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« 永井酒造はかなり完成した蔵ですが、まだ進化しています | トップページ | 舞美人の美川酒造場はオンリーワンのお酒を醸しています »

2017年4月 1日 (土)

田邉酒造は世代交代が旨く行っていますね

3月は毎年新潟酒の陣に行っていましたが、年々参加者数が増えて、ゆっくりお酒を味わうことが難しくなったので、今年は新潟の陣をやめて、同じ3月に行われる福井県のフェニックスホールで開催される越前・若狭の地酒「春の新酒祭り2017」に参加することにし、その前の日に福井県の蔵を2蔵訪問しました。 

訪れた蔵は越前岬を醸造している田邉酒造と舞美人を醸造している美川酒造場です。この二つの蔵とも2009年に福井県のアンテナショップの南青山291で行われた越前・若狭の地酒の会と、2013年に椿山荘で行われた蛍と夕べの会でお会いして、僕が気に入った蔵の一つでしたのですが、その2つの会の様子のブログは下記のURLに書いてありますので見てください。 
 
今回は酒友達の入江亮子さんの案内で蔵訪問しました。まずさっそく田邉酒造をご紹介します。
 
田邉酒造
 
蔵は福井駅から出るえちぜん鉄道の勝山永平寺線の観音町の駅から歩いて1分の所にある小さな蔵です。日本一駅から近い蔵ではないかな。この地は九頭竜川の下流に位置する松岡地区であり、サクラ鱒を求めて多くの釣り客が来る清流の町として知られるだけでなく、米どころでもあります。またこの蔵から600mにも満たない近くには福井県内の大手蔵である黒龍酒造がある酒造りでも有名なところで、戦前は17もの蔵があったと言われていて、県内でも有数の酒処として知られてきたそうです。
 
蔵の入口の写真を見てください。入母屋造りの格式高い建物だそうで、社長の邦明さんのお話ではもともと武家の出だから出来たようです。
 
Dsc_0774 
ちょっと拡大しますので良く見てください。一番右側の看板に大本山永平寺御用達と書いてあります。この地区にあった17の蔵の中では格式の高い蔵だったと思われます。
 
Dsc_0776 
 蔵自身はそんなには大きくなく、現在の生産量は300石強で、蔵の裏はえちぜん鉄道が走っていますのでとても手狭ですが、中は立派なお庭がありましたが、一部干場と化していました。ちょっと残念ですが、仕方がないかもね。
 
Dsc_0778 
 下の写真がえちぜん鉄道側から見た蔵で、屋根が茶色の建屋が麹室の場所です。電車の振動は麹造りには良いかもしれませんね。
 
Dsc_0805 
 さてちょっと蔵の歴史を見てみます。創業は明治32年ですからそんなに古い蔵ではないけど、永平寺に来る人たちに飲まれていたのかもしれませんね。この蔵が大きく変わったのは現社長の田邉邦明さんが蔵に戻ってからです。邦明さんは大学を卒業後、宝酒造に勤めていたのですが、親が亡くなられた25歳の時(1973年ころ)に蔵に戻ってから社長をされています。邦明さんがまず考えたのは地元の人に喜んでもらえる酒を造りたいので、吟醸造りを主体にしていきたいと思ったそうです。 
 
そんな時に北の誉で杜氏をしていた南部杜氏の鷹木美芳さんが、吟醸造りをやりたいのなら自分を雇ってほしいという申し出があったので、酒造りをお願いすることになったそうで、それは30年前の1987年のことだったそうです。鷹木さんは非常に腕の立つ方でしたので、最初からいいお酒が造れたので、平成に入ってからは10回も全国新種鑑評会で金賞を取る蔵になったそうです。
 
それまでは「越前菊水」と「優勝」という銘柄のお酒を造っていましたが、それは社会人野球で有名な熊谷組は田邉酒造と親戚の関係があったので、熊谷組が世界一になった時に熊谷組の会長が「優勝」という名前を付けてくれたのが始まりだったようです。おかげで、近鉄バッファローが優勝した時はものすごい注文があったという良い面はあったけど、地元の人から地酒を飲んだ気持ちにならないと言われたそうです。それを何とかしたいと、新しく作った酒の名前を「越前岬」としたそうです。福井県らしい名前ということで社長が考えたものだそうです。今では主流銘柄となっていて、現在では全量本醸造以上の特定名称酒のみを作っているそうです。
 
