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2017年7月20日 (木)

長陽福娘のお酒は気取るところのない酒でした。

八方園の槐樹で行われる蔵元さんと日本酒を飲む会は今回で19回目になりますが、参加してきました。今回は山口県の萩市にある岩崎酒造の社長の岩崎喜一郎さんをお迎えしての会でした。岩崎酒造は生産高が300石と非常に小さな蔵なので、東京で飲む機会はあまりありませんでしたが、山口県の酒造組合が主催するやまぐち地酒維新の会では何回か呑んだことがあり、とても良いお酒を造る蔵だなと思っていましたので、今回はそのお酒をじっくり堪能しようと思って参加したものです。
 
まずは蔵の紹介をしたいと思います。この蔵は中国山地より流れ出た阿武川が萩市の海に注ぐ前で阿武川と橋本川に分かれることによって作られた三角州の中央部にあります。明治34年に初代当主の岩崎小左衛門が現在の場所とは違うところで酒造りを始めたそうですが、その後、近くで酒を造っていた酒蔵を引きついて現在の場所に移ったようです。
 
蔵は萩市のど真ん中にあるという話なので、グーグルマップで調べたら、町の中央の田町商店街のアーケードの中にありました。日本中の蔵の中でもアーケードの中に蔵があるのは珍しいと思いグーグルから写真をお借りしましてので、ご覧ください。
 
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写真を見ていただくと確かにアーケードの中にありますが、店構えをよく見ると蔵の面影があります。この店口の奥が造りをしている蔵なのでしょうね。 

お酒造りにはきれいな水が欠かせないと言いますが、社長にお聞きしたらここは阿武川の伏流水が出るそうで、硬度60くらいの軟水で酒造りには向いているそうです。この地は海と山に囲まれた古くから漁業の盛んな土地であったことから、その土地の食べ物に寄り添うような酒造りには適しているそうです。
 
造っているお酒の銘柄は長陽福娘、萩毛利、はぎなどですが、メインの銘柄は長陽福娘です。その名前の由来は創業当時の蔵元の家に女子が続けて誕生したことから「福々しい良い子の育つように」との思いで福娘を、そして山口県の名を表す長陽地区と、お酒がおいしくなる重陽の節という意味をかけ合わせて長陽福娘と命名したそうです。
 
蔵元は岩崎家で引き継がれて、現在は5代目で岩崎喜一郎さんが2010年に社長になられています。
 
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喜一郎さんは1964年7月に萩市に生まれていますから、現在53才です。県立萩高校を卒業され、東京の芝浦工業大学の機械工学科に進学されました。大学卒業後は滝野川の醸造試験所で勉強された後、お酒の卸売り店の太田商店に勤務され、26才の時に蔵に戻っています。 

蔵には熊毛杜氏がおられて酒造りを教わってきたそうですが、その杜氏も高齢になになったので、2012年から自らが杜氏となって現在に至っています。ですから喜一郎さんは社長兼杜氏の蔵元です。
 
どんなお酒造りを目指しておられるのかをお聞きしたら、「優しいお酒」で飲んでこれは凄いというようなお酒ではなく、飲んでいいる人の気持ちに寄り添うような食中酒を目指しているそうです。
 
取り扱っているお米は昔は五百万石が多かったそうですが、今では山口県産や萩産の山田錦、西都の雫、岡山県産の雄町、広島県産の八反錦に絞っているそうです。その中でも山田錦と西都の雫に力を入れているようです。
 
それでは早速飲んだお酒の紹介をしましょう。今回は5種類のお酒を堪能しました。いつもよりは数が少ないけれども、岩崎さんが選りすぐったものです。
 
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側のお酒から 

1.長陽福娘 山田錦 斗瓶囲い 大吟醸
 
このお酒は山田錦35%精米の袋吊り斗瓶囲いの大吟醸で、いわゆる出品酒用に作ったお酒で、市販されていないお酒です。アルコール度数は17~18度、日本酒度は+2.5、酸度は1.5のお酒で、口に含むと軽いカプロン酸エチルの香りが漂ったお酒でしたので、酵母をお聞きすると協会18号と熊本酵母(9号系)のブレンドだそうです。
 
