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蔵元を囲む会

2017年2月13日 (月)

丸世酒造店で酒造りの体験報告

銀座NAGANOが主催する長野県の蔵での酒造り体験として、2月1日に長野県の中野市にある丸世酒造店に行ってきました。朝5時に起きて大宮駅6時40分頃のかがやき501号に乗り長野駅へ、そして長野駅で長野電鉄に乗り換えて、信州中野駅に着いたのが8時42分、そこからタクシーで蔵についたのが約9時ちょっと前でした。 

下の写真が蔵の入り口で、縦に細長いレイアウトの蔵でした。 

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蔵は明治3年の創業で約140年の老舗の蔵ですが、生産高は150石以下のとても小さな蔵でほとんど家族だけで造りをしています。社長は関康久さんで、ずっと杜氏として造りをしてきましたが、2年前の造りから息子さんの関晋司さんが製造部長(実質杜氏)をされています。 

蔵につきましたら、関社長と奥様、関部長の奥様とそのお子さん2人が家族ぐるみで出迎えてくれました。まさに暖かい家族に囲まれたという感じでした。 

その日の作業は9時半から始まりましたが、その実体験作業は以下の通りでした 

.純米大吟醸用の麹米の蒸とさらしと麹室への運搬  

2.留用の蒸米の蒸しあげ、さらし、投入  

3.純米大吟醸の仲添え用麹米の種切と床もみ  

4.純米大吟醸の留添え用麹米の洗米と浸漬  

5.和窯のお湯の利用と洗浄  

6.翌日の絞りのための準備作業:タンク、ポンプ洗浄など  

7.純米大吟醸用仲添え麹米の切り替え 

作業は銀座NAGANOの生徒3人と、お付き添いの玉岡さんの4人でしたが、実は作業そのものの写真は自分自身が作業しているので取ることができませんでしたし、麹室の中は汚れを持ち込むということで撮ることができませんでしたので、装置の写真と僕が作業をした内容の説明だけになってしまうことをお許しください。 

それでは順に説明します。 

.純米大吟醸用の麹米の蒸とさらしと麹室への運搬 

現場に行ったら和窯に木製の甑で、250kgのお米が蒸されていました。 

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この甑の中には上段に純米大吟醸の仲仕込み用の麹米が40kgと下段に純米用の留用の掛米210kgが入っています。最初に麹米を放冷機で冷却する時に蒸米が固まらないように手で解す作業をしました。 

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これが木製の放冷機で蒸米を一番上に載せて下に落としていく際に人が両側に立って手でもみほぐしていきます。斜めの部分の上部は金網でできていて、下の写真のFANを回して空気を吸い込んで冷やします。 

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麹室に引き込むお米の温度はたぶん33℃から35℃ぐらいですから、FANは作業の中ほどで数秒回すだけでした。蒸米は手で触ってちょうどいい温度でしたし、1回の量は15kgぐらいずつやるので、解し作業もそれほど大変ではありませんでした。ポリバケツで受けて冷えすぎないうちに急いで麹室に走って運ぶ必要がありました。 

下の写真は作業が終わって奇麗にしているところだと思います。 

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2.留用の蒸米の蒸しあげ、さらし、投入 

麹米のさらしが終わると250kgの留用の蒸米を同じ放冷機でさらしますが、今度は1回の40kgをさらして上の写真で見えるようら布を巻いた籠で受けてそれを肩に担いで、留用のタンクまで運びます。男性の2人がこれを受け持ちました。年寄りの僕にとってはこれは結構つらかったです。 

下の写真が留用の蒸米を投入したタンクで、台の上で社長が蒸米を受け取り投入してくれました。後でこのタンクの櫂入れをしましたが、大変重かったです。この段階では確かに櫂入れは必要な気がします。 

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蒸米の温度は10℃以下にするので冷却用のFANは回し続けます。蒸米の量も1回の40㎏ですから量も多いし、冷えて硬くなるので解すのに力が必要で結構疲れる作業でした。通常この作業はスコップで蒸米を掘る人以外に4人でやるそうですが、今回は6人でやったので、かなり楽との話でした。普段はきっと両奥様も含めて家族全員でやるのでしょうね。 

蒸米は高温の蒸気にさらされているので、結構さらさらしていますが、最後に出てきた蒸米はべとべとして手に糊のようにまとわりつくので、大変でした。普通の蔵では連続放冷機で冷却と揉み解しを機械でやるのでこの作業はないようです。 生産量が少ないからこの方式でやるのだそうです。

3.純米大吟醸用仲添え麹の種切と床もみ 

正面の扉が麹室です。麹室は1部屋で床(とこ)が中央にあり、壁際に箱が詰めるような棚置き場がありました。種きりと床もみの時は室の温度は35℃にしてあるけど、床もみが終わったら30℃に下げるそうです。ですから盛りの期間に一時的に室温を上げることになるので、盛の温度管理が難しいのかなと思いました。 

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麹室に運び込だ蒸米は社長がすでに床に広げておいてくれましたが、まず床全体の蒸米が均一の温度になるように高さをととのえました。そのあと晋司さんが麹菌を巻く種切を行い、いよいよ床もみです。 

床もみは麹菌が均一に付くように底の蒸米をひっくり返すように混ぜてますが、蒸しの温度が32℃以下にななるまで、何回も床もみを繰り返します。5回くらいやってやっとOKが出たので、蒸米を床の中央に山になるように積み上げて、温度が下がらないように何重にも厚手の布を重ね、中にアトロンと呼ばれるビニールをかけ、温度計を入れてさらに包んで終わりです。肉体的にはどれほどつらくはありませんが手早くやる必要があるそうです。 

最後に床からこぼれたお米やごみをホーキで集めて終了しました。雑菌が入らないことと掃除が大切なようです。 

4.純米大吟醸の留添え用麹米の洗米と浸漬 

通常、洗米は大吟醸でも洗米機を使うのですが、今回は体験ということで完全に手洗いの洗米と浸漬を行いました。お米を籠に入れて手でごしごし洗うのかと思たら、布製の袋にお米を13-14kg入れてポリ製のたらいの中で布を大きくゆすって洗浄するやり方でした。浸漬までの手順を示します。 

1.盥の中で30秒袋を強く揺らして洗米をする
2.袋を外に出して、袋の表裏を15秒ごとにシャワーをかける
3.また盥に入れて1分間袋を揺らして洗米する
4.また袋を外に出して、袋の表裏を30秒ごとにシャワーをかける
5.浸漬用の盥の中に袋を沈めて9分浸漬させる。
6.浸漬の途中、4分半で袋をひっくり返す、
 

この作業は思ったほど疲れませんでした。 

5.和窯のお湯の利用と洗浄 

和窯の残ったお湯は全部捨てて、窯の内部を水で洗浄するのですが、ただ捨てるのはもったいないので、お風呂のお湯として使うために運びました。このとき初めて和窯の内部を見ることができましたので、紹介します。 

甑の内部の写真でお米を受けるためのすのこと蒸気を分散させる分配器が見えます。この上に袋の入った疑似米を並べ、その上に210㎏の掛米を入れ、その上に40KGの麹米を入れて蒸したようです。 

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 甑の下は中央に穴が開いている丸い厚板を置きます。この板が蒸気で持ち上がらないたに窯に強く密着するように留め金で窯と厚板を締めます。この写真は厚板の上に小さな甑を載せた時の写真です。

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下の写真はこの厚板を取り付ける作業をしているところです。

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この厚板の下には蒸気を均一に中央から出すための分散盤がありました。 

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以上で和窯の紹介は終わりますが、和窯の中は結構色々な工夫がされているのですね。普通の甑は乾燥蒸気を導入するために蒸気を再加熱する必要があるいますが、和窯は和窯の上の部分で加温されて乾燥蒸気となるので、再加熱がいらないそうです。 

6.翌日の絞りのための準備作業:タンク、ポンプ洗浄など 

下の写真のポンプは澱のあるお酒を搾り機に送るポンプで、これを水で洗浄しているところです。まずポンプを置く場所の洗浄をやり、そのあとホースの内部の洗浄をやってから、ポンプにホースをつないでポンプを動かしてポンプ内部の洗浄を行い、作動の確認をしました。そのあとまたこの場所の洗浄を行って終了しました。 

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搾り機からでるお酒を受けるステンレスタンクを置くコンクリートの穴がありました。このコンクリーとの内部も布で水洗いをしました。下の写真が搾り機ですがこの手前にコンクリートの穴があってタンクを入れられるようになっていました

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下の写真が正面から見た縦型の薮田のような構造をした搾り機で、僕は初めて見ました。この搾り機の左側に受け用のコンクリートの穴があります。 

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洗浄に始まり、洗浄に終わるほど、洗浄には気を付けているのですね。

7.純米大吟醸用中仕込み麹の切り替えし
 

夕方になって、朝に取り込んだ純米大吟醸の仲添え用麹の切り返しをおこないました。床もみの後の山の温度は32℃と包んだときと同じ温度でした。これを崩して床に広げて、麹米がバラバラになるように切り崩す作業でしたが、それほど大変ではありませんでしたが、手際よくやる必要があるそうです。それが終わるとまた山にしてきっちりと保温して終わりです。 

壁際にあった箱の積み替えを晋司さんが行いましたが、箱の中の麹の温度は44℃もありましたので、積み替えるとき少し厚みを薄くすると同時に箱と箱の間に空箱を入れていました。その説明はありませんでしたが、この日の夕方に僕たちと懇親会があるので、温度を高めにしていたそうです。積み替えは一人でやるほうがいいそうです。それは体感的の箱の麹の温度がわかるからだそうです。また仲仕事の時の麹は青臭い香りがしましたが、仕舞仕事の時にはなくなると教えていただきました。 

仕舞仕事は夜9時ごろ行うそうですが、最高積み替えは夜の11時ごろになるそうです。仕事の手順を前もっていろいろ考えて、次から次へと準備する必要があるのですね。 

以上で蔵での体験作業を終えることができました。蔵の内部の紹介はあえてしませんが、設備的に新しいものは何もなかったけど、古くからある設備でも気持ちを入れて使いこなせば、良いお酒造りはできるのだということがよくわかりました。この蔵で一貫して貫かれていたのが清潔感でした。古くてもきれいに保つことの大切さを知りました

晋司さんありがとうございました。 

五時半ごろから信州中野駅の近くにある和喜多という料理店で晋司さんと一緒においしいお酒とお料理を楽しみましたが、その中身については省略しますが、素敵なお店でした。 

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 こんな田舎の町でも日本全国のお酒が飲めるなんで、すごいところです。 

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面白い料理が出ましたのでお見せします。えのきだけを揚げたものですが、このお店用に短く丸く育てたえのきだけだそうです

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最後にこの企画をして準備していただいた玉岡さんと蔵の作業の指導をしていただいた関晋司さんに厚くお礼申し上げます

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2016年12月31日 (土)

志田泉酒造のお酒はは大人の食中酒かな

11月のことになりますが、調布市仙川町にある日本酒バー「あふぎ」志田泉酒造の望月雄二郎社長をお呼びして志田泉を楽しむ会がありましたので、参加してきました。このお店は今年の6月17日にオープンしたばかりで、お店の中もカウンターを含めて十数人が入れるくらいのとても小さなお店です。「あふぎ」とは扇という意味のようです。

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お店は板倉美香さんが店主を務めていますが、板倉さんは藤枝市出身で、昔から日本酒がお好きで利酒師の資格を持っている方です。今までは全く違うお仕事をしていたそうですが、個人的に蔵の方をお呼びしたイベントを開いたりした経験はありましたので、前々からお店を持ちたいと思っていたのが念願かなって、独立されたそうです。

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日本酒にはこだわっておられて、お店の冷蔵庫には静岡のお酒を中心にこだわりのお酒が並んでいました。森本酒造の「火の用心」は知っている人はいないのでは? 興味のある方はお店のURLをご覧ください。

お店を開いてから蔵元をお呼びするこのようなイベントは2回目で、最初は磯自慢酒造をお呼びしたそうです。やはり地元のお蔵さんを主体にされているようですね。望月さんとは西日暮里の稲毛屋でお会いしたのかきっかけで、お知り合いになったそうで、社長の2年後輩だそうです。
それでは最初に蔵の紹介をしましょう。志田泉酒造は静岡県藤枝市にある蔵でJRの藤岡駅から瀬戸川に沿って5Kmほど北上し、新東名高速道路を超えた瀬戸川のほとりあります。この蔵の特徴は何といっても仕込み水にあるようです。この仕込み水は瀬戸川の伏流水で硬度が3.4の超軟水で、飲んでみましたが極上の柔らかさの水でした。もう一つの特徴はこのあたりでとれるお米かもしれません。蔵の南の瀬戸川の東には助宗という地区がありますが、この地区の農家と志田泉酒造が協力して藤枝SAKENOMIXというプロジェクトを作って、「誉富士」という酒米を供給しているそうです。
この蔵は初代当主の望月久作さんが明治15年に創業し、志田泉と名付けたそうですが、地名の志田にある泉のように奇麗なお酒という意味と、志し太く泉のように沸き立つお酒を造りたという意味があるそうです。戦時中は一時休業したことがありましたが、昭和29年に再開した後は早くから吟醸酒造りに取り組み、昭和43年には当時最も権威のあった「東京農業大学品評会」で金賞を取りました。その後静岡県の吟醸酒造りを研究し昭和59年から3回連続で「全国新酒鑑評会」の金賞を受賞するなどの実績を上げています。今では生産高800石から900石の比較的小さな蔵で、ほとんどが静岡県で消費され、県外に出るは約1/3だそうです。
社長の望月雄二郎さんを紹介します。
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雄二郎さんは幼い時から瀬戸川で遊んで自然にいそしんでいただけでなく、お酒や味噌などの香りの中で育ったので、お酒造りはともかく味と香りにかかわる仕事に携わりたかったそうです。大学を卒業後は協和発酵でお酒には直接関係のない部門に勤務した後、28歳の時に蔵にも戻ったそうです。当時はちょうど南部杜氏のベテランの高橋さんが酒造りをしていた時期で、杜氏から指導を受けるほか、静岡県の工業技術研究所の河村伝兵衛先生に指導を受けて酒造りを勉強したそうです。河村さんは今年お亡くなりになりましたが、静岡酵母を開発された方で静岡県の酒造りに貢献された大先生です。雄二郎さんのお話では僕は河村先生の弟子ではあるけど、破門状態なのですよと笑って言われました。それは、河村先生の弟子なら静岡酵母以外の酵母を使わないのが決まりだったからのようです。
 
静岡酵母の話は後にするにして、蔵に戻って約10年後の2007年に社長となられます。その時までは南部杜氏できたのですが、2009年に能登杜氏の西原さんに変えました。西原さんはどんな人かはお聞きしませんでしたが、まだ若いけどしっかりした方で、今では酒造りは社長と杜氏の二人で決めているそうです。昔は社長はオーナーで酒造りは杜氏に任せるのが普通の時代で、最近になると社長が杜氏も兼務して、自分の作りたいお酒を造る人が出てきましたが、雄二郎さんのやり方は作りたいお酒のイメージは80%は自分で決めるが、それをどうやって作るかは主に杜氏が決めるやりかたで、二人でコラボレーションして造っているそうです。
 
ですから、他の蔵人の意見は聞かないし、飲み手の意見も聞かないそうです。でもこれは飲み手を無視しているわけではなく、最終的には飲み手が好きなように飲むのは全く構わないそうで、飲み方を押し付けることはしないそうです。どんなお酒を造るかについては、時代の流れに乗ったお酒を造るのではなく、志田泉らしい食事を邪魔しないお酒造りを目指しているそうです。それがどんな味なのかはこの会で志田泉の色々なお酒を飲んでみて考えることにします。
それでは早速飲んだお酒の紹介に入りたいですが、その前に静岡酵母についてご紹介しておきます。静岡酵母は静岡県の工業技術研究所で開発された酵母で以下の7種類が実用化されているようです。
 
HD-1    :華やかな香りでやや酸が高い(大吟醸用) 
NO-2   :酸が少なく淡麗(本醸造用) 
New-5  :華やかな香り酸が少なく淡麗(純米吟醸用) 
CA-50  :マスカットの香り、すっきりさわやか(本醸造用) 
SY-103 :爽やかなかおり(本醸造用) 
5MT-1  :リンゴのような香り(本醸造用) 
HD-101 :HD-1の泡なし酵母(大吟醸用) 

