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2016年12月31日 (土)

志田泉酒造のお酒はは大人の食中酒かな

11月のことになりますが、調布市仙川町にある日本酒バー「あふぎ」志田泉酒造の望月雄二郎社長をお呼びして志田泉を楽しむ会がありましたので、参加してきました。このお店は今年の6月17日にオープンしたばかりで、お店の中もカウンターを含めて十数人が入れるくらいのとても小さなお店です。「あふぎ」とは扇という意味のようです。

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お店は板倉美香さんが店主を務めていますが、板倉さんは藤枝市出身で、昔から日本酒がお好きで利酒師の資格を持っている方です。今までは全く違うお仕事をしていたそうですが、個人的に蔵の方をお呼びしたイベントを開いたりした経験はありましたので、前々からお店を持ちたいと思っていたのが念願かなって、独立されたそうです。

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日本酒にはこだわっておられて、お店の冷蔵庫には静岡のお酒を中心にこだわりのお酒が並んでいました。森本酒造の「火の用心」は知っている人はいないのでは? 興味のある方はお店のURLをご覧ください。

お店を開いてから蔵元をお呼びするこのようなイベントは2回目で、最初は磯自慢酒造をお呼びしたそうです。やはり地元のお蔵さんを主体にされているようですね。望月さんとは西日暮里の稲毛屋でお会いしたのかきっかけで、お知り合いになったそうで、社長の2年後輩だそうです。
それでは最初に蔵の紹介をしましょう。志田泉酒造は静岡県藤枝市にある蔵でJRの藤岡駅から瀬戸川に沿って5Kmほど北上し、新東名高速道路を超えた瀬戸川のほとりあります。この蔵の特徴は何といっても仕込み水にあるようです。この仕込み水は瀬戸川の伏流水で硬度が3.4の超軟水で、飲んでみましたが極上の柔らかさの水でした。もう一つの特徴はこのあたりでとれるお米かもしれません。蔵の南の瀬戸川の東には助宗という地区がありますが、この地区の農家と志田泉酒造が協力して藤枝SAKENOMIXというプロジェクトを作って、「誉富士」という酒米を供給しているそうです。
この蔵は初代当主の望月久作さんが明治15年に創業し、志田泉と名付けたそうですが、地名の志田にある泉のように奇麗なお酒という意味と、志し太く泉のように沸き立つお酒を造りたという意味があるそうです。戦時中は一時休業したことがありましたが、昭和29年に再開した後は早くから吟醸酒造りに取り組み、昭和43年には当時最も権威のあった「東京農業大学品評会」で金賞を取りました。その後静岡県の吟醸酒造りを研究し昭和59年から3回連続で「全国新酒鑑評会」の金賞を受賞するなどの実績を上げています。今では生産高800石から900石の比較的小さな蔵で、ほとんどが静岡県で消費され、県外に出るは約1/3だそうです。
社長の望月雄二郎さんを紹介します。
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雄二郎さんは幼い時から瀬戸川で遊んで自然にいそしんでいただけでなく、お酒や味噌などの香りの中で育ったので、お酒造りはともかく味と香りにかかわる仕事に携わりたかったそうです。大学を卒業後は協和発酵でお酒には直接関係のない部門に勤務した後、28歳の時に蔵にも戻ったそうです。当時はちょうど南部杜氏のベテランの高橋さんが酒造りをしていた時期で、杜氏から指導を受けるほか、静岡県の工業技術研究所の河村伝兵衛先生に指導を受けて酒造りを勉強したそうです。河村さんは今年お亡くなりになりましたが、静岡酵母を開発された方で静岡県の酒造りに貢献された大先生です。雄二郎さんのお話では僕は河村先生の弟子ではあるけど、破門状態なのですよと笑って言われました。それは、河村先生の弟子なら静岡酵母以外の酵母を使わないのが決まりだったからのようです。
 
静岡酵母の話は後にするにして、蔵に戻って約10年後の2007年に社長となられます。その時までは南部杜氏できたのですが、2009年に能登杜氏の西原さんに変えました。西原さんはどんな人かはお聞きしませんでしたが、まだ若いけどしっかりした方で、今では酒造りは社長と杜氏の二人で決めているそうです。昔は社長はオーナーで酒造りは杜氏に任せるのが普通の時代で、最近になると社長が杜氏も兼務して、自分の作りたいお酒を造る人が出てきましたが、雄二郎さんのやり方は作りたいお酒のイメージは80%は自分で決めるが、それをどうやって作るかは主に杜氏が決めるやりかたで、二人でコラボレーションして造っているそうです。
 
ですから、他の蔵人の意見は聞かないし、飲み手の意見も聞かないそうです。でもこれは飲み手を無視しているわけではなく、最終的には飲み手が好きなように飲むのは全く構わないそうで、飲み方を押し付けることはしないそうです。どんなお酒を造るかについては、時代の流れに乗ったお酒を造るのではなく、志田泉らしい食事を邪魔しないお酒造りを目指しているそうです。それがどんな味なのかはこの会で志田泉の色々なお酒を飲んでみて考えることにします。
それでは早速飲んだお酒の紹介に入りたいですが、その前に静岡酵母についてご紹介しておきます。静岡酵母は静岡県の工業技術研究所で開発された酵母で以下の7種類が実用化されているようです。
 
HD-1    :華やかな香りでやや酸が高い(大吟醸用) 
NO-2   :酸が少なく淡麗(本醸造用) 
New-5  :華やかな香り酸が少なく淡麗(純米吟醸用) 
CA-50  :マスカットの香り、すっきりさわやか(本醸造用) 
SY-103 :爽やかなかおり(本醸造用) 
5MT-1  :リンゴのような香り(本醸造用) 
HD-101 :HD-1の泡なし酵母(大吟醸用) 

