全国新酒鑑評会の会場からバスで西条西本町のサタケショールームの全国醸造機器用品展示会に着いたのは15時ちょっと前でした。そのあと約1時間くらいの短い時間でしたが、見学して来ましたので、僕が面白いなと思ったものを簡単にご紹介します。
サタケ株式会社はこの地区に本社を持つ食品産業総合機械及び食品の製造販売をしている会社で、売上高が350億円、従業員が約1000名の大きな会社ですが、醸造機器の製品としては精米機を製造販売しているようです。広島で生まれた総合機器メーカーであり、この会を主催している全国醸造機器工業組合の会員でもある関係で、この会社のショールームを提供したのではないかとおもわれます。
サタケ株式会社の本社のビルです。素晴らしく近代的なり立派なビルですね。
このビルの右奥に全国醸造機器用品展示会の会場がありました。この会の案内は下記のPDFを見てください
http://zjkk.or.jp/tenjikai/2015/img/2015tenjikai.pdf
展示している会社の情報は下記のURLを見てください。
http://zjkk.or.jp/tenjikai/2015/tenjikai2015.html
展示場内部のレイアウトですが、入り口に案内があるだけでしたので、写真を撮りました
ちょっと見難いですが、クリックして大きくして見てください。
事前に情報をつかまずに参加したので、今から考えると事前準備をしておけばもっと効率のよいヒヤリングができたなとちょっと反省していますが、お容赦ください。では訪問した順に紹介します。
1.株式会社ウッドソン
ウッドソンは東京都大田区にある会社で洗米機や脱水機など原料処理洗米システムが得意の会社のようです。 この会社のホームページは下記の通りです
http://www5a.biglobe.ne.jp/~woodson/
ここには2つの機器が写っています。ホッパーがついている機器がバッチ式自動洗米機のSKS-150Aとその奥にあるのが手動式バッチ式洗米機とおもわれます。自動洗米機は手動の精米機を自動化したもののようです。詳しいカタログは下記のものを見てください。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~woodson/senmai/3pe1.pdf
空気と洗浄水が混合して気泡を含んだ水で洗浄するので35%精米したお米でも割れないそうです。気泡を含んだ水か壁際から旋回して入るので、綺麗な米は下部に、汚れた水は中央から上に分離して抜けるそうです。最近はやりのサイクロン掃除機の原理ですね。確かに良さそうです。
上部のホッパーに10kgのお米を入れて、下から出たお米は限定給水管理に回すそうです。構造が簡単で交渉はないそうで、もう実績は多く、栃木県や福島県には多く導入されていて、だから導入した蔵は金賞をたくさん取ってい所が多いと自慢していました。
GOOGLEで検索していたら、神奈川県の久保田酒造でこの会社のバッチ式手動洗米機を使っている映像がありましたので、よかたら見てください。わかり易いです。https://www.youtube.com/watch?v=3sQYZKO38HA
2.新宅工業株式会社
この会社は石川県金沢市にある会社でトータルボトリングシステム関連機械が得意な会社のようです。今回は炭酸充填機が展示してありました。4ヘッド型 新型_炭酸充填機(半自動式)のようですが、残念ながらカタログは見つかりませんでした。ホームページは下記の通りです。
http://www.shintaku-kogyo.co.jp/index.html
説明によると、水でも清酒でもいいのですが、それに炭酸ガスを注入して瓶詰めする装置だそうです。半自動なので瓶は手で置いて手で取り出すそうです。注入する炭酸ガスは食品用の炭酸ガスボンベが裏にあって、そこからこの装置の上部に入り中央のステンレスのタワーを落ちていく間に炭酸ガスを溶け込ませる構造になっているそうで、これは約1千万円するものです。機能としては面白いけど、瓶詰機として使わないと炭酸清酒だけで投資を回収するのは難しそうですね。
3.カワタ工業 株式会社
カワタ工業は兵庫県尼崎市にある会社で、流動培養技術をベースとした自動製麹装置が得意な会社のようです。会社のホームページは下記の通りですhttp://www.kawatakougyou.com/index.html
流動培養とは回転するドラムの中で麹の混合と温度制制御をする方法で、写真はトロムメル型自動製麹装置です。この装置は単に麹をつくるだけでなく、原料を投入して洗米、浸漬、水きり、蒸し、放冷、接種、製麹、冷却乾燥して出麹まですべてがここで行える装置のようです。
