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2016年6月26日 (日)

小泉酒造(東魁盛)は良い酒を造っています

先月文京区の湯島にある居酒屋「極楽酒場いざこい」で千葉県の小泉酒造(東魁盛)の蔵元をお呼びしてお酒を飲む会がありましたので参加して来ました。この会は一般社団法人「酒類ビジネス推進協会」が企画した会で、「第1回応援しよう!知られていない蔵のおいしいお酒の会」というものです。 

この社団法人は中小企業診断士の宮坂芳絵さんと酒の行政書士の石井慎太郎さんが代表理事をしている一般社団法人で、昨年立ち上げたばかりの協会のようです。業務内容は酒類業者に対するコンサルティングやマーケティング支援をする事業と酒類の関するセミナーや勉強会を企画する事業を通して酒類文化の伝承と地域活性化を図ろうということのようです。今回はおいしい日本酒を造る蔵の紹介する第1回目の企画でした。 

Dsc_0235

右の方が宮坂芳絵さんで、左の方が小泉酒造の専務取締役小泉文章さんです。 

僕が東魁盛のお酒を初めて飲んだのは2009年に千葉の成ホテル・ミラマーレで行われた千葉の酒フェスティバルだったと思います。その会場で専務取締役の小泉文章とお会し、大吟醸の紫紺を飲んだことが思い出されます。紫紺は小泉酒造の社長兼杜氏の小泉平蔵さんが明治大学出身でその応援旗の紫紺から採ったと聞いています。その時の様子は下記のブログを見てください。 

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-8c01.html 

それでは、最初に蔵の紹介をしましょう。蔵は富津市にありますが海辺ではなく、JR内房線の上総湊駅から東へ4kmほど入ったところにあり、山々に囲まれた盆地の入口にあります。そばには湊川が流れていて、田圃がありお米つくりやお酒造りに適したところのように思えます。 

創業は1793年だそうですからもう200年以上経つ老舗の蔵ですが、初代の小泉平蔵が名字帯刀を許された時この地にきたそうで、明治の初期に後を継いだ源蔵が大きく発展させたと聞いています。古くから吟醸酒造りに情熱を上げていて、酒質の向上のために早くから冷蔵庫の導入などをしてきたそうです。このような田舎の蔵でそんなことができたのは多分父の杜氏が先進的な方だったからではないかと思います。

そして今では毎年のように全国新酒鑑評会で金賞を取っていることは意外に知られていません。ここ20年の中で、金賞を取得した回数は千葉県で第2位の実力のある蔵です。 

現在の当主は小泉章さん改め小泉平蔵さんで、13代目にあたり、自ら杜氏として活躍されてきました。酒つくりは米つくりからと自分の田圃で自ら米つくりをするとともに、平成8年から消費者に喜ばれるお酒造りのために、試飲ができてお酒が買える「ソムリエハウス酒匠の館」を造りました。ここでは清酒だけでなく、大吟醸入りのソフトクリームや蔵元特製の甘酒等もいただけるようなので、一度覗いてみたいですね。平蔵さんはまだ67歳とお若いですが、最近足を痛めて蔵の力仕事は息子や蔵人に任せているそうです。 

その息子さんの文章さんは早稲田大学理工学部物理学科卒業で、26歳の時に蔵に戻って、現在33歳ですが、杜氏の父に酒造りを教わっただけで、他に蔵に修業に行ったことはないそうです。でも今では他の蔵人2人と酒造りをしており、今では実質的に杜氏の仕事をされていると言えます。 

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この写真を見てください。とても優しい顔立ちで、酒造りに苦労をしているようには思えませんね。たぶん酒造りを楽しんでおられるのではないかと思います。お話しぶりもちょっとシャイな感じですが、一切張ったり的なことは言いません。とても正直な方だと思います。彼にどうして「東魁盛」と名付けたのですかとお聞きしたら、「東の国の先駆けとして盛んになる」ということで、初代思いが現れた名前のようです。 

それでは早速お酒を飲んで、味わってみましょう。最近東魁盛のお酒を飲んでいなかったので、楽しみにしてきました。

お酒のラベルが文字だけなのですね。よく見るとお酒の酒質が詳しく書かれています。最近酒質を書かない蔵が多い中、こんな表示をするのはとても珍しく、正直者の文章さんらしいなと思いました。 

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 どうしてこのラベルにしたのですかとお聞きしたら、東京で唯一の東魁盛の酒販店である三和酒店(上野)と打ち合わせてこのラベルにしたそうです。まだ出したばかりなので、将来変わるかもしれませんとのことでした。現在のお酒の生産量は300石弱なので、扱っている酒販店は少なく、東京以外には、横浜の一石屋酒店栃木の菊地酒店の2軒だけだそうです。一石屋酒店のHPで確認すると、同じ酒と思われるものが全く違うラベルで販売していました。僕は文字表示は悪くないと思いますが、遠目からでもわかるように、色使い等を工夫すれば特徴があっていいかなと感じました。 

飲んだお酒は下記の通りです。 

1.斗瓶取り 大吟醸 東魁盛 山田錦 35% 火入れ 

2.純米吟醸 東魁盛 五百万石 55% 無ろ過生 

3.純米吟醸 東魁盛 五百万石 55% 火入れ 

4.斗瓶取り 純米大吟醸 東魁盛 山田錦 40% 

5.山廃純米 東魁盛 五百万石60% 火入れ 

6.山廃純米 東魁盛 五百万石80% 火入れ 

7.純米吟醸 夏 東魁盛 山田錦 火入れ 

8.本醸造 東魁盛 千葉ふさおとめ 火入れ 

1本1本解説します 

1.斗瓶取り 大吟醸 東魁盛 山田錦 35% 火入れ 

Dsc_0214アルコール17%、日本酒度+5、酸度1.2、酵母K-1801、火入れです。 

これは出品酒と同等な酒質だそうで、飲んでみるとカプロン酸エチルの香りの立ち方は抑え気味で、甘みも抑え気味だけど口の中で旨味がフラットに広がり、後味に綺麗な余韻が漂います。 

酸が少なめなので、余韻を一層楽しめるようで、アル添しているので、より綺麗さが出ている気がしました。 

これだけのお酒を造れるのは大したものです。 

2.純米吟醸 東魁盛 五百万石 55% 無ろ過生 

Dsc_0215アルコール16%、日本酒度+1、酸度1.3、酵母K-1801、無ろ過生原酒 

この蔵では珍しい生原酒です。口の中に含むと最少に澱からくる甘みとフレッシュさを感じてしまいますが、お米が自社生産米の五百万石のためか旨味が少し少ない気がしました。 