この表現は「静岡の酒」というサイトからとったもので、この表現が一般的かどうかはわかりませんが、僕の認識では静岡酵母の香りは強さの違いはあっても酢酸イソアミル系の香りが主体と思われます。HD-1の酵母は昭和61年の全国新酒鑑評会で静岡のお酒が大量に入賞した時の立役者となった酵母です。この酵母は河村先生が開運の蔵から分離抽出した酵母で、その時の杜氏の波瀬正吉のHと土井酒造のDの名前から付けられたといわれています。これはまさに酢酸イソアミルの香りがたつ酵母です。でも最近の金賞受賞酒はカプロン酸エチルが強いお酒が選出されるようになり、静岡酵母では金賞が取りにくくなっているようですが、香りが強くなりすぎて酢酸エチルのセメダインのような香りが出てくると嫌ですが、適度な香りの場合はとても良いと思います。 

志田泉ではどのような酵母を使っているかというと、以下のようです。 

HD-1 :吟醸、純米吟醸、純米大吟醸
NOー2  :普通酒、本醸造酒
NEW-5  :純米酒、純米吟醸酒
HD101:生酛純米酒

M310 :大吟醸、出品酒

酵母の使い方は時代とともに変えているようですので、そのつもりで見てください。全国新酒鑑評会用にはカプロン酸の出やすいM310を使っているようです。、

望月社長の乾杯でスタートしましたが、3時間たっぷりのゆったりとした会で、下の写真ののように10種類のお酒を社長に説明を受けながら味わうことができました

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それでは飲んだお酒を飲んだ順でご紹介します。 

1.シダ・シドール 純米発泡性酒 

Dsc_0513シードルとはリンゴから作ったスパークリングワイのことで志田泉の発泡酒という意味でつけたそうです。 

山田錦60%精米で、アルコール度14%の発泡酒で瓶内2次発酵で作っていて、日本酒度は-14、酸度は1..3でした。 

飲んでみると舌にピリピリきて、結構酸味を感じましたが、それは炭酸ガスからくるもので、甘さはあまり感じられませずに、スイッと飲めてしまいました。 

2.純米吟醸 兵庫県山田錦 

Dsc_0528兵庫県産の山田錦の50%精米を使用し、酵母はHD-1を使っています。スペックはアルコール度は16%、日本酒度4.0、酸度1.3の純米吟醸です。 

飲んでみると香りはイソアミル系の香りとカプロン酸エチルの香りが両方感じたので、HD-1はもっとイソ系の香りが強いのではとお聞きしたら、志田泉の酒はカプが出やすい造りなのだそうです。 

飲んでみると山田錦らしいしっかりしたうまみを感じ、後味が少し辛みを感じながら消えていくお酒でした。 

3.純米吟醸 誉富士 

Dsc_0534このお酒は地元で生産している誉富士55%精米を使用し、、酵母はNew-5です。スペックはアルコール度15%、日本酒度+4、酸度1.2の純米吟醸です。 

飲んでみると香りは山田錦と同じ香りがしましたが、山田錦よりうまみが少なくちょっと軽い感じのお酒でした。バランスは山田錦の純米吟醸と似ているように思えました。 

このお酒は3年目の造りになるそうですが、この蔵の標準的な味わいのような気がします。 

4.全国新酒鑑評会出品酒 

Dsc_0530このお酒は兵庫県産山田錦40%精米で、酵母はM310です。スペックはアルコール度17%、日本酒度+3.5、酸度1.1で、醸造アルコールを添加した大吟醸で、今年の全国新種鑑評会用のお酒です。 

香りはややカプロン酸エチルが強いけどイソアミル系の香りもする華やかなものでした。味わいは味もしかりしていて辛みも少ないので、いわゆる志田泉のお酒とは違うように思えました。 

今年は残念ながら金賞は取れなかったけど、もうちょっとグルコース濃度が高くないと賞を取るには難しいといわれましたが、賞をとれなくてもあまり気にしていないそうです。 

5.純米大吟醸原酒H25BY 

Dsc_0532このお酒は兵庫県産山田錦40%精米で酵母はHD-1を使った純米大吟醸を蔵の3℃の貯蔵庫で3年間熟成したH25BYのお酒です。 

スペックはアルコール度16-17度、日本酒度2.0、酸度1.3です。 

飲んでみると熟成香は強くないけど、元の華やかな香りはほとんどなくなって、角が取れて飲みやすくなっていました。でもちょっと物足りないかな。  

6.ラジオ正宗 純米吟醸生酛 

Dsc_0544ラジオ正宗は2代前の当主の時に作った生酛作りのお酒で、造りをやめていたのですが、生酛作りをしたいということで2年前に復活させたお酒だそうです。ラベルは看板に残っていたものを写真を撮り、似たようなものにしたそうです。 

静岡産の山田錦55%精米で、酵母にはHD-101を使ったお酒で、味わいは現代風にしたそうです。スペックはアルコール度16%、日本酒度+3、酸度1.3です。 

飲んでみるといわゆる生酛的な香りはなく、味に厚みがありコクは感じますが、飲みやすい生酛でした。お燗をして飲んでみると、やや高めの温度だと辛みを感じなくていいように思えました。  

7.純米原酒 八反35号 

Dsc_0537このお酒は広島県産の八反35号を50%精米し、酵母にNew-5を使った純米原酒で、スペックはアルコール度17%、日本酒度+3.0、酸度1.1です。 

香りは少ないけど最初にスペック以上の甘みを感じるせいか、志田泉の酒の特徴である辛みをほとんど感じない落ち着いた感じのするお酒でした。 

これについて社長にお聞きしたら、八反35号は溶けやすく味の出やすいお米なので、、それを静岡流の造りで抑えたお酒だそうです。なるほど、造りでお米の特徴も変わってくるのですね。 

