Googleカスタム検索

私の好きな日本酒ブログ

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

Qchanpapa

  • 日本酒
無料ブログはココログ

« 2017年8月 | トップページ

2017年9月22日 (金)

梅乃宿のお酒には新しさと伝統を感じました

8月の末の平日の夕方に横浜の居酒屋で梅乃宿の蔵人をお呼びしての試飲会があることを日本酒カレンダーで見つけて、お電話したら10人強の小人数の会ですが、宜しかったら参加くださいと言われたので参加してきました。 

そのお店は横浜駅の東口から歩いて5分くらいの高島2丁目にある「いざか屋若蔵」でした。この辺の地理に疎い僕でしたので、行くのに迷ったのですが、横浜駅東口から万里橋を渡ってすぐの通りの左側にあるのですが、それらしいお店が見つかりません。でもビルの1階に梅乃宿の垂れ幕があったので、そのビルの裏側にまわってみたらありました。 

Dsc_0077

とてもこじんまりとした素敵な雰囲気のお店で、ここに開店してまだ2年目だそうで、お店の店長の鈴木良太さんは元々横浜育ちで、京都のお店に修業してから横浜に9年前に帰って最初に井土ガ谷に店を出したそうで、この店が一番新しく3店目だそうです。 

お店はカウンターと10人くらいが座れるテーブルがあるだけのお店で、日本酒は色々置いてありましたが、梅乃宿のお酒は昔から入れているお酒だそうです。下の写真が店長でタンポポ自業株式会社の代表取締役の鈴木さんです。会社の事務所は隣のビルなので、このお店が本命かもしれませんね。なかなかかっこいい人ですね。 

Dsc_0075_3

梅乃宿からが2人の営業マンがこられていて、お酒の説明をしていただきましたが、その説明は主に奈良からこられた横田和士さんです。 

Dsc_0053_2

梅乃宿酒造はどんな蔵なのでしょうか。ちょっと調べてみましたので、まず蔵の紹介からいたします。 

蔵は奈良県葛城市東室にあり、近鉄御所線の近鉄新庄の近くにあります。創業は明治26年で創業者は吉田熊太郎さんです。その後蔵がどのように発展したかはよくわかりませんが、昭和25年に今の蔵の名前の梅乃宿酒造となります。この蔵には樹齢300年の大きな梅の木があって、春になると鶯が良く遊びに来たことから「梅乃宿」という名がついたそうです。 

昭和35年には清酒売上高が3500石にもなったようですが、たぶん大手の桶売りもだいぶあったようで、大手が桶買いをやめ始めて昭和54年には自社ブランド中心に移行し、本格的に吟醸酒の方向にシフトします。当時は吟醸酒がまだ出回っていない時でしたので、大変人気が出たようです。この時に社長になったのが、4代目社長の吉田暁さんです。それが昭和59年のことです。 

暁さんはそこから酒造りを大きく方向転換することになります。この時代はちょうど日本酒離れが多くなり、日本中の蔵がどうやって生きていくか大変苦労していた時代でした。暁さんはもちろん本物の日本酒造りに力を入れる気持ちはありましたが、このままではじり貧になるという思いから、大きな決断をします。自分の蔵が持っている強みは何かと考えて、思い立ったのが自社の得意技術の「伝統ある発酵技術」を活かして清酒以外の色々なものを造ろうということでした 

まず最初に行ったのが、瓶内発酵のの低アルコールの発泡性・純米酒「月うさぎ」の開発でした。この商品は夏場によく売れて、夏場でも製造できる環境になりました。夏場は杜氏がいない期間ですので、若い社員だけで行なわざるを得なくて、これで杜氏がいなくても酒造りをする環境が生まれたそうです。 

次の取り組んだのがリキュールの生産です。それは大量に生産した月うさぎの酒粕は酒粕としての人気がなく、産廃にせざるを得ない状況でしたので、その酒粕から焼酎を造ることを思いつき、平成13年にリキュールと焼酎の製造免許を取り、焼酎の生産を始めました。この焼酎は販売は考えておらず、アルコール添加用の醸造用アルコールとして使うつもりでしたが、南紅梅を焼酎に漬け込んだ梅酒を造ることにしました。それだけでは面白くないので、日本酒につけた梅酒も造りそれをブレンドした梅酒を「蛍梅・おうばい」として平成14年に販売を開始しました。このお酒が大ヒットしたのです。 

その後は、梅酒だけでなくリキュールの製造販売の方向に動き出しました。いちご、ゆず、もも、リンゴ、ミカン、マンゴーなど次々と新しいものを開発していきます。現在の販売量は清酒が1600石、梅酒が1000石、その他が1400石で合計4000石の生産となり、今ではリキュール生産蔵としての方が有名になっています。 

この間日本酒の製造に力を抜いていたわけではありません。吟醸酒にシフトしたことは上で説明しましたが、現在の清酒の平均精米率は55%ですから特に高級酒に力を入れているようです。このような発展をしてきた裏には暁社長の強い思いがあったのです。 