やや甘めに作っているのか、香が口の中の後半まで広がってきます。どちらかというと今はやりのお酒に近い感じがしました。 

3.純米吟醸 東魁盛 五百万石 55% 火入れ 

Dsc_0216アルコール16%、日本酒度+5、酸度1.4、酵母K-1801、瓶燗火入れ 

2番のお酒とは米違いと火入れ違い呑みのお酒です。飲んでみると辛味を感じてしまいました。日本酒度が+5になっているせいだと思い、専務にお聞きしたら搾りのタイミングが違ったためにそうなったそうです。 

僕にとってはもう少し甘めにして、カプの香りを引き出してもいいかなと思いました。 

4.斗瓶取り 純米大吟醸 東魁盛 山田錦 40% 

Dsc_0217アルコール16%、日本酒度-2、酸度1.4、酵母K-1801、瓶燗火入れ 

基本的には1番のお酒とは精米違いとアル添なしの違いだけですが、アルコールを入れる方が香がたってくるようです。 

飲んでみると1番のお酒ほど綺麗さはないけど、旨み成分が増えて飲みごたえがあるように思えました。日本酒度は-2ですが飲んだ後に少し辛みを感じたのはどうしてかな。

でもなかなかいいお酒に仕上がっていると思いました。

5.山廃純米 東魁盛 五百万石60% 火入 

Dsc_0218アルコール18%、日本酒度+1、酸度2.1、酵母K-1401、瓶燗火入れ 

山廃を造りだしてまだ2年くらいしか経験していないそうですが、飲んでみると綺麗さとさわやかな酸味が上手く出ている気がしました。 

酵母は14号系なので、イソアミル系のさわやかな香の中に少しだけ酢酸エチルのセメダインの香を感じますが、いい感じでした。山廃でこれだけのバランスが出せれば大したものだと思いました。 

 6.山廃純米 東魁盛 五百万石80% 火入れ 

Dsc_0219アルコール18%、日本酒度+0、酸度1.9、酵母K-1401、瓶燗火入れ 

6番のお酒とお米の精米違いだけですが、飲んでみると7番とはだいぶ違います。お米の旨みが少なく、飲んだ後にストンと消えてしまうキレのあるお酒でした。 

お米の精米度が悪いものを使っているので、もっとタンパク質からくる高級アルコールやアミノ酸を敢えて増やしてもっと濃厚にした方が面白いように思えました。 

7.純米吟醸 夏 東魁盛 山田錦 火入れ 

Dsc_0220アルコール13%、日本酒度-12、酸度2.1、酵母K-1801、瓶燗火入れ 

このお酒は夏酒用としてつくったお酒で、アルコール度数を抑えて飲みやすくしたおさけですが、飲んでみるとすっと飲めるけれども、味わいもあるお酒でした。 加水して薄めるとお酒のバランスが変わって美味しくなくなるので造るのが難しいお酒です。

加水して13%にしたのですかとお聞きしたら、仕上がりを13%強にして、少しだけ加水したお酒だそうです。これはなかなか作れない技術だと思います。

バランスが良いので食事を邪魔しない食中酒としていいお酒だと思いました

8.本醸造 東魁盛 千葉ふさおとめ 火入れ 

Dsc_0221アルコール15%、日本酒度+1、酸度1.6、酵母K-1401、火入れ 

このお酒は本醸造なので、アルコール添加(10%以下)しているお酒で、お米が地元の千葉ふさおとめ(精米度不明)ですが雑味の少ないきれいなお酒に仕上がっていました。 

どうしてそんなお酒を造れるのかお聞きしたら、本醸造でも大吟醸とおなじ手洗い限定吸水をしているからだそうです。 小さい蔵だから出来る技なのかもしれません。

1升2000円しないお酒ですから、お買い得です

以上で飲んだお酒の紹介を終わりますが、久しぶりにこの蔵を飲んで、まず出品酒の出来は昔と変わらず、相変わらず旨かったので安心しましたが、まだチャレンジして経験が薄いという山廃の出来が良いのに驚かれました。まだ安定性はかけるのかもしれないけど、将来楽しみです。それからアルコール度数の低いお酒をここまで仕上げたのは技術力を感じます。普通酒にも愛を感じました。

これだけのお酒を造れる技術力を持っている蔵なのに、首都圏であまり知られていないし、売っているところが少ないのは非常に残念です。きっと蔵の人数も少なく、営業に力を入れる余裕がなかったからかもしれませんね。

最後にこの蔵を紹介していただいた宮坂さんにお礼を言いたいと思います。僕はもともと良い蔵だとは思っていたのですが、こんなに幅広いお酒を造れる蔵になっていたとは驚きでした。

是非これからも酒類ビジネス推進協会のお仕事としてこの蔵の発展に貢献していただくことをお願いいたします。もしお力添えできることがあれば、微力ではございますが、ご協力いたします

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2016年6月15日 (水)

長野酒メッセ2016in東京 松本地方の蔵の紹介

長野酒メッセは昔はグランドプリンスホテル赤坂で行われていましたが、2013年に解体され、去年はグランドプリンスホテル高輪で、今年は品川プリンスホテルで開催されました。去年は佐久地方の蔵を中心に試飲をしてブログに書きましたが、今年は松本地方の蔵のお酒を飲みブログに纏めることとしました。

去年の佐久地方の内容は下記のURLをご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/2015-7cf9.html 

松本地方の蔵は会場案内の蔵番号の最後の方にありましたので、一番最後の蔵61番から54番まで蔵のお酒を飲むことにしました。結果的には松本地方だけでなくお隣の安曇野や塩尻の蔵も紹介することになりましたので、ご了解ください。 

では早速ご紹介に入りますが、東京の長野メッセは何しろ人が多いので、中々簡単には取材出来ませんので、最初から言い訳ばかりで申し訳ありませんが、お許しください 

1.EH酒造 

EH酒造は安曇野市にある蔵ですが、EH酒造となったのは平成15年(2003年)ですからとても新しい蔵です。それはEH(エクセルヒューマン)株式会社が昔からあった蔵を買収して出来た蔵ですが、従業員も杜氏も変わらない、酒質も昔のままの蔵だそうです。 

昔の蔵の名前は亀屋酒造店といい、江戸時代の後期に生まれたそうですが、昭和36年に3つの蔵が合併して「酔園酒造」となったそうです。どうしてEH酒造に買収されたかはよくわかりませんが、経営が苦しかったのではないでしょうか。EH株式会社はどんな会社なのでしょうか。 

