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2017年4月19日 (水)

結城酒造のお花見の会でちょっとだけの蔵見学

結城酒造のお酒の結を本格的の飲んだのは、昨年の夏、横浜の鳥みきで結城酒造の蔵元を囲む会に出席して飲んだのが初めてです。その時飲んだ雄町の結が気に入り、その後は目白の田中屋で結シリーズは全部購入しているので、我が家には今5本くらいあるのではないかな。蔵の歴史や美智子さんが杜氏となったいきさつや飲んだお酒について下記のブログにまとめてありますので、良かったら見てください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-5c1d.html 

その鳥みきの会でご一緒した日本酒カレンダーの作者の浜田さんから、4月に結城酒造の蔵でお花見の会があるので参加しませんかとお誘いを受けて実現したものです。このお花見の会では蔵見学はしていませんが、個人的に昌明さんの許可を得て、ちょっとだけ蔵の内部を見ることができましたので、後でご紹介します。 

お花見はどうやって行われているのでしょうか。花見と蔵見学ツアーという催しは聞いたことがありますが、蔵の中でお花見をするのはあまり聞いたことがありません。初めての参加でしたので、全く想定ができず、蔵の中のお庭に大きな桜があって、その周りで花見をするのかなと思っていましたら、全く違いました。お隣のお寺に咲いた桜を借景に蔵の外で花見をするのです。 

ちょっと写真を見てください。花見をしている場所から蔵の母屋を見ているところです。蔵の右側に大きな桜がちょっと見えるでしょう。 

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僕の友人の西田さんが撮った写真がわかり易いのお借りします。煙突の奥に大きな桜並木が見えるでしょう。これがお寺の桜です。手前の緑のタンクの奥がお花見会場です。 

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会場からは桜並木を見るとこんな風景になります。奥にお寺さんらしきものが見えますね。 

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お寺と会場の間は駐車場になっていて障害物がないので、お寺の桜が借景となっているのです。ちょっと距離があるけど花びらも飛んできてなかなかのものでした。 

どうしてこんなことができるのでしょうか。それを知るためにはちょっと蔵の歴史を知る必要がありそうです。結城酒造は近江商人の近江屋久右衛門1594年に創業したと言われています。今から400年以上前のことで、現在の社長の浦里和明さんは37代目だというからとても古い蔵ですが、今の場所ではなかったようです。1850年に火災を起こしたのをきっかけに江戸時代の安政年間(1854~59年)に現在の場所に今使用している安政蔵が建設されたようです。それより以前の蔵も今の駐車場の所にあったようで使用していなかったので、最近になってそれを売り払ったために広々とした駐車場ができ、お寺のさくらを借景とすることができるようになったそうです。 

それをちょっと地図で確認してみましょうか。下の写真を見てください。花見会場が判るようにしてあります。土地の権利のことはわかりませんが、もともと駐車場を含めて広い土地を有していたのでしょうね。 

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まず蔵の入り口を紹介します。母屋の前にこんな立派なもんがあるだけで、蔵の歴史を感じますね 

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門の入り口に登録有形文化財と書いてありました。対象は安政蔵とその後からできた新蔵とレンガ造りの煙突だそうです。 

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門を入ると左側に蔵の中心部が見えます。古いけど造りがしっかりしています。 

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左側にはお庭がありました。たぶん浦里さんのお住まいのようです。素敵な雰囲気ですね。 

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真っすぐ行くと広い土間があって、受付がありその奥がお花見会場になっていました。 

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会場は蔵の奥に簡単なテーブルといすが置かれていて、約100名ほど座れる状況でした。各人は持ってきたお酒や食べ物のほかに、蔵から出されるお酒やつまみを食べながらの大宴会です。 

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開会は浦里昌明さんと美智子さんのご挨拶から始まり、夕方まで行われたものと思われます。僕は用事がありましたので3時には失礼しましたが、帰る間際にちょっとだけ蔵を美智子さんに案内していただきましたので、紹介しましょう。 

<原料処理関係> 

ここがお米の洗米と浸漬をする場所です。いろいろなものが見えますが、新しい洗米機らしいものが見えました。 

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洗米機と言えば最近ウッドソンが多いですが、なにやらそれより高級そうですね。よく見ると吉崎特殊工機と書いてありました。中々よさそうな装置です。 

