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2016年8月28日 (日)

山本の酒は確かに良くなってきていますね

7月に五反田の野崎屋で山本合名会社の社長兼杜氏の山本友文さんをお呼びして「山本を楽しむ会」が開かれましたので、参加してきました。この蔵は白瀑(しらたき)というお酒を長年造ってきた蔵ですが、友文さんが杜氏になって造り始めたのが山本シリーズで、初めて造ったお酒を近所の酒屋に持っていたら、白瀑ではない名前にしたほうがいいということで、つけた名前だそうです。しらたきと呼んでくれる人はあまりいないし、山本のほうが判りやすいということで、今では全生産量の7割が山本だそうです。 

まず蔵の紹介をしたいと思います。山本合名会社は明治34年に創業した蔵で、秋田県のはたはた漁で有名な八峰町にあります。この地は能代から約16KMほど北に行った日本海と白神山地に挟まれたところで、蔵は海岸までは300mほど、白神山地の麓までは東に約1kmほどの所にあります。この白神山地の麓に白神神社があり、その裏山に高さ17mの白瀑があることから白瀑という命名されたそうです。 

この蔵の特徴の一つは仕込み水にあります。蔵が海岸の近くにあるので、地下水を使うことは難しく、蔵から3kmも離れた白神山地の中腹から湧き出る天然水を蔵まで引き込んで使っているそうです。この工事は村民総出で手堀りをして水道管を引いたというから、その当時の蔵の勢いが想像できますね。しかも湧き水が出る場所と蔵のと標高差は100m(水圧10K)もあるので、蔵で水を止めると水圧で水道管が壊れるので、水は垂れ流しているそうです。この水は軟水で柔らかくお酒造りに適しているとのことでした。 

大正時代に入って生産量が増えて、昭和40年には全国に先駆けて大吟醸の出荷を開始し、東京や神戸の料亭に提供するするほど勢いがあったそうですが、昭和の後半から日本酒業界の衰退に巻き込まれ、生産量も最盛期の1/10にもなったようです。そんな状態の時に友文さんは蔵に戻る決意をしたようです。 

まず、山本友文社長をご紹介します。下の写真はお酒の説明で熱弁をされているところです。蔵に戻って14年、現在6代目社長で、杜氏になって9年、8造をしたばかりの46歳のベテランの蔵人と言えます。 

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友文さんはアメリカのミシガン州の大学で機械工学を勉強した後、東京で音楽プロダクションで働く仕事をされていました。きっと音楽が好きだったのでしょうね。蔵に行くとビートルズのBGMが流れているそうですから、そんな片鱗が見えますね。親からの要請で32歳の時に蔵に戻ったそうですが、この時は経営的に苦しく破産寸前だったそうです。 

蔵に戻ってすぐやったことは営業強化で、全国各地の地酒専門店に売り込みをしましたが、「この程度の酒質では家ではとても扱えない」という返事ばかりだったそうです。店主が勧めるお酒を購入し、どんなお酒なら売れるのかを勉強した結果、やみくもに売るのではなく自信をもって売り込める酒に限定して販売する方向に舵を切ることにしました。でもいい酒はなかなかできない状態だったので「最後は自分で酒を造ってみよう。それでだめなら諦めよう」決断したそうです。 

そこで、従来からの杜氏制をやめて、自ら製造責任者兼杜氏になること決めたのが9年前で、今年で8造りを経験したことになります。まず、蔵の個性は何かを考え、醸造用アルコールを添加する酒をやめて純米酒だけにすることと、華やかな香りがするカプロン酸エチル系の酵母ではなく、シックな香りが出る酢酸イソアミル系の酵を中心に据えることにしたそうです。幸いにも秋田県には総合食品研究センター内に醸造試験場酒類グループという酒造りの専門組織があり、そこの先生に色々と相談させていただいた結果、ベテラン杜氏がいない素人集団でも、何とか酒造りができるようになったそうです。 

そんな折、同じように自ら酒造りを行っている蔵元5人と技術交流を目的とした「NEXT5」を結成し、お互いに切磋琢磨する環境ができ、ますます酒造りの腕が磨かれることになったようで、今では自ら酒造りを始めた9年前の3倍以上の生産量の約1400石になっているようです。 

ちょっと面白い話を耳にしましたので紹介します。山本さんは麹造りが味を決めるポイントだとよくいわれていますが、そのためには麹室をいつも清潔にしておく必要があると考えています。ですから麹室には、お掃除ロボットのルンバと床拭きロボットのブラーバを入れているようです。さらにオゾン水生成機を購入して手洗いや口ゆすぎの洗浄用の水として使っているそうです。さすが、機械屋さんですね。いいものはどんどん導入するみたいだけど、趣味的なところもあるのではないかな。 

また、酒造りは米つくりからを徹底させ、蔵の仕込み水が100%流れ込む田圃で、自ら酒米を栽培することもしているようで、そのために蔵人が朝晩田圃まで行って。仕込み水が夜だけ田圃に流れるように切り替え作業をするそうです。仕込み水で酒米を作る例は他にはないようですが、そこまでやる価値があるのかな・・・・。 

では次に飲んだお酒の紹介をしますが、その前にこの会を開催した野崎屋の紹介をします。野崎屋は池袋の酒菜家をはじめとする野崎酒店グループの中では去年開店した一番新しい居酒屋で、五反田駅西口から歩いて5分のところにあります。初めていく時はちょっとわかりにくいので、インターネットでお店を検索するか、電話してみてください。

03-3779-5730 

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店長は本庄一紀さんです。本庄さんは利き酒師で調理師の免許を持っているので、お酒もお料理もわかる方です、下の写真の青いシャツを着て、マイクを握っています。 

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左の橙色のシャツを着ておられる方は野崎グループの総店長の野崎紀治さんです。 

