから取り組んでいきたいこと> 

・ 地元の人たちとのつながりを強くしていきたい。そして黒龍がどんなお酒を造っているかをもっと知ってもらいたい。(今までは地元より全国を見ていたからではないかな) 

・ お酒造りをもっと進化させたい。例えば大吟醸造りは進歩したとはいえ、基本的には同じ作り方で来たと思っています。今までは無理だったことも本当はできるのではということを取り入れた全く新しい形の作りをしていきたい。今これを実現するための仕組み造りを考えているそうです。 

・ 杜氏制度をやめて社員だけでお酒造りをしていますが、社員でやるからこそできる良い酒造りを目指していきたいそれが協会全体の改善につながるといいと思っています。

。酒造りは単にものつくりではなく非常にメンタルな仕事なので、もっと五感を生かして人間性があるからこそ生まれる酒造りを目指したい。そして将来は子供たちが積極的に酒造りをやりたいという思いになるような仕事にしていきい。

<日本酒業界に対する提言 >

現在は多様化してお酒が美味しくなってきたといわれていますが、同じような方お酒になる傾向があるようにおもえるので、そのままでは日本酒業界の将来性はないはないと思う。これからはお客様が心から望むお酒に応える形で、本当の意味で多様化した酒を提供できる業界にしていきたい。

にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ご覧になったら、この日本酒マークをクリックしていただくとブログ村のページに戻ります。これでポイントが増えます。携帯やスマートフォーンでご覧の方はMobileModeではクリックしてもポイントは増えませんので、PC-Modeにしてからクリックしてください。よろしくお願いします。

2016年5月20日 (金)

日本酒セミナー要旨 第2段 (獺祭、伯楽星、南部美人)

獺祭・桜井博志さん「酒造経営・最前線」 

Dsc_0106_2

桜井さんの講演はあまりパワーポイントでの説明が少なかったので、詳細は不明になってしまいましたが、いただいた小冊子「逆境が獺祭を生んだ」を参考にしてまとめましたので、講演の正確性についてはご勘弁ください。 

山口県の過疎地にある造り酒屋の長男に生まれ、松山商科大学を出た後大手酒造会社で修業した後、3年後に蔵に戻りますが、父親と意見が合わず飛び出して親戚の会社(御影石の販売)で6年ほど 営業をしたそうです。6年後に父が癌になったので再び蔵に戻って社長になったのが33年前の33歳の時だったそうです。 

その時の蔵の年商は約1億円で最盛期の約1/3で、明らかに斜陽産業になっていたそうです。当時は昔の延長で業績を伸ばそうと紙パック酒の販売でしのいでも利益は出なかったそうです。そんな時(1990年)に東京のお店の要望で純米大吟醸を造ってから少し手ごたえが出てきて、銘柄も「旭富士」から「獺祭」に変えて、少しずつ認められるようになったようです。そして社長になって15年後にやっと年商が2億円になったそうです。 

次なる飛躍として考えたのが、日本酒を造らない時期に売れる地ビール事業だったそうです。あるコンサルタントの意見から地ビールのレストランを開設したが、赤字続きでたった3ヶ月で撤退したそうです。これで1億9千万の損失をしたものの、撤退しなかったら今の会社はなかったかもしれない一大決心だったそうです。 

ちょうどその時今まで13年間も一緒に頑張ってくれた杜氏が退社したのです。それで考えたのが「社員だけで」一切の妥協を排除した理想のお酒を造って勝負をしようと決意したそうです。具体的には原料は最高級の山田錦、精米は50%以上の純米大吟醸、販売拠点は東京ということにシフトしていきます。 

杜氏がいなくても造れるようにA4で20ページのマニュアルを造りましたが、一番効果があったのが経験だったそうです。その当時でも純米大吟醸を年間50~60本を造ることをしていたので、その経験が役に立ったというわけです。一本ずつ仕込みの結果を見て次のタンクに生かしていくことを続け、現在に至り、今では四季醸造で年間生産をしているそうです。これは生産コストダウンに大いに貢献したようです。そして社長になって15年後の2014年には年商40億円になったそうです。 

そして昨年12階建ての新工場を建設しました。その写真を見てください。とても酒つくりの蔵とは思えないですね。 

Dsc_0112

工場の内部は少量仕込みの手造りシステムを自動化したもので、手がかかるので、従業員は製造だけで100名いるそうです。この工場の最大生産能力は5万石でその時必要な山田錦は20万俵だそうです。昨年の生産高は1万5千石で必要な山田錦は7万俵となっていますが、これからさらに大量の山田錦が必要となります。

山田錦の調達について 

最初山田錦を山口県の農協から買おうと努力したけど、相手にされなかったので全国から集めることにして、現在は兵庫県から70%購入しているそうですが、他県からも広く購入していて、それでも足りないので、去年から新潟県長岡市で山田錦栽培会を立ち上げ、現在7千俵を購入しもっと増やすそうです。栃木県や茨城県での栽培も始まっています。 

最大の供給地である兵庫県でも一時山田錦の生産が落ちました。平成5年に33万俵あったのが平成21年には16万俵になったそうです。これは全国の山田錦購入者が減ったためです。獺祭の後押しで、現在は兵庫県の山田錦の生産量は38万石にもなっているそうです。その結果、全国の山田錦の生産量は既に62万俵になっているので、日本の農業の発展に貢献していると言えそうです。 

営業活動について 

最初は東京を中心に販売を進め、人気が出たために異常な高値で売る店も出てきているようなので、品薄解消の努力をしていますが、新工場ができたので品薄は解消に向かうと思われます。そして、東京の次は地方ではなく海外を目指しているそうです。海外のために外国人向けの酒造りはせず、あくまでも日本のお酒を売ることを徹底するそうで、当然価格は高くなるので購入者は裕福な人に限られます。これからもあくまでもその人を対象にするそうです。海外向けの売り上げは全売り上げの約1割です。それに必要な山田錦は約1万俵、600トンで、日本の米の輸出量の約1/5になるそうです。 

最後に当社の目的は「社会的ににフィットする中で少しでも美味しいお酒を提供する」ことなので、これからは日本の農業の改善にも貢献していきいと結ばれました。 

------------------------------------------------

伯楽星 新澤巌夫さん「精米・最前線」 

Dsc_0118_2

伯楽星誕生の道 

まず最初に蔵に戻った当時のことを紹介します。新澤さんは新澤酒造店の御曹司として昭和50年に生まれて、将来蔵を継ぐことを前提に東京農大に入学し、卒業後は東京の酒屋や山形の蔵で修業した後、蔵に戻ることになりますが、当時は経営が悪化していて年商は2000万円、負債が2億円という状態だったそうです。 

蔵に戻ってやったことは、たった6石(1升瓶600本)の製造から始めたそうです。蔵に残っていたお酒も含めて販売に努めたそうですが、なかなか売れなかったそうです。それは当時のお酒の「愛宕の松」は自分が飲んでも美味しくなったせいであることはわかっていたそうです。 