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<甑> 

割りと小ぶりの和釜が2台ありました。放冷機が見えませんが甑倒しが終わっているので、どこかにしまってるのでしょう。奥の扉の中が仕込み室のようです。 

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<仕込み室> 

この蔵には酒母室はないので、ここで酒母を作るそうです。手前古いタンクがありましたが、これは仕込み水を冷却して5℃以下にする水タンクだそうです。この水で洗米をするそうです。 

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<麹室> 

奥の扉は麹室ですが、中は1室で、引き込み口と出麹口が同じなので、とても苦労するそうです。ここは改善したいとおっしゃっていました。 

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<仕込みタンク> 

結の本醸造の醪がありました。結の酵母はすべてM310だそうです。 贅沢ですね。

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<斗瓶取用仕込みタンク> 

袋搾りのタンクで、斗瓶が置いてありますね。 

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<搾り機と瓶詰め> 

搾り機は薮田ではなく少し小型の昭和製作所の搾り機で、手前にあるのは直汲み瓶詰機だと思います。 

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この蔵は特に新しいものは置いていませんが、古いけど活力を感じられるように思えました。去年の生産量は200石だったそうですが今年は250石まで生産量が上がったそうです。昌明さんの夢は500石まで生産量を上げたいそうですが、そのためには効率アップの仕掛けがいりますね。僕には麹室がネックになるような気がします。今後どのようにしていくのか楽しみです。 

最後にこの蔵の結のお酒に興味ある方のために蔵に並んでいる結シリーズの写真を撮りました。結シリーズはラベルの色でお酒の種類が判るのはうれしいですね。

 

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お酒の種類は左から下記のようになりますが、生酒がと火入れがあると思うので、生酒かどうかは買うときにチェックしたほうがいいです。僕は生酒の直汲みがおすすめかな。

1.山田錦 純米吟醸酒 50%精米
2.びぜんおまち 純米吟醸酒 50%精米
3.あかいわさんおまち 特別純米酒 60%精米
4.まっしぐら 純米吟醸酒 45%精米
5.夏吟風 北海道産純米吟醸 50%精米
6.きたしずく 特別純米酒 60%精米
7.特別本醸造 まっしぐら 55%精米
 

以上でお花見の様子と糠の紹介を終わります。これからもいいお酒を造り続けて下さい。

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2017年4月11日 (火)

舞美人の美川酒造場はオンリーワンのお酒を醸しています

福井県のフェニックスホールで開催される越前・若狭の地酒「春の新酒祭り2017」に参加する前に蔵を2件訪問しましたが、最初に訪れた田邉酒造については下記のブログを見てください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-ea66.html  

二つ目に訪れた蔵は舞美人を造っている美川酒造場です。この蔵は福井駅の近くを流れる足羽川を上流に約3.5kmほど登った川のほとりにある蔵です。創業は明治20年だそうですが、昭和23年の福井大地震の時に蔵の大部分が壊れて立て直して再開したそうです。  

福井駅からタクシーで行ったのですが、運転手さんが舞美人の蔵は知らないし、飲んだこともないということで、ナビを使って近くまでは行ったのですが、道に迷ってやっと到着しました。周りは見渡す限りの田圃の中にある小さな小稲津町の中にありました。 

下の写真が蔵から見た田園風景で、道を挟んで向こう側に1町(約9000m2)の酒米用の田圃があり、山田錦と五百万石を栽培しているそうです。蔵の生産高は120石と小さな蔵ですが、それでも蔵で使う酒米の30%しか取れないそうです。米造りには結構広い場所が必要なのですね。 

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それでは蔵の入り口の写真をお見せしましょう。比較的新しく見えますが、福井大震災後に再建された建物なので昔ながらの趣はありませんが、とてもそれらしい雰囲気は感じられます。 

