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« 蔵見学で判った鶴齢の味の秘密 | トップページ | 朝日川酒造は昔からの道具が活躍しています »

2014年2月22日 (土)

栄光富士の酒が最近凄く旨くなったらしい

東北ツアーの第2段で、栄光冨士の冨士酒造を訪問しました。訪問したのは大山新酒・酒造祭りの翌日の日曜の朝です。この時期は酒造りに忙しい時期なので、受けていただけるか心配でしたが、社長の加藤有慶さんにお願いして特別に見学を許可してもらいました。

以前蔵を訪問したのは2010年ですから4年ぶりの訪問です。訪問したのには理由があるのです。この蔵は何年か前(たぶん5~6年かな)有加藤(ありかとう)という銘柄のお酒を特約の酒販店さんに直接販売するようになったのですが、味の割には価格が安いので、定期的に購入してきました。ところが、最近酒販店に有加藤が入荷しなくなったらしいのです。一方新しいデザインの栄光冨士というブランドが卸店から出始めているようで、しかも有加藤の味に勝るとも劣らないお酒のようで、売れているらしいといううわさを聞きました。これはいったいどうしてなのか気になっていました。

それから昔からの銘柄のお酒造りはどうなっているのか、最近は貯蔵管理に力を入れて、味が安定してきたとか色々な情報を聞きましたので、今冨士酒造の酒造りはどうなっているのかを知りたくて訪問したのです。

冨士酒造は鶴岡市大山にある歴史のある名門の蔵です。創業は1778年ですからもう230年以上の歴史を持つ老舗です。この地は近くに賀茂港をもつので、物流の中継基地として栄えたために酒造業が多くあり、だから大山地区には今でも4つの蔵が密集して残っているのです。

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この写真が冨士酒造の母屋です。どうして富士山と関係ない土地なのに冨士酒造という名がついたのかはわかりませんが、富士山のような趣のある屋根ですね。この屋根下に書いてある看板の字は富士であって冨士ではなかったのです。やはり富士山をイメージして造ったのではないかと思いました。

蔵のご案内は社長の加藤有慶(ありよし)さんにしていただきました。加藤さんは13代目の当主ですが、社長になられたのは2005年ですから9年前ということになります。加藤家は加藤清正の流れをくむ家柄だそうで、蔵には清正が使っていた鑓の一部や家紋の蛇の目が残されているそうです。

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有慶さんはいつもにこやかにされている社長ですが、蔵を引き継いだ時は蔵の売り上げも落ち、どうやって蔵を立て直すかが課題だったそうです。当時のお酒を全国の酒販店に持っていっても売れる酒は1本もないと言われ、酒造りを基本から見直すことを始めたそうです。パッと光ってスッと消えていくような酒」を目指すことにしたそうですが、それができるようになったのはここ1-2年のようです。

昔から造ってきた銘柄を調べてみると、普通酒の万流、本醸造の栄光冨、純米酒の純月、純米吟醸の心鍵、大吟醸のひとりよがりがありました。でもなかなか売れないということで、中汲みだけを詰めたお酒の「有加藤」を特約の酒販店だけに出すようになったのです。加藤家は代々「有」という名前を付けてきたようで、その有と加藤家の加藤をつなげて有加藤(あり・かとう)としたようです。その中には「ありがとう」という感謝の気持ちも含ませていたようです。

初めて有加藤の大吟醸を飲んだ時はこの味でこの値段ならと感激した覚えはありますが、まだ酒の完成度としては気になるところがあったのですが、確か4年前の日本酒学校の会に営業の米山さんが蔵のタンクから瓶に詰めたばかりの有加藤の酒を持ってきてくれたので、それを飲んで有加藤はこんなにうまい酒だったのですかと驚いた記憶があり、直ぐに貯蔵のやり方を変えるべきだとついつい言ってしまったことを思い出します。

