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« 杉錦の生酛系のお酒は赤ワインをイメージしています | トップページ | 雄町サミットに参加して感じた審査について »

2017年8月18日 (金)

「雄町」徹底勉強会は非常に役に立ちました

今年の雄町サミットの開催日の前の日に、日本酒学講師の会が主催で、「雄町」の徹底勉強会が開かれました。日本酒学講師の会というのはNPO法人FBOが認定する講師が未来の日本酒のために日本酒の魅力や知識を一般消費者伝えていくことを目的としている会で、平成25年に発足しています。この会は「酒と食文化アカデミー」というテーマで、月に1,2回程度で色々な会を開催しています。その一つとして、今回は市田真紀講師がコーディネーターとなって、雄町の生産者や蔵元などをお呼びして「雄町」を徹底的に勉強しようという会です。 

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市田さんは岡山生まれの利き酒師で雄町に精通された方なので、ぜひ勉強したいと参加を申し込みました。会場はFBOアカデミー東京校でしたが、当初は30名締め切りの予定でしたが、応募が多かったので、60名まで増員したそうです。 

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当日の会は日本酒学講師の会の副会長の入江亮子さんの司会でスタートし、会長の大越智華子ご挨拶から始まりました。会の構成は以下のように行われました。 

1.JA全農岡山営農・農産部課 本井傳崇之さんによる講演
  「酒造好適米雄町の来歴」
 

2.岡山県酒造好適米協議会会長 岩藤英彦さんによる講演
  「栽培農家が語る雄町の魅力
 

3.利守酒造代表取締役 利守忠義さんによる講演
  醸し手からみた雄町の魅力」

4.雄町で醸した日本酒のテースティング:解説 市田真紀 

5.質疑応答 

全部通しで約2時間の会でしたので、自分のための備忘録として簡単にまとめてみることにしました。 内容はいただいた資料を使っていますので、講演内容とは少し違っているかもしれません。

1.本井傳崇之さんによる講演 「酒造好適米雄町の来歴」

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雄町の呼び名で備前雄町とか赤磐雄町と言われますが、その名前は産地から来ており、備前とは岡山市、赤磐市、和気市、瀬戸内市、備前市からなる地域をしましますが、雄町を主に作っているのは岡山市と赤磐市だそうです。 

雄町の生産量は全国で約2500トンで、醸造用玄米の約2%強にしかすぎませんが、雄町の全生産量の94%が+、岡山県で作られています。どうしてそうなんでしょうか。それは岡山県が全国で一番晴れる日が多いからだそうです。本当にそれだけでしょうか。実は雄町は岡山の土地と水と気候が適していたからだそうで、詳しくは岩藤さんの講演で触れることにします。 

まず雄町の来歴を示します。雄町を最初に発見したのは現在の岡山市中区雄町岸本甚造さんで、1859年に伯耆大山のお参りの帰路に見つけた変わり穂の2本を持ち帰り栽培し育成を重ねて1866年に「二本草」と名付けて生産したのが始まりです。その後雄町に良い米があるという評判から岡山県を中心に栽培されるようになり、栽培地の地名から「雄町」と言われるようになったそうです 

雄町の生産量は次第に増加大正時代の中頃には9000haもの作付があったものの、雄町は丈が高く倒れやすいとか、病害虫に弱いとか生産量が少ないという欠点があったので、品質改良が盛んにおこなわれ、新しい米に順次変わっていき、昭和14年には3000haまで減少しています。 

でも酒米としては、赤磐郡の軽部村の村長の加賀美章が酒米としての良さに注目し、全国酒造家を歴訪し積極的な宣伝を行った結果、昭和のはじめには全国新酒鑑評会の1位から20位までを全部備前雄町の酒が独占したことにより、金賞を取るには雄町でなければ不可能と言われるほどまでに名声が出たのです。 