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蔵の案内は蔵元杜氏の美川欽哉さんにしていただきました。欽哉さんは6代目の蔵元で大学(日本福祉大学経済学部)を卒業後すぐに蔵に戻り、蔵の杜氏をしていた越後杜氏の丸山さんから指導を受け、酒造りを身につけられたそうです。現在は自ら杜氏として頑張っていますが、造りは奥様とアルバイトの3人だけでやっているそうで、毎日大変だそうです。 

欽哉さんのお写真を撮り忘れましたので、インターネットから拝借しましたが、ちょっと若い時のお写真のようです。現在はもう48歳だそうです 

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舞美人という名はお酒の銘柄には珍しい名前なので、奥様の久美子さんが美人なのでつけたのかと思っていましたら、違っていました。この地は越前松平氏(福井藩)の領地で、松平のお殿様が鷹狩に来られた際に休憩される場所が蔵がある小稲津町でしたが、その時、村一番の美人が舞を献上しおもてなしをしたそうで、そこから付けられた名前だそうです。 

蔵に戻ったときは端麗辛口のお酒だったそうですが、自分が杜氏になってからは毎日の晩酌に欠かせない食中酒を目指しており、濃醇旨口のお酒だそうです。蔵見学が終わった後、飲させていただきましたので、どんなお酒なのかを後で説明したいと思います。 

早速蔵見学した様子を紹介しますが、この蔵は設備的に目新しいものはほとんどなく、特徴的なのは和釜と木槽ぐらいです。 

<仕込み水> 

仕込み水は井戸からポンプでくみ上げていますが。弱軟水だそうで、飲んでみると柔らかいけど味のある水でした。下の写真が井戸です。 

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<和釜>
 

比較的大きい和釜が一つあり、その隣には放冷機がありました。原料米は自社田の五百万石、山田錦、福井県産の五百万石、兵庫県産の山田錦のほかに、はなえちぜんも使っているそうです。 

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 <放冷機> 

どの蔵にもみられる昔からの連続放冷機ですね。 

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<麹室> 

下の写真の中央下が麹室の入り口ですが、とても麹室の入り口には見えません。説明を受けない限りここが入口であることはわかりません。人が屈んで入れるくらい小さな入り口で、出麹の出口にもなっています。枯らし場が2階にあるので、ここを麹を担いで運び出すのが大変だそうです。 

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<酒母室> 

とても簡素な酒母室ですが、山廃も速醸も同じ部屋でやるそうです。その比率は山廃:速醸は60:40くらいだそうです。この蔵では酒母は時間をかけてしっかり作るそうで、これがこの蔵のお酒の味を決めている大きなところかもしれませんね。 

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<仕込み室> 

ここが仕込みタンクですが、全て解放タンクです。奥に密閉タンクが見えますが、それは貯蔵タンクで、貯蔵タンクも同じ場所にあるそうです。仕込みタンクは1トン仕込みが多いそうです。 

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<醪用ポンプ> 

これは醪を搾り機の送るための専用ポンプでピストン型の古いものですが、醪中の澱の部分も送ることのできる優れものだそうです。 

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<木槽> 

この蔵の特徴になる木製の槽搾り機です。木製の槽はなかなかお目にかかれないですが、やはり独特の趣があります。木でできている部分は柿渋を塗ってあるそうですが、毎年塗りなおしているそうです。そうすることでこの雰囲気が出てくるのでしょう。 

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この箱の中にお酒を入れた布袋を何段にも重ねていき、上からピストンで荷重をかけて搾ります。搾りには3日間かかりますが、柔らかい酒質になるので、変えるつもりはないそうです。でも人手がかかるのでないかとお聞きしたら、皆でやるしかないとのことでした。

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以上で蔵の説明は終わります。ここでどんなお酒を造っているのでしょうか。非常に特徴のあるお酒ばかりでしたので、紹介しましょう。 

試飲のためにこの蔵のお母さまがおつまみを作ってくれました。 

生湯葉の辛し和え 

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牛すじとコンニャク

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<試飲したお酒> 

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右のお酒から紹介しますと、下記のようになります。 

1.山廃純米吟醸 生原酒 27BY 

 このお酒も自社田の五百万石50%精米の山廃純米吟醸酒で、1年間熟成したいさせたものです。なぜか熟成香はせず、吟醸香もなくその代わり不思議な香りがしました。よく嗅いでみると沢庵臭なのですが、嫌な感じはしません。山廃なので蔵付き酵母がメインですが、最後の段階で福井県が開発した福井うらら酵母を添加したそうです。 