EH株式会社は大阪の本社を持つ「より良い商品のみを製造し、消費者の皆さまに直接販売する製造小売業」をする会社です。創業は昭和39年で、取り扱っている商品は3000種以上あるそうで、その一例に医療機器マットレス、カステラ、お菓子、サプリメント等色々ありすぎて、中心の商品が何なのかわかりません。でも、今まで良いものを造っている会社をM&Aで買収し、それを育てることで、希少価値のある多品種の物を製造販売をしている会社のようです。社長は「世界で通用するような豊かな人間性を持つ人材、エクセルヒューマンを育てる」といっているそうですから、日本の中にある良い製品を選びだして、育てて世に出していくという中々面白い会社のようです。 

EH酒造は買収後、蔵の建て直したり設備の増強をしたりしましたが、その従業員の心を大切にして、完全に手造りで良いお酒を造ることだけをやってきたそうです。現在の生産高は1000石強のようですが、どんなお酒を造っているのでしょうか。 

Dsc_0156_2写真の方は常務取締役の飯田純一さんです。もともと酔園の蔵元の息子さんだそうで、蔵のお酒について教えていただきました。杜氏は75歳を超えるベテラン北條勝一さんがやっておられ、EH酒造になって造る量は増えたけれども、昔からの味を大切にし、味があるけど後口に残らないようなお酒を目指しているそうです。そして、昔からの技術を若い人に伝える努力をしているそうです。いいですね。 

4合瓶12000円の山田錦30%精米純米大吟醸 どん蔵を飲みましたが、これは単に綺麗だけでなく味わいもあり、さすがという感じです。大吟醸鬼かん持ってもらいましたが、これは山田錦39%精米のアル添酒ですが綺麗さがあって飲みやすい酒でした。 

この蔵は18号系の酵母を多く使っていますが、それほど香りを出さないで、旨味と綺麗さを出すのが上手いようで、なかなかの蔵だと思いました。コスパーを狙うのなら、信濃の国酔園 特別純米1升3000円かな。 

2.美寿々(みすず)酒造 

この蔵は塩尻にあるくらですが、JRの塩尻駅と洗馬駅の両方から2kmくらい山の方に行った標高750mのところにある蔵です。創業は明治26年ですが、この蔵のお酒を語るにはこの人を紹介しないといけません。 

Dsc_0158この蔵の4代目の社長兼杜氏の熊谷直二さんです。直二さんは東京農大を卒業され、現在60歳ですから、出羽桜の仲野さんより6つ上のベテラン杜氏です。 

僕が初めてお会いしたのは、第1回の長野メッセだと思いますが、それ以来毎年のようにお会いしています。この蔵は大吟醸以外は美山錦を使っていますが、その美山錦の旨さを引き出す腕は天下一品だと思います。 

でも遊び心も一杯で何か面白そうな造りを毎年楽しんでいます。今年は本醸造生原酒かな。シャープな感じの中にとろっとした味わいもある良いお酒でした。でも何年たっても生産量は300石と一定です。どうしてと聞いたら、一人で造っているのでこれ以上は無理ですと言われました。 

Dsc_0159_2彼の酒はどのお酒を飲んでもおいしいけど、どれか1本を選ぶとしたら純米吟醸無ろ過生かな。美山錦とは思えない旨味甘みが最初に来て、綺麗な酸とともに消えていくバランスです。今年から池袋の升新で扱うようになったそうです。一度飲んでみる価値はあるよ。 

山田錦39%の大吟醸は1升5000円しないけど、凄いうまい酒でした。これ東京で売れるよと言ったら、たった600本しか造っていないので出せないそうです。絶対に売れるのに、欲がない人だな・・・・  

3.笑亀酒造 

この蔵も塩尻市にありますが、塩尻駅から東に2kmほど行った町の中にあります。創業は明治16年ですからそれほど古い蔵ではありません。笑亀と嘉根満というブランドを造っていますが、嘉根満(かねまん)というのは創業の時につけた酒屋の名前のようです。社員4人で生産高300石位の小さな蔵ですが、一昨年秋より中乗さんの杜氏をしていた森川貴之さんが来られてから酒の質が上がったと言われています。 

Dsc_0162この方が森川杜氏です。僕は森川さんとお会いしたのは去年地酒屋「こだま」さんが企画した「長野県9蔵の蔵元の会」に参加した時が初めてですが、今回お会いした時、最初全く森川さんとは気がつかなかったのです。  

その証拠をお見せします。去年の写真はこんな感じでした。メガネをかけているし、髭を伸ばしているので、これ、完全に叔父さんの雰囲気ですよね。今回はずっと若者になっていました。どうしたんでしょうか。 

Dsc_0068どうしてこの蔵に来たのですかときたら、ここが地元だからと応えてくれましたが、こちらに彼女がいるからではないかと聞いたら、笑っていました。でも結婚して高校生の子供がいるなんて見えませんね。 

Dsc_0163今回は貴魂という新しいブランドのお酒を試飲しました。このお酒シリーズは味わいの違う4種類の酸味を持つお酒を造ったそうです。お客様にこの酸を違いを楽しんでもらうつもりで、自分の趣味の感覚で造ったそうです。ですから、酒の銘柄に自分の名前の貴と自分の心の魂をつけているとことに気合いを感じますね。 

皆さんの評判を聞いて発売していくそうです。4種類の貴魂は色によって分けてありました。 

・ 貴魂 赤 純米吟醸 18号酵母
・ 貴魂 白 純米生酛 生酛の酸  
・ 貴魂 黒 純米 コハク酸 長野C酵母
・ 貴魂 青 純米 クエン酸
 

この写真のようにラベルには詳しく酒質が書かれていますが、他のお酒の写真を取るのを忘れてしまいましたので、酒質が良く判らなかったのが残念です。 

 赤は酸味が後ろ隠れているけど、しっかり感じながら、飲みやすいお酒

・ は生酛のしっかりした酸があるけど、味が複雑で食べ物がほしくなるような酸

・ はコハク酸があるので後味に貝の出汁のような苦味があるので、人によっては嫌かな。長野酵母Cは昔のアルプス酵母でイソアミル系なのかもしれません

・ はクエン酸が強いので酸っぱいお酒。白麹を使ったのではないかな。
 

僕は森川さんはチャレンジブルで、腕のあるしっかりした杜氏だと思いました。これからどんな酒を出していくのか楽しみですね。大いに期待しています。 

4.亀田屋酒造 

この蔵は松本駅から上高地線に沿って3kmほど西に行ったところにあります。創業は明治2年で、初代は亀井半十郎さんでしたが、現在は6代目の竹本祐子さんが当主となっています。 