それでも素人集団の男4人(平均年齢20歳以下)で頑張って少しずつ売れるようになってきたけど、「愛宕の松」は不味いというレッテルが張られているので、やむを得ず2003年に新しいブランを「伯楽星」を出すことにしたそうです。伯楽星とは町の伝説で星になった名馬の名前を取ったそうです。この酒は酒販店さんだけに卸すお酒で、究極の食中酒としたそうです。食中酒なので、世の中の売れ筋のお酒のグルコース濃度を測って、そのグルコース濃度の半分くらいを狙って造ったのですが、インパクトがないと最初は売れなかったそうです。でも捨てがたい味として、ちょっとずつ伸びていったそうです。 

この時かなり大胆な戦略を取ったそうです。それを下記に示します 

・ 酒販店が買うお酒は自分で選んで買ってもらう
   (酒の味にばらつきがあるから

・ 余ったお酒はりキュールにして売る
   (もうけのためではない

・ 搾りたてのお酒は蔵で10日たったお酒はすべて廃棄する
    (新鮮さの提供)

・ 日付の古いお酒(4か月)は回収して別のお酒に変え
   (酒質低下防止

・ 回収したお酒は販売しないですべて処分する
   (悪い酒を世に出さない
 

このために全国40か所の酒販店を定期的な巡回したそうですが、この時の生産高は200石程度だったようです。お客様のためとはいえ凄い戦略ですよね。 

東日本大震災の影響 

こんな時に突然の大地震を受け、津波の直接の影響は受けなかったけど、蔵が全壊するほどの被害を受け、立て直すしかないほどだったそうです。すぐ同業の49蔵が応援に来ていただいたそうで、大変感謝しているそうです。幸いに震災の年の5月に「天賞酒造」が廃業することを聞き、すぐに見に行ったそうで、場所は川崎地区にあり天賞さんが最近造ったばかりの新鋭の蔵で、他からも見に来ていた蔵もあったので、その場ですぐ購入することを決めたそうです。今から考えるとこの決断が幸いしたたとのことでした。 

高精米醸造への道 

その後蔵の生産は順調に伸び、精米機の導入をしたそうです。品質向上のため、2台の違うメーカーの精米機を導入したとのことです。 

Dsc_0127

食中酒をメインにしていたため、インパクトが少ないとよく言われるので、蔵の特徴を出すために高精米の醸造を始めたそうです。最初は15%磨きをしていたのですが、同じ農大出身の来福さんが9%精米を出したので、来福さんの了承を得て海外向け用として9%精米の酒を出したそうです。720ml3万円で出しましたが、海外では数10万円もするそうです。仲間内では精米競争はやめて8%で止めようと話し合ったのですが、震災の時に応援に来てもらった方に対して感謝のつもりで、世界一の精米度7%精米の酒(Unite311Super)を応援に来た他の蔵人と一緒につくったそうで、これは皆で分けて終わった500本になったそうです。 

Dsc_0134

女子社員の増員

蔵を始めた時は若い男性を中心に始めたので、当初はそれを売りにしていたのですが、今では従業員36名の、生産高2000石の会社になったのですが、社員の6割は女性だそうです。それは女子社員向けの寮を造ったのが大きかったそうです。
 

Dsc_0129

洗面所、洗濯機、キッチンと至れり尽くせりの設備で、これが功を奏したそうです。さすがですね。 

現在高精米の蔵として名前が知られてきましたが、実は普通のお酒にも力をいてていて、将来さらなる値下げをするつもりであることをおっしゃって講演が終わりました。 

------------------------------------------------------

南部美人 久慈浩介さん「海外輸出・最前線」 

Dsc_0179

南部美人は今では28カ国に輸出をしていますが、このきっかけは南部美人の蔵の歴史と関係があったようです。浩介さんは現在5代目の蔵の当主ですが、祖父が二戸の南部美人を岩手全体に広め父が日本中に広めて、次の自分はをしようかとなったのですが、高校時代にアメリカに留学したこともあり、世界に日本酒を広めようと決めたようです。 

たまたま同じような思いを取った他の蔵の人と一緒になって1997年に日本酒輸出協会の設立にかかわったのが始まりだったそうです。そして現在は世界28カ国に販売するまでになっています。

今回は大量のパワーポイントを使い海外の拠点の現状を色々とお話しいただきましたが、プレゼンされた写真をすべて取ったわけでないし、2-30秒に一回画面が出てくるほどの量でしたので、海外への具体的なの展開については省略しますが、ポイントだけご紹介します。
 

2015年の海外輸出の統計から輸出量の順番をみると1位アメリカ、2位香港、3位韓国、4位中国、5位台湾、6位シンガポールで隣国が多く、EUはまだ少ないそうです。それに対して南部美人はアメリカ、カナダ、ブラジル、イギリス、フランス、オランダ、アラブ首長国連邦とちょっと違った攻め方どしています。外国人にはお酒をまず頭で日本酒を理解してもらい、次に試飲して味を確認してもらうやり方でPRしてきたそうです。

・ 二戸市による漆と日本酒のPR(Facebookポイント作成)

・ 日本酒吟醸酒協会による国連のなかでのPR

・ ラスベガスでの2500人対象のレストランショー

・ ラスベガスでは2000ドルの日本酒を提供
   (大吟醸出品酒10年冷凍古酒)

・ ロスアンゼルスでの自動車博物館で日本酒試飲会

・ フランスのレストラン「ISSE」での試飲会

・ ドイツで南部鉄器と日本酒の試飲会

・ イギリスでは大英博物館で試飲会

・ スペインで「ピンチョス」レストランで試飲会

その他、イタリア、ロシア、香港、台湾、ブラジル、ドバイ、カナダ、リトアニア、イスラエルと続きましたが、省略します。カナダでは日本酒の醸造所(ほとんど無ろ過生原酒)があるそうです。

何処行っても日本酒の人気は大したもので、日本酒が凄く求められていることが良くわかったそうです。 

コーシャ認定について 

ユダヤ人はアメリカで重要な地位を占めている人種ですが、世界中でも色々活躍していますが、彼らには旧約聖書の教えに即したカシュールトと呼ばれる厳格な食事規定があり、それを守ることが義務付けられています。そのためユダヤ教徒は教義に従った安全な食品であることを認定したコーシャ認定の食物しか口にしません 

その規定の詳しいことは省略しますが、肉類は草食動物で反芻動物でなくてはいけない等今日から考えると非常識的なものも多いのですが、体に対して安全な食物という基準には入るようなので、最近はユダヤ教徒だけでなくベジタリアンなども好んで食べているようです。ですからアメリカ人の30%の人は安全のためにコーシャ食品を選んでいるという情報もあるようです。 

純米酒以外の日本酒のコーシャ認定が難しいのは醸造用アルコールを使うことにあります。日本で一般に売られているアルコールは認定されていません。でも日本にもコーシャ認定を受けたアルコールを製造販売している会社が静岡にあるそうで、南部美人もそこから手に入れているそうですが、非常に高いそうです。  

コーシャ認定を取ることが、世界への日本酒の輸出にどのくらい効果があるかは不明ですが、コーシャの認定を取っておけば、将来に和食レストランを超えた広がりを見せる可能性があるという観点から取り組んでいるそうです 