2.山廃純米  五百万石 低アルコール  

このお酒も自社田で五百万石で作った山廃の純米酒ですが、完全に蔵付き酵母だけで作ったお酒で、生原酒にもかかわらず、アルコール度数が12-13度しかなく、日本酒度はー30、酸度4.0という驚くべきお酒でした。一言でいうと甘酸っぱいお酒お酒ですが、バランスが良く、とても飲みやすいお酒になっていました。 

3.特別純米 無濾過生原酒 28BY 

 このお酒はこの蔵のスタンダードのお酒で、今年のお酒ですが少し色がついていて、しっかりした味わいで、適度な酸味が後味を切ってくれるお酒でした。表示はないけど酸度は1.7くらいあるそうです。お米は福井県の産のはなえちぜん60%精米と思います。 

4.特別純米 山田錦85 無濾過生原酒 27BY 

   85%精米の自社田の山田錦を使った純米酒で、協会7号の泡あり酵母を使ってどしっとした味わいのお酒で、1升3000円を割ったお酒を狙ったものだそうです。タンクで1年熟成させたアルコール度数が18%もある生原酒です。香りはちょっと軽い熟成香と穀物ぽい香を感じるけど、口に含むとこの香りを感じなくなり、適度な酸味(たぶん1.7くらい)がすっきり切ってくれるお酒でした。 

5.純米大吟醸 無濾過生原酒 27BY 

 40%精米の自社田の山田錦を使った純米大吟醸です。酵母は金沢の14号酵母を使っていますが、奇麗ではあるけど酸度は2.8もある甘酸っぱいお酒でした。このお酒も1年常温熟成させています。酒母はしっかり時間を掛けて、発酵が止まった後のからし時間をしっかりとることが酸を出す大きな原因となっているようです。速醸でも25日にもなることがあるそうです。常温生熟成でも熟成香がしないのは酸が2.8もあるからだと思います。日本酒は奥が深いですね 

6.純米吟醸 酒粕再発酵酒 

 山廃の酒粕を再発酵させたお酒で、梅酒のような味わいで、アルコール度数は17度のお酒でした。 

以上で飲んだお酒の説明は終わりますが、この蔵のお酒の特徴は酸味にあると思います。基本的には食中酒を狙っているので、旨口にしていますが、酸のおかげでそれを感じさせません。しかもこの酸のお陰か、生で熟成しても生塾にならないお酒になるのはこの蔵独特のものだと思います。日本酒の幅は広いけれど、その中で舞美人は酸味と旨みのある個性豊かなオンリーワンのお酒を造っている蔵だとおもいます 。これは素晴らしいことだと思いますが、毎年作ってみないと味が決まらないのはちょっと心配ですね。

舞美人は生産量が少ないので、限られた酒店でしか扱っていませんが、購入したい方はおこの蔵の通販をつかうのが良いと思います。耳寄りなニュースをお知らせしておきます。今年の新宿の伊勢丹で5月17日から23日に試飲販売できるようです。 ぜひ行ってみてください。

最後に社長がこれからやりたいことは何ですかとお聞きしたら、麹室を改修したいのと木桶でお酒を造ってみたいそうです。ぜひ、木桶をは似合ってるとおみますので、やってもらいたい気がします。このように小さくても個性豊かな蔵は応援していきたいですね

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2017年4月 1日 (土)

田邉酒造は世代交代が旨く行っていますね

3月は毎年新潟酒の陣に行っていましたが、年々参加者数が増えて、ゆっくりお酒を味わうことが難しくなったので、今年は新潟の陣をやめて、同じ3月に行われる福井県のフェニックスホールで開催される越前・若狭の地酒「春の新酒祭り2017」に参加することにし、その前の日に福井県の蔵を2蔵訪問しました。 