それでは早速お酒を紹介しましょう。まずはリストを見てください。本日は10種類の山本と最後に隠し酒が1本でました 

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この会ではお料理にも大変気を使っていただいたようで、秋田の様々な貴重な材料を使った心あるお料理を提供していただきましたが、いただいたメニュをなくしてしまいましたので、あまり紹介出来ないことをお許しください。

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これが最初に出た前菜ですが、左の上には秋田県産のジュンサイが出されました。山本さんのお話ではこのような小ぶりのジュンサイは高級品でめったに食べられないそうです。

お酒をご紹介するにあたり、原料米と精米度は当然わからないと意味ないし、香りと味を決めるのは酵母なので、それはしっかり紹介したいと思っていたのですが、会の初めに酵母の質問は受けないような発言があり、がっかりしていていました。でも実際は本人が自分で紹介していましたので、わかったものについては書いておきます。

1.ドキドキ 山本 純米吟醸
 

Dsc_0294_2酒こまち55%精米、日本酒度+2、酸度3.2、alc15%の純米吟醸で、7月限定発売の夏酒です。夏でもぐいぐい飲めるようにアルコール度数を落として、リンゴ酸を出す特殊な酵を使って、軽くて爽やかな酸があるのが特徴です。 

確かに酸っぱいけど氷を入れて夏にぐいーと飲むには良いおさけだと思いました。 

お酒の名前がドキドキというのはどうしてかな。初キッスのイメージらしいのですが、僕のようなお爺さんにはわからないのかも。  

2.山本 ピュアブラック 純米吟醸 生原酒 

Dsc_0298_2酒こまち麹米50%精米、掛米55%精米、日本酒度+2、酸度1.8、alc16%の純米吟醸で、山本さんが杜氏になって最初に作った酒だそうです。当初は薫り高い酵母を使っていたようですが、現在はイソアミル系の香りがする秋田酵母12号を使っているそうです。酒質としては少し辛めで酸度を高めにして切れを出しているそうです。 

飲んでみるとバナナ系の香りがしますがそんなに強くはなく、口に含んだ後、すうっと消えていくお酒でした。この味にするには酵母だけでなく麹造りがポイントだそうです。 

なお生原酒は升新商店だけのオリジナルブランドだそうです。 


3.山本 ミッドナイトブルー 純米吟醸 1回火入
 

Dsc_0299酒こまち麹米50%精米、掛米55%精米、日本酒度+1、酸度1.6、alc16%の純米吟醸です。 

このお酒はピュアブラックとつくりはほぼ同じなのですが、酵母をこまち酵母R-5に変えて、香りを少し乗せて酸を抑えぎみにしたお酒だそうです。 

確かに飲んでみるときれはピュアブラックと同じくらいですが、酸が嫌みのない軽い酸なので、あまり強く感じません。寿司や向きといわれるのはよくわかります。 


4.山本 試験醸造 純米大吟醸 生原酒
 

Dsc_0301試験醸造は毎年何種類か必ずやるそうで、今年も4種類やったそうで、そのうちの1本がこれだそうです。 

三郷錦35%精米、日本酒度+1、酸度1.7、alc15%の純米大吟醸で酵母は秋田県で最近開発したUT-2を使っています。UT-2は長時間冷蔵保存しても搾りだての味をそのまま保持することができる酵母だそうで、具体的には生ひねの原因となっているイソアミルアルコールの生成をできるだけ抑える酵母だそうです。

飲んでみると後味に綺麗な酸味を感じて、余韻を残して消えていくバランスの良いお酒でした。UT-2の酵母はなかなかよさそうですね。4合瓶で4400円もするお酒ですが、一度飲む価値はあると思います。  

5.山本 スパークリング 純米吟醸生 

Dsc_0307このお酒はピュアブラックの生酒を粗目のフィルターでろ過したままビン詰めし、瓶に中で2次発酵させると、ビン内の糖分が酵母に食べられ、アルコールと炭酸ガスになり、ほとんど糖分にない発泡酒になるそうです。2次発酵前の日本酒度はー1ぐらいでしたが、発酵後の日本酒度は+8~+11くらいになるそうです。 

お米は酒こまちで日本酒度+11、酸度1.8、acl14%です。 

このお酒は単独で飲むと、ちょっと辛めの発泡酒という感じで物足りないのですが、お肉料理の肉の油を切ってくれるので、ぴったりです。この会でもローストビーフに合わせて出てきました。 

このローストビーフは山本酒造の酒粕を食べて育った白神牛でとても珍しい貴重な和牛だそうで、この会のためにわざわざ取り寄せたそうです。 

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6.山本 白 純米吟醸 1回火入 

Dsc_0304このお酒は山本さんが持っている田圃で、無農薬、無化学肥料で山本さん自らが育てた酒こまちだけで仕込んだ純米酒です。 

このお米つくりは手がかかっているので、米単価は非常に高くなるし、量が少ないので、米つくりに参加した酒屋さんだけに取り扱ってもらっているそうです。全国で10店、秋田でも5店だけで、価格は1升4000円もしますが、原価割れの価格なのでお買い得だそうです。 

酒質としては、酒こまち58%精米以外の情報は全く書いていませんが、飲んでみるとピュアブラックに近いバランスでしたが、後味にざらつきが残るのと穀物臭が感じがしたのは精米度のせいかもしれません。 

 

7.山本 サンシャインイエロー 山廃純米吟醸 

Dsc_0311一般に山廃仕込みのお酒はちょっと熟成香がして、味がしっかりして独特の酸味があり、お燗に合う酒というイメージがあるのを逆手に取って、夏の時期に飲んでおいしい、お燗ではなく冷やして飲む山廃を目指したものだそうです 

この会では酒質が紹介されていませんでしたが、ほかの店の情報によりますと、酒こまち55%精米、日本酒度+4、酸度2.3、alc15.5%で酵母は蔵付き培養酵母のセクスイ山本酵母だそうです。 

