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2017年6月21日 (水)

静岡酵母と静岡吟醸の誕生の秘密

5月21日にSAKE2020プロジェクトの企画で「各県開発酵母の先駆け~静岡酵母と静岡吟醸]という内容のセミナーが行われましたので、参加してきました。SAKE2020プロジェクトはは松崎晴雄さんとジョンゴントナーさんが代表を務める組織で、日本酒が高度に発展していく現在の日本酒が辿ってきた道のりを、歴史的な視点から紐解くセミナー・ワークショップをシリーズとして開催しています。 

その第1回目は昨年の9月10日に「吟醸酒質の確立~9号酵母と熊本の酒」という内容で開催されました。その時の内容とSAKE2020プロジェクトの概要については下記のブログにまとめてありますので、興味のある方はご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-42bd.html 

今回のセミナーは次に示すような4つの内容で開催されました。 

1.松崎晴雄さんの講演、「河村傳兵衛先生をしのぶ~静岡酵母と静岡吟醸の30年~」

下の写真は 講演されている松崎さんです。 

Dsc_0819
2.映画上映 「吟醸酒王国しずおか」 

下の写真は映画の一画面で突き破精造りの麹菌を振っている姿です。 

Dsc_0825_2

3.鈴木真弓さんと松崎晴雄さんの対談 「静岡吟醸の魅力」 

下の写真は対談の時のご様子です。 

Dsc_0835

鈴木真弓さんはしずおか地酒研究会を立ちあがた方で、現在も主宰として活躍されています。上述の映画の製作を企画したり、静岡の地酒物語「盃が満ちるまで」の著者としても活躍している静岡生まれのライターです。

4.静岡酒の利き酒と懇親会 

懇親会の風景です 

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食事用のテーブルは何と卓球台でした。 

<講演会の内容のご紹介> 

今回開催された会場は目黒駅の近くのHUB TOKYOで行われましたが、ここは元印刷工場の跡地のレンタルスペースのようですが、音の反響が強くて聞き取りにくい状況でしたので、セミナーの内容を正確にお伝えするのではなく、僕のための備忘録として、セミナー全体を通して理解したの内容を纏めることにしました。したがって発表された内容とはすこし違うこと、内容に関して聞き間違いがあるかもしれないことをあらかじめお伝えしておきます。 

Dsc_0820

1.静岡吟醸が生まれる前の静岡酒はどうだったのでしょうか 

静岡県のお酒が昭和61年の全国新酒鑑評会で10蔵が金賞、17蔵が入賞する快挙が起こり、一躍静岡のお酒に注目を浴びるようになったのですが、その時代の全国新酒鑑評会では金賞受賞数は100~120程度でしたので、静岡のお酒が10蔵も金賞を取ったことは大変なことだったらしいです。それまでは広島や石川のお酒が注目されていて、静岡の酒は精々10位くらいだったようです。静岡県の蔵は今では27蔵しかありませんが、当時は40蔵くらいあったようですが、いずれも小さな蔵ばかりで灘の大手蔵への桶売りをメインとしてきましたが、昭和50年代に入って桶買いが減少し、付加価値の高い特定名称酒に力を入れ始めることになります。しかし、なかなか酒質を上げるのが難しかったようです。この状況を変えたのが静岡県の沼津工業技術センターの食品バイオの主任研究員の河村傳兵衛さんでした。 

2.河村傳兵衛さんはどんな人でしょうか 

晩年の姿をインターネットで見つけましたので、お借りしました。優しそうなお方に見せますね。でも信念はすごいものを持っておられるのでしょう。 

090913_165901
河村さんは昭和18年に静岡に生まれ、静岡大学の農芸化学化を卒業後、昭和40年に工業技術センターに入社して酒造りを勉強しますが、入社した当時は静岡のお酒は東海4県の中で最下位だったそうで、静岡の酒質を上げるためには全国新酒鑑評会で金賞をとることを目指すことが良いと思いつき始めたようです。静岡県には全国各所の杜氏がいるという珍しい地区だったので、まずは保守的な杜氏の世界に入り込み吟醸酒の命ともいうべき麹造りのノウハウを学び、麹を見極め、醪の味を確かめ、酒造りに精通すると同時に杜氏と心を合わせる努力をされました。こうして現場で学んだ技術をもとに静岡県の酒造りに適した新しい酵母の開発に取り組み5種類ほどの酵母の開発に成功しています。こうして生まれた静岡酵母の第1号がHD-1です。この酵母を使用したことが静岡が大量に金賞を受賞した最大の理由です。 