本当にこれでうまい清酒ができるのか聞きましたが、焼酎の業界ではかなり実績があるそうで、日本酒はまだ数社だそうです。これでできれば、場所がいらないコストが安い酒造りができる可能性がありそうですが、ちょっと心配かもしれません。でもだれかやらないと良いかどうかもわかりませんね。公的な研究機関でやってもらったらどうでしょうか。
4.有限会社塚本鉱吉商店
塚本鉱吉商店は東京の中央区にある会社で、醸造に関するいろいろな装置を製作販売している会社で、原料処理、ろ過、火入れ、洗瓶などや杜氏が考えた便利製品など扱っている会社です。ホームページは下記の通りです。
http://www.k-tsukamoto.co.jp/index.html
展示されていたものはスパイラル洗米機でした。その構造は下記のURLを見てください。http://www.k-tsukamoto.co.jp/htmls/s_genryo1/images/spyral.pdf
下部のホッパーのところにお米と等量の水を入れると、ブラシのついた上昇管を上昇している間に米が洗浄されてビニールのパイプから外に排出されますので、そこで水と米を分離するための専用の回転分離器が必要ですが、この写真にはありません。
実際に使用している時の動画あります。
https://www.youtube.com/watch?v=AiNrN9wn4p0&feature=channel
確かに大量のお米を洗浄するにはいいけど、限定給水はできるか心配でした。普通酒用ならば良いのかも。
P箱パストライザー
瓶燗火入れはその良さが見直されて、重要なお酒は瓶燗火入れをするところも増えきているようですが、手間と労力がかかるのか欠点でした。それを安価に自動化した装置のようです。写真の装置はP箱ごと加熱だけをするP-120型ですが、冷却までできるものもあるようです。カタログがありましたのでつけておきます。http://www.k-tsukamoto.co.jp/htmls/s_shikomi/images/pastorizer.pdf
P箱を加熱するためにベルトコンベアの下に温度の違う湯槽が3つあり、そのお湯を使って加熱するそうですが、P箱一つに30分かけるようにゆっくり動くそうです。
5.永田醸造機械株式会社
永田醸造機械はもともと東京にあった会社ですが、諸事情により工場と本社を神戸に移転させて、現在に至っていますが、醸造にかかわるいろいろな過程の装置の製造販売をしていますが、技術のベースは横型連続蒸米装置にあるようです
会社のホームページは下記の通りです。
http://www.nagata-bm.co.jp/company/office.html
今回展示されていたのは小型の甑です。展示品は200kg仕込みでした。容器の下に水を張りスチームクリーナー内蔵のノズルから蒸気を出して水を蒸発させるので、突沸がしないそうです。
上部に蒸発した蒸気を加熱するヒーターパイプがあり、乾燥蒸気にしてお米を蒸すようになっているそうです。各部品はねじ留めで分解できるので清掃が簡単なのが特徴らしいです。200kg仕込みで、50kgとか100kgの少量の蒸しができるそうです。
1トン仕込みで400万円位と安いそうですが、新製品なので納入実績がないのがちょっと気になりますね。和釜の良いところをうまく使った甑のように思えましたが、乾燥蒸気をつくるヒーターの表面積が少ないのが技術的には気になりました。新製品なのでホームページにカタログがありませんでした。カタログがないと良くわからないところがありますね。
6.新洋技研工業 株式会社
新洋技研工業は新潟市にある会社で、サーマルタンクの製造販売などが得意の会社で、新潟の蔵に多くの納入実績を持つ比較的大きな会社です。会社のホームページは下記の通りです。
http://www.shinyo.co.jp/company
4年前に開発した簡易型火入れ酒急冷装置です。お酒をいかに早く加熱し冷却するかは酒質を保つためには重要はことですが、プレート熱交換器で急速に冷却するにはそれにあったチラー設備やコントローラーで高額になるようです。
これに対してここでは加熱は従来型の蛇管やプレート熱交換機で加熱したお酒をためたタンクを井戸水を使って簡便に冷却装置です。お酒をタンクにためて時間をかけて冷却するとカルバミン酸エチルが発生するけれども、40度までに下がる時間を短くすると発生が少なくなることがわかっています。
この装置はタンク内の火入れのお酒を密閉系の循環冷却によって、5000Lの酒を65度から30度までに70分で冷却できるそうです。確かに井戸水で30度まで早く冷却できれば、効果がありそうですね。これを説明しているホームページをつけておきます。http://www.shinyo.co.jp/product/coolbrewing/%e7%b0%a1%e6%98%93%e5%9e%8b%e7%81%ab%e5%85%a5%e9%85%92%e6%80%a5%e5%86%b7%e8%a3%85%e7%bd%ae