暁さんが社長になった時はこの困難な時代をどう乗り切るかと同時に5代目にどう繋いでいくかの思いがあり、その時に出会った言葉が「1年を計る人は花を育てる、10年を計る人は木を育てる、100年を計る人は人を育てる」という言葉だったそうです。それまでも人を育てることはやってきたつもりでいましたが、一人一人の能力を最大限引き出すまではやっていなかったことに気が付き、組織全体としての理念や文化、雰囲気、人が生き生きとする人事制度の強化などを行うと心に決めたそうです。そして、その土壌がほぼできた平成25年に娘の吉田佳代さんに社長を譲り、会長に退き現在に至っています。 

佳代さんに社長を引き継いだ年は創業120年になる年で、そこで新しい酒文化を造っていく理念を明らかにし、その象徴として新しいブランド山風香を立ち上げました。山風香は蔵が葛城山の麓にあることから、山から吹く新しい風の香りを表現したもので、山香と風香の2種類から成り立っています。山香はどっしりと構えた山のように梅乃宿の伝統を生かしたお酒、、風香は革新と新しい酒文化を表していて、搾りたてのようなフレッシュな味わいを楽しめるお酒です。瓶の色とラベルの色でお酒の酒質が一目で判るように、山香は茶色い瓶、風香は透明瓶、ラベルの文字は大吟醸は金色、純米吟醸は銀色、純米酒は黒色、生酛は緑、山廃は橙したのではないかと思います。これは蔵人から直接聞いたことではないので間違っているかもしれません。 

この会社のホームページみますと、他社にはない雰囲気があります。それは会社としての理念が明確に描かれていることと、従業員一人一人の声が描かれていることです。若い人が多く活気ある気持ちで、前に向いている様子が目に留まります。本当にこのまま素直に発展するのかどうかはわかりませんが、何が生まれるのだろうという期待感はありますね。とても楽しみです。 

以上で蔵の紹介は終わりますが、最後に新社長のプロフィルを紹介しておきます。 

 ・ 1979年生まれ現在38才
 ・ 平成14年 帝塚山大学経営情報学部卒
 ・ 株式会社モリタに入社
 ・ 平成16年 梅乃宿酒造株式会社入社
 ・ 平成25年 同社 代表取締役社長 就任
 ・ コンセプト 新しい酒文化を創造する蔵
          具体的には伝統ある技術を守り研鑽し続け、伝
          統技術をもとに価値ある商品や提案を時代に合
          わせて提供することだそうです。
 

それでは今回飲んだお酒の紹介をします。 

1.ARAGOSHI×MINOH 

Dsc_0054このお酒は日本酒ではありません。乾杯用に飲んだビールです。この蔵ではあらごし梅酒という銘柄の梅酒を造っていますが、これは南紅梅のうめをあらごしした果実をたっぷり使った梅酒で、この梅酒が発売されて10年目の今年に発売10周年記念に作ったビールで、今年限りだそうです。 

大阪のクラフトビールの名門の箕面ビールと梅乃宿酒造がコアラボレーションして作ったビールです。 

飲んでみると梅の酸っぱさはあまりなく、少し甘めのビールでした。麦芽の苦みとマッチした面白い味でした。アルコール度数は5.5%ですから普通のビールと同じです。 

2.UK-02 

Dsc_0057このお酒は梅錦蔵人の酒No.02という名前がついていて、その頭文字をとって、UK-02というラベルになっています。 

杜氏から託された蔵人がタンク1本を自由なコンセプトで造り上げる形で醸造したもので、2年前に初めて作ったお酒をUK-01としたので、今年はその第2弾としてUK-02となったわけです。 

UK-01は甘くて酸で締めるジューシーなお酒で評判が良かったそうで、UK-2は奇麗な酸を出すさわやかなお酒を目指して、リンゴ酸の出る協会77号と6号酵母のブレンドを試みたそうです。 

飲んでみると意外と酸が弱くおとなしめのお酒でした。もう少しリンゴ酸を出したほうがおもしろい気がしました。このバランスだと冷やして飲むほうが向いているようでした。 

3.風香純米吟醸袋搾り生原酒 

Dsc_0060_2このお酒は24BYから定番として造られていて、今年で4年目になるお酒です。岡山県雄高島地区で取れた備前雄町60%精米を使った純米吟醸で袋搾りのあらばしりと中取を詰めた生原酒です。酵母は9号酵母です。ラベルの文字は銀色で、瓶は透明でした。 

ここでは説明がありませんでしたが、ホームページで調べた酒質はALC17度、日本酒度、+2.4、酸度2.1でした。 

のんでみますと、香りは抑えめですが、カプロン酸エステルの香りと酢酸イソアミルの両方を感じるさわやかなもので、フレッシュな味わいとドライな口当たりで、最後に雄町らしい余韻を感じる味わいでした。澱の甘さと酸が打ち消しあっていてなかなかいいバランスをしていると思いました。 

4.風香純米無圧搾り生原酒 

Dsc_0064このお酒は山田錦65%精米の純米酒の生原酒です。酵母は6号酵母で、薮田の搾り機でプレスをかけないで、ポンプだけの力で最初に出てきたものを瓶詰めしたお酒です。ラベルの文字は黒で瓶は透明でした。 