この表現は「静岡の酒」というサイトからとったもので、この表現が一般的かどうかはわかりませんが、僕の認識では静岡酵母の香りは強さの違いはあっても酢酸イソアミル系の香りが主体と思われます。HD-1の酵母は昭和61年の全国新酒鑑評会で静岡のお酒が大量に入賞した時の立役者となった酵母です。この酵母は河村先生が開運の蔵から分離抽出した酵母で、その時の杜氏の波瀬正吉のHと土井酒造のDの名前から付けられたといわれています。これはまさに酢酸イソアミルの香りがたつ酵母です。でも最近の金賞受賞酒はカプロン酸エチルが強いお酒が選出されるようになり、静岡酵母では金賞が取りにくくなっているようですが、香りが強くなりすぎて酢酸エチルのセメダインのような香りが出てくると嫌ですが、適度な香りの場合はとても良いと思います。 

志田泉ではどのような酵母を使っているかというと、以下のようです。 

HD-1 :吟醸、純米吟醸、純米大吟醸
NOー2  :普通酒、本醸造酒
NEW-5  :純米酒、純米吟醸酒
HD101:生酛純米酒

M310 :大吟醸、出品酒

酵母の使い方は時代とともに変えているようですので、そのつもりで見てください。全国新酒鑑評会用にはカプロン酸の出やすいM310を使っているようです。、

望月社長の乾杯でスタートしましたが、3時間たっぷりのゆったりとした会で、下の写真ののように10種類のお酒を社長に説明を受けながら味わうことができました

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それでは飲んだお酒を飲んだ順でご紹介します。 

1.シダ・シドール 純米発泡性酒 

Dsc_0513シードルとはリンゴから作ったスパークリングワイのことで志田泉の発泡酒という意味でつけたそうです。 

山田錦60%精米で、アルコール度14%の発泡酒で瓶内2次発酵で作っていて、日本酒度は-14、酸度は1..3でした。 

飲んでみると舌にピリピリきて、結構酸味を感じましたが、それは炭酸ガスからくるもので、甘さはあまり感じられませずに、スイッと飲めてしまいました。 

2.純米吟醸 兵庫県山田錦 

Dsc_0528兵庫県産の山田錦の50%精米を使用し、酵母はHD-1を使っています。スペックはアルコール度は16%、日本酒度4.0、酸度1.3の純米吟醸です。 

飲んでみると香りはイソアミル系の香りとカプロン酸エチルの香りが両方感じたので、HD-1はもっとイソ系の香りが強いのではとお聞きしたら、志田泉の酒はカプが出やすい造りなのだそうです。 

飲んでみると山田錦らしいしっかりしたうまみを感じ、後味が少し辛みを感じながら消えていくお酒でした。 

3.純米吟醸 誉富士 

Dsc_0534このお酒は地元で生産している誉富士55%精米を使用し、、酵母はNew-5です。スペックはアルコール度15%、日本酒度+4、酸度1.2の純米吟醸です。 

飲んでみると香りは山田錦と同じ香りがしましたが、山田錦よりうまみが少なくちょっと軽い感じのお酒でした。バランスは山田錦の純米吟醸と似ているように思えました。 

このお酒は3年目の造りになるそうですが、この蔵の標準的な味わいのような気がします。 

4.全国新酒鑑評会出品酒 

Dsc_0530このお酒は兵庫県産山田錦40%精米で、酵母はM310です。スペックはアルコール度17%、日本酒度+3.5、酸度1.1で、醸造アルコールを添加した大吟醸で、今年の全国新種鑑評会用のお酒です。 

香りはややカプロン酸エチルが強いけどイソアミル系の香りもする華やかなものでした。味わいは味もしかりしていて辛みも少ないので、いわゆる志田泉のお酒とは違うように思えました。 

今年は残念ながら金賞は取れなかったけど、もうちょっとグルコース濃度が高くないと賞を取るには難しいといわれましたが、賞をとれなくてもあまり気にしていないそうです。 

5.純米大吟醸原酒H25BY 

Dsc_0532このお酒は兵庫県産山田錦40%精米で酵母はHD-1を使った純米大吟醸を蔵の3℃の貯蔵庫で3年間熟成したH25BYのお酒です。 

スペックはアルコール度16-17度、日本酒度2.0、酸度1.3です。 

飲んでみると熟成香は強くないけど、元の華やかな香りはほとんどなくなって、角が取れて飲みやすくなっていました。でもちょっと物足りないかな。  

6.ラジオ正宗 純米吟醸生酛 

Dsc_0544ラジオ正宗は2代前の当主の時に作った生酛作りのお酒で、造りをやめていたのですが、生酛作りをしたいということで2年前に復活させたお酒だそうです。ラベルは看板に残っていたものを写真を撮り、似たようなものにしたそうです。 

静岡産の山田錦55%精米で、酵母にはHD-101を使ったお酒で、味わいは現代風にしたそうです。スペックはアルコール度16%、日本酒度+3、酸度1.3です。 

飲んでみるといわゆる生酛的な香りはなく、味に厚みがありコクは感じますが、飲みやすい生酛でした。お燗をして飲んでみると、やや高めの温度だと辛みを感じなくていいように思えました。  

7.純米原酒 八反35号 

Dsc_0537このお酒は広島県産の八反35号を50%精米し、酵母にNew-5を使った純米原酒で、スペックはアルコール度17%、日本酒度+3.0、酸度1.1です。 

香りは少ないけど最初にスペック以上の甘みを感じるせいか、志田泉の酒の特徴である辛みをほとんど感じない落ち着いた感じのするお酒でした。 

これについて社長にお聞きしたら、八反35号は溶けやすく味の出やすいお米なので、、それを静岡流の造りで抑えたお酒だそうです。なるほど、造りでお米の特徴も変わってくるのですね。 

8.純米大吟醸 泉 斗瓶どり 

Dsc_0540このお酒は兵庫県産の山田錦40%精米で酵母はHD-1を使った純米大吟醸で、袋吊の中取りの斗瓶どりのお酒です。スペックはアルコール度17%、日本酒度+2.0、酸度1.4です。 

今年3月に作ったお酒で、飲んでみると奇麗な香りの中に、しっかりした味わいがあり、うまみのパワーが中盤まで残って、奇麗さを保ちつつ後味は志田泉らしく消えていくお酒でした。 

さすが出品酒のもとになる原酒のいいとこどりですから,うまいはずですね。僕の一番のお気に入りです。 

9.静岡県品評会出品酒 H23BY 

Dsc_0542このお酒は兵庫県産山田錦50%精米で、酵母はHD-1を使った静岡県清酒鑑評会の吟醸部門に出品した吟醸酒で、蔵の-5度の冷蔵庫で5年熟成したお酒です。スペックはアルコール度18~19度、日本酒度+5.5、酸度1.2です。 

5年熟成していますが熟成香は全くなく、まだ作り立ての若さをそのまま残したまま、香は少なくなっているけどまだ奇麗な香りもあり、テクスチャーだけが丸くなり素直な感じで飲めるお酒でした。 

熟成していても後味に大人びた辛みを感じさえるところは志田泉らしさが出ていると思いました。  

10.梅酒 梅丸

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この梅酒は静岡産の山田錦で作った純米生酒で作った梅酒で、地元でとれた梅をフレッシュなうちに漬け込んで作った梅酒で、甘みの少ない酸味のしかりしたさっぱりした梅酒で口直しにはいいと思いました。アルコール度数は11度でした。 

以上で飲んだお酒の紹介は終わりますが、9本のお酒を飲んで感じたことは、田泉のお酒は仕込み水の奇麗さを生かした奇麗なお酒だけれど奇麗すぎず、コメの味をうまく引き出して、旨みや甘みと酸とのバランスをさせ、余韻を短くして切れの良さを出していくお酒で後味に辛みを残していくのが特徴のような気がしました。ですから飲み飽きしない食中酒を目指したものと思いました。
 
最後にこれからどんなお酒造りを目指すのかとお聞きしたら、今の方向をさらに追及して、どんなお酒も納得できるお酒を造っていきたいそうで、これは終わりのない目標だそうです。最後に望月さんとのツーショットを載せておきます。

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この会の最後にじゃんけん大会で志田泉の前掛けをいただきました。子の前掛けは裏表のない特殊なもので、ラッキーでしたね。
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2016年12月 4日 (日)

東大蔵元会を知っていますか。凄いメンバーですよ

東京大学ホームカミングデイというイベントがあるのをご存知ですか。この会は東京大学全体の卒業生の会が10月の第3土曜日に開催するもので、講演会やシンポジュウム、同窓会、各種エンターテイメントなど、幅広いイベントが東大の構内のいろいろなところで行われます。参加者は卒業生だけでなく誰でも参加できるので、講演会の内容も専門家でなくても気楽に聞けるようなものが多いようです。 

特にエンターテイメントには結構面白い掘り出し物のイベントがあります。例えば安田講堂を使った音楽祭とか、2015年に国の名勝に指定された懐徳館庭園の一般公開とか東大落語研究会OBによる寄席など十数種類のイベントが企画されています。その中で日本酒が好きな人には見逃せないのが東大蔵元会が行う利き酒会です。利き酒会といっても大層なものではなく、出店している蔵元のお酒を有料で飲むというだけのものですが、参加している蔵元のレベルが凄いのです。この人たちとゆっくりとフランクに話せる会など他にはありません。 

東大蔵元会という会が正式にあるのかどうかは知りませんが、東大出身者である蔵元や、現在東大で教えている蔵元が集まっている会の名前ようです。その蔵元には結構有名な蔵が多いのに驚かされますが、その蔵を紹介しましょう。 

順序は北から紹介しましょう。卒業年数は推定もあります。 

1.㈱わしの尾 代表取締役 工藤  (工学部2003年卒)

2.新政酒造  代表取締役 佐藤 祐輔(文学部1999年卒) 

3.出羽桜酒造 代表取締役 仲野 益美(東大非常勤講師)
                   (代理:仲野娘さん) 

4.金晶水酒造 常務取締役 斎藤 美幸(教養学部1988年卒) 

5.大七酒造   代表取締役 太田 英晴(法学部1982年卒) 

6.下越酒造   代表取締役 佐藤 俊一(農学部卒) 

7.惣誉酒造   代表取締役 河野 遵(経済学部1983年卒)
                   (代理:河野純子 工学部卒)
 

8.武重本家酒造 代表取締役 武重 有正(工学部1981年卒) 

9.長龍酒造   代表取締役 飯田豊彦(経済学部卒1986年卒) 

10.㈱喜多屋  代表取締役 木下浩太郎(農学部1987年卒)
                    (代理:田中利忠)
 

ホームカミングデイの蔵元会のテントは安田講堂の前にありました。入り口にはお世話役の高橋さとみさんがおられて、さわやかに迎えてくれました。 

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ここで10枚綴りのチケットを1000円で購入します。大吟醸は2枚、純米吟醸以下は1枚で約40ml1杯を飲むことができます。2000円で十分酔っ払います。お伺いしたのは10時半ぼろでしたが、人はほとんどいませんでした。 

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これが前景の写真です。奥から北の蔵元から並んでいて、最後が喜多屋でした。では一人ひとりお話したことを紹介します。 

1.㈱わしの尾 代表取締役 工藤 朋 

Dsc_0003_2わし尾は岩手県に八幡平市にある比較的大きな蔵です。 

工藤さんは工学部精密工学科で医療用のロボットの研究をしていたそうで、10年前の27歳の時に蔵に戻って何も知らないところから勉強して杜氏と一緒に酒造りをして現在に至ったそうです。 

あれから10年、お酒つくりはロボットの研究と共通のイメージがあるそうで、研究熱心な工藤さんはしっかり勉強されていました。 

この蔵の陸羽132号というお酒を飲んだ時、イソアミルアルコールのような高級アルコールの香りがするねと言ったら、精米度が60%なら仕方がないですよ。でも最近の酵母の中にはイソアミルアルコールを出さない酵母もあり、高級アルコールの香りが抑えられるだけでなく、イソアミル系の酵母でも酢酸イソアミルの生成が抑えられるそうです。 

また、香りの話になり、金賞受賞酒はカプロン酸エチルの香りが好まれていて、確かにカプの香りはパット立ちあがるのが良いのかもしれないけど、そこに酢酸イソアミルがあるとふわっと広がるので、うまくバランスさせるとなかなか良いと思うし、最近の金賞受賞の香りも徐々に変化していると思うと言われました。その通りだと思いました。 

わし尾の酒が今後どのように変わっていくか楽しみですね。 

2.新政酒造  代表取締役 佐藤 祐輔 

僕とのツーショットの写真しかないので、お許しください。 

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新政酒造のお話はあえて紹介しません。それを知りたい人は下記のURLを見てください。http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-1586.html 

今回は祐輔さんと雑談して面白かったお話だけ紹介します。 

<火入れについて> 

最近火入れの研究をしているのですねとお聞きすると、火入れは奥が深いのです。蔵によってお酒の搾り方も違うので、火入れ前のお酒の状態によってベストな方法があり、どのお酒にもあう火入れの方法はないそうです。例えば炭酸ガスが多く含まれるお酒はガスが抜けないように栓をして火入れをすべきだし、ガスが抜けたお酒を火入れする場合は栓を開けて火入れをし、温度が上がってきて液面が瓶のトップに来た時に栓をすれば、冷えたときにその部分が真空になり酸化が防げるそうです。要は火入れの前の状態の溶存酸素の量やガスの量などを調べて、最適な方法を決めるべきだそうです。 

<生酛つくりについて> 

最近新政の酒造りでは酒母は全量生酛つくりをしているのを知っている方は多いと思います。新政の生酛つくりは従来の櫂で擦りつぶす方法ではなく、古式生酛法を現代技術で再構築して実現した新方法です。これについては下記のURLで紹介しましたのでご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-d8e7.html
 

この方法を簡単に言えば、ポリエチレンの袋に米と麹と水を入れて時間をかけて米を溶かす方法です。この方法を使って酒母を作っているのですが、新政ではすべて40%精米のお米を使って酒母を作っていることを知っている人は少ないのではないでしょうか。これにはちゃんとした理由があることを教えていただきました。

昔の酒造りはお米の精米度が低かったので、米が溶けるのに時間がかかったようです。この状態では、櫂で酛摺しても溶けが悪くてグルコース濃度が低いので、硝酸還元菌によって亜硝酸反応を起こすので良いそうですが、精米度が40%くらいになると擦りを入れるとすぐ溶けてグルコース濃度が上がって、硝酸還元菌が働かなくそうです。それで、色々研究をした結果、精米度が40%の時は3日間ぐらいじっとして、ゆっくり溶かすことによって、初期のグルコース濃度14%以下に抑える方法を見つけたそうです。亜硝酸反応が起きた後は櫂をいれてもよく、グルコース濃度を26%以上にするそうで、いろいろ失敗を重ねて、この方法を見つけたそうです。 

ですから、精米度の違うお米を使うと、精米違いにによって櫂の入れ方を変えなければいけないことになり、管理が非常に大変になるので、新政ではすべてのお酒の酒母は40%精米で行うことにしたと思われます。僕は今までは酒母だけは精米した米を使った方が、良いお酒ができるのかなと思っていましたが、違う理由があったのですね。 

<グルコース濃度について> 

当日はNO6 R-typeとコスモスラベルの純米酒の改良信交40%を飲んだのですが、同じ6号酵母でも全く味わいの違うお酒でしたので、その理由をお聞きしました。NO6は家庭で飲んでもらうお酒なので、グルコース濃度を0.5ぐらいに抑えて飲みやすくしているのですが、コスモスは高級酒なので、グルコース濃度を1.3にして甘さを出してまろやかにしているそうです。最近の金賞受賞酒はグルコース濃度を3から3.5にしないと賞が取れないとのことでした。グルコース濃度はどうやって制御するのかとお聞きしたら、麹を作る時に酵素の力価を制御するつくりをしているそうです。 

<日本の農業について> 

ここのブースの裏ではのんびりお弁当を食べたりする場所があったので、そこで祐輔さんにこれからやりたいことを聞いてみました。 

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今祐輔さんが気になっているのは、日本の農業だそうです。今のお米の値段は国民の税金を使って値段をさげているが、そんな補助金がなくても農業が成り立つようにしなければ、その上に載っている日本酒業界は危ういと思っているようです。 

それならば、酒造好適米を高く買って上げれば、酒米を作っている農家はハピーになるのではと申し上げたら、今の酒米の価格は1表1.6万円から2万円ですが、それでは農業は成り立たないので 、価格はその倍くらいにしてあげる必要があるそうです。それを全国でやるのは簡単なことではなく、国の農業政策に深くかかわるところなので、急には変わらない難しい問題ですね。 

それでは、その中で新政はどうしていくのですかとお聞きしたら、自分の王国を作りたいそうです。具体的には新政に酒米を供給する農家には高いお米代を支払えるように、付加価値の高い、高くても売れるお酒を造る努力をして、農業と酒造りが一体となった夢の王国を作りたいそうです。そのためには酒の生産量を落としても他と差別化したお酒造りを目指すという考えのようです。この一つが全量生酛つくりということなのでしょう。この考え方で日本酒の将来が発展していくと良いけど、すぐにはできないのでその夢を目指して頑張るしかないですよね・・・・・

