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« 結城酒造の嫁さん杜氏は天才かもしれません? | トップページ | インフィニット日本酒中級コース第9回(化学的根拠) »

2016年9月23日 (金)

黒龍酒造の杜氏の畑山さんはすごい人でした

黒龍酒造の杜氏の畑山浩さんが講演する会を僕の日本酒の先生の菅田さんが企画されましたので参加してきました。畑山さんが一般の皆様に講演することは今までありませんでしたが、菅田さんが水野社長に頼み込んで実現したものです。僕は先生から畑山さんはお酒の造りを化学的見地からきちっと把握して酒造りをしている杜氏で、この世界では抜きんでた人だと常々言われていたものですから、どんな方だろうと思い参加したものです。

場所は福井県のアンテナショップのある「ふくい南青山291」で、司会はフリーアナウンサーで菅田先生のスクールの生徒である阿部ちあさんが行いました。講演内容は「黒龍酒造が考える良い酒質とは」という題目で、阿部さんが質問して畑山さんが答えるトークショウの形で進められましたが、彼のの生い立ちから始まって、酒造りの細部のところまでわたっていましたので、お話の全体を通して、彼がどんな姿勢で、どんな酒造りを目指しているかを知ってもらえるように、僕なりにまとめてみることにしました。

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その前に黒龍酒造について触れておきます。 

黒龍酒造は曹洞宗の大本山の永平寺から南に10km下った永平寺町の中の松岡の地にあります。松岡は現在人口1万人ほどの小さなまちですが、かっては16の蔵元が軒を連ねた銘醸地だったそうです。 

創業は江戸時代の文化元年の1804年ですから、すでに200年以上の歴史を持つ老舗の蔵です。蔵の近くを流れる九頭竜川は福井県最大の河川であり、その伏流水が蔵の仕込み水として使われています。黒龍という名前は九頭竜川の古い名前の暴れ川の「黒龍川」からきているそうです。荒々しい名前だったのですね。 

黒龍は一貫して手作りの酒造りを追及して昭和50年に業界に先駆けて大吟醸の市販化に取り組み、永年吟醸酒の普及に努めてきた蔵です。ですから、35%精米の大吟醸レベルの石田屋、仁左衛門、しずく、火いら寿など次々と高級なお酒を世に出して有名になりましたが、普通酒の逸品(1升1900円弱)など安価で品質の高いお酒を出していることは意外に知られていません。 

僕も菅田先生から黒龍の品質の素晴らしさを教えてもらうまでは、黒龍は貴婦人のような薫り高い綺麗な高級酒ばかりを作っている蔵だとばかり思っていまして、逸品を飲んでこの蔵の奥の深さを知った思いでした。 

黒龍は蔵の一般見学はお断りしているので、蔵の内部を知るチャンスはほとんどないのですが、珍しく蔵の内部の様子をブログに書いた記事をみつけましたのでご紹介します。 

http://ameblo.jp/esaka-sakatomo/entry-11787378321.html 

この記事を見る限り、手造りではあるけど、設備投資はしっかりしており手抜きのない環境が出来上がっているように見えますね。ここでどんな酒造りがされているのでしょうか。早速講演会の紹介に入ります

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<畑村さんの生い立ち> 

畑山さんは北海道の最南端にある松前町でそだち、北海道松前高校を卒業後富山大学の文化人類学で日本の伝統産業に興味を持ち、日本各地の酒蔵を訪問しインタビュー取材をしていたそうです。 

日本酒の酒造りは歴史は長いけど、社会の発展がこれほど進んでいる割には遅れていてこのままでは取り残される恐れがある業界と感じていたそうで、これからどうしていくべきかを研究するために蔵を訪問したそうです。 

<入社のきっかけ> 

黒龍を取材に行ったとき今の社長と亡くなられた会長に奥の座敷に通されて、色々質問されたので緊張したそうですが、社長が今までの杜氏制度ではなく、会社が雇った社員が酒造りをするようにならないとだめだと熱く語られたことに自分の思いと同じだと感動したそうです。 