このお酒の酒質もホームページで調べたものを紹介すると、ALC17度、日本酒度-4.6、酸度1.7でした。 

香はさわやかな香りですが、あまり強くなく、口に含んだ時に甘さを感じて味がしっかり出ているが、後味は切れを感じました。 

生原酒はすべて-7度の冷蔵庫で保管しているそうで、瓶詰め後の品質管理もしっかりしているようです。 

5.風香 純米吟醸 

Dsc_0066このお酒は岡山県産の備前雄町60%精米の純米酒で1回火入れのお酒です。文字の色は銀色でしたが、瓶の色は茶色でした。風香でも1回火入れのお酒の瓶の色は茶色のようです。一回火入れするとフレッシュ感がなくなるのでそうしたのかもしれません。だったら山香したほうがよかったのではと思いました。 

ホームページで調べた酒質はALC16度、日本酒度+1.7、酸度1.6でした。 

飲んでみると熟成の香りがしたので、聞いてみると火入れはパストライザーを使った瓶燗火入れなので、この香りは火入れによるのではなく酒販店で熟成したのではないかとの説明でした。このお酒は窓乃梅の自信作のお酒のようですが、雄町らしい余韻は消えてしまっていて、残念でした。お酒の管理は大切ですね。 

6.山香生酛純米吟醸 

Dsc_0070このお酒は岡山県産の備前雄町60%精米の生酛造りの1回火入れの純米吟醸原酒で、蔵で1年以上熟成させたお酒です。その中でも今回のお酒は2年熟成のお酒でした。 

瓶の色は茶い色で文字は緑でした。ホームページで調べた酒質はALC17度、日本酒度1.5、酸度1.5でした。 

飲んでみると軽い熟成の香りはしますが、角が取れてマイルドで嫌みのない大人のお酒になっていました。口に含んだ時にドンと旨みを感じるわけではないけど、バランスが良く後味に漂いう軽い余韻が素敵で、個人的には僕が最も気に入ったお酒でした。 

山廃も含めて生酛系は全生産の2割くらい作っているそうですが、山廃は主に本醸造の隠し味のブレンドとして使っているそうです。 なかなかのテクニックですね。

7.クールゆず 

Dsc_0078この蔵では、梅乃宿ゆずとクールゆずの2種類のゆず酒を造っていて、どちらもアルコール度数は8度と同じで、ゆずの果汁を日本酒とブレンドして作っています。 

最初に開発されたのが梅乃宿のゆずの方で、1升に対して18個のゆずの果汁を低温で調合して作ったものに対して、クールゆずはさらに果汁を増やして、20個分のゆずを、生酒と調合して造ったそうです 

飲んでみるとゆずの香りが口中の広がるフレッシュなお酒でなので、つい飲み過ぎてしまいそうになります。  

8.梅乃宿辛口純米吟醸酒 

Dsc_0068このお酒は限定のお店しか出していない特別の純米酒だそうです。お米は麹米が山田錦55%精米、掛米があけぼの55%精米の純米吟醸です 

ホームページで調べた酒質はALC16度、日本酒度+10.4、酸度1.4でした。 

飲んでみると甘みは抑えられていますが、それほど辛くは感じないで、トロットした感触で口の中に広がりました。なかなかうまく作られていると思いました。晩酌ように色々なお食事と合わせることのできるお酒だとおもいました。 

以上で飲んだお酒の紹介を終わります。 

最後にこの蔵のお酒を飲んで感じたことを纏めてみます。 

5年前に女性社長に代わってから新しい山風香シリーズのお酒が出て、新しい風を出してきてはいますが、伝統ある造りの良さとの調和を図っている感じがして、そのバランスが良いなと思いました。今の若者が好きな流行りの味のお酒を追うだけでなく、さらに先を見た新しいもの目指している予感がしました。この蔵は当面目が離せないと思います。 

それからホームページもしっかりしていて販売しているお酒の酒質をきちっと書いてあるるのは大変珍しくて、それだけ酒造りに自信があるとだとおもいます。僕のようなお酒マニアにとっては大変うれしいことです。

京都の丹後にある木下酒造の杜氏をしているフィリップハーパーさんは1991年から10年間梅乃宿で修業をして、南部杜氏の資格を取ったことは酒通の人には有名な話ですが、ハーパーさんを育てた風土がこの蔵のベースになって息づいていると感じました。

 にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ご覧になったら、この日本酒マークをクリックしていただくとブログ村のページに戻ります。これでポイントが増えます。携帯やスマートフォーンでご覧の方はMobileModeではクリックしてもポイントは増えませんので、PC-Modeにしてからクリックしてください。よろしくお願いします。

2017年9月13日 (水)

喜多方の若手の蔵は個性豊かで楽しみですよ

8月の20日に西日暮里の稲毛屋で喜多方の若手5蔵の造り手を囲む会が開かれましたので参加してきました。稲毛屋主催の通常の日本酒会でこのような会がおこなわれることはありませんが、今回は大塚の地酒屋「こだま」の児玉武也さんが企画したものです。 

地酒屋「こだま」は武也さんが、今の場所にあった酒屋の「つたや」を2010年に買い取って開いたお店で、もともと「つたや」は福島のお酒が強くて、武也さんはその流れを継いで福島を幅広く取り扱っています。でも武也さんは普通の酒屋さんとは違います。もともとお酒の趣味が高じて酒屋になった方ですので、お酒を売って儲けようという気持ちが少なく、たとえ完成度が低く、生産量の少ない蔵であっても、一生懸命に良いお酒を造ろうとしている蔵をお酒を売ることで応援しようという人です。ですから福島の蔵の場合も、武也さんは自分の目で蔵を見つめなおして、応援しようと決めた蔵だけを扱っているものと思います。取り扱う福島の蔵数が多いと言っても、現在その数は16蔵で、福島全体の1/4ほどにしかなりませんが、全蔵武也さんが足を運んで見定めた蔵ばかりです。 

