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« インフィニット日本酒中級コース第5回(オフフレーバー) | トップページ | 長野酒メッセ2016in東京 松本地方の蔵の紹介 »

2016年6月 8日 (水)

東洋美人のお酒は確実に進化しつつあります

ちょっと古いお話で恐縮ですが、桜の咲き始めるころに白金の八芳園で第13回蔵元さんと一緒に日本酒を飲む会が開かれましたので、参加して来ました。今回は東洋美人の銘柄で有名な澄川酒造の蔵元兼杜氏の澄川宜史(たかふみ)さんをお招きしての会でした。いつもは八芳園の日本料理の槐樹で15人程度と比較的こじんまりと行われるのですが、今回は八芳園の本館のサクレという会場を使って、約30人規模で行われました。澄川さんのフアンクラブの方のサポートを受けた、拡大イベントのスペシャルバージョンでした。 

結構式披露宴にも使われる広々とした会場にゆったりと着席しての会となりました。 

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お料理は槐樹のお料理だけでなく、本館、壺中庵の料理長と料理人が腕をふるった特別メニューで、値段据え置きというまさに特別イベントでした。 

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用意されたお酒もちょっと見ていただきましょう。詳しくは後で説明しますが、殆ど市販されていない大吟醸クラスが6種類でした。一番左端は仕込み水です。 

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それでは早速澄川さんに登場してもらいましょう。 

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とてもダンディでお洒落な芸能人のような雰囲気を持った方ですが、お酒造りにはとても厳しいそうで、バリバリの杜氏として活躍されている方です。 

今回のイベントを説明する前に澄川酒造と宜史さんの紹介をします。 

<澄川酒造> 

蔵は山口県の萩市中小川にありますが、萩市と言っても観光地として有名な萩市からは30kmほど北東に行った直ぐ島根県の県境に近い田舎にあります。一番近いJR駅は島根県の益田駅のようです。近くに田万川が流れ、裏山から湧きだす石清水が豊富で、米どころですからお酒造りには適したところだと思いますが、出来たお酒は消費地に運ぶのは大変だったのではないでしょうか。 

創業は1921年ですがその後の詳しいことはホームページがないので、良くわかりませんが、東洋美人という銘柄は初代が亡くなった奥さまを偲んで付けられたことのようですが、良い名前ですねと宜史さんにお聞きしたら、本当のことは資料もなくなって良くわかりませんが、この名前は大切にしたいと言われました。この蔵が注目を浴びたのは宜史さんが蔵に戻ってからです。 

<澄川宜史さんについて> 

では宜史さんはどんな人なのでしょうか。宜史さんは1973年に蔵の長男として生まれましたが、蔵を継ぐことはあまり意識していなかったようで、でも蔵を継がなくてはいけないと、2年ほど浪人して東京農大に入ったそうです。まだその時は自分で酒造りをするつもりはなかったそうですが、大学3年生の時に東京農大の5年先輩がいる山形県の高木酒造で研修をしたのが彼を大きく変えた切っ掛けになったようです。 

高木酒造の跡取りであった高木顕統(あきつな)さんは自ら製造責任者として真剣に酒造りをし、日本酒業界の若きスタートして注目を浴びていたのです。その姿を見て自分も自ら酒を造る決心をしたそうです。 

そして、24歳で蔵に戻り、蔵の但馬杜氏の下で2年間みっちり指導を受けた後、1999年には蔵の杜氏となったそうです。当時の蔵の生産高は300石程度であり、細々生活することはできたレベルでしたが、もっと大きくしたいと市場を東京に求めて営業することになります。その後は長谷川酒店など多くの人のお力添えで、15年後には1300石位の生産高までにしたそうです。 

僕は2009年の第1回やまぐち地酒維新の会に参加して、宜史さんに初めてお会いしました。その時に感じた東洋美人のお酒の味は、上品で綺麗なお酒だけど、ちょっと線が細いかなというイメージでした。でも、蔵の近くで栽培した畑違いの山田錦を楽しむために造ったお酒で、田圃の番号の付いた3種類のお酒を飲んだのが印象的でした。ワインのテロワールの日本酒版ですよね。3種類のお酒を飲んだら、味がちょっと違うのでこれ本当に畑違いの差だけですかとこっそり聞いたら、造りが違うと聞いて、ちょっとがっかりした想い出がありますが、僕はそのやり方にはちょっと不満はあるものの、日本酒テロワールにチャレンジする発想が凄いなと感心したことを思い出します。 