卒業後、黒龍に入った理由は酒を造りたいという思いよりは黒龍の考え方を実現して日本酒業界の将来に役立てたいと思ったからだそうです。 

<入社して学んだこと> 

入社すると最初から造り担当になって、現在萬歳楽の杜氏をしている能登杜氏の家さんが杜氏としてきたばかりで、その下について約7年間教わったそうです。そこで学んだことは自分の力を100%出し切って仕事をすることだったそうです。今までは疲れたら休まないと良い仕事はできないと思っていたのだですが、家さんの仕事についていくためには、100%の力を発揮しないと出来なかったのが本音ですが、1か月も続けるとそれが気持ちよく感じたそうです。家に帰ってゆっくりする時間は取れなかったのは、気持ちが緩まなかったので、自分としては良かったと思ったそうです。 

反省点としては自分の家族には大変負担をかけたのは事実で、このことがこれからの酒造りの業界をどうしていくかとか、これからの造り手の環境をどうしていくかを考える原点になったそうです。 

杜氏から最初に言われたことは酒造りを始めて5年で杜氏になれなかったら、向いていないと思ってやめなさいいわれたそうですが、実際に杜氏になったのは7年後だったそうです。 

<杜氏になってから気を付けていたこと> 

2002年で杜氏になってまず考えたことは水野社長の大方針であった社員だけで酒造りができる黒龍独自の仕組みを作り上げことでした。、杜氏になったからといってすべてが自分一人で出来るわけでないので、一緒に働く若い人とどうやってチームワークを作っていくかとか,年配の蔵人にはどんな役割をしてもらい今まで以上に貢献してもらうかをはじめの5年くらいは一所懸命やったそうです。 

<黒龍のお酒造りのコンセプト> 

お酒単体でうまいだけではだめだで、お酒を絞って瓶に詰めた段階の酒質ではなく、客さんがお酒を口に瞬間にどんな酒質になっているかを考えて造っていることそうです。

<それをどのように設計しているのか> 

まず何を作るかをわかっていなければならないので、社長や営業や杜氏などで黒龍の各銘柄のお酒ごとに毎年その酒質を見直してどんなお酒にするかを決めていきます。新しいお酒を造るときも同じです。 

これが決まったら、最初にお酒のイメージを絵に書いて(お酒の雰囲気を色とか形のイメージで表すようです)感覚を決めたら、次に成分、香り、酸などを具体的にPPM単位に数値化して目標を決めるそうです。 

<お米について> 

扱っているお米は兵庫の山田錦と地元の五百万石がほとんどで、7割が五百万石で、3割が山田錦だそうです。今年から北海道産の吟風を使い始めたそうです。二つのお米だけで約30種類の銘柄のお酒を造っているのですが、お米の特性を考え、目的の味わいに合わせて使っているようです。 

<麹造りについて> 

基本的はいかに中心まで破精こませるかが大切で、山田錦のあう麹造り、五百万石に合う麹造り、純米酒に合う麹造りを考えて造っているそうです。 

麹室は入社時は3部屋でしたが、徐々に増えて今では9部屋あるそうで、麹造りの合わせて使っているそうです 

<酵母について> 

酵母はストックしておる酵母は30~50種類ありますが、そのうちの5-6種類の酵母を使っているそうですが、良い醪ができた時はその酵母を採取培養して保存することもしてるそうです。 

酵母を培養していくと変異して使えなくなることもあるので、結果的に使っている酵母は協会酵母のDNAに近いものになっているそうです。 

使用している酵母の大部分はイソアミル系の香りを出す酵母で元の酵母は7号、9号、14号がベースになっていて、必要に応じてカプロン酸系の香りだす酵母も使っているそうです。お酒の銘柄によってそれに合わせた酵母を使用していていますが、同じ系統の酵母でもちょっと違う酵母もあるのでお客様の要望を聞きながら少し変えることもあるようです。また、2種類の酵母のお酒を別々に作ってブレンドすることもあるそうです。 

<醪造りについて> 

当社は吟醸仕込みが多いのですが、その中でも仕込みの小さい大吟醸と比較的大きい吟醸造りで別々に半仕舞いにして、毎日1本止めていくようにしているそうです。現在の生産量は6000石ですが、入社した時は2000石弱だったそうです。生産量は3倍になったけれども、その時大切なことは品質を落とさないことです。規模が大きくなった時に規模の小さいときと同じ造りをしていたのでは品質は落ちてくるので、その規模に合せた造りをして品質を上げる努力をしているそうです。 

具体的には、出来上がったお酒のきめ細かさとか滑らかさを出すためにはいかに醪の細やかな管理が必要となります。そのためには醪の温度を0.1℃の単位で制御しているそうです。そんなに細かく管理しても具体的な醪の数値が変わるわけではないと思うけど、これを手を抜くと結果的に大きな誤差となって表れるそうです。 