秋田県では秋田県の13の蔵付き酵母を培養して公開しましたが、この酵母は分離された蔵でしか使うことはできませんが、山本の蔵付き酵母は4番酵母で、山本さんがセクスイ酵母と名付けたそうです。 

飲んでみると落ち着いた香りとすっきりとした酸味を感じる山廃らしくないお酒で、夏ロックで飲んでもいいかなと思いました。 

8.山本 金賞受賞酒 純米大吟醸 

Dsc_0314全国新酒鑑評会で金賞をとっているお酒のほとんどが、山田錦で、酵母が18号系かM310で、アルコール添のものが多いので、山本さんは金賞を狙うのであれば、その条件でないもので取りたいと考えていました。 

平成24BYでは米は秋田こまち、酵母は秋田県の開発した「こまちR-5」の純米大吟醸で見事金賞をとりました。その後26BYでは今や秋田ではあまり使わなくなったクラシック酵母のAK-1で出品し見事金賞をとりました。27BYでは新政の6号酵母(6年前に新政からもらったものを自家培養したもの)を使ってまたも金賞を受賞して関係者を驚かせています。一番心配だったのは新政の杜氏の古関さんだったのではないでしょか。山本さんにはプレッシャーはなかったかもしれませんが、古関さんは新政が金賞を逃して山本だ受賞したらと、気が縮む思いだったと思われます。でも新政も金賞が取れてよかったです。 

酒質については紹介されませんでしたが、ほかの店の情報によると、お米は酒こまち40%精米、日本酒度+1、酸度1.6、alc15.5%だそうです。飲んでみると、落ち着いた吟醸香で、爽やかできれいな味わいですが、軽い酸味とあわさった、格上のお酒でしたが、新政の6号酵母とは違う味わいでした。同じ酵母でも造りで変わるものですね。 

今年は6号酵母の純米酒で金賞をとり、秋田県の他の蔵も山本が取れるならば俺たちも純米でチャレンジしようという蔵が増えたそうです。来年は7号酵母でチャレンジするつもりだそうです。どうなるのか楽しみですね・・・・・・・

9.山本 和韻 純米吟醸 生原酒
 

G_osake6121このお酒は蔵元と一緒に酒を造ろうという企画のお酒で、10軒の酒販店が2月に蔵に行って酒造りのお手伝をしてできたお酒です。 

このお酒の狙いはワイン酵母を使ったお酒ですが、ワイン酵母だけだと、香りがなく酸度も4以上になった上にアルコール度も12~13と低かったので,UT-2を半分加えてできたお酒です。 

酒質は酒こまち55%精米、日本酒度-3、酸度2.0、alc14%

ふくらみがあり後味の余韻がワイン酵母の酸の良さが出て、ワインのような後味を感じる面白いです。これは一度は飲んだほうが良いお酒だと思います。

秋に美山錦45%の和韻第2弾が出るそうなので、期待しています。なおこの写真は升新商店の写真を使わせていただきました。 

10.山本 ストローべりレッド 純米吟醸 1回火入

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このお酒はピュアブラック、ミッドナイトブルーとは姉妹関係にあるお酒で、お米と精米具合は同じで、酵母は秋田のクラシック酵母であるAKー1を使っていますが、一番違うのは麹に白麹を使っていることです。

麹の中の1/3を白麹を使っていることです。黄麹は口でかむと甘みを感じるのですが、白麹はレモンの輪切りを噛んだような酸味を感じるそうです。この酸はクエン酸だそうで、この酸のおかげで焼酎の中の雑菌の繁殖を抑える効果があるようです。

全量白麹にすると酸っぱすぎて飲めないので、1/3に抑えたそうで、酒質は酒こまち麹米50%、掛米55%、日本酒度±0、酸度2.3、alc15.5%でした。

飲んでみると思ったほど酸っぱくはなく、1番のドキドキの方が酸っぱいくらいでした。どっちの酸が好きかは好みの問題でしょう。

番外編:NEXT5 Bar Zingaro

Dsc_0322_2今年のNEXT5の共同醸造品のBar Zingaroです。NEXT5が結成されたいきさつについては、良く知られていますので、ここでは省略しますが、NEXT5が結成されて、今年が7年目になります。5年で各蔵の担当が一回りをして、去年から再度新政に戻ったのですが、今までと同じことをしても面白くないということで、他の業界の人とのコラボレーションを始めることになったそうです。

去年はテクノミュージックのアーティストのリーチフォーティンとのコラボをしたのですが、今年はホップアートの村上隆とのコラボレーションで生まれたお酒です。

酒質は山田錦45%精米、日本酒度+3、酸度1.6、alc15%で、ゆきの美人の秋田醸造で新政流生酛つくりで作ったお酒です。

このお酒はお酒のデザインに興味のある人が発売日に買いあさって高値の転売が起きるほどの過熱ぶりでしたが、これを企画したNEXT5の皆さんの思いとは全く違う動きなので苦々しかったのではと思います。

以上で山本の会で飲んだお酒の紹介を終わりますが、最後に久しぶりにいろいろな山本の酒を飲んだ僕の印象を述べさせていただきます。

率直な話、山本の酒がこんなに良い酒になっているとは思いませんでした。ただ綺麗なだけではなく、味にはいろいろな狙いを持った味わいをもっており、それがある幅の中にきちっと納まっているのに驚かされました。お酒のネーミングなどに山本さんらしい遊び心は大いに感じられるのですが、お酒にはちゃんとバランスをもって表現されているのは、山本さんが一皮むけた大人になったのだと感じました。NEXT5の環境で切磋琢磨することにより、酒造りの技術の向上だけでなく、精神的にも成長されたのだと思います。しかも肩の力を抜いて新しいことにチャレンジされているのがとても素晴らしいと思いました。これからもますますユニークで人を驚かせるお酒を造ってください。