8.純米大吟醸 泉 斗瓶どり 

Dsc_0540このお酒は兵庫県産の山田錦40%精米で酵母はHD-1を使った純米大吟醸で、袋吊の中取りの斗瓶どりのお酒です。スペックはアルコール度17%、日本酒度+2.0、酸度1.4です。 

今年3月に作ったお酒で、飲んでみると奇麗な香りの中に、しっかりした味わいがあり、うまみのパワーが中盤まで残って、奇麗さを保ちつつ後味は志田泉らしく消えていくお酒でした。 

さすが出品酒のもとになる原酒のいいとこどりですから,うまいはずですね。僕の一番のお気に入りです。 

9.静岡県品評会出品酒 H23BY 

Dsc_0542このお酒は兵庫県産山田錦50%精米で、酵母はHD-1を使った静岡県清酒鑑評会の吟醸部門に出品した吟醸酒で、蔵の-5度の冷蔵庫で5年熟成したお酒です。スペックはアルコール度18~19度、日本酒度+5.5、酸度1.2です。 

5年熟成していますが熟成香は全くなく、まだ作り立ての若さをそのまま残したまま、香は少なくなっているけどまだ奇麗な香りもあり、テクスチャーだけが丸くなり素直な感じで飲めるお酒でした。 

熟成していても後味に大人びた辛みを感じさえるところは志田泉らしさが出ていると思いました。  

10.梅酒 梅丸

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この梅酒は静岡産の山田錦で作った純米生酒で作った梅酒で、地元でとれた梅をフレッシュなうちに漬け込んで作った梅酒で、甘みの少ない酸味のしかりしたさっぱりした梅酒で口直しにはいいと思いました。アルコール度数は11度でした。 

以上で飲んだお酒の紹介は終わりますが、9本のお酒を飲んで感じたことは、田泉のお酒は仕込み水の奇麗さを生かした奇麗なお酒だけれど奇麗すぎず、コメの味をうまく引き出して、旨みや甘みと酸とのバランスをさせ、余韻を短くして切れの良さを出していくお酒で後味に辛みを残していくのが特徴のような気がしました。ですから飲み飽きしない食中酒を目指したものと思いました。
 
最後にこれからどんなお酒造りを目指すのかとお聞きしたら、今の方向をさらに追及して、どんなお酒も納得できるお酒を造っていきたいそうで、これは終わりのない目標だそうです。最後に望月さんとのツーショットを載せておきます。

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この会の最後にじゃんけん大会で志田泉の前掛けをいただきました。子の前掛けは裏表のない特殊なもので、ラッキーでしたね。
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2016年12月17日 (土)

インフィニット日本酒中級コース第11回(他のお酒との違い)

インフィニット日本酒中級コースも11回となりあと2回となってしまいました。今回はちょっと趣向を変えて、日本酒を他のお酒とどう違うのかを考えてみることにしました。対象とするのは焼酎、ウイスキー、ワインです。

<焼酎について>

まずは焼酎を調べてみました。焼酎とはでんぷんを含む原料を麹で糖化し発酵させたもろみを蒸留して作ったお酒を言います。その原料としては、芋が有名ですが、米、麦、そば、ごま、黒糖などが使用されますが、原料によってその作り方は微妙に変わるようです。代表的な作り方を芋の場合で説明します。

原料のサツマイモを洗浄し、蒸した後冷却して粉砕します。それに麹菌をかけて芋麹を作るのかと思ったら、違っていました。最初は芋ではなく、お米を使います。まず洗米、浸漬したあと蒸し器で蒸した蒸米に麹菌をかけて米麹を作り、その麹と水と酵母を入れて25度から30度くらいで、1週間くらい発酵させた一次もろみを作ります。日本酒でいう酒母に相当します。

そのあとこの一次もろみに主原料の粉砕した蒸し芋と水を投入してさらに、10日から15日くらい発酵させた二次もろみを作ります。そしてその二次もろみを蒸留して焼酎を作ります。わかり易い図を見つけましたので、下記に添付します。ナツメ社の「うまい酒を科学する事典」を引用させてもらいました

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本には説明はなかったので理論的なことはわかりませんが、粉砕した芋に麹菌をかけてもお米のような麹はできないのだと思います。その証拠に麦の場合は麦麹を作る工程があるようです。そばの場合は昔はそば麹を作るのは難しかったのですが、最近は技術が進歩しそば麹を作るようになったようです。

では麹菌には何を使っているのでしょうか。焼酎に使われる麹菌は黒麹菌、白麹菌、黄麹菌の3種類です。日本において最も馴染み深いのは黄麹菌で日本酒や味噌や醤油などに多く使われています。しかし、冬でも温暖な南九州ではお酒のもろみを作る最中に腐敗することが多く、酒造りは難しかったので、江戸時代の島津藩では日本酒の作りを禁止するおふれを出すほどでした。

しかし、九州より暖かい沖縄では泡盛が昔から普通に作られていました。鹿児島県の監督局の河内源一郎技師が、このことに疑問を持ち泡盛菌を取り寄せて、その中から黒麹菌の採取に成功します。この黒麹菌は飛散しやすいので蔵人の服を黒く汚してしまう欠点はありましたが、麹の中に大量のクエンを作るので、この酸のおかげでもろみの腐敗を防ぐ力が強かったのです。その後、九州ではこの黒麹を使った焼酎造りが定着しました。どうして黒麹が日本酒では使われないのかというと酸味が強いもろみができるので、お酒が酸っぱくなるのに対して、焼酎の場合は酸は蒸留されないので、お酒が酸っぱくならないからです。