飲んでみると口に含んだ時のふくらみが少し足りないけど、後味で少し辛みを感じながら消えていくお酒でしたが、出品酒にしてはちょっと物足りない感じがしました。でも温度が上がってくるとしっかりふくらみが出てきましたので、冷やし過ぎるとその良さが出ないような気がしました。去年の山田錦は溶けが悪かったので、どの蔵も味乗りが悪く少し軽めの味わいになったようです。
 
2.西都の雫 純米吟醸
 
このお酒は山口県産の西都の雫40%精米の純米酒で、アルコール度数は15~17度、日本酒度+3.5、酸度1.5のお酒です。この精米度ならば純米大吟醸と言っていいはずなのに、どうしてそうしなかったのかは説明はありませんでした。酵母は1番のお酒と同じ協会18号と熊本酵母のブレンドです。 
 
飲んでみると1番のお酒と全く同じ香りがするし、味わいも大変似ていました。でも温度が上がってくると、山田錦の方が膨らんできて、西都の雫の方が軽い感じがしました。杜氏のお話では西都の雫の方が硬いお米なので味がストレートな甘みになってしまうそうです。
 
このお酒はインターネットで調べてもみつかりませんでした。きっと特別に山田錦に変えて西都の雫を使ったらどうなるかを試験するためのお酒だったのではないでしょうか。
 
西都の雫は山口県が開発した酒造好適米で、山口県の穀良都というお米と山田錦の流れをくむ西海222号をかけ合わせてできたお米です。山口市が西の京都と言われることにちなんだ西都に淡麗で切れの良いお酒をイメージして西都の雫と命名されたそうです。
 
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3.長陽福娘 山田錦 直汲み 純米吟醸
 
このお酒は萩市で取れた山田錦を使った純米吟醸酒で、精米度は50%、酵母は山口9Eです。山口9Eは9号系の酵母をベースに純米酒用として山口県が開発した酵母で、西都の雫との相性がとてもいいそうです。
 
酒質は日本酒度が5.5、酸度1.8、アルコール度数16~17のお酒で、搾ったお酒をそのまま瓶に詰めた直汲み生酒です。飲んでみると9号系でありながら、さわやかなイソアミル系の香りがするお酒で、自然な甘みが程よい酸味とまじりあって、ぴちぴちしているけどすっきりした味わいのお酒でした。個人的には少し寝かせてから飲んでみたい気もしました。
 
4.西都の雫 夏純米 薄にごり
 
このお酒は西都の雫のお酒が後味に少し苦みが出ることを逆手に取り、夏酒用として作ったお酒で、西都の雫60%精米、酵母は山口9Eで、日本酒を7.5、酸は少し抑え気味の1.35の薄にごりの純米生酒です。 
 
普通夏酒はアルコール度数を下げて飲みやすくしたお酒が多いのですが、このお酒は逆にアルコール度数を上げ、澱を少し含ませることにより甘みを出しながら、日本酒度は辛口にしてすっきり感を出す狙いのようです。
 
飲んでみるとすっきりしていながら、適度な旨みを感じるバランスがとても良いお酒でした。色々なものと合わせられるお酒でした。1升瓶で2700円(税抜き)ですので、お買い得だとおもいました。

5.重陽福娘 辛口純米酒 無濾過生
 
Dsc_0219このお酒はお燗酒として出されたお酒で、お米は萩市の山田錦で、精米度は60%アルコール度数が18~19度の生原酒です。酵母は9号の泡あり酵母を使っていて、日本酒度は+8、酸度は1.65のお酒はした。

飲んでみると香りはそれほどないけど、口当たりが柔らかくトロットした味わいのあるおさけで、日本酒度が+8とは思えないお酒でした。辛口の酒としてはうまく作っていると思いました。

以上で飲んだお酒の紹介を終わりますが、この蔵のお酒の印象はどのお酒を飲んでもすごくうまいお酒という感じはしないけど、きちっと設計された外れのないお酒造りをしているように思えました。

ひとつ前のブログで紹介しましたが、お酒の味は造り手の性格を表すものであると新政の佐藤祐輔さんが言われたことを思い出しました。この蔵のお酒は岩崎喜一郎さんの真面目な性格がよく出たお酒だと強く感じました。