海外輸出のまとめ 

日本酒の輸出の大きな障害となったのは国税局だったそうです。海外に販売するお酒は未納税なので、最初は反対していたが、今では一番の応援団になって、昨年、日本のお米と麹で日本で造った清酒は「日本酒」と呼んでいい(地理的表示)と決めていただたそうです。 

次の障害は流通の経路は海外では違うことでした。海外ではレストランも小売店も日本酒販売のライセンスが必要になります。日本のように酒屋さんに売れば日本酒が売れるわけではなく、レストランに直接アタックしているそうです。 

Dsc_0180_2

でも、レストランに売り込みためには自分たちの力だけではプロモーションができないので、下記のようにプロモーションをする会社と契約して販売しているそうです。今後はこの形態が増えるそうです。 

Dsc_0182

最後にまだ海外販売をしていない蔵に対する下記のようなアドバイスをしていただきました 

・ 地方の小さな蔵でもオンリーワンの商品なら世界に売れる 

・ お客様本位の商売は日本でも世界でもおなじ 

・ 会社の規模の大小ではなく価値の大小を世界は見ている 

・ 本気に海外に出たいのならまず現地へ行く 

・ 世界を相手にしなければ、狭い日本だけでは生き残れない

南部美人が育てつつある海外での日本酒の製造

・ アメリカのアーカンソー州で造られている酒米で日本酒を造るアメリカの研究生を受け入れて、修業している 

・ 大阪の堂島ビールの創始者の橋本さんの息子がイギリスのケンブリッジに日本酒製造の蔵を造るために南部美人で研修している 

最後のご挨拶

世界は日本酒に「恋」をしているので、私たちはそれに応えるだけでなく、日本人は日本酒を愛し、日本酒を世界一カッコよく飲む姿を見せられるようにしましょうということで結ばれました。 

にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ご覧になったら、この日本酒マークをクリックしていただくとブログ村のページに戻ります。これでポイントが増えます。携帯やスマートフォーンでご覧の方はMobileModeではクリックしてもポイントは増えませんので、PC-Modeにしてからクリックしてください。よろしくお願いします。

2016年5月 8日 (日)

日本酒セミナー要旨 第1段 (水芭蕉と新政)

今回の日本酒セミナーフルネットの中野社長が企画したセミナーで、日本で注目される5つの蔵の社長が約一人1時間15分で講演するというとてもユニークな企画です。僕はこの企画を聞いた時、2万円という高額な講演でしたが、こんな貴重なセミナーを外すことはできないと、イの一番に申し込みました。貴重な講演なので、内容はまとめて記録に残したいと思っていました。しかし、講演を録音してはいけないと聞き、ちょっとがっかりしたのですが、写真はOKということなので、殆どの写真を取りましたので、それを頼りに要旨をまとめてみることにしました。もちろん講演の要旨を書くことについては中野社長の了解は取ってあります。 

Dsc_0116

1.最初の講演は水芭蕉の永井則吉さんです 

Dsc_0035

則吉さんは永井酒造の次男坊に生まれ、親の意向で自由に生きてきて良いと言われ、大好きだった建築を勉強するために東海大学の建築学科に入学しました。そして外国の建築を勉強するために大学3年の時2カ月ほど、ヨーロッパ諸国を旅をしたのが酒つくりをやる切っ掛になったようです。酒造りは五感(ART)と技(Technology)であり、建築と相通じるものを感じたそうです。 

ヨーロッパの地方へ行くと必ずワインナリーがあり、ワイナリーが中心に町を形成していることを知って、生まれ故郷の川場村にある自分の蔵もそんな蔵にできるのではないかと思い直したそうです。それから親を説得して卒業したら蔵で働くことを決めたそうです。でも当時は借金だらけの危機的状態だったそうです。 

もうひとつの大きなきっかけは卒業の時(22歳)にロマネコンティのモンラッシュという高級ワインをもらって飲んでその奥深さにショックを受けたことと25歳の時にワイン醸造家のジャンミッシェルにお会いした時にワインつくりのお話を聞いてその姿勢に完全に負けた思いがしたことだそうです。 

その後、世界に通じるいい酒を造ることを会社がつぶれない範囲で努力することを始めたそうですが、29歳の時にある方から酒造りについて3つの質問をされて応えられなかったことでショックを受けました。そこで気付いたのが、酒造りに必要なことは「ビジョンと哲学を持つ」ことだと感じたそうです。そして出した結論は「大自然を愛し、自然美を表現する綺麗な酒を造る」でした。 

その翌年から新しい発泡酒のMIZUBASHO-PUREの開発を開始し、5年後の2008年にその完成を見るのですが、それには大変な苦労があったそうです。その間シャンパニュー地方に研修に行きましたが、そのまま技術導入できないことが多く、様々なトライアンドエラーを繰り返してやっと完成したそうです。 

その開発した技術の主な点を上げると以下のようになります。 

・ 瓶内2次発酵でガスボリュウムを安定させる
・ 
濁り酒とクリアな酒の調合比の決定(味わいを整える)
・ 
澱の量を減らして動瓶しながら澱引きする
・ 発泡酒の火入れのタイミング
と経過温度
 

この中で大変だったのは旨味甘みと酸味の和ランスを探すのに濁り酒とクリアなお酒との調合比率を700通りも試験をしたのと、凍らせない方法で澱引きするところだったらしいです。 

次に力を入れたのがブランドの再構築で、具体的にはお料理とのペアリングを考え、それに合わせたお酒を造るという永井スタイルが2014年に完成したそうです。それを下記に示します。 

・ SPARKLING SAKE (乾杯の酒 MIZUBASYO-PURE)
・ STILL SAKE     (吟醸酒から純米大吟醸)
・ VINTAGE SAKE  (10年以上熟成酒、古酒ではない)
・ DESSERT SAKE  (貴醸酒をベースとした食後酒)
 

今新しく目指しているのは東京オリンピックでのオフィシャル乾杯酒へのチャレンジだそうです。そのために誰でも品質が安定したスパークリング酒を造れるように一般社団法人「AWA酒協会」を今年の4月に設立する予定だそうです。ここではシャンパン協会と同じように協会が認定するスパークリング酒の基準を決めるそうです。この協会に入れば協会蔵元で勉強会を開き、情報を共有していくと共に契約すれば特許の使用を認めていくそうです。(でも5月現在検索してもホームページが見つかりませんので、遅れているのかもしれません)

この認定基準の下記に示します。

・ 米と米麹と水のみを使った清酒である
・ 国産米100%使用で3等級以上である
・ 醸造中の自然発酵による炭酸ガスを保有する
・ 外観は透明であり、容器の注いだ時に一筋泡を生じる
・ アルコール濃度は9度以上である
・ ガス圧は20℃で3.5バール以上である

結構厳しい基準ですが、僕がちょっと驚いたのは品質基準が常温で3カ月以上香味、品質が安定しているこということでした。炭酸が多く、かつ火入れしているからできることなのでしょうね。 

