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« 蒸し燗に関する新しい工夫と一考察について | トップページ | 丸世酒造店で酒造りの体験報告 »

2017年1月31日 (火)

銀座NAGANO日本酒講座で学んだ麹造りについて

長野県のアンテナショップである銀座NAGANOが主催で日本酒講座基礎コース後期連蔵講座として、9月から翌年の3月まで9回シリーズで洗米から瓶詰・貯蔵管理まで教える講座があることを11月に初めて知って12月より参加しました。12月は2回で麹造り、1月も2回で酒母、醪造りでした。参加して初めて知ったのですが、この講座は長野県の蔵で酒造りを体験する前の事前教育の意味もあったようです。 

Dsc_0497

蔵の体験をするためにはこの講座を最低6回受けなければいけないそうですが、今年の蔵体験は1月末から2月初めに麹造りを体験するそうですが、まだ4回しか参加していない僕の参加は無理と思っていましたら、最後まで受講すれば6回になるので、参加できることになりました。 

今回体験する蔵は丸世酒造店で体験内容は麹造なので、そのためにこの講座で勉強した麹造りについて事前に整理しておく意味で、ブログにまとめてみることにしました。この講座の先生は玉岡あずさんです。玉岡さんは銀座NAGANOに勤務している職員のようですが、お酒造りにはいろいろと経験をお持ちのようで、講義内容も深いものがありました。下の写真が玉岡さんです。 

Dsc_0610
今回は麹造りについて単にここで学んできたことを紹介するのではなくて、僕なりに蔵に行く前の整理としてまとめることが目的なので、僕が調べたことも書きましたから勘違いがあるかもしれません。もしあったら指摘いただければ幸いです。
 

まず麹造りの酒造りの中でどんな位置づけにあるかを考えてみます。酒造りで大切なのは一麹、二酛、三造といわれるように麹造りは非常に大切な工程であります。まず麹の役割はお米のでんぷんをアルコールの原料となる糖に変えることにありますが、それだけでしょうか。もっといろいろあるのでそれを整理してみます。 

<麹の役割> 

お米の中にはでんぷんだけでなく、蛋白質や脂質や配分やミネラルもあります。これが麹造りの段階でどうなるかを示します。 

・ でんぷんは麹菌が出す酵素のαアミラーゼやグルコアミラーゼによりブドウ糖を作ります。ブドウ糖はアルコールの原料となるだけでなく、香り成分にもなります。 

・ タンパク質は麹菌が出す酵素の酸性プロテアーゼや酸性カルボキシペプチターゼが蛋白質を分解し、アミノ酸を作ります。アミノ酸はまみ成分だけでなく、お酒の香り成分にも関わります。 

・ 脂質は麹菌が出す酵素のリパーゼにより脂肪酸を作ります。この脂肪酸は各種の脂肪酸エステルとなり香り成分や味わい成分の一つとなります。 

・ 灰分やミネラルは酵素活性のエネルギーとなるようです。 

ですから麹造りはアルコールの原料となる糖分造りだけでなく、味わいのもとになるアミノ酸のを作るのですから、アミノ酸の量をコントロールするためには麹造りが肝となるようです。 

このあたりをもっと知りたい方は僕の下記のブログを見てください。http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/9-2bb6.html

<酒造りの中での麹の位置づけ> 

酒造りの流れについてはいろいろな本に書かれていますので、僕は理解していたつもりでしたが、玉岡さんが造られた下記の図は酒造り全体の流れをうまく表現しているので、これなら全体がよくわかると感心してしまいました。こんな表現をしている図を見たのは初めてです。 

よく注意してみてください。細かいところに留意されています。例えば、麹は水と一緒に投入した後に、蒸米は必ず後から投入しています。それは水と麹を投入して麹を元気にしてから原料の蒸米を入れると麹菌が良く働くためだそうです。ですからこれを水麹と呼ぶこともあるそうです。また麹も酒母用の麹は酛麹、初添用麹は添麹という風に分けて表示しています。よく見ると面白いですね。 

Dsc_0500 

玄米から蒸米までは一直線に表示していますが、そこからが複雑になります。蒸米と麹は酒母と醪の工程の両方で使われるからです。もろみの工程には初添、仲添、留添の3つの工程があり、その作業は全部実施される日が違います。蒸米はその工程に合わせて造る必要があるので、それに合わせて蒸し作業が行われなければいけないことが分かります。 

麹はどうなのでしょうか。麹も酒母と醪の両方にに投入されますが、最初に作ったものでいいのでしょうか。当然酒母用の麹と醪用の麹は通常違います。酒母用の麹はでんぷん分解力やたんぱく質分解力の強く、ブドウ糖やアミノ酸をよく作る麹をつかうようです。ですから総破精の麹を使うことが多いようです。それに対して醪に使う麹は掛麹と言い、でんぷん分解力は強いが、アミノ酸の生成は少ないものを使うことが多いようです。それはアミノ酸が増えると味の濃いお酒になるのを嫌うからです。でも、実際にどのような麹を使うかは蔵によって違います。 