3.出羽桜酒造 代表取締役 代理:仲野社長の娘さん 

Dsc_0007出羽桜の代表取締役の仲野益美さんは東京農大の出身で母校の客員教授を務めるほか東京大学大学院農学生命科学研究科の非常勤講師をされております。 

社長が用事で来れないの、代わりに娘さんが来られたのですが、学習院大学卒で、現在は営業のお手伝いをしているそうです。 

ここで飲んだお酒はML発酵の特別純米でした。ML発酵とはマロラティック発酵でワインの世界で使われています。リンゴ酸を乳酸に変えてまろやかな酸にする発酵で、山形県の試験所が日本酒向けに開発したもので、リンゴ酸のよく出る酵母を使って、そのリンゴ酸を乳酸に変えて飲みやすい酸にしたようです。飲んでみると甘酸っぱいけど飲みやすいお酒でした。 

4.金晶水酒造 常務取締役  斎藤美幸

Dsc_0016金水晶酒造は福島市に唯一ある蔵で生産高270石くらいの小さな蔵です。斎藤美幸さんはその蔵の娘さんで、東京大学に文化2類で入学されて教養学部を卒業されましたが、今までは蔵の仕事はせず、東京でお住まいだったそうです。昨年急に蔵の後を継ぐことになり、蔵に戻ったそうです。ですから家族を東京に残したまま逆単身赴任の生活だそうです。 

蔵には福島県の技能功労者にも選ばれた凄腕の杜氏の佐藤政一さんがおられて、最近まで8年連続で金賞をとっている実績があります。美幸さんは杜氏見習いとして現在酒造りを猛勉強しているところだそうです。 

 

108006486金水晶の名前は近くにある金山と清水の水晶沢からとった名前だそうですが、美幸さんが蔵に戻ってやった仕事に新しいラベルの作製があります。 

金水晶の純米吟醸しずく絞りは福島県のオリジナルな酒米と酵母で造った袋搾りという新酒ですが、金水晶の漢字のイメージを形にしたデザインにしたそうです。これは女性ならではの感覚のユニークなものだと思いました。佐藤祐輔さんにも見てもらいましたが、とてもいいと感心していました。 

飲んでみるとキレイ系のお酒で、ちょっと甘めですが、味はしっかりして面白いお酒でした。

 

 

5.大七酒造 代表取締役 太田 英晴 

Dsc_0008大七酒造は二本松にある生産高5000石の老舗の蔵で、太田さんはその10代目の当主です。初めてお会いしたのですが、穏やかな口調と上品な物腰はエリート教授のような方でした。 

若いころはロシア文学を好む青年でしたが、大学は法曹界や国家公務員になる道の法学部を選びましたが、最後には蔵に戻ることを決意したようです。 

蔵に戻って一番力を入れたのは生酛の酒質を上げることに取り組むことだったそうです。この日は純米生酛を飲みましたが、とてもあたりが柔らかくしかも味わいのあるお酒でした。 

生酛作りであって、どのお酒も熟成して出しているにもかかわらず、色がついていないし、熟成の香りがあまりしないのは、うまく活性炭を使っているからだと思いますが、そのことをお聞きしたら否定も肯定もされませんでしたので、間違いないと思います。活性炭を使ってもお酒の良さを引き出せる技術は素晴らしいと思います 

6.下越酒造 代表取締役 佐藤 俊一

Dsc_0009下越酒造といってもどんな蔵だか知らない人も多いと思いますが、新潟県の麒麟ですと言えば知っている人も多いと思います。その麒麟の社長兼杜氏をされているのが佐藤俊一さんです 。 

俊一さんの父上は国税局鑑定官でしたが、俊一さんも東大を卒業後国税局鑑定官になられて、親子2代国税局鑑定官というだけでなく、農学博士でもあります。 

佐藤さんが最初に興味を持ったのは出品酒クラスの大吟醸酒を低温で熟成させる淡熟タイプの熟成酒の研究でしたが、その後長期熟成研究会で研鑽され、最近では山廃つくりの純米原酒を常温で熟成させる濃塾タイプの熟成酒も製造しています。 

酒類総合研究所および東京農業大学との共同プロジェクトとして日本酒100年貯蔵プロジェクトがあり、それに蔵のお酒を出品してるそうですが、自分は飲めないけど、100年後には自分のお酒はすごくよくなっているのではとほくそ笑んでいるそうです。

.惣誉酒造 代表取締役 河野 遵(経済学部1983年卒)
                   (代理:河野純子)
 

Dsc_0015惣誉酒造は生産高3000石もある栃木県では大きな蔵です。 河野遵さんは経済学部を出て松下政経塾に行ったほどの方です。今回は用事があって、奥様の河野純子さんがおいでになりました。とてもかわいい感じの方ですね。 後で聞いたのですが奥様も東京大学卒で工学部建築工学科だそうです。

お酒の造りのことはあまり詳しくないようですが(これは僕も思い違いかもしれません)、純米70生原酒をいただきました。兵庫県の特A地区の山田錦を70%しか磨かないというのはある意味では大変贅沢なお酒といえます。 

飲んでみてびっくり。70%磨きとは思えない奇麗さで、高級アルコールの香りが殆どありません。特Aの山田錦は蛋白質が少ないのか、発酵の仕方が違うのか どうしてなのか聞いてみたいものです。 

8.武重本家酒造 代表取締役 武重 有正

Dsc_0010武重本家酒造は佐久市にある生産高3000石の老舗の蔵です。武重さんは工学部精密工学科を卒業してソフト関係のベンチャー企業を立ち上げている根っからの技術屋さんですが、蔵元になる人がベンチャー会社を立ち上げ、その社長をされたということはあまり聞いたことがありませんね。それだけの力量のある方なのでしょう。 

その会社を閉じたのかどうかは知りませんが、蔵に戻られてからは蔵で培われていた生酛つくりの伝承に力を入れたそうです。 

今回は大吟醸おり酒「白珠」を飲ませていただきました。これは生酛つくりではなく、山田錦39%精米の出品酒レベルの大吟醸のおり絡みの部分のお酒だそうです。香りが高く、カプやイソの香りがしたので、酵母をお聞きしたら、M310と1801のブレンドだそうです。まろやかでなおかつ味の広がりもありいいお酒でした。 

この会には息子さんが来られていました。息子さんは応用物理工学科の4年生だそうです。親子そろって東大出身の蔵はここだけではないでしょうか。 良いDNAがあるのでしょう。

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 9.長龍酒造 代表取締役 飯田豊彦

Dsc_0013現在は奈良県にある蔵ですが、もともと奈良県にあった小さな蔵(本家)の息子が分家の形で大阪に酒問屋を作ったのが始まりだそうです。その後現在に至るまでの経緯はとても複雑で簡単には説明できないぐらいですが簡単にまとめてみます。

大阪で独立して店を構えたのが1923年、1963年に大阪に八尾市にお酒のビン詰めを行う長龍酒造を作り、その後1979年に奈良県の広陵町にお酒を醸造する広陵酒造を作ります。その後1993年に長龍酒造と広陵酒造を合併し長龍酒造(ちょうりょう)ができ、今日に至っていますが、その間酒造会社だけでなく十数の関連会社を作り飯田グループができていて、飯田豊彦さんはその主な会社の代表取締役をしているようです。

飯田さんは経済学部出身ですが、蔵本会の参加は今回が初めてだそうです。

飲んだお酒は愛知県で作られ奈良県だけで登録された酒造好適米の露葉風で「山乃かみ酵母」で作ったお酒です。日本酒ー7、酸度2.9のお酒ですが、ワイン的な酸味ですが、あまり棘がないけど、ゆっくり後味が残る面白いお酒でした。

この蔵がどんなお酒を造っている蔵かは今回の試飲だけではわかりませんでしたが、ホームページはしっかりしているし、造りは手つくりの部分と最新のコーンピューター制御の部分がうまく使われているようなので、一度見学してみたいと思いました。 飯田さんお願いいたします

10.㈱喜多屋 代表取締役 木下浩太郎
                  (代理:田中利忠)

今回は従業員の結婚式があり社長が参加されずに、営業の田中さんが見えましたが写真を撮りそこないましたので、ここでの紹介は致しません。喜多屋さんの紹介はまたの機会にいたします。

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2016年11月22日 (火)

月の井酒造は奇跡を起こす蔵かもしれません

八芳園の日本料理店の槐樹で恒例の蔵元さんと一緒に楽しむ会が9月16日に開かれました。今回で15回目になりますが、毎回槐樹のお酒に合わせた特別料理をいただきながら、比較的少人数で蔵元さんと直接お話ができる貴重な会なので、今回も参加いたしました。今回の蔵元は茨城県の大洗町にある月の井酒造の社長の坂本敬子がおいでになりました。月の井酒造はここ2年間連続して全国新酒鑑評会で金賞を受賞している蔵なので、その理由を知りたくて参加したものです。 

2か月以上前の会の話を、どうして今頃ブログに書くのかといいますと、実は10月12日に東京で起きた大停電で、僕の写真データーや録音を保管していたハードディスクが壊れて修理不能となり、その時の写真がなくなってしまったので、ブログアップをあきらめていました。その会の様子をとっていた録音データだけは何とかほかの方法で復旧できましたので、この会を主催している八芳園の窪田さんにお願いして、その時の写真を送っていただいたので、ブログが書ける状態になって、今日に至ったというわけです。 

僕がブログアップを目的とした写真とは異なりますので、うまくはめられるかわかりませんが使わしてもらいます。お酒の個別の写真はインターネットからの写真を使わせていただくことにします。 

まずは蔵の紹介から始めます。蔵は茨城県大洗町にありますが、この地は那珂川のきれいな伏流水があり、潮風が吹き抜ける磯浜で、漁業で栄えたところで、約150年前に創業した老舗の蔵です。代表銘柄の「月の井」は漁船の出船や入船の時の祝い酒として地元に愛飲されており、一時は1500石の生産高があったようです。「月の井」の名前は民謡の「磯節」の歌詞の中にある中秋の名月から名づけられたとも、初代当主の彦市さんが川崎大師に参拝したとき境内にある「月の井」とういう井戸の名前にあやかってつけたといわれているそうです。 

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現在の当主は7代目の坂本敬子さんですが、敬子さんは6代目の当主の坂本和彦さんと1985年に結婚され、蔵の女将として活躍され、3人のお子様にも恵まれました。ところが、2003年に和彦さんに食道がんが見つかり、余命1年と言いわたされたのです。その後、あらゆる最新の治療をしたにもかかわらず、2004年に帰らぬ人となるのです。その年から敬子さんは7代目の党首として、蔵を引き継ぐことになります。 

敬子さんはそれまで酒造りにはほとんど関わってはいませんでしたが、和彦さんと一緒になってオーガニックの酒造りを目指して、それに合った米つくりや蔵の再生などを準備していました。闘病生活の中で、和彦さんが「俺の代で残せるものが何もない」という言葉を聞き、夫の生きた証拠に有機の酒を造ろうと決意して、夫の前でそれを約束したのです。2人で考えて始めた有機のお酒造りをなんとか遂げさせようと思ったそうです。 

そして死の80時間まえに夫が書き残したのが「和の月」という新しいラベルの文字だったそうです。それは感動の物語ですね・・・・・ 

このいきさつについて取り上げた朝日新聞の記事の「80時間」が話題となり、2005年5月にに文芸春秋より死を前にした夫婦、家族の愛の物語として、「さいごの約束 夫に捧げた有機米の酒”和の月”」という単行本がが発行されたのです。その後、2006年の5月にフジテレビで、舘ひろしと安田成美が夫婦役でさいごの約束」の再現ドラマが放映されたそうです。 

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有機米の日本酒を作ることは簡単なことではありません。まずは有機JASの認定を受けたお米を使う必要がありますが、この認定を受けるためには3年以上無農薬である田圃で作る必要があるそうです。たまたま茨城県では長年無農薬のお米を作り続けていた農家の山崎正志さんにお願いして、無農薬の酒造好適米の美山錦を作ってもらえることになったそうです。JASの認定を受けた日本酒を作るためには、製造工程においても有害な化学物質を含んだものは使えません。たとえば、蔵の壁に合板を使うこともできませんし、消毒も化学薬品は使えないので、すべて熱湯消毒をするそうです。大変ですね・・・・・ 

敬子さんのお話では、古くからある蔵なのでJAS認定が取りやすかったのですよとおっしゃっていましたが、麹室だけは思い切って、和彦さんがやりたがっていた杉板つくりにしたそうです。 

念願の有機米「和の月」(なのつき)のお酒ができたのは2004年だったそうですから、和彦さんが闘病中に仕込んだお酒だったのでしょうね。夫にそのお酒を飲んでもらいたかったのではないでしょうか(飲まれたかどうかは聞いていません)。最初のお酒は美山錦60%精米の特別純米酒で、その翌年は玄米に近いお米でお酒を造りたいということで、80%精米の純米酒を造っています。このお酒は試飲できませんでしたが、酸味が強いワインのようなお酒になったそうです。その後はこの2種類を「和の月」として販売してきましたが、2年前に息子の直彦さんが蔵に戻ってきたのをきっかけに、精米度39%の純米大吟醸を今年初めて試験醸造したそうです。 

東京農大に行った息子さんが蔵に戻ってくるまでは蔵元として頑張りたいと酒造りをしてきましたが、何も知らない状態でもここまでこれたのは蔵人が一丸となってサポートしてくれたからと感謝しているそうです。後で知ったことだそうですが、和彦さんが死ぬ前の「和の月」の仕込みに入る前に杜氏の菊池さんに敬子がやりたい酒なのですから、親方何とかお願いしますと頼んでくれたそうで、それだから蔵人が一丸となったのでしょうね。人は心を一つにすると思いがけないパワーがでることを知ったそうです。 

以上「和の月」のメインに蔵の状態をご紹介しましたが、2年前に長男の直彦さんが戻ってきて造りを始めたのがきっかけで、今新しい風は吹き始めたそうで、全国新種鑑評会で2年連続金賞が取れたのもその現れかもしれません。今回その直彦さんが初めて作った新しいお酒の試飲もできましたので後で紹介します。 

試飲をしたお酒は下記の5種類で、それを紹介しましょう。 

1.発泡酒 アクア 純米酒  

2.全国新酒鑑評会金賞受賞酒 大吟醸  

3.和の月 有機純米大吟醸  

4.彦市 純米酒  

5.鯛より 吟醸酒 

いつものように氷が入った桶にきれいに並んでいました。右側に大吟醸と和の月が見えます 

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彦市の酒と鯛よりの酒が見えます。 

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では早速飲んだお酒を紹介しましょう 

1.発泡酒 アクア 純米酒 

Img_9269このお酒は地元のチヨニシキを使った純米発泡酒で、日本酒度-48、酸度3.7、アミノ酸度1.1、アルコール度数8-9%の瓶内発酵させた発泡酒です。 

このスパークリング清酒で、アルコール度数が少ないので、とても飲みやすい女性向きのお酒を狙ったものです。 

名前のアクアは水という意味ですが、大洗町にはアクアワールドという大洗水族館があるので、そこから名前をとったそうです。 

酒質的には甘酢ぱいはずですが、炭酸のさわやかさが前面に出ているので、口当たりの良いお酒になっているので、乾杯酒や睡寝前のドリンクにもいいかもしれませんね。 

2.全国新酒鑑評会金賞受賞酒 大吟醸 

07151041_57883f67d76e8このお酒は平成26年度、平成27年度と連続で全国新酒鑑評会の金賞をとったお酒です。兵庫県特Aの山田錦40%精米で、酒質は日本酒度4.5、酸度1.3、アミノ酸度1.1、アルコール15.8です。 

袋吊りの斗瓶どりを10本とった中から選び抜いた2-3本の斗瓶からとった1升瓶で2-30本という貴重なお酒です。酵母は明利のM310を使ったそうです。 

香りはカプロン酸のかおりですが、それほど強くなく、旨みもほどほどに抑えているけど、中盤からの膨らみがきれいで、酸とのバランスが良く後味の切れ方が素晴らしく、辛みを全く感じさせないお酒で、これなら金賞間違いないというお酒でした。 

温度が上がってくると滑らかになりテクスチャーが素晴らしい。この蔵の杜氏は南部杜氏の菊池さんですが、しばらく金賞をとっていなかったのに、息子さんが蔵に戻って一緒につくりをやるようになってからの連続受賞です。 

3.和の月 有機純米大吟醸 

このお酒は今年初めてオーガニックのお酒として初めて取り組んだ試験醸造のお酒なので、インターネットには写真がありませんでしたので、桶の中の写真で想像してみてください。 

