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« 滋賀県の神開というお酒は進化しつつあります | トップページ | インフィニット酒スクール・日本酒中級コース第1回目 »

2016年1月21日 (木)

天の戸の森谷杜氏は五感を大切にする人です

去年の12月22日に天の戸の森谷杜氏を迎えて、お米は稲の種というお話を中心に飲みながらの講演会があるということを山本洋子さんに教えてもらい、参加したものです。場所は原宿のオンジャパンカフェで行われたのですが、原宿というよりは神宮前の表参道からちょっと中に入ったわかりにくいところで、迷いながらやっと行き着きました。お店はレストランというよりはカフェの感じでしたね。 

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どうしてこの会が開かれたのかの詳細は正確にはわかりませんが、去年の8月に行われた天の戸の蔵(浅舞酒造)から5km四方の酒米の稲の花見をする会に山本洋子さんが酒食ジャーナリストとして参加されてた時に、森谷杜氏に稲の花の説明を受けられたようです。そこでお米の元になる籾は稲の種だったんだというお話に感激して、このお話を東京の皆さんにも知ってもらおうと、この会が開かれることになったようです。

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それがその時の集合写真です。インターネットから拝借しました。山本さんや森谷杜氏や柿崎(常樹)社長もおられるようです。 

会のスタートで山本洋子さんからご挨拶がありました。いつみても明るくてチャーミングなとことが素敵ですよね 

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この会は最初に森谷杜氏から稲の話を中心に酒つくりの話まで、いろいろな話が続いた後、天の戸のお酒を試飲をしながら秋田の地元のお料理を合わせて楽しむというものでした。実際には、絶えず森谷さんがお話をしていたので、話題が飛びすぎてとても整理しにくい点もあったのですが、僕なりの解釈で説明を加えさせていただいて、お話をまとめてみることにしました。 

杜氏のお話に入る前に蔵の紹介をしておきます。浅舞酒造は秋田県の横手市にあり、横手盆地のまん中にあり、豊富な湧水と良質なお米が取れる環境にあります。創業は大正6年ですから、酒蔵としてはそんなに古い蔵ではありません。 

このお蔵の特徴は何と言っても蔵から半径5km以内の田んぼで栽培した酒米だけを使っていることでしょう。それは3年前に急にお亡くなりになった4代目の社長の柿崎秀盛さんが、昭和63年に平鹿町農協(現・JA秋田のふるさと)平鹿町酒米研究会を発足させて、地元の農家と手を組んで酒米を造る環境を造ったことに始まっています。 

スタート当初は研究会の会員数は10名で美山錦作付面積255aでしたが、その後少しずつ増えていき、平成5年に大冷害が起こったことをきっかけに平成6年に平鹿町研究会の酒米は全量浅舞酒造が買い取ることを始めました。その時は未だ、美山錦と吟の精だけで、415aだったそうです。 

平成14年には会員数は19名に、酒米の種類も5種類となり、作付面積も2148aと増えてきたのを機会に減農薬減化学肥料栽培に取り組み、平成17年から全量減農薬減化学肥料の酒米を使った仕込みとなったそうです。 

さらに平成23年には全量平鹿町酒米研究会の酒米による純米酒造りに移行するとともに、今では作付面積も3234aと増えて、お米の種類も7種類になって、日本酒版テロワールが確立しつつあると言えます。杜氏の森谷さんはこの研究会の一人ですから、酒米つくりのプロでもあるのです。 

さて、森谷さんとはどんな人なのでしょうか。お名前は森谷康市(もりやこういち)さんで、平鹿町の農家の生まれです。山形大学農学部を卒業後、実家の後を継いだのですが、前社長の柿崎さんから誘われて蔵に入ったそうです。森谷さんは柿崎さんとは中学校の智だったそうで、森谷さんの才能を見抜いていたのだと思われます。 

森谷さんは昭和59年に蔵に入って、その7年後には杜氏になったのですから凄い人です。下の写真の方が森谷さんです。中々かっこいいですよね。

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森谷さんは杜氏になった時、夏田冬蔵ー新米杜氏の酒造り日記を出版したり、歌わせたらプロ並みという多才な才能をお持ちのようですが、今回は森谷さんのお話を聞きながら、どんな思いでお酒を造っているのか探ってみたいと思います。 

<なんとなくやる中にも理屈がある> 

農業でも酒つくりでいつもと同じ作業であっても、先輩が普段と違う作業をすることがあるので、その時どうしてそうするのですかと聞いてみると何となくそう思ったからとしか応えてくれなかったことがあるけど、自分がそれを問われる立場になったからには、なんとなくではなくて、その理屈を考えるようになったそうです。 

たとえば、麹作りの際に触ってみて表面が堅いのに手にくっつくような感じがすることがあるそうで、それがどうして起きるのかが最近わかったそうです。それは稲が育つ過程にあるのだそうです。それを知ってもらうためにはどうやって稲が育つかを知らなければならないというわけで講義が始まりました。 