現在、蔵の酒造りは息子さんの田邉啓朗さんと田邉丈路さんがやっておられて、兄の啓朗さんは専務取締役として営業。・経営を担当し、弟の丈路さんは杜氏として活躍されています。啓朗さんは中央大学商学部を出た後は父と同じように宝酒造で営業を勉強した後、2005年に蔵に戻っています。一方丈路さんは明治学院大学法学部を出たので蔵に戻るつもりはなかったのですが、昔からお酒は好きだったし、酒造りには興味があったので、、いざ就職する段になった時に杜氏も歳を取っていたこともあり、蔵に戻って酒造りをする良いチャンスだと思って決めたそうです。
 
丈路さんが蔵に戻ったのは2004年なので、お兄さんより人足早く蔵に戻ったわけですが、酒造りをしたかったので、すぐ鷹木杜氏に直接指導を受け、2011年には南部杜氏の資格を取り、2012年には鷹木杜氏に代わって蔵の杜氏にになったそうです。
 
鷹木さんは田邉酒造の杜氏として長い間活躍されただけではなく、福井県の杜氏研究会の会長をされるなど、多くの醸造家に慕われる方でしたが、今年の2月に84歳でお亡くなりになったそうです。冥福をお祈りいたします。
 
それでは蔵の中をご紹介しましょう。蔵の案内は杜氏の丈路さんにしていただきました。久しぶりのお逢いしましたが、相変わらず清純な感じが残ったままでしたね。
 
仕込み水
地下30mからくみ上げている水を使っていますが、硬度3以下の超軟水です。ですから、とても柔らかいお酒になるけど発酵しにくいので時々苦労するそうです。特に今年は留の後の醪がなかなかわいてこなかったので心配したそうですが、無事乗り切ったそうです。苦労があるのですね。
 
ここが仕込み用の井戸です。
 
Dsc_0783

<原料処理>
 
原料処理と言えば洗米、浸漬を言いますが、使用しているお米は兵庫県の山田錦、福井県産の山田錦、五百万石だけですからとてもシンプルですが、この工程を酒造りの中で一番気を使っているところだそうでです。精米は福井県はすべて共同精米だそうです。
 
本醸造の掛米(五百万石)以外はすべてウッドソンの洗米と金笊による浸漬をしています。毎年米の出来が違うので特に年前の時期は神経を使うそうです。
 
ウッドソンの洗米機です。福井県では導入が早かったそうです。
 
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浸漬用の金笊です。
 
Dsc_0784

本醸造用の昔ながらの洗米浸漬装置です。
 
Dsc_0779

<甑>
甑はすべて和釜を使っていて2台ありました。大型のものは1000kg、小型のものは300kg用で甑はステンレス製でした。釜は釣り上げて洗浄するので、設置する時に赤土で土嚢のように敷いた上に載せていました。ちょっと赤く見えるでしょう。
 
Dsc_0780
 
<放冷機>
 
写真は普通の放冷機ですが、添えのように温度が高めでいい時は簡易放冷機を使うそうです。1000kg、1200kgの掛米はエアシューターで運びますが、そのほかは担いで運ぶそうです。

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<麹室>
 
下の写真が麹室ですが、先ほど紹介したようにこの裏にえちぜん鉄道が走っているので、この扉から入って左側に1室の麹室があるそうです。床が2つあるだけのシンプルな室のようです。
 
Dsc_0789

<仕込み室>
 
ここが仕込み室ですが甑倒しが終わって仕込んでいるのは2本だけなので、中の見学はしませんでした。
この蔵は使用しているお米の種類は少ないですが、酵母はいろいろ使っていました。使っている酵母は6号酵母、9号酵母、1401酵母、1801酵母、福井酵母、金沢KZ酵母だそうです。本醸造は6号酵母と9号酵母のブレンドで、純米酒は14号酵母と9号酵母と6号酵母を、大吟醸系では18号酵母と酸の少ないKZ酵母を使っています。辛口純米酒は6号酵母、出品酒は1801号酵母で、福井酵母は今年から始めたそうです。
 
Dsc_0786
 
仕込み蔵に面白いものを見つけました。この小さな120㎏タンク2本です。これは梅肉屋の垂れツボからサンプリングした梅酵母を使ったものです。お酒は500万石70%精米の純米で、アルコール濃度は12%位で、日本酒度ー36、酸が4.2のお酒だそうです。1本は原酒でばし、もう1本は炭酸を入れた微発泡酒で販売してるそうですが、量が少ないのでなかなか手に入らないそうです。
 