その後河内さんは麹菌の研究を続けて黒麹菌からの突然異変によって白麹菌を発見します。黒麹菌は力強くどっしりした味わいになるのに対して、白麹菌はまろやかな香りの優しい味わいになるのと、飛散しにくいので服が汚れないという長所があったので、九州で広く使われるようになったようです。黄麹菌は華やかでフルーティな味わいになりますが、酸を出さないので、九州では焼酎用としては使われなくなっているようです。空調設備が整った現在では技術的には可能だと思いますが、設備費がかかりますからね

焼酎の蒸留には単式蒸留と連続式蒸留があります。この方法は下記の図のようにもろみをタンクに入れて下から加熱して蒸発したものを冷却する単純な蒸留方法で、もろみの中の成分が取り込まれるので、いろいろな風味の焼酎ができ、これを本格焼酎とか乙類焼酎と呼ばれています。一方連続蒸留は何段にも蒸留を重ねるので、雑味の少ない純粋なアルコールに近い焼酎になり、甲類焼酎と呼ばれています。

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焼酎と日本酒ははもろみの作り方は共通の部分はありますが、日本酒のようなキメ細かい造りではなく、かなり大雑把な造りのもろみであっても、蒸留することにより安定したお酒ができるようであり、どうしても日本酒のような複雑な味わいにはなりません。これをウイススキーのように樽で熟成させれば、違ってくると思います。

<ウイスキーについて>

ウイスキーは大麦の麦芽やライ麦やとうもろこしなどを主原料とし、発酵させたもろみを蒸留して作る酒を樽に入れて熟成させたものをウイスキーといいます。この製造工程を下記にしましますが、これもナツメ社の「うまい酒を科学する事典」から引用させてもらいました。

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まず、原料の大麦を水に浸して発芽させると、デンプンを分解する酵素を生成するので、ある程度酵素が増えてから発芽を止めるために乾燥させます。この工程を製麦といいますが、乾燥にピート(泥炭)を燃やした煙を使うとその煙臭がスコッチウイスキーを特徴づける香りの一つとなります。

 乾燥した麦芽はごみや小石を除去した後、粉砕され約63度の温水と混ぜられます。すると麦芽中のデンプンに酵素が作用し、デンプンが分解して糖分が温水中に溶け出す。こうして得られた液体を麦汁といい、この工程が仕込みと呼ばれます。 

麦汁を発酵槽に送り、酵母を加えてアルコール発酵させ、7%濃度のエタノールを含むもろみをつくります。ウイスキー適した酵母は数百種あると言われています。発酵の工程は48時間~70時間で、時間が長いほど乳酸菌が多くなり酸味が強くなるそうですが、この時間が味を変化させるようです。 

発酵で出来たもろみを単式蒸留器に送り、スチルの下部から加熱することにより、蒸発しやすいエタノールを優先的に蒸発させ、エタノールの濃度を増やしていきます。蒸留は通常2回行われ、最初に21%まで濃縮し、2回目に70%まで濃縮するそうです。そのほか連続蒸留でもっと高濃度にする方法もあります。この蒸留によって、エタノール以外の成分をどのくらい製品に含ませるかも味を決めていく大切な部分だそうです。 

蒸留により出来た無職透明な蒸留液(原酒)は加水して60%ぐらいしてから樽詰めされて、貯蔵庫で貯蔵ます。この濃度にするのは、樽に含まれる高分子成分を分解するのにそのアルコール濃度が適しているからだそうです。ウイスキー樽は気温の変化により呼吸するようであり、その呼吸により樽の外へ揮発成分が抜けながら熟成が進むようです。 

ウイスキーの味はどこで決まるのでしょうか。一番重要なのは樽の中での熟成期間のようです。行程的には焼酎と似ているところがありますが、樽での熟成期間が長いところが大きく変わります。ウイスキーの世界では数多くの種類のものが造られていますが、味わいの深さを比較するとワインや日本酒の方が味わい深いと思います。

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ワインは原料となるブドウにアルコールの原料となる糖が十分に含まれているために、葡萄だけで発酵してアルコールを作ることができます。

ワインの製造工程については白ワインと赤ワインでは若干工程が違いますが、それについてもナツメ社の「うまい酒を科学する事典」から引用させてもらいました。

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白ワインの場合は白ワイン用のブドウを使い、赤ワインの場合は赤ワイン用の黒色のブドウを使いますが、両方とも最初に余分な苦みが出ないように茎の部分を取り除く除梗を行います。そのあと果汁を取りやすくするために破砕を行います。

白ワインの場合はそれを圧搾し果汁を搾り取り、タンクに入れて酵母を加えて15度から20度で約2週間発酵さしますが、発酵を途中で止めれば糖分が残るために甘口になり、最後まで発酵させれば、辛口のワインになります。

赤ワインの場合は除梗・破砕の後、果汁、果皮、種子を一緒にタンクに入れて、酵母を加えて28度から30度で約1週間発酵させます。発酵が終わったワインはタンクの底から引き抜きを行った後、残った果皮と種子の粕を取り出し、それを圧搾してワインを取り出し、それをさらに発酵させます。

こうしてできたワインを入れたタンクの底には澱が溜まるので、澱引きをしてから樽に入れて1~2年熟成させ、それをに詰めてからさらに2年から5年熟成させますが、高級ワインは10年以上熟成させます。

以上がワインの製造方法ですが、日本酒と大きく違うのは日本酒はお米を麹菌で発酵させて糖を作るのに対してワインはブドウから直接作るのと、ワインは必ず熟成させること2つだと思います。これが味の差となるだけでなく、作り方の重点の置き方が大きく変わるもととなっています。

ワインの発酵はシンプルでその発酵のさせ方にあまり細かい管理は必要ありませんので、いかに良いブドウを作るかが大きな決め手となります。それに対して日本酒はお米の選択も重要ですが、お米違いを引き出すためには麹による発酵にきめ細かい管理が必要ですし、もろみの発酵も並行複発酵という高級な発酵をさせるので、もろみの状態を科学的分析をしながら管理していく必要があります。具体的にはもろみの比重、酸度、アルコール濃度、アミノ酸濃度、グルコース濃度などを測定しながら細かい管理をしていきます。日本酒の醸造は世界中のお酒の中で最も科学的な数値をもとに管理している方法です。