最後に今回お料理を提供していただいた野崎屋さんに厚くお礼申し上げます

そして最後に一緒にお酒を飲んだ女子グループとこの会のサポートをしていただいた升新商店の社長の山崎さんの写真をの載せておきます。

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最後の最後に山本さんとのツーショットも載せておきます

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2016年8月20日 (土)

毛利酒造は小さいけど将来を感じる蔵でした

先日、八芳園の日本料理店の槐樹で第14回蔵元さんといっしょに日本酒を愉しむ会に参加してきました。今回は福井県の毛利酒造の社長の毛利徹郎さんをお呼びしての会でした。毛利酒造のお酒は2013年の福井県酒造組合主催の地酒の会として「越前・若狭の地酒と蛍の夕べの会」に参加した時に初めて飲んだのですが、その時はあまり印象が強くなかったように思います。でもこのたび初めてじっくりいろいろなお酒を飲んだのですが、一つ一つが味わい深く、もしかしたら将来面白い蔵になるような予感がしましたので、ご紹介したいと思います。 

毛利酒造は創業が昭和13年と若い蔵ですが、蔵ができた経緯が変わっていて、創業者の毛利淳吉さんはもともと税務署の職員をしていたのですが、たまたま宿場町であった東郷の酒蔵が売り出されるのを聞いて酒造の免許を取って買い取ったのが始まりだそうです。その蔵は「天田屋」という蔵で、戦国時代から酒つくりをしていた老舗の蔵だったようです。 

初代の当主が詩人の大町桂月が好きだったことから「越の桂月」というブランドを立ち上げたそうです。現在は3代目の毛利徹郎さんが社長で、そのブランドを引き継いでおられますが、「梵」にいた南部杜氏が蔵に来ていただいて、いい酒ができるようになったとのことです。 

毛利酒造は福井の九頭竜線の越前東郷駅にある蔵で、この地は白山をルーツとする足羽川の伏流水が豊富なところで、米処でもあります。近くには佐々木小次郎が秘伝の技の「燕返し」を編み出したといわれる一乗の滝もある自然豊かな場所で、海の幸や山の幸が豊富でおいしい食べ物が多い土地です。ですからこの蔵のお酒は食中酒としてお料理を邪魔しない酒、香りは少なめで料理に寄り添うようなお酒を目指しているそうです。 

このところ、食事に合うお酒として知名度を上げてきたのですが、平成25年発売した「沙利」がお寿司に合うお酒として評判になり一気に注目されるようになったそうです。沙利という名前はサンスクリット語のお米を意味する「砂利」、お釈迦様の遺骨を意味する「舎利」、お寿司の酢飯を表す「シャリ」などをもじってできた造語だそうですが、面白い名前ですね。

今回はほとんど沙利シリーズのお酒を飲むことが出きました。沙利はどんなお酒なのでしょうか。後でご紹介しますがまず飲んだお酒を見てもらいましょう。

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透明な瓶に入っているのが全部沙利シリーズのお酒です。瓶を透明にしたのはお寿司に合わせるお酒というイメージを出すためだそうですが、実は透明な瓶は紫外線を通しやすくお酒の痛みが速くなるので、実際に販売するときには
光を通さない遮光フィルムの袋に入れているとのことでした。

それでは今回お酒の紹介をしていただいた毛利酒造の社長の毛利徹郎を紹介します。

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徹郎さんはもともと、サラリーマンで婿養子としてこの蔵に入ったそうで、造りのことは詳しくなかったそうですが、酒つくりについては杜氏とよく議論をして進めているそうです。黒龍の水野社長とは同い年で交流も深く、色々ご指導を受けたり、福井県食品加工研究所の久保先生とも懇意で、色々ご相談できるとても良い環境をおつくりになっているようです。また息子さんは24歳でもうすでに蔵に入って修行されているようで、県の醸造研究所に研究に行ったりして腕を磨いているとのことでした。 いずれ息子さんが杜氏の後を継ぐことになるのでしょう。

槐樹の日本酒の会は出てくる日本酒に合わせて、お料理を出すという珍しい趣向の会です。それだけに料理長は事前に日本酒を飲んでお料理を決めているようです。料理が出た時にその説明をしていただければ、その内容をこのブログで紹介できるのですが、それがないので、今回も別々に紹介します。 

では飲んだお酒の紹介をいたします。飲んだお酒は6種類ですが、8種類のお料理に同じお酒を2回合わせて使いました。お酒は全部の写真を個別に取ることはできませんでしたので、組み合わせで紹介します。 

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1.越の桂月 純米大吟醸  

黒い瓶のお酒が越の桂月の純米大吟醸です。山田錦40%精米の19BYの純米大吟醸で、5℃の冷蔵庫で熟成したものです。5℃で熟成したものとは思えないほど、綺麗な熟成をしていて、香りも穏やかで丸みが出て優しい味わいのお酒でした。このお酒は非売品で、このような会でしか出していないお酒だそうです。2種類の酵母のお酒をブレンドしているお酒だそうですが、熟成しているので酵母の香りはわかりませんでした。

2.沙利 燗左紫 純米酒
 

このお酒は赤い文字で燗左紫(かんざし)と書いてあります。紫とはお寿司につけるお醤油のことで、その左にお燗をしたお酒を置いて飲んでくださいという意味だそうです。このお酒は山田錦65%精米の純米酒で、酵母は協会9号、日本酒度は+5、酸度1.4、アルコール度数16%でした。飲んでみると少し熟成香があったので、お聞きしたらお燗に合うように1年熟成しているお酒だそうです。後味が綺麗でいて、あたりが柔らかく、ちょっととろみ感があるお酒でしたなかなかいいのではと思いました