武也さんの地道な応援の成果が出たのか、最近福島の若手の杜氏が造るお酒の質が上がり色々なところで表彰されるようになってきました。それを受けてか、2014年には福島の新試飲気鋭の6蔵をディープに感じる会を武也さんが開催いたしました。この会のことについては僕が参加をしてブログで紹介していますのでご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/6-656f.html 

喜多方には11の蔵がありますが、その中でこだまで扱っている蔵は7つあります。その中でも若手が杜氏として造りをしている5蔵を取り上げて、蔵元を囲む会が行われることになりました。その蔵をご紹介します。5人のうち3人が上述のディープな会に参加していますので、紹介内容に重なることがありますので、ご容赦ください。 

・ 峰の雪酒造場 大和屋善内 佐藤健信  

・ 笹政宗酒造 ささまさむね 岩田悠二郎  

・ 喜多の華酒造場 星自慢 星里英  

・ 合資会社会津錦 会津錦 斎藤孝典  

・ 大和川酒造 弥右衛門 佐藤哲 

各蔵の杜氏の紹介とお酒の紹介をいたしますが、お話の中お米、酵母、アカデミーの話が良く出ますので、この3つは事前に紹介した置きます。 

1.福島県清酒アカデミー 

この組織の正式な名前は福島県清酒アカデミー職業能力開発校で、福島県が認めた色々な職業の労働者の職業能力の開発・向上を目的とした職業訓練校の一つです。平成のはじめごろは新潟の端麗辛口の酒造りが持てはやされ、新潟県ではそれを支えるために技能者要請機関として「新潟清酒学校」を設置するなど先を見据えた活動をしていたようです。 

福島県酒造組合としては、新潟より10年も遅れを取ってると思い、平成4年に新潟の事例を参考にしながら清酒アカデミーの前身となる技術研修を開始し、翌5年に県から普通職業訓練短期課程の認識意を受け、現在の組織がスタートすることになったようです。最初から3年のカリキュラムだったとすると、最初の卒業生は平成7年になります 

現在の訓練内容は初級・中級・上級の3年課程に分かれていて、それぞれ約100時間強、3年で300時間強の講義と実習をするそうです。その訓練科目には醸造にかかわる様々な専門科目(醸造数学、微生物学等の基礎科目から醸造実務科目、各種関連法律、醸造の歴史など)を教わるようです。 

今年の4月で23期生が卒業し、毎年約10名強の人が卒業するので、卒業生は延べ256人だそうで、福島県の蔵は62蔵あるようですが、造り手のほとんどの人がこの卒業生になっているものと思われます。 

平成17年度に全国新酒鑑評会での金賞受賞数で全国1位になって以来、今年までほとんど1位か2位(平成20年度だけが3位)の成績を残しており、大きな飛躍をしています。その陰にはアカデミーの講師をしている福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターの醸造科長の鈴木賢二先生がおられます。鈴木先生は新しい情報を得たり、お互いが刺激しあうことで、それぞれの蔵の意欲も技術も高まるという思いで活動されていますが、自分の研究成果として、平成14年に吟醸酒製造マニュアルを作り、蔵元に配ったそうです。そこには搾りから火入れまでの最適な期間や酵母が順調に育っているかを確かめる計算式など先生独自の方法を書くと同時に、酵母は特定せず各蔵の工夫が生かせるような幅を持たせたものになっています。このマニュアルはわかり易いということで評判となり、瞬く間に各蔵に広がり、それが平成17年度の1位につながったわけです。いまでも鈴木先生はさらなる研究を続けており、先生の努力によって福島県の醸造レベルが向上したことは間違いのないと思います。インターネットからお写真をお借りしました。 

20141031001

 2.福島県産酒米 

福島県が開発した酒造好適米で今使われているのは「夢の香」しかありません。夢の香は八反錦と出羽燦燦の交配種で、耐冷性や耐倒伏性が弱い五百万石に代わる米を目指したもので、耐冷性は五百万石より強く、耐倒伏性もやや強いものができました。酒米としての特性も五百万石より心白の発現率が高く、粒形も大きく吸水性も優れていて、醪中で溶けやすい軟質性のある酒造好適米です。 

一般米としてはコシヒカリやチヨニシキやひとめぼれ、天のつぶやミルキークインが造られています。チヨニシキはこしひかりとトヨニシキを親に持つ飯米で、酒米としては掛米に使われています。天のつぶはコシヒカリに匹敵する味を持つお米として、福島県が15年かけて開発し、平成22年に県の奨励種となったお米ですが、酒米としてはあまり使われていません。  

3.福島県産酵母 

福島県で開発された酵母は非常のたくさんあるようですが、それを纏めて統一的に紹介した文献が見つからなかったので、今回紹介する酵母は蔵で使っているものに絞って紹介します。酵母の開発もハイテクプラザ会津若松技術支援センターが担当されており、最近の開発には鈴木先生が担当しているものと思われます。 