その後、2013年7月に大雨で近くを流れる田万川が氾濫し、蔵全体が2m以上の泥水に浸かる大災害を被るのですが、その後宜史さんの対応が凄いと思いました。蔵は泥まみれで、手のつけようもなかったけれども、全国の蔵や酒販店さんの応援で復旧は比較的スムーズにいったそうです。特に同期の伯楽星の新澤さんには蔵の再構築に関する色々なアドバイスをもらったそうです。 

蔵の殆どの設備は使い物にならないので、修理できるものは修理し、壊れたものは新品を購入することにしたけど、どうせやるなら、とことん新しいものを検討し処理量も増量でき、且つ手のかからない設備の導入をすることにしたそうです。そして、5億円の借金をして3階建の新しい建て屋を建設し、2014年12月には一部稼働にこぎつけたそうです。 

水害を受けて全く零からのスタートとなったことをきっかけに、今まで出来なかった蔵の導線の改善、手のかかる設備を思い切って新しいもの(自動洗米浸漬装置やNSK搾り機の導入など)へ切替により、酒質の一層の向上を狙ったのは、彼の酒造りに対する意地とプライドの高さの表れのような気がします。そして去年の生産高は既に2500石になったと聞きましたが、今後少しずつ設備増強をして最終的には5000石を目指すそうです。 

この蔵のお酒つくりは地元産の山田錦をベースとしていますが、2014年には「原点シリーズ」として、酒未来、出羽燦々、雄町、愛山を使った精米50%のお酒を出しました。1年でその生産を完了し、去年からは精米度を40%に上げた新しい「原点からの1歩ippo」シリーズを出しています。災害からの復活で大変な時期に新しいブランドを立ち上げるなんて、とても前向きな気持ちが伝わってきます。 

酒未来については宜史さんの酒造りの思いが伝わるエピソードがあります。酒未来は高木酒造が開発した酒造好適米で、高木酒造がその実力を認めた蔵だけにその使用を認めているお米で、その中で澄川酒造は早くからその使用を認められていました。でも彼は直ぐにはそのお酒を世に出さなかったのです。それは良いお米だけに仕込み具合、酵母の選択など色々試験をして5年間も試行錯誤をして出したのです。まさに宜史さんの酒造りにかける思いをよくあらわしているエピソードだと思います。 

本日の会場の彼の姿はいつ大災害にあったのだろかとおもわせるほど、かっこいい姿になって現れたのに驚かされましたが、お姿だけでなく、お酒の味が単に綺麗場だけでなく、一層深みを増しているのをしり、驚いてしまいました。 

では早速飲んだお酒を紹介しましょう。 

1.純米大吟醸 環起(かんき) 

Dsc_0035水害にあってから初めて酒造りを再開することを決意するきっかけになったお酒だそうです。米は皆様方からいただいた地元の山田錦で、助けていただいた人の思いが込められたお酒だそうです。 

山田錦は無農薬の地元のお米で精米度は40%の純米大吟醸で酵母は9号系と18号酵母のブレンドです。甘みを少し抑えてカプロン酸の香を抑え気味に仕上げていました。旨さがあるのでなかなかいい感じです。 

2.純米大吟醸 直ぐみ 一歩(ippo) 

Dsc_0036昨年から月に2回出荷しているいお酒で、3-4月はおりがらみ、5月が山田錦、6月は酒未来、7月が出羽燦々、8月が雄町、9月が愛山を出す予定のお酒のなかで、麹が山田錦40%、掛米が50%の純米大吟醸です。 

しかも、今回のお酒は全量山田錦の純米大吟醸ですが、社長自らが蔵で直接直汲みして瓶詰めした搾りたての生酒なので市販されていません。 

酵母は14号系ではないが自社培養の酵母だそうですが、イソエチ系の品の良い香りのするお酒でした。 

3.大吟醸 地帆紅(じぱんぐ) 

Dsc_0037_220年前に東京でも勝負できるお酒として20年前に発売したブランドのお酒で、前社長がつけた銘柄だそうです。 

山田錦40%精米のアル添した大吟醸です。飲んでみると少しガス感のあるお酒で、酵母は9号系酵母と18号系の酵母とブレンドですが、1番のお酒とは香がちょっと違いを感じました。もしかしたら9号酵母が強いお酒ではないかなと思いました。 