会の中で喜一郎さんに大学で機械科を卒業して何か造りに役に立ったことがありましたかとお聞きしたら、発酵の過程を分析する時に有限要素法(昔習ったけど忘れました)を使って解析したことが発酵を理解するうえで勉強になったと言われたのが印象に残りました。

喜一郎さんは酒造りに真面目に向き合ってきちっと対応する方なのだと思います。まだ杜氏になって6年目ですから、これからもっとい新しいことを切り開かれると思いますので、今後を期待していきたいと思います。

槐樹の日本酒の会はお酒だけでなく、お料理が売りで、会のお酒を事前に取り寄せ、お酒に合わせた特別な料理を作って出すことに特徴があります。

今回のメニューは以下のの通りです

1.乾杯の肴 あざく (うざくをもじってアナゴのあざく)

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2.酒有八景 

水蛸の昆布締め、枝豆ととうもろこしのゼリー寄せ

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山口産の車エビのシュウマイ

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中身の一つ一つはわかりませんでした

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3.創作寿司 鯵の棒寿司 夏ミカンの香り

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4.温物 鱧の湯引き、鱧の頭酒

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5.締め 胡麻だれつけ麵

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6.甘み みほとユイの秘密(中身は不明)

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2017年7月 5日 (水)

新政・貴・仙禽の蔵元によるトークバトルと利き酒選手権

6月4日にインフィニット酒スクールが主催する若手蔵元トークバトルと利き酒選手権&懇親会に参加してきました。この会は去年も四谷3丁目にあるホテルウイングで行われましたが、トークバトルは新政酒造の佐藤祐輔さんと仙禽酒造の薄井一樹さんのお二人のトークで、あまりトークバトルにならなかったのと、きき酒選手権もどんな形で実施されるのかわからないまま参加したので、うまくブログにまとめることができず、書くのをやめてしまいました。

今年は永山本家酒造場の永山貴博さんも参加された3人でのトークバトルとなったのと、きき酒選手権も最後にこんなお酒でこんな質問をしたとの解説書がありましたので、詳しい紹介ができそうなので、ブログにまとめてみることにしました。

<3蔵元によるトークバトル>

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今年は新政の佐藤祐輔さんと仙禽の薄井一樹さんと貴の永山貴博さんの3人に司会の阿部ちあきさんが質問し、それに答える形式で行われました。

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阿部さんによるプロフィルの紹介がありましたが、それに少し手を加えた僕の方で調べたプロフィルについて、まずご紹介することにしました。紹介の順番は年上の佐藤さんからご紹介することにしました。

佐藤祐輔

1974年12月生まれ、現在42歳8代目の蔵元です。高校を卒業後は明治大学の商学部に入学したのですが、マネージメントの勉強に興味が持てずに退学して、1年浪人して東大の文学部に入り、好きな英文学を勉強したそうです。大学卒業後はフリーの記者として執筆活動をしていたそうですが、そんな時に静岡名酒「磯自慢」を知ってその味に衝撃を受け、2007年に蔵にもどることを決心したそうです。すぐに広島の酒類総合研究所で一年半みっちり酒造りを学び、それからは蔵の改革を次々に行い、2012年に社長となり現在に至っています。

永山貴博

1975年9月生まれ現在41歳5代目の蔵元です。高校を卒業後語学の勉強のためにカナダの国際大学に入学して、帰国後国税庁の醸造研究所で酒造りと米造りの勉強をした後1997年に蔵に戻り酒造りを開始します。醸造研究所時代におせわになった静岡の「喜久酔うの青島さんにいろいろ教えを受けながら、2001年に杜氏になり「貴」を発売します。その後、2013年に社長となり現在に至っています。

薄井一樹

1980年11月生まれ現在36歳の11代目の蔵元です。地元の高校を卒業後、大学を中退して日本ソムリエスクールに行って資格を取った後はソムリエの仕事をしていて、その時菅田先生と知り合ったそうです。2003年に蔵に戻り弟の真人さんと共に蔵の改革を行い、2008年に古い蔵の代わる新しい株式会社「せんきん」を立ち上げ、新たな路線を走ることになり、現在はその会社の専務取締役として活躍されています