今まで和の月(オーガニックの酒)は美山錦で60%と80%だけを作ってきたのですが、店頭にでると純米大吟醸のお酒と比べられるので、少し悔しい思いをしていたのですが、今までやってきたことに感謝するつもりで39%精米(サンキュー)の純米大吟醸を作ることにしたそうです。有機米を提供している山崎さんと相談したら、茨木では山田錦の栽培は難しいということで美山錦39%でやろうとしてたところに、兵庫県のある農家から有機米の山田錦を使ってくれないかとの申し入れが来てそれを使うことになったそうです。 

酒質についてはよくわかりませんが、飲んでみると上述の山田錦には少し及ばないお酒でしたが、有機米らしい優しさはありました。今年2度目のチャレンジをするので、期待してくださいとのことでした。 

有機のお酒を造るにはお米や設備に制約があるだけでなく、データーをきちっと取っておいく必要があるし、酵母も有機の証明書がなくてはいけないので、酵母は秋田今野の7号系の酵母を使っているとのことでした。そこまでしなくてはいけないとは大変なことね。・・・ 

4.彦市 純米酒 

20150907204536彦市は息子さんが蔵に帰ってきて初めて仕込んだお酒です。彦市という名前は歴代の蔵元が襲名していた名前で、その名前を復活させたもので、地元のお米を使い大洗らしいお酒を造ってみたいということでできたお酒です 

原料米は大洗産の一般米であるチヨニシキ100%使用で、精米度60%、アルコール度数は15-16度で、酵母は協会酵母7号を使っているそうです。 

ラベルは地元の海をイメージしていて、大洗らしさを出していました。 

飲んでみるとお米の香りと高級アルコールの香りがするけど、いやな香りではなく、味は甘みと酸とのバランスが良いなかなか面白いおさけで、後でまた飲んでみたいなという思いをさせるお酒でした。4合瓶で1200円だそうですから、コストパフォーマンスはすごくいいですね。 

5.鯛より 吟醸酒 

02282025_56d2d924645deこのお酒は月の井の定番のお酒として昔から作っていたお酒で、漁師が漁から帰ってきて「今日はよくやたね」と晩酌するお酒としてく造ったものだそうです。ラベルには鯛の絵が描かれていますが、これは落語家の鶴太郎さんが書いたものだそうです。 

お米は美山錦55%、酒質は日本酒度3.5、酸度1.3、アミノ酸度1.1、アルコール度数15.5と標準的なお酒です。 

飲んでみるとさわやかなさらりと飲めるけど、お酒の輪郭がきちっとしていて、食中酒としてとてもいいお酒だと思いました。これは適切なアルコール添加の技だと感じました。 

以上で飲んだお酒の紹介は終わりますが、飲んだお酒はどれも個性があり違い味わいを持っているのに感心しました。これは杜氏の菊池さんの腕が言いことを表しています。 

最後に敬子さんが言った言葉が気になりました。 

今では生産高は500石と小さくなりましたが、10年ぶりに息子が帰ってきて作りを始めたら、また昔の活気が出て蔵人が一つになり始めましたので、これからまた奇跡が起こるような気がします・・・と 

それを大いに期待しましょう。 

最後にお料理をお見せしたいのですが、写真がないので一つだけお見せします。それは「はなみえ」のてまり寿司です。 かわいいでしょう!

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2016年9月20日 (火)

結城酒造の嫁さん杜氏は天才かもしれません?

8月の末に鴨居の鳥みき結城酒造の蔵元をお呼びして蔵元を囲む会があることを聞いて、原則日曜日の試飲会には出ないことにしていましたが、それを破ってでも参加することにしました。それは、あるところで結城酒造の杜氏はまだなりたての新米の女性杜氏ですが、そこの雄町の酒は素晴らしいというを聞いていたので、その秘密を探るために万難を排して参加することにしたのです。 

当日は蔵元の浦里昌明さんとお嫁さんで杜氏の浦里美智子さんがおいでになりました。お二人に美智子さんが杜氏になられた経緯など色々とお聞きすることができましたので、後程ご紹介したいと思います。 

この方がご主人の昌明さんです。とてもまじめな感じの方で、色々なことを正直にお話しいただきました。現在39歳で美智子さんとは同級生だそうです。 

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この方が奥様で杜氏の美智子さんです。とても明るい方で、パワーあふれるイメージで、失礼ですが繊細な杜氏のお仕事ができるのかなとちょっと思ってしまったのですが、実は全く違う一面があったのです。後で紹介しますね。
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お二人のお話をする前に蔵のことも少し紹介しておきます。この蔵は関東地方の中央に位置する茨城県の結城市にあります。栃木県とは隣り合わせの場所になります。結城家がこの地に来たのは鎌倉時代で守護としてこの地を納めてた時のようです。その後徳川家康の次男であった徳川秀康が秀吉が天下を取っていたとき、結城家に養子に行くことになり結城秀康としてこの地を納めることになったようです。 

秀康はお酒が好きで、京都から関東に来てもおいしいお酒を飲みたいと近江商人の近江屋久右衛門を呼び寄せ、造り酒屋を創業したそうですから、創業は1594年となるようです。ものすごく歴史のある蔵なのですね。創業当時の屋号は「近江屋」で富久福という酒名は江戸時代から明治時代のようです。 

現在の社長は昌明さんの父の浦里和明さんで37代目だそうです。この蔵は地域の冠婚葬祭で大量に消費するためのお酒を専門に作っていたようで、ほとんど普通酒だたそうですが、大手蔵の価格攻勢を受けで徐々に生産量が減ってきていたそうです。昔は越後杜氏が来ていたのですが、高齢のため辞めることになって、しばらく社員だけでつくりをしていたのですがその人も辞めたので、父と昌明さんの二人でだけでなにか新しいお酒を造ろうと始めたのが「結」だったそうです。これが7年前のことだそうです。 

「結」は地元に人にデザインをしてもらうなど、新しいお酒にはしたのですが、中身は本醸造レベルでこれではダメだと何とかしなければという状態だったそうです。美智子さんは9年前にこの蔵にお嫁に来て以来、酒造りを手伝っていたのですが、そんな時に茨城県の工業技術センターで、酒造研修があるという話が舞い込んできました。 

美智子さんは常々良いお酒を造ってみたいと思っていたし、子供も保育園に預けられる環境になったので、軽い気持ちでやってみたいと昌明さんに言ったそうです。昌明さんはお酒造りのお手伝いの仕方を見ていて、仕事が非常に丁寧できちっとしたやり方をしているので、自分より美智子の方が酒造りに向いていると思って許可したそうです。昌明さんは見る目があったのですね。 

研修所での勉強は5年前のことですが、とても勉強になっただけでなく、楽しかったそうです。蔵に戻って4年前に初めて酒造をしたそうですが、研修所では茨城県産の美山錦で酒を造っていたにも関わらず雄町でやることになったので、研修所の先生にこの秋から雄町50%の純米吟醸仕込みでやると言ったら、えー本当!と驚いていたそうです。それから、先生の指導を受けながら始めたそうです。 

雄町を決めたのにもいろいろな偶然があったそうです。その当時良いお米を手に入れようとしても売ってくれるところはなかったそうですが、たまたま八王子にある無農薬のお米を専門に扱っているお米屋に声をかけたら、無農薬の雄町ならあるといわれて購入することになったそうです。 

雄町は酒造りにとっては初心者がフェラーリーに乗るようなもので、本当は大変難しいお米ですが、初めから雄町だったので、米は溶けやすいものという感覚が身についてしまったそうで、逆に五百万石は難しかったそうです。初めて造った雄町の純米吟醸の評判がよく取引先から高い評価を得たそうです。 

2年目の作りから生産量も増やして、雄町サミットに初めて出品したら優秀賞を得て、その後2年連続して賞を得て、今年は吟醸酒の部門と純米酒の部門の両方で優秀賞を取りました。吟醸酒の部門と純米酒の部門で両方優秀賞をとったのは他には磯自慢酒造と宮下酒造の2蔵しかないのですからすごいことです。おめでとうございます。 

杜氏になったのは3年目からだそうで、全国には最近女性杜氏が増えてきていますが、お嫁さんが杜氏になっているのは非常に少ない思います。確か長野県の尾澤酒造しかないかもと思います。 

杜氏になるのはそんなに簡単なことでしょうか。新人の杜氏で凄いと思っている人に廣戸川の松崎祐行さんを思い浮かべます。彼も福島の研修所で研修を受けたあと最初に作ったお酒で、しかも福島県産の「夢の香」の純米酒で全国新酒鑑評会で金賞をとっています。それ以来今年も含めて5年連続金賞をとっています。去年彼にお会いした時にどうしてそんなことができるのとお聞きしたら、福島県の先生の言う通りしているからですと謙遜して言われていました。その点は美智子さんとの共通点があるのかもしれません。 

杜氏になるための条件について、僕の日本酒の先生の菅田ゆうさんの言葉によると、「センスと性」だそうで、センスは感覚の部分でお酒の香り、味わい、麹の出来具合、醪の状態など勉強すれば身につけられるかもしれないけど、性格は生まれつきのものなので身につけるのは難しいそうです。どんな性格が必要なのでしょうか。それは細かいことでもきちっと考える計画性とそれをやりとおす努力だそうです。美智子さんはもともと専業農家の生まれで、小さいときからご両親が畑仕事をきちっとやることを見ていたので、その感覚が身についたそうです。それを見抜いた昌明さんが素晴らしかったのかもしれませんね。

美智子さんを見ていると自分が天才などとはこれぽっちも思っていないと思いますが、今まで雄町を使いこなそうと努力して上手くいかなかった人はたくさんいる中で、これほど簡単に雄町のお酒を造れるようになったことを考えると天才と考えてもいいのかもしれません。でも今までは怖いもの知らずで突き進んだのが良かったけど、お酒造りの奥の深さが判ってくるこれからが正念場なのかもしれません。でも、美智子さんの明るさをもってすれば、気楽に通り超えていくかもしれませんね。 頑張ってください。

以上が美智子さんが杜氏になった経緯ですが、これ以降は飲んだお酒の紹介を簡単にしたいと思います。

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写真には13本が並んでいますが、最初の左端は8番と一緒のものかもしれません。具体的なリストを下記に示します。すべて生酒です。 

① 結 純米大吟醸 備前雄町38%精米 おりがらみ 

② 結 純米吟醸 山田錦50%精米 うす濁り 

③ 結 純米吟醸 まっしぐら45% 亀口直汲み 

④ 結 純米吟醸 備前雄町50% 雫酒 

⑤ 結 特別純米 赤磐雄町60% 袋吊り 

⑥ 結 特別純米 赤磐雄町60% おりがらみ 

⑦ 結 特別純米 きたしずく60% 雫酒 

⑧ 結 特別純米 きたしずく60% 雫酒60% 27BY 

⑨ 富久福 特別純米 山田錦60% 25BY 

⑩ 富久福 特別純米 五百万石60% 

⑪ 富久福 純米 山田錦90% おりがらみ 27BY 

⑫ 富久福 純米 山田錦90% おりがらみ 26BY 

1本1本を説明する前に結と富久福の違いを説明します。 

結 はお酒だけを飲んでも楽しいお酒で、香りは高めですが、そんなには強くしたくないので原則酵母は明利酵母のM310です。Mは明利のMで310は水戸の意味だそうです。知らなかったな。 

富久福は食に寄り添うお酒で穏やかで香りは控えめだそうで、酵母は7号酵母だそうです。

それでは一つ一つのお酒の紹介を簡単にします

① 結 純米大吟醸 備前雄町

  雄町らしい余韻が伸びるお酒でした。このお酒は今年初めて造った純米大吟醸で、生酒を-1度の冷蔵庫で半年寝かせて秋に出すのだそうです。全国新酒鑑評会を狙うのなら火入れをしないとね。それも飲んでみたかったですね。

② 結 純米吟醸 山田錦 うすにごり

 うす濁りなので滓が混ざっているし、炭酸ガスが残っているのでシュワシュワ感のあるお酒でした。生の青々しさを感じるジューシーなお酒でした

③ 結 純米吟醸 まっしぐら 亀口直汲み

 まっしぐらは青森県産の一般米です。精米度は45%ですが、飲んでみると味がしっかりしていてどっしり感のあるお酒でした。きっと一般米で心白がないので、みがいても蛋白質が残っていてアミノ酸や高級アルコールが増えてコクのある味になったものではないかな。

亀口直搾りとは藪田の搾り機から亀口に出たお酒を直接瓶に詰めるやり方だそうです。

④ 結 純米吟醸 備前雄町 雫酒

 今日飲んだ中では一番雄町らしさが出たお酒のように思えました。口の中でうまみがスッと伸びてくれます。美智子さんが初めて造ったお酒ですから、味も安定しているのだと思います

⑤ 結 特別純米 赤磐雄町 袋搾り

 岡山県産でも赤磐雄町にこだわったお酒で、袋搾りのお酒です。この蔵では袋搾りを雫酒と呼ぶこともあり、今後は雫酒に統一するそうです。袋搾りなので口当たりが柔らかいお酒でした。香りも味も少し強めの感じがしましたが、お米より精米の差かもしれませんね。

⑥ 結 特別純米 赤磐雄町 おりがらみ

 おりがらみは薮田から出たお酒に滓が入ったものです。口当たりは⑤とはあたりが全く違うお酒でした。味は少し抑え気味に感じました

⑦ 結 特別純米 きたしずく 雫酒

 きたしずくは北海道で開発され、平成26年に採用された酒造好適米で、雄町とほしのゆめと空育156号(吟風)を掛け合わせてできたお米です。心白がでやすく、雑味が少なく柔らかい味わいのお米と言われています。今年初めて使用したお米で、飲んでみると口に含んだ時のインパクトは少ないけど、素直な感じで後ろの方に広がり嫌みのないお酒でした。意外に良いかも。

⑧ 富久福 特別純米 山田錦 27BY
⑨ 富久福 特別純米 山田錦 25BY

 ⑧のお酒は今年の酒コンペティションでゴールドをとったお酒です。それを2年蔵で寝かせたのが⑨です。どちらも7号酵母を使っているので⑧はイソアミル系の香りがしますが、⑨は熟成の香りが強くて、元の香りが良くわかりませんでした。やはり生酒の熟成は難しいと思います。今度はぜひ火入れでお願いしたいな

⑩ 富久福 特別純米 五百万石

 新潟県産の五百万石を使ったお酒で、静岡県の酵母を使ったそうです。イソアミル系の香りがしました。でもなんとなく頼りなかったかな

⑪ 富久福 純米 山田錦90% 27BY
⑫ 富久福 純米 山田錦90% 26BY

 山田錦といえども90%精米なので、玄米由来の独特のの香りと蛋白質からくる高級アルコールの香りが強く出ていました。そのためか熟成の香りが抑えられてしまい、良くわかりませんでした。最後に飲んだお酒だったので、こちらもだいぶ酔っていたので正しい評価ができない状態でした。

鳥みきさんがこの会のために素晴らしいものを出していただけました。それは伊勢海老の生き造りです

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最後に昌明さんこれから夢をお聞きしました。

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現在は蔵の生産高は200石なので、いいお酒を造ってもなかなか相手にされないことが多いので何とか500石くらいにしたいそうです。そのためには貯蔵設備などのいろいろな設備投資や人材の確保など大きな問題がありますが、5年後くらいに達成したいそうです。つくりを一緒に手伝っていただいている弟さんが銀行出身なので、その力も利用していきたいとのことでした。

最後に僕と美智子さんのツーショットをお見せしましょう。

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最後に美智子さんにお願いがあります。今は設備も人もないので火入れをする余裕がなく、ほとんどが生酒だそうですが、ぜひ火入れのお酒造りがメインになるようにチャレンジしてください。生酒は酒の管理が難しく、消費者にとっても火入れの酒が安心できます。でも火入れは簡単なようで難しい技術なようですが、味は生に近い1回火入れができるようにしてもらいたいと思います。それで全国新酒鑑評会で金賞を取れたらいいですね。

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2016年8月28日 (日)

山本の酒は確かに良くなってきていますね

7月に五反田の野崎屋で山本合名会社の社長兼杜氏の山本友文さんをお呼びして「山本を楽しむ会」が開かれましたので、参加してきました。この蔵は白瀑(しらたき)というお酒を長年造ってきた蔵ですが、友文さんが杜氏になって造り始めたのが山本シリーズで、初めて造ったお酒を近所の酒屋に持っていたら、白瀑ではない名前にしたほうがいいということで、つけた名前だそうです。しらたきと呼んでくれる人はあまりいないし、山本のほうが判りやすいということで、今では全生産量の7割が山本だそうです。 

まず蔵の紹介をしたいと思います。山本合名会社は明治34年に創業した蔵で、秋田県のはたはた漁で有名な八峰町にあります。この地は能代から約16KMほど北に行った日本海と白神山地に挟まれたところで、蔵は海岸までは300mほど、白神山地の麓までは東に約1kmほどの所にあります。この白神山地の麓に白神神社があり、その裏山に高さ17mの白瀑があることから白瀑という命名されたそうです。 