竹本さんは先代の社長の次女で、上智大学を卒業後米国で仕事をするエリート女性でしたが、結婚されたのち28歳の時に蔵の後を継ぐために松本に戻ってきたそうで、38歳の時に社長になられました。その頃は日本酒の消費量が落ちてきて、経営が苦しくなっていたので思い切って蔵の方針を変えたそうです。 

この蔵は長野高速道路の松本インターを降りて上高地に向かう道路の近くにあることから、酒瓶を貯蔵していたプレハブ倉庫を壊して観光バス用の駐車場にし、母屋の見学、酒蔵見学、お酒の試飲販売だけでなく、最近は酒造りの体験講座も始め、いわゆる観光酒蔵として消費者に直接お酒を販売する方向にかじを取ったようです。 

観光酒蔵をすることにより、消費者と直接対話して色々な要望を知り、リキュールや濁り酒、酒粕を使った石鹸、純米酒を使った美容水など新しい商品の製造販売までするようになったそうです。日本酒の生産量は300石くらいだそうですが、日本酒味はどうなのでしょうか 

Dsc_0164この方が杜氏をしている清都幸広さんです。東京の蔵で修業をされて方この蔵に入られたと聞いております。 

持っていただいたのは秀峰アルプス正宗の大吟醸と純米大吟醸です。大吟醸は山田錦39%精米の18号酵母を使ったお酒で、純米大吟醸は美山錦40%精米の9号系酵母のお酒です。 

この二つは味わいがだいぶ違うようで、大吟醸はカプロン酸の綺麗な香りが出ているものの、少しシャープな切れの良いお酒で、純米大吟醸はなめらかですっきりとした味わいでした。 

この蔵のお酒は切れ味を大切にした造りをしているようで、大吟醸レベルの酒の味はよく、観光蔵とは思えない洗練された味わいで、関東信越国税局や全国新酒鑑評会で数々の賞を取っているようです。 

5.大信州酒造 

この蔵の本社は松本市島立にあり、亀田屋酒造店とはとても近いですが、製造蔵は長野市豊野町にあります。ここは長野駅から北しなの線の信濃浅野駅の近くです。随分離れたところにあるのですね。創業は明治21年ですが、今では毎年数々の賞を取っている長野県では有名な蔵の一つとなっています。生産高は1300石位だそうです。 

下の写真は右の方が社長の田中隆一さんで左の方が常務取締役製造部長の田中勝巳さんです。兄弟二人で力を合わせてやっていますが、勝巳さんは豊野蔵で杜氏のお仕事をされています。 

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この蔵には酒造りのこだわりがありますのでちょっと説明します。それは一言で言うと、自然と対話し、酒と対話し、そして人と対話し、決して逆らわず、静かに調和をとることだそうですが、ちょっと抽象的すぎるので、もうちょっと説明すると以下のようになります。 

・ 長野のお米と水と使ってすべての工程を手造りでやること(山田錦は別)

・ 造りの基本は一に蒸し、二に蒸し、三に蒸しで、良い蒸し米から始まる

・ 殆どの酒は無ろ過で低温瓶貯蔵をする

・ 仕込みタンク一本一本の違いを大切に瓶詰するシングルカスクである
 

こうやって生まれてくる酒に悪いものはないはずですが、飲んでみました。どのお酒もいいバランスで仕上がっていますが、気にいったお酒は2つ。一つは純米大吟醸「手いっぱい」。このお酒は原料米の選抜から精米、麹、醸造、貯蔵に至るまで出来る限り力を尽くして仕上げたの言う意味だそうです。この会場で飲んだ時はちょっと膨らみは足りないしちょっと引っかかる感じでしたので、二カ月後に升新商店で買って飲んでみましたら、全く違った印象でした。軽やかな香りと丸みを持った旨味がゆっくり口の中を広がっていき、綺麗に消えていくお酒でした。勝巳さんが造ったばかりですからまだ膨らんでこないのでしょうと言われたことが良くわかりました。 

山田錦35%精米の2年熟成の大吟醸「香月」はとても柔らかく優しい中に綺麗な旨味がゆっくり広がるとてもおいしいお酒でした。4合瓶で5400円しますが、飲んでみたいお酒です。香月にはいろいろな種類があって、価格が大幅に違いますのでご注意を! 

この蔵のお酒は基本的には綺麗なお酒が多いですが、口に含んだ時にぱっと広がるのではなく、ゆっくり広がり、お酒のよってその余韻の感じが違うお酒を造る蔵だと思います。 最近こういうお酒が少なくなってきていますね。

6.笹井酒造 

この蔵は松本市内の島内地区にある蔵で,、松本駅から北に3kmほど行った奈良井川のそばにあります。創業は大正12年ですから比較的若い蔵です。北アルプスの伏流水を使って、地元の契約栽培のお米を使って、すべて400kg以下の小仕込みを行い丁寧はお酒つくりをしている小さな蔵(生産高300石)です。 お酒の銘柄は笹の誉です。 

Dsc_0166写真の方は蔵元で杜氏の笹井康夫さんです。笹井さんは蔵元の人ですが、次男だったので蔵を継ぐつもりがなかったので、東京農大を出て、事情があって30歳の時蔵に戻ったそうです。蔵に戻ってから愛知の蓬莱泉や岐阜の女城主で修業をしたそうです。彼が杜氏になってからやや甘めのお酒を仕込むようにしているそうです。 

でも何か新しいことにチャレンジしています。今年から 純米大吟醸も純米吟醸も特別純米もお米はひとごこちで、精米度を50%にしています。価格は大吟醸が4合瓶で1800円、純米吟醸が1600円、特別純米が1500円です。同じお米でも値段の差をつけらる腕があるのだということなのでしょうか。 

もうひとつ面白いお酒を見せてもらいました。同じひとごこちでも農園によって味の違うお酒ができると言うのです。浜農園の純米吟醸と赤羽農園の特別純米では味が違うというのです。この2つのお酒は純米吟醸と特別純米という区別になっていますが、酵母も精米度もおなじなので、同じ味になるはずですが、飲んでみると浜農園の方が旨味を感じ、赤羽農園の方が綺麗でさっぱりした感じでした。 

この差がどうして出るかというと、浜農園田圃は砂利質で養分が砂利にしみこみやすいので、米が一所懸命根を張って養分を取ろうとするのに対して、赤羽農園の田圃は粘土質で下に染み込まないので、米が根をあまり張らないで育っているので、味が薄いと説明でしたが、僕にはちょっと信じられません。でも米の差が判るほど、米の味を引き出せる技術があるということは確かではないでしょうか。今後の新しいチャレンジをまた期待しています・・・ 