訪れた蔵は越前岬を醸造している田邉酒造と舞美人を醸造している美川酒造場です。この二つの蔵とも2009年に福井県のアンテナショップの南青山291で行われた越前・若狭の地酒の会と、2013年に椿山荘で行われた蛍と夕べの会でお会いして、僕が気に入った蔵の一つでしたのですが、その2つの会の様子のブログは下記のURLに書いてありますので見てください。 
 
今回は酒友達の入江亮子さんの案内で蔵訪問しました。まずさっそく田邉酒造をご紹介します。
 
田邉酒造
 
蔵は福井駅から出るえちぜん鉄道の勝山永平寺線の観音町の駅から歩いて1分の所にある小さな蔵です。日本一駅から近い蔵ではないかな。この地は九頭竜川の下流に位置する松岡地区であり、サクラ鱒を求めて多くの釣り客が来る清流の町として知られるだけでなく、米どころでもあります。またこの蔵から600mにも満たない近くには福井県内の大手蔵である黒龍酒造がある酒造りでも有名なところで、戦前は17もの蔵があったと言われていて、県内でも有数の酒処として知られてきたそうです。
 
蔵の入口の写真を見てください。入母屋造りの格式高い建物だそうで、社長の邦明さんのお話ではもともと武家の出だから出来たようです。
 
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ちょっと拡大しますので良く見てください。一番右側の看板に大本山永平寺御用達と書いてあります。この地区にあった17の蔵の中では格式の高い蔵だったと思われます。
 
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 蔵自身はそんなには大きくなく、現在の生産量は300石強で、蔵の裏はえちぜん鉄道が走っていますのでとても手狭ですが、中は立派なお庭がありましたが、一部干場と化していました。ちょっと残念ですが、仕方がないかもね。
 
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 下の写真がえちぜん鉄道側から見た蔵で、屋根が茶色の建屋が麹室の場所です。電車の振動は麹造りには良いかもしれませんね。
 
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 さてちょっと蔵の歴史を見てみます。創業は明治32年ですからそんなに古い蔵ではないけど、永平寺に来る人たちに飲まれていたのかもしれませんね。この蔵が大きく変わったのは現社長の田邉邦明さんが蔵に戻ってからです。邦明さんは大学を卒業後、宝酒造に勤めていたのですが、親が亡くなられた25歳の時(1973年ころ)に蔵に戻ってから社長をされています。邦明さんがまず考えたのは地元の人に喜んでもらえる酒を造りたいので、吟醸造りを主体にしていきたいと思ったそうです。 
 
そんな時に北の誉で杜氏をしていた南部杜氏の鷹木美芳さんが、吟醸造りをやりたいのなら自分を雇ってほしいという申し出があったので、酒造りをお願いすることになったそうで、それは30年前の1987年のことだったそうです。鷹木さんは非常に腕の立つ方でしたので、最初からいいお酒が造れたので、平成に入ってからは10回も全国新種鑑評会で金賞を取る蔵になったそうです。
 
それまでは「越前菊水」と「優勝」という銘柄のお酒を造っていましたが、それは社会人野球で有名な熊谷組は田邉酒造と親戚の関係があったので、熊谷組が世界一になった時に熊谷組の会長が「優勝」という名前を付けてくれたのが始まりだったようです。おかげで、近鉄バッファローが優勝した時はものすごい注文があったという良い面はあったけど、地元の人から地酒を飲んだ気持ちにならないと言われたそうです。それを何とかしたいと、新しく作った酒の名前を「越前岬」としたそうです。福井県らしい名前ということで社長が考えたものだそうです。今では主流銘柄となっていて、現在では全量本醸造以上の特定名称酒のみを作っているそうです。
 
現在、蔵の酒造りは息子さんの田邉啓朗さんと田邉丈路さんがやっておられて、兄の啓朗さんは専務取締役として営業。・経営を担当し、弟の丈路さんは杜氏として活躍されています。啓朗さんは中央大学商学部を出た後は父と同じように宝酒造で営業を勉強した後、2005年に蔵に戻っています。一方丈路さんは明治学院大学法学部を出たので蔵に戻るつもりはなかったのですが、昔からお酒は好きだったし、酒造りには興味があったので、、いざ就職する段になった時に杜氏も歳を取っていたこともあり、蔵に戻って酒造りをする良いチャンスだと思って決めたそうです。
 