<稲は花をつける時期がある> 

稲は夏の日射しを浴びて,茎の根元から次々に新しい茎や葉を伸ばすことが始まりますが、稲の茎の中には,7月になると稲の穂の元になる鞘が形成され始めます。8月上旬になると葉の鞘をわって穂が伸びてくると,穂の先端から稲の花が咲き始めるそうです。天気の良い日の午前中に花を咲かせ、昼ころには閉じるようです。 

昨年の8月8日にこのお稲の花をみるお花見が行われました。まず横手盆地を一目でみえる絶景ポイントの道満峠にって日本酒で乾杯だそうです。その時の様子です。 

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この道満峠から春に水が張ったばかりの水田を見るとこんな風に見えるそうです。 

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稲の花が咲いている様子です。稲の花は雄しべの下の方に雌しべがあり,雄しべの花粉が同じ花の雌しべに付いて受粉する「自家受粉」という形を取っているので、この状態になった時はもう受粉した後だそうです。でもとてもかわいらしいですね。 

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この後、お米の元となる籾が生育してくるのですが、この籾は稲の種だそうです。ですから稲は子孫を増やすためにこの種を数多く大きく育てようとするようです。しかし、天候にようって育ちが違ってくるそうで、その様子を下記の図で示してくれました 

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最初に咲いた花には籾が最初に実るので、これを長男とよび、次に実る籾を次男、最後に実る籾を3男とします。たとえば長男ができてその後天候が悪いと次男ができるのが遅れます。長男のお米は身が付くのが早いので収穫時には堅くなってしまいます。それに対して成長が遅れた3男は水を吸いやいそうです。ですから収穫されたお米にはこれらが混じっているというわけです。これが最初の疑問となった麹が堅い(長男の米)ようだけども手に着くような感触(3男の米)を感じた理由だそうです。 

一般に次男だけが育った時は凶作で、次男が育つと平年作、3男が育つ時は豊作となるようです。稲の育ち方と米の水分の溶け方は強い関連があるので、育ち方を見てどんな酒造りをするかを考える必要があるというわけです。 

秋田県の言い伝えに「けがち(冷害による凶作のこと)に腐造なし」という言葉がありますが、けがちになるとお米は取れなくなるけど、長男の米ばかりなので腐ることはないという意味だそうで、良いこともあるよということらしいです。 

<お米は稲の種であることを知っていますか> 

稲は花が咲いた後、実として籾をつけ、この籾を収穫した後、殻をとると玄米と籾殻になります。玄米は発芽機能を持っていますが、玄米を精米したお米は種にはなりません。しかし、玄米は長く置いておくと発芽機能を失うので、籾を殻の付いた状態で保存し、春になって適切な環境に置くと芽を出す種となります。なるほど、稲は種を育てるために花をつけ、種を造っていたのですね。人間はそのおこぼれをお米として使っていたわけですね。 

良く観察すると、稲は子孫の種を増やす努力を自ら工夫をしているのが良くわかるそうです。たとえば、風の強い芭蕉の稲は倒れないようにしっかり根を張り、茎を太くするそうです。その証拠に田んぼの隣の道が交通量の多い道路の場合は車の影響で絶えず風が強いので、内部の稲より茎が太いのがわかるそうです。 

また、根が張っているかどうかは田んぼに裸足で入るとすぐわかるそうですが、今では健康のために長靴で入るのでわからなくなっているそうです。なるほどね・・・その場合は他の方法で根っこの状態を見るのは大切なことなことなのでしょうね 

以上で森谷さんの農家としてのお話の紹介は終わりますが、稲の状態はその土地の土壌、環境、気象状態と手の入れ方で変わってくるので、稲の気持ちになって一緒に育っていく感性が必要だと言いたいのだと思いますた。ワインで言うテロワールという感性でしょうね。 

次に試飲したお酒に対する森谷さんのお言葉を紹介しながら自分の感想をコメントとして紹介します。この企画がすごいのは関連する資料がしっかりしてされていたことで、用意した人は大変だったろうと思います。 

9種類のお酒を試飲しましたが、下の写真のように全部プラスティックカップにラベルが貼ってあって、各人に配られました。手間がかかり、これはなかなかできないことです。 

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お酒の試飲の前に森谷さんがお米の紹介を人に例えて紹介したいただいたのでそれを御紹介します。 

1.美山錦 気難しい麗人 

 肥料管理をちょっと間違えると倒れてしまう繊細なお米で、搾った時はつんとしてさりげないけどいるけど次第にふくらみをもつお米だそうです 

2.吟の精 田んぼの室伏広治 

 砲丸投げの室伏広治のようにちょっとのことでは倒れなおおこめです。それは丈夫な飼料米を親に持っているからで、茎が太いので穂が出ると茎から栄養分をどっと送り込みので早く育つそうです。 