この後は3人のトークバトルの内容をご紹介しますが、阿部さんの質問に対しての各人のご返答の形でまとめています。僕の記憶の間違いもあると思いますので、その時はご容赦お願いいたします。

質問1 今年の蔵の生産状況と28BYの造りについて

佐藤祐輔

開発中の自社田の田圃の草取りの準備もあるので、毎年生産量は少なくしており、今年は10本ほど減らして約2000石くらいの生産予定です。毎年最初の20-30本は試験醸造をしていて、今年は低発酵の造りで酵母を入れる前の乳酸菌が多い状態で醪に入れる試験をしましたが、マロラティック反応が進んでリンゴ酸が乳酸に代わってしまい、思った味にはならなかったそうですが、大変勉強になったそうです。

永山貴博

毎年5月の末には甑倒しをしており、今年は生産量は約1200石ぐらいだそうです。毎年新しいことをチャレンジするよりは造りのブラシュアップをして改善することに心を割いていて、今年は醪を搾り機に送るポンプを強くかき混ぜるポンプではなく、比較的穏やかに送ることのできるロータリーポンプを使って、少しでもガスが残るようにしたとのことでした。お酒のダメージを与えないことが大事だと思っているそうです

今年は失敗はなかったけど、去年は活性濁りでうまくいかなかったこともあり、活性系のお酒造りは毎年大変だそうです。

薄井一樹

今年は6月末に甑倒しになり、生産量は約1700石くらいだそうです。今年は去年のトラブルの反省からとりあえず26BYの造りに戻りながら造りの修正をかけたそうで、成果が出たとのことでした。したがって、オーガニックの亀の尾の酒や本場のシャンパニューの酒の造りは来年度以降になるそうです。

今年は酵母を添加しない生酛はうまくいったのですが、新政から紹介していただいた美郷錦はうまく作れなかったそうです。新しい米は難しいそうです。

質問2 今の日本酒業界に対する意見について

共通の観点

若手というのは造りを初めて10年までを若手と言っていいと思いますが、僕たちは造りを始めた2003年から2007年日本酒が売れない時代なので、独自のお酒造りをしようとに大変苦労したけど、とても良い経験をしたと思っている

佐藤祐

現在のように日本酒がある程度売れるようになってきた時代になって、若手の蔵元が蔵に戻り易くなったのは、良いことだと思う。そして若手が他蔵の良い技術を取り入れるのは進歩を早めるので良いとだと思う。その意味で自分か開発した技術はどんどん開示しているので、それを利用してもらっていいととのことでした。それに対して、祐輔さんは技術を開示はしているけれども、それを真似しただけでは同じものはできないと薄井さんがコメントしていました。・・・やって失敗したら祐輔さんに聞けば教えてくれると思うよ・・・

酒造りの技術はどんどん進化するものであるが、結局どんな酒ができるかは最後には作る人の性格が出るので、人を見ていればどんなお酒を造ろうとしているかはわかるそうです。・・・性格が見えない酒は魅力がないということにつながるのかもしれませんね・・

永山貴博

貴を売り始めた時代はなかなか酒が売れない時代だだったけれども、今は若手の夜明けで大勢の人が集まる時代になっているので、うらやましいくは思うけれども、自分の時は何か自分なりの味を造っていかなければなないと思っていたそうです。そんな時にとても感銘を受けたのは静岡の喜久酔」青島さんから酒造りには哲学から入るべきという考えだったそうです。その人の哲学は生きてきた人生を反映するものなので、お酒はそれから無まれた結晶なのだと思うそうです。

薄井一樹

今は日本酒の市場が安定しているので、85点のお酒を造れば売れる時代になっているし、各県の研究所の先生から渡されるレシピ通り造れば簡単にそれができる時代になってきているが、冒険をしなくなってきているのではないかと思われるそうです。最近はおいしいけど無機的なお酒が多いのは気になるそうです。

永山さんが見た薄井さんは若い時は尖りまくっていたし、特徴のあるお酒だったけれども尖っているからこそ哲学を感じるし、最近はそれが洗練されてきたと思うそうです。

質問3 日本酒の国際化について

日本酒が海外に沢山輸出されるようになってきて最近新たにソムリエ協会が日本酒の利き酒師の資格制度(SAKE-DIPLOMA)ができるようですので、それについてご意見をください。