一方ワインの味を決めるのは熟成にあります。熟成は通常15度くらいの温度で熟成させますが、日本酒で同じことをすると熟成が進んで、色は茶褐色になり、香りも紹興酒のような香りとなり、ワインのようなきれいな熟成はできません。その原因は日本酒は酸度がワインの1/3以下と少ないので、熟成が進みやすくワインは熟成が遅いからだと思われます。日本酒の場合も温度を下げて熟成させれば、そのスピードは遅くなることはわかったいますが、まだまだ熟成に関する研究が浅く、ワインのような実績がないといえます。

以上いろいろなお酒の比較をしてみましたが、それを総括的にまとめると、以下のようになると思います。

香りや味の複雑さを順番に並べると、甲種焼酎<ウイスキー<乙種焼酎<日本酒<ワインの順になると考えます。ウイスキーが乙種焼酎より下というのは異論があるかもしれませんね。

蒸留酒であるウイスキーは樽での熟成に依存しているので、複雑といえども限界があるのに対して醸造酒は酵母が造り出す色々な成分がそのまま含まれているので、もともと複雑な要素を持っています。日本酒の場合は酵母の数が多く、焼酎よりずっと複雑です。ワインはブドウの種類が多いこと、樽による熟成が加わっていること、長期熟成により複雑な変化が起こることで一番複雑性が高いと思われます。

菅田先生の言葉によりますと、本当に良いワイン(1本30万円くらい)を飲みますと、複雑な香りと味が体を取り込み、とても幸せになるそうです。これは飲んだことのない人にはわからないそうです。日本酒では高級なお酒でも、なかなかそこまでいかないですが、科学的な研究に裏打ちされた技術があるので、世界のワイン業界からその製法については注目されていて、勉強のために日本来るワイン製造者が増えているそうです。日本酒でも「幸せになれるようなお酒」ができることを期待したいと思います。

ワインの酵母は日本酒のようにたくさんあるわけではなく、ボルドーの酵が一般的だそうです。ワインの世界でも野生酵母と呼ばれている自然酵母があり、土、ブドウの木、昆虫などから採取してるそうです。最近ではニュージーランドで、同じ果汁でも酵母によって全く違うワインができることが研究されていますので、これからもっと色々な酵母が使われるようになるかもしれません。日本の酵母は古い蔵で採取したものが協会酵母として普及しましたが、最近では各県の研究所で開発されたものがどんどん出てきているので、日本酒の酵母はワインの世界を凌駕しているものと思われます。

以上で日本酒以外のお酒との違いの説明を終わります。例によって試飲したお酒の違いをご紹介します。今回は下記の4種類のお酒でした。

1.黒龍38号 純米吟醸 山田錦50-55%精米 
  Alc度16、日本酒度+3.5、酸度1.2、AA度-、酵母自社酵母、

2.醸し人九平次 純米吟醸 山田錦50%精米 
  Alc度15、日本酒度+1、酸度1.4、AA度-、酵母協会1401
 

3.一念不動 特別純米 ひやおろし 夢山水60%精米  
  Alc度17、日本酒度-、酸度-、AA度-、酵母-
 

4.誠鏡 純米たけはら、山県産米65%精米 
  Alc度15.5、日本酒度-1、酸度1.3、AA度-、酵母小川酵母
 

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1.黒龍38号 純米吟醸 山田錦50-55%精米 

色はあまりついていないので、墨ろ過をしてるかもしれない。香りはイソ系をベースにしながら少しカプ系の香りがある。カプロン酸エチルの前駆体であるカプロン酸は少しミルクの香りがするのでわかるそうです。黒龍は熟成をさせてもフラノンの香りを出さない技術があるそうです。

味を見てみると甘うまい感じがぱっと感じるけど、テクスチャーがなめらかなのでそれを強く感じさせません。酸をうまくなじませて、アフターにコハク酸の苦みを少し出してバランスさせています。大人のバランスのお酒でした。 

2.醸し人九平次 純米吟醸 山田錦50%精米 

少し穀物系の香りがするのは熟成によるフランのから来ているものと思われます。14号系のイソ系の香りがベースとなっています

アタックに甘みがあり、過ぐに酸が出てほんのりうまみも感じてきます。その中盤から酸が強くなりとそのあとに苦みが混じって出てきます。1番のお酒はまとまった味がするのに対して、いろいろな味が飛び出してくるお酒でした。お燗を目的としているお酒かもしれません。  

3.一念不動 特別純米 ひやおろし 夢山水60%精米

カプ系の香りがベースで、イソの系の香りもします。酵母はたぶん7号酵母だとおもわれます。アルコールが高いので乳酸の香りとアセトアルデヒドの香りがあるので、若々しい印象です。

味を見てみると爽快感が強くてさわやかな味わいですが、酒質が荒く感じてちょっと刺激的な感じがします。   

4.誠鏡 純米たけはら、山県産米65%精米 

カプの香りがポンと来ますが、フラノンの香りと熟成香でマスキングされれカプロン酸の香りは見つけにくいし、イソ系の香りも見つけにくいです。

香りからは酸が強いのでは思いましたが、飲んでみると、思ったほど酸味はなく、トロットとしたうまみがあるので、アミノ酸が少し多いのかもしれない。最後の苦みはコハク酸からくると思われます。
  

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2016年12月 4日 (日)