<うつくしま夢酵母(F7-01)> 

 この酵母はハイテクプラザ会津若松技術支援センターが昭和63年より開発を進めてきて、協会酵母701号から改良された酵母が様々な苦労をした後、平成3年に夢酵母として発表されました。この酵母は酢酸イソアミル系の酵母で、洋ナシやメロンのようなさわやかな香りがして、酸味が少なくソフトでマイルドな味わいがする酵母です。 

<うつくしま煌酵母C10(701-15),R50(901-A113)、G30(701-g31)> 

 夢酵母が開発された後、カプロン酸系の香りの酵母が求められ、協会7号系酵母と協会9号系酵母から改良されて開発された3種類の酵母が平成20年に煌酵母として発表されました。C10はカプロン酸エステルの華やかな香りが強く、R50はイソ系とカプ系の2種類の香りが楽しめ発酵力の強い辛口系に向いている。G3は香りのバランスが良く、高級酒向けの上品なお酒に向いていると言われています。  

<TM-1> 

福島県で開発された酵母で、全体的な酸味を抑えながらきれいな酸味だけをだけを出す特徴がある酵母のようです。 

<TUA> 

 これも福島県開発の酵母で、低温で発酵力が強い酵母らしいですが、使っている蔵は喜多の華酒造くらいしかないようです。 

以上で前知識の紹介を終わり、今回参加した蔵を紹介しますが、たまたま飲んだ蔵の順で紹介することにします。 

下の写真は武也さんが5人の蔵元に説教しているわけではありません。会の終了時に5人の人たちのすばらしさを会の参加者にPRしているときの写真です。お店の構造上こんな風にしかできなかったようです。蔵元さんもみんな一生懸命武也さんのお話を聞いている姿が印象的ですね。 

Dsc_0060

 <峰の雪酒造場 大和屋善内 > 

Dsc_0052この蔵は昭和17年に佐藤信八さんが創業した新しい蔵ですが、現在の会津ほまれの真向かいにあった大和錦の第2工場として東京向けのお酒(峰の雪)を造る目的でスタートしたそうです。その後昭和30年に本家から独立し峰の雪酒となったそうです。 

写真の方は4代目蔵元の佐藤健信さんです。健信さんは東京農大の醸造学科を卒業された後、新潟の麒麟山に6年務め、製造と販売の勉強をした後平成21年に蔵に戻ってきます。 

その後福島清酒アカデミーに3年勉強した後、平成23年の造りから製造部長(実質の杜氏)となり自ら求めるお酒を造り始めることになります。 

まず、今までは普通酒しか作っていなかったのを変えて、特定名称酒に力を入れると同時に自分の好きな味のお酒、あまいけど、重たくなく軽く飲めるお酒を造り始めることになります。 

自分が狙った甘くても飲み飽きしないお酒を造るのは結構難しく、アミノ酸を1.0以下になるようにするそうです。そのためには洗米から全ての工程を見直したが、あまいお酒を造るには強い麹菌を使って糖を増やせばいいけど、蛋白混濁という白く濁るお酒になる可能性があるので注意をしているそうです。飲んだお酒は以下の通りです。 

.大和屋善内 純米生詰め
2.大和屋善内 純米大吟醸
3.Yamatoya Zennai
 

Dsc_0023_5Dsc_0020_3Dsc_00181.大和屋善内 純米生詰め(1回火入れ) 

このお酒は喜多方産の五百万石60%精米の純米無濾過生原酒です。甘みがあっても飲みやすいお酒を目指していて、強い麹菌を使って糖分を多く出すとともに、醪の発酵を最後までは行わずに糖分があるうちに絞るそうです。でも若いうちに絞ってしまうとヨーグルトのようなつわり臭(ジアセチルの香)が出るので、もろみの中のピルビン酸がなくなったのを確認して絞るそうです。この香りは絞ってからしばらくしてから出てくるので、この蔵のように絞ってすぐ瓶詰めするところでは、出荷前に瓶詰めしたお酒を確認して、クレームが出ないよう気を付けているそうです。 

飲んでみるとさわやかなイソアミル系の香りと程よい甘みとさわやかな酸を感じるお酒でしたが、この酸は福島県のTM-1という酵母からくるもののようです。確かに飲み飽きないタイプのお酒と言えます。 

2.大和屋善内 純米大吟醸 

大和屋善内のお酒はすべて喜多方産の五百万石を使っていますが、このお酒は出品酒を狙った40%精米の大吟醸ですので、カプロン酸エチルの華やかな香りが出るM-310という酵母を使っています。出品酒は袋撮りをしますが市販品は薮田で絞っているそうです。薮田で絞った場合最後に絞る責めの部分はどうしてもアミノ酸が増えるので使用していないそうです。結構細かいとろろに気を使っているのですね。 

3.Yamatoya Zennai. 