7.善哉(よいかな)酒造 

この蔵は松本市内の松本城近くにある蔵です。創業は江戸末期らしいですが、昔はこのあたりに多くの造り酒屋があったそうです。でも今では市街地に残る唯一の蔵になったしまったそうです。敷地内に地下30mから噴き出している湧水を「女鳥羽の泉」と名付けて仕込み水として使っているそうですが、この湧水は誰でも汲んでよいので、地元の人が行列をつくって汲みに来ているそうです。 

Dsc_0167この方が杜氏の根岸則夫さんです。蔵の生産量は200石と非常に小さな蔵ですが、伝統の技をまもって地道に精魂こめて酒造りをしています。昔は社長の穂高さんが杜氏をしていたそうですが、5年ほど前から蔵人であった根岸さんが杜氏をしているそうです。 

ここの酒はどのお酒も優しさを感じます。持っていただいたのは善哉上撰(本醸造)ですが、1升1900円の割にはいいお酒です。もう少し後味の綺麗さがあるともっといいのですが。

以上で松本地区の蔵の紹介を終わりますが、実はもう一つ蔵があったのです。それは岩波酒造です。僕も終盤になって酔っぱらったために、通り過ぎてしまったようです。ごめんなさい。いずれ紹介する機会があればと思っています。

今年グランドプリンスホテル赤坂は今は東京ガーデンテラス紀尾井町として今年竣工しましたので、来年はここに戻ってくれると嬉しいな。無理ですか? 

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2016年6月 8日 (水)

東洋美人のお酒は確実に進化しつつあります

ちょっと古いお話で恐縮ですが、桜の咲き始めるころに白金の八芳園で第13回蔵元さんと一緒に日本酒を飲む会が開かれましたので、参加して来ました。今回は東洋美人の銘柄で有名な澄川酒造の蔵元兼杜氏の澄川宜史(たかふみ)さんをお招きしての会でした。いつもは八芳園の日本料理の槐樹で15人程度と比較的こじんまりと行われるのですが、今回は八芳園の本館のサクレという会場を使って、約30人規模で行われました。澄川さんのフアンクラブの方のサポートを受けた、拡大イベントのスペシャルバージョンでした。 

結構式披露宴にも使われる広々とした会場にゆったりと着席しての会となりました。 

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お料理は槐樹のお料理だけでなく、本館、壺中庵の料理長と料理人が腕をふるった特別メニューで、値段据え置きというまさに特別イベントでした。 

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用意されたお酒もちょっと見ていただきましょう。詳しくは後で説明しますが、殆ど市販されていない大吟醸クラスが6種類でした。一番左端は仕込み水です。 

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それでは早速澄川さんに登場してもらいましょう。 

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とてもダンディでお洒落な芸能人のような雰囲気を持った方ですが、お酒造りにはとても厳しいそうで、バリバリの杜氏として活躍されている方です。 

今回のイベントを説明する前に澄川酒造と宜史さんの紹介をします。 

<澄川酒造> 

蔵は山口県の萩市中小川にありますが、萩市と言っても観光地として有名な萩市からは30kmほど北東に行った直ぐ島根県の県境に近い田舎にあります。一番近いJR駅は島根県の益田駅のようです。近くに田万川が流れ、裏山から湧きだす石清水が豊富で、米どころですからお酒造りには適したところだと思いますが、出来たお酒は消費地に運ぶのは大変だったのではないでしょうか。 

創業は1921年ですがその後の詳しいことはホームページがないので、良くわかりませんが、東洋美人という銘柄は初代が亡くなった奥さまを偲んで付けられたことのようですが、良い名前ですねと宜史さんにお聞きしたら、本当のことは資料もなくなって良くわかりませんが、この名前は大切にしたいと言われました。この蔵が注目を浴びたのは宜史さんが蔵に戻ってからです。 

<澄川宜史さんについて> 

では宜史さんはどんな人なのでしょうか。宜史さんは1973年に蔵の長男として生まれましたが、蔵を継ぐことはあまり意識していなかったようで、でも蔵を継がなくてはいけないと、2年ほど浪人して東京農大に入ったそうです。まだその時は自分で酒造りをするつもりはなかったそうですが、大学3年生の時に東京農大の5年先輩がいる山形県の高木酒造で研修をしたのが彼を大きく変えた切っ掛けになったようです。 

高木酒造の跡取りであった高木顕統(あきつな)さんは自ら製造責任者として真剣に酒造りをし、日本酒業界の若きスタートして注目を浴びていたのです。その姿を見て自分も自ら酒を造る決心をしたそうです。 

そして、24歳で蔵に戻り、蔵の但馬杜氏の下で2年間みっちり指導を受けた後、1999年には蔵の杜氏となったそうです。当時の蔵の生産高は300石程度であり、細々生活することはできたレベルでしたが、もっと大きくしたいと市場を東京に求めて営業することになります。その後は長谷川酒店など多くの人のお力添えで、15年後には1300石位の生産高までにしたそうです。 

僕は2009年の第1回やまぐち地酒維新の会に参加して、宜史さんに初めてお会いしました。その時に感じた東洋美人のお酒の味は、上品で綺麗なお酒だけど、ちょっと線が細いかなというイメージでした。でも、蔵の近くで栽培した畑違いの山田錦を楽しむために造ったお酒で、田圃の番号の付いた3種類のお酒を飲んだのが印象的でした。ワインのテロワールの日本酒版ですよね。3種類のお酒を飲んだら、味がちょっと違うのでこれ本当に畑違いの差だけですかとこっそり聞いたら、造りが違うと聞いて、ちょっとがっかりした想い出がありますが、僕はそのやり方にはちょっと不満はあるものの、日本酒テロワールにチャレンジする発想が凄いなと感心したことを思い出します。 

その後、2013年7月に大雨で近くを流れる田万川が氾濫し、蔵全体が2m以上の泥水に浸かる大災害を被るのですが、その後宜史さんの対応が凄いと思いました。蔵は泥まみれで、手のつけようもなかったけれども、全国の蔵や酒販店さんの応援で復旧は比較的スムーズにいったそうです。特に同期の伯楽星の新澤さんには蔵の再構築に関する色々なアドバイスをもらったそうです。 

蔵の殆どの設備は使い物にならないので、修理できるものは修理し、壊れたものは新品を購入することにしたけど、どうせやるなら、とことん新しいものを検討し処理量も増量でき、且つ手のかからない設備の導入をすることにしたそうです。そして、5億円の借金をして3階建の新しい建て屋を建設し、2014年12月には一部稼働にこぎつけたそうです。 