丈路さんが蔵に戻ったのは2004年なので、お兄さんより人足早く蔵に戻ったわけですが、酒造りをしたかったので、すぐ鷹木杜氏に直接指導を受け、2011年には南部杜氏の資格を取り、2012年には鷹木杜氏に代わって蔵の杜氏にになったそうです。
 
鷹木さんは田邉酒造の杜氏として長い間活躍されただけではなく、福井県の杜氏研究会の会長をされるなど、多くの醸造家に慕われる方でしたが、今年の2月に84歳でお亡くなりになったそうです。冥福をお祈りいたします。
 
それでは蔵の中をご紹介しましょう。蔵の案内は杜氏の丈路さんにしていただきました。久しぶりのお逢いしましたが、相変わらず清純な感じが残ったままでしたね。
 
仕込み水
地下30mからくみ上げている水を使っていますが、硬度3以下の超軟水です。ですから、とても柔らかいお酒になるけど発酵しにくいので時々苦労するそうです。特に今年は留の後の醪がなかなかわいてこなかったので心配したそうですが、無事乗り切ったそうです。苦労があるのですね。
 
ここが仕込み用の井戸です。
 
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<原料処理>
 
原料処理と言えば洗米、浸漬を言いますが、使用しているお米は兵庫県の山田錦、福井県産の山田錦、五百万石だけですからとてもシンプルですが、この工程を酒造りの中で一番気を使っているところだそうでです。精米は福井県はすべて共同精米だそうです。
 
本醸造の掛米(五百万石)以外はすべてウッドソンの洗米と金笊による浸漬をしています。毎年米の出来が違うので特に年前の時期は神経を使うそうです。
 
ウッドソンの洗米機です。福井県では導入が早かったそうです。
 
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浸漬用の金笊です。
 
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本醸造用の昔ながらの洗米浸漬装置です。
 
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<甑>
甑はすべて和釜を使っていて2台ありました。大型のものは1000kg、小型のものは300kg用で甑はステンレス製でした。釜は釣り上げて洗浄するので、設置する時に赤土で土嚢のように敷いた上に載せていました。ちょっと赤く見えるでしょう。
 
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<放冷機>
 
写真は普通の放冷機ですが、添えのように温度が高めでいい時は簡易放冷機を使うそうです。1000kg、1200kgの掛米はエアシューターで運びますが、そのほかは担いで運ぶそうです。

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<麹室>
 
下の写真が麹室ですが、先ほど紹介したようにこの裏にえちぜん鉄道が走っているので、この扉から入って左側に1室の麹室があるそうです。床が2つあるだけのシンプルな室のようです。
 
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<仕込み室>
 
ここが仕込み室ですが甑倒しが終わって仕込んでいるのは2本だけなので、中の見学はしませんでした。
この蔵は使用しているお米の種類は少ないですが、酵母はいろいろ使っていました。使っている酵母は6号酵母、9号酵母、1401酵母、1801酵母、福井酵母、金沢KZ酵母だそうです。本醸造は6号酵母と9号酵母のブレンドで、純米酒は14号酵母と9号酵母と6号酵母を、大吟醸系では18号酵母と酸の少ないKZ酵母を使っています。辛口純米酒は6号酵母、出品酒は1801号酵母で、福井酵母は今年から始めたそうです。
 
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仕込み蔵に面白いものを見つけました。この小さな120㎏タンク2本です。これは梅肉屋の垂れツボからサンプリングした梅酵母を使ったものです。お酒は500万石70%精米の純米で、アルコール濃度は12%位で、日本酒度ー36、酸が4.2のお酒だそうです。1本は原酒でばし、もう1本は炭酸を入れた微発泡酒で販売してるそうですが、量が少ないのでなかなか手に入らないそうです。
 
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<槽搾り>
この蔵は全量槽搾りで、ちょうど600㎏仕込みの五百万石の純米吟醸を絞っているところでした。現在800kgの圧力をかけて絞った状態で、これから最後の責めの絞りをするために、袋を取り出し詰めなおすところでした。
 