静岡の酒質が向上したのは酵母を変えただけではありません。河村さんが強く指導したのは麹造りです。それまでは吟醸酒の麹は広島の場合のように、おできのようにぶつぶつ浮き上がる麹(たぶん総破精)を良しとしていましたが、河村さんは少ない麹菌で時間をかけて菌糸を米の中に入れ込む「一点くっきり」の突破精を良しとしていました。、突破精の麹が良いと言っても全部を突き破精にするのはとても難しい作業ですが、それができる杜氏が静岡にはいたそうです。 

麹造りだけを厳しく指導したかというとそうではなく、全行程の一つ一つを完全にクリアにすることを常に言っていたそうです。洗米は蒸し米を作る前工程ですが、洗米した米を握ってみて粉雪のようにさらりとしていなければだめで、ぬるっとしていたらだめだそうです。また醪造りが上手く行ってもそれを絞った後のお酒の管理がしっかりしていないとだめ、蔵は清潔でなけれないけないと、徹底的に清掃することを指導したそうです。こんな河村さんのいう通りするのは蔵の方も大変だったでしょね。 

でも河村さ静岡の蔵のお酒の酒質を上げることに真剣に取り組んでおり、真夜中でも車で突然蔵を訪れ麹造りをチェックしたかと思うとさっと研究所に戻り、また夕方に蔵を訪れるほど努力家でしたので、その行動に対して蔵人も一目置いていたものと思われます。 

河村さんは金賞を大量に取った後も精力的に酒造りの指導をされており、平成8年には鈴木真弓さんが立ち上げたしずおか地酒研究会を支援されて蔵人の指導をしてきました。その後平成15年に引退され後任に道を譲ることになりますが、自ら起業をして発酵技術を利用した食品開発などの取り組みました。大変残念なことに昨年73歳でお亡くなりになりました。過去の実績から、河村さんが静岡吟醸造りの生みの親であることは間違いありません。冥福をお祈りしたいと思います。 

3、静岡酵母はどんなものがあるのでしょうか 

酵母の開発にあたっては広島の三浦仙三郎や秋田の花岡正庸や熊本の野白金一に負けない吟醸酒造りを目指しておられまして、当時は金賞を取るにはYK35が近道と言われt時代です。Yとは酒米は山田錦、Kとは協会9号酵母、35とは精米割合です。9号酵母は造りによって香りは変わりますが、カプロン酸エチルの華やかな香りと酢酸イソアミルのすがすがしい香りを両方出す酵母です。 

カプロン酸エチルは華やかですが、香りが強すぎて料理の味を邪魔したり、飲み飽きするので、河村さんは嫌だったのではないでしょうか。そこで県内の酵母を色々集めてその長所をかけ合わせればいい酵母ができるはずということで生まれたのはHD-1です。Hは波瀬正吉のH、土井酒造のDと言われていますので、土井酒造の蔵付き酵母がベースになっているのでしょうね。 

HD-1は酢酸イソアミル系のさわやかでフレッシュな香りで大吟醸に向いた酵母として有名ですが、その後下記のような色々な酵母が開発され、それぞれの用途に応じた使われているようです。  

Photo


4.静岡吟醸酒はどんなお酒でしょうか 

静岡吟醸酒は大吟用のHD-1かNEW-5が使われますが、HD-1の方が香りは高いようで、香りのベースは酢酸イソアミルでさわやかでフレッシュな香りですが、その特徴を引き立てるために酸度1.0~1.2と下げて、日本酒度を+5~+6と辛口にして、すきっと切れの良いお酒にしているようです。 

全体に雑味を少なくするために、徹底的な洗米、突き破精の麹造りのこだわったものと思わせます。静岡県は豊富な富士山の伏流水があるし、新鮮なお魚が豊富なとことなので、まさに地域の食べ物ものに合わせたお酒と言えそうです。 

最近の全国新酒鑑評会では18号酵母を使ったお酒が賞取ることが多いようです。それは18号酵母を使うとカプロン酸エチルの香りが強くで少し甘い感じのお酒になるからです。その香りのお酒の中では静岡酵母の香りは弱く感じ、そのためか静岡酵母のお酒が受賞する確率が下がってきているようです。でもカプロン酸エチルの香りのお酒はどうしても飲み飽きする傾向があるので、個人的な感想ですが、最近はカプロン酸エチルの香りを抑えたM310や新しく開発された各県の酵母が見直されてきているようですので、静岡酵母がもう一度数多く受賞する可能性が出てきたのではないかと思っています。 

5.試飲した酒の紹介 

5-1 磯自慢酒造 

Dsc_0847右から 

・ 磯自慢 純米大吟醸 東条秋津常田産山田錦40%精米、ALC16~17、日本酒度+4~+5、酸度1.25 自社酵母 

・ 磯自慢 大吟醸 東条秋津産山田錦45%精米、ALC16~17、日本酒度+5~+7、酸度1.1 自社酵母

 