東大蔵元会を知っていますか。凄いメンバーですよ

東京大学ホームカミングデイというイベントがあるのをご存知ですか。この会は東京大学全体の卒業生の会が10月の第3土曜日に開催するもので、講演会やシンポジュウム、同窓会、各種エンターテイメントなど、幅広いイベントが東大の構内のいろいろなところで行われます。参加者は卒業生だけでなく誰でも参加できるので、講演会の内容も専門家でなくても気楽に聞けるようなものが多いようです。 

特にエンターテイメントには結構面白い掘り出し物のイベントがあります。例えば安田講堂を使った音楽祭とか、2015年に国の名勝に指定された懐徳館庭園の一般公開とか東大落語研究会OBによる寄席など十数種類のイベントが企画されています。その中で日本酒が好きな人には見逃せないのが東大蔵元会が行う利き酒会です。利き酒会といっても大層なものではなく、出店している蔵元のお酒を有料で飲むというだけのものですが、参加している蔵元のレベルが凄いのです。この人たちとゆっくりとフランクに話せる会など他にはありません。 

東大蔵元会という会が正式にあるのかどうかは知りませんが、東大出身者である蔵元や、現在東大で教えている蔵元が集まっている会の名前ようです。その蔵元には結構有名な蔵が多いのに驚かされますが、その蔵を紹介しましょう。 

順序は北から紹介しましょう。卒業年数は推定もあります。 

1.㈱わしの尾 代表取締役 工藤  (工学部2003年卒)

2.新政酒造  代表取締役 佐藤 祐輔(文学部1999年卒) 

3.出羽桜酒造 代表取締役 仲野 益美(東大非常勤講師)
                   (代理:仲野娘さん) 

4.金晶水酒造 常務取締役 斎藤 美幸(教養学部1988年卒) 

5.大七酒造   代表取締役 太田 英晴(法学部1982年卒) 

6.下越酒造   代表取締役 佐藤 俊一(農学部卒) 

7.惣誉酒造   代表取締役 河野 遵(経済学部1983年卒)
                   (代理:河野純子 工学部卒)
 

8.武重本家酒造 代表取締役 武重 有正(工学部1981年卒) 

9.長龍酒造   代表取締役 飯田豊彦(経済学部卒1986年卒) 

10.㈱喜多屋  代表取締役 木下浩太郎(農学部1987年卒)
                    (代理:田中利忠)
 

ホームカミングデイの蔵元会のテントは安田講堂の前にありました。入り口にはお世話役の高橋さとみさんがおられて、さわやかに迎えてくれました。 

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ここで10枚綴りのチケットを1000円で購入します。大吟醸は2枚、純米吟醸以下は1枚で約40ml1杯を飲むことができます。2000円で十分酔っ払います。お伺いしたのは10時半ぼろでしたが、人はほとんどいませんでした。 

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これが前景の写真です。奥から北の蔵元から並んでいて、最後が喜多屋でした。では一人ひとりお話したことを紹介します。 

1.㈱わしの尾 代表取締役 工藤 朋 

Dsc_0003_2わし尾は岩手県に八幡平市にある比較的大きな蔵です。 

工藤さんは工学部精密工学科で医療用のロボットの研究をしていたそうで、10年前の27歳の時に蔵に戻って何も知らないところから勉強して杜氏と一緒に酒造りをして現在に至ったそうです。 

あれから10年、お酒つくりはロボットの研究と共通のイメージがあるそうで、研究熱心な工藤さんはしっかり勉強されていました。 

この蔵の陸羽132号というお酒を飲んだ時、イソアミルアルコールのような高級アルコールの香りがするねと言ったら、精米度が60%なら仕方がないですよ。でも最近の酵母の中にはイソアミルアルコールを出さない酵母もあり、高級アルコールの香りが抑えられるだけでなく、イソアミル系の酵母でも酢酸イソアミルの生成が抑えられるそうです。 

また、香りの話になり、金賞受賞酒はカプロン酸エチルの香りが好まれていて、確かにカプの香りはパット立ちあがるのが良いのかもしれないけど、そこに酢酸イソアミルがあるとふわっと広がるので、うまくバランスさせるとなかなか良いと思うし、最近の金賞受賞の香りも徐々に変化していると思うと言われました。その通りだと思いました。 

わし尾の酒が今後どのように変わっていくか楽しみですね。 

2.新政酒造  代表取締役 佐藤 祐輔 

僕とのツーショットの写真しかないので、お許しください。 

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新政酒造のお話はあえて紹介しません。それを知りたい人は下記のURLを見てください。http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-1586.html 

今回は祐輔さんと雑談して面白かったお話だけ紹介します。 

<火入れについて> 

最近火入れの研究をしているのですねとお聞きすると、火入れは奥が深いのです。蔵によってお酒の搾り方も違うので、火入れ前のお酒の状態によってベストな方法があり、どのお酒にもあう火入れの方法はないそうです。例えば炭酸ガスが多く含まれるお酒はガスが抜けないように栓をして火入れをすべきだし、ガスが抜けたお酒を火入れする場合は栓を開けて火入れをし、温度が上がってきて液面が瓶のトップに来た時に栓をすれば、冷えたときにその部分が真空になり酸化が防げるそうです。要は火入れの前の状態の溶存酸素の量やガスの量などを調べて、最適な方法を決めるべきだそうです。 

<生酛つくりについて> 

最近新政の酒造りでは酒母は全量生酛つくりをしているのを知っている方は多いと思います。新政の生酛つくりは従来の櫂で擦りつぶす方法ではなく、古式生酛法を現代技術で再構築して実現した新方法です。これについては下記のURLで紹介しましたのでご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-d8e7.html
 

この方法を簡単に言えば、ポリエチレンの袋に米と麹と水を入れて時間をかけて米を溶かす方法です。この方法を使って酒母を作っているのですが、新政ではすべて40%精米のお米を使って酒母を作っていることを知っている人は少ないのではないでしょうか。これにはちゃんとした理由があることを教えていただきました。