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こんな大きな木材で抑えているのですね。

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槽搾りへのお酒の供給のために一旦上部においてあるタンクに受けます。

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槽から出たお酒はこのコンクリートの枠に入れたタンクに受けます。

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下の写真は最後の責めの絞りをするために、袋を積み替えているところです。600kg仕込みなので230枚の袋があり、これを中央に積み上げて、1200kgの圧をかける責めの絞りに入るそうで、責めの絞りは1時間弱で終わるそうですが、最後のかたずけの作業に時間がかかるそうです。搾り作業全体では48-50時間かかるそうで、薮田に比べるととても大変な作業ですね。ここで働いていた蔵人もつらい作業なので、薮田のある蔵に行ってしまった人もいたそうです。

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この大きな槽搾り機とは別に下の写真のような斗瓶どり用の小型の槽搾り器がありました。この装置を使っても斗瓶どりには5時間くらいかかるそうです。

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青色のシートがかかっているところが袋吊りの場所だそうです。

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絞ったお酒はこの山中技研工業のSFフィルターを通して、ビン詰めラインに送るそうです。SFフィルターは0.1~0.3ミクロンの穴の開いている中空糸フィルターで、小さなごみや火落ち菌などの一般細菌を取り除くことができるそうで、活性炭は使っていないそうです。

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どうしてSFフィルターというのかはわかりませんが、クラレ製の中空糸SFフィルターを使っているからのようですが、クラレは穴の大きさによりフィルターの名前を変えていて、この穴の大きさのものをSFフィルターと呼んでいます。
 
この蔵では普通酒と純米酒の1タンクだけをタンク貯蔵しており、他はすべて瓶貯蔵をしているそうです。
 
それでは試飲したお酒をご紹介します。
 
1.大吟醸 兵庫県産山田錦40%精米 18号酵母
2.純米大吟醸 兵庫県産山田錦50%精米 KZ酵母
3.純米吟醸18号 五百万石55%精米 18号酵母
4.純米吟醸 雪舟 五百万石55%精米 9号酵母
 
5.純米酒 五百万石60%精米 6号酵母
6.特別純米酒 福井県産山田錦605精米 6号酵母


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お酒の評価をする自信はないので、一つ一つをご紹介しませんが、色々な酵母を目的に合わせてうまく使い分けていているように思えました。大吟醸は18号だけど香りは抑え気味で少し酸味を出してバランスさせていますが、純米大吟醸は酸味はおさえて、奇麗な香りとバランスさせたお酒でした。
 
最後に試飲では紹介しませんでしたが、下の二つが気に入ってく入試てしまいました。特に純米吟醸福むすび斗瓶どりは山田錦55%精米の18号酵母のお酒ですが、2年間熟成したもので、とろみ感があり落ち着きのあるうまい酒で、2160円/4合瓶はお買い得です。吟の雫は山田錦40%の大吟醸でちょっと飲んでみましたが、確かに斗瓶どりの上のお酒でまろやかなな甘みが特徴でしたが、ちょっと若い感じなので1年以上熟成させて飲んでみたいと思っています。楽しみですね。
 
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丈路さんにこれからそんなお酒を造ってみたいかをお聞きしたら、基本は食中酒で、種類は増やさないで、一品一品少しずつ味わいのあるお酒にしているそうです。すぐやってみたいのは奥様が熊本出身なので熊本県産の飯米と9号酵母、福井県産の五百万石の福井酵母をミックスしたお酒を造りたいそうです。
この蔵のお酒の特徴を出すには半年から1年くらい熟成した方がいいことはわかっているので、新酒で出す酒と熟成して出す酒を棲み分けてやっているのことでした。
 
お話を聞くと黒龍酒造の畑山杜氏とは歳も近いし、同じ町の蔵なのでいつも仲良くさせていただいているそうで、そういう人からいろいろ学ぶ機会も多いようですし、最近は福井県内の蔵の人たちとの交流も多くなっているので、田邉酒造のような小さな蔵でも特徴を生かした酒造りを進めており、これから着実に進化していくように思えました。こういう小さな蔵が進歩していくことが福井県のお酒のレベルを上げることになるのだと思います。
これから頑張ってますます良いお酒を造ってください。 

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