 このお酒は蔵に戻って自分では締めて造ったお酒で、今までにないタイプのお酒なので、横文字の表示にしたそうです。五百万石60%精米の純米酒で、アルコール度数14度、日本酒度-3、酸度3.8のお酒です。かなり酸味が効いていますので、バーベキューや肉料理に合うそうです。この酸はもろみの中で乳酸を増やして出しているようです。 

飲んでみると酸味は感じますが、甘さとかき消されてそれほど強くは感じられませんが、白ワインの感覚で飲めそうです。 

(まとめ)  

佐藤さんもアカデミーの出身ですが、先生の物まねではなく独自のお酒を造ろうという姿が印象的でしたし、醸造の理論にも詳しい方のように思えました。 

<笹政宗酒造 ささまさむね> 

Dsc_0051この蔵は1818年に岩田善次郎が喜多方市で創業した蔵で、喜多方駅から北へ4㎞程行ったところにあります。僕は行ったことはないけど、写真を見ると昔ながらの趣のある建屋とお庭が素敵な蔵でした。 

写真の方が社長兼杜氏の8代目の岩田悠二郎さんで、まだ31才で、喜多方では最年少の社長だそうです。大学卒業後は普通のサラーリマンをして、酒造りは全くしていなかったそうですが、4年前に蔵に戻ってきて、このままでは蔵には未来はないと感じて、杜氏のもとで勉強をしつつ、清酒アカデミーで研修をして3年前から自分のお酒を造り始めました。 

当時は生産量も落ち込んでいたので、売れるお酒の造りをアカデミーの鈴木先生のアドバイスを受けて始めたそうで、その意味では広戸川の松崎さんと同じですね。 

そして、最初のお酒はどんな名前にするか悩んだそうですが、いい案が思いつかずにひらがなの「ささまさむね」としたそうですが、字体は書道家に書いてもらったそうです。字だけ見ると女性のように思えますが男性だそうです。 

1.ささまさむね 純米吟醸 生酒
2.ささまさむね 特別純米 無濾過生原酒
3.ささまさむね 特別純米 熟成
 

Dsc_0024_4Dsc_0025_5Dsc_0027_2*
1.ささまさむね 純米吟醸 生酒 

このお酒は喜多方産五百万石50%精米の純米吟醸生酒で、ガス感が残るように気を配ったお酒だそうです。酵母はF7-01(夢酵母)で、日本酒度は±0、酸度1.4の少し甘口のお酒、さわやかな酸とガス感で切れを出しているようです。 

飲んでみると、イソアミル系のさわやかの香りとともに、口に含んだ時の甘みのぐわいが素晴らしく、しっかりした味わいを感じました。アミノ酸度は0.9ですからアミノ酸の旨みよりはグルコースの甘さなのかもしれませんね。 

2.ささまさむね 特別純米 無濾過生原酒 

このお酒は同じ五百万石精米度55%を麹米に、華吹雪精米度55%を掛米に使った特別純米の1回火入れです。アルコール度数15度、日本酒度は+2くらいですが、酸度が1.6~1.7もあってすっきりした味わいです。最初は味が物足りないくらいでしたが、半年寝かすことによりだんだんまろやかさが出てきているので、晩酌用としておすすめだそうです。 

3.ささまさむね 特別純米 熟成 

このお酒は広島県産の千本錦50%精米の特別純米の1回火入れのお酒です。このお酒は2015年に作った最初のお酒で五万石が手に入らないので、広島県の千本錦にしたそうで、インタナショナル・ワイン・チャレンジに出したら純米酒の部門で入賞したそうです。そのお酒をこだま店で熟成したのもだそうです。 

酵母は他のお酒と同じ夢酵母ですが、飲んでみると熟成香したためかイソアミル系の香りも少なく、熟成香もない飲みやすいお酒になっていました。 

(まとめ)  

彼もアカデミー出身ですが、先生のいいとこどりをしてうまく自分お酒を造っているように思えました。この会の前日の福島の地酒の会で、純米大吟醸原酒の生一本を飲みましたが、甘口ですがとてもパワフルなのにバランスの良いお酒になっていました。たった3年でこんなお酒が造れるのはとてもいいセンスを持っていると感じました。 

<喜多の華酒造場 星自慢 > 

Dsc_0053この蔵は喜多方駅から歩いて数分の所にある駅に最も近い蔵です。創業は大正8年で、星金吾さんが味噌醤油を営んでいた本家より分家をして始めたそうです。最初の銘柄は「星正宗」でしたが、戦時中一時休業していた蔵を昭和31年に復活させた時「喜多の華}と改名したそうです。 

喜多方にある多くの蔵の中で最も新しい蔵だったので、喜多方の華になる思いでつけられたようです。この蔵を今の形にしたのは現社長の星啓志さんです。早くして父を亡くした啓志さんは、醸造研究所の先生に指導を仰ぐだけでなく、自ら色々な蔵に足を運んで勉強した結果、今のベースを作り上げたのですが、娘3人の家族なので、いずれ自分の代で蔵を閉じようと思っていたようです。 

写真の方が長女の星里英(りえ)さんで、若い頃は家を継ぐつもりはなく東京でOLをしていたそうですが、東京での試飲会で蔵のお酒の販売を手伝っているうちに、自ら勉強しなおして蔵を継ぐことを決めたそうで、東京農大短期大学に行くことを決め、卒業後蔵に戻ったのが4年前の2013年です。 

その後福島清酒アカデミーで研修を受けた(岩田悠二郎君の同期)後、今では杜氏としてつくりをまかされているそうです。お酒は蔵に戻ってからすぐにお酒を造り始めているそうで、今年で4年目になるお酒もあります。 