 

 
5-2 初亀酒造 

Dsc_0844右から 

・ 初亀 吟醸 亀印 麹米山田錦50%精米、掛米富山県雄山錦50%精米、ALC12、日本酒度・酸度不明 酵母HD-1 

・ 初亀 大吟醸 愛 兵庫東条産山田錦45%精米、ALC15、日本酒度+3~+4、酸度1.3 酵母HD-1 

 



5-3 大村屋酒造場

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右から

・ 若竹 プレミアム純米大吟醸 静岡産誉富士 40%精米、ALC17、日本酒度+4、酸度1.2 酵母HD-1

・ 若竹 純米大吟醸 静岡大産山田錦 50%精米、ALC16、日本酒度・酸度不明、酵母HD-1 

5-4 富士錦酒造 

Dsc_0839

右から

・ 富士錦 特別純米、 富士宮産誉富士、ALC17、日本酒度-1、酸度1.3、酵母New-5

・ 富士錦 大吟醸(銀) 兵庫県産山田錦50%精米、ALC15~16、日本酒度+4、酸度不明、酵母HD-1 

5-5 花の舞酒造 

Dsc_0846右から

・ 花の舞 大吟醸 静岡産山田錦45%精米、ALC16~17、日本酒度・酸度不明、酵母不明

・ 花の舞 純米大吟醸 静岡産山田錦50%精米、ALC15~16、日本酒度・酸度不明、酵母不明

 

 

 

5-6 青島酒造 

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右から

・ 喜久酔 純米吟醸 藤枝市松下農場産山田錦50精米、ALC15~16、日本酒度+6、酸度1.1、酵母New-5

・ 喜久酔 純米大吟醸 藤枝市松下農場産山田錦40精米、ALC15~16、日本酒度+4、酸度1.2、酵母New-5

5-7 杉錦酒造 

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右から

・ 杉錦 純米大吟醸(県知事賞受賞酒) 兵庫県産山田錦40%精米、ALC15~16、日本酒度+0、酸度1.5、酵母HD-1

・ 杉錦 生酛純米(しずおか地酒研究会20周年記念酒) 静岡県産誉富士、ALC15~16、日本酒度+8.5、酸度1.6、酵母HD-1

・ しずおか芋焼酎 才助 静岡産紅あずま、ALC25.5、他不明 酵母New-5

ここでは一つ一つのお酒の感想は書きませんが、全体的に感じたことをご紹介します。

・ 大吟醸にはHD-1を使っていることが多いようですが、以前より酢酸イソアミルの顔類が少なくなっているように思えました。

・ 今年の山田錦は溶けが悪かったせいか旨みが少なくなったように感じました。それに対して誉富士方がどの蔵も味があったようでした。

・ 山田錦を使った静岡系のお酒の中では喜久酔のお酒が少し甘みを感じさせて、バランスが良いように思えました。

・ 個人的には杉錦の生酛が一番味わいが複雑で好きでしたね。杉井さんのお酒は少し静岡のお酒の路線とは少し違っていますが、僕にとっては個性があって好きですね。

以上で僕の感想を終わります。

最後にこの会の参加していただいた蔵元さんとSAKE2020プロジェクトの皆さんをご紹介します。

最初に蔵元さんで、右から杉錦の杉井さん、喜久酔の青島さん、富士錦の清さん、初亀の橋本さんです。あれ、若竹の日比野さんがいませんね。 

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SAKE2020プロジェクトのメンバーと鈴木さん

右から山本さん、今田さん、飯田さん、鈴木さん、柴田さん、ゴントナーさん、松崎さんです。本日はありがとうございました。次回の広島の酒を期待しています。

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コメント

ご参加ありがとうございました&詳細なご報告感謝します。こんなに丁寧にまとめてくださって発表者冥利につきます。ぜひシェアしたいので、一部訂正をお願いします。

『平成8年にはしずおか地酒研究会を発足させて酒造りの指導をしてきましたが、自分の役割は杜氏さんの酒造りの心を聞くことであると言われるほどよく見ておられます。』・・・しずおか地酒研究会を発足させたのは私で、発足のお祝いに河村先生から色紙をいただき、その言葉をきっかけに「自分の役割は杜氏さんの酒造りの心を聞くことだな」と思った次第です。先生は公務員のお立場ですし、会には講師で来ていただくことはあっても設立や運営にはタッチしていません。誤解を招く恐れがあるのでお直しいただけますか?

『今年の山田錦は溶けが悪かったせいか旨みが少なくなったように感じました。それに対して富士誉の方がどの蔵も味があったようでした。』・・・誉富士の間違いだと思います。

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