最後に酒蔵の役割は「地域の自然・文化・歴史・人の営みを凝縮させて伝えて行く」ということで、これに携われたことに大変感謝しているとのことでした。 

2.2番目の講演は新政の佐藤祐輔さんです。 

Dsc_0073

新政は6号酵母発祥の蔵として有名ですが、昭和の初めは日本でもトップクラスの技術を持った蔵で、全国新酒鑑評会で総合1位を取るほどでした。戦争がはじまると他蔵との合併をさせられ勢いもなくなりましたが、戦後昭和27年に新政が復活したようです。その後、地元のお酒造りを中心に発展し、祐輔さんが子供の頃は蔵のおぼっちゃまと言われるくらい商売が繁盛し安定な酒造りをしていたそうです。 

その後、日本酒の級別制度の廃止や大店法の廃止を機会に、普通酒の安売りが始まると同時に過当競争から質も悪くなり、飲む人の数も減り、蔵の経営は悪くなる一方で、体力のない蔵が次々とつぶれていく時代を迎えることになります。新政酒造の経営も同様に年々6-8%生産高が減少し、平成18年には経常収支はー20%の赤字になったそうです。 

祐輔さんは秋田の高校を卒業された後、明治大学の商学部を経て東京大学の文学部に入学され、1999年に卒業されます。その後ジャーナリストの仕事をした後、2007年に蔵に戻ることになるのですが、経営の立て直しが急務だったそうです。その後次々と蔵の改革を進めていきますが、ざっと彼がやったことをまとめてみなすと次のようになります。 

・ 2007年 季節労働者制度廃止(社員醸造)
・ 2008年 社員杜氏 
・ 2009年 製造部設立 
・ 2010年 6号酵母のみの醸造
・ 2011年 秋田県産のみの醸造 
・ 2012年 純米酒のみの醸造 オール山廃の実施
・ 2013年 木桶の導入 4合瓶主体の販売
・ 2014年 26BYの後半から生酛造り開始
・ 2015年 オール生酛の醸造
 

これを見ると、経営改革というよりは信念を持って何かに舞い進んでいる気がしますね。これは何でしょうね。確かに最初の3年は組織をいじっていますが、うがった見方をすれば、自分の考え方を社員に理解してもらう期間ではなかったかと思われます。その間に自分自身は色々な勉強をし、実験をして新しい進む方向を模索をしていたのではないかと思われます。でもその原点は何だったのでしょうか。それは彼の最後の締めの言葉で判りました。 

それは「自然への回帰」です。自然な原料(無農薬)、自然な製法(限りなく無添加)、自然な環境(手作業尊重、適した自然環境)、自然エネルギー(省エネルギー廃棄物減少)を最初から目指していたものと思われます。蔵に入ってすぐそんなことを言ったら大変なことになったと思いますが、勉強、努力、実践で実績を詰め上げていって達成したことが凄いなと思いました。そう考えれば彼の行動が理解できます。 

この裏付けとして全量生酛に至った流をご紹介します。まず、彼は乳酸を添加する速醸法やアルコール添加は自然な方法ではないと思ったのだと思います。酒の味は大切であることは十分判っているし、アル添の良さはわかっているけど、彼の信念として自然な方法を模索したのだと思います。 

まず昔の酒の醸造法を調べ、それを試すことを行いました。昔からの酒の醸造法の発展は室町時代までは中国の技術の導入でしたが、江戸時代にできた生酛は日本独自の高度な技術であることがわかりこの再現から始めたようです。色々とトライした結果、下記の手順で安定した生酛つくりができるようになったそうです。 

・ 炊きたての米は木桶に入れて一晩水分を保ったまま冷やす
・ 冷やした米と麹と水を入れたものを手で混ぜる
・ これを櫂で米をつぶさないように麹だけをつぶす(難しい)
・ この酛摺り法の代わりに古式生酛タイプを採用する
・ この後暖気だるで温めて乳酸菌をふやす
・ 乳酸菌が増えて酸っぱくなったら酵母を入れる
 

この中で凄いと思ったのは古式生酛法を現代技術で再構築して実現したことです。ポリエチレンの袋に米と麹と水を入れて米を溶かす技です。この方法は江戸時代に酛摺りができる前に行われた方法ですが、当時はこんな良い袋はなかったので、安定性が出なかったものと思われます。 

Dsc_0085

こうやって新政流生酛つくりが完成しましたが、その前に色々と新しいことにチャレンジしています。これをちょっと紹介します。 

蔵に戻ってきた当時、乳酸を入れない方法を色々試した結果、酒母は酸っぱくならないと腐ることがわかったけど、安定した造りができなかったそうです。そこで思いついたのが、焼酎の白麹を使えば酸っぱい酒母ができるのではないかとやってみたら上手くいったそうです。

その後すべての造りを山廃にすることをチャレンジしたけど、酸は増えても雑菌が死滅しないことが起こることを経験したそうです。そこで思いついたのが、酸が増えたところで酒母の温度を一的に上げて雑菌を死滅させる2段式山廃法でした。江戸時代に行われた煮酛という方法の現代版だそうです。この方法で安定した山廃ができるようになったので2012年から一時オール山廃にしたそうですが、最近前述した古式生酛法ができたので、今ではすべて生酛にしているそうです。

過去の教えを勉強すると同時に新しいアイデアにもチャレンジしている祐輔さんの姿が読み取れますね。 

古式生酛法の完成はできたものの、祐輔さんの思いはまだ終わっていないそうで、これからチャレンジしていくことについて最後に紹介します。 

・ 無農薬有機栽培の原料米の増加
・ 酵母無添加の生酛つくり(6号酵母を添加しない)
・ 自社田の確保と農業の展開
・ 自社田の近くに本社を移し、農業に活気を与える
 

具体的には蔵の近くの「鵜養地区」に自社田を造り、農業の活性化を図るのが夢だそうです。

彼の心に中に自然回帰という信念と同時に日本の伝統の技を大切にしたオリジナリティのある酒造りをして、世界に誇れる蔵になりたいという気持ちがあることがわかりました。

 以上で2蔵の講演の紹介を終わります。

にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ご覧になったら、この日本酒マークをクリックしていただくとブログ村のページに戻ります。これでポイントが増えます。携帯やスマートフォーンでご覧の方はMobileModeではクリックしてもポイントは増えませんので、PC-Modeにしてからクリックしてください。よろしくお願いします

2015年10月21日 (水)

日本酒とお料理の相性はどうやればわかるか

9月18日に諏訪酒造協会の主催で銀座NAGANOにおいて、諏訪の9蔵のお酒の飲み比べながら好きなお酒を購入できる会が開かれまして、その中で現在日本酒造組合中央会の技術顧問をされている須藤茂俊さんが「料理と日本酒の相性はビジネスチャンス」という講演がありましたので参加して来ました。今回は講演の内容についてまとめてみました。というよりは僕の備忘という意味合いの方が強いかもしれません。

銀座NAGANOは去年の10月に長野県の新しいアンテナショップとして生まれたお店で、長野県を代表する食材や伝統食、WINE、日本酒、ジビエ、果物、野菜をはじめ、信州の暮らしを感じていただけるさまざまな商品を取り揃えている店で、2階には各種のイベントを開催できるスペースを持っています。 

また、長野県が推進する信州の味覚が楽しめる「旬の信州味わいコーナー」もあり、買い物の合間、仕事帰りにふらっと気軽に立ち寄ることができます。場所は銀座4丁目の交差点からすぐのすずらん通りを入るとすぐ右側に見えます。 