4.純米大吟醸 壱番纏 

Dsc_0038東洋美人の最高峰のお酒で、その中で、たった1升瓶10本しか取れない出品酒の上を行くお酒で、この銘柄のお酒は市販されているけど、このお酒は市販されていないそうです。 

山田錦40%精米の純米大吟醸、酵母は9号系と18号系の混合ですが、香は抑え気味でし、ふくらみがある感じではなく、ややシャープですが、欠点のないお酒でした。僕にはもう少し熟成して丸みをつけたい気がしました。でもこの蔵は熟成のお酒は出していないそうです。 

5.純米大吟醸 西都のしずく 

Dsc_0039西都のしずくは山口県が開発した酒造好適米で、精米度40%の純米大吟醸です。 

酵母は不明ですが、14号ではない自社酵母だそうです。香としては酸酸エチルの香りは少ないけどバナナの香のイソアミル系の香がして、後味にコハク酸の苦味を少し感じるお酒でした。 

人気のお酒のようで、今年は販売完了したようです。

 

 

6、純米大吟醸 斗瓶取り 

Dsc_0040最後のお酒は山田錦40%精米の純米大吟醸で、中どり斗瓶取りで少し濁っているお酒でした。これは味もしっかりし、厚みもあるし、とろみ感もあるとてもおいしいお酒でした。素晴らしいお酒で、市販されていません。 

どうしてこんな味になるのだろうと思ってお聞きしたら、中どりで火入れしていない生酒でだからだそうです。今まで飲んだお酒は殆ど1回火入れのお酒だそうです。 

山口県の品評会では残念ながら第2位だったそうです。僕はこの味ならトップでも良いなと思ったのですが… 

<最後に宜史さんにどんなお酒をこれから作っていきたいかをお聞きしました> 

僕の造りたいお酒は今僕が造っているお酒そのもので、稲をくぐりぬけたようなお酒ですと言われました。それはどういう意味ですかと聞きしたら、気をてらって受けの狙ったお酒(たとえば酸の強いお酒等)ではなく、王道の手法で欠点のないお酒を造りたいそうです。根っからの酒好きなので、高品質な日本酒らしいお酒を造りたいそうです。顕統さんは尊敬しているけど真似するつもりはないとも言われました。 

そのためには酒質のぶれのないお酒を目指すので、自動化で出来るところは出来るだけ導入するつもりで、今は麹は箱でやっていて手がかかるので、もっと安定した麹ができるものがあるのなら導入するつもりだと言われました。最後に、今日は大吟醸クラスばかりを飲んだけれども、純米酒レベルも飲んでみたいと言ったら、うちの酒は精米度が悪くなってもそんなに味は変わらないと胸を張っていたのが印象的でした。これからもっと完成度の高いお酒となっていく予感がしました。 

以上でお酒の紹介は終わります。 

次にお料理についてご紹介します。お料理の説明は本館の料理長の香山さんが説明していただきました。 

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<料理> 

1.先付け 

Dsc_0054最中の皮の中にイクラと鮟肝と酒粕ディップを入れたもので、皮には槐樹の焼き印が押してあります。 

以前槐樹で同じようなものをいただいたことがあります。最中の感触は酒のあつまみに合いますね

 

2.前采

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萩の名産の焼きかまぼこ(小田原と違って歯ごたえがある)にウニと葉ワサビ、金太郎(魚名)と子ワサビ、カラスミをそえたものと、長萩の黒かしわの炭火焼きです。 

3.造里 

Dsc_0059桜チップでの燻製の桜鯛と桜の葉とと昆布で〆た桜鯛のお造りです。 

リンゴのガリが添えてあります

 

4.揚げ物 

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 岩国レンコンとメバルの天ぷらです。岩国レンコンは穴が9つあるようなので、数えてみてください。 

5.強肴(しいさかな) 

Dsc_0063強肴とは懐石料理に出る肴ですが、今回はお魚ではなく、長州和牛の鉄板焼きです。 

蔵の近くに野生に咲いているクレソンが添えてあります

 

6.握り(剣先いかと初鰹)       7.貝出し汁蕎麦 

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8.水菓子 

環起のお酒を液体窒素でシャーベット化するという前代未聞の造りでした。 

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これでお料理の紹介は終わりますが、まさに特別料理のオンパレードでした。

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