佐藤祐輔

資格試験の新たな制度がソムリエ協会からできたので、僕としてはワインに対する考え方を日本酒に当てはめようとしているのでないかととても気になるそうです。ワインと日本酒は全く製造も違うし、ワインと比較されても困る。例えば4VGの香りはワインでも日本酒の公的研究所でも良くない香りとされているが、それが人間の体に悪い影響を与えない限り許されるべきだと思う。全国鑑評会での中では減点法で評価されているは、技術向上の立場から公的機関が行ってきていることは理解できないことはないが、一般の日本酒にこれを当てはめるのはおかしい。多様化したお酒を認める国際基準を考えるべきだと思う。

永山貴博

新しい資格試験ができるのは良いことだと思うが、日本酒を国際基準で評価するためにはワインのブドウにあたる原料のが大切にされるのはわかるが、ワインとは違う並行複発酵なので、原料だけで味が決まることはありません。またワインにはないアルコール添加、純米酒の考え方、乳酸の添加についてはトレーサビリティなどあらためて検討していかなければならないので多少心配である。

鑑評会基準をすべての蔵に当てはめるのはおかしいし、過去の伝統を守ってきた蔵癖のある造りを大事にすべきだと思う。

薄井一樹

日本酒の国際化には国際的な資格制度が必要なのはわかるが、昔からのSSIがいいのかソムリエ協会が良いのかは一概には言えない。いずれにしても時代の流れによって世界基準としてアップデートされなければならないと思う。造りとしては米、酒母が大切だと思うのでこれを大切にする基準を考えていくべきだと思う。

質問4 2017年度の酒造りについて

佐藤祐輔

一昨年は焼酎の麹をテストし、今年は低発酵の造りにチャレンジした。来年は造りの挑戦はしないで、自社田の有機米を使うことになるので、原料処理を徹底にやるつもりである。溶けない米ができた時に酵素力で溶かすのはよくないので、原料処理の仕方で対応していきたいので、蔵の中で最も経験のあるものを原料処理に使うつもりである。

永山貴博

西日本は山田錦、雄町、八反錦など大粒の軟質米が多いが、特に今年は八反錦は溶けなくで50%も粕が出た。今年の田圃の状態を見ると来年はとても心配だが、人がどう手をかけるかで対応していきたい。

薄井一樹

毎年米が溶けるかどうかで値段を変えていいのではないか。栃木県では早稲の亀の尾と晩稲の山田錦が同時にできるので、来年は無農薬で作る2つのお米を同時に使うことになり、どんなお酒になるか楽しみです。

<参加者からの質問:インフィニット酒スクールでは4VGはオフフレーバーと教わっているが、これはどのような時に出るのでしょうか、また麹造りで酒母、初、仲、留で変えて行っているか、突破精と総破精ではお酒の味にどのように違いを出すのでしょうか

佐藤祐輔

4VGは生酛系の造りで蔵付き酵母や野生酵母を取り入れた時は必ず出てくるので4VGはオフフレーバーとして悪いとするのはやめてもらいたい。飲み手がこの香りなら良いとする範囲であれば、認めていい香りだとおもう。

麹造りに関しては酒母は米を溶かさなければならないので、酒母は強い麹を造って留は菌量を減らして突き破精にするほうが良いという醸造上の理屈はあるけれども、新政では麹造りを40時間から72時間までの色々な作りをした結果、現在では40時間という短い麹造りをしているそうです。ですからすべて総破精になるとのことでした。麹造りはアルコール添加する場合と純米の場合では最適な麹造りが違うとのことでした。麹造りで味は変わってくるのでオリジナリティを出すには麹造りは重要なところであるが、総破精か突き破精かという単純なことではないようです。

永山貴博

鑑評会出品酒クラスで、泊まり込みでやる場合は適宜菌量を変えて突破精になるようにしていますが、ベーシックなお酒については菌量を一定にして決まった時間に決まった温度に来ることを大切にしているそうです。総破精とか突き破精ということを気にはしていないそうです。

薄井一樹

麹の破精回りでお酒の味が違ってくるのは確かで、奇麗なお酒を造るの場合は突き破精がいいとは言えますが、総破精と突き破精がどちらがいいかということはないそうです。造りたいお酒のコンセプトによって変えることにすればいいと考えているそうです。