Dsc_0787

<槽搾り>
この蔵は全量槽搾りで、ちょうど600㎏仕込みの五百万石の純米吟醸を絞っているところでした。現在800kgの圧力をかけて絞った状態で、これから最後の責めの絞りをするために、袋を取り出し詰めなおすところでした。
 
Dsc_0790
 
こんな大きな木材で抑えているのですね。

Dsc_0791
 
槽搾りへのお酒の供給のために一旦上部においてあるタンクに受けます。

Dsc_0793
 
槽から出たお酒はこのコンクリートの枠に入れたタンクに受けます。

Dsc_0794
 
下の写真は最後の責めの絞りをするために、袋を積み替えているところです。600kg仕込みなので230枚の袋があり、これを中央に積み上げて、1200kgの圧をかける責めの絞りに入るそうで、責めの絞りは1時間弱で終わるそうですが、最後のかたずけの作業に時間がかかるそうです。搾り作業全体では48-50時間かかるそうで、薮田に比べるととても大変な作業ですね。ここで働いていた蔵人もつらい作業なので、薮田のある蔵に行ってしまった人もいたそうです。

Dsc_0799
 
この大きな槽搾り機とは別に下の写真のような斗瓶どり用の小型の槽搾り器がありました。この装置を使っても斗瓶どりには5時間くらいかかるそうです。

Dsc_0792
 
青色のシートがかかっているところが袋吊りの場所だそうです。

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絞ったお酒はこの山中技研工業のSFフィルターを通して、ビン詰めラインに送るそうです。SFフィルターは0.1~0.3ミクロンの穴の開いている中空糸フィルターで、小さなごみや火落ち菌などの一般細菌を取り除くことができるそうで、活性炭は使っていないそうです。

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どうしてSFフィルターというのかはわかりませんが、クラレ製の中空糸SFフィルターを使っているからのようですが、クラレは穴の大きさによりフィルターの名前を変えていて、この穴の大きさのものをSFフィルターと呼んでいます。
 
この蔵では普通酒と純米酒の1タンクだけをタンク貯蔵しており、他はすべて瓶貯蔵をしているそうです。
 
それでは試飲したお酒をご紹介します。
 
1.大吟醸 兵庫県産山田錦40%精米 18号酵母
2.純米大吟醸 兵庫県産山田錦50%精米 KZ酵母
3.純米吟醸18号 五百万石55%精米 18号酵母
4.純米吟醸 雪舟 五百万石55%精米 9号酵母
 
5.純米酒 五百万石60%精米 6号酵母
6.特別純米酒 福井県産山田錦605精米 6号酵母


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お酒の評価をする自信はないので、一つ一つをご紹介しませんが、色々な酵母を目的に合わせてうまく使い分けていているように思えました。大吟醸は18号だけど香りは抑え気味で少し酸味を出してバランスさせていますが、純米大吟醸は酸味はおさえて、奇麗な香りとバランスさせたお酒でした。
 
最後に試飲では紹介しませんでしたが、下の二つが気に入ってく入試てしまいました。特に純米吟醸福むすび斗瓶どりは山田錦55%精米の18号酵母のお酒ですが、2年間熟成したもので、とろみ感があり落ち着きのあるうまい酒で、2160円/4合瓶はお買い得です。吟の雫は山田錦40%の大吟醸でちょっと飲んでみましたが、確かに斗瓶どりの上のお酒でまろやかなな甘みが特徴でしたが、ちょっと若い感じなので1年以上熟成させて飲んでみたいと思っています。楽しみですね。
 
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丈路さんにこれからそんなお酒を造ってみたいかをお聞きしたら、基本は食中酒で、種類は増やさないで、一品一品少しずつ味わいのあるお酒にしているそうです。すぐやってみたいのは奥様が熊本出身なので熊本県産の飯米と9号酵母、福井県産の五百万石の福井酵母をミックスしたお酒を造りたいそうです。
この蔵のお酒の特徴を出すには半年から1年くらい熟成した方がいいことはわかっているので、新酒で出す酒と熟成して出す酒を棲み分けてやっているのことでした。
 
お話を聞くと黒龍酒造の畑山杜氏とは歳も近いし、同じ町の蔵なのでいつも仲良くさせていただいているそうで、そういう人からいろいろ学ぶ機会も多いようですし、最近は福井県内の蔵の人たちとの交流も多くなっているので、田邉酒造のような小さな蔵でも特徴を生かした酒造りを進めており、これから着実に進化していくように思えました。こういう小さな蔵が進歩していくことが福井県のお酒のレベルを上げることになるのだと思います。
これから頑張ってますます良いお酒を造ってください。 

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