水害を受けて全く零からのスタートとなったことをきっかけに、今まで出来なかった蔵の導線の改善、手のかかる設備を思い切って新しいもの(自動洗米浸漬装置やNSK搾り機の導入など)へ切替により、酒質の一層の向上を狙ったのは、彼の酒造りに対する意地とプライドの高さの表れのような気がします。そして去年の生産高は既に2500石になったと聞きましたが、今後少しずつ設備増強をして最終的には5000石を目指すそうです。 

この蔵のお酒つくりは地元産の山田錦をベースとしていますが、2014年には「原点シリーズ」として、酒未来、出羽燦々、雄町、愛山を使った精米50%のお酒を出しました。1年でその生産を完了し、去年からは精米度を40%に上げた新しい「原点からの1歩ippo」シリーズを出しています。災害からの復活で大変な時期に新しいブランドを立ち上げるなんて、とても前向きな気持ちが伝わってきます。 

酒未来については宜史さんの酒造りの思いが伝わるエピソードがあります。酒未来は高木酒造が開発した酒造好適米で、高木酒造がその実力を認めた蔵だけにその使用を認めているお米で、その中で澄川酒造は早くからその使用を認められていました。でも彼は直ぐにはそのお酒を世に出さなかったのです。それは良いお米だけに仕込み具合、酵母の選択など色々試験をして5年間も試行錯誤をして出したのです。まさに宜史さんの酒造りにかける思いをよくあらわしているエピソードだと思います。 

本日の会場の彼の姿はいつ大災害にあったのだろかとおもわせるほど、かっこいい姿になって現れたのに驚かされましたが、お姿だけでなく、お酒の味が単に綺麗場だけでなく、一層深みを増しているのをしり、驚いてしまいました。 

では早速飲んだお酒を紹介しましょう。 

1.純米大吟醸 環起(かんき) 

Dsc_0035水害にあってから初めて酒造りを再開することを決意するきっかけになったお酒だそうです。米は皆様方からいただいた地元の山田錦で、助けていただいた人の思いが込められたお酒だそうです。 

山田錦は無農薬の地元のお米で精米度は40%の純米大吟醸で酵母は9号系と18号酵母のブレンドです。甘みを少し抑えてカプロン酸の香を抑え気味に仕上げていました。旨さがあるのでなかなかいい感じです。 

2.純米大吟醸 直ぐみ 一歩(ippo) 

Dsc_0036昨年から月に2回出荷しているいお酒で、3-4月はおりがらみ、5月が山田錦、6月は酒未来、7月が出羽燦々、8月が雄町、9月が愛山を出す予定のお酒のなかで、麹が山田錦40%、掛米が50%の純米大吟醸です。 

しかも、今回のお酒は全量山田錦の純米大吟醸ですが、社長自らが蔵で直接直汲みして瓶詰めした搾りたての生酒なので市販されていません。 

酵母は14号系ではないが自社培養の酵母だそうですが、イソエチ系の品の良い香りのするお酒でした。 

3.大吟醸 地帆紅(じぱんぐ) 

Dsc_0037_220年前に東京でも勝負できるお酒として20年前に発売したブランドのお酒で、前社長がつけた銘柄だそうです。 

山田錦40%精米のアル添した大吟醸です。飲んでみると少しガス感のあるお酒で、酵母は9号系酵母と18号系の酵母とブレンドですが、1番のお酒とは香がちょっと違いを感じました。もしかしたら9号酵母が強いお酒ではないかなと思いました。 

4.純米大吟醸 壱番纏 

Dsc_0038東洋美人の最高峰のお酒で、その中で、たった1升瓶10本しか取れない出品酒の上を行くお酒で、この銘柄のお酒は市販されているけど、このお酒は市販されていないそうです。 

山田錦40%精米の純米大吟醸、酵母は9号系と18号系の混合ですが、香は抑え気味でし、ふくらみがある感じではなく、ややシャープですが、欠点のないお酒でした。僕にはもう少し熟成して丸みをつけたい気がしました。でもこの蔵は熟成のお酒は出していないそうです。 

5.純米大吟醸 西都のしずく 

Dsc_0039西都のしずくは山口県が開発した酒造好適米で、精米度40%の純米大吟醸です。 

酵母は不明ですが、14号ではない自社酵母だそうです。香としては酸酸エチルの香りは少ないけどバナナの香のイソアミル系の香がして、後味にコハク酸の苦味を少し感じるお酒でした。 

人気のお酒のようで、今年は販売完了したようです。

 

 

6、純米大吟醸 斗瓶取り 

Dsc_0040最後のお酒は山田錦40%精米の純米大吟醸で、中どり斗瓶取りで少し濁っているお酒でした。これは味もしっかりし、厚みもあるし、とろみ感もあるとてもおいしいお酒でした。素晴らしいお酒で、市販されていません。 

どうしてこんな味になるのだろうと思ってお聞きしたら、中どりで火入れしていない生酒でだからだそうです。今まで飲んだお酒は殆ど1回火入れのお酒だそうです。 

山口県の品評会では残念ながら第2位だったそうです。僕はこの味ならトップでも良いなと思ったのですが… 

<最後に宜史さんにどんなお酒をこれから作っていきたいかをお聞きしました> 

僕の造りたいお酒は今僕が造っているお酒そのもので、稲をくぐりぬけたようなお酒ですと言われました。それはどういう意味ですかと聞きしたら、気をてらって受けの狙ったお酒(たとえば酸の強いお酒等)ではなく、王道の手法で欠点のないお酒を造りたいそうです。根っからの酒好きなので、高品質な日本酒らしいお酒を造りたいそうです。顕統さんは尊敬しているけど真似するつもりはないとも言われました。 

そのためには酒質のぶれのないお酒を目指すので、自動化で出来るところは出来るだけ導入するつもりで、今は麹は箱でやっていて手がかかるので、もっと安定した麹ができるものがあるのなら導入するつもりだと言われました。最後に、今日は大吟醸クラスばかりを飲んだけれども、純米酒レベルも飲んでみたいと言ったら、うちの酒は精米度が悪くなってもそんなに味は変わらないと胸を張っていたのが印象的でした。これからもっと完成度の高いお酒となっていく予感がしました。 