この蔵の特徴の一つは仕込み水にあります。蔵が海岸の近くにあるので、地下水を使うことは難しく、蔵から3kmも離れた白神山地の中腹から湧き出る天然水を蔵まで引き込んで使っているそうです。この工事は村民総出で手堀りをして水道管を引いたというから、その当時の蔵の勢いが想像できますね。しかも湧き水が出る場所と蔵のと標高差は100m(水圧10K)もあるので、蔵で水を止めると水圧で水道管が壊れるので、水は垂れ流しているそうです。この水は軟水で柔らかくお酒造りに適しているとのことでした。 

大正時代に入って生産量が増えて、昭和40年には全国に先駆けて大吟醸の出荷を開始し、東京や神戸の料亭に提供するするほど勢いがあったそうですが、昭和の後半から日本酒業界の衰退に巻き込まれ、生産量も最盛期の1/10にもなったようです。そんな状態の時に友文さんは蔵に戻る決意をしたようです。 

まず、山本友文社長をご紹介します。下の写真はお酒の説明で熱弁をされているところです。蔵に戻って14年、現在6代目社長で、杜氏になって9年、8造をしたばかりの46歳のベテランの蔵人と言えます。 

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友文さんはアメリカのミシガン州の大学で機械工学を勉強した後、東京で音楽プロダクションで働く仕事をされていました。きっと音楽が好きだったのでしょうね。蔵に行くとビートルズのBGMが流れているそうですから、そんな片鱗が見えますね。親からの要請で32歳の時に蔵に戻ったそうですが、この時は経営的に苦しく破産寸前だったそうです。 

蔵に戻ってすぐやったことは営業強化で、全国各地の地酒専門店に売り込みをしましたが、「この程度の酒質では家ではとても扱えない」という返事ばかりだったそうです。店主が勧めるお酒を購入し、どんなお酒なら売れるのかを勉強した結果、やみくもに売るのではなく自信をもって売り込める酒に限定して販売する方向に舵を切ることにしました。でもいい酒はなかなかできない状態だったので「最後は自分で酒を造ってみよう。それでだめなら諦めよう」決断したそうです。 

そこで、従来からの杜氏制をやめて、自ら製造責任者兼杜氏になること決めたのが9年前で、今年で8造りを経験したことになります。まず、蔵の個性は何かを考え、醸造用アルコールを添加する酒をやめて純米酒だけにすることと、華やかな香りがするカプロン酸エチル系の酵母ではなく、シックな香りが出る酢酸イソアミル系の酵を中心に据えることにしたそうです。幸いにも秋田県には総合食品研究センター内に醸造試験場酒類グループという酒造りの専門組織があり、そこの先生に色々と相談させていただいた結果、ベテラン杜氏がいない素人集団でも、何とか酒造りができるようになったそうです。 

そんな折、同じように自ら酒造りを行っている蔵元5人と技術交流を目的とした「NEXT5」を結成し、お互いに切磋琢磨する環境ができ、ますます酒造りの腕が磨かれることになったようで、今では自ら酒造りを始めた9年前の3倍以上の生産量の約1400石になっているようです。 

ちょっと面白い話を耳にしましたので紹介します。山本さんは麹造りが味を決めるポイントだとよくいわれていますが、そのためには麹室をいつも清潔にしておく必要があると考えています。ですから麹室には、お掃除ロボットのルンバと床拭きロボットのブラーバを入れているようです。さらにオゾン水生成機を購入して手洗いや口ゆすぎの洗浄用の水として使っているそうです。さすが、機械屋さんですね。いいものはどんどん導入するみたいだけど、趣味的なところもあるのではないかな。 

また、酒造りは米つくりからを徹底させ、蔵の仕込み水が100%流れ込む田圃で、自ら酒米を栽培することもしているようで、そのために蔵人が朝晩田圃まで行って。仕込み水が夜だけ田圃に流れるように切り替え作業をするそうです。仕込み水で酒米を作る例は他にはないようですが、そこまでやる価値があるのかな・・・・。 

では次に飲んだお酒の紹介をしますが、その前にこの会を開催した野崎屋の紹介をします。野崎屋は池袋の酒菜家をはじめとする野崎酒店グループの中では去年開店した一番新しい居酒屋で、五反田駅西口から歩いて5分のところにあります。初めていく時はちょっとわかりにくいので、インターネットでお店を検索するか、電話してみてください。

03-3779-5730 

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店長は本庄一紀さんです。本庄さんは利き酒師で調理師の免許を持っているので、お酒もお料理もわかる方です、下の写真の青いシャツを着て、マイクを握っています。 

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左の橙色のシャツを着ておられる方は野崎グループの総店長の野崎紀治さんです。 

それでは早速お酒を紹介しましょう。まずはリストを見てください。本日は10種類の山本と最後に隠し酒が1本でました 

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この会ではお料理にも大変気を使っていただいたようで、秋田の様々な貴重な材料を使った心あるお料理を提供していただきましたが、いただいたメニュをなくしてしまいましたので、あまり紹介出来ないことをお許しください。

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これが最初に出た前菜ですが、左の上には秋田県産のジュンサイが出されました。山本さんのお話ではこのような小ぶりのジュンサイは高級品でめったに食べられないそうです。

お酒をご紹介するにあたり、原料米と精米度は当然わからないと意味ないし、香りと味を決めるのは酵母なので、それはしっかり紹介したいと思っていたのですが、会の初めに酵母の質問は受けないような発言があり、がっかりしていていました。でも実際は本人が自分で紹介していましたので、わかったものについては書いておきます。

1.ドキドキ 山本 純米吟醸
 

Dsc_0294_2酒こまち55%精米、日本酒度+2、酸度3.2、alc15%の純米吟醸で、7月限定発売の夏酒です。夏でもぐいぐい飲めるようにアルコール度数を落として、リンゴ酸を出す特殊な酵を使って、軽くて爽やかな酸があるのが特徴です。 

確かに酸っぱいけど氷を入れて夏にぐいーと飲むには良いおさけだと思いました。 

お酒の名前がドキドキというのはどうしてかな。初キッスのイメージらしいのですが、僕のようなお爺さんにはわからないのかも。  

2.山本 ピュアブラック 純米吟醸 生原酒 

Dsc_0298_2酒こまち麹米50%精米、掛米55%精米、日本酒度+2、酸度1.8、alc16%の純米吟醸で、山本さんが杜氏になって最初に作った酒だそうです。当初は薫り高い酵母を使っていたようですが、現在はイソアミル系の香りがする秋田酵母12号を使っているそうです。酒質としては少し辛めで酸度を高めにして切れを出しているそうです。 

飲んでみるとバナナ系の香りがしますがそんなに強くはなく、口に含んだ後、すうっと消えていくお酒でした。この味にするには酵母だけでなく麹造りがポイントだそうです。 

なお生原酒は升新商店だけのオリジナルブランドだそうです。 


3.山本 ミッドナイトブルー 純米吟醸 1回火入
 

Dsc_0299酒こまち麹米50%精米、掛米55%精米、日本酒度+1、酸度1.6、alc16%の純米吟醸です。 

このお酒はピュアブラックとつくりはほぼ同じなのですが、酵母をこまち酵母R-5に変えて、香りを少し乗せて酸を抑えぎみにしたお酒だそうです。 

確かに飲んでみるときれはピュアブラックと同じくらいですが、酸が嫌みのない軽い酸なので、あまり強く感じません。寿司や向きといわれるのはよくわかります。 


4.山本 試験醸造 純米大吟醸 生原酒
 

Dsc_0301試験醸造は毎年何種類か必ずやるそうで、今年も4種類やったそうで、そのうちの1本がこれだそうです。 

三郷錦35%精米、日本酒度+1、酸度1.7、alc15%の純米大吟醸で酵母は秋田県で最近開発したUT-2を使っています。UT-2は長時間冷蔵保存しても搾りだての味をそのまま保持することができる酵母だそうで、具体的には生ひねの原因となっているイソアミルアルコールの生成をできるだけ抑える酵母だそうです。

飲んでみると後味に綺麗な酸味を感じて、余韻を残して消えていくバランスの良いお酒でした。UT-2の酵母はなかなかよさそうですね。4合瓶で4400円もするお酒ですが、一度飲む価値はあると思います。  

5.山本 スパークリング 純米吟醸生 

Dsc_0307このお酒はピュアブラックの生酒を粗目のフィルターでろ過したままビン詰めし、瓶に中で2次発酵させると、ビン内の糖分が酵母に食べられ、アルコールと炭酸ガスになり、ほとんど糖分にない発泡酒になるそうです。2次発酵前の日本酒度はー1ぐらいでしたが、発酵後の日本酒度は+8~+11くらいになるそうです。 

お米は酒こまちで日本酒度+11、酸度1.8、acl14%です。 

このお酒は単独で飲むと、ちょっと辛めの発泡酒という感じで物足りないのですが、お肉料理の肉の油を切ってくれるので、ぴったりです。この会でもローストビーフに合わせて出てきました。 

このローストビーフは山本酒造の酒粕を食べて育った白神牛でとても珍しい貴重な和牛だそうで、この会のためにわざわざ取り寄せたそうです。 

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6.山本 白 純米吟醸 1回火入 

Dsc_0304このお酒は山本さんが持っている田圃で、無農薬、無化学肥料で山本さん自らが育てた酒こまちだけで仕込んだ純米酒です。 

このお米つくりは手がかかっているので、米単価は非常に高くなるし、量が少ないので、米つくりに参加した酒屋さんだけに取り扱ってもらっているそうです。全国で10店、秋田でも5店だけで、価格は1升4000円もしますが、原価割れの価格なのでお買い得だそうです。 

酒質としては、酒こまち58%精米以外の情報は全く書いていませんが、飲んでみるとピュアブラックに近いバランスでしたが、後味にざらつきが残るのと穀物臭が感じがしたのは精米度のせいかもしれません。 

 

7.山本 サンシャインイエロー 山廃純米吟醸 

Dsc_0311一般に山廃仕込みのお酒はちょっと熟成香がして、味がしっかりして独特の酸味があり、お燗に合う酒というイメージがあるのを逆手に取って、夏の時期に飲んでおいしい、お燗ではなく冷やして飲む山廃を目指したものだそうです 

この会では酒質が紹介されていませんでしたが、ほかの店の情報によりますと、酒こまち55%精米、日本酒度+4、酸度2.3、alc15.5%で酵母は蔵付き培養酵母のセクスイ山本酵母だそうです。 

秋田県では秋田県の13の蔵付き酵母を培養して公開しましたが、この酵母は分離された蔵でしか使うことはできませんが、山本の蔵付き酵母は4番酵母で、山本さんがセクスイ酵母と名付けたそうです。 

飲んでみると落ち着いた香りとすっきりとした酸味を感じる山廃らしくないお酒で、夏ロックで飲んでもいいかなと思いました。 

8.山本 金賞受賞酒 純米大吟醸 

Dsc_0314全国新酒鑑評会で金賞をとっているお酒のほとんどが、山田錦で、酵母が18号系かM310で、アルコール添のものが多いので、山本さんは金賞を狙うのであれば、その条件でないもので取りたいと考えていました。 

平成24BYでは米は秋田こまち、酵母は秋田県の開発した「こまちR-5」の純米大吟醸で見事金賞をとりました。その後26BYでは今や秋田ではあまり使わなくなったクラシック酵母のAK-1で出品し見事金賞をとりました。27BYでは新政の6号酵母(6年前に新政からもらったものを自家培養したもの)を使ってまたも金賞を受賞して関係者を驚かせています。一番心配だったのは新政の杜氏の古関さんだったのではないでしょか。山本さんにはプレッシャーはなかったかもしれませんが、古関さんは新政が金賞を逃して山本だ受賞したらと、気が縮む思いだったと思われます。でも新政も金賞が取れてよかったです。 

酒質については紹介されませんでしたが、ほかの店の情報によると、お米は酒こまち40%精米、日本酒度+1、酸度1.6、alc15.5%だそうです。飲んでみると、落ち着いた吟醸香で、爽やかできれいな味わいですが、軽い酸味とあわさった、格上のお酒でしたが、新政の6号酵母とは違う味わいでした。同じ酵母でも造りで変わるものですね。 

今年は6号酵母の純米酒で金賞をとり、秋田県の他の蔵も山本が取れるならば俺たちも純米でチャレンジしようという蔵が増えたそうです。来年は7号酵母でチャレンジするつもりだそうです。どうなるのか楽しみですね・・・・・・・

9.山本 和韻 純米吟醸 生原酒
 

G_osake6121このお酒は蔵元と一緒に酒を造ろうという企画のお酒で、10軒の酒販店が2月に蔵に行って酒造りのお手伝をしてできたお酒です。 

このお酒の狙いはワイン酵母を使ったお酒ですが、ワイン酵母だけだと、香りがなく酸度も4以上になった上にアルコール度も12~13と低かったので,UT-2を半分加えてできたお酒です。 

酒質は酒こまち55%精米、日本酒度-3、酸度2.0、alc14%

ふくらみがあり後味の余韻がワイン酵母の酸の良さが出て、ワインのような後味を感じる面白いです。これは一度は飲んだほうが良いお酒だと思います。

秋に美山錦45%の和韻第2弾が出るそうなので、期待しています。なおこの写真は升新商店の写真を使わせていただきました。 

10.山本 ストローべりレッド 純米吟醸 1回火入

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このお酒はピュアブラック、ミッドナイトブルーとは姉妹関係にあるお酒で、お米と精米具合は同じで、酵母は秋田のクラシック酵母であるAKー1を使っていますが、一番違うのは麹に白麹を使っていることです。

麹の中の1/3を白麹を使っていることです。黄麹は口でかむと甘みを感じるのですが、白麹はレモンの輪切りを噛んだような酸味を感じるそうです。この酸はクエン酸だそうで、この酸のおかげで焼酎の中の雑菌の繁殖を抑える効果があるようです。

全量白麹にすると酸っぱすぎて飲めないので、1/3に抑えたそうで、酒質は酒こまち麹米50%、掛米55%、日本酒度±0、酸度2.3、alc15.5%でした。

飲んでみると思ったほど酸っぱくはなく、1番のドキドキの方が酸っぱいくらいでした。どっちの酸が好きかは好みの問題でしょう。

番外編:NEXT5 Bar Zingaro

Dsc_0322_2今年のNEXT5の共同醸造品のBar Zingaroです。NEXT5が結成されたいきさつについては、良く知られていますので、ここでは省略しますが、NEXT5が結成されて、今年が7年目になります。5年で各蔵の担当が一回りをして、去年から再度新政に戻ったのですが、今までと同じことをしても面白くないということで、他の業界の人とのコラボレーションを始めることになったそうです。

去年はテクノミュージックのアーティストのリーチフォーティンとのコラボをしたのですが、今年はホップアートの村上隆とのコラボレーションで生まれたお酒です。

酒質は山田錦45%精米、日本酒度+3、酸度1.6、alc15%で、ゆきの美人の秋田醸造で新政流生酛つくりで作ったお酒です。

このお酒はお酒のデザインに興味のある人が発売日に買いあさって高値の転売が起きるほどの過熱ぶりでしたが、これを企画したNEXT5の皆さんの思いとは全く違う動きなので苦々しかったのではと思います。

以上で山本の会で飲んだお酒の紹介を終わりますが、最後に久しぶりにいろいろな山本の酒を飲んだ僕の印象を述べさせていただきます。

率直な話、山本の酒がこんなに良い酒になっているとは思いませんでした。ただ綺麗なだけではなく、味にはいろいろな狙いを持った味わいをもっており、それがある幅の中にきちっと納まっているのに驚かされました。お酒のネーミングなどに山本さんらしい遊び心は大いに感じられるのですが、お酒にはちゃんとバランスをもって表現されているのは、山本さんが一皮むけた大人になったのだと感じました。NEXT5の環境で切磋琢磨することにより、酒造りの技術の向上だけでなく、精神的にも成長されたのだと思います。しかも肩の力を抜いて新しいことにチャレンジされているのがとても素晴らしいと思いました。これからもますますユニークで人を驚かせるお酒を造ってください。

最後に今回お料理を提供していただいた野崎屋さんに厚くお礼申し上げます

そして最後に一緒にお酒を飲んだ女子グループとこの会のサポートをしていただいた升新商店の社長の山崎さんの写真をの載せておきます。

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最後の最後に山本さんとのツーショットも載せておきます

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2016年8月20日 (土)

毛利酒造は小さいけど将来を感じる蔵でした

先日、八芳園の日本料理店の槐樹で第14回蔵元さんといっしょに日本酒を愉しむ会に参加してきました。今回は福井県の毛利酒造の社長の毛利徹郎さんをお呼びしての会でした。毛利酒造のお酒は2013年の福井県酒造組合主催の地酒の会として「越前・若狭の地酒と蛍の夕べの会」に参加した時に初めて飲んだのですが、その時はあまり印象が強くなかったように思います。でもこのたび初めてじっくりいろいろなお酒を飲んだのですが、一つ一つが味わい深く、もしかしたら将来面白い蔵になるような予感がしましたので、ご紹介したいと思います。 