3.亀の尾 長身の天女 

 長身で倒れやすいけど、得体が知れない謎めいている 付き合い方により味わいが違う お米だそうです

4.星あかり やなぎごき美人 

 柔らかそうな姿をしているのに倒れない。飲んだ時に凄く愛想がいい。 

5.秋田酒こまち ちょっと天然。良妻賢母 

 ふわんとして、かちっとしたところがないけど、酒にすると家のことをしっかりしてくれる良妻賢母型のお米だそうです。

6.美郷錦 残念ながら説明はありませんでした。 

飲んだお酒の写真をお見せします 

Dsc_0327_21.参拾磨き5年古酒 

秋田酒こまち 30%精米の純米大吟醸で、5年古酒ですが熟成の香りはあまりしないが、口の中で綺麗な旨味がぱっと広がり後味がゆっくりのびてきて消えていくお酒でした。 

2.天黒 

星あかり 50%精米の純米吟醸で黒麹仕込みで、黒麹独特の甘みがあり、うまみは日本酒とは違うもので、酸味が結構強いお酒でした。  

焼酎蔵の大海酒造の杜氏が浅舞酒造に来て日本酒の造りを勉強に来た時に、一緒に黒麹の日本酒を造ってみよう思って初めて造ったのが2004年だそうです。

 

Dsc_0328_23.夏田冬蔵 星あかり40

星あかり40精米の純米大吟醸で初めに旨味と甘みの小さなピークがきて、そのあとずっと広がってくるお酒で、弱い余韻が残るバランスのお酒でした
 

4.純米大吟45 

吟の精45%精米の純米大吟醸で、綺麗な旨味を感じてあまり辛みは感じない。余韻はあるけど酸のお陰で切れが良いお酒になっていました。飲みごたえがあるけど切れのあるお酒を狙ったものだそうです。 

 

Dsc_0329_25.夏田冬蔵 こま美 

秋田酒こまち45%精米を麹米、美山錦55%精米を掛けまいにした純米吟醸です。バランスは悪くないけど、ちょと複雑な甘みを感じて美山錦らしい若々しさはあるけど後味の余韻にかる渋みを感じましたが、あまり余韻があまりない酒でした。 

6.美稲80 

秋田酒こまち80%精米の純米酒です。軽い旨味で、磨いていない分だけいろいろな味わいを感じますが、雑みはありません。後味に辛味を感じるし、旨味が少ない分酸味を感じるお酒でした。磨かなくてもいい酒けになるものですね 

 

Dsc_03307.夏田冬蔵 亀の尾45 

亀の尾45%精米の純米大吟醸です。角が取れていて優しい適度な旨味を感じ、裏に辛味をちょっと感じるけどバランスの良いお酒でした。亀の尾をこんなにうまく扱えるのはやはり、杜氏の腕なのでしょうね。 

8.夏田冬蔵 美山錦40 

美山錦40%精米の生酛つくりの純米大吟醸です。旨味が少なめの優しい味でややシャープな感じで、生酛つくりのイメージは全くないけど、心地よい酸味を感じますのですっと飲めるお酒でした。ちょっとワイン的な感じです。これは面白い酒です。 

それはそのはずで、小布施ワイナリーのお酒を飲んでこのお酒のイメージをつかんだそうです。 

Dsc_03329.シルキー 

星あかり60%精米の特別純米発泡清酒生酒です。

鹿児島県の大海酒造の杜氏の協力の下、黒麹での醸造を始めた後、白麹を使用して瓶内二次発酵タイプの発泡性のお酒です。


飲んでみると甘みの中に酸が立ちあがるお酒で、瓶内は発酵で出来た炭酸のしわしわ感があります。後味は白麹が生成するクエン酸のすっきりとした後味を感じました。
 

森谷さんのお話では黒麹は青いレモンで渋みがあるので熟成する必要があるけど、白麹は黄色いレモンで最初から飲める酸味だそうです。 

以上でこの会で飲んだお酒の紹介を終わりますが、この会を通して森谷さんに感じたことは、米つくりも、酒つくりも、自分の五感で感じたことを大切にしていることを強く感じました。今の時代は五感よりは数値を大切にする傾向が強い中にあって、、森谷さんは貴重な杜氏なのではないかと思いました。 

最後に森谷さんの唄声で締めになったのは、さすが山本洋子さんのアイデアです。楽しかったですよ。ちなみに唄は夏の草刈唄と冬唄でした。 下記のファイルをクリックすると森谷さんの唄が聞けますよ

夏の唄:「natunouta.mp3」をダウンロード 

冬の唄:「huyunouta.mp3」をダウンロード 

<その他> 

実は4年前に蔵に訪問したことがあるのですが、蔵の様子は下記のURLをご覧ください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-59e3.html 

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コメント

稲は種を育てるために花をつけ、種を造ってとありますが多くの植物はみな同じでは?稲は自家受粉(風で)多くは昆虫のお手伝いが必要なところが違うのかな。

そうかもしれませんが、なんとなくお米は種でなく、実だと思っていたのです。普通は実の中に種があるのですよね。稲の場合は実が種になるみたいです。受粉には昆虫は要らないようです。

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