蔵によっては醪用の麹を初添、仲添、留添で同じ麹を使わないで、それに合わせて麹を作り投入することもあるようです。そうなると麹を作るタイミングも難しそうですね。麹が作り置きすることができればその点が楽になりそうですが、実際はどうしているのでしょうか。その点も考えて麹造りを勉強してみました。 

<蒸米と麹の投入量について> 

麹の行程を勉強する前に、醪に使う麹の量はどのくらいなのかを勉強しました。蒸米の量に対する麹の量は酒母の時が一番多く、最後の留添えの時が一番少なくなります。蒸米に対する麹の量の比率は以下の通りです。 

 酒母の時50%  
 初添の時40%   
 仲添の時30%  
 
 留添の時20%  
 

これだけでは比率はわかっても量的なことのイメージはできませんね。蒸米の投入時の蒸米の量の比率は酒母:初添:仲添:留添=1:2:4:6~7らしいので、簡略化して計算上1:2:4:7とします。すると蒸米の総量を1とすると、酒母は1/14、初添は1/7、中添は2/7、留添は1/2となるわけです。 

総米を600kg仕込みを考えた場合、総米(蒸米+麹米)は母で43kg、初添が85kg、仲添が170kg、留添で300kgになるわけで、各段階でそれにあった量の蒸米をタイミングに合わせて蒸す必要があることが判ります。蒸す時間は通常1時間ぐらいなので事前に準備できそうですね。 

それに対して麹の量は前述の麹の比率を当てはめてみますと、母が14kg、初添が24kg、仲添が39kg、留添が50kgとなり、総麹量は127kgとなり、麹の比率は21.2%となります。麹米の比率は20%~23%といわれているので、ほぼ合致いたしますね。麹の製造時間は丸2日かかるので、それに合わせて麹を用意するのは大変そうですね。 

蒸米に対して水の量は程同量入れますので、全体がどうなるかを示すわかり易い資料を見つけました。FBO出版の日本酒の基のテキストに図示されていましたのでそれをお見せします。銀座NAGANOで教わった麹の量より多いですが、普通酒の場合はこのぐらいになるのかもしれません。でもイメージをつかむには良い図だと思います。 

Dsc_0651

 <麹造りの工程:製麹(せいきく)> 

この工程についても玉岡さんはわかり易い工程表を作っていただいております。 

Dsc_0498_2

 麹の工程は通常蒸米を引き込んでから出麹をするまでは約2日強の時間かかります。上図の中でかっこ書きにしているところは、蔵によってはやらないところがあるからだそうです。これを簡単に表すと下記のようになります。 

1日目 引き込み ➡ 種切り ➡床もみ ➡切り返し
2日目 盛り ➡ 仲仕事 ➡ 仕舞仕事
3日目 出麹 ➡ 枯らし

それでは工程ごとにその内容を示します。 

<引き込み> 

蒸米を放冷して麹室に入れることを引き込みと言います。その時の温度は通常33~35℃くらいで、吸水率も+33%位です。引き込みは温度が変わらないように短時間でやる必要があるので人手をかけるようです。引き込んだ蒸米の温度を均一にするために、一度床と言われる台の上に積み置きして布をかけられ1-2時間おきます 

<種切り> 

蒸米の温度が均一になったら、床に積み上げた蒸米を崩して、床一面に広げて麹菌の胞子である種麹をまんべんに振りかけます。この工程を種切と言いますが、その間温度が下がらないように手早く行う必要があります。。 

<床もみ> 

振りかけた種麹が均一に蒸米につくように床の上でよくかけ混ぜます。この工程を床もみと言います。床もみの作業が終わったら再び床の上に積み上げて布野をかけて乾燥や温度が下がることを防ぎます。床もみの終わったときの温度をみあげ温度と言い、31℃から32になるようにするのが重要なことのようです。温度が下がると菌の繁殖が阻害されるからです。

<切り返し> 

床もみ終了後8-10時間たつと蒸米の表面が乾いて米の粒子同士がくっつき始め硬い状態になります。それをほぐしてよく揉み合わせる作業を切り返しと言います。切り返しは温度の水分を均一にすることと、麹菌に酸素を供給するのが目的ですが、この段階は菌がまだ食い込んでいないので、温度が下がらないよう迅速にやる必要があり、蔵人総出で行うようです。切り返し後は再び床に積み上げて布に包んでおきます。 

<盛り> 

切り返しから10~12時間後、引き込から22~24時間後になると、米に麹菌が繁殖した証である白い斑点が見えるようになります。このときはシャベルで崩すほどの硬さになっているので、通常は機械でほぐしてバラバラにします。この後は麹菌の繁殖による発熱で温度が高くなるので、一定の大きさの箱、(小さいもので15kg、やや大きいと30kgなどの箱)に入れる作業を盛りと言います。このときは下の図のように、通気性がいい室で専用の布の上に蒸米を片方または中央に6~8㎝くらいに盛るそうです。盛った箱は2~3段に積んで、積み上げた箱全体をキャンパスや毛布で包んで、温度を見ながら掛具合を調節します。 