毛利酒造は創業が昭和13年と若い蔵ですが、蔵ができた経緯が変わっていて、創業者の毛利淳吉さんはもともと税務署の職員をしていたのですが、たまたま宿場町であった東郷の酒蔵が売り出されるのを聞いて酒造の免許を取って買い取ったのが始まりだそうです。その蔵は「天田屋」という蔵で、戦国時代から酒つくりをしていた老舗の蔵だったようです。 

初代の当主が詩人の大町桂月が好きだったことから「越の桂月」というブランドを立ち上げたそうです。現在は3代目の毛利徹郎さんが社長で、そのブランドを引き継いでおられますが、「梵」にいた南部杜氏が蔵に来ていただいて、いい酒ができるようになったとのことです。 

毛利酒造は福井の九頭竜線の越前東郷駅にある蔵で、この地は白山をルーツとする足羽川の伏流水が豊富なところで、米処でもあります。近くには佐々木小次郎が秘伝の技の「燕返し」を編み出したといわれる一乗の滝もある自然豊かな場所で、海の幸や山の幸が豊富でおいしい食べ物が多い土地です。ですからこの蔵のお酒は食中酒としてお料理を邪魔しない酒、香りは少なめで料理に寄り添うようなお酒を目指しているそうです。 

このところ、食事に合うお酒として知名度を上げてきたのですが、平成25年発売した「沙利」がお寿司に合うお酒として評判になり一気に注目されるようになったそうです。沙利という名前はサンスクリット語のお米を意味する「砂利」、お釈迦様の遺骨を意味する「舎利」、お寿司の酢飯を表す「シャリ」などをもじってできた造語だそうですが、面白い名前ですね。

今回はほとんど沙利シリーズのお酒を飲むことが出きました。沙利はどんなお酒なのでしょうか。後でご紹介しますがまず飲んだお酒を見てもらいましょう。

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透明な瓶に入っているのが全部沙利シリーズのお酒です。瓶を透明にしたのはお寿司に合わせるお酒というイメージを出すためだそうですが、実は透明な瓶は紫外線を通しやすくお酒の痛みが速くなるので、実際に販売するときには
光を通さない遮光フィルムの袋に入れているとのことでした。

それでは今回お酒の紹介をしていただいた毛利酒造の社長の毛利徹郎を紹介します。

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徹郎さんはもともと、サラリーマンで婿養子としてこの蔵に入ったそうで、造りのことは詳しくなかったそうですが、酒つくりについては杜氏とよく議論をして進めているそうです。黒龍の水野社長とは同い年で交流も深く、色々ご指導を受けたり、福井県食品加工研究所の久保先生とも懇意で、色々ご相談できるとても良い環境をおつくりになっているようです。また息子さんは24歳でもうすでに蔵に入って修行されているようで、県の醸造研究所に研究に行ったりして腕を磨いているとのことでした。 いずれ息子さんが杜氏の後を継ぐことになるのでしょう。

槐樹の日本酒の会は出てくる日本酒に合わせて、お料理を出すという珍しい趣向の会です。それだけに料理長は事前に日本酒を飲んでお料理を決めているようです。料理が出た時にその説明をしていただければ、その内容をこのブログで紹介できるのですが、それがないので、今回も別々に紹介します。 

では飲んだお酒の紹介をいたします。飲んだお酒は6種類ですが、8種類のお料理に同じお酒を2回合わせて使いました。お酒は全部の写真を個別に取ることはできませんでしたので、組み合わせで紹介します。 

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1.越の桂月 純米大吟醸  

黒い瓶のお酒が越の桂月の純米大吟醸です。山田錦40%精米の19BYの純米大吟醸で、5℃の冷蔵庫で熟成したものです。5℃で熟成したものとは思えないほど、綺麗な熟成をしていて、香りも穏やかで丸みが出て優しい味わいのお酒でした。このお酒は非売品で、このような会でしか出していないお酒だそうです。2種類の酵母のお酒をブレンドしているお酒だそうですが、熟成しているので酵母の香りはわかりませんでした。

2.沙利 燗左紫 純米酒
 

このお酒は赤い文字で燗左紫(かんざし)と書いてあります。紫とはお寿司につけるお醤油のことで、その左にお燗をしたお酒を置いて飲んでくださいという意味だそうです。このお酒は山田錦65%精米の純米酒で、酵母は協会9号、日本酒度は+5、酸度1.4、アルコール度数16%でした。飲んでみると少し熟成香があったので、お聞きしたらお燗に合うように1年熟成しているお酒だそうです。後味が綺麗でいて、あたりが柔らかく、ちょっととろみ感があるお酒でしたなかなかいいのではと思いました

お燗にした燗左紫も飲みましたが、香りを嗅いだだけでは熟成香はあまりしないけど、口に含むとはっきりわかります。確かにお燗をするとまろやかになり、口になかでのふくらみが大きくなる感じです。僕は熟成香がちょっと気になるので、軽く炭素ろ過して香りをとるのも面白いかなと思いました。もちろん味は変化すると思いますが、どのようにするかは蔵の技ではないかな。

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.沙利 5割諸白 純米大吟醸  

このお酒は沙利の標準のお酒で、山田錦50%精米の純米大吟醸です。5割諸白とは麹米も掛米も50%精米という意味だそうです。このお酒こそ寿司にあったお酒を狙ったもので、日本酒度は+4、酸度1.7、アルコール度16度で、酸味を利かしたちょっと辛口のきれのあるお酒でした。酵母は9号酵母と10号酵母のブレンドだそうです。このお酒は温度が上がってきて、室温位になると柔らかさが出るようです。 寿司に合わせるにはそれの方がいいかもしれません。

4.沙利 風凛 辛口純米大吟醸 

左の写真のなかのラベルが青いお酒です。夏限定の辛口に仕上げているお酒で、去年までは山田錦を使っていましたが、今年から五百万石50%精米に変えたそうです。酵母は14号を使っているそうです。日本酒度は書いてありませんが、アルコール度数は15%でした。後味がすっと伸びる感じで綺麗な余韻があり、しかもイソアミル系の酵母独特の後味にシジミのだしのような辛みが残りますが、嫌みがなく上手くまとめていると思いました。とても良い夏酒だと思います

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.沙利 朧月 純米吟醸滓絡み 生酒

右の写真のお酒で、山田錦60%精米の純米吟醸の滓がらみの生酒です。生酒らしい滓の感じが少なく、口に含むとふわっと丸く膨らんでくるので、うまく作っていると思いました。酵母は9号だそうで、後味がすっきりしていているけど、良い余韻が残ります。

6.沙利 時超 Premium

このお酒は左の写真のお酒で、黒い字で大きく沙利と書いてあります。山田錦35%精米の純米大吟醸で。酵母は福井酵母を使った野心的なお酒で、まだ発売していないそうです。日本酒度は±0で、珍しく甘めにつくったお酒でした。時代を超えるお酒という意味の名前を付けたそうですが、まだ試験醸造の段階だそうです。このお酒も1年j熟成でした。、飲んでみると確かに甘さを感じますので、もう少し酸を出してもいいかなと思いました。

以上でお酒の紹介を終わりますが、この蔵のお酒の酒質はすごくいいと思いました。蔵の生産量は300石と非常に小さな蔵ですが、どのお酒を飲んでも狙いがはっきりしているし、その狙い通りの味を出している気がしました。ちょっと辛口なのは問題内ですが、気になるのは熟成をかけて味に丸みを出そうとしていることかな。熟成しなくても同じような丸みが出るようになったら、最高かもしれませんね。頑張ってみてください。

この会のイベントとして毛利社長とジャンケンをして勝った人に漆塗りの酒器がもらえるチャンスがあり、見事とることができました。

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次に今回出たお料理を紹介します。

1.乾杯の肴 槐樹もなか(焼雲丹、蒸雲丹)

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2.酒肴八景 (いろいろなので見てください)

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3.やっさん寿司、焼鯖バッテラ

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4.揚物 豚かつピンチョス

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5.おろし冷やしそ

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6.強肴 あなご白焼きサラダ仕立て

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7.やっさん寿司 握り3巻

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8.おまけ 大根ライチ 

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最後にお料理を担当した料理長と副料理長をご紹介します。

料理長 上原賢一       副料理長 安田 至(やっさん)

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2016年6月26日 (日)

小泉酒造(東魁盛)は良い酒を造っています

先月文京区の湯島にある居酒屋「極楽酒場いざこい」で千葉県の小泉酒造(東魁盛)の蔵元をお呼びしてお酒を飲む会がありましたので参加して来ました。この会は一般社団法人「酒類ビジネス推進協会」が企画した会で、「第1回応援しよう!知られていない蔵のおいしいお酒の会」というものです。 

この社団法人は中小企業診断士の宮坂芳絵さんと酒の行政書士の石井慎太郎さんが代表理事をしている一般社団法人で、昨年立ち上げたばかりの協会のようです。業務内容は酒類業者に対するコンサルティングやマーケティング支援をする事業と酒類の関するセミナーや勉強会を企画する事業を通して酒類文化の伝承と地域活性化を図ろうということのようです。今回はおいしい日本酒を造る蔵の紹介する第1回目の企画でした。 

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右の方が宮坂芳絵さんで、左の方が小泉酒造の専務取締役小泉文章さんです。 

僕が東魁盛のお酒を初めて飲んだのは2009年に千葉の成ホテル・ミラマーレで行われた千葉の酒フェスティバルだったと思います。その会場で専務取締役の小泉文章とお会し、大吟醸の紫紺を飲んだことが思い出されます。紫紺は小泉酒造の社長兼杜氏の小泉平蔵さんが明治大学出身でその応援旗の紫紺から採ったと聞いています。その時の様子は下記のブログを見てください。 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-8c01.html 

それでは、最初に蔵の紹介をしましょう。蔵は富津市にありますが海辺ではなく、JR内房線の上総湊駅から東へ4kmほど入ったところにあり、山々に囲まれた盆地の入口にあります。そばには湊川が流れていて、田圃がありお米つくりやお酒造りに適したところのように思えます。 

創業は1793年だそうですからもう200年以上経つ老舗の蔵ですが、初代の小泉平蔵が名字帯刀を許された時この地にきたそうで、明治の初期に後を継いだ源蔵が大きく発展させたと聞いています。古くから吟醸酒造りに情熱を上げていて、酒質の向上のために早くから冷蔵庫の導入などをしてきたそうです。このような田舎の蔵でそんなことができたのは多分父の杜氏が先進的な方だったからではないかと思います。

そして今では毎年のように全国新酒鑑評会で金賞を取っていることは意外に知られていません。ここ20年の中で、金賞を取得した回数は千葉県で第2位の実力のある蔵です。 

現在の当主は小泉章さん改め小泉平蔵さんで、13代目にあたり、自ら杜氏として活躍されてきました。酒つくりは米つくりからと自分の田圃で自ら米つくりをするとともに、平成8年から消費者に喜ばれるお酒造りのために、試飲ができてお酒が買える「ソムリエハウス酒匠の館」を造りました。ここでは清酒だけでなく、大吟醸入りのソフトクリームや蔵元特製の甘酒等もいただけるようなので、一度覗いてみたいですね。平蔵さんはまだ67歳とお若いですが、最近足を痛めて蔵の力仕事は息子や蔵人に任せているそうです。 

その息子さんの文章さんは早稲田大学理工学部物理学科卒業で、26歳の時に蔵に戻って、現在33歳ですが、杜氏の父に酒造りを教わっただけで、他に蔵に修業に行ったことはないそうです。でも今では他の蔵人2人と酒造りをしており、今では実質的に杜氏の仕事をされていると言えます。 

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この写真を見てください。とても優しい顔立ちで、酒造りに苦労をしているようには思えませんね。たぶん酒造りを楽しんでおられるのではないかと思います。お話しぶりもちょっとシャイな感じですが、一切張ったり的なことは言いません。とても正直な方だと思います。彼にどうして「東魁盛」と名付けたのですかとお聞きしたら、「東の国の先駆けとして盛んになる」ということで、初代思いが現れた名前のようです。 

それでは早速お酒を飲んで、味わってみましょう。最近東魁盛のお酒を飲んでいなかったので、楽しみにしてきました。

お酒のラベルが文字だけなのですね。よく見るとお酒の酒質が詳しく書かれています。最近酒質を書かない蔵が多い中、こんな表示をするのはとても珍しく、正直者の文章さんらしいなと思いました。 

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 どうしてこのラベルにしたのですかとお聞きしたら、東京で唯一の東魁盛の酒販店である三和酒店(上野)と打ち合わせてこのラベルにしたそうです。まだ出したばかりなので、将来変わるかもしれませんとのことでした。現在のお酒の生産量は300石弱なので、扱っている酒販店は少なく、東京以外には、横浜の一石屋酒店栃木の菊地酒店の2軒だけだそうです。一石屋酒店のHPで確認すると、同じ酒と思われるものが全く違うラベルで販売していました。僕は文字表示は悪くないと思いますが、遠目からでもわかるように、色使い等を工夫すれば特徴があっていいかなと感じました。 

飲んだお酒は下記の通りです。 

1.斗瓶取り 大吟醸 東魁盛 山田錦 35% 火入れ 

2.純米吟醸 東魁盛 五百万石 55% 無ろ過生 

3.純米吟醸 東魁盛 五百万石 55% 火入れ 

4.斗瓶取り 純米大吟醸 東魁盛 山田錦 40% 

5.山廃純米 東魁盛 五百万石60% 火入れ 

6.山廃純米 東魁盛 五百万石80% 火入れ 

7.純米吟醸 夏 東魁盛 山田錦 火入れ 

8.本醸造 東魁盛 千葉ふさおとめ 火入れ 

1本1本解説します 

1.斗瓶取り 大吟醸 東魁盛 山田錦 35% 火入れ 

Dsc_0214アルコール17%、日本酒度+5、酸度1.2、酵母K-1801、火入れです。 

これは出品酒と同等な酒質だそうで、飲んでみるとカプロン酸エチルの香りの立ち方は抑え気味で、甘みも抑え気味だけど口の中で旨味がフラットに広がり、後味に綺麗な余韻が漂います。 

酸が少なめなので、余韻を一層楽しめるようで、アル添しているので、より綺麗さが出ている気がしました。 

これだけのお酒を造れるのは大したものです。 

2.純米吟醸 東魁盛 五百万石 55% 無ろ過生 

Dsc_0215アルコール16%、日本酒度+1、酸度1.3、酵母K-1801、無ろ過生原酒 

この蔵では珍しい生原酒です。口の中に含むと最少に澱からくる甘みとフレッシュさを感じてしまいますが、お米が自社生産米の五百万石のためか旨味が少し少ない気がしました。 

やや甘めに作っているのか、香が口の中の後半まで広がってきます。どちらかというと今はやりのお酒に近い感じがしました。 

3.純米吟醸 東魁盛 五百万石 55% 火入れ 

Dsc_0216アルコール16%、日本酒度+5、酸度1.4、酵母K-1801、瓶燗火入れ 

2番のお酒とは米違いと火入れ違い呑みのお酒です。飲んでみると辛味を感じてしまいました。日本酒度が+5になっているせいだと思い、専務にお聞きしたら搾りのタイミングが違ったためにそうなったそうです。 

僕にとってはもう少し甘めにして、カプの香りを引き出してもいいかなと思いました。 

4.斗瓶取り 純米大吟醸 東魁盛 山田錦 40% 

Dsc_0217アルコール16%、日本酒度-2、酸度1.4、酵母K-1801、瓶燗火入れ 

基本的には1番のお酒とは精米違いとアル添なしの違いだけですが、アルコールを入れる方が香がたってくるようです。 

飲んでみると1番のお酒ほど綺麗さはないけど、旨み成分が増えて飲みごたえがあるように思えました。日本酒度は-2ですが飲んだ後に少し辛みを感じたのはどうしてかな。

でもなかなかいいお酒に仕上がっていると思いました。

5.山廃純米 東魁盛 五百万石60% 火入 

Dsc_0218アルコール18%、日本酒度+1、酸度2.1、酵母K-1401、瓶燗火入れ 

山廃を造りだしてまだ2年くらいしか経験していないそうですが、飲んでみると綺麗さとさわやかな酸味が上手く出ている気がしました。 

酵母は14号系なので、イソアミル系のさわやかな香の中に少しだけ酢酸エチルのセメダインの香を感じますが、いい感じでした。山廃でこれだけのバランスが出せれば大したものだと思いました。 