お燗にした燗左紫も飲みましたが、香りを嗅いだだけでは熟成香はあまりしないけど、口に含むとはっきりわかります。確かにお燗をするとまろやかになり、口になかでのふくらみが大きくなる感じです。僕は熟成香がちょっと気になるので、軽く炭素ろ過して香りをとるのも面白いかなと思いました。もちろん味は変化すると思いますが、どのようにするかは蔵の技ではないかな。

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.沙利 5割諸白 純米大吟醸  

このお酒は沙利の標準のお酒で、山田錦50%精米の純米大吟醸です。5割諸白とは麹米も掛米も50%精米という意味だそうです。このお酒こそ寿司にあったお酒を狙ったもので、日本酒度は+4、酸度1.7、アルコール度16度で、酸味を利かしたちょっと辛口のきれのあるお酒でした。酵母は9号酵母と10号酵母のブレンドだそうです。このお酒は温度が上がってきて、室温位になると柔らかさが出るようです。 寿司に合わせるにはそれの方がいいかもしれません。

4.沙利 風凛 辛口純米大吟醸 

左の写真のなかのラベルが青いお酒です。夏限定の辛口に仕上げているお酒で、去年までは山田錦を使っていましたが、今年から五百万石50%精米に変えたそうです。酵母は14号を使っているそうです。日本酒度は書いてありませんが、アルコール度数は15%でした。後味がすっと伸びる感じで綺麗な余韻があり、しかもイソアミル系の酵母独特の後味にシジミのだしのような辛みが残りますが、嫌みがなく上手くまとめていると思いました。とても良い夏酒だと思います

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.沙利 朧月 純米吟醸滓絡み 生酒

右の写真のお酒で、山田錦60%精米の純米吟醸の滓がらみの生酒です。生酒らしい滓の感じが少なく、口に含むとふわっと丸く膨らんでくるので、うまく作っていると思いました。酵母は9号だそうで、後味がすっきりしていているけど、良い余韻が残ります。

6.沙利 時超 Premium

このお酒は左の写真のお酒で、黒い字で大きく沙利と書いてあります。山田錦35%精米の純米大吟醸で。酵母は福井酵母を使った野心的なお酒で、まだ発売していないそうです。日本酒度は±0で、珍しく甘めにつくったお酒でした。時代を超えるお酒という意味の名前を付けたそうですが、まだ試験醸造の段階だそうです。このお酒も1年j熟成でした。、飲んでみると確かに甘さを感じますので、もう少し酸を出してもいいかなと思いました。

以上でお酒の紹介を終わりますが、この蔵のお酒の酒質はすごくいいと思いました。蔵の生産量は300石と非常に小さな蔵ですが、どのお酒を飲んでも狙いがはっきりしているし、その狙い通りの味を出している気がしました。ちょっと辛口なのは問題内ですが、気になるのは熟成をかけて味に丸みを出そうとしていることかな。熟成しなくても同じような丸みが出るようになったら、最高かもしれませんね。頑張ってみてください。

この会のイベントとして毛利社長とジャンケンをして勝った人に漆塗りの酒器がもらえるチャンスがあり、見事とることができました。

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次に今回出たお料理を紹介します。

1.乾杯の肴 槐樹もなか(焼雲丹、蒸雲丹)

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2.酒肴八景 (いろいろなので見てください)

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3.やっさん寿司、焼鯖バッテラ

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4.揚物 豚かつピンチョス

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5.おろし冷やしそ

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6.強肴 あなご白焼きサラダ仕立て

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7.やっさん寿司 握り3巻

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8.おまけ 大根ライチ 

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最後にお料理を担当した料理長と副料理長をご紹介します。

料理長 上原賢一       副料理長 安田 至(やっさん)

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2016年8月15日 (月)

インフィニット日本酒中級コース第7回 (香り)

このスクールも7回目となり、もう一度香りの確認をすることになりました。日本酒の香りには元となる成分があることを勉強してきましたのでそれを再整理します。 

① 原料由来の成分 (蒸米や麹の香り・ミネラルの味わい) 

② エチルアルコールと炭酸ガス (糖の代謝で出来るエチルアルコールと炭酸ガスでアルコールの刺激と香りの元となっている) 

③  有機酸 (糖が代謝する過程で出てくる酸で、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸など、酸味の元となっている) 

④ アセトアルデヒド (糖の代謝過程で出来るピルビン酸から生成され、青々しい香りがするが揮発性が高く、時間とともに減少する) 

⑤ カプロン酸エチル (糖のアルコール分解経路でピルビン酸からアセチルCoAを介してカプロン酸を形成し、その後エステル化してカプロン酸エチルになる。リンゴやメロンの香りと言われている) 

⑥ 高級アルコール (米の中の蛋白質がアミノ酸となり、このアミノ酸がイソアミルアルコールやイソプロピルアルコールやイソブチルアルコールなどの高級アルコールとなる。マジックインクのような香りで、炭素数が多くなると蝋のような香りとなる) 

⑦ 酢酸イソアミル・酢酸エチル (アミノ酸の分解経路でイソアミルアルコールのエステル化により、酢酸と結合して酢酸イソアミルと酢酸エチルを生成する。酢酸イソアミルはバナナや洋ナシの香りで、酢酸エチルはセメダインの香りがする) 

⑧ 各種脂肪酸エステル (米の中の脂質が脂肪酸となり、各種アルコールと結合して脂肪酸エステルを生成する。香りはサラダ油や樹脂のような香りだが、高級アルコールと香りと区別がしにくい) 

⑨ フラノン (温度を上げる火入れや貯蔵、熟成では必ずフラノン類が生成する。フラノンが多くなるとカラメルや醤油の香りがするが、その量が少ないと老香(ひねか)と言われることもある。) 

日本酒の香り成分にはそのほか、オフフレーバーと言われる4ビニルグアヤコール(4VG)やジアセチルイソバレルアルデヒドなどが醸造過程で発生することがあるようですが、菅田先生のお話では、正常な醸造工程で出来る香りは上述した9つの成分だけを考えればいいそうです。 