以上でお酒の紹介は終わります。 

次にお料理についてご紹介します。お料理の説明は本館の料理長の香山さんが説明していただきました。 

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<料理> 

1.先付け 

Dsc_0054最中の皮の中にイクラと鮟肝と酒粕ディップを入れたもので、皮には槐樹の焼き印が押してあります。 

以前槐樹で同じようなものをいただいたことがあります。最中の感触は酒のあつまみに合いますね

 

2.前采

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萩の名産の焼きかまぼこ(小田原と違って歯ごたえがある)にウニと葉ワサビ、金太郎(魚名)と子ワサビ、カラスミをそえたものと、長萩の黒かしわの炭火焼きです。 

3.造里 

Dsc_0059桜チップでの燻製の桜鯛と桜の葉とと昆布で〆た桜鯛のお造りです。 

リンゴのガリが添えてあります

 

4.揚げ物 

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 岩国レンコンとメバルの天ぷらです。岩国レンコンは穴が9つあるようなので、数えてみてください。 

5.強肴(しいさかな) 

Dsc_0063強肴とは懐石料理に出る肴ですが、今回はお魚ではなく、長州和牛の鉄板焼きです。 

蔵の近くに野生に咲いているクレソンが添えてあります

 

6.握り(剣先いかと初鰹)       7.貝出し汁蕎麦 

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8.水菓子 

環起のお酒を液体窒素でシャーベット化するという前代未聞の造りでした。 

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これでお料理の紹介は終わりますが、まさに特別料理のオンパレードでした。

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2016年6月 4日 (土)

インフィニット日本酒中級コース第5回(オフフレーバー)

これまで4回の講義で日本酒の香が何から生まれてきたかを勉強して来ましたが、それはすべて日本酒が造られる過程において発生する物質が生み出すものであり、どの成分がどのくらいあるかはお酒によって違うけど、色々な香がまじりあって生みだされるものであることは確かです。 

香は一般的に強い香りが弱い香りをマスキングしてしまうので、何気なく香を嗅ぐとその強い香に引っ張られて弱い香りは気がつかないことが多いけれども、注意深く奥にある香を利きわけていくと、いろいろなことが判ってくるようです。そのわずかな香の違いから日本酒の製造工程で何が起きているかも想像できると先生は言われます。でも僕にはそれは大変難しくいつになったらそんなことができるか、全く自信はありません。 

でも、そのわずかな香を利きわけるためには、日本酒の酒質からどんな成分があるだろうということを気にかけてイメージして利きわけていくうちに、これではないかと感じるようになると言われました。そのつもりで努力していますが僕にはなかなか難しいです。 

その僕にも判る香があります。それはオフフレーバーです。オフフレーバーとは食品成分自身の化学変化や,外部からの物質の混入によって食品の品質が劣化して二次的に生じる異臭,変質臭,悪変臭などをいいます。僕もそれを感じた経験があります。それはある蔵で日本酒を搾る時に使う薮田のフィルターから出る薬臭い香に悩まされたことがありました。僕はものすごく強く感じた異臭でしたので、その蔵の人にお聞きしましたが、自分はわかるけど一部の人にはあまり感じないとのことでした。感じるかどうかはその人の能力で違いますが、こんな異臭があるものを世に出すのは良くないので、その原因の特定し改善するする必要があります。でもTOPが理解してくれないとその対策はなかなか難しいと聞いています。 

今回の講義はそのオフフレーバーにはどんなものがあり、どこで生まれるかを勉強するとともに、それが含まれるお酒を試飲して体験することになりました。 

復習になりますが、先ずは正常な日本酒が醸しだす香りから簡単に説明していきます。 

1.原料系の香り:

   米由来の香りで、濁り酒、無ろ過生原酒で澱が残っていると多く感じますが、濾過をすると減少します。硬度の高い水を使った場合は鉱物的香がすることもあるようです。 

2.アルコール:

   アルコール添加したお酒を活性炭濾過をすると香りが消えるので、強く感じるそうです。 

3.乳酸系の香:

   酸度が高くなると乳酸の香りがします。ワインではバターのような香ということもあるそうです。 

4.アセトアルデヒド:

  青臭い香とかスウットした感じの香りとか、木香様臭(杉の木の香り)といわれます。少し枯れた感じなのにツンとする香ともいわれます。お酒を造った後、酸化すると出てくるので、熟成した時に出るフラノンの後ろに感じるそうです。火入れすると消えていくそうです。 

5.カプロン酸エチル:

 リンゴやメロンと言われますが、濃度が高くなるとパイナップル的になり、さらにミルク臭になるそうです。脂肪酸の香に近づくようです。 

6.酢酸エステル:

 酢酸イソアミルはバナナや洋ナシの香り、酢酸エチルはセメダインの香がします。 

7.高級アルコール

  高分子のアルコールなので油性マジックの香だそうですが、濃度が増えると蝋のような香になります。フェニルアラニンが分解すると花の香りが出ることもあるそうです(稀)。 

8.脂肪酸エステル:

  油の香りであり、高級アルコールとの差は見分けにくいそうです。 

9.フラノン:

  熱変化や貯蔵、熟成で出てくる香で濃くなるとカラメルのような香になります。さらに長期熟成すると梅酒にようになることもあるそうです。 

以上に示した香は日本酒ならば出てきても仕方がない香りですが、オフフレーバーは造りの途中で外から入ってきたり、生成して出来る香なので、その香りが心地よい香りならば良いのでしょうが、ほとんどが異臭と言われることが多いようです。 

<オフフレーバー> 

1.4VG 

4ビニルグアヤコールと言われる物質で、グローブ(丁子(チョウジ))とスモーク臭の香が混じった香がします。人によっては甘く、スパイシーな香とか蛸酸ウインナーの香りとも言われます。ビールの世界ではドイツのバイツエンのビールが4VGに由来するスモーキーな香がすることで有名です。泡盛の焼酎では原料中のフェルラ酸が蒸留中に4VGになると言われています。ですから4VGは異臭とはいえないとも考えられますが、ワインの世界や日本酒の世界ではオフフレーバーと認識されています。 

日本酒の場合は自家培養の酵母、特にイソアミル系の香りを出す酵母の中に、4VGを出してしまう酵母があるようです。また、麹から持ち込まれる細菌が4VGを出すという研究もあるようです。4VGの香は必ずしも嫌な香りとは言えないけれども、酸味と苦みが強く出るので、日本酒の本来の味にはないものとしてとらえられており、日本では県の醸造試験所が4VGは出さないように指導しているそうです。 

2.樹脂とロウ 

発酵が終わり切っていない時で、タンパク質が溶けきっていない時に火入れすると蛋白混濁が起こり、白く濁ってしまい、粒子が小さいので全く沈澱しない濁ったお酒になるそうで、ロウ臭がします。これは完全に管理ミスで起こるトラブルです。 