 6.山廃純米 東魁盛 五百万石80% 火入れ 

Dsc_0219アルコール18%、日本酒度+0、酸度1.9、酵母K-1401、瓶燗火入れ 

6番のお酒とお米の精米違いだけですが、飲んでみると7番とはだいぶ違います。お米の旨みが少なく、飲んだ後にストンと消えてしまうキレのあるお酒でした。 

お米の精米度が悪いものを使っているので、もっとタンパク質からくる高級アルコールやアミノ酸を敢えて増やしてもっと濃厚にした方が面白いように思えました。 

7.純米吟醸 夏 東魁盛 山田錦 火入れ 

Dsc_0220アルコール13%、日本酒度-12、酸度2.1、酵母K-1801、瓶燗火入れ 

このお酒は夏酒用としてつくったお酒で、アルコール度数を抑えて飲みやすくしたおさけですが、飲んでみるとすっと飲めるけれども、味わいもあるお酒でした。 加水して薄めるとお酒のバランスが変わって美味しくなくなるので造るのが難しいお酒です。

加水して13%にしたのですかとお聞きしたら、仕上がりを13%強にして、少しだけ加水したお酒だそうです。これはなかなか作れない技術だと思います。

バランスが良いので食事を邪魔しない食中酒としていいお酒だと思いました

8.本醸造 東魁盛 千葉ふさおとめ 火入れ 

Dsc_0221アルコール15%、日本酒度+1、酸度1.6、酵母K-1401、火入れ 

このお酒は本醸造なので、アルコール添加(10%以下)しているお酒で、お米が地元の千葉ふさおとめ(精米度不明)ですが雑味の少ないきれいなお酒に仕上がっていました。 

どうしてそんなお酒を造れるのかお聞きしたら、本醸造でも大吟醸とおなじ手洗い限定吸水をしているからだそうです。 小さい蔵だから出来る技なのかもしれません。

1升2000円しないお酒ですから、お買い得です

以上で飲んだお酒の紹介を終わりますが、久しぶりにこの蔵を飲んで、まず出品酒の出来は昔と変わらず、相変わらず旨かったので安心しましたが、まだチャレンジして経験が薄いという山廃の出来が良いのに驚かれました。まだ安定性はかけるのかもしれないけど、将来楽しみです。それからアルコール度数の低いお酒をここまで仕上げたのは技術力を感じます。普通酒にも愛を感じました。

これだけのお酒を造れる技術力を持っている蔵なのに、首都圏であまり知られていないし、売っているところが少ないのは非常に残念です。きっと蔵の人数も少なく、営業に力を入れる余裕がなかったからかもしれませんね。

最後にこの蔵を紹介していただいた宮坂さんにお礼を言いたいと思います。僕はもともと良い蔵だとは思っていたのですが、こんなに幅広いお酒を造れる蔵になっていたとは驚きでした。

是非これからも酒類ビジネス推進協会のお仕事としてこの蔵の発展に貢献していただくことをお願いいたします。もしお力添えできることがあれば、微力ではございますが、ご協力いたします

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2016年6月 8日 (水)

東洋美人のお酒は確実に進化しつつあります

ちょっと古いお話で恐縮ですが、桜の咲き始めるころに白金の八芳園で第13回蔵元さんと一緒に日本酒を飲む会が開かれましたので、参加して来ました。今回は東洋美人の銘柄で有名な澄川酒造の蔵元兼杜氏の澄川宜史(たかふみ)さんをお招きしての会でした。いつもは八芳園の日本料理の槐樹で15人程度と比較的こじんまりと行われるのですが、今回は八芳園の本館のサクレという会場を使って、約30人規模で行われました。澄川さんのフアンクラブの方のサポートを受けた、拡大イベントのスペシャルバージョンでした。 

結構式披露宴にも使われる広々とした会場にゆったりと着席しての会となりました。 

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お料理は槐樹のお料理だけでなく、本館、壺中庵の料理長と料理人が腕をふるった特別メニューで、値段据え置きというまさに特別イベントでした。 

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用意されたお酒もちょっと見ていただきましょう。詳しくは後で説明しますが、殆ど市販されていない大吟醸クラスが6種類でした。一番左端は仕込み水です。 

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それでは早速澄川さんに登場してもらいましょう。 

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とてもダンディでお洒落な芸能人のような雰囲気を持った方ですが、お酒造りにはとても厳しいそうで、バリバリの杜氏として活躍されている方です。 

今回のイベントを説明する前に澄川酒造と宜史さんの紹介をします。 

<澄川酒造> 

蔵は山口県の萩市中小川にありますが、萩市と言っても観光地として有名な萩市からは30kmほど北東に行った直ぐ島根県の県境に近い田舎にあります。一番近いJR駅は島根県の益田駅のようです。近くに田万川が流れ、裏山から湧きだす石清水が豊富で、米どころですからお酒造りには適したところだと思いますが、出来たお酒は消費地に運ぶのは大変だったのではないでしょうか。 

創業は1921年ですがその後の詳しいことはホームページがないので、良くわかりませんが、東洋美人という銘柄は初代が亡くなった奥さまを偲んで付けられたことのようですが、良い名前ですねと宜史さんにお聞きしたら、本当のことは資料もなくなって良くわかりませんが、この名前は大切にしたいと言われました。この蔵が注目を浴びたのは宜史さんが蔵に戻ってからです。 

<澄川宜史さんについて> 

では宜史さんはどんな人なのでしょうか。宜史さんは1973年に蔵の長男として生まれましたが、蔵を継ぐことはあまり意識していなかったようで、でも蔵を継がなくてはいけないと、2年ほど浪人して東京農大に入ったそうです。まだその時は自分で酒造りをするつもりはなかったそうですが、大学3年生の時に東京農大の5年先輩がいる山形県の高木酒造で研修をしたのが彼を大きく変えた切っ掛けになったようです。 

高木酒造の跡取りであった高木顕統(あきつな)さんは自ら製造責任者として真剣に酒造りをし、日本酒業界の若きスタートして注目を浴びていたのです。その姿を見て自分も自ら酒を造る決心をしたそうです。 

そして、24歳で蔵に戻り、蔵の但馬杜氏の下で2年間みっちり指導を受けた後、1999年には蔵の杜氏となったそうです。当時の蔵の生産高は300石程度であり、細々生活することはできたレベルでしたが、もっと大きくしたいと市場を東京に求めて営業することになります。その後は長谷川酒店など多くの人のお力添えで、15年後には1300石位の生産高までにしたそうです。 

僕は2009年の第1回やまぐち地酒維新の会に参加して、宜史さんに初めてお会いしました。その時に感じた東洋美人のお酒の味は、上品で綺麗なお酒だけど、ちょっと線が細いかなというイメージでした。でも、蔵の近くで栽培した畑違いの山田錦を楽しむために造ったお酒で、田圃の番号の付いた3種類のお酒を飲んだのが印象的でした。ワインのテロワールの日本酒版ですよね。3種類のお酒を飲んだら、味がちょっと違うのでこれ本当に畑違いの差だけですかとこっそり聞いたら、造りが違うと聞いて、ちょっとがっかりした想い出がありますが、僕はそのやり方にはちょっと不満はあるものの、日本酒テロワールにチャレンジする発想が凄いなと感心したことを思い出します。 

その後、2013年7月に大雨で近くを流れる田万川が氾濫し、蔵全体が2m以上の泥水に浸かる大災害を被るのですが、その後宜史さんの対応が凄いと思いました。蔵は泥まみれで、手のつけようもなかったけれども、全国の蔵や酒販店さんの応援で復旧は比較的スムーズにいったそうです。特に同期の伯楽星の新澤さんには蔵の再構築に関する色々なアドバイスをもらったそうです。 

蔵の殆どの設備は使い物にならないので、修理できるものは修理し、壊れたものは新品を購入することにしたけど、どうせやるなら、とことん新しいものを検討し処理量も増量でき、且つ手のかからない設備の導入をすることにしたそうです。そして、5億円の借金をして3階建の新しい建て屋を建設し、2014年12月には一部稼働にこぎつけたそうです。 

水害を受けて全く零からのスタートとなったことをきっかけに、今まで出来なかった蔵の導線の改善、手のかかる設備を思い切って新しいもの(自動洗米浸漬装置やNSK搾り機の導入など)へ切替により、酒質の一層の向上を狙ったのは、彼の酒造りに対する意地とプライドの高さの表れのような気がします。そして去年の生産高は既に2500石になったと聞きましたが、今後少しずつ設備増強をして最終的には5000石を目指すそうです。 

この蔵のお酒つくりは地元産の山田錦をベースとしていますが、2014年には「原点シリーズ」として、酒未来、出羽燦々、雄町、愛山を使った精米50%のお酒を出しました。1年でその生産を完了し、去年からは精米度を40%に上げた新しい「原点からの1歩ippo」シリーズを出しています。災害からの復活で大変な時期に新しいブランドを立ち上げるなんて、とても前向きな気持ちが伝わってきます。 

酒未来については宜史さんの酒造りの思いが伝わるエピソードがあります。酒未来は高木酒造が開発した酒造好適米で、高木酒造がその実力を認めた蔵だけにその使用を認めているお米で、その中で澄川酒造は早くからその使用を認められていました。でも彼は直ぐにはそのお酒を世に出さなかったのです。それは良いお米だけに仕込み具合、酵母の選択など色々試験をして5年間も試行錯誤をして出したのです。まさに宜史さんの酒造りにかける思いをよくあらわしているエピソードだと思います。 

本日の会場の彼の姿はいつ大災害にあったのだろかとおもわせるほど、かっこいい姿になって現れたのに驚かされましたが、お姿だけでなく、お酒の味が単に綺麗場だけでなく、一層深みを増しているのをしり、驚いてしまいました。 

では早速飲んだお酒を紹介しましょう。 

1.純米大吟醸 環起(かんき) 

Dsc_0035水害にあってから初めて酒造りを再開することを決意するきっかけになったお酒だそうです。米は皆様方からいただいた地元の山田錦で、助けていただいた人の思いが込められたお酒だそうです。 

山田錦は無農薬の地元のお米で精米度は40%の純米大吟醸で酵母は9号系と18号酵母のブレンドです。甘みを少し抑えてカプロン酸の香を抑え気味に仕上げていました。旨さがあるのでなかなかいい感じです。 

2.純米大吟醸 直ぐみ 一歩(ippo) 

Dsc_0036昨年から月に2回出荷しているいお酒で、3-4月はおりがらみ、5月が山田錦、6月は酒未来、7月が出羽燦々、8月が雄町、9月が愛山を出す予定のお酒のなかで、麹が山田錦40%、掛米が50%の純米大吟醸です。 

しかも、今回のお酒は全量山田錦の純米大吟醸ですが、社長自らが蔵で直接直汲みして瓶詰めした搾りたての生酒なので市販されていません。 

酵母は14号系ではないが自社培養の酵母だそうですが、イソエチ系の品の良い香りのするお酒でした。 

3.大吟醸 地帆紅(じぱんぐ) 

Dsc_0037_220年前に東京でも勝負できるお酒として20年前に発売したブランドのお酒で、前社長がつけた銘柄だそうです。 

山田錦40%精米のアル添した大吟醸です。飲んでみると少しガス感のあるお酒で、酵母は9号系酵母と18号系の酵母とブレンドですが、1番のお酒とは香がちょっと違いを感じました。もしかしたら9号酵母が強いお酒ではないかなと思いました。 

4.純米大吟醸 壱番纏 

Dsc_0038東洋美人の最高峰のお酒で、その中で、たった1升瓶10本しか取れない出品酒の上を行くお酒で、この銘柄のお酒は市販されているけど、このお酒は市販されていないそうです。 

山田錦40%精米の純米大吟醸、酵母は9号系と18号系の混合ですが、香は抑え気味でし、ふくらみがある感じではなく、ややシャープですが、欠点のないお酒でした。僕にはもう少し熟成して丸みをつけたい気がしました。でもこの蔵は熟成のお酒は出していないそうです。 

5.純米大吟醸 西都のしずく 

Dsc_0039西都のしずくは山口県が開発した酒造好適米で、精米度40%の純米大吟醸です。 

酵母は不明ですが、14号ではない自社酵母だそうです。香としては酸酸エチルの香りは少ないけどバナナの香のイソアミル系の香がして、後味にコハク酸の苦味を少し感じるお酒でした。 

人気のお酒のようで、今年は販売完了したようです。

 

 

6、純米大吟醸 斗瓶取り 

Dsc_0040最後のお酒は山田錦40%精米の純米大吟醸で、中どり斗瓶取りで少し濁っているお酒でした。これは味もしっかりし、厚みもあるし、とろみ感もあるとてもおいしいお酒でした。素晴らしいお酒で、市販されていません。 

どうしてこんな味になるのだろうと思ってお聞きしたら、中どりで火入れしていない生酒でだからだそうです。今まで飲んだお酒は殆ど1回火入れのお酒だそうです。 

山口県の品評会では残念ながら第2位だったそうです。僕はこの味ならトップでも良いなと思ったのですが… 

<最後に宜史さんにどんなお酒をこれから作っていきたいかをお聞きしました> 

僕の造りたいお酒は今僕が造っているお酒そのもので、稲をくぐりぬけたようなお酒ですと言われました。それはどういう意味ですかと聞きしたら、気をてらって受けの狙ったお酒(たとえば酸の強いお酒等)ではなく、王道の手法で欠点のないお酒を造りたいそうです。根っからの酒好きなので、高品質な日本酒らしいお酒を造りたいそうです。顕統さんは尊敬しているけど真似するつもりはないとも言われました。 

そのためには酒質のぶれのないお酒を目指すので、自動化で出来るところは出来るだけ導入するつもりで、今は麹は箱でやっていて手がかかるので、もっと安定した麹ができるものがあるのなら導入するつもりだと言われました。最後に、今日は大吟醸クラスばかりを飲んだけれども、純米酒レベルも飲んでみたいと言ったら、うちの酒は精米度が悪くなってもそんなに味は変わらないと胸を張っていたのが印象的でした。これからもっと完成度の高いお酒となっていく予感がしました。 

以上でお酒の紹介は終わります。 

次にお料理についてご紹介します。お料理の説明は本館の料理長の香山さんが説明していただきました。 

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<料理> 

1.先付け 

Dsc_0054最中の皮の中にイクラと鮟肝と酒粕ディップを入れたもので、皮には槐樹の焼き印が押してあります。 

以前槐樹で同じようなものをいただいたことがあります。最中の感触は酒のあつまみに合いますね

 

2.前采

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萩の名産の焼きかまぼこ(小田原と違って歯ごたえがある)にウニと葉ワサビ、金太郎(魚名)と子ワサビ、カラスミをそえたものと、長萩の黒かしわの炭火焼きです。 

3.造里 

Dsc_0059桜チップでの燻製の桜鯛と桜の葉とと昆布で〆た桜鯛のお造りです。 

リンゴのガリが添えてあります

 

4.揚げ物 

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 岩国レンコンとメバルの天ぷらです。岩国レンコンは穴が9つあるようなので、数えてみてください。 

5.強肴(しいさかな) 

Dsc_0063強肴とは懐石料理に出る肴ですが、今回はお魚ではなく、長州和牛の鉄板焼きです。 

蔵の近くに野生に咲いているクレソンが添えてあります

 

6.握り(剣先いかと初鰹)       7.貝出し汁蕎麦 

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8.水菓子 

環起のお酒を液体窒素でシャーベット化するという前代未聞の造りでした。 

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これでお料理の紹介は終わりますが、まさに特別料理のオンパレードでした。

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2016年2月26日 (金)

司牡丹のお酒の味の秘密はどこにあるのでしょうか

2月5日に八芳園の日本料理店「槐樹」で第12回目の蔵元さんと一緒に日本酒を楽しむ会に参加して来ました。この会にはできるだけ参加しようと思っていますが、今回で8回目の参加ではないかと思っています。今回の蔵元は高知県の司牡丹酒造の社長の竹村昭彦さんです。 

竹村さんは1962年に司牡丹酒造の跡取り息子として生まれましたが、高知の高校を出た後、東京の学習院大学の経済学に入学されました。寮生活でしたので、高知県の者なら酒は強いだろうと言われて、一気飲みをやらされ、すっかり日本酒が嫌いになたそうです。確かに高知県のつわものは酒が強く、少々やりますと言えば升升という意味で2升は飲む人もいるそうです。竹村さんは下戸で4合ぐらいが限界だそうです。それ、下戸ではないですよね。 

ですから大学を卒業してからは酒造りをするつもりはなく、東京のファッション雑誌やお菓子を扱う会社で5年間営業をしていたそうです。平成2年に蔵に戻ることになるのですが、その理由の説明はありませんでしたが、弟が6歳も離れていて公務員志向でしたので、やもえず、後を継ぐことを決心されたそうです。その時まで日本酒の勉強もしていなかったし、どんなお酒を造りたいかのイメージも無かったそうです。 