Imgp0235

上の写真のハゲ店の先に縦型の旗に銀座NAGANOという字が見えますか。正面の写真をお見せしましょう。アンテナショップの割には意外とわかりにくいでしょう。 

Imgp0236

会場はそのビルの2階です。ここには観光インフォメーションコーナーが常設されており、奥がイベントスペースになっています。会場の中央が講演会用で20人強のこじんまりとしたものでした。周りに蔵のブースがありました。 

Imgp0238

早速く講演内容をご紹介します。講演者の須藤茂俊さんは現在61歳で東京農工大学を卒業された後国税局に入省され、酒類総合研究所で品質安全研究部門で永年研究をされ、現在は日本酒造組合中央会の技術顧問をされています。特に日本酒と料理の相性については永年研究をされてきて、2012年に日本醸造協会誌に「食品と清酒の相性評価法」という論文を書かれるなど、この分野での第一人者です。 

Imgp0255_3

中央の方が須藤茂俊さんで、右奥に写っておられる方は諏訪酒造協会の理事長で、豊島屋(神渡)の代表取締役の林新一郎さんです。 

今まで僕は日本酒の相性は濃い味のお料理には味の濃いお酒を、味の軽いお料理には味の軽いおお酒を合わせて、口の中でお互いが反発しないで、融け合うかどうかで判断していましたが、今回の講演でそんな単純なものではないことを知り、改めて目からうろこという思いでした。 

それではどんな講演内容だったか簡単にまとめてみます。 

<お料理と日本酒の相性とは何か>

・ 相性とはお料理を食べた後にお飲んだお酒がしっくりくるか、違和感があるかをいい、しっくりすれば相性がいい、違和感があれば相性が悪いということになります。 

<相性感性について> 

* お料理にもお酒にも独自の風味(香りと味がまじりあって一体化したもの)があるが、お料理を食べた直後にお酒を飲むと、次のような効果でお酒の本来の風味が一時的に変化した風味像ができる。 

・ マスク効果 お料理が甘すぎるとお酒の甘みが抑えられる 

・ 対比効果  お料理に酸味があると酒の甘みが強調される 

・ 相乗効果 お料理に旨味があるとお酒の旨味が強調される 

・ 塩分効果 料理の塩分があるとお酒の甘みと旨味をアップ
                   する
 

* お料理を食べた時に起こる味覚リクエストがお酒との相性を決めるようである。味覚リクエストとは何か。お料理を食べた時おいしかった時には、その料理の余韻を損なわないでほしいという思いが無意識に出るようであり、また逆に刺激が強すぎた時は口直しがほしいとか、美味しくないお料理の場合は風味を補ってもらいたいという意識が出るようであり、これを味覚リクエストというようです。 

お料理を食べた後にお酒を飲んだ時に、その味覚リクエストにうまく応えれば、しっくりして相性がいいということになり、対応できなくて違和感を感じれば相性が悪いことになるようです。ですから相性は個人によって違うし、その時の状況によっても違ってくるので、相性をチェックする場合は、どんな味覚リクエストが生じたかをセットで考えないと判断することはできません。難しいですね・・・・・ 

<簡易相性テストについて> 

相性のテストは非常に難しい。それは人は味は覚えられないようにできているからである。人間は味を忘れることにより、毎日リフレッシュして次の料理を美味しく食べる仕組みになっているからである。ですからテストした時は必ず記録することが重要だそうです。

味覚テストはテストをする人が事前に十分な訓練をする必要があるほど、厳密で難しいものですが、簡単な相性テストのやり方もありますので、そのやり方を紹介してくれました。 

1.まず相性の先入観を取り去る(先入観があるとそれだけで
  感じ方が変わります)
 

2.料理を1口良く味わい、その時どんな味覚リクエストを感じた
  かを、無理やり意識して確認する

3.料理を飲みこみ5秒以内に、日本酒を一口味わうが、日本酒
  
を意識しないで、味覚リクエストだけを考て味わう 

4.日本酒の味わいから味覚リクエストに応じられたかどうかを
  
感じて、相性を決定する



<相性の良い料理はどんなものか> 

お料理の味の特徴の中でお酒の風味を良くしてくれる味わいは以下の通りです。 

 強い旨味 → 酸味・苦味・渋みを和らげ、風味を美味しく芳醇
           にする
 

・ 適度な塩味 → 甘みと旨味の感度を上げて、美味しさを増す 

・ 強い辛味 → 日本酒の甘みが辛味風味を爽快にし心地よく
            する
 

・ 豊富な脂 → 脂肪が舌をコーティングし、刺激味を和らげ
                 
まろやかにする 

・ うま臭み → 臭みを軽減し風味を良くする(吟醸酒は合わな
           いので注意が必要)

<相性の悪い料理はどんなものか> 

お料理の味の特徴の中でお酒の風味を悪くするものは以下の通りです 

・ 強い糖の甘み → 甘みに感度が悪くなり甘みを減らして水っ
                               
ぽくし、苦渋みを増して風味を損ねる 

・ 豊富なたんぱく質 → アルコールや酸がたんぱく質を変性
                               してざらざらとした成分となるので苦
                 渋みがます
 

・ 日本酒対照香 → 香りを強調するので、臭みを増して
                                風味
を損ねる 

<相性の良い具体的なお料理の例> 

・ 強い旨味や適度な塩味をがあるもの 

  魚の塩焼き、ハマグリの吸い物、ナマコのポン酢、
    ちゃんこ鍋、金目鯛の刺身
など

・ 豊富な脂肪や強い辛み 

  カワハギの肝、カマンベールチーズ、辛子明太子、
    豚肉の味噌漬
など

<相性の悪い具体的なお料理の例> 

・ 強い糖の甘み 

  栗きんとん、うの花、牛肉のパイナップルソースがけ、
    甘い煮つけ
など

。 豊富なたんぱく質 

  ロース豚カツ、めばちマグロのたたき(たんぱく質がミンチ状
    で出やすくなる)、春巻、
ヒラメの刺身(筋肉質のタンパク質) 

その他にも色々な例がスライドで示されましたので、そのスライドをお見せします。クリックして大きくしてみてください。個人的には本当かなとおもわれるものもありますが、永年の研究で出来たものですから、正しいのでしょう。参考にしてください。 

Imgp0272

ヒラメの刺身は相性が悪い代表で書いてありますが、これもお料理の仕方で相性が変わるので、そのつもりで見てもらった方がいいと思います。たとえば、ヒラメの場合は昆布〆にするとか煮つけにすれば相性が良くなるし、豚ロースのカツもひれカツにして少し強めに揚げれば良くなるそうです。 

<相性の良い日本酒はどんなお酒か> 

これは結論から紹介します。 

・ 酸味と苦渋味が弱く、糖の甘みが強くなく、アルコールの甘みが強く、吟醸香や芳醇香などの心地よい香りがあるものということのようです。 

これを一言で表すと「味がなめらかな」酒質といっていいそうです。 

この中でちょっとわかりにくいのは「アルコールの甘み」ではないでしょうか 

<アルコールの甘みとは> 

日本酒の甘みは糖の甘みとアルコールの甘みが混じったものです。アルコールの甘みはアルコールの濃度が15%の時ブドウ糖の1.5%の甘みに相当するようです。しかもアルコール濃度が増えるほど強くなるようで、アルコール濃度が15%を超えると特に感じやすくなるので、原酒が甘く感じるのはその効果のようです。 