<4VGに関する菅田先生のコメント>

このコメントはその場で出されたものではなくて、後日先生から聞いたものです。4VGは香りが少なければ問題はないように見えますが、本来出るはずがないプロセスで出た場合は、その香りの強さは大きくなくても、本来の吟醸香をマスキングしたり、後味に辛みが出ることがあり、その場合は本来目指したお酒になっていないことがあるので、その目安としてこの香りをチェックする意味があるそうです

トークバトルの感想

以上で3人のトークバトルの紹介は終わりますが、3蔵とも造りの哲学を持っているという点では共通ですが、僕が質問した麹造りをとっても皆違う造りをしていることからわかるように、昔からある技術を大切にしながら、自分たちの蔵にあった改善をしていることはよくわかりました。バトルをしている中で本音が見えてくるのが楽しかったです。

きき酒選手権

インフィニット酒スクーるの利き酒選手権はとても見ていて楽しい選手権ですが、どのようにやってるかを知っている人は少ないと思いますので、まずそれを紹介しましょう。

今回は8人がまず予選を行って4人に絞ぼってから、4人で決勝戦を行うものですが、予選も決勝戦もやり方は同じですので、予選で行われた例で説明します。

まずテーブルに1~5の番号を付けたテースティンググラスに5種類のお酒を入れておきます。脇には吐き用の紙コップを置いておきます。

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最初に1分間だけ5種類のお酒を自由にテースティングする時間が与えられます。その後、先生から「1番のお酒に対して火入れ回数を答えてください」というような問いが出されます。回答者は30秒だけ試飲をして紙に書いて答えるという順で進められました。

回答している状況の例をお示ししましょう。

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実際にやってみるととても難しいので、なかなか当てられないようで、予選では5問中2問の正解で決勝に行ける状態でしたが、決勝では藤原さんが5問すべて正解という快挙で優勝されました。僕の写真にいいものがなかったので、田崎さんの写真をお借りしました。

左の方が去年の優勝者の手塚さん、右の方が今年の優勝者の藤原さんです。おめでとうございます。

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どんな問題が出されたか知りたい人のために、懇親会会場内に問題の回答が出されていましたので、それから予選の例を写真をお見せします。

5種類のお酒は下の写真です。

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これに対する問題と解答の写真です。拡大すれば読めると思います。

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とても難しいでしょう。中々正解できるものではありません。決勝では蔵元3人がグループで一緒に応えていましたが、確か2問しか正解しなかったようで、インフィニット酒スクールに通って勉強すると弁明していました。 蔵元のようにプロであっても、数値を推定する訓練はしていませんので、なかなか当たらないのだと思います。インフィニットスクールはお酒の数値を当てるのが目的ではなく、お酒の酒質をテースティングしていくにつれて、数値が推定できるようなるということのようです。

以上できき酒選手権の紹介を終わります。

<懇親会>

ここでは新政、貴、仙禽のお酒を楽しみましたが、ここでは個別の解説はしません。園田お酒は何と約40種類もありましたが、これらの酒は最初にどんと出たわけでないので、会が終わった時に撮った写真をお借りしました。

<新政>

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<貴>

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<仙禽>

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この試飲会で面白い経験をしました。それは貴の山廃純米の雄町は蔵付き天然酵母で作られたものでしたが、味は深みも酸もあってチーズにぴったりのお酒でしたが独特香りがあったので、菅田先生と祐輔さんに確認をしてもらったら4VGの香りでした。確かに蔵付き酵母の場合はどうしてもこの香りが出るので、これをオフフレーバーとするのは確かにちょっと辛いところだと思いました。

最後にこの3つの蔵のお酒のイメージを女性書道家の山嵜さんに一文字で書いていただきました。

新政は華やかな舞、貴は男らしい鳳、仙禽はキラキラ輝く耀でした。山嵜さんはお酒のことはわからないと言いながら、とてもよく表現されていると思いました。

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最後にこの企画をしていただいた菅田先生とそのお弟子さんたちに感謝したいと思います。来年も盛大に実施されることを期待したいと思います。 

会の締めのご挨拶をあいている菅田ゆうさんです。

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