1.蔵太鼓 純米辛口 生酒
2.星自慢 特別純米 無濾過生原酒
3.喜多の華 純米吟醸
 

Dsc_0036_2Dsc_0034Dsc_0033_21.蔵太鼓 純米辛口 生酒 

このお酒はご飯を食べながらお酒を飲む人のために作ったお酒で、香りが少なめで辛口に仕上げたそうです。原料米は麹米がたかねみのり50%精米、掛米が一般米60%精米の純米酒で、日本酒度+10、アルコール度数15%としてアルコール度数を抑え、飲み飽きしないように作っています。酵母はTUAで7号系の福島酵母ですが、この酵母を使っているのは喜多の華酒造だけではないかと思います。 

このお酒は生原酒と生酒と火入れの3種類を造っているそうで、この蔵の定番となっているお酒です。 

2.星自慢 特別純米 無濾過生原酒 

このお酒はしっかりお酒を嗜む人のために作ったお酒で、社長の啓志さんが造った自信作で、星自慢という銘柄として平成元年から売り出しています。お米は麹米が五百万石50%精米、掛米がたかねみのり55%精米の純米酒で、酵母は9号系を使用していて、アルコール度数は18度、日本酒度-1、酸度1.7のお酒です。飲んでみるとしっかりとした味わいがあるけれども、飲んだ後の切れもありとても良いバランスになっています。お酒の好きな人にはぴったりのお酒と言えます。 

3.喜多の華 純米吟醸 

このお酒は理英さんが蔵に戻ってからすぐに作り始めたお酒で、今年4年目になるので星が4つついています。ですからこの星は毎年数が増えるそうです。このお酒は麹米が五百万石50%精米、掛米チヨニシキ55%精米を使った純米吟醸で、日本酒を飲まない人にも飲んでもらいたいような甘みがあって香りがあるお酒を目指したそうです。でもアルコール度数は17度もあり、飲みやすいけど、軽いお酒ではありません。それはこれをきっかけに普通のお酒も好きになってもらいたかったからだそうです。 

(まとめ)  

里英さんは蔵に戻った時に東京で知り合った人と結婚して、2人で酒を造ろうとスタートしたのですが、事情があって離婚したそうです。でも里英さんはお父さん似でとても明るい方なので、すぐに良い方に巡り合うとおもいます。これからどんなお酒を造りたいですかとお聞きしたら、この蔵の基本となる3つのお酒をベースにしてさらにブラシュアップしていきたいと、笑って答えてくれました。どんなお酒に進化するか楽しみですね。 

<合資会社会津錦 会津錦 斎藤孝典> 

Dsc_0054この蔵は耶麻郡高畑村にある蔵で、喜多方駅から西に10㎞程行った山間にある蔵で、最近合併して喜多方市になったそうです。 

創業は江戸時代のようですが、大火によって記録がなく、形上創業は明治元年となっている古い蔵です。創業は戦時中は休業していましたが、昭和22年に斎藤酒造を設立し、現在の会津錦となったのは昭和42年だそうです。 

写真お方は6代目の専務取締役の斎藤孝典さんです。孝典さんは1976年生まれの現在41歳ですが、大学は東京農大の醸造学部に行き、卒業後家庭の事情ですぐに蔵に戻って後、清酒アカデミーにはいきましたが、現在のようなシステムはまだ出来上がっていなかったそうです。 

造りの勉強は主に蔵にいた越後杜氏から教わり、26才の時には杜氏になったそうです。蔵の生産高は300石にも満たない小さな蔵で、若い孝典さんと蔵人の小竹さんだけで酒造りを始めることになったそうですが、酒造りは基本を大切にした真正直な酒を目指しているそうです。 

他の人とは違うお酒をつくりたい常々思っていたので、地元のお米を積極的に使うことを考え、最初はチヨニシキを使っていました。6年前にミルキークインという米を使ったら、もち米のような粘りがあり酒米としては大変使いにくかったのですが、出来上がった酒は日本酒度が+9もあるのにお米の甘さを感じることに驚いたそうです。そこで、飯米の良さを生かすことを考え、色々試験をした結果、今ではほとんどのお酒を天のつぶという飯米を使っているそうです。 

1.純米大吟醸 袋吊り生原酒
2.純米 火入れ原酒
3.純米 すっべったこっぺった
 

Dsc_0040_3Dsc_0042_3Dsc_0045_31.KU 純米大吟醸 袋吊り生原酒 

このお酒は新しいブランをのQ(KU)シリーズの最初に作ったお酒で、天のつぶ50%精米で、M310を酵母に使った純米大吟醸です。どうしてQ(KU)というかというと、福島9号の天のつぶを使っていることと、人が本来喰う米で、人が喜ぶお酒を造りたいということからQと呼んだそうです。どんなお酒なのでしょうか。 

飲んでみると飯米とはおもえないような甘みと切れの良さを持つお酒で、このお酒を気に入ってくれた日本料理店の店主が黒龍の雫に負けないお酒ということで雫と同じ瓶に入れたとのことでした。 