その後原料処理と絞った後の処理を気を付けるようになって酒の味が格段に良くなったと聞いていますが、最近はさらに良くなったらしい。最近は太田商店(酒問屋)に新らしい銘柄の栄光冨士シリーズ(無ろ過生原酒)を出したようですが、これが飛ぶように売れているらしいのです。その辺の裏事情を知りたくて訪問したのです。

ここが蔵の入り口です。富士山の絵が見えますね

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蔵の中を次に紹介しますが、設備的に新しいものはありませんでしたので、詳しくは説明しないで、写真を中心に紹介します。昔の生産量は5000石もあったようで、何しろ蔵が広いので、造り気になれば製造量は増やせそうです。

<原料米>

山田錦、美山錦、出羽燦々、出羽の里、五百万石、神力、と幅広く扱っています。最近はお米を手に入れるのが大変なので飯米であるひとめほれ、つや姫、はえぬき等も使っていて米の足りないのをカバーしているようです。旨い酒ができればお米は何を使ってもいいですが・・・・・。

<仕込み水>

昔は井戸水の月山の伏流水を使っていたのですが、上流にダムができて水質が悪くなったので水道水を使っているそうです。でも仕込み水として使う前にマイクロバブルをかけて水を柔らかくするそうです。

<洗米> ざると洗米機が見えますね

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<蒸場> 和釜を使っていてちょうど蒸を終わったところでした

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蒸したお米をクレーンで吊り上げて放冷機に運ぶところでした

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袋の底が開いて放冷機の入り口に落とされます。放冷機の上の蒸米は適宜人の手でかき混ぜるようです。

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冷却された蒸米はエアーシューターで仕込み部屋の送られます。

<麹室> 麹室に入りましたが、カメラがたちまち曇ってしまいました。60%の化工米が引き込まれて積んでありました。

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麹箱は比較的大きなものを使っています。

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カーテンで仕切って温度管理が別々にできるようになっており、カーテンの向こうにはひとりよがりの添え麹が並んでいました

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<酛場> 酛場は2階にしかなかったので、作業性の良い1階にテントで造ったそうです。ここは終わったら撤去するそうです。今は必要の応じての造りなのであまり広くなくていいそうです。

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今までは高温糖化と中心にやってきましたが、最近は速醸に変えているそうです。高温糖化法は速醸より4日ほど早く9日でできるそうですが、さらっとしたお酒になるそうです。昔は速醸がうまくいかなかったそうですが、今は旨く作れるようになり、旨みが出るので速醸に変えてきているようです。

<仕込み> 2トン仕込みの部屋を見ました。

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ここは十数個の大型の開放タンクがありますが、4本しか使わないで、回して使っているそうです。ここは普通酒や本醸造を仕込んでいるそうです。昔は酒粕が50%も出た時もあったそうですが、いまでは良く溶けて酒粕は30%でしかも醪日数は20-25日と短いそうです。

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80%精米のはえぬきの純米酒の仕込みタンクがありましたが、櫂が通らないほどの硬さがあるそうです。少量仕込み用のサーマルタンクもあるそうですが、全部で15本で十分回せるそうです。

<貯蔵タンク> 絞ったお酒の量を検定したり、瓶に詰めるための一時的な貯蔵タンクで、出荷前の有加藤もありました。火入れするまでの期間は1週間以内を守っているそうです。

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凄く広いコンクリート製の仕込み兼貯蔵室です。完全空調ができる部屋になっています。

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奥にタンクを近いうちにすべてサーマル化し、絞った生酒を‐5℃で1カ月貯蔵して瓶火入れできるようにするそうです。その方が旨みが出るからだそうです。手前のタンクは出品酒用など特別なお酒の仕込みをしているそうです。夏場は仕込みはしないので、出荷直前のお酒を貯蔵する場所になるそうです。

<保管庫>  -5℃の生酒の瓶貯槽する保管庫です。

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この他にもコンテナ冷蔵庫を4個持っているそうです。冷蔵保管に力を入れていることがわかりました。