司牡丹酒造の歴史のお話は後で触れますが、司牡丹は高知県で一番古い企業で、造り酒屋としてもトップクラスですので、蔵に戻った時は9000石ぐらいの生産量があったものと思われます。この蔵は仁淀川の軟水を仕込み水に使用しているので、軟水のお酒つくり(軟水醸造法)で有名な広島杜氏を昭和6年に受け入れて、独特の酒造りを確立していた蔵でしたから、社長が造りのことを知らなくても全く問題はなかったと思われます。 

でも入社後は普通酒が売れなくなり、特定名称酒の時代に移っていて、それに合わせた色々な改革をされたようで、それについてはもう少し後で詳しく説明いたします。現在の出荷ベースの生産高は5000石だそうで、これまで大変苦労されたものと推察されます。幸いに、竹村さんが入社する2年前に現在の杜氏浅野さんが入社されており、お二人で力を合わせて、改革ができたことは幸運だったのかもしれません。 

僕は竹村さんとは過去に一度お会いしたことはありますが、じっくりお話を聞く機会は今回が初めてです。この会で竹村さんのお話を聞いて、この方は頭の回転が速く、瞬時に状況を判断し行動できる人だなと思いましたので、その証拠となるお話をまず紹介します。 

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この方が社長の竹村さんです。温和な雰囲気でお話もとても上手ですが、僕が感じた事例をお見せします。 

エピソード1: この写真はこの会の中で僕たちと一緒に食事をしながらお酒の説明をしているところです。これはお店にお願いしてこのような形にしたのですが、実は12回の会の中で殆ど初めてのことです。これには裏話があって、それを竹村さんが紹介していただきました。この会を開くにあたって、事前にお店が会で使うお酒を取り寄せて、お料理の内容を決めたのですが、(この会ではいつもそうしています)、竹村さんはもう1000回以上もこのような会を開いていますが、いつもは竹村さんがお料理の内容を聞いて、それに合わせてお酒を選んでいるそうです。その方がお店にとって楽だからということですが、そこまでこだわるこのお店のお料理を一緒に楽しみかったのだと言うのが本音でしょう。このことから想像できるのは、竹村さんは好奇心が旺盛で、すぐ行動する人のような気がします。 

エピソード2: この会の説明の中で、これから結婚する人で八芳園で式を挙げる人には司牡丹で鏡開きを提供しますとか、高知の蔵まで来た人には自分で案内しますと、ぱっと公言されました。これに応える人は殆どいないと思っておられるのと、仮に現れたら、キチット実行することが利益を度外視して、価値があることを瞬間的に判断されたと思います。竹村さんは瞬間の状況判断が早いことが想像されます。 

エピソード: 会の中の自己紹介で、僕は事務屋なので技術的なことは専門ではないけど、お酒のお話を素人に説明するのは得意なのですと言われました。確かに山廃の説明の時に短い言葉で的確に説明されていました。難しいことを簡単に説明することは、その本質をきちっと理解して、聞く側のレベルの合わせた説明ができると言うことですから、理解力が高く柔軟な思考力を持っている表れだと思います。 

エピソード4: お話の中で郷土料理の内容に詳しいし、高知の色々な情報もよく知っているので、高知県の観光案内ならできると言われていましたが、それだけ地域密着の気持ちが強いということでしょう。土佐の上手いもの探しというブログも造っています。http://tosa-no-umaimono.cocolog-nifty.com/ 

エピソード: 平成17年からほぼ毎日ブログを書いているそうで、今回の会のこともブログに書かれていました。http://blog.livedoor.jp/tsukasabotan/archives/2016-02-10.html このブログは2月10日にアップしていますので、しっかり準備されて書かれているようです。土佐弁の独特な言い回しのブログですが、内容はとても面白いので読んでみてください。ユーモアのセンスが溢れています。 

エピソード6: このお話は皆には説明はなかったのですが、僕が個人的に聞いてわかったことです。社長になったのが平成11年で、蔵の全面改造のために平成蔵を造ったのが平成17年ですが、その時に新蔵の内容は杜氏以下に全面的に任せたそうで、きっと大方針は出したけど細かいことには口を出さなかったようです。これは蔵人を信用していることの表れではないかと思います。 

以上今回竹村社長さん個人について感じたことを述べさせてもらいましたが、ユーモアもあるし、声が通るし、場を盛り上げるのがうまいので、お陰さまで楽しい会になりました。ありがとうございました・・・・ 

飲んだお酒の紹介に入る前に、蔵について簡単に説明いたします 

<司牡丹の歴史> 

この蔵の創業は1603年で徳川家康から24万石をもらった山内一豊の家老の深尾和泉守についてきた造り酒屋の御用商人がこの蔵の前身です。屋号は「黒金屋」といい、坂本竜馬の本家の酒屋の「才谷屋」とは関係が深かったようです。司牡丹と名が付いたのは大正7年で、この蔵のお酒を愛した田中光顕元宮内大臣によって「牡丹は百花の王で、その王(司)たれ」という意味で、司牡丹としたそうです。酒つくりのTOPになれという意味だと思います。 

蔵は仁淀川の支流である柳瀬川沿いにある佐川町にあります。仁淀川は日本一清流と呼ばれた四万十川をしのぐ、本当に日本一の清流だそうで、敷地内の井戸からは仁淀川の伏流水が出るそうです。この水は微弱ながらカリウムを含む軟水で、この蔵の命の水となっています。しかもこの土地は夏は盆地独特の熱さがありますが、冬は気温が氷点下まで下がるので、酒造りに最適だそうです。 

昭和6年に軟水醸造で有名な広島杜氏に来てもらいようになって、酒の品質が良くなり、数々の賞を取るようになったそうです。でも社長が蔵に戻った時には、大きな問題があったそうです。それは蔵の敷地は広かったのですが、いくつもの蔵が建っていて、蔵人はその蔵を移動しなければ酒造りができないので、大勢の人が必要だったことです。当時は蔵人が30人くらいいたそうです。 

今までばらばらな処でやっていた作業をまとめて、洗米から蒸米造り、麹造り、酒母造りまで一貫して造れるような新蔵(平成蔵)を平成17年に新築しました。その際フジワラテクノアート社の最新の装置の導入をして、洗米は限定給水が自動で出来る回転式自動洗米浸漬装置を、蒸米は蒸しムラのない横型連続蒸し米機を、製麹はVEX式完全無通風自動製麹を導入して、普通酒から大吟醸まで安定した造りができるようになったそうです。また醪タンクも従来の6トン仕込みから3トン仕込みにしたり、吟醸系では1トン~1.5トン仕込みに小型化したそうです。特に安定した原料処理ができるようになって、普通酒のレベルが格段に向上したそうです。これにより作業の導線が良くなったので、蔵の従業員も季節労働者が10人と社員が3人の体制になったそうで、コストダウンもはかれたのではないでしょうか。 

新蔵ができてから社長のブログ造りが始まったのも、偶然ではなく、安定した造りができるようになって余裕ができたからではないでしょうか。 

<飲んだお酒の紹介> 

僕は今までなんとなく司牡丹は坂本竜馬のような土佐の酒好きが好む男酒のイメージが強かったのですが、広島県の軟水醸造法をベースにしているので、実は女酒の方が近いのかもしれません。でもたくさん飲めるお酒の秘密はどこにあるのでしょうか。今回勉強させていただきました。 

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このお酒がこの会で飲んだお酒ですが、最後に飲んだ古酒が写っていません。それを入れるとなんと、9種類のお酒を飲んだことになります。しかもその中に720mlで1万円もするお酒もありました。 

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この会は日本酒を必ずワイングラスで飲みます。その方が香がわかるので良いと思います。今回は日本酒に合わせて出てきたお料理に対して、竹村さんから丁寧な説明もいただきましたので、これも紹介します。 

<司牡丹・立春朝搾り> 

Dsc_0068このお酒は日本名門酒会に加盟している蔵の38蔵で出しているもので、2月4日の立春の朝に蔵まで酒販店さんが出かけて、朝搾って瓶詰めしたお酒に自らラベルを張って、その後神社で祈願のお祓いを受けたお酒です。事前に注文をいただいたお客様だけに販売しているお酒ですが、今回はその中から2本だけ乾杯酒として会に持ち込まれたようです。 

この日に全国で27万本も出荷されていて、司牡丹だけでも6400本が出たそうです。原料米は松山三井と山田錦で、精米は60%の純米吟醸原酒です。 

飲んでみると炭酸ガスのピリピリ感があり、フレッシュで薄にごりの旨味を感じるけど、全体的にはシャープで後味に少し辛みを感じるお酒でした。  

<かまわぬ・山廃仕込み純米酒> 

Dsc_0074_2平成7年度に40年ぶりに復活させた廃仕込みの純米酒で、原料米は全量高知県産の山田錦65%精米で、酵母は自社培養の9号酵母を使っています。

山廃は速醸のように乳酸を投入しないで、自然に発生する乳酸を利用して発酵させるため、何も「構わぬ」という意味で「鎌、輪、ぬ」と書いて「かまわぬ」と」読ませるようです。 

日本酒度は+6で、酸度は1.6くらいだそうです。飲んでみると山廃独特な酸味があまり強くなく、綺麗な飲みやすい山廃でした。お燗をしてみたら旨味がどんと出ると同時に辛味もしっかり出てきました。 

Dsc_0071_3この二つのお酒に合わせて出てきた料理は次のような前菜でした。この中に高知の山菜のいたどり(虎杖)と舞茸のぴり辛煮も入っています。〆鯖と丸十(高知ではサツマイモのことを丸十という)のぬた和えもありました。 

 

<司牡丹・酒槽搾り純米大吟醸原酒> 

Dsc_0079このお酒はこの蔵の定番の山田錦40%精米の純米大吟醸原酒で、槽(ふな)搾りというタイプの搾り器で無圧で搾ったお酒です。瓶の形が角型になっているので、酒屋で並べやすいと評判のお酒だそうです。 

日本酒度が+4で、酸度が1.3と司牡丹としては辛みと酸味を抑えたお酒で、飲んでみると綺麗な甘みで後味にそれほど辛味を感じないけど、すっきりした後味が良いですね。海外からのソムリエの評判が良いお酒のようです。海外では辛味は嫌がられるでしょうね 

このお酒に合わせたのがウツボの叩き皿鉢盛りでした。このウツボのたたきを食べた後ですとこのお酒の辛味が強調されたのには驚きました。

 

Dsc_0082_2ウツボは高知ではよく食べられるお肴で、骨が多く鱧よりも裁くのが難しいそうですが、鶏のささみのように淡白だけど、コラーゲンが多く、体に良いそうです。ちょっと歯ごたえがあったけど噛むと味わいがありました。  

<秀麗司牡丹・純米吟醸原酒> 

Dsc_0085しっかりとした香りと奥行きのある味わいを持たせるように造った純米吟醸の原酒です。お米は麹米が山田錦60%、掛米が松山三井60%精米です。 

この蔵が使う酵母は9号酵母をベースにしながら色々な香りを持つ高知県の酵母をブレンドして、使用しているようです。 

飲んでみると確かにカプロン酸の香りが立っているけど、旨味もしっかりしていて、口の中で膨らんでスウト消えていくお酒でした。でも後味にはしっかり辛味は感じます。 

瓶のデザインは最近変えたようで、レトロの雰囲気の中に牡丹の花がかわいらしくアレンジされた面白いデザインでした 

このお酒には鰤の燻製が用意されましたが、写真を取り忘れました 

<司牡丹・仁淀ブルー・純米酒> 

Dsc_0089_2仁淀川は日本一綺麗な清流として、最近注目を浴びていますので、仁淀川のイメージを持つお酒を造ってみようと、社長と杜氏が考えたお酒だそうです。 

カプロン酸系の香は清流のイメージがないので、柑橘類系の香を持つ酵母として7号酵母を選択し、ほのかな酸を出すようにしたそうです。 

原料米は山田錦と吟の夢の精米は65%の純米酒で1回火入れだそうです。飲んでみると、明らかにイソアミル系のさわやかな香がしましたので、清涼感は出ていましたし、酸度も1.6位あるのでイメージは出ている思いました。 

このお酒にはウツボの唐揚げがが出ましたが、残念ながらこれも写真を取り忘れました。でも美味しかったです。 

<司牡丹・天香国色> 金賞受賞酒 

Dsc_0090天香国色とは天下一の香と、国一番の色を持つ花という意味で、牡丹のことを意味しています。このお酒は全国新酒鑑評会で金賞を受賞した金賞受賞酒です。司牡丹は過去に30回も金賞を受賞している蔵ですが、司牡丹の通常のお酒はクルコース濃度が0.8から1.5くらいなので、そのままでは金賞が取れないそうです。 

ですから敢えてグルコース濃度を2.0以にするようにしていますが、それでも日本酒度は+3程度のようです。酵母は9号系を主体として使っているようです。出品酒は香を出すためにアルコール添加をするそうです。 

このお酒はこの蔵としてはトップレベルのお酒なので、価格は1升1万円するそうです。 

飲んでみると確かに少し甘めのお酒で、香りもほどほどにあって、今流行りのお酒にバランスに近づいていました。大手の蔵はその気になれば金賞を取れるお酒造りができることを証明していますね。 

<船中八策・しぼりたて>超辛口純米原酒 

Dsc_0092船中八策は坂本竜馬が後藤象二郎に船の中で8つの提言をしたことを意味しています。坂本竜馬と関係が深かった蔵の代表的お酒としてこの言葉を利用したようです。 

人気の商品なのでラベルの色を変えた5種類の船中八策が出ています。一年中出荷されているオレンジと黒のお酒、冬場限定のピンクの搾りたて生、夏場に出す水色の薄にごり生、秋に出す白色のひやおというわけです。もっとあるのかもしれませんが、わかりませんでした。 

写真ではオレンジに見えますが、実際はピンクです。お米は麹米が山田錦で、掛米は色々なものが使われているようです。日本酒度が+8ですから超辛口ですが、飲んでみるとちょっとイソアミル系のさわやかな香りと、ガツンとした旨味があるので、後味の辛味がそれほど感じません。人気の理由がわかります。 

Dsc_0093これに合わせたお料理が軍鶏鍋です。軍鶏鍋はコクがあってとてもおいしい出汁が出ます。この味なら船中八策のパワーに負けない素晴らしい選択でした。軍鶏鍋がこんなにおいしいとは知りませんでした。 

この後に軍鶏鍋の出汁を使ったラーメンが出たのですが、これが絶品で、八芳園で軍鶏屋台ラーメンをだしたら、必ず食べにくると竹村さんが言われたほどです。 

<司牡丹・山柚子搾り・柚の酒> 

Dsc_0094土佐れいほく産の山柚子をギュッと搾った汁をふんだんに使ったアルコール8%の純米酒と糖類だけで造った酒です。 

山柚子のさわやかな香りとすがすがしい酸味でスウト飲めるお酒でした。海外でも大人気で、フランスの三つ星レストランの巨匠トロワグロ酸も大絶賛だったと聞きました。でも店には出さなくて自分用に買ったらしいそうです。 

今や司牡丹の海外進出のトップのお酒として定着しているそうです。  

<源十・純米大吟醸原酒大古酒> 

Dsc_0097最後に出た酒がとんでもないお酒でした。純米大吟醸の10年以上熟成させた古酒で、先代の名前の源十という名が付いていますが、720mlが1万円もするそうです。 

このお酒の製造年月日を見たら、平成9BYでしたので、16年物です。山田錦45%精米だと思われます。 

色はついていますがそれほど強くありませんし、熟成の香りもそれほど強くありません。飲んでみると優しい味わいで、これなら、古酒が嫌いな人でも飲めそうです。 

15℃クラスの貯蔵庫で16年も熟成させても、こんなにゆっくり熟成するなんて、どうしてなのでしょうね。お酒の熟成は奥が深いですね 

最後にデザートとしてアイスクリンが出ました。 

Dsc_0096アイスクリンは高知県ではどこでも売っているおなじみのものですが、アイスクリームとは違って、ちょっとシャーベットのようなものだそうです。 

今回は高知県産ではなくて、槐樹で造ったオリジナルのアイスクリンだそうです。 

以上でお酒とお料理の紹介を終わりますが、司牡丹のお酒の印象は口あたりは軟水の良さを感じる柔らかい旨味と甘みをかんじる(お酒によってその強さは違います)けど、必ず後味には甘みが残らないで辛味を感じる共通の味わいがありした。簡単に言えば口当たりは女酒で、後味が男酒だから、大酒飲みにも愛されるお酒だということがわかりました。でも金賞を狙えばちゃんと取れる技術力のある蔵だということがわかりました。 

竹村社長 最後まで盛り上げていただいてありがとうございます。12回目の会の中でもこんなに盛り上がったのは初めてではないでしょうか。ありがとうございました。

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