・・・・僕の私見ですが、温度計がみているのはタンク内の一部でしかないので、他の場所の温度はもっと違っているかもしれないと思われます。ですから、監視している温度が仮に0.2℃変わったとしたら、他の温度が0.2℃以上に振れて、結果的に狙った品質になるかもしれないということではないでしょうか。どうして0.1℃なのかというと温度計の精度の限界なのかもしれませんね。・・・・ 

家杜氏がよく言われたのは、お酒造りは人間が100%コントロールすることは出きないのだから、人間ができることは100%実行しようということで、醪の温度管理だけでなく、蔵内の清掃などすべてのことをできる限りやるように心がけているそうです。 

<火入れについて> 

最近生酒が人気ですが、生酒でも品質が変わらなければいいのですが、お客様の口に入る時の品質を考えると、火入れに比べると生酒は生ひねしやすいのは確かなので、黒龍では原則火入れをしているそうです。

火入れをしても火入れ臭がするとか、アルコールくさいというのでは意味がないので、どういう火入れをするかを研究しているそうで、特に火入れ前の生酒の期間とか仕入れした後の冷却方法などには研究を重ねて、どんどん変えてきているそうです。 

<アルコール添加について> 

アルコール添加については昔はいろいろな試験をしていましたが、最近はほぼ安定して気にかけないで同じやり方にしているそうですが、大切なことはアルコールを増量するつもりでやってはいけないことです。アルコール度数の計算は簡単ですが、醪の中のアミノ酸や酸や香りを踏まえて、アルコールを入れると各成分がどう変化するかを考えてアルコール添加をする必要があるそうです。 

純米酒であるべきかどうかは別にして、日本酒の作りの問題点の一つにアルコール添加と乳酸添加があると思うので、今後の課題として考えていくそうです。 

<熟成について> 

生酒の熟成はダイナミックに起こる変化で、温度に敏感で、低い温度でも品質変化が起きてしまいます。グルコースが増えてうまみが出る良い点もあるけど、イソバレルアルデヒドが増えて生ひねする欠点があります。それに対して火入れの熟成はお酒の成分がアルコールと反応したり、酸素と結合したり離れたりする熟成で、比較的穏やかな変化です。生酒の熟成はコントロールが難しいと考えているので、現在は生酒は熟成期間を短くするようにしています。ですから、火入れしてからの熟成を基本にしているそうです。 

熟成の本当のことはまだわかっていないことが多く、常温ではアミノカルボニル反応が起きやすく熟成香が出やすいことは知られていますし、低温では熟成のスピードが遅くなることはわかっているがどんな成分が変化して何になるかという細かいことはわかっていないのが現状です。 

今まではこのお酒よって温度と熟成期間を決めて熟成させてきましたが、今後はどうやって熟成させればどんな成分が何にどのくらい変化するかを制御できるような熟成ができるように取り組んでいきたいそうです。 

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<これから取り組んでいきたいこと> 

・ 地元の人たちとのつながりを強くしていきたい。そして黒龍がどんなお酒を造っているかをもっと知ってもらいたい。(今までは地元より全国を見ていたからではないかな) 

・ お酒造りをもっと進化させたい。例えば大吟醸造りは進歩したとはいえ、基本的には同じ作り方で来たと思っています。今までは無理だったことも本当はできるのではということを取り入れた全く新しい形の作りをしていきたい。今これを実現するための仕組み造りを考えているそうです。 

・ 杜氏制度をやめて社員だけでお酒造りをしていますが、社員でやるからこそできる良い酒造りを目指していきたいそれが協会全体の改善につながるといいと思っています。

。酒造りは単にものつくりではなく非常にメンタルな仕事なので、もっと五感を生かして人間性があるからこそ生まれる酒造りを目指したい。そして将来は子供たちが積極的に酒造りをやりたいという思いになるような仕事にしていきい。

<日本酒業界に対する提言 >

現在は多様化してお酒が美味しくなってきたといわれていますが、同じような方お酒になる傾向があるようにおもえるので、そのままでは日本酒業界の将来性はないはないと思う。これからはお客様が心から望むお酒に応える形で、本当の意味で多様化した酒を提供できる業界にしていきたい。

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いつも楽しく拝見しております。畑山さんの講演なんてのがあったんですね~。自分も聞きたかった!。途中、畑山さんの苗字が畑村さんになってます。

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