以上で蔵見学の紹介を終わりますが、今どんな体制で作りをしているかをご紹介しょう。今までおられた杜氏の白幡さんがおやめになって、南部杜氏の方に応援に来てもらっているそうです。製造のまとめをやっているのが29歳の元スキーのインストラクターだった加藤さんで、麹をやっているのは地元の女性の池田さんですが、製造部門は正社員2名、パート社員4名の6人体制を組んでいるそうです。

造りは週に2-3本なので半仕舞を少し間延びをさせたくらいだそうで、休暇も定期的に取るので常時は5人体制ですが、とてもうまく回っているそうです。生産量も伸びてきて、去年は650石、今年は700石になるそうで、着実に売れるようになっているみたいです。昨日の大山新酒祭りの時も、お酒がバンバン売れて、去年の実績を大幅に上まったそうです。

なるほど・・・でも実際に飲んでみないとわからないな。

ということで新酒の試飲をさせていただきました。残念ながら有加藤は蔵に在庫はありませんでした。

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左から

①純米吟醸 無ろ過生原酒 仙龍 美山錦60%9号酵母

②普通酒の万流 化工米65% 10号酵母

③栄光冨士 本醸造 ひとめぼれ60% 10号酵母

④純米酒 純月 出羽の里60% 山形酵母

⑤純米吟醸 心鍵 出羽燦々50% 山形酵母

⑥大吟醸 ひとりよがり 山田錦40% 10号酵母

一つ一つのお酒の批評はしませんが、②の万流を飲んで驚きました。1升1800円のお酒とも思えない余韻のきれいさがあります。お米ははえぬき主体の化工米ですが、あまり雑味を感じません。アルコール添加は14%ほどだそうですが、アルコールの辛みを感じないのは添加する焼酎もマイクロバブルをかけているからのようです。このお酒はアメリカで爆発的に売れているそうです。大関より値段が少し高いけど旨いとの評判のようです。東京では何処で売っているのかな・・・・問屋は太田商店のようです。

③から⑥まで飲んでみましたが、どれも後味に綺麗さがあり、求めていたパッと光ってスッと消えていくような酒に近づいてきているように思えました。問題があるとすればパッと光る部分にもう少し個性が欲しい気がしました。例えばお米による違いをもっと出すとかできないかな。

Dsc_0184_6この後で吟醸のつや姫50%を飲みました。去年まで美山錦を使っていたのを、今年からつや姫に切り替えたそうです。呑んだ時にドンと広がる味がを感じますが、後の切れはいいので、これはなかなかいけます。

これからは色々なお米にチャレンジしていき、お米の良さを引き出すお酒造りをしてほしいです。

①は無ろ過生原の純米吟醸は美山錦60%で、有加藤は中取りですが、これは中も含めて絞ったままの全量のようです。だから有加藤が作れなくなるのかもしれないですね。

去年10号酵母だったのを9号酵母に変えて、酵母も山形酵母に変えています。消えるような余韻ではなく、しっかり残る余韻の感じで、旨みを感じます。

以上で飲んだお酒の印象は終わりますが、確かにこの1-2年で大幅に酒質が良くなったとのお話です。その理由を聞くと、そのために製造責任者と徹底的に細部にわたってチェックして改善したそうです。特に甘みを如何に出すかに気を使ったそうですが、一番大きかったのは麹造りの改善だと聞きました。若い人に責任を任されて、そこに社長の笑顔でチームが一体になったのがお酒の味が良くなった理由だと納得しました。

でも、今やっと良いお酒造りのスタートにたったと考え、さらに良い酒造りを目指してもらいたいと思っています。もうひとつ言わせてもらえば、有加藤を待ち望んでいるお客がいるので、そこにも大いに気配りしてもらいたい気がします。それから消費者がラベルをみたら、どんな作りのお酒かをわかるような整理をしてもらわないと、今の銘柄ではとてもわかりにくいと思います。

加藤さん今後の酒造りを楽しみにしていますので、よろしくね。

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コメント

冨士さんの、七星と言う夏仕込みの酒は抜群に美味しかったです。

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