Imgp02801_2アルコールは刺激、苦渋み、辛みを持っていて、通常はこれが甘みと相殺されてあまり感じないことが多いらしいですが、良い水に出会うと左のように、水が苦渋みや辛みと融合して抑えてくれるので、甘みを強く感じるようになるそうです。 

良い水とは蔵の仕込み水です。仕込み水は蔵によって違うけど、一般に甘みを引き出せる効果があるようです。

アルコールの甘米は糖の甘みの違いをどのように見極めるのかは説明がありませんでした。 

<日本酒の心地よい香りとは> 

香りの成分は色々ありますが、良い香りを出す成分はイチゴの香りを出す酢酸エチル(セメダインの香りにもなる)、バナナの香りを出す酢酸イソアミル、リンゴの香りを出すカプロン酸エチルの3種類が有名です。 

日本の代表的な銘酒の香りを下記のような表に纏めてみると一つの線になることがわかったそうです。この線に乗っているお酒が心地の良い香りと言えそうです。こんな表は初めて見ました。特に最近に人気の香りは左の方にあるようです。 

Imgp0283

<お料理と日本酒の合わせ方はどうするか 

・ 相性度の高いお料理にはどんな相性度のお酒を合わせても
  いい。
 

・ 相性度の中庸なお料理には相性度の高い日本酒を合わせる 

・ 相性度の低いお料理には日本酒は合わせない方がいい。

日本酒の相性度の高いものを選べばよいことになります。

<どのように味つけすれば相性度の高いお料理になるか> 

料理の味付けは大変重要で、料理にプラス要素を増やしてマイナス要素を減らす味付けをするのが良い。例を下に示します。

・ 鯛の刺身は皮つきの湯引きにする 

・ ヒラメの刺身は昆布〆にする 

・ ポン酢の合わせはどれも日本酒に合う

・ 洋風の辛みでなく和風の旨味のある辛味を使う。
    山椒、胡椒、ニンニク、ワサビなど

以上で先生の講演の内容の紹介は終わりますが、僕は最初に書いたようにお料理とお酒を同時に口にした時に、お料理とお酒の味わいが口の中でばらばらにならないで、融合すれば、相性がいいと思っていましたので、先生のやり方は実施したことはありません。先生のお話では料理が口の中にあった時に飲んで相性を見るのも間違いではないそうです。

僕には特に味覚リクエストとという感覚がないので、これからはこれに気をつけながら飲んでみることにしましす。今までどんな料理が相性の高いかということもこんなに整理して考えたことはありません。旨味や塩味は大切だと知っていましたが、辛味や脂肪が多いものが合うなんて知りませんでしたので、これについてもためしてみます。

大切なことは自分で体験してみることだと思いますので、皆さんも実験してみてください。

最後に講演会の後で試飲をした諏訪の9蔵を紹介します

御湖鶴 菱友醸造(下諏訪) 

Imgp0242

 真澄 宮坂醸造(諏訪市)

Imgp0243_3

 本金 酒ぬのや本金酒造(諏訪市) 

Imgp0244

 高天 高天酒造(岡谷市)

Imgp0245

 麗人 麗人酒造(諏訪市)

Imgp0246_2

 横笛 伊東酒造(諏訪市)

Imgp0250

 舞姫 舞姫酒造(諏訪市) 

Imgp0251

 ダイヤ菊 諏訪大津屋本家酒造(茅野市)

Imgp0247

 神渡 豊島屋(岡谷市)

Imgp0249

にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ご覧になったら、この日本酒マークをクリックしてください。携帯やスマートフォーンでご覧の方はMobileModeではクリックしても、点数は増えませんので、PC-Modeでご覧になってクリックしてください。よろしくお願いします。

2014年9月 3日 (水)

夏の日本酒セミナーに初めて参加しました

8月のお盆のころは流石に日本酒の会はほとんどお休みです。でもこちらは暇なもので、何か面白い企画はないかと、日本酒カレンダーをチェックしていたら、南青山で夏の日本酒セミナーがあるのを見つけました。主催はインフィニット酒スクール、場所は表参道の福井県のアンテナショップのふくい南青山291で、しかも水曜日の昼間なら、参加者は少ないだろうと電話で申し込んだらすぐにOKをもらいました。 

その後インフィニットはどんな会社かをちょっと調べてみました。この会社は菅田(すがた)ゆうさんが2002年に立ち上げた酒類総合コンサルタントの「インフィニット」で、酒類の流通、教育をする会社のようです。2006年にワインや日本酒、チーズを中心とするお酒と食の専門知識を提供するお酒のカルチャー教室の「インフィニット・酒スクール」を創立しています。

ここでは今回のような多人数(50人くらい)の講演会ではなく、数人対象のカルチャースクールや個人を対象としたレッスンを主体としているようです。

それでは菅田さんはどのような人なのでしょうか。講演された時の菅田さんです。

Dsc_0502


菅田さんは福井県大野市出身で、初めは㈱三菱レーヨンに入社されましたが、直ぐに退社され、フランスの国立サンキャンタンホテル学校に留学されました。帰国後は日本のフランス料理店、ホテル、酒販店など色々な業務を経験された後、インフィニットを創業されたようです。そして日本ソムリエ協会認定の「ソムリエ」の資格を持っているだけでなく、SSI認定の「きき酒師」の資格を持っています。そして全日本ソムリエ連盟認定の「ソムリエ」の資格も持っているようです。

あれ、日本ソムリエ協JSAと全日本ソムリエ連盟(ANSA)はどんな関係があるのでしょか。ちょっと調べてみました。日本ソムリエ協会は一般社団法人で、国際ソムリエ協会に加盟している日本を代表する組織です。

それに対して全日本ソムリエ連盟はNPO法人のFBO(料飲専門家団体連合会)が創設したワインのソムリエ認定機関のようです。FBOはANSAのほか色々な認定機関を創設していて「きき酒師」や「酒匠」などを認定している日本酒サービス研究会・酒匠研究会(SSI)もその一つです。日本酒のソムリエとなるとFBOのSSIしかないようです。

日本ソムリエ協会は1969年に創設した歴史のある組織に対して全日本ソムリエ連盟は1997年に創設した未だ歴史の浅い組織です。でもFBOの守備範囲は広く、ワインばかりでなく日本酒、焼酎、中国酒、チーズ、コーヒー、シガ―など幅広い物を対象にしています。

菅田さんはソムリエの経験を踏まえてワイン・日本酒と食の文化を広めようという思いがあると思われます。ですからSSIの資格を持ちANSAの資格を持つのは当然と言えることかもしれませんね。

これでインフィニット酒スクールと菅田さんの紹介は終わりましょう。早速その日の講演会の内容を簡単に紹介することにします。

講演された場所は南青山にある福井県のアンテナショップの南青山291です。この建物の1階が福井県の特産品を売っているアンテナショップで。2階が会議室になっています。