昔の酒造りはお米の精米度が低かったので、米が溶けるのに時間がかかったようです。この状態では、櫂で酛摺しても溶けが悪くてグルコース濃度が低いので、硝酸還元菌によって亜硝酸反応を起こすので良いそうですが、精米度が40%くらいになると擦りを入れるとすぐ溶けてグルコース濃度が上がって、硝酸還元菌が働かなくそうです。それで、色々研究をした結果、精米度が40%の時は3日間ぐらいじっとして、ゆっくり溶かすことによって、初期のグルコース濃度14%以下に抑える方法を見つけたそうです。亜硝酸反応が起きた後は櫂をいれてもよく、グルコース濃度を26%以上にするそうで、いろいろ失敗を重ねて、この方法を見つけたそうです。 

ですから、精米度の違うお米を使うと、精米違いにによって櫂の入れ方を変えなければいけないことになり、管理が非常に大変になるので、新政ではすべてのお酒の酒母は40%精米で行うことにしたと思われます。僕は今までは酒母だけは精米した米を使った方が、良いお酒ができるのかなと思っていましたが、違う理由があったのですね。 

<グルコース濃度について> 

当日はNO6 R-typeとコスモスラベルの純米酒の改良信交40%を飲んだのですが、同じ6号酵母でも全く味わいの違うお酒でしたので、その理由をお聞きしました。NO6は家庭で飲んでもらうお酒なので、グルコース濃度を0.5ぐらいに抑えて飲みやすくしているのですが、コスモスは高級酒なので、グルコース濃度を1.3にして甘さを出してまろやかにしているそうです。最近の金賞受賞酒はグルコース濃度を3から3.5にしないと賞が取れないとのことでした。グルコース濃度はどうやって制御するのかとお聞きしたら、麹を作る時に酵素の力価を制御するつくりをしているそうです。 

<日本の農業について> 

ここのブースの裏ではのんびりお弁当を食べたりする場所があったので、そこで祐輔さんにこれからやりたいことを聞いてみました。 

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今祐輔さんが気になっているのは、日本の農業だそうです。今のお米の値段は国民の税金を使って値段をさげているが、そんな補助金がなくても農業が成り立つようにしなければ、その上に載っている日本酒業界は危ういと思っているようです。 

それならば、酒造好適米を高く買って上げれば、酒米を作っている農家はハピーになるのではと申し上げたら、今の酒米の価格は1表1.6万円から2万円ですが、それでは農業は成り立たないので 、価格はその倍くらいにしてあげる必要があるそうです。それを全国でやるのは簡単なことではなく、国の農業政策に深くかかわるところなので、急には変わらない難しい問題ですね。 

それでは、その中で新政はどうしていくのですかとお聞きしたら、自分の王国を作りたいそうです。具体的には新政に酒米を供給する農家には高いお米代を支払えるように、付加価値の高い、高くても売れるお酒を造る努力をして、農業と酒造りが一体となった夢の王国を作りたいそうです。そのためには酒の生産量を落としても他と差別化したお酒造りを目指すという考えのようです。この一つが全量生酛つくりということなのでしょう。この考え方で日本酒の将来が発展していくと良いけど、すぐにはできないのでその夢を目指して頑張るしかないですよね・・・・・

3.出羽桜酒造 代表取締役 代理:仲野社長の娘さん 

Dsc_0007出羽桜の代表取締役の仲野益美さんは東京農大の出身で母校の客員教授を務めるほか東京大学大学院農学生命科学研究科の非常勤講師をされております。 

社長が用事で来れないの、代わりに娘さんが来られたのですが、学習院大学卒で、現在は営業のお手伝いをしているそうです。 

ここで飲んだお酒はML発酵の特別純米でした。ML発酵とはマロラティック発酵でワインの世界で使われています。リンゴ酸を乳酸に変えてまろやかな酸にする発酵で、山形県の試験所が日本酒向けに開発したもので、リンゴ酸のよく出る酵母を使って、そのリンゴ酸を乳酸に変えて飲みやすい酸にしたようです。飲んでみると甘酸っぱいけど飲みやすいお酒でした。 

4.金晶水酒造 常務取締役  斎藤美幸

Dsc_0016金水晶酒造は福島市に唯一ある蔵で生産高270石くらいの小さな蔵です。斎藤美幸さんはその蔵の娘さんで、東京大学に文化2類で入学されて教養学部を卒業されましたが、今までは蔵の仕事はせず、東京でお住まいだったそうです。昨年急に蔵の後を継ぐことになり、蔵に戻ったそうです。ですから家族を東京に残したまま逆単身赴任の生活だそうです。 

蔵には福島県の技能功労者にも選ばれた凄腕の杜氏の佐藤政一さんがおられて、最近まで8年連続で金賞をとっている実績があります。美幸さんは杜氏見習いとして現在酒造りを猛勉強しているところだそうです。 

 

108006486金水晶の名前は近くにある金山と清水の水晶沢からとった名前だそうですが、美幸さんが蔵に戻ってやった仕事に新しいラベルの作製があります。 

金水晶の純米吟醸しずく絞りは福島県のオリジナルな酒米と酵母で造った袋搾りという新酒ですが、金水晶の漢字のイメージを形にしたデザインにしたそうです。これは女性ならではの感覚のユニークなものだと思いました。佐藤祐輔さんにも見てもらいましたが、とてもいいと感心していました。 

飲んでみるとキレイ系のお酒で、ちょっと甘めですが、味はしっかりして面白いお酒でした。

 

 

5.大七酒造 代表取締役 太田 英晴 

Dsc_0008大七酒造は二本松にある生産高5000石の老舗の蔵で、太田さんはその10代目の当主です。初めてお会いしたのですが、穏やかな口調と上品な物腰はエリート教授のような方でした。 