でも戦時体制に入った昭和17年には食料管理法が交付され、今まで高値で取引されていた酒米が一般米と同じ価格になったことからさらに減少し、昭和20年には1100haまで減少しました。昭和25年に酒造好適米に加算金を付ける買入制度ができたにもかかわらず、その時には山田錦に流れることになり、雄町の作付けはさらに減少し昭和48年には3haにまでになり、ほとんど絶滅状態になったようです。 

昭和50年に利守酒造雄町の復に向けた取り組みを開始し、良質米推進協議会を発足させるなどの努力により次第に増産され、雄町サミットが開催された平成20年には390haまで増加して、現在は550haとなっています。雄町復活の苦労話については利守社長の講演で触れることにします。 

雄町はお酒の原料米としての価値だけではなく、雄町が持つ優秀な性質を他の酒米に伝える役割を果たしました。具体的には渡船を経て山田錦へ菊水を経て五百万石とつながっていき、結果的には、今人気の愛山、越淡麗、金門錦、美郷錦などへとつながっていく元親としての役割があったことはあまり知られていませんね。
 

2.岩藤英彦さんの講演 「栽培農家が語る雄町の魅力」 

 

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岩籐さんは昭和31年生まれですから、現在61歳になり40数年農業に携わたっと紹介がありましたが、確かに若い時稲造りを手伝っていたけれども、途中他の仕事をしており本格的に米造りを始めたのは30歳過ぎからだそうです。でも現在は雄町の造りの第1人者で、岡山県の蔵との契約がほとんどなので、他県ではほとんど手に入れることのできない貴重な雄町を造っている方です。 

雄町は丈が170cm以上もあり、倒れやすいので、できるだけ丈が高くならないように栽培しているけれども、一目で山田錦とは違うことはわかってもらいたいので、ある程度は丈を伸ばしているそうです。丈は170㎝あっても実がつくと穂が垂れてくるので実際の高さは140㎝くらいだそうです。その写真をお見せします。 

下の写真はまだ十分には実がついていませんが、女性が持っている雄町の丈は女性の背丈と同じくらいあります。 

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下の写真は収穫前の稲の状態で穂がしっかり垂れています。たぶん140cmくらいでしょうね。市田さんでも隠れることはななそうですよ。 

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ここの(赤坂)田圃は砂の上にある痩せた土地で、水の通りが良く、肥料も長持ちしないけど、水の流れが良いので酸素が根に入りやすいのが雄町にいい環境であるとのことでした。良い稲ができるかどうかは人の手が20~30%で、残りの70%は環境任せなので、台風が少なくて日照時間の長い備前が雄町に向いていると言えるのでしょう。 

良い稲ができても良い米ができるかどうかは100%人間の作業によるそうです。雄町は非常に割れやすいので、収穫に時間をかけゆっくり行い、乾燥には最大でも1時間0.5%の水分減少で行い、乾いた後でゆっくり冷却します。具体的には乾燥に1日、冷却に1日かけるくらいのスピードでやれば割れの少ない米ができるそうです。 

協議会としては稲の造りは有機肥料を使うこと以外の制限はしていませんが、米としての仕上げ方は統一するように努力しているそうです。 

最後に雄町が一番きれいに見えるのは8月末から9月初めの穂が出る時で、穂には白い長い「のげ」がついているので、一面が真っ白に見えるそうです。ぜひ見てくださいとのことでした。下の写真がその時の田圃の写真だと思います。確かに白っぽいですね。 

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3.利守忠義さんの講演 「醸し手からみた雄町の魅力」 

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まずは雄町復活のお話から紹介します。利守さんが蔵に戻ったのが昭和40年で、専務取締役になったのが昭和45年です。その年の11月に杜氏の田村さんと一緒に地元の農家に行ったとき、納屋の中に「雄町」の稲穂が年度別にずらりと並んでいるのを見て感激したそうです。杜氏と相談してこの雄町で酒を造ろうと決断して、その農家にお願いしたのですが、今はできませんと断られたそうです。雄町は造られていなかったのです。