①や⑥や⑧は原料中に元となる成分がどのくらいあるかによって変わってくる。精米度が高くなれば蛋白質や脂質は減少するので、それに関連した香りも減少してきます。 

③や⑤や⑦は酵母の特質によって出やすい成分が決まってくるので、どんな酵母を使っているかによりその香りが想像できますが、発酵のやり方によっても変化するので注意が必要です。またリンゴ酸やコハク酸、クエン酸も酵母の特性と非常に関係が深いようです。 

④のアセトアルデヒドはお酒ができたての時に多く含まれますので、生酒や搾りだてには多く含まれますが、揮発性が高いので時間の経過や火入れで減少します。1回火入れか2回火入れ化はアセトアルデヒドの量の違いとフラノン類の量の違いで見分けることができるそうです。また熟成するとアセトアルデヒドは減少しフラノンが増大しますが、特に生酒は熟成速度が速いので熟成温度には注意が必要です。生酒の熟成を抑えるためにはー5℃以下で貯蔵する必要があります。 

以上で日本酒の香りの成分の説明を終わりますが、実際にどんな香なのかを嗅いでみないと実感できませんね。日本酒中の香りはいろいろな成分が混じっているので、なかなか特定できません。菅田先生は独自のルートで香り成分のサンプルを集めて持っておられます。今回はそのサンプルを実際に嗅いで見て、本に記述されている香りとの違いを勉強することになりました。 

最初のサンプルを見てください。 

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1.メターノール:ほとんど香りはしません。実際には日本酒の中にはほとんど含まれていません。 

2.エタノール:消毒用のアルコールそのもので、シンプルな清涼感のある香りです。 

3.-プロパノール:ツンとした香りでそんなに油ぽくありません

4.イソアミルアルコール:まさにマジックインクの香り です。

5.n-ヘキサノール:油っぽい重たい香りがしました。炭素数が6のアルコールでこれ以上炭素数が増えると蝋の香りのようになるようです。 

次はいわゆる日本酒の香気成分です 

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1.カプロン酸エチル:メロンやリンゴの香りと言われますが、濃度が高くなるとツンとした香りになります。 

2.酢酸イソアミル:確かにバナナや洋ナシの香りですが、スッとした香りです。日本酒の場合酢酸エチルが同時に出ることが多いので、それで判断するとわかりやすいです 

3.酢酸エチル:まさしくセメダインの香りでした 

次はフラノンと原料由来の香りです 

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1.フラノン類:確かにカラメルの香りや醤油の香りと言えますが、紹興酒や豆の香りとも言えますが。濃度によって違うので、表現が難しいです。 

2.白米:お米の香りとか乾いた粉の香りがします。 

3.麹(酸化):麹の香りですが蝋の香りがしました。麹が酸化すると蝋臭が出るそうです。デンプン、蛋白質、脂質は酸化すると蝋臭が出るからです。 

以上がサンプルの香りですが、医薬品のアセトアルデヒドと乳酸を嗅いでみました。 

アセトアルデヒド:とても強い香りでふたを開けただけで、部屋中に香りが充満するほどです。でもいやな香りでなく清涼感のある青々しい香りでした。アセトアルデヒドはアルコールが酸化した場合も発生するので熟成してもアセトアルデヒドが出るけど、フラノンに邪魔されてあまり感じないそうです。 

乳酸:乳酸の香りは濃い場合はヨーグルトの香りがするそうですが、薄い場合は僕にかあまりはっきりわかりませんでした

イソ吉草酸:少し青臭い熟成の香りであるけどいわゆる老香には感じませんでした。生ひね香だそうです。 

それではいつものように試飲をいたしましたので、紹介します 

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 1.福祝 夏の純吟 山田錦・五百万石50-60%精米 
  Alc度16、日本酒度-、酸度-、AA度- 酵母-
 

2.越乃寒梅 純米大吟醸 山田錦50%精米 火入れ
  Alc度16-17、日本酒度+4、酸度-、酵母-
 

3.悦凱陣 手造り純米酒 オオセト60%精米  
  Alc度15-16、日本酒度+8、酸度1.6、酵母熊本9号
 

4.写楽 純米酒 夢の香60%精米 1回火入れ
  Alc度16、日本酒度+2、酸度1.4、酵母 F7-01
 

まず 例によって外観を見てみます

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外観を見ると2番だけが透明なので、活性炭ろ過していると思われます。3番は少し色がついてるので熟成がかかっているようです。2-4-1-3の順番で色が濃くなっていました。

1.福祝 夏の純吟 山田錦・五百万石50-60%精米 

さわやかな香りのアセトアルデヒドがあるので、生ではないかと思われます。カプの香りもイソエチの香りもあって、カプもイソエチも強く出ているのでブレンドと思われます。味わってみると後味にコハク酸の苦みがあるので、イソエチ系の酵母を使ったことが確認されます。アセトアルデヒドと乳酸と高級アルコールを同時に感じる複雑な味があるようなので、夏吟にするなら酵母はシングルにしたほうがいいと先生は言われました。 

2.越乃寒梅 純米大吟醸 山田錦50%精米

アセトアルデヒドの香りがなく、ポテッとした香りがあり、2回火入れであることが判ります。香りがふわーとしていて、ツンとした香りでないので、18号ではなく9号酵母だと思われます。熟成のフラノンが出たので活性炭ろ過していて除去していますが、高級アルコールはとれていないので、その高級アルコールの香りが気になります。味を見ると、アタックは柔らかく良いのですが、中盤からアルコールの辛さと刺激が強く出てくるのが気になります。 

3.悦凱陣 手造り純米酒 オオセト60%精米 

ツンとした香りと穀物的な香りがあるのはお米からくるものと思われます。オオセトは一般米なので蛋白質が多く含まれます。したがって、高級アルコールが多くなるのは仕方がないと思われます。アタックのボリュウム感が少なく、すぐ酸が上がってきて、渋い感じするのは加水量が少ないからと思われます。甘みと旨みをもう少しあったほうがいいように思えました。 