Dsc_0489

ちょっと会議室の様子をお見せしましょう。80名は入れそうな会議室でした。

Dsc_0488

1.セミナー「酵母が与える日本酒香味の影響について

講師は福井県食品加工研究所、地域特産利用研究グループ 主任研究員の久保義人さんです。久保さんは島根大学の農芸化学科を卒業後、福井県のこの研究所にはいられ、日本酒に関する研究、特に清酒酵母の開発とその品質評価の研究をされている方です。

Dsc_0493

お話しなさったことは酵母の役割とその香味効果のお話でしたが、とてもわかりやすく説明されたので、理解しやすかったです。そんなこと知らなかったよと思ったことだけをご紹介します。 

酵母はお米の澱粉をアルコールの原料になる等に変える役割だけと思っていたら、もっと多くの役割があったのです。お米には澱粉のほかたんぱく質や脂肪がありそれを別々の物質に変える役割もあったのです。これが香味にかかわるのです。知らなかったなー。 

・ 澱粉     ⇒ ブドウ糖 ⇒ アルコール、有機酸
・ たんぱく質 ⇒ アミノ酸  ⇒ 高級アルコール
・ 脂肪     ⇒ 脂肪酸  ⇒ エステル

酒類の製造に使われる酵母は目的によって違うものを使うことは知っていましたが、清酒用酵母は乳酸に強く低温に強いが、焼酎用の酵母はクエン酸に強く高温に強い。ビール用酵母は麦芽糖を好むとか、ワインは亜硫酸(防腐剤)に強いなどは初めて聞く話でした。

蔵付き酵母だけでは安定した酒造りはできないということで、日本醸造協会で蔵付き酵母を選抜して協会酵母として誰でもが利用できるようになったことは知っていましたが、それで全国の日本酒の品質は向上したけど、全国が均一化するので、各県が独自に独自の酵母を作るようになったようです。その最初が長野県のアルプス酵母であり、今では色々な県で独自の酵母開発がされて、使用されています。特に東北地方が盛んな様な気がします。

福井県ではFK-301、FN-7,FK-4,FK-501,FK-6などがあるそうです。今回はその中でFK-501と協会酵母9号、10号、14号、18号、KZ-4(14号の元の酵母)の6種類の酵母を使って、福井県産の五百万石から作ったお酒の成分測定をして香味成分の比較をしてくれました。その内容は細かくなりすぎるので、詳細は省略しますが概要を簡単に紹介しましょう。

測定した成分はアルコール、グルコース、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、酢酸、イソブチルアルコール、イソアミルアルコール、酢酸エチル、酢酸イソアミル、カプロン酸エチルです。

9号酵母の時の各成分の量をを1とした時の比較をしていました。その結果を下記に示します。

・ 10号酵母はグルコースやリンゴ酸やイソブチルアルコールが少ない

・ 14号酵母はグルコースやイソブチルアルコールが少なないが、クエン酸、酢酸が多い。酢酸イソアミルが少ない

・ 18号酵母はコハク酸やイソブチルアルコールが少ないが、クエン酸が多くカプロン酸エチルが非常に多い

・ F501酵母はリンゴ酸が少なく、酢酸イソアミルが多い

という結果が出ました。

高級アルコールのイソブチルアルコールやイソアミルアルコールはこれが多いと重い香りになるそうです。酢酸エチルは多くなるとセメダインの香りになり、少ないと華やかな香りにあるそうです。酢酸イソアミルはバナナやなしの香りで、カプロン酸のエチルは熟したリンゴの香りが出るそうです。

この結果から判断した場合の9号と比較した味わいは次のようにまとめられます

・ 10号酵母はと旨みと香りが少なめだけれども軽快な感じ 

・ 14号酵母は酸味が強いが味わいは軽快で香りは少なめ 

・ 18号酵母は酸がやや強く味わいは軽快でリンゴ香りが強い

・ F501酵母は酸はやや弱いが香りはバナナ系の香りがたつ

この結果は日本醸造協会で発表している各酵母との特徴とやや違っていて、特に14号は酸が少ないとなっているのに反対の結果になっています。

久保先生の実験結果がおかしいのではなく、お酒の香味は酵母だけでなく、それを使いこなす杜氏の技術の方が影響が大きく、その影響は7割もあると言われた久保先生のお言葉が強く残りました。どうもありがとうございました。

2.セミナー「9号酵母、14号酵母、FK-501酵母の比較テイスティングによる評価と表現、特徴の活かし方、お料理との相性について

講師はインフィニティ・酒スクール代表の菅田ゆうさんです。

今回は下記に示す3種類のお酒をグラスについてそれをテースティングしながら講義を聞くというスタイルで行われました

Dsc_0507

.越前桂月 純米吟醸 山田錦50%精米 9号酵母 

2.白龍 純米大吟醸 山田錦50%精米 14号酵母 

3.極上真名鶴純米吟醸純米酒 山田錦50%精米 FK-501酵母

Dsc_0506

菅田さんはこの3種類をテースティングした結果を香りと味わいに分けて細かく表示した評価結果を表示していただきましたが、僕にとっては細かすぎて、理解はできるけど自分には無理という感じを受けました。 

その結果を表示するにあたって、先生は表現の表示の基準を持っておられれ、それをスライドで示していただきましたので、それを示紹介します。

Dsc_0505

ちょっと見難いかもしれませんが、クリックして大きくしてから見てください。左軸は香りの種類であり、横軸が香りの強さで、右に行くと香りが強くなるのですが、単に強さで表わすのでなくて、その表現の仕方を変えているのです。なかなか理解できない点もありますが、言われてみるとそうかもしれないという感じはします。しかし、実際の香りはそれほど強烈なものでないので、どれにあてはめるかは結構難しいと思いました。 

先生が評価された結果の要点だけを紹介しますと、 

1.9号のお酒 日本酒度+4、酸度1.6、アルコール度15.5 

・ 香り: 全体的に穏やか、リンゴなどのフルーツ香とメンソール的な清涼感が穏やかに感じられた後、糖類系の熟成かがほんのりと広がる 

・ 味わい: 舌触りは滑らか、やや膨らみはある甘みの中に。差っみがしっかりと広がり、軽やかな中にも味わいに一体感を感じる 

2.14号のお酒 日本酒度+3、酸度1.2、アルコール度15.6 

・ 香り: 全体的に落ち着いた香りで、わずかにバナナ、溶剤香がほんのり広がる。非常にやさしい香り。 

・ 味わい: 舌触りは滑らか。味わいのバランスがとても良く、アタックから心地よさを持続する。後口に酸が少し出るがあまり気にならない

3.F501のお酒 日本酒度0、酸度1.2、アルコール度15.8

・ 香り: フルーティな中に乳製品香が広がる。軽やかで比較的シンプルな特徴

・ 味わい: 白触りは滑らか。ふくよかな甘みがしっかりと広がるが、酸味とのバランスによって軽やかに感じる。また、酸味は決して強く感じることなく、心地よさがありすっきりしている