確かにすごくうまいお酒でしたが、飯米の50%精米の大吟醸が4合瓶で5000円もするのは高すぎです  

2.KU 純米 火入れ原酒 

このお酒はQシリーズの第2弾として2年まえに作られた純米酒の火入れ原酒です。お米は当然天のつぶ70%精米で酵母はうつくしま夢酵母です。このお酒のラベルがユニークでQの文字の中に侍がいて、ご飯を食べている姿が描かれています。 

飲んでみると70%精米とは思えない奇麗さのあるお酒でした。確かにすごいお酒ですが、4合瓶1550円は仕方がないのかな。 

3.純米 すっべったこっぺった 

このお酒は「つべこべ言わないで」という意味の方言で、孝典さんが杜氏になってすぐ作ったお酒ですが、今はお米を昔はチヨニシキだったのをこれも天のつぶに変えています。精米度は同じ70%で優しい甘みと酸を感じるお酒でしたが、KUとは格が違う感じでした。 

KUの純米とどうしてこんなに味が違うかをお聞きしたら、KU純米は大吟醸と同じ麹を使っているのと酵母の違いから来ていると言われました。火入れの回数はどちらも2回火入れだそうです。同じお米で精米度が同じでも造りで随分違うのですね。 

(まとめ)  

孝典さんは41歳でこの5蔵の若者の中では一番年上ですが、そのせいかとても自信をもってお酒を造っているように感じました。確かに70%精米の飯米からあれだけの味を出せるのですから、清酒アカデミーの教えだけではできない技だと思いました。これからどんなお酒が飛び出すのか注目していく蔵だと負いました 

<大和川酒造 弥右衛門 佐藤哲野> 

Dsc_0050_2この蔵は喜多方駅から北に5分ほど歩いたところにある蔵ですが、創業はとても古く、江戸時代の中期の1790年だそうです。今まで紹介した4蔵の生産高は300石前後でしたが、この蔵は約1500石以ある立派な蔵で、平成2年には郊外に飯能蔵を新設して近代化を図っています。 

写真の方は杜氏の佐藤哲野さんです。哲野さんは大学を卒業後、酒造りをしたくて、すぐ蔵に入って蔵人として酒造りをする一方、清酒アカデミーで研修を受けたり、東京の醸造研究所で勉強したりして腕を磨いてきたそうです。 

哲野さんのお父さんの房伸さんが現在9代目の佐藤彌右衛門を名乗っていますが、東日本大震災で原子力の不評被害が出たことから、こちらの問題を解決すべく会長に退いたので、それまで杜氏をしていた父の弟の和典さんが社長になったそうです。哲野さんはそのタイミングで3年前に杜氏になったそうです。ちょっと棚ぼたですね・・・ 

お酒を紹介します。 

1.彌右衛門 純米辛口
2.彌右衛門 純米カスモチ
3.彌右衛門 別
 

Dsc_0046Dsc_0047_2Dsc_0048_21.彌右衛門 純米辛口 

このお酒は彌右衛門の柱となっているお酒で、お米は麹米が夢の香50%精米で、掛米がチヨニシキ60%の純米酒です。2年前から本醸造を含めてすべてのお酒の麹米は夢の香50%にしているそうで、、そうすることにより非常に安定してきたそうです。この考えは新政の佐藤祐輔さんの考えと同じですね。今後真似するところが増えそうな気がします。 

飲んでみると米の甘みを感じる優しい味わいでした。冷でもお燗でもあうお酒でした。 

2.彌右衛門 純米カスモチ原酒 

昔から同じ方法で造ている伝統的なお酒で、麹米は夢の香50あ5、掛米がチヨニシキ65%精米で、麹の量は通常20%ですか、カスモチでは倍の40%とし、醪の水の量も少なめにして濃度の濃い状態で発酵させ、原酒のまま搾ったお酒です。 

カスとは醪のことを言い、モチは4段仕込みに使うもち米のことで、日本酒度-25もあり非常に甘いけど切れもあるお酒になっていて、常温熟成に向いたお酒だそうです。 

3.彌右衛門 別品 

このお酒は哲野さんが杜氏になってから始めた生酛造りのお酒で、お米は夢の香55%精米で酵母は別品は天然の蔵付き酵母で、酵母添加の生酛はすっぴんと言うそうです。柔らかくてクリアな甘みと優しい酸味のバランスの良い生酛でした。

まとめ)  

哲野さんの蔵はある程度仕組みもガッチリきまっっている大きな蔵なので、杜氏と言えどもやりたいことが勝手にできるわけではないけど、やれる範囲の中で、新しいことにチャレンジしているのはわかります。とてもまじめに取り組む方のようですが、思い切って色々チャレンジしてもらいたい気がしました。 

以上で喜多方の5蔵の紹介を終わりますが、僕の感想としては、清酒アカデミーの鈴木先生の教えが行き届いていて、みんな同じような造りをしているのかと思っていたら、鈴木先生の教えは理解したうえで、皆が個性ある造りをしていたので驚かされました、喜多方の蔵の将来は楽しみですね・・・・

にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ ←ご覧になったら、この日本酒マークをクリックしていただくとブログ村のページに戻ります。これでポイントが増えます。携帯やスマートフォーンでご覧の方はMobileModeではクリックしてもポイントは増えませんので、PC-Modeにしてからクリックしてください。よろしくお願いします。

« 2017年8月 | トップページ