4.写楽 純米酒 夢の香60%精米 1回火入れ 

酢酸エチルの香りが強すぎ感じがします。うまみはよく出しているが、剥ぎだした後アルコール感が強く、口の中でピリピリ感が感じます。そして後味にコハク酸の苦みが残るけどそんなに強くはありません。このピリピリ感を抑えることができれば、もっと素晴らしいお酒になると思われます。

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2016年8月10日 (水)

丹後天酒まつり・蔵めぐりツアー PART3

丹後天酒まつりの蔵めぐりツアーの第3弾は谷口酒造与謝娘酒造です。この二つの蔵はともに与謝野町にあり、歩いて5分くらいの近いところにあります。でも与謝野町は天橋立の近くの町から176号線を中心に南西に10km以上ひろががった広いエリアでありますが、そのエリアの一番奥の山に囲まれた細長い盆地の中に蔵があります。 

まず最初に谷口酒造を訪問しました。京都から車で2時間のところですが、山に囲われた静かな場所でした。ここが蔵の建屋で芝の井と書いてありました。芝の井はこの蔵の普通酒の銘柄です。 

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 この坂道を上がって右に曲がると蔵の入り口になります。 

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ぴー箱で試飲できる場所が確保されていました。蔵の生産高は100石足らすですから、従業員は数人のはずなのに、こんなに大勢の人がいるのは、きっと町中の人が応援しているのだと思います。 

蔵見学は蔵元で杜氏をしている谷口暢(とおる)さんに案内してもらいました。この蔵は明治4年創業の蔵ですが、長年兵庫県の白鹿酒造の下請けをしてきたそうです。今から31年前の27歳の時、急に白鹿酒造との契約が切れて、杜氏を雇う資金もないので、自ら蔵元杜氏として始めることになったそうです。今日では蔵元杜氏の方は大勢いますが、当時は珍しかったそうです。特に酒つくりの修業もしていないので、県の醸造試験所の先生に指導を仰ぎながらなんとかやってきたそうですが、今までやってこられたのは酒つくりが好きだったからだそうです。 

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ここが洗場で、右側のポンプが井戸からくみ上げた仕込み水用だそうです。仕込み水は近くの山からの伏流水で軟水だそうです。洗米は好適酒造米の「祝」は10kgの手洗いをするそうです。 

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普通酒用の洗米は下の写真の洗米器を使うそうです。あまり見たことがない洗米器ですね。 

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現在蒸米は普通の甑を使っているそうですが、ちょっと変わった連続蒸米機もありました。全国でここだけしかない珍しい縦・横タイプの連続蒸米機で、コンパクトなので採用したそうですが、後片付けが大変なので使用していないそうです。 

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この蔵のすごいなと思ったのは仕込み部屋です。2階構造になっていて、1階が仕込みタンク、2階が酒母室と麹室がある構造をしていますが、その作りがとても立派でした。しっかりした木造造り、階段の広さなどはめったにおめにかからないものでした。昔は製材所の仕事をしていたそうなので、お手の物だったのかもしれません。 

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この仕込み室は60年前に建てられたものだそうですが、白鹿の下請けとして栄えたときに作られたものでしょう。でもその時でも600~700石の生産量しかなかったそうです。 

ちょっと驚いたのは仕込みタンクです。1300Lくらいの開放タンクなのは普通ですが、仕込みタンクの温度コントロール用のジャケットがないのです。この地は冬は雪が多く冷やす必要もないし、冷えすぎないので温めることもしないそうです。 

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でも今年は暖冬で仕込み温度が下がらなかったので苦労したそうです。また以前に気温が下がりすぎて温めるのに苦労したこともあったそうです。地球温暖化の中にあってはそろそろ手当てをしないといけないのかもしれませんね。 

最近サーマルタンクを導入したようで、これは大吟醸仕込み用に使っているようです。なら、チラー設備があるのですからジャケットの装備は簡単ですよね。 

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搾りは薮田を使用していました。これで蔵見学の紹介は終わりますが、どんなお酒を造っているのでしょうか。お米は5百万石と祝だけだそうで、普通酒は芝の井(6号酵母)、特定名称酒は丹後王国(9号酵母)という銘柄を作ってきましたが、最近「若冲」という名の純米大吟醸と純米吟醸を出したそうです。とても評判がいいようですが、今回は飲むことができませんでした。生産石数の割には14種類くらいのお酒を造っているのですから、頑張っていますね。 

試飲したお酒の中で2本だけを紹介します 

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左のお酒が丹後王国純米大吟醸55%精米で、祝らしい味が出ていて、柔らかくて良いバランスのお酒でした。右のお酒は丹後王国純米吟醸祝で精米度はわかりませんが、後味が良くてお料理の味を邪魔しないお酒でした。設備が整っていなくてもいい味を出しているのは、杜氏のお酒つくりにに対する愛情の現れかもしれません。設備が充実して来たらこの蔵は面白くなるかもしれません 

蔵の外では地元の人によるお神楽をやっていました。こういうのも地方ならではの演出で面白いと思いました。 

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生産量100石では経営的には難しいと思いますが、蔵の外に出てみますと、蔵の建物の並びにこんなすごい建屋を持っているのに驚かされました。きっと昔からの地元の名士だったのでしょうね。日本の小さな蔵の秘密を見た感じです

 

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よいよ、ここを後にして最後の蔵の与謝娘酒造までは歩いても5分くらいのところですが、車で向かいました。 

ここが与謝娘酒造です。 

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この蔵は明治20年に与謝娘醸造として生まれた蔵で、お酒だけでなく、焼酎や醤油をつくっていたそうです。戦前、戦後の物資のないときは一時つくりをやめていたそうですが、戦後、3つの蔵が一緒になって与謝娘酒造合名会社となったそうです。ですから3家が協力して運営してきたそうですが、西原家以外の人が高齢になって手を引いて現在は西原家の蔵になっているそうです。