若いころはロシア文学を好む青年でしたが、大学は法曹界や国家公務員になる道の法学部を選びましたが、最後には蔵に戻ることを決意したようです。 

蔵に戻って一番力を入れたのは生酛の酒質を上げることに取り組むことだったそうです。この日は純米生酛を飲みましたが、とてもあたりが柔らかくしかも味わいのあるお酒でした。 

生酛作りであって、どのお酒も熟成して出しているにもかかわらず、色がついていないし、熟成の香りがあまりしないのは、うまく活性炭を使っているからだと思いますが、そのことをお聞きしたら否定も肯定もされませんでしたので、間違いないと思います。活性炭を使ってもお酒の良さを引き出せる技術は素晴らしいと思います 

6.下越酒造 代表取締役 佐藤 俊一

Dsc_0009下越酒造といってもどんな蔵だか知らない人も多いと思いますが、新潟県の麒麟ですと言えば知っている人も多いと思います。その麒麟の社長兼杜氏をされているのが佐藤俊一さんです 。 

俊一さんの父上は国税局鑑定官でしたが、俊一さんも東大を卒業後国税局鑑定官になられて、親子2代国税局鑑定官というだけでなく、農学博士でもあります。 

佐藤さんが最初に興味を持ったのは出品酒クラスの大吟醸酒を低温で熟成させる淡熟タイプの熟成酒の研究でしたが、その後長期熟成研究会で研鑽され、最近では山廃つくりの純米原酒を常温で熟成させる濃塾タイプの熟成酒も製造しています。 

酒類総合研究所および東京農業大学との共同プロジェクトとして日本酒100年貯蔵プロジェクトがあり、それに蔵のお酒を出品してるそうですが、自分は飲めないけど、100年後には自分のお酒はすごくよくなっているのではとほくそ笑んでいるそうです。

.惣誉酒造 代表取締役 河野 遵(経済学部1983年卒)
                   (代理:河野純子)
 

Dsc_0015惣誉酒造は生産高3000石もある栃木県では大きな蔵です。 河野遵さんは経済学部を出て松下政経塾に行ったほどの方です。今回は用事があって、奥様の河野純子さんがおいでになりました。とてもかわいい感じの方ですね。 後で聞いたのですが奥様も東京大学卒で工学部建築工学科だそうです。

お酒の造りのことはあまり詳しくないようですが(これは僕も思い違いかもしれません)、純米70生原酒をいただきました。兵庫県の特A地区の山田錦を70%しか磨かないというのはある意味では大変贅沢なお酒といえます。 

飲んでみてびっくり。70%磨きとは思えない奇麗さで、高級アルコールの香りが殆どありません。特Aの山田錦は蛋白質が少ないのか、発酵の仕方が違うのか どうしてなのか聞いてみたいものです。 

8.武重本家酒造 代表取締役 武重 有正

Dsc_0010武重本家酒造は佐久市にある生産高3000石の老舗の蔵です。武重さんは工学部精密工学科を卒業してソフト関係のベンチャー企業を立ち上げている根っからの技術屋さんですが、蔵元になる人がベンチャー会社を立ち上げ、その社長をされたということはあまり聞いたことがありませんね。それだけの力量のある方なのでしょう。 

その会社を閉じたのかどうかは知りませんが、蔵に戻られてからは蔵で培われていた生酛つくりの伝承に力を入れたそうです。 

今回は大吟醸おり酒「白珠」を飲ませていただきました。これは生酛つくりではなく、山田錦39%精米の出品酒レベルの大吟醸のおり絡みの部分のお酒だそうです。香りが高く、カプやイソの香りがしたので、酵母をお聞きしたら、M310と1801のブレンドだそうです。まろやかでなおかつ味の広がりもありいいお酒でした。 

この会には息子さんが来られていました。息子さんは応用物理工学科の4年生だそうです。親子そろって東大出身の蔵はここだけではないでしょうか。 良いDNAがあるのでしょう。

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 9.長龍酒造 代表取締役 飯田豊彦

Dsc_0013現在は奈良県にある蔵ですが、もともと奈良県にあった小さな蔵(本家)の息子が分家の形で大阪に酒問屋を作ったのが始まりだそうです。その後現在に至るまでの経緯はとても複雑で簡単には説明できないぐらいですが簡単にまとめてみます。

大阪で独立して店を構えたのが1923年、1963年に大阪に八尾市にお酒のビン詰めを行う長龍酒造を作り、その後1979年に奈良県の広陵町にお酒を醸造する広陵酒造を作ります。その後1993年に長龍酒造と広陵酒造を合併し長龍酒造(ちょうりょう)ができ、今日に至っていますが、その間酒造会社だけでなく十数の関連会社を作り飯田グループができていて、飯田豊彦さんはその主な会社の代表取締役をしているようです。

飯田さんは経済学部出身ですが、蔵本会の参加は今回が初めてだそうです。

飲んだお酒は愛知県で作られ奈良県だけで登録された酒造好適米の露葉風で「山乃かみ酵母」で作ったお酒です。日本酒ー7、酸度2.9のお酒ですが、ワイン的な酸味ですが、あまり棘がないけど、ゆっくり後味が残る面白いお酒でした。

この蔵がどんなお酒を造っている蔵かは今回の試飲だけではわかりませんでしたが、ホームページはしっかりしているし、造りは手つくりの部分と最新のコーンピューター制御の部分がうまく使われているようなので、一度見学してみたいと思いました。 飯田さんお願いいたします

10.㈱喜多屋 代表取締役 木下浩太郎
                  (代理:田中利忠)

今回は従業員の結婚式があり社長が参加されずに、営業の田中さんが見えましたが写真を撮りそこないましたので、ここでの紹介は致しません。喜多屋さんの紹介はまたの機会にいたします。

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