1_2 

Photo_2

<仲仕事> 

盛りの作業の7-9時間たつと蒸米の温度が35℃から37℃に上昇します。このときの独特の青っぽい香りがするそうです。ここで熱の急激な上昇を防ぐために、再度温度が均一になるようにかき混ぜます。すると温度は1-2℃さがりますが、再び、箱の中で5-6cm厚さにひろげます。この作業を仲仕事と言います。通常は引き込んだ翌日の午前中に行うことが多いようです。 

Dsc_0505_2

積み上げた箱の上の温度が高くなりやすいので、定期的に上の箱は最下部に、下の箱は上に移動させます。この作業を積み替えと言います。 

<仕舞仕事> 

仲仕事の後6-7時間たつと蒸米の温度が37℃~39℃に上昇します。熱の急激な上昇を防ぐために、麹全体の温度を均一にするためにかき混ぜます。そのあと箱全体に薄く蒸米を広げて、表面積を広げるために表面に溝をつけます。この溝の形は蔵によって違い、丸くするところとかまっすくにつけるなど色々あります。この作業を仕舞仕事といいますが、この時が一番温度管理が難しくなるので、1時間おきに換気窓の隙間を調整するなど気を遣う作業だそうです。 

<出麹> 

仕舞仕事の後8~10時間前後、引き込みより43時間~45時間後に、麹が出来上がります。酒母麹の場合はさらに数時間延ばして出すこともあるようです。その時の麹の温度は40℃~43℃ですが、麹室の中で麹を手でほぐして敷き布ごと室の外に運び出して、これ以上麹菌が繁殖しないように冷却します。この作業を出麹といいますが、蔵によっては専用の部屋を設けているところもあります。 

<枯らし> 

麹部屋の外の寒冷で湿気のない通気性の良い床や棚に麹の用途別に布を広げて麹をさらします。掛麹が同じ麹でよい場合は用途別に分けて使えばいいですが、タイミングが合わない場合枯らした後に冷凍保存することもあるそうです。冷凍保存しても菌が死ぬわけではなく休眠状態になるだけだそうです。その場合はあらかじめ麹を作っておけば長期保存をすることができますし、季節の温度が上がったときにはもろみの温度を下げる冷却材としても使えるようです。 

以上で麹造りの工程の紹介を終わりますが、次に麹造りの全体の温度の流れを見てみましょう。 

最初にお見せするのが引き込み温度が高い場合の一例ですが、麹造りの各作業の初めに蒸米をかき混ぜる作業があるので、必ず温度が1~2度くらい下がっています。アミノ酸の量を抑えるためには35℃~38℃帯を素早くすり抜けることがポイントだそうです。逆にアミノ酸を増やしたいときはゆっくりその温度を通過させるようです。 

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低温引き込みの場合は初めの段階をゆっくり進めて、後半に一気に温度を上げる場合が多いので、アミノ酸の少ない切れの良いお酒になるようです。 

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<麹室について>

麹室は杉の木の壁で作られることが多いのは湿気を適度に吸うので、乾燥した室になりやすいからですが、最近は完全空調をしたステンレス壁の室もあるようです。麹造りの1日目の部屋と2日目の部屋は目的の違う麹を取り扱う可能性が多いので、部屋は最低2室必要です。大きな蔵では目的別に違う麹室を持つため10室くらい持っているところもあるようです。部屋のの温度は28℃が標準ですが、部屋によって温度や湿度の環境を変えることも多いようです。

<破精込みについて> 

麹の繁殖状態ついて麹菌の生育や度合いを表現する言葉に「破精」という言葉が使われ、米粒を割ってみた時に禁止の侵入した度合いを「破精込み」と言います。麹の形状には以下の4つがありますので、以下に示します。 

「総破精型」 

蒸米の表面全体が菌糸に覆われ、内部にも深く破精込んでいて、糖化力も蛋白質分解力も強いが、味が濃くなりがちです。酒母用に使われたり、濃醇タイプのお酒を目指すときに使われます。蒸米が膨軟だったり麹室のの湿度が高い場合にできるようです。 

「突き破精型」 

蒸米表面の菌糸の発育は表面全体を覆うことはなく、破精部分とそうでない部分に分かれているが、菌糸は内部に深く破精込んでいます。強い糖化力をもち、適度な蛋白質分解力を持っているので、吟醸酒や淡麗でふくらみのある酒造りに使われます。蒸米が外硬内軟で、麹室の乾燥状態が良い時にできるようです。 

塗り破精型」 

蒸米の表面全部が菌糸に覆われるが、内部への破精込みは少なく、糖化力も蛋白質分解力も弱く、味が薄くなりやすいく、粕が多くなります。蒸米の吸水が芯までいかず、表面のみが給水しているときの起きやすいそうです。 

馬鹿破精」 

蒸し米が柔らかすぎて中心部まで全体の破精が回り、握ると固まるようなものを言い、糖化力も蛋白分解力も弱く麹としては使えないようです。 

<麹室に使われている計測類> 

下記にしましたように昔からの乾漆温度計のほかに、デジタル温度計や留点温度計(最高温度を示す)ものとか、最近ではWiFI型の温度計とかロードセルなどの新兵器もあるようです。 

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以上で麹造りの紹介を終わります。

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