という評価でした。はっきり言って先生が感じるほどの感受性は僕にはありませんが、なるほどそんな表現をするのかということでは、大変勉強になりました。こんなに細かくチェックすることは僕には無理と、ちょっとへこんだ感じになってしまいましたけど。

僕の経験では香りは嗅いでうちに慣れてきてしまうし、味わいは時間とともに変わってくるように思えるので、僕は未だ酔っていない最初の印象だけを大切にしています。ですから呑んでくると差がわからなくなってしまうのです。ですからソムリエや利き酒師にはなれないなという思いを強くしてしまいました。

最後に福井のアンテナショップの雰囲気を見てもらいましょう。この会の開催中でカウンターで福井のお酒の飲み比べができました。

Dsc_0490

それから福井の高級酒も一杯ありましたよ

Dsc_0491
勿論福井の特産もいっぱい売っていますので、行ってみてください。

以上で終わります。

にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ご覧になったら、この日本酒マークをクリックしてください。携帯やスマートフォーンでご覧の方はMobileModeではクリックしても、点数は増えませんので、PC-Modeでご覧になってクリックしてください。よろしくお願いします。

2010年9月17日 (金)

雄町サミット2010 PART2 講演会

雄町サミットで行われた講演会の内容について簡単にご紹介します。去年はソムリエの田崎田崎真也さんの公演でしたが、今年は利守酒造の田村杜氏の講演と北岡シェフと木村ソムリエとの対談でした。

Img_1775

<利守酒造の田村杜氏の講演「杜氏が語る酒米雄町の魅力」>

Img_1776

写真方が杜氏の田村豊和さんです。講演は20分程度の内容でした。

・ 雄町は今から150年前に岡山県の雄町村の農家の岸本甚造さんが伯耆大山参拝の帰りにみつけた2本の稲穂を選抜を重ねてできたお米で、最初は食米として生産されたようですが、その後軽部村の村長が酒米としてのよさを全国に広めてから酒米としての評判が良くなって雄町と呼ばれるようになった。

・ 雄町は背丈が160cm以上になり倒れやすく、病気にも弱いために栽培が難しく、岡山でもその栽培はだんだん少なくなったそうです。でもこのコメの質の高さからいろいろなお米の種として使われ、現在日本で作られている酒造好適米の6割以上が雄町の系列だそうです。もちろん山田錦や五百万石もその一つです。

・ 昭和40年後半から50年前半にかけてから、吟醸酒のような高級酒が作られるようになり、利守酒造でも雄町を使った高級酒をつくるように蔵元に提案して了解していただいたのですが、当時は雄町を酒米として作っているところがなくて、農家と協力して米造りから初めたそうです。

・ 雄町は心白は球状で大きく、柔らかいので吸水性や糖化性が良いので、そんなに精米しなくても味のよいお酒ができるといわれており、60%精米では山田錦より良いお酒ができるそうです。しかし、50%以上精米しようとすると米が割れてしまうという欠点があります。

・ それに対して山田錦は心白が線状でかたいため、35%以上の精米ができるので、大吟醸などの高級酒の酒米として向いているそうです。

・ 雄町米の心白は産地や米の作り方で違うそうで、精米を進めるためには心白の小さなお米を使うようです。利守酒造の雄町の大吟醸はそうやって作られていたのでしょう。

・ 雄町の酒の特徴は3つあるそうです。米の味がよく出ること、新酒でも早く味が乗ってくること、2-3年寝かせても劣化がなく熟成することだそうです。

・ 田村杜氏は雄町米にあった酒造りの機械の開発も進めていて現在はそれを使っているそうです。詳しい内容の説明はありませんでした。この話を聞きたかったな

以上が田村杜氏のお話でした。

---------------------------

<シェフの北岡さんとソムリエの木村さんの対談「洋食での日本酒の勧め」>

Img_1777_2

左の方が北岡尚信さんで、プティポアンのオーナーシェフでフランス農事功労章受賞者協会の副会長です。

右の方が木村克己さんで、飲食コンサルタントで、ソムリエで、日本酒スタイリストです

お二人の対談の内容の要旨は下記の通りです。

・ 平安時代には大饗料理というものがあり、味付けされた料理ではなくその場で味付けしながら食べる料理のようですが、その料理の調味料は塩、酢、いしお(みそ)、酒だったそうで、酒はお料理の調味料として使われていた

・ お料理と合わせるアルコールを考えた場合バターやクリームのような動物性脂肪を主体としたような料理には、ポリフェノールといったタンニンを含んだ赤ワインが合うのに対して、水溶性のうまみ(アミノ酸系など)を主体としたお料理(昆布だし、鰹節、しいたけ、などを出汁にした料理とか魚料理)には白ワインや日本酒が適しています

・ 日本酒はワインに比べて合わせる料理の幅が狭いけれども、白ワインに合うような料理には日本酒は合わせられます。お肉の場合でも脂身のおい肉ではなく、赤身の肉のように肉味の強い素材なら日本酒を合わすことができます。

・ 日本酒はワインより料理酒として適しているので、北岡さんの家では料理酒にはワインを置いておらず、日本酒だけだそうです。たとえば肉料理用のソースとして、肉を焼いたときにこびりつく肉汁を日本酒で洗い取り、少量のバターで溶かすととてもおいしいお肉用のソースができるそうです。

・ フランス料理は素材の良さを引き立てる料理で、昔は運んでいるうちに痛んでくる素材をいかにカバーするかということで、フランス料理独特のソースを合わせるようになったそうです。

・ 素材を生かす料理といえば日本の料理が一番で、最近日本人によるフランス料理が注目されており、フランスの三星のレストランには必ず日本人シェフがいるだけでなく、日本に勉強しにくるフランス人シェフが多くなっているとのことでした

・ 日本でも公式の晩さん会にはフランス料理が選ばれますが、素材を生かした料理には日本酒が適しているので、日本酒を出すことが多くなったそうです。

・ 日本酒には火入れという殺菌工程がありますが、これは足利時代ころには使われていたそうで、外国ではパスツールが低温殺菌を発明したのが1800年代ですからそれより300年以上前にできていたのですから、日本人のお酒に関する知恵は大したものといえます。(ワインには火入れという方法は使われていない代わりに防腐剤の添加が行われているんではないかと思います。・・・・これは僕の考えですが)

・ 日本酒にはお燗という飲み方がありますが、お燗をすると味の濃い料理にも合わせることができますので、冷で飲むだけでなく、一つのお酒を2倍楽しめる知恵を持つのも日本独特の方法だと思います。

---------------------------

以上がおふたりの対談内容ですが、中身はかなりはしょって書きましたので、ご容赦願います。

日本酒がワインより優れた調味料というのは僕の撮って大きな収穫です。日本酒を積極的に使ったお料理を作った見たいものです

最後に有名なお二人の写真をお見せしましょう

Img_1802_2 

Img_1810_2 

お二人の名前はわざと書きませんが、お二人とも岡山県出身の代議士ですがこんな人を呼べる岡山県の力はすごいですね

このパワーをお酒造りにもと注いでもらいたいです。

にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ここクリックしてね  ご覧になったら、このマークをクリックお願いします。クリックすることによりブログ村のホームページに戻ると同時に僕の点数が上がることになりますので、よろしくお願いします。