生酒で出てくることがあります。それは高級アルコールが含まれている時に温度を冷やすと、油が固形物になって混濁するそうで、凄いロウがするそうです。出荷した時に香を確認しないする必要があります。 

3.オイル 

ミシン油のような機械油のオイルの香がすることがあります。酸度が2以上で生の場合に出る可能性が多いようです。オフフレーバーかどうかはぎりぎりの香であるが、決して心地いいものではないそうです。 

4.硫黄 

磨きが60%以上で、アミノ酸が多い時に熟成するとチオールを多く造ってしまい硫黄の香がするそうです。酵母の代謝で造られるようです。 

5.TCA 

トリクロロアニソールという物質でカビ臭がします。これは塩素消毒した器具を使用した時に起こるそうです。残留塩素が少しでもある器具を使用するとか、濾過機のフィルターの濾紙に何らかの理由で塩素物質が付いた場合でも起こるそうです。空気中に飛散をした塩素化合物が付着する程度でも起こるようです。 

カビ臭というより湿った押入れの香といった方が良いかもしれません。ワインではコルク臭と言われるもので、コルクが消毒用の塩素物質で汚染された時にワインに移るようです。 

6.ジアセチル 

乳酸の香りとセメダイン臭が重なった香で、僕は一度この香のお酒を飲んだことがありますが、乳酸が腐ったような香のように思えました。 酸度が高くて甘みが多いお酒で、酵母が活性がまだある時に搾るとアセト乳酸ができるが、それがすぐ酸化してジアセチルとなるようです。搾ったお酒をすぐに瓶詰めするとその時にはジアセチルは出来ていないが、しばらく経つと出てくるようなので、要注意の物質です。搾ってすぐ火入れすれば出ないそうです。 

7.ムレ香 

殆どがイソバレルアルデヒドの香です。醪の温度を一気に上げる時に出やすいそうです。また、高温糖化酛でも出る可能性があります。ムレた香と同時にカプロン酸エチルも出ることが多いので、それを良しとしている蔵もあるようですが、基本的にはオフフレーバーとすべき香だそうです。 

以上でオフフレーバーの紹介を終わりますが、次にオフフレーバーがあるお酒の試飲をしました。 

<試飲したお酒>

試飲したお酒は下記の6種類ですが、この中には明らかにオフフレーバーがあるお酒と全くないお酒、オフフレーバーかどうかが難しい中間的なお酒も入っていました。 

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1.仙禽 雄町 純米大吟醸 雄町35、50%精米 生原酒
  Alc度15、日本酒度-2、酸度2.3、AA度:- 酵母 栃木酵母
 

2.仙禽クラシック 純米大吟醸 雄町50%精米 火入れ
  Alc度15、日本酒度-2、酸度2.3、酵母 栃木酵母
 

3.豊の秋 豊秋庵 純米吟醸 山田錦と五百万石55%精米 
  Alc度15-16、日本酒度+2、酸度1.5、酵母 9号系
 

4.ロ万  純米吟醸 五百万石と夢の香 60%精米 
  Alc度16、日本酒度+0、酸度2.0、酵母 F7-01号
 

5.白岳仙 純米吟醸 五百万石 55-58%
  Alc度15-16、日本酒度+5、酸度1.4、酵母 自社酵母14号系
 

6.吟の里 順子 純米酒 その他詳しいことは不明

以上の6種類のお酒ですが、まず色を見てみましょう。左から番号順に並べてありますが、色を見る限り大きな差はないようです。

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それでは順番に説明します。

1.仙禽 雄町無ろ過生原酒:

  香を嗅ぐと乳酸とセメダインが混じったような軽いジアセチルの香りがしました。生なのでアセトアルデヒドの青臭い香りもしていますが、ジアセチルの香以外は特にいやなものはありません。人によっては問題ないと言う人がいましたが、先生はアウトの判断でした。僕も気になりましたが、オフフレーバーにするかどうか微妙な所です。酸度が高く甘酸っぱいお酒によく起こるようです。今回たまたま出たのではと思われます。

2.仙禽 クラシック 1回火入れ:

  ジアセチルの香りは全くなく、栃木酵母らしいイソエチとカプが混じった綺麗な香りがして、心地よく飲めました。でも味的には1.の生の方がバランスが良いように思えたのは不思議です。スペック的には1とほぼ同じですが、火入れすることによりジアセチルが出なかったようです。

 

3.豊の秋 豊秋庵

  香を嗅ぐとカプの香りが少なく、穀物の香りがします。この香は精米度が65%以上ならよくあることですが、精米度55%で出ているので、何か原因があると考えるそうです。味を味わってみると、前半の9号酵母ではまず出ない後味に苦味を感じるので、先生は醪の段階か後処理の段階で温度が上がったのではないかと想像するそうです。でも後処理ではこんな苦味は出ないので、この苦みから考えると醪の段階で温度が上がったと想定するそうです。オフフレーバーとは言えないぎりぎりの香りのようです。

4.ロ万 純米吟醸:

  酵母はF701で、華やかだけどイソエチ系の酵母の割にはツンとしないで、ふわっと膨らむ香がするけど、良く嗅いでみるとわずかにムレ化のような香りがします。飲んでみるとアタックが甘くてとろっとしているので、後半まで甘みが残り、コハク酸は少なめに感じるのはもち米を使っているせいだと思うそうです。ちょっと変わったバランスのお酒ですが、酒質としてはこの蔵の特徴であり問題ないとのことでした。

5.白岳仙 五百万石:

  香は丁子とかスモーキーな香ですが、人によっては青魚の生臭さと言う人がいるそうです。僕にとっては嫌な香りと言うよりちょっと変わってるなという感じでした。でもこれが4VGの典型の香だそうです。このお酒はダンチュウにも取り上げられていていやなお酒とは言われていないようですが、4VGからくる酸と苦味が特徴のようです。4VGはどうして生まれるかというと、自社酵母からくるようで14号系に多いそうです。4VGを勉強したい人はこのお酒を購入してください。

6.吟の里 順子:

  このお酒は熊本地震を支援する寄付金付きのお酒として造られたお酒のようですが、TCAのオフフレーバーが出たので、販売をやめたお酒です。この香はTCAの典型の香だそうで、カビ臭いというより湿った押入れの香りの方が当たっているような気がしました。どうしてそうなったかは不明ですが、TCAを勉強するには貴重な幻の酒となってしまいました。TCAは昔36人衆で出たことがあったそうですが、滅多にないことのようです。 

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