7.増田商事 株式会社
この会社は愛知県熱田区にある会社で日本酒醸造にかかわるいろいろな商品を出していますが、まだホームページはないようです。商品に関してのPDFがありましたので、つけておきます。
http://zjkk.or.jp/test2/pdf/masuda.pdf
小型ラベラー
でも見た目面白そうなものがあったので紹介しておきます。下の写真は小型のラベラーです。これがあるとどのくらい役に立つかどうかはわからないけど、かわいくて面白かったです。小ロット多品種に向いているみたいです。
電子式タンク液面計トンボ
僕は見たことがないのですが、昔からTの字をした木製の棒(とんぼ)をタンクに差し込み水にぬれたところを確認して液面を読む方法があって、それを電子的にしたもので、液面を感知するセンサをつりさげ、センサーを上からおろして液面を感知したところを読み取るものです。簡単なものですが、面白かったです。
もう既に70台以上の実績があるそうです。
8.株式会社 東洋商会
東洋商会は滋賀県の近江八幡市にある会社で米粉製粉機を得意とする会社のようですが、最近は日本酒の醸造にかかわる製品も出しているようです。ホームページは下記の通りです。
http://www.azuchi-touyou.com/annai.html
残念ながら実物の展示品はありませんでしたので、写真はありません。 そのカタログはありましたのでつけておきます。
http://zjkk.or.jp/test2/pdf/toyoshoukai.pdf
TM式吟醸搾り機
その中でも僕が気になったのはTM式吟醸搾り機です。これはいわゆる槽搾り機の小型の搾り機です。最近槽を製造するところがなくなってきていると聞きますので、貴重な装置かもしれないなとおもいました。昔の槽をステンレス製にして加圧自動化したもので、考え方ややり方は槽と全く同じだそうです。
昔の槽と違うのは圧力を0.1~10Paまで自由に選定できて、なおかつ最後まで一定に圧力をかけることができるので、夜監視がいらないそうです。槽の大きさも160Lから3000Lまであるそうで、総米600kgで1630Lがいいそうです。現在昔の槽に変わって製造している唯一の会社だと言っていました。
KT式吟醸びん燗急冷機
正しい瓶燗火入れ機だそうです。お湯の温度を均一にして、水位も適切に制御できるのが特徴だそうです。P箱ごと火入れをして、急冷出きるそうで、場所を考慮したコの字型が標準ですが直線型も製作できるそうです。
9.株式会社 サンニード
サンニードは新潟市にある会社で、日本酒醸造機械を製造販売している会社ですが、従業員は9名だそうで、そんな大きな会社ではなさそうです。ホームページは下記の通りです。
http://www.sun-need.co.jp/index.html
麹屋さん
面白いものを見つけました。麹蓋を使った製麹をロボット化した機械です。5kg入る専用の麹箱が温度管理をしながらゆっくり回転し上部で麹をかき混ぜる方式でした。
下の写真が上部の麹をかき混ぜる部位です。温度制御の方式は聞きませんでした。
もともと三菱農機と島根県の工業センターが共同開発した装置で杜氏さんという名で売っていたものですが、三菱農機が販売を辞めたいということでこの会社が販売することになったそうです。
写真の装置は100kg用ですが、実用的には200kg用がお得で、総額2850万円するそうで、すでに全国で30台くらい納入されているそうです。
10.株式会社 フジワラテクノアート
フジワラテクノアートは岡山県にある会社で醸造食品の生産機械を製造販売している会社で従業員が125名おられるみたいで、大きな会社です。
ネット式連続冷却装置
ステンレス製のネット式のコンベアと使っているので、洗浄が楽とか耐久性が良いという特徴のようです。あらゆる食品の冷却に使うようで、蒸し米に特化したものではなさそうです。 ホームページは以下の通りです。
http://www.fujiwara-jp.com/
11.立花機工 株式会社
立花機工は京都の宇治田原町にある会社で液体食品機械を製造販売している会で特に充填機が得意のようです。ホームページは以下の取りです。http://www.tachibanakikou.co.jp/
フレキシブル充填機です。隣に打栓機もありました。
以上で展示装置の紹介は終わりますが、たった1時間の取材では全部を見ることはできませんでしたし、後半は駆け足で見学しましたのでので、詳しい内容をお示しすることができなかったことをご容赦ください。
お蔵さんが設備投資をする際の参考になればうれしいです。
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