多収穫品種のお米は1反で10俵取れるの対し、雄町は6俵くらいしか取れなかったので、10俵の所得補償をすることなどをして少しずつ増やしていったのですが、なかなかいい米がとれないので、良質米推進協議会を立ち上げて品質向上を行い、さらに1俵あたり35000円で出来た雄町米を悪いものも含めて全量買い上げることにより、雄町の復活に成功したそうです。 

一方、雄町米のお酒造りにも力をいれ、昭和59年から3年間連続して全国新酒鑑評会で金賞を受賞するまでになりました。雄町のお酒は味わいに幅があり、ふくよかな酒になるのと独特の切れの良さとか余韻があるお酒になるだけでなく、熟成させるとまろやかになりさらに良くなる長所があるそうです。 

雄町は精米時に割れやすいだけでなく、吸水もしやすいので酒造りのすべての工程で気を使う必要のあるお米だそうで、その具体的な例を示していただきました。 

精米: 軟質で大粒で心白が大きいので精米中に砕けやすいので、50%以下の精米が難しい。いかに慎重に真精精米歩合を上げるかがポイントになる。 

洗米浸漬: 洗米は15kgの手洗いで、浸漬は限定吸水で慎重に行う 

蒸し: 蒸米の自重で硬くならずに、ふっくらとしたべとべとしない蒸米にするために加圧式3段甑を開発した。(フジワラテクノアート) 

放冷機: 麹米には表面の水分を飛ばすため60度の温風を吹き付ける装置を開発した。 

麹造り: 無通風式自動製麹装置を開発(フジワラテクノアート)した。 

醪造り: 蒸米をどのくらい枯らすかがポイントになり、溶け過ぎに注意する。
 

4.雄町で醸した日本酒のテースティング 

雄町で醸した7種類のお酒を市田さんの解説を聞きながら、7種類のお酒をお弁当のおつまみを食べながらテースティングしました。お酒は以下の7種類です。 

1.赤磐雄町 純米大吟醸 精米度40%
  ALC15度、日本酒度+3.酸度1.4

2.阿櫻 純米吟醸 無濾過原酒 精米度50%
  
ALC16.6度、日本酒度+0.酸度1.8

3.極聖 特別純米 高島雄町 精米度60%
  
ALC15.5度、日本酒度+3.酸度1.5

4.玉川 山廃純米酒 無濾過生原酒 精米度68%
  
ALC20.1度、日本酒度-7.酸度3.2

5.三光天賦 純米 無濾過生原酒 精米度65%
  
ALC18.6度、日本酒度+4.酸度2.2

6.出羽桜 純米吟醸 雄町 精米度50%
  
ALC16度、日本酒度+5.酸度1.6

7.篠峯 夏凛 純米吟醸 無濾過生 精米度60%
  
ALC15.8度、日本酒度+5.5酸度1.9

写真は市田さんのものをお借りしました。 一つ一つの解説はしませんが、雄町らしさを感じるにはアルコール度数は15-16度、日本酒度は0~+5、酸度は1.8以下が合うような気がしました。このうち雄町サミットの優秀賞を取ったのが3番の極聖と6番の出羽桜でした。利守酒造は1番のお酒の出品はしておらず、吟醸系は赤磐雄町生を純米系は特別純米を出して賞を取っていました。

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 おつまみの写真です。白く見えるのは雄町のご飯です。食べてみたらそれなりの美味しかったけど、ちょっと旨みが足りないので、チャーハンかカレーライスがいいかな。 

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5.質問コーナーは何人かされましたが、省略します。ただ、僕の質問で雄町で全国新酒鑑評会で金賞を取っている蔵は少ないけど、新潟の越の雄町は連続金賞を取っていますが、どうしてでしょうかとお聞きしたら、新潟で生産された雄町は備前雄町とは違うものだと言われて、なるほどと思いましたが、雄町ではないと切り捨てるのも理解はできるものの、これから考えていく必要がありそうな気がします

以上で雄町勉強会の紹介を終わります。 

最後にこれを企画していただいた市田さん、入江さん他の関係者の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

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