現在は西原司朗さんが社長で、生産高は150石と非常に小さな蔵です。昔は最初は能登杜氏が、6年前までは但馬杜氏が来られていましたが、現在は司朗さんが杜をされています。司朗さんは2002年に東京農大を卒業され直ぐ、14年前に蔵に戻って造りをしていたそうですが、お父様がなくなった5年前から社長兼杜氏をされています。

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蔵の案内は西原司朗さんにしていただきました。 

ここが蔵の入り口です。杉玉の下に何やら蛙の絵が書いてあります。これは司朗さんの奥様の遊び心のようです。後でもっと面白いものを見つけました 

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まずは洗い場ですが、右側に仕込み水の貯蔵タンクがありました。後ろの山に横井戸を掘って湧き出た水を仕込み水を使用しています。奥には蒸用のボイラーが見えますね。洗米器や甑は片づけてあるのかありませんでした。 

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 隣に古びた放冷器がありました。掛け米はこの放冷器で冷ますけど、麹のお米は冷えすぎないように、この土間に広げて冷ますそうです。 

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麹室は平成元年に作った杉で作られた立派な部屋でした。杉の木は湿度をうまく調節してくれるので、突き破精の乾燥麹を作るのに適しているそうですが、逆に純米の時は総破精にしたいそうですが、難しいのでカバーをしたり、色々工夫がいるそうです。 

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仕込み蔵は天井が高く2階に酒母室を置く構造をしていました。 

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丹後地方はとても湿気があるので、絹織物の糸が切れにくいということで、丹後ちりめんの一大産地になる反面、カビが出やすい欠点があるそうです。ですから仕込み蔵は土壁にして外気と大きな温度差を作ると同時に、空間を広くすることにより湿気を拡散させてカビが出るのを抑えているそうです。 

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 お酒の搾り機のそばに面白いものを見つけました

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搾り機からお酒を受けるタンクになぜか「ET」がのぞいていました。これも奥様のお遊び感覚なのでしょうか。手作りETでした(入江さんの写真を拝借)。 

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以上で蔵の紹介を終わります。次にお酒の紹介をちょっとしましょう。 

右のお酒は山廃純米 無濾過生原酒 京の輝きで、最近始めた山廃で、昔の山廃と違って飲みやすいけど、甘みがあって酸味もあり、滑らかさもあるいいお酒でした。 

左のお酒みどりの風 純米吟醸無濾過生原酒 五百万石55%で、すきっと切れるお酒でした。 

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右のお酒はは特別純米 無濾過原酒 9号酵母
左のお酒は特別純米 無濾過原酒 6号酵母 

この中では6号酵母のお酒が、うまく6号酵母の味わいを出している気がして、いいなと思いました。新政を真似たのかもしれませんね。

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この蔵のお酒のラベルが日本酒らしくなく、さわやかな雰囲気があるものでしたが、これも奥様の趣味で作ったものだそうです。奥様がいろいろなところで活躍されれいるのが素敵な気がします。この蔵のお酒はどのお酒を飲んでも狙いが判る味わいを醸し出しており、なかなかのものだと感じました。この蔵はここ1,2年で急に伸びた蔵だそうで、今後が楽しみです。 

以上で今回のツアーの4つの蔵の紹介は終わりますが、最後にこのツアーを企画された古田さんを紹介します。

 

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右の方が古田豊弘さんで、左の方が今回のツアーを紹介してくれた入江さんです。古田さんは日本酒ソムリエでSSI研究室の専属テイスターや日本酒と食の演出家として活躍さてている方で、京都の丹後地域にお住まいです。以前より丹後地域の日本酒と食を提案してきた方で、3年前より丹後酒造ツーリズム運営委員会委員長としてこの企画を始めたそうです。3年前の第1回は2蔵と寂しかったそうですが、去年と今年は9蔵、来年は11蔵となるほど、地域に定着してきたそうです。 

僕は今年初めての参加でしたが、地域と一体化したお祭りムードのツアーでしたが、素朴な町の雰囲気とマッチングしたこのイベントは他では感じられない楽しさがあったし、いろいろな発見もありました。来年は違う蔵を訪問してみたいなと思いました。

たった1日の取材で3部に分けて紹介したのは初めてのことです。それだけ充実していたということでしょうね

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2016年8月 7日 (日)

検索機能をさらに向上させました

先日ココログの検索機能を向上させたことをお知らせしましたが、実際に使ってみると検索が非常に正確で、大文字と小文字を別物として認識します。そのために酵母14号と酵母14号で検索すると別の記事を拾ってきます。それから入力中にちょっと間違った操作をするとExplorerの異常となり止まってしまうことがありました。 

僕の酒飲み友達の日本酒カレンダーの浜田さんに相談したら、グーグルの検索機能を導入したらもっと曖昧な検索ができるようになると教えていただきました。でもブログに張り付ける方法がわからなかったので、導入をお願いしたら、いとも簡単にやっていただきました。 

Googleカスタム検索を早速使ってみましたら、14号も14号も同じ記事を拾ってきましたし、松乃井酒造を松の井酒造と検索しても拾ってくれました。大感激です。しかも検索時間が速いし、安定しています。AND検索もOR検索もできますので、いろいろな検索をしてみてください。面白いものが見つかるかもしれません。

前のタイプのココログ最高検索もまだ残してありますので、比較してみてください。

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2016年8月 3日 (水)

検索機能を強化しました

このブログの左上に新しくこのサイトの検索が自由にできるココログ最強検索を用意しました。知りたいキーワードを書いて検索をクリックしてください。二つ以上のキーワードをスペースで区切って入れるとより絞って検索できますので、試